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「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(22)平成28年 7月19日 東京高裁 平27(ネ)3610号 株主代表訴訟控訴事件

「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(22)平成28年 7月19日 東京高裁 平27(ネ)3610号 株主代表訴訟控訴事件

裁判年月日  平成28年 7月19日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ネ)3610号
事件名  株主代表訴訟控訴事件
裁判結果  控訴棄却  上訴等  上告受理申立  文献番号  2016WLJPCA07197001

要旨
【判例タイムズ社(要旨)】
◆1.会社が当初から出席しないことを見越しながら購入した政治資金パーティーのパーティー券に係る購入代金の支払が政治資金規正法上違法とされる「寄附」に当たり,会社に損害を被らせたとして,株主が取締役に損害賠償を求めた株主代表訴訟において,主催者が当該会社が購入したパーティー券に出席を予定しないものが含まれていることを個別的に把握し,その寄附性を認識していない限り,政治資金規正法の「寄附」に当たらないと判断した事例
◆2.取締役には,上記パーティー券の購入代金の支払はパーティー券の購入に仮託した実質的な「寄附」であるから,確実に出席が見込める枚数の限度でのみパーティー券を購入すべき義務,あるいは,国会議員からの違法な便宜供与を受けるなど不当な目的でこれを購入してはならない義務があるのに,これに反してパーティー券を購入した善管注意義務違反がある旨の控訴人の主張を排斥した事例

新判例体系
公法編 > 組織法 > 政治資金規正法〔昭和… > 第一章 総則 > 第四条 > ○政治資金の定義 > (一)寄付
◆会社の政治資金パーティー券購入代金の支払は、その代金額が政治資金パーティー出席のための対価と認められる限り、政治資金規正法第八条の二所定の「寄附」には当たらないが、その購入代金の支払実態、当該政治資金パーティーの実態、規模、内容との釣り合い等に照らし、社会通念上、それ自体が政治資金パーティー出席のための対価の支払とは評価できない場合にはその支払額全部、その支払額が対価と評価できる額を超過する場合にはその超過部分が「寄附」に当たるところ、この場合、政治資金パーティーに出席を予定しない者を購入者とする政治資

公法編 > 組織法 > 政治資金規正法〔昭和… > 第二章 政治団体の届… > 第八条の二 > ○政治資金パーティー > (一)パーティーの開催
◆会社の政治資金パーティー券購入代金の支払は、その代金額が政治資金パーティー出席のための対価と認められる限り、政治資金規正法第八条の二所定の「寄附」には当たらないが、その購入代金の支払実態、当該政治資金パーティーの実態、規模、内容との釣り合い等に照らし、社会通念上、それ自体が政治資金パーティー出席のための対価の支払とは評価できない場合にはその支払額全部、その支払額が対価と評価できる額を超過する場合にはその超過部分が「寄附」に当たるところ、この場合、政治資金パーティーに出席を予定しない者を購入者とする政治資

公法編 > 組織法 > 政治資金規正法〔昭和… > 第五章 寄附等に関す… > 第二一条 > ○会社等の寄附の制限 > (二)会社従業員の寄附
◆会社の政治資金パーティー券購入代金の支払は、その代金額が政治資金パーティー出席のための対価と認められる限り、政治資金規正法第八条の二所定の「寄附」には当たらないが、その購入代金の支払実態、当該政治資金パーティーの実態、規模、内容との釣り合い等に照らし、社会通念上、それ自体が政治資金パーティー出席のための対価の支払とは評価できない場合にはその支払額全部、その支払額が対価と評価できる額を超過する場合にはその超過部分が「寄附」に当たるところ、この場合、政治資金パーティーに出席を予定しない者を購入者とする政治資

公法編 > 組織法 > 政治資金規正法〔昭和… > 第五章 寄附等に関す… > 第二二条の二 > ○量的制限等違反の寄… > (一)寄附受領の禁止
◆会社の政治資金パーティー券購入代金の支払は、その代金額が政治資金パーティー出席のための対価と認められる限り、政治資金規正法第八条の二所定の「寄附」には当たらないが、その購入代金の支払実態、当該政治資金パーティーの実態、規模、内容との釣り合い等に照らし、社会通念上、それ自体が政治資金パーティー出席のための対価の支払とは評価できない場合にはその支払額全部、その支払額が対価と評価できる額を超過する場合にはその超過部分が「寄附」に当たるところ、この場合、政治資金パーティーに出席を予定しない者を購入者とする政治資

