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「公職選挙法」に関する裁判例(49)平成26年 3月11日 東京地裁 平25(ワ)11889号 損害賠償等請求事件

「公職選挙法」に関する裁判例(49)平成26年 3月11日 東京地裁 平25(ワ)11889号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成26年 3月11日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)11889号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2014WLJPCA03118010

裁判官
足立哲 (アダチアキラ) 第38期 現所属 東京高等裁判所(部総括)
平成30年8月30日 ~ 東京高等裁判所(部総括)
平成29年1月27日 ~ 新潟地方裁判所(所長)
平成26年11月3日 ~ 東京地方裁判所、東京簡易裁判所司法行政掌理者
平成25年8月1日 ~ 東京地方裁判所(部総括)
平成22年12月8日 ~ 平成25年7月31日 静岡地方裁判所(部総括)、静岡家庭裁判所(部総括)
平成20年4月1日 ~ 平成22年12月7日 東京高等裁判所
平成19年4月1日 ~ 平成20年3月31日 検事(法務省大臣官房行政訟務課長)
~ 平成19年3月31日 法務省大臣官房財産訟務管理官
平成15年3月25日 ~ 東京地方裁判所
平成11年4月1日 ~ 平成15年3月24日 鳥取地方裁判所米子支部(支部長)、鳥取家庭裁判所米子支部(支部長)
平成9年4月1日 ~ 平成11年3月31日 東京地方裁判所
平成3年3月28日 ~ 東京地方裁判所
~ 平成3年3月27日 静岡地方裁判所、静岡家庭裁判所

高谷英司 (タカタニエイジ) 第50期 現所属 東京地方裁判所立川支部、東京家庭裁判所立川支部
平成30年4月1日 ~ 東京地方裁判所立川支部、東京家庭裁判所立川支部
平成27年4月1日 ~ 札幌家庭裁判所、札幌地方裁判所
平成24年4月1日 ~ 東京地方裁判所
~ 平成24年3月31日 山形家庭裁判所、山形地方裁判所
平成21年4月1日 ~ 山形地方裁判所、山形家庭裁判所、山形地方裁判所新庄支部、山形家庭裁判所新庄支部
平成18年4月1日 ~ 平成21年3月31日 宇都宮家庭裁判所小田原支部、宇都宮地方裁判所小田原支部
平成15年4月1日 ~ 平成18年3月31日 広島家庭裁判所、広島地方裁判所
平成12年4月1日 ~ 浦和地方裁判所熊谷支部、浦和家庭裁判所熊谷支部
平成10年4月12日 ~ 平成12年3月31日 名古屋地方裁判所
~ 平成15年3月31日 さいたま地方裁判所熊谷支部、さいたま家庭裁判所熊谷支部

齊藤隆広

訴訟代理人
被告側訴訟代理人
竹下正己,山本博毅,多賀亮介,瀬田英一,高橋賢生

Westlaw作成目次

主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告は、原告に対し、本判決確…
2 被告は、本判決確定の日から2…
3 訴訟費用は、被告の負担とする。
第2 事案の概要等
1 本件は、原告が、平成24年1…
2 前提事実(争いがない事実並び…
(1) 当事者
(2) 週刊aの記事
3 争点及び争点に関する当事者の…
(1) 本件記事による原告の社会的評…
(2) 公職選挙法違反の有無
(3) 原告に生じた損害の額及び名誉…
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(本件記事による原…
(1) 新聞紙や雑誌の記事内容が、名…
(2) なお、本件一覧表及び本件注記…
2 争点(2)(公職選挙法違反の…
(1) 原告は、被告が、原告を含む無…
(2) 原告は、立候補が確定した公示…
(3) 原告は、立候補者の一覧表を作…
(4) したがって、本件記事の掲載が…
3 以上の次第であるから、その余…

裁判年月日  平成26年 3月11日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)11889号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2014WLJPCA03118010

