「選挙妨害 ポスター」に関する裁判例(24)平成15年 7月24日 東京地裁 平13(刑わ)2337号 有印私文書偽造、同行使被告事件
「選挙妨害 ポスター」に関する裁判例(24)平成15年 7月24日 東京地裁 平13(刑わ)2337号 有印私文書偽造、同行使被告事件
裁判年月日 平成15年 7月24日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平13(刑わ)2337号・平13(刑わ)2016号
事件名 有印私文書偽造、同行使被告事件
裁判結果 有罪 文献番号 2003WLJPCA07240006
要旨
◆掌紋鑑定、筆跡鑑定等の信用性を認めて、被告人が自動車の登録事項等証明書交付請求書を偽造して行使したものと認定された事例
◆過激派の構成員又はその同調者であり、自動車の登録事項等証明書交付請求書を偽造して行使した被告人には、その犯行により取得する登録事項等証明書が放火等の重大犯罪を含む当該過激派による何らかの違法行為に供される可能性を認識していたなどとして、被告人が懲役二年四月、五年間執行猶予に処せられた事例
出典
新日本法規提供
裁判年月日 平成15年 7月24日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平13(刑わ)2337号・平13(刑わ)2016号
事件名 有印私文書偽造、同行使被告事件
裁判結果 有罪 文献番号 2003WLJPCA07240006
上記の者に対する有印私文書偽造、同行使被告事件について、当裁判所は、検察官齋藤博志及び同岩垂一登並びに弁護人長谷川直彦(主任)及び同浅野史生各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主 文
被告人を懲役2年4月に処する。
未決勾留日数中360日をその刑に算入する。
この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。
押収してある登録事項等証明書交付請求書30枚(うち10枚は平成14年押第498号の1(登録事項等証明書手数料納付書1式)中のもの、その余の20枚は同押号の6ないし15、28ないし37)の各偽造部分をいずれも没収する。
訴訟費用はすべて被告人の負担とする。
理 由
(罪となるべき事実)
被告人は、
第1 平成13年2月5日、東京都品川区〈以下省略〉所在の関東運輸局東京陸運支局(以下「東京陸運支局」という。)において、行使の目的をもって、権限なく、登録事項等証明書交付請求書用紙(いわゆるOCRシート)10枚に、別表1記載のとおり、自動車登録番号欄に「福岡○○ひ○○○○」などと各記載し、請求者の氏名又は名称欄にいずれも「B」、同住所欄に「東京都品川区〈以下省略〉」又は「品川区〈以下省略〉」と各冒書し、もって、B作成名義の登録事項等証明書交付請求書合計10通(平成14年押第498号の1(登録事項等証明書手数料納付書1式)中のもの)を偽造した上、同支局において、同支局係員に対し、これらを真正に作成されたもののように装って、一括提出して行使した。(平成13年7月4日付け起訴状記載の公訴事実)
第2 同月19日、東京陸運支局において、行使の目的をもって、権限なく、登録事項等証明書交付請求書用紙10枚に、別表2記載のとおり、自動車登録番号欄に「所沢○○ひ○○○○」などと各記載し、請求者の氏名又は名称欄に「C」、同住所欄に「品川区〈以下省略〉」といずれも各冒書し、もって、C作成名義の登録事項等証明書交付請求書合計10通(同押号の6ないし15。ただし、押収物総目録では「枚」と表記のもの。以下同じ。)を偽造した上、同支局において、同支局係員に対し、これらを真正に作成されたもののように装って、一括提出して行使した。(同年8月1日付け追起訴状記載の公訴事実第1)