公法編 > 組織法 > 政治資金規正法〔昭和… > 第五章 寄附等に関す… > 第二二条の八 > ○政治資金パーティー… > (一)対価の上限
◆会社の政治資金パーティー券購入代金の支払は、その代金額が政治資金パーティー出席のための対価と認められる限り、政治資金規正法第八条の二所定の「寄附」には当たらないが、その購入代金の支払実態、当該政治資金パーティーの実態、規模、内容との釣り合い等に照らし、社会通念上、それ自体が政治資金パーティー出席のための対価の支払とは評価できない場合にはその支払額全部、その支払額が対価と評価できる額を超過する場合にはその超過部分が「寄附」に当たるところ、この場合、政治資金パーティーに出席を予定しない者を購入者とする政治資

公法編 > 組織法 > 政治資金規正法〔昭和… > 第六章 罰則 > 第二六条 > ○寄附制限違反と罰則 > (一)受領者の寄附認識の有無
◆会社の政治資金パーティー券購入代金の支払は、その代金額が政治資金パーティー出席のための対価と認められる限り、政治資金規正法第八条の二所定の「寄附」には当たらないが、その購入代金の支払実態、当該政治資金パーティーの実態、規模、内容との釣り合い等に照らし、社会通念上、それ自体が政治資金パーティー出席のための対価の支払とは評価できない場合にはその支払額全部、その支払額が対価と評価できる額を超過する場合にはその超過部分が「寄附」に当たるところ、この場合、政治資金パーティーに出席を予定しない者を購入者とする政治資

 

裁判経過
第一審 平成27年 5月28日 東京地裁 判決 平23(ワ)21209号 株主代表訴訟事件

出典
判タ 1434号138頁
判時 2355号76頁
資料版商事法務 391号200頁

評釈
岩田合同法律事務所・新商事判例便覧 3231号(旬刊商事法務2121号)
吉行幾真・金商 1530号2頁
高橋英治・リマークス 56号102頁

参照条文
政治資金規正法4条3項
政治資金規正法8条の2
政治資金規正法21条2項
政治資金規正法22条の2
政治資金規正法22条の8第1項
政治資金規正法22条の8第3項
政治資金規正法26条1号
政治資金規正法26条3号
保険業法53条の33第1項
会社法423条1項
会社法847条3項

裁判年月日  平成28年 7月19日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ネ)3610号
事件名  株主代表訴訟控訴事件
裁判結果  控訴棄却  上訴等  上告受理申立  文献番号  2016WLJPCA07197001

控訴人 X
訴訟代理人弁護士 阪口徳雄
大住洋
金啓彦
笠井計志
由良尚文
被控訴人 Y
訴訟代理人弁護士 中村直人
仁科秀隆

 

 