滋賀県近江八幡市〈以下省略〉
原告 X
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 株式会社Y
代表者代表取締役 A
訴訟代理人弁護士 竹下正己
同 山本博毅
同 多賀亮介
同 瀬田英一
同 高橋賢生

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は、原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は、原告に対し、本判決確定の日から1週間以内に、100万円を支払え。
2  被告は、本判決確定の日から2週間以内に、被告の発行する週刊誌「週刊a」の誌面において、平成24年12月10日発行の同誌に掲載された「最終版300小選挙区完全予測」なる記事中、主要な部分を占める候補者一覧表に特定の候補者を掲載しなかったことが不適切であった旨を謝罪するとともに、掲載しなかった候補者の氏名を挙げ、立候補のあった事実を読者に容易に認識できるよう全1頁以上の誌面をとって掲載せよ。
3  訴訟費用は、被告の負担とする。
第2  事案の概要等
1  本件は、原告が、平成24年12月4日公示、同月16日執行の第46回衆議院議員総選挙に滋賀県第○区から立候補したところ、被告は、同月10日に発行した週刊誌「週刊a」に掲載した全国の立候補者一覧表に原告を含む一部の無所属候補者及び諸派候補者を掲載しないという公職選挙法に違反する違法行為を行って原告の名誉を毀損したと主張して、①民法709条、710条に基づき、慰謝料100万円の支払を求めるとともに、②民法723条に基づき、「週刊a」の誌面において、上記立候補者一覧表に掲載しなかった候補者の氏名を掲載し、特定の候補者を掲載しなかったことが不適切であった旨謝罪することを求める事案である。
2  前提事実(争いがない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば容易に認められる事実)
(1)  当事者
ア 原告は、元衆議院議員であり、平成24年12月4日公示、同月16日執行の第46回衆議院議員総選挙(以下「本件選挙」という。)において、滋賀県第○区から無所属で立候補した。
イ 被告は、出版社であり、週刊誌「週刊a」を定期的に発行している。
(2)  週刊aの記事
被告は、平成24年12月10日、「週刊a」12月28日号(以下「本件雑誌」という。)を発行した。被告は、本件雑誌の表紙に、「最終版300小選挙区完全予測」と表記した上、34頁ないし48頁に、「これでいいのか総選挙スペシャル 最終完全版 300小選挙区&比例大予測 主要政党確定候補者全実名・全選挙区情勢分析は本誌だけ!!」と題する特集記事(以下「本件記事」という。)を掲載した。本件記事には、39頁から46頁にわたって、本件選挙の立候補者を選挙区ごとにまとめ、当落予想を記載した一覧表(以下「本件一覧表」という。)が掲載されたが、本件一覧表には、原告を含む一部の無所属候補者及び諸派候補者は掲載されなかった。本件一覧表には、冒頭に「衆院選挙の立候補者のうち、原則として、公職選挙法に基づく政党要件を満たす政党に所属する候補と、無所属の前職候補を掲載した。その理由は、小選挙区制度においては、政党中心による選挙が想定されているからである。本紙取材により、当選可能性が極めて低いと判断した無所属、諸派候補は掲載を見合わせた。」などと注記(以下「本件注記」という。)されていた(甲1)。
3  争点及び争点に関する当事者の主張
(1)  本件記事による原告の社会的評価の低下の有無
(原告の主張)
ア 被告は、本件選挙の立候補者の一覧表として掲載した本件一覧表に、原告を掲載しなかった。ある選挙において立候補したかどうかは、その人間の経歴、人格において重要な事実である。公示前の候補者予定表であるならともかく、公示後の本件一覧表に原告が掲載されていないことは、これを読んだ有権者に対し、あたかも原告が本件選挙に立候補していないかのような印象を与えるものであり、原告の社会的評価を大きく毀損する行為である。
イ 被告は、本件一覧表に注記された掲載方針と異なり、無所属候補、諸派候補68名のうち、他の雑誌で無印であった2名の候補者を本件一覧表に掲載する一方、他の雑誌で有力候補とされた無所属の新人候補者又は元職候補者を掲載しなかったのであり、上記掲載方針に沿って掲載しているものではない。