第3 同日、同都練馬区〈以下省略〉所在の関東運輸局東京陸運支局練馬自動車検査登録事務所(以下「練馬事務所」という。)において、行使の目的をもって、権限なく、登録事項等証明書交付請求書用紙10枚に、別表3記載のとおり、自動車登録番号欄に「野田○○さ○○○」などと各記載し、請求者の氏名又は名称欄に「D」、同住所欄に「練馬区〈以下省略〉」といずれも各冒書し、もって、D作成名義の登録事項等証明書交付請求書合計10通(同押号の28ないし37)を偽造した上、同事務所において、同事務所係員に対し、これらを真正に作成されたもののように装って、一括提出して行使した。(同第2)
(証拠の標目)(括弧内の甲・人・乙の番号は検察官請求証拠番号を、回数は人証が取り調べられた公判期日の回数を示す。)
判示事実全部について
○ 証人E(人1。2回)、同F(人3。3回)、同G(人4。3回)、同H(人5。4回)、同I(人9。5回)、同J(人10。5回)、同K(人11。6、7回)、同L(人12。8回)、同M(人13。8回)、同N(人14。8回)、同O(人15。9回)、同P(人22。15回)及び同Q(人23。16回)の各公判供述
○ Rの検察官調書(甲24)及び警察官調書(甲25)
○ 押収してある休学願2部(甲222、224。平成14年押第498号の49、51)、復学願2部(甲223、225。同押号の50、52)、ノート1冊(甲226。同押号の54)、室賃貸借契約書1枚(甲227。同押号の53)及び問診票1枚(甲228。同押号の55)
判示第1及び第2の事実について
○ 実況見分調書(甲3)
○ 押収してあるカタログ1部(甲231。同押号の65)
判示第1の事実について
○ 証人Sの公判供述(人16。9回)
○ 指紋等確認通知書(甲16)、鑑定書(5通。甲18、34、53、61、233)、鑑定依頼結果報告書(甲55)
○ 捜査関係事項照会回答書(甲217)
○ 押収してある登録事項等証明書手数料納付書1式(甲165。同押号の1)及び鉛筆3本(甲166。同押号の2)
判示第2及び第3の各事実について
○ 証人Tの公判供述(人17。9回。ただし、証拠排除決定のあった部分を除く。)
○ 鑑定書(甲235)
判示第2の事実について
○ 証人U(人6。4回)及び同飛田次男(人8。4回)の各公判供述
○ 指紋等の対照結果回答書(甲81)、鑑定書(4通。甲83、85、90、94)、鑑定依頼結果報告書(甲92)、鉛筆の濃度サンプル(甲275)
○ 捜査関係事項照会回答書(甲219)
○ 押収してある手数料納付書1枚(甲169。同押号の5)、登録事項等証明書交付請求書10枚(甲170ないし179。同押号の6ないし15)、登録事項等証明書10枚(甲180ないし189。同押号の16ないし25)及び鉛筆8本(甲190。同押号の26)
判示第3の事実について
○ 証人Vの公判供述(人7。4回)
○ 実況見分調書(甲117)
○ 指紋等の対照結果回答書(甲119)、鑑定書(4通。甲121、123、128、132)、鑑定依頼結果報告書(甲130)
○ 捜査関係事項照会回答書(甲221)
○ 押収してある手数料納付書1枚(甲191。同押号の27)、登録事項等証明書交付請求書10枚(甲192ないし201。同押号の28ないし37)、登録事項等証明書10枚(甲202ないし211。同押号の38ないし47)及び鉛筆3本(甲212。同押号の48)
(事実認定の補足説明)
弁護人及び被告人は共に、判示有印私文書偽造及び偽造有印私文書行使の各犯行(以下「本件各犯行」という。)のいずれについても、被告人は犯人ではなく無罪である旨主張するので、以下、当裁判所が、本件各犯行につき被告人を有罪と認めた理由について補足して説明する。
1 本件各犯行について
(1) 証拠上明らかな事実
関係各証拠によると、以下の事実が明らかである。
ア 登録事項等証明書交付制度の趣旨ないし実務の取扱い
(ア) 関係法令上、自動車は、自動車登録ファイルへの登録がなければ運行の用に供してはならないとされているところ(道路運送車両法4条)、何人も、その登録事項等証明書の交付を請求することができ(同法22条1項)、登録事項等証明書には、自動車登録番号等の当該車両に関する事項のほか、当該車両の所有者又は使用者の氏名・名称及び住所を記載することとされている(自動車の登録及び検査に関する申請書等の様式等を定める省令3条、第12号様式)。