主文

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
 

事実及び理由

第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,Z株式会社に対し,485万5000円及びこれに対する平成23年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本件は,Z株式会社(以下「本件会社」という。)の株主である控訴人が主位的には,本件会社が政治資金規正法(特に断らない限り,現行のものをいう。)8条の2(以下,同法の条文は「法8条の2」のように記載する。)所定の政治資金パーティー(以下「政治資金パーティー」という。)のパーティー券(以下「パーティー券」という。)を,出席の予定がないのに購入したことが,同法上の「寄附」に当たり,会社が政党及び政治資金団体以外の者に対して寄附をすることを禁じている法21条1項に違反するものであると主張し,予備的には,パーティー券の購入を所管する部署の担当取締役であった被控訴人には,確実に出席が見込める枚数の限度でのみパーティー券を購入すべき義務,あるいは,国会議員からの違法な便宜供与を受けるなど不当な目的でこれを購入してはならない義務があるのに,これに反してパーティー券を購入した善管注意義務違反があると主張して,被控訴人に対し,会社法847条3項に基づき,本件会社が平成22年4月1日に株式会社に組織変更する前の相互会社の時代のパーティー券購入については保険業法53条の33第1項,同日以降のそれについては会社法423条1項による損害賠償として,本件会社がその平成19年会計年度から平成22年会計年度の間に出席する予定がないのに購入したパーティー券の代金相当額である458万5000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成23年7月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を本件会社に対して支払うことを求めた株主代表訴訟の事案である。
2 原審は,控訴人の請求を棄却したため,控訴人が控訴した。
3 前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1ないし5(原判決2頁5行目から11頁20行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決2頁5行目の括弧内全部を「当事者間に争いがない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実」と,同頁10行目の「平成23年1月27日時点」を「後記(4)の訴え提起を請求した時点」とそれぞれ改め,同頁11行目末尾の後に「(弁論の全趣旨)」を,同頁18行目の「別紙1」の前に「原判決」を,同頁19行目の「パーティー券」の後に「(以下「本件パーティー券」ということがある。)」をそれぞれ加え,同頁21行目の「同表」を「同「議員」欄」と改める。
(2)原判決3頁2行目の「1224万7000円」から3行目の「であった。」までを「平成16年度が1328万5000円,平成17年度が1418万5000円,平成18年度が1602万7000円,平成19年度が1601万4000円,平成20年度が1568万3000円,平成21年度が1364万5000円,平成22年度が1224万7000円であった。」と,同頁4行目の「25日」を「28日到達の書面により」とそれぞれ改め,同頁6行目の「本件会社は」の後に「,同日から60日以内に,」を加える。
(3)原判決4頁22行目の「別紙1」の前に「原判決」を加える。
(4)原判決5頁13行目の「法」を「政治資金規正法」と改め,同頁18行目の「であるから,」の後に「保険業法53条の33第1項又は」を,同頁22行目の「法22条の8」の後に「第1項,3項」をそれぞれ加え,同頁23行目の「平成4年の改正」を「平成4年の政治資金規正法の改正(平成4年法律第99号。以下「平成4年改正」という。)」と改める。
(5)原判決6頁5行目から6行目にかけての「現行の政治資金規正法の立法時において,」を「平成4年改正において,」と,同頁8行目の「現行の」を「平成4年改正後の」と,同頁18行目の「禁固」を「禁錮」と,同行及び22行目の各「罰則」をいずれも「刑罰」とそれぞれ改める。
(6)原判決7頁1行目の「法22条の8」の後に「第4項」を,同頁3行目の「法22条の8」の後に「第1項,3項」をそれぞれ加え,同頁7行目及び16行目の各「現行の」並びに同頁10行目の「同」をいずれも削除し,同頁12行目の「現行の政治資金規正法」を「平成4年の政治資金規正法の改正法」と改める。
(7)原判決10頁3行目の「前記3(2)ア」を「引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第2の3(2)ア」と改める。
(8)原判決11頁8行目の「別紙1」の前に「原判決」を加える。
第3 当裁判所の判断
1 認定事実