(被告の主張)、
ア 本件一覧表は、本件注記に記載したとおり、本件選挙の立候補者のうち、原則として主要政党に所属する候補者と無所属の前職候補者を掲載したものであり、そのことは、一般読者が普通の注意と読み方をもって本件記事を読めば、容易に理解することができる。したがって、本件記事は、何ら原告について社会的評価の低下をもたらすような印象を与えるものではない。
イ なお、本件記事が原告の名誉を毀損するものであるとしても、当選可能性に言及した本件注記部分は、公共の利害に関する事実である本件選挙に関し、専ら公益を図る目的でされた論評を表現するものであるところ、当該論評の前提となった、本件選挙が小選挙区制の下で執行されたこと及び小選挙区制度下では少数派に不利と一般に解されている事実は、いずれも真実である。そして、本件注記には、原告の個人名が記載されているわけではなく、殊更個人を攻撃するものではないから、論評としての域を逸脱するものでもない。よって、本件記事において、当選可能性が低いと言及している部分は、名誉毀損の違法性を欠く。
(2)  公職選挙法違反の有無
(原告の主張)
ア 被告が、原告を含む無所属又は諸派の新人及び元職候補者を本件一覧表に掲載しなかったことは、公職選挙法に違反する不法行為である。
イ 公職選挙法148条によれば、新聞紙又は雑誌の選挙報道は、選挙の公正を害しない限度で認められるものであるところ、立候補が確定した公示後の時点において、立候補者の一覧表に立候補者である原告を掲載しないことは、事実を歪曲して選挙の公正を害するものである。被告は、本件注記において、「前職以外の無所属候補、諸派候補は掲載しない。ただし、当選可能性が極めて低いと判断されない場合は掲載する。」旨の掲載方針を明らかにしておきながら、実際には、無所属候補、諸派候補68名のうち、他の雑誌で無印であった2名の候補を本件一覧表に掲載する一方、他の雑誌で有力候補とされた無所属候補の新人又は元職候補を掲載しなかったのであり、当選可能性の有無にかかわらず、恣意的に特定の候補者を本件一覧表に掲載しなかったものといえる。被告のかかる行為は、表現の自由を濫用し、選挙の公正を害するものにほかならず、公職選挙法148条ただし書に違反する。
ウ 公職選挙法148条の2第3項は、「何人も、当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、これに選挙に関する報道及び評論を掲載し又は掲載させることができない。」と規定するところ、立候補者の一覧表を作成しながら、特定の候補者を意図的に掲載しないという行為そのものが、当選を得しめ又は得しめない目的に出たものであり、被告は本件雑誌の発行人、編集者としての編集その他経営上の特殊の地位を利用して、上記行為に及んでいるのである。したがって、被告のかかる行為は、公職選挙法148条の2第3項に違反する。
(被告の主張)
ア 報道機関による選挙報道については、選挙管理委員会が行う選挙公報の発行(公職選挙法167条以下)や投票記載所の氏名等の掲示(同法175条1項)などとは異なり、その記載方法を具体的に規制する規定はないのであるから、本件一覧表の記載内容が同法に反し違法であるとの原告の主張は、何らの法的根拠に基づかないものである。
イ 被告は、政党中心の選挙が想定される小選挙区制度の下、本件選挙の立候補者のうち、原則として主要政党に所属する候補者と無所属の前職候補者を掲載したものであり、本件一覧表は、当選を得しめ又は得しめない目的で作成されたものでない。このことは、本件記事中に「断っておくが、議席予測は特定の政党や候補者を応援するものではない」と記載されていることに端的に表れており、一般読者が本件一覧表の意味を誤解することはない。
(3)  原告に生じた損害の額及び名誉回復措置の要否
(原告の主張)
ア 本件選挙の期間中、原告は本件記事を読んだ有権者からの問合せへの対応、対応策の立案等一般の選挙活動に支障を来すような不必要な業務を余儀なくされた。また、選挙期間中の立候補者にとって、立候補の事実を有権者に知らしめることは最も神経を使う行為であるところ、本件一覧表において、滋賀県第○区からの立候補者のうち原告のみが掲載されなかったことで、多大な精神的苦痛を受けた。これらの損害に対する慰謝料としては、100万円が相当である。