(イ) このような登録事項等証明書の交付制度は、自動車の登録に所有権の得喪に関する対抗力が付与されており(同法5条1項)、これを前提に自動車抵当制度が設けられている(自動車抵当法)ことから、民事法律関係の安定・調整等に資するための民事登録の公開という目的に従って設けられたものである。
(ウ) そのため、各地方運輸局では、本件各犯行当時、運輸省自動車局整備部管理課長通達(昭和52年4月9日付け自管第31号、平成6年9月27日付け自管第87号)に基づき、登録事項等証明書の交付請求(以下「交付請求」という。)の目的となり得るのは、当該登録自動車の購入に当たって、抵当権設定内容の確認、所有権の有無の確認等を行う目的で交付請求した場合に限られるとし、プライバシーの侵害ないし犯罪への利用等の違法な目的に使用されるおそれがあると判明したものについては、登録事項等証明書を交付しないこととされていた。
(エ) そして、東京陸運支局及び練馬事務所(以下、これらを併せて「東京陸運支局等」ということがある。)では、本件各犯行当時、担当の係員が登録事項等証明書交付請求書(以下「交付請求書」という。)を受理すると、その記載内容等を確認して、その交付請求が適正なものであるとして受理した場合には、請求者に対しその場で登録事項等証明書を交付する取扱いであった。
イ 本件各犯行
(ア) 平成13年2月5日(以下、平成13年の出来事については、年号の表記を省略する。)、東京陸運支局において、何者かが、同支局係員に対し、別表1記載のとおり、自動車登録番号欄に「福岡○○ひ○○○○」などと記載され、請求者の氏名又は名称欄にいずれも「B」、同住所欄に「東京都品川区〈以下省略〉」又は「品川区〈以下省略〉」と記載されたB作成名義の交付請求書合計10通を、手数料納付書1枚と共に一括して提出し、交付請求を行い、その結果、当該請求に係る登録事項等証明書10通が直ちにまとめて交付された。
(イ) 同月19日、東京陸運支局において、何者かが、同支局係員に対し、別表2記載のとおり、自動車登録番号欄に「所沢○○ひ○○○○」などと記載され、請求者の氏名又は名称欄に「C」、同住所欄に「品川区〈以下省略〉」といずれも記載されたC作成名義の交付請求書合計10通を、手数料納付書1枚と一括して提出し、交付請求を行い、その結果、当該請求に係る登録事項等証明書10通が直ちにまとめて交付された。
(ウ) 同日、練馬事務所において、何者かが、同事務所係員に対し、別表3記載のとおり、自動車登録番号欄に「野田○○さ○○○」などと記載され、請求者の氏名又は名称欄に「D」、同住所欄に「練馬区〈以下省略〉」といずれも記載されたD作成名義の交付請求書合計10通を、手数料納付書1枚と共に一括して提出し、交付請求を行い、その結果、当該請求に対応する登録事項等証明書10通が直ちにまとめて交付された。
(エ) ところが、B(以下「B」という。)、C(以下「C」という。)及びD(以下「D」という。)なる人物は、いずれも上記各交付請求書記載の各住居地に居住しておらず、上記各交付請求書の作成及び提出はいずれも、架空人名義で私文書を偽造し行使されたものであることが判明した(以下、本件各犯行のうち、上記(ア)記載のB名義で敢行されたものを「B事件」(7月4日付け起訴状記載の公訴事実に対応)、同(イ)記載のC名義で敢行されたものを「C事件」(8月1日付け追起訴状記載の公訴事実第1に対応)という。)、同(ウ)記載のD名義で敢行されたものを「D事件」(同第2に対応)という。)
(オ) なお、上記各交付請求の際に提出行使された各交付請求書(以下、これらを「本件各交付請求書」と総称する。)はいずれも、所有者又は使用者の氏名や住所等を記す申請人欄がいずれも空白になっており、同時に各窓口に提出された手数料納付書も、「所有者又は使用者の氏名又は名称」欄がいずれも空白になっていた。
ウ 本件各交付請求書の用紙、筆記用具等