以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1(原判決11頁22行目から16頁6行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決12頁21行目末尾の後に「また,本件パーティー券も国会議員の秘書からの依頼に基づいて購入したものであり,本件会社側から国会議員側に本件パーティー券の購入を自発的に申し込んだものではない。」を,同頁22行目の「証人B」の後に「,証人A」をそれぞれ加え,同頁24行目の「であったところ」を「であり,2万円のものが多かったところ」と改める。
(2)原判決13頁1行目の「政治資金パーティーの」を「その政治資金パーティーを開催した政治団体又は政治団体とみなされる者の」と改め,同頁2行目の「なることや」の後に「(法12条1項1号ト,18条の2第1項,2項。なお,法20条参照)」を,同頁13行目末尾の後に行を変えて以下のとおり加える。
「 平成17年4月から本件会社の調査部長をしていたA及び平成20年4月から同部長をしていたBは,その在任期間中,本件パーティー券購入について決裁をした者であるところ,いずれも,1回の政治資金パーティーにつきパーティー券を10枚購入した場合に購入枚数に対応して10人が当該パーティーに参加するわけではなく,出席しないことになるパーティー券が発生することが常態化していることを認識していたものの,購入するパーティー券の中に参加を予定しないパーティー券が含まれていても,政治資金規正法上特段問題はないと考えていたため,手の空いている従業員を当該パーティーに同行する程度のことはしたものの,パーティー券の購入枚数に対応する参加者を確保するための格別の努力はしていなかった。このように,本件パーティー券の中には,本件会社の者が出席することを予定して購入したが,結果的に出席者を確保できなかったというものばかりではなく,当初から出席しないことを見越しながら購入したもの(以下,「出席を予定しない本件パーティー券」という。)も含まれていた。(乙16,17,証人B,証人A)」
(3)原判決14頁1行目の「本件会社調査部の担当者」を「保険金支払問題への対応を担当した被控訴人及びその部下である本件会社調査部の従業員」と,同頁6行目の「同議員ら」を「同議員らの一人であるC議員(以下「C議員」という。)」と,同頁10行目から11行目にかけての「C議員(以下「C議員」という。)」を「C議員」とそれぞれ改め,同頁11行目の「D議員」の後に「(以下「D議員」という。)」を,同頁13行目の「という。)」の後に「及びE議員」をそれぞれ加え,同頁14行目の「F議員」から15行目の「協議の結果,」までを「F議員とE議員がそれぞれC議員に働きかけた結果,」と改め,同頁18行目の「本件担当者が,」の後に「民主党所属の」を加える。
(4)原判決15頁9行目の「甲16の5」を「甲16の1ないし5」と,同頁12行目の「除く。」を「除き,前記(6)に記載の議員のほかに,G議員及びH議員を含む。」とそれぞれ改める。
(5)原判決16頁1行目の「親密な」を「緊密な」と改め,同頁5行目から6行目にかけての「別紙2」の前に「原判決」を加える。
2 争点(1)(本件会社によるパーティー券の購入が,政治資金規正法上の「寄附」に該当するか)について
(1)前記1で引用した原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1の認定事実(ただし,補正後のもの。以下,単に「認定事実」という。)(4)のとおり,本件パーティー券には,本件会社が当初から出席しないことを見越しながら購入したもの(出席を予定しない本件パーティー券)が含まれていたことが認められる。争点(1)は,この出席を予定しない本件パーティー券の購入代金として本件会社が主催者に支払った金銭の「寄附」該当性の問題であり,以下,この点について検討する。
(2)アまず,政治資金規正法は,「会社(中略)は,政党及び政治資金団体以外の者に対しては,政治活動に関する寄附をしてはならない。」と定め(法21条1項),「寄附」につき,「金銭,物品その他の財産上の利益の供与又は交付で,党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」と定めるとともに(法4条3項),政治資金パーティーにつき,「政治資金パーティーを開催する者は,一の政治資金パーティーにつき,同一の者から,150万円を超えて,当該政治資金パーティーの対価の支払を受けてはなら」ず,「何人も,政治資金パーティーの対価の支払をする場合において,一の政治資金パーティーにつき,150万円を超えて,当該政治資金パーティーの対価の支払をしてはならない。」と定めている(法22条の8第1項,3項。以下「量的制限規定」という。)。これらの規定の内容及び関係をみると,同法は,政治資金パーティーのパーティー券購入代金については,上記の金額を上限として,対価の支払と受領という関係があるものにつき,「債務の履行としてされるもの」として「寄附」に当たらないとしていると解される。