イ 原告が本件選挙に立候補していたという事実を知ることができなかった週刊aの読者に対し、原告を含む本件一覧表に掲載されなかった候補者の氏名を同誌上に掲載し、本件選挙に立候補していた事実を知らしめ、併せて、その理由として、本件記事が特定の候補者を掲載しなかったことが不適切であったことを謝罪することが必要である。本件記事は合計28頁に及ぶ特集記事であり、同程度とは言わないまでも、全読者が十分に被告の謝罪を認識できるよう、少なくとも全1頁以上を取ることが必要である。
(被告の主張)
争う。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(本件記事による原告の社会的評価の低下の有無)について
(1)  新聞紙や雑誌の記事内容が、名誉毀損に該当するか否かは、一般読者の普通の注意と読み方を基準として、当該記事の意味内容を解釈し、その内容が、他人の社会的評価を低下させるかどうかによって判断すべきである(最高裁判所昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁)。
原告は、本件一覧表は、これを見た有権者に対し、あたかも原告が本件選挙に立候補していないかのような印象を与えるもので、原告の社会的評価を低下させる旨主張する。しかし、本件一覧表には、「衆院選挙の立候補者のうち、原則として、公職選挙法に基づく政党要件を満たす政党に所属する候補と、無所属の前職候補を掲載した。」、「本誌取材により、当選可能性が極めて低いと判断した無所属、諸派候補は掲載を見合わせた。」との本件注記が付されているのであるから、一般読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、本件一覧表は、本件選挙に立候補した全ての候補者を掲載したものではなく、本件選挙に立候補した候補者であっても被告の取材により当選可能性が極めて低いと判断された無所属、諸派候補は掲載されていないことは、容易に看取することができるものというべきである。したがって、本件一覧表は、これを読んだ一般読者に対し、あたかも原告が本件選挙に立候補していないかのような印象を与えるものとはいえず、原告の上記主張は採用することができない。
(2)  なお、本件一覧表及び本件注記は、一般読者の普通の注意と読み方を基準とすると、本件選挙に立候補したにもかかわらず掲載されていない候補者について、当選可能性が極めて低いとの意見ないし論評を表明するものと読むことができ、これを読んだ者に対し、当該候補者が当選する見込みが極めて低いかのような印象を与えるものである。しかし、上記意見ないし論評は、本件選挙の立候補者を一覧表にまとめ、当落予想を付したもので、公共の利害に関する事実に係り、その目的は専ら公益を図ることにあったと認められるところ、その前提とされた事実は、①小選挙区制度においては、政党中心による選挙が想定されていること、②そのため、無所属の候補者や有力とはいえない政党の候補者は、前職候補でない限り、一般に当選の見込みは低いと考えられていること、③原告は無所属の候補者であり、前職でもないことであり、これらは、その重要部分において真実であるということができる。また、上記意見ないし論評について、原告に対する人身攻撃に及ぶなど、意見ないし論評としての域を逸脱するものというべき事情はうかがわれない。
したがって、上記意見ないし論評は、違法性を欠くというべきである。
2  争点(2)(公職選挙法違反の有無)について
(1)  原告は、被告が、原告を含む無所属又は諸派の新人及び元職候補者を本件一覧表に掲載しなかったことは、公職選挙法に違反する違法行為である旨主張する。
しかし、公職選挙法148条によれば、同条3項の条件を具備する新聞紙又は雑誌には、虚偽の事項を記載したり、事実を歪曲して記載するなど、表現の自由を濫用して選挙の公正を害するような場合でない限り、選挙に関し報道及び論評を掲載する自由が保障されているのであるから、その報道や論評が結果的に特定の候補者の得票に有利又は不利に働くおそれがあるとしても、そのことから直ちにその報道や論評が違法なものであるということはできず、これが違法であるというためには、その報道や論評が、虚偽の事項を記載したり、事実を歪曲して記載したりするなど、表現の自由を濫用して選挙の公正を害した場合に限られるというべきである。