(ア) 本件各交付請求書については、自動車登録番号欄、請求者の氏名又は名称欄、同住所欄等の自書すべき箇所がいずれも鉛筆で記載され、「交付又は再交付を受ける理由」欄には、「現在登録内容再確認のため」、「現在登録内容の再確認のため」、「現在登録の再確認のため」といったほぼ同一の文言がそれぞれ記載されていた。
また、本件各交付請求書と同時に提出された各手数料納付書には、それぞれ登録事項等証明書各10通の交付請求のために必要な印紙が貼付されていたほか、「出頭者の氏名」欄には、上記各請求名義人の氏名が、「自動車登録番号又は車体番号」欄及びその直近の欄外には、各交付請求に係る自動車各10台分の登録番号が羅列して、それぞれ記載されていた。
(イ)a そして、東京陸運支局及び練馬事務所ではいずれも、交付請求等の申請を行うカウンターの前に設けられたホールに、交付請求をする者が自書すべき箇所を示す交付請求書記載例等が掲示された記載台が設置されており、その記載台には、交付請求書用紙記入用の鉛筆及び手数料納付書記入用のボールペンがそれぞれ備え付けられており、本件各犯行当時の備付け鉛筆は、東京陸運支局が「TOMBOW製 LA-KEA HB」(商品名「木物語」。以下「木物語」という。)、練馬事務所が「MITSUBISHI製 9800 HB」(以下「三菱9800」という。)であった。
b また、交付請求書用紙及び印紙は、本件各犯行当時、東京陸運支局及び練馬事務所のいずれにおいても、同じ敷地内に設置された財団法人関東陸運振興財団(以下「関東陸運振興財団」という。)の各事務所において販売されていた。
エ 交付請求の対象となった自動車の特徴等
(ア) B事件で交付請求の対象となった自動車10台はいずれも、東京都中野区に所在する国家公務員宿舎の所定の駐車区画に当時駐車していた自動車であり、同宿舎には更に10台分の駐車区画があったところ、そこに駐車していた10台についても、2月2日に東京陸運支局で「A1」なる架空人名義で交付請求があり、うち9台分について登録事項等証明書が交付されていた。なお、B名義の交付請求書の筆跡と「A1」名義の交付請求書の筆跡とは、一見して異なるものであった。
(イ) また、C事件及びD事件で交付請求の対象となった自動車合計20台はいずれも、千葉県流山市に所在する民間マンションの所定の駐車区画に当時駐車していた自動車であり、同マンションには更に20台分の駐車区画があったところ、そこに駐車していた20台についても、2月16日に東京陸運支局で「A2」、練馬事務所で「A3」なる各架空人名義でそれぞれ交付請求されていた。
(ウ) B事件に関して交付された登録事項等証明書については、その対象となった自動車10台中6台につき、その所有者の住所の記載が「東京都中野区〈以下省略〉」の部分まで一致し、別の一台については、「東京都中野区〈以下省略〉」と記載されており、さらに、上記部分に続く住所末尾の番号がいずれも3桁の数字となっていた。
また、C事件及びD事件に関して交付された登録事項等証明書については、その対象となった自動車20台中19台につき、その所有者又は使用者の住所の記載が「千葉県流山市〈以下省略〉」の部分まで一致し、さらに、そのうち7台については、上記部分に続く住所末尾にいずれも「C」の符号の付された3桁の数字が記載されていた。
(2) 鉛筆関係の鑑定について
ア O鑑定
(ア) 警視庁科学捜査研究所の化学研究員であるOは、本件各交付請求書に鉛筆で記載された文字部分の材質を分析して、東京陸運支局及び練馬事務所の記載台に備え付けられている鉛筆を含む4種類の鉛筆で記載された対照資料の文字部分の材質等との異同について鑑定を行い、同人作成の鑑定書3通(甲53、90、128)において、一定面積当たりに付着した鉄を含有する粒子の数、大きさ及び鉄の割合から、〈1〉B名義の交付請求書の一部は、木物語で記載されたものと同種のもの、〈2〉C名義の交付請求書の一部も、木物語で記載されたものと同種のもの、〈3〉D名義の交付請求書の一部は、三菱9800で記載されたものと同種のものであり、他の種類の鉛筆とは異なると思料され、その余の交付請求書はすべて、異同が不明であった旨の鑑定結果を記載している(以下、Oの当公判廷における供述を「O供述」といい、上記各鑑定書と併せて「O鑑定」と総称する。)。