次に,政治資金パーティーの対価の意味については,政治資金パーティーが「対価を徴収して行われる催物で,当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者又はその者以外の者の政治活動(選挙運動を含む。これらの者が政治団体である場合には,その活動)に関し支出することとされているもの」をいうと定められている(法8条の2)ことからすると,その対価の総体は,政治資金パーティーの開催に要する経費とその主催者等の政治活動資金に充てられるものの合計であり,パーティー券の購入代金は,政治資金パーティーの開催経費に充てられる部分と政治活動資金に充てられる部分を構成要素とするものと認められ,これが法22条の8第1項,3項の「対価」に当たるものと解される。
以上によれば,パーティー券の購入代金の支払は,その代金額が政治資金パーティーへの出席のための対価と認められる限り,「寄附」には当たらないが,パーティー券の購入代金の支払実態,当該パーティー券に係る政治資金パーティーの実態,パーティー券の金額と開催される政治資金パーティーの規模,内容との釣り合い等に照らして,社会通念上,それ自体が政治資金パーティー出席のための対価の支払とは評価できない場合にはその支払額全部が,また,その支払額が対価と評価できる額を超過する場合にはその超過部分が「寄附」に当たるというべきである。
なお,政治資金パーティーの対価はもともと収入から経費を差し引いた残額を政治活動資金に充てることを予定しているものであるから,パーティー券の購入が有償契約であるとはいえ,購入者が通常の経済合理性に基づいて対価関係の相当性を判断した上で購入するかどうかを決するものではなく,主催者が定める金額で購入するものであり,政治資金パーティー開催に要する経費に係る部分を除く部分は,厳密には対価性を持たず,寄附的な性質のものであるから,社会通念上,政治資金パーティー出席のための対価と評価できる額がいくらであるのかの判断は容易でないことは否
定できないが,例えば,1枚2万円と定めたパーティー券を特定の者に対してのみ1枚150万円で購入させた場合には,その金額が量的制限規定の限度額内のものであるものの,2万円を超える部分は「寄附」と判断されるであろう。
もっとも,控訴人は,本件パーティー券のうち,現に本件会社の従業員が出席したパーティー券につき,1枚当たりの額(大部分が2万円)が高額であって,社会通念上,政治資金パーティー出席のための対価と評価できる額を超える部分があるとして,その超過部分が「寄附」に当たると主張しているわけではないから,本件では,本件パーティー券の代金額の対価自体の相当性は問題にならず,本件会社が支払った出席を予定しない本件パーティー券に係る購入代金の「寄附」該当性が問題となる。
イ 供与,交付等される金品等の「寄附」該当性が問題となる場合,供与,交付等する側と供与,交付等される側において金品等の「寄附」該当性が異なることになること,すなわち,供与,交付等した金品等が一方との関係では「寄附」に当たるが,他方との関係では「寄附」に当たらないということは,通常考え難いところ,政治資金規正法は,金品等の供与,交付等が法21条1項に違反する「寄附」に当たる場合には,その行為者(団体にあっては,その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)は,同項の規定に違反して寄附をした者として,また,主催者(団体にあっては,その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)は,何人も法21条1項の規定に違反してされる寄附を受けてはならないこと等を定める法22条の2の規定に違反して寄附を受けた者として,いずれも1年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処するものと定め(法26条1号,3号),「寄附」をすること及びこれを受けることのいずれも処罰の対象としていることに照らすと,同法は,この犯罪類型を刑法上の必要的共犯のうち対向犯として定めていると解される。そうすると,「寄附」をし,これを受けることは,刑法の賄賂罪(197条以下)における賄賂の供与と収受になぞらえることができるところ,賄賂罪において,公務員が賄賂性を認識していなければ同罪が成立しないのと同様,政治資金パーティーへの出席を予定しないことを認識しながらそのパーティー券を購入したとしても,主催者がこれを認識しておらず,購入されたパーティー券の数に見合った内容の態様で政治資金パーティーを開催した場合には,主催者側においては,出席を予定していない者が支払ったパーティー券の購入代金を含め,当該政治資金パーティーの対価を受けたことにならざるを得ないから,その場合には,出席を予定しないパーティー券購入者が支払った購入代金についても,主催者においては「寄附」に当たるものということはできないと解される。また,以上のことと,刑法の賄賂罪には賄賂申込罪(198条)が規定されており,贈賄者が公務員において賄賂性を認識できる状態で公務員に金銭を交付したときは,公務員が賄賂性を認識していない場合にも,贈賄者の側だけが賄賂申込罪として処罰されるのであるが,政治資金規正法は,「寄附」につき,賄賂申込罪に相当するような主催者が寄附性を認識していなくともこれを認識できる状態で金銭を交付する行為や,主催者に寄附性の認識がなくても金銭の交付者が片面的に寄附性を認識して金銭を交付する行為について交付者を処罰するものとはしていないことを併せ考えると,購入されたパーティー券に出席を予定しないものが含まれていることを主催者が個別的に把握し,その寄附性を認識していない限り,パーティー券購入者についても,「寄附」に当たるものということはできないというほかない。