(2)  原告は、立候補が確定した公示後の時点において、立候補者の一覧表に立候補者である原告を掲載しないことは、事実を歪曲して選挙の公正を害するものである旨主張する。しかし、本件一覧表には、「衆院選挙の立候補者のうち、原則として、公職選挙法に基づく政党要件を満たす政党に所属する候補と、無所属の前職候補を掲載した。その理由は小選挙区制度においては、政党中心による選挙が想定されているからである。本紙取材により、当選可能性が極めて低いと判断した無所属、諸派候補は掲載を見合わせた。」との本件注記が付されていたのであり、本件一覧表が全ての立候補者を掲載するものでないことは、この記載自体から明らかである。したがって、本件一覧表は、事実を歪曲して選挙の公正を害するものということはできない。
また、原告は、無所属候補、諸派候補68名のうち、他の雑誌で無印であった2名の候補を本件一覧表に掲載する一方、他の雑誌で有力候補とされた無所属候補の新人又は元職候補を掲載しなかったのであり、当選可能性の有無にかかわらず、恣意的に特定の候補者を本件一覧表に掲載しなかったものである旨主張する。しかし、選挙の候補者の当落予想は、あくまで予想であり、その性質上、前提となる資料の量や精度、予想者の嗜好等によって異なりうるものである(実際、本件雑誌と同時期に発行された他の雑誌の当落予想も、それぞれ異なっている〔甲2、3〕。)。したがって、他の雑誌の予想と異なっていることから、原告が本件注記に記載した掲載方針によらずに恣意的に特定の候補者を本件一覧表に掲載したということはできないのであって、被告が表現の自由を濫用して選挙の公正を害したということはできない。
(3)  原告は、立候補者の一覧表を作成しながら、特定の候補者を意図的に掲載しない行為そのものが、当選を得しめ又は得しめない目的に出たものであり、公職選挙法148条の2第3項に違反する旨主張する。しかし、報道機関が選挙報道を行う場合には、選挙管理委員会が行う選挙公報の発行(公職選挙法167条以下)や投票所の氏名等の掲示(同法175条)と異なり、全ての立候補者について一律平等に報道しなければならないとする法律上の根拠は存在しないのであって、報道機関は、憲法及び公職選挙法等の趣旨に反しない限り、自らの編集方針に照らして、記事のニュース価値をその自由な判断に基づき取捨選択して、掲載すべきか否かを決定することができるのである。したがって、報道機関において、特定の候補者を有力候補として、その候補者の動静や得票予想等に焦点を絞って記事を掲載し、他の候補者に関する記事を掲載しないことも、報道機関の自主的な判断の結果として許容されるのであるから、特定の候補者を掲載しないことから、直ちに当該報道機関に当選を得しめ又は得しめない目的があったということはできない。そうすると、原告の上記主張も採用することができない。
(4)  したがって、本件記事の掲載が公職選挙法に違反する違法行為である旨の原告の主張は、採用することができない。
3  以上の次第であるから、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がない。よって、原告の請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 足立哲 裁判官 高谷英司 裁判官 齊藤隆広)


「公職選挙法」に関する裁判例一覧
(1)平成28年 3月15日 大阪地裁 平27(ワ)3109号 損害賠償等請求事件
(2)平成28年 3月11日 東京地裁 平25(行ウ)677号 政務調査研究費返還請求事件
(3)平成28年 3月 4日 高松高裁 平27(行ケ)1号 決定取消請求事件
(4)平成28年 2月18日 東京地裁 平27(ワ)1047号 社員総会決議無効確認等請求事件
(5)平成28年 1月28日 東京高裁 平27(行ケ)49号 裁決取消請求事件
(6)平成27年12月22日 東京高裁 平26(ネ)5388号 損害賠償請求控訴事件
(7)平成27年12月21日 名古屋高裁金沢支部 平27(行ケ)4号 裁決取消、当選取消請求事件
(8)平成27年12月17日 東京高裁 平27(行ケ)35号 選挙無効請求事件
(9)平成27年12月16日 大阪高裁 平27(ネ)697号・平27(ネ)1887号 損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件