(イ)a そして、O供述によれば、Oは、約27年間にわたり、警視庁科学捜査研究所で火薬や金属等の分析及び鑑定に従事し、年間の鑑定件数も100件から200件に及んでいる上、本件の鑑定で用いられたエックス線マイクロアナライザーの操作にも習熟していることが認められる。そして、弁護人及び被告人の各主張を踏まえて、O作成の鑑定書、更には、鑑定の経過や判断過程について具体的に供述しているO供述の内容を検討しても、その鑑定手法や判断内容に特に不合理な点や公正さに疑問を生じさせる事情の存在はうかがわれない。なお、O供述によれば、本件鑑定では、粒子解析ソフトを用いて自動的に解析を行っており、個々の粒子を解析したチャートを鑑定書に添付すれば数千枚にも及ぶと認められるから、チャートを各鑑定書に添付していない点も何ら瑕疵とはいえないのである。
そうすると、O鑑定は十分に信用できるものと認められる。
b もっとも、Oは、当公判廷において、同じ鉛筆であっても鉛筆成分が常に同じ割合で紙に付着するわけではないとも述べている上、関係証拠によれば、木物語や三菱9800は広く社会に流通しているものと認められる。また、Oは、対照資料とされた4種類の鉛筆との異同についてのみ鑑定しているにすぎず、O鑑定によっても、本件各交付請求書の作成に対照資料以外の種類の鉛筆が用いられた可能性まで排除することができないのである。
そうすると、O鑑定は、B及びC名義の各交付請求書が東京陸運支局で、D名義の交付請求書が練馬事務所でそれぞれ記載されたものと認定しても、鉛筆成分の観点からは本件証拠関係と矛盾するところがなく、しかも、B及びC名義の各交付請求書とD名義の各交付請求書とは別の種類の鉛筆で記載されたものと認定できるとする限りで、証明力を認めることができる。
イ Q鑑定
(ア) また、財団法人日本文化用品安全試験所の文具試験センターに所属するQ(以下「Q」という。)は、鉛筆の濃度という観点から、本件各交付請求書の記載に用いられた鉛筆と東京陸運支局及び練馬事務所に備え付けらた鉛筆の異同について鑑定を行い、同人作成の鑑定書3通(甲55、92、130。なお、甲275の鉛筆の濃度サンプルは、本来は、甲92の別添6として添付されるべきもの)において、B及びC名義の各交付請求書に鉛筆で記載された文字の濃度は、木物語によって記載された場合の濃度分布の範囲内にあり、D名義の各交付請求書に鉛筆で記載された文字の濃度は、三菱9800によって記載された場合の濃度分布の範囲内にある旨の鑑定結果を記載している(以下、Qの当公判廷における供述と併せて「Q鑑定」と総称する。)。
(イ) このようなQ鑑定は、Qの鉛筆等に関する検査・試験の経験、本件鑑定の判断過程、当公判廷におけるQの供述内容に照らしても、その信用性に疑義をいれる余地は見当たらない。
もっとも、Q鑑定によっても、B及びC名義の各交付請求書の文字の濃度とD名義の各交付請求書の文字の濃度の間に顕著な相違を認めることはできないのであり、このようなQ鑑定からは、本件各交付請求書の記載に用いられた鉛筆を特定することは不可能であるし、市販の他の鉛筆を用いられた可能性を否定することもできないのである。
したがって、Q鑑定の証明力は、文字どおり鑑定結果の範囲内にとどまるものであり、その限りで、O鑑定と符合し、その信用性を補強するものということができる。
(3) 本件各犯行の態様、目的等
以上認定してきた事実関係を踏まえて、本件各犯行の態様、目的等について検討する。
ア(ア) まず、前記(1)ウ記載の各認定事実からすると、東京陸運支局等で交付請求を行う場合に、同じ敷地内の関東陸運振興財団事務所で所要の交付請求書用紙及び印紙を購入しながら、これをいったん持ち帰って交付請求書を作成した上、改めて東京陸運支局等の申請窓口に提出に及ぶ、あるいは、東京陸運支局等で交付請求書を作成しながら、これをいったん持ち帰り、別の機会に申請窓口に提出に及ぶのは、いかにも迂遠なやり方というべきである。しかも、本件各犯行はいずれも明らかな犯罪行為であるから、その犯人は、東京陸運支局等の担当係員等に自己の顔貌や風体を記憶させないために、できるだけ犯行現場に赴く機会を減らそうとするものと考えられる。したがって、本件各犯行の各犯人はいずれも、交付請求書用紙及び印紙を購入した後に、最寄りの東京陸運支局等のホールに設置された記載台に赴き、同所に備付けの鉛筆を用いて交付請求書を作成した上、その直後に、窓口の担当係員に対し、印紙を貼付した手数料納付書と共に提出して、本件各犯行をそれぞれ敢行したことが、強くうかがわれるのである。