この点について本件を見てみると,本件会社が購入した出席を予定しない本件パーティー券に係る政治資金パーティーの主催者において,本件会社が当該各パーティー券につき従業員等を出席させない予定であることを認識しながらこれを購入するものであることを認識していたことを認めるに足りる証拠はなく,また,出席を予定しない本件パーティー券のうち,開催者を同じくする複数回の政治資金パーティーに係るものついて,直前のパーティーに購入枚数分の出席がなかったという事情から,開催者においてその後のパーティーにおいても出席予定のないパーティー券が購入されるということを当然に認識し得るとはいえず,また,この点を認めるに足りる証拠もない。
ウ なお,本件パーティー券のうち,本件会社が当初は出席を見込んでいたものの,結果的に出席しなかったものについても,当該パーティー券を購入して代金を支払った当時は,本件会社にも主催者にも寄附性の認識はないから,「寄附」には当たらないというべきである。また,当該パーティー券につき,購入代金支払後に欠席することが確定した段階で,本件会社と主催者において当該パーティー券につき欠席することが確認され,当該パーティー券の代金を返金することが必要かつ相当な状況になったのにあえてその返金を求めないことを合意したというような,当該パーティー券の購入代金相当額を「寄附」したのと同視し得る事実関係を認めるに足りる証拠はない。
エ 以上によれば,本件会社が出席を予定しない本件パーティー券の購入代金として主催者に支払った金銭が「寄附」に当たるものと認めることはできない。
(3)被控訴人は,前記(2)の説示とは異なる理由により,出席を予定しない本件パーティー券の購入代金の支払は「寄附」に当たらない旨主張するので,念のために附言する。
ア 被控訴人は,政治資金規正法は,平成4年改正により,量的制限規定,法22条の6第1項を準用する法22条の8第4項(本人の名義以外の名義又は匿名でパーティー券を購入することを禁止するもの)の各規定が設けられたことを根拠として,仮にパーティー券が1枚2万円であるとすれば,個人が75枚まで購入することが許容されており,その個人は自分以外の参加者のためにパーティー券を購入することは許されないのであるから,同法はパーティー券購入枚数と出席予定者の厳密な1対1対応を求めておらず,上記の許容される金額の範囲内で行われる出席を予定しない本件パーティー券の購入代金の支払は「寄附」には当たらない旨主張する(この主張を論理的に理解すれば,個人が自分1人だけが出席する予定で1枚2万円のパーティー券を75枚購入した場合に出席を予定しない74枚についても「寄附」には当たらないということになると解されるが,被控訴人は,このような場合につき,「寄附」に該当するという学者の意見書〔乙29号証〕と「寄附」に該当しないという学者の意見書〔乙30号証。この意見書では購入者自身も出席する予定がなく,75枚全部につき出席を予定しない場合であっても「寄附」に該当しないとされている。〕の双方を提出しており,被控訴人自身が上記各意見書をどう解しているかは定かでない。)。
しかしながら,前記(2)の内容の政治資金パーティーの定義規定である法8条の2は,平成4年改正で定められたものであり,前記(2)の内容の「寄附」の定義規定である法4条3項は,平成4年改正の前後を通じて変更がないところ,法8条の2には,政治資金パーティーは「対価を徴収して行われる催物」であって,催物に出席するための対価を支払うことが定められているのであり,対価関係を前提とする有償契約において対価相当分を超える金銭等の供与又は交付がされた場合に,その超過部分が対価性を欠き,「寄附」に該当するという一般的な解釈を,平成4年改正が特にパーティー券の購入に限って緩和的に変更したことを窺わせるその他の同法の規定は見当たらない。他方,量的制限規定は,対価性が肯定され,「寄附」には該当しない適正なパーティー券の購入であっても,それが性質上寄附的要素を含むものであるから,主催者が特定の者から多額のパーティー券の購入代金の支払を受けることは,主催者と購入者との癒着を生むなどの問題が生じやすいことを踏まえ,量的制限を設けた規定であると解されるものであり,法22条の8第4項が準用する22条の6第1項が本人の名義以外の名義や匿名でのパーティー券購入を禁止しているのは,量的制限の実効性を担保したり,収支の公開を通じた政治活動の公明と公正を確保することを趣旨とするものであり,購入者が自ら費用を負担して自分名義で購入したパーティー券を第三者に贈与して当該政治資金パーティーに出席させることを禁じたものとは解されないから,これらの規定は,被控訴人の上記主張を根拠づけるものとはいえない。