(10)平成27年12月14日 東京地裁 平27(行ウ)417号・平27(行ウ)426号・平27(行ウ)427号 地位確認等請求事件
(11)平成27年12月 1日 最高裁第三小法廷 平26(あ)1731号 公職選挙法違反被告事件
(12)平成27年11月25日 最高裁大法廷 平27(行ツ)220号・平27(行ツ)224号・平27(行ツ)236号・平27(行ツ)237号・平27(行ツ)239号・平27(行ツ)257号・平27(行ツ)259号・平27(行ツ)263号・平27(行ツ)264号・平27(行ツ)270号・平27(行ツ)278号
(13)平成27年11月25日 最高裁大法廷 平27(行ツ)267号・平27(行ツ)268号 選挙無効請求事件
(14)平成27年11月25日 最高裁大法廷 平27(行ツ)253号 選挙無効請求事件
(15)平成27年11月19日 最高裁第一小法廷 平27(行ツ)254号 選挙無効請求事件
(16)平成27年10月27日 岡山地裁 平24(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(17)平成27年10月15日 大阪地裁 平25(行ウ)40号 損害賠償等請求事件(住民訴訟)
(18)平成27年 9月17日 名古屋地裁 平26(行ウ)51号 公金支出金返還請求事件(住民訴訟)
(19)平成27年 9月10日 大阪地裁 平26(行ウ)137号 損害賠償等請求事件
(20)平成27年 8月26日 東京地裁 平26(ワ)15913号 損害賠償請求事件
(21)平成27年 6月 2日 大阪高裁 平26(行コ)162号 行政財産使用不許可処分取消等、組合事務所使用不許可処分取消等請求控訴事件
(22)平成27年 6月 1日 大阪地裁 平27(ヨ)290号 投稿動画削除等仮処分命令申立事件
(23)平成27年 5月15日 鹿児島地裁 平19(ワ)1093号 国家賠償請求事件
(24)平成27年 5月15日 鹿児島地裁 平18(ワ)772号 損害賠償請求事件
(25)平成27年 4月28日 広島高裁岡山支部 平26(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(26)平成27年 3月31日 東京地裁 平26(行ウ)299号 投票効力無効取消等請求事件
(27)平成27年 3月26日 大阪高裁 平26(行ケ)5号 選挙無効請求事件
(28)平成27年 3月25日 東京高裁 平26(行ケ)24号 選挙無効請求事件
(29)平成27年 3月25日 広島高裁松江支部 平26(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(30)平成27年 3月25日 福岡高裁 平26(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(31)平成27年 3月23日 大阪高裁 平26(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(32)平成27年 3月20日 名古屋高裁 平26(行ケ)2号・平26(行ケ)3号 選挙無効請求事件
(33)平成27年 2月 4日 東京高裁 平26(行コ)353号 行政処分取消等請求控訴事件
(34)平成27年 1月16日 東京地裁 平26(行ウ)239号・平26(行ウ)272号 行政文書不開示処分取消請求事件
(35)平成27年 1月16日 東京地裁 平22(行ウ)239号・平22(行ウ)272号 行政文書不開示処分取消請求事件
(36)平成27年 1月15日 最高裁第一小法廷 平26(行ツ)103号・平26(行ヒ)108号 選挙無効請求事件
(37)平成26年12月24日 横浜地裁 平26(行ウ)15号 損害賠償請求事件(住民訴訟)
(38)平成26年11月26日 最高裁大法廷 平26(行ツ)78号・平26(行ツ)79号 選挙無効請求事件
(39)平成26年11月26日 最高裁大法廷 平26(行ツ)155号・平26(行ツ)156号 選挙無効請求事件 〔参議院議員定数訴訟〕
(40)平成26年11月26日 東京高裁 平26(行コ)467号 衆議院議員総選挙公示差止め等請求控訴事件
(41)平成26年11月21日 東京地裁 平26(行ウ)571号 衆議院議員総選挙公示差止め等請求事件
(42)平成26年10月28日 東京地裁 平24(行ウ)496号 三鷹市議会議員および市長選挙公営費返還請求事件