(イ) そして、前記(1)ウ(イ)a認定の東京陸運支局等に備付けの鉛筆の種類に、同(2)摘示の鉛筆に関する各鑑定を総合すれば、B及びC名義の各交付請求書は共に東京陸運支局で、D名義の交付請求書は練馬事務所で、それぞれ記載されたものと認定しても、鉛筆成分の観点からは本件証拠関係と矛盾するところがなく、しかも、B及びC名義の各交付請求書とD名義の交付請求書とは別の種類の鉛筆で記載されたものであったと認められる。また、後出のW鑑定書は、本件各交付請求書の「氏名・住所」欄はやや筆早やに、「交付理由」欄は筆早やにそれぞれ記載されていると指摘しているのであり、これらの事情も、上記(ア)の推認を裏付けるものということができる。
イ(ア) さらに、前記(1)エ記載の各認定事実に、同イ(オ)の認定事実も併せ考慮すると、本件各犯行はいずれも、特定の2棟の集合住宅の駐車場に駐車された自動車を対象として、網羅的にその所有者又は使用者の氏名や住所を知るために行われた調査活動の一環であったことは明らかである。そして、同エ(ア)及び(イ)の各認定事実からは、本件各犯行のそれぞれ数日前に、上記各集合住宅の駐車場に駐車された自動車を対象とする同様の犯罪行為が繰り返し行われており、それにはB事件の交付請求書と一見して筆跡の異なる別の犯人も関与していたことがうかがわれるのであって、本件各犯行はいずれも、何らかの組織的背景を有する事件であることも優に推認することができる。しかも、C事件とD事件とは、同じ集合住宅を調査対象とする同じ日の犯行であるから、同一の人物又はグループによる一連の犯行であることが強くうかがわれるのである。
(イ) ちなみに、東京陸運支局等の職員であるG及びHの各公判供述によると、両事件に係る各登録事項等証明書の控えに記載された出力番号からは、C事件の交付請求は2月19日午後の初めころ、D事件の交付請求は同日午後3時30分ころから午後4時ころまでの間であったとうかがわれる。しかも、本件捜査を担当した警察官Jの公判供述によると、東京陸運支局を午後1時30分に出発して、練馬事務所まで移動し、午後3時30分までに交付請求の手続をすることは、十分に可能であったと認められるから、上記出力番号からうかがわれる時間的間隔があれば、C事件とD事件とは同一人物によっても実行可能な犯行であったということができる。
2 被告人と本件各犯行の結び付きについて
(1) 問題の所在
ア 本件では、被告人と本件各犯行との結び付きに関して、捜査段階では、〈1〉本件各交付請求書上に遺留された掌紋について掌紋鑑定が、〈2〉本件各交付請求書等に記載された筆跡については、被告人が自書したと認められる休学願2部、復学願2部、ノート1冊(以下「本件ノート」という。)、室賃貸契約書1枚及び問診票1枚(甲222~228)を対照資料として(以下、これらを「本件対照資料」と総称する。)筆跡鑑定がそれぞれ実施され、さらに、これらを補強するものとして、〈3〉掌紋の印象状態について、本件各交付請求書上に遺留された掌紋がどのような状態で印象されたものか、また、書類の通常の受渡しで印象されるものかどうかについての鑑定が実施されている。
イ なお、弁護人は、本件各交付請求書等や本件対照資料等の上記各鑑定の資料となった証拠物について、任意提出権限が立証されていないなどとして、前記のO鑑定及びQ鑑定も含めいずれも違法収集証拠である旨主張する。しかし、関係証拠によると、これらの資料がいずれも、捜査機関の求めに応じて東京陸運支局等の関係者、大学関係者等から任意提出されたもの、あるいは、令状に基づく被告人の父親方居宅に対する捜索差押えによって適法に押収されたものと認められるのであり、その各収集過程に何らかの違法があったことを疑わせるような事情は全く見当たらないから、弁護人の上記主張は採用しない。