イ また,被控訴人は,前記アの主張の根拠として,平成4年改正が審議された平成4年12月1日開催の第125回国会衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員会における量的制限規定の発議者である国会議員の発言(乙10)を指摘する。
しかしながら,乙10号証により認められる同議員の発言内容に照らすと,同議員の発言が被控訴人の前記アの主張の趣旨でされているとは到底解することができない。かえって,甲26号証によれば,平成5年10月29日に開催された第128回国会衆議院政治改革に関する調査特別委員会において,自治大臣が,実際パーティーに行かないのに企業が政治家個人のパーティー券を買った場合には,「寄附」に当たり,政治資金規正法違反になる旨明確に答弁していることが認められる。
ウ 以上のとおり,被控訴人の前記アの主張は採用することができない。
(4)以上によれば,本件パーティー券のうち,控訴人がその購入代金が「寄附」に当たると主張するもの(5枚超過分)については,それが出席を予定しないものであったとしても,本件の事実関係の下では,政治資金規正法上,「寄附」に当たるものと認めることはできない。したがって,控訴人の主位的主張は採用することができない。
3 争点(2)(本件会社が出席を予定しないパーティー券を購入したことについて,被控訴人に善管注意義務違反があるか)について
(1)控訴人は,本件会社がパーティー券を購入する際に,被控訴人が政治資金パーティーへの出席予定人数を検討せず,また,過去の出席人数を調査してもいなかったものであって,パーティー券の購入は過去の実績に照らして確実に出席が見込まれる限度で購入していたものとは認められず,出席を予定しないパーティー券の購入はパーティー券の購入に仮託した実質的な「寄附」に当たるとして,被控訴人にはその購入を差し控え,また,監督すべき善管注意義務があるのに,同義務に違反して5枚超部分の本件パーティー券を購入した旨主張する。
しかしながら,本件会社における出席を予定しない本件パーティー券の購入代金の支払が「寄附」に該当しないことは前記2で説示したとおりである。
そして,前記第2の3で引用した原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の「1 前提事実」(以下,単に「前提事実」という。)の(1)ア及び(3)並びに認定事実(3)及び(9)により認定される本件会社の経営成績及び財務状況から窺われる本件会社の規模並びに社会的立場と本件会社が購入したパーティー券の数量を踏まえると,本件会社の購入したパーティー券の枚数や金額自体が不相応であるとは認められない。また,認定事実(1)ないし(3)によれば,本件会社におけるパーティー券の購入は,正式な社内手続を経て行われており,パーティー券購入が不適正にならないように配慮していたことが認められる。そして,認定事実(3)及び(4)によれば,およそ購入枚数に見合うだけの人数の参加が想定できないような数のパーティー券を購入しているものとは認められない。また,本件会社による出席を予定しない本件パーティー券の購入代金の支払は,主催者が当該パーティー券につき本件会社に出席の予定がないことを個別的に認識した場合には,「寄附」に当たるものであり,刑事罰を受ける対象になる行為であるが,主催者がそのような認識を抱く蓋然性があったことを基礎づける事実を認めるに足りる証拠はなく,その行為が「寄附」に当たる相当のリスクを負う行為であったとまでは認められない。以上のことに鑑みると,本件会社における5枚超部分のパーティー券の購入について,被控訴人にそれを差し控えるべき注意義務があるとまでは認められない。ところで,甲20号証には,政治資金パーティーの主催者は,パーティー券が購入されたが出席しない者がいることを見越して,パーティー券の販売枚数よりも遙かに少ない収容人数の会場で政治資金パーティーを開催し,高い収益を上げている旨の記載があるところ,仮にそうした実態があるのであれば,1回の政治資金パーティーで販売されたパーティー券全体で見た場合には,主催者は,出席を想定せず,出席に備えて経費を支出しないパーティー券の分について,対価性なく購入代金の全額を取得することになり,客観的には法が許容しない「寄附」を受けたのと同様の状況になるが,政治資金規正法の下では,前記2(2)で説示したとおり,主催者において誰が購入したパーティー券のうち何枚が出席を予定しないパーティー券であるかという個別的認識がなければ,「寄附」に当たるものとは認められないから,同法には触れないことになる。こうした事態そのものを防止するためには,購入者側が片面的に出席を予定しないと考えるパーティー券の購入も禁じるなどの立法措置がなければ困難であり,そのような立法措置が講じられていない状況の下では,出席を予定しないパーティー券を購入することが社会的に相当であるかどうかは購入者自身が自主的に判断すべき問題であるというべきであり,その購入が一般的に禁止される行為であるとまでは断じられない。