(43)平成26年10月24日 和歌山地裁 平23(行ウ)7号 政務調査費違法支出金返還請求事件
(44)平成26年 9月25日 東京地裁 平21(ワ)46404号・平22(ワ)16316号 損害賠償(株主代表訴訟)請求事件(第2事件)、損害賠償(株主代表訴訟)請求事件(第3事件)
(45)平成26年 9月10日 東京地裁 平24(行ウ)878号 分限免職処分取消請求事件
(46)平成26年 9月 5日 東京地裁 平25(行ウ)501号 行政処分取消等請求事件
(47)平成26年 7月 9日 最高裁第二小法廷 平26(行ツ)96号・平26(行ヒ)101号 選挙無効請求事件
(48)平成26年 5月27日 最高裁第三小法廷 平24(オ)888号 損害賠償請求事件
(49)平成26年 3月11日 東京地裁 平25(ワ)11889号 損害賠償等請求事件
(50)平成26年 2月26日 東京地裁 平24(ワ)10342号 謝罪広告掲載等請求事件
(51)平成26年 1月21日 東京地裁 平25(行ウ)59号 更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分取消請求事件
(52)平成26年 1月16日 名古屋地裁 平23(行ウ)68号 愛知県議会議員政務調査費住民訴訟事件
(53)平成25年12月25日 東京高裁 平25(行ケ)90号 選挙無効請求事件
(54)平成25年12月25日 東京高裁 平25(行ケ)83号 選挙無効事件
(55)平成25年12月25日 広島高裁松江支部 平25(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(56)平成25年12月20日 東京高裁 平25(行ケ)70号・平25(行ケ)71号・平25(行ケ)72号・平25(行ケ)73号・平25(行ケ)74号・平25(行ケ)75号・平25(行ケ)76号・平25(行ケ)77号・平25(行ケ)78号・平25(行ケ)79号・平25(行ケ)80号 各選挙無効請求事件
(57)平成25年12月20日 仙台高裁 平25(行ケ)2号・平25(行ケ)3号・平25(行ケ)4号・平25(行ケ)5号・平25(行ケ)6号
(58)平成25年12月18日 大阪高裁 平25(行ケ)5号・平25(行ケ)6号・平25(行ケ)7号・平25(行ケ)8号・平25(行ケ)9号・平25(行ケ)10号 選挙無効請求事件
(59)平成25年12月18日 名古屋高裁 平25(行ケ)1号・平25(行ケ)2号・平25(行ケ)3号 選挙無効請求事件
(60)平成25年12月16日 名古屋高裁金沢支部 平25(行ケ)2号・平25(行ケ)3号・平25(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(61)平成25年12月 6日 札幌高裁 平25(行ケ)1号 参議院議員選挙無効請求事件
(62)平成25年12月 5日 広島高裁 平25(行ケ)3号 選挙無効請求事件
(63)平成25年11月29日 東京地裁 平25(ワ)18098号 被選挙権侵害による損害賠償請求事件
(64)平成25年11月28日 広島高裁岡山支部 平25(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(65)平成25年11月20日 最高裁大法廷 平25(行ツ)226号 選挙無効請求事件
(66)平成25年11月20日 最高裁大法廷 平25(行ツ)209号・平25(行ツ)210号・平25(行ツ)211号 選挙無効請求事件 〔平成24年衆議院議員総選挙定数訴訟大法廷判決〕
(67)平成25年10月16日 東京地裁 平23(行ウ)292号 報酬返還請求事件
(68)平成25年 9月27日 大阪高裁 平25(行コ)45号 選挙権剥奪違法確認等請求控訴事件
(69)平成25年 9月27日 東京地裁 平25(ワ)9342号 発信者情報開示請求事件
(70)平成25年 6月19日 横浜地裁 平20(行ウ)19号 政務調査費返還履行等代位請求事件
(71)平成25年 3月28日 京都地裁 平20(行ウ)10号 不当利得返還等請求行為請求事件
(72)平成25年 3月26日 東京高裁 平24(行ケ)26号・平24(行ケ)27号・平24(行ケ)28号・平24(行ケ)29号・平24(行ケ)30号・平24(行ケ)31号・平24(行ケ)32号 各選挙無効請求事件