ウ そこで、以下、上記各鑑定の信用性ないし証明力について、順次検討することとする。
(2) 掌紋鑑定
ア 本件各交付請求書のうち、B名義のもの3枚、C名義のもの3枚及びD名義のもの1枚から、それぞれ対照可能な掌紋が検出されているところ、警視庁鑑識課長作成名義の指紋等確認通知書1通(甲16《B名義のもの》)及び指紋等の対照結果回答書2通(甲81《C名義のもの》、119《D名義のもの》)には、これらの掌紋がいずれも被告人の左手掌紋と符合する旨の結論が記載されており、また、同課指紋係所属の指紋鑑定官であるK(以下「K」という。)作成の鑑定書3通(甲18《B名義のもの》、83《C名義のもの》、121《D名義のもの》)にも、B、C及びD名義の交付請求書各1枚について、これらから検出された掌紋がいずれも被告人の左手掌紋と符合する旨の結論が記載されている。
そして、Kは、当公判廷において、上記指紋等確認通知書1通及び対照結果回答書2通はいずれも、上記指紋係に所属するKを含む3人の指紋鑑定官の一致した見解を記したものである旨供述し、また、自ら作成した上記鑑定書3通(甲18、83、121)についても、各鑑定書中に記載された特徴点を指摘した理由を更に具体的に説明するなどして、上記の結論に至った判断過程を詳細に供述している(以下「K供述」といい、上記各鑑定書と併せて「K鑑定」と総称する。)。
イ そこで、K鑑定の信用性について検討する。
(ア) まず、鑑定資料の点についてみるに、ニンヒドリンを用いた本件各遺留掌紋の採取過程について、これに関わった警察官の各公判供述を検討しても、遺留掌紋の検出方法としての相当性に疑義をいれるべき点は認められない。
また、K供述によれば、本件各遺留掌紋については、対照資料として被告人の押捺掌紋をあらかじめ特定した対照依頼(さし名照会)がされたと認められるが、このような対照依頼の方法がK鑑定の公正さに何らかの影響を与えたような状況は全くうかがわれないのである。
(イ) 次に、Kの鑑定人としての能力及びその鑑定方法の相当性についてみるに、K供述によれば、Kは、約40年間にわたり警視庁鑑識課指紋係に所属して、皮膚紋理、指紋、掌紋等の鑑定業務に従事し、平成6年9月からは、指紋鑑定官として同係の取り扱うすべての指掌紋の鑑定に関与するようになり、年間2500件ないし3000件にも及ぶ極めて多数の指掌紋鑑定を行っていることが認められるから、指掌紋鑑定について十分な経験と実績を有することが明らかである。
そして、K鑑定は、指紋について、皮膚上に隆起した線(隆線)の端点又は分岐点(特徴点)の一致を12箇所確認できた場合にその同一性を肯定するといういわゆる12点法を採用し、掌紋についても、指紋と同様に取り扱うことができるとしているところ、このような鑑定手法は、K供述に照らしても、皮膚紋理及び統計学の知見に裏付けられ、公に認知された指紋及び掌紋に共通の手法であると認められる。
この点、弁護人は、12点法の合理性ないしこれが掌紋に当てはまる合理的根拠が示されていない旨主張する。しかしながら、K供述によれば、警視庁鑑識課では、警察庁の指示に基づき、皮膚紋理に共通の鑑定基準として、掌紋についても、指紋と同じ12点法が採用されていること、12点法は、現場等に遺留された遺留指掌紋と被疑者の押捺した押捺指掌紋とを比較対照して、端点又は分岐点という特徴点の一致を12箇所確認するものであり、その際、遺留指掌紋と押捺指掌紋との各隆線を順次比較対照して対応する特徴点を確認するとともに、各特徴点の位置関係についても相互に比較対照して確認していること、12点法については、約100万指の指紋データによる統計調査が行われた結果、特徴点が6点一致した指紋は31個あり、7点一致したものはなく、統計上は、12点一致するのは1000億人に1人程度にとどまるという結果が報告されていることが認められる。そうすると、12点法は、皮膚紋理共通の鑑定基準として掌紋に適用する上でも十分に合理的な根拠があるといえるから、弁護人の上記主張は採用しない。