以上によれば,本件会社が出席を予定しない本件パーティー券の購入代金を支払ったことについては,社会的相当性としては議論があり得るところであるが,被控訴人においてそれを差し控えるべき義務を負うとまではいえないから,同義務違反があるとはいえず,また,本件パーティー券を購入するについての監督を怠ったということもできない。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
(2)控訴人は,本件パーティー券の購入は,国会議員から違法な便宜供与を受けるために不当な目的をもって行ったものであるとして,被控訴人にはその購入を差し控え,また,監督すべき善管注意義務があるのに,同義務に違反して5枚超部分の本件パーティー券を購入した旨主張する。同主張に係る控訴人の個別の主張は,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3(2)ア(原判決21頁15行目から22頁13行目まで)に記載のとおり(ただし,原判決21頁16行目の「本件参考人質疑」を「保険金支払問題についての参考人質疑」と,22頁4行目から5行目にかけての「特定議員」を「特定の議員」とそれぞれ改める。)であるから,これを引用する。
この主張を採用することができないことは,以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3(1)ウ(原判決20頁12行目から21頁11行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
ア 原判決20頁12行目の「ウ また,」から同行の「従業員が,」までを「認定事実(6)のとおり,被控訴人を含む本件担当者が,」と,同頁15行目の「本件参考人質疑」を「上記参考人質疑」と,同頁20行目の「前記認定」を「認定事実(7)」とそれぞれ改め,同頁23行目の「また,」の後に「本判決の前記(1)において説示したとおり,」を加える。
イ 原判決21頁4行目の「この時期」から5行目の「認定事実を踏まえると,」までを「平成18年7月から平成19年7月までの期間及び平成22年7月以降は本件会社の社長が生保協会の協会長を務めた時期であり,その時期には本件会社がパーティー券の購入枚数を増加させる慣行があったこと(認定事実(5))を踏まえると,」と改め,同頁6行目の「認められない。)。」の後に「また,パーティー券は本件会社が国会議員の秘書からの依頼に基づいて購入したものであり,本件会社側から国会議員側にその購入を自発的に申し込んだものではなく(認定事実(1)イ),本件担当者らがC議員及び本件関係議員に対し,保険金支払問題や前記参考人質疑に関して本件会社の要望を伝えたり,情報の提供を受けるに当たり,その要望を実現するよう動いてもらったり,情報の提供を受けることの見返りとして,パーティー券の購入をすることを申し出たことを認めるに足りる証拠もない。加えて,本件パーティー券に係る政治資金パーティーの主催者側の国会議員のうち6名は,本件担当者が保険金支払問題等に関して接触したC議員及び本件関係議員以外の国会議員であり(前提事実(2)),これらの者に期待する便宜供与の内容すら定かではない。」を,同頁8行目の「証拠もない」の後に「(認定事実(1)及び
(2))」をそれぞれ加え,同頁11行目の「と認めることはできない。」を「ことを否定する証人Aの供述及び陳述(乙16)に不合理な点は認められない。」と改め,同行末尾の後に行を変えて以下のとおり加える。
「 他方,本件会社が本件定義表及び本件分類表を作成していたこと(認定事実(8)),本件会社が政治団体の収支報告書にパーティー券購入者の住所,氏名等が記載されないことも考慮して1回の政治資金パーティーについてのパーティー券の購入額を20万円以内としていたこと(認定事実(3))は,いずれも,本件パーティー券の購入が保険金支払問題等につき,国会議員から便宜供与を受けることを目的としたものであったことを推認させる事実とはいえず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。」
ウ 原判決21頁11行目末尾の後に行を変えて以下のとおり加える。
「 以上のほか,本件会社が本件パーティー券のうち5枚超部分を購入したことについて,被控訴人に善管注意義務違反があったことを基礎づける事実を認めるに足りる証拠はない。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。」
4 以上によれば,控訴人の請求は理由がなく,これを棄却すべきところ,これと同旨の原判決は結論において相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 青野洋士 裁判官 前田英子 裁判官 藤澤孝彦
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