(73)平成25年 3月26日 広島高裁岡山支部 平24(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(74)平成25年 3月25日 広島高裁 平24(行ケ)4号・平24(行ケ)5号 選挙無効請求事件
(75)平成25年 3月22日 高松高裁 平24(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(76)平成25年 3月18日 名古屋高裁金沢支部 平24(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(77)平成25年 3月14日 名古屋高裁 平24(行ケ)1号・平24(行ケ)2号・平24(行ケ)3号・平24(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(78)平成25年 3月14日 東京地裁 平23(行ウ)63号 選挙権確認請求事件 〔成年被後見人選挙件確認訴訟・第一審〕
(79)平成25年 3月 7日 札幌高裁 平24(行ケ)1号 衆議院議員選挙無効請求事件
(80)平成25年 3月 6日 東京高裁 平24(行ケ)21号 選挙無効請求事件
(81)平成25年 2月28日 広島高裁 平24(行ケ)2号 棄却決定取消請求事件
(82)平成25年 2月28日 東京地裁 平22(ワ)47235号 業務委託料請求事件
(83)平成25年 2月19日 東京高裁 平24(ネ)1030号 帰化日本人投票制限国家賠償請求控訴事件
(84)平成25年 2月 6日 大阪地裁 平22(行ウ)230号 選挙権剥奪違法確認等請求事件
(85)平成24年12月12日 東京高裁 平24(行ス)67号 執行停止申立却下決定に対する抗告事件
(86)平成24年12月12日 東京地裁 平24(行ウ)831号 天皇の衆議院の解散等に関する内閣の助言と承認の無効確認請求事件
(87)平成24年12月11日 東京地裁 平24(行ク)433号 執行停止申立事件
(88)平成24年11月30日 最高裁第一小法廷 平24(行ト)70号 仮の差止等申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
(89)平成24年11月30日 最高裁第一小法廷 平24(行ツ)371号 衆議院議員総選挙公示差止等請求上告事件
(90)平成24年11月28日 東京高裁 平24(行コ)448号 衆議院議員総選挙公示差止等請求控訴事件
(91)平成24年11月22日 東京地裁 平24(行ウ)784号 衆議院議員総選挙公示差止等請求事件
(92)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)95号 選挙無効請求事件
(93)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)72号 選挙無効請求事件
(94)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)65号 選挙無効請求事件
(95)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)64号 選挙無効請求事件
(96)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)59号 選挙無効請求事件
(97)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)52号 選挙無効請求事件
(98)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)51号 選挙無効請求事件 〔参議院議員定数訴訟・大法廷判決〕
(99)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)179号
(100)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)174号 参議院議員選挙無効請求事件


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