(ウ) さらに、本件各鑑定内容の相当性についてみるに、上記各鑑定書の内容には、何ら不自然・不合理な点はない上、Kは、その各鑑定結果に至った鑑定の経緯や判断過程、判定根拠について、当公判廷において、更に具体的かつ詳細に供述している。とりわけ、判断の中核となるべき遺留掌紋の特徴点を指摘した理由については、個別に具体的に説明し、それぞれの特徴点が端点か分岐点かについても、明確かつ即座に判別し、遺留掌紋の隆線の間が白くなっている部分など、対照資料である被告人の押捺掌紋と一見食い違うかのように見える部分についても、そのような違いが生じた理由等について、それぞれに合理的な説明をしている。
この点、弁護人は、遺留掌紋と押捺掌紋との間で特徴点の位置が食い違っているかのように見えるから、K鑑定の正確性には疑問がある旨主張するが、Kは、押捺掌紋というのは、柔らかい皮膚に力が均等に配分された状態で押捺されたものであり、遺留掌紋が押捺された状況とは異なること、複数の特徴点の相互の位置関係で比較対照すれば、両者の間に矛盾はないなどと、十分納得のいく説明をしており、合理的な疑いは生じない。その他、Kは、弁護人からの詳細な反対尋問にも首尾一貫した供述をしていて、全く揺らぐところがないのである。
(エ) なお、Kは、当公判廷において、遺留指掌紋の特徴点が端点か分岐点かがはっきりしない場合には、押捺指掌紋の対応する位置にある特徴点を含めた複数の特徴点との関係を確認するなど比較対照した上、端点か分岐点かを判別することもある旨供述しており、K鑑定が指摘する特徴点の中には、遺留掌紋のみからは、分岐点か端点か必ずしもはっきりしないものも含まれている。
しかし、Kは、遺留指掌紋について、特徴点であるかどうかがはっきりしない場合は、対照不能となり、鑑定でも指摘することはできないが、遺留指掌紋から、特徴点といえるのであれば、分岐点か端点かまで判別できなくても、隣接する隆線を順次比較検討することによって、対応関係が認められる押捺指掌紋上の分岐点又は端点と符合する特徴点として指摘するとも供述しているのであって、指掌紋鑑定の根拠として指摘できる特徴点であるかどうかと、遺留指掌紋からその特徴点の種別が判断できるかどうかとは、異なる次元の問題として取り扱っていることが明らかである。
また、K鑑定の指摘する特徴点について検討すると、遺留掌紋のみから分岐点か端点かを識別することが困難な特徴点についても、押捺掌紋との間で、隣接する隆線を順次比較対照することにより、同一の特徴点であることを確認することが十分に可能であると認められる。
したがって、K鑑定が指摘する特徴点の中に、遺留掌紋のみから分岐点か端点か識別することができないものが含まれていても、そのことがK鑑定の信用性を左右するものとは認め難いのである。
(オ) 以上のとおりであり、これらの諸点に関する弁護人の様々な論難や、これに更に付加した被告人の主張を子細に検討しても、K鑑定の手法や内容等について疑義を差し挟む余地はないから、上記論難ないし主張はいずれも失当といわなければならない。
ウ 以上のとおり、K鑑定は、高い信用性を有するものと認めることができるのであり、そうすると、これと符合する内容であり、その結論が導かれる判断過程にKも加わっている上記指紋等確認通知書(甲16)及び各指紋等の対象結果回答書(甲83、121)についても、その信用性を肯定することができる。
(3) 筆跡鑑定
ア 次に、本件では、文書鑑定業を営むW(以下「W」という。)が、本件各交付請求書と本件対照資料との筆跡の異同(甲34《B名義のもの》、85《C名義のもの》、123《D名義のもの》)、さらに、B名義の手数料納付書と本件対照資料との筆跡の異同(甲233)並びにC・D名義の各手数料納付書相互間及びこれらと本件対照資料との筆跡の異同(甲235)について、それぞれ筆跡鑑定を行っており、W作成の鑑定書5通(甲34、85、123、233、235)において、上記各資料の間に、運筆、筆癖、字画構成等の一致するところが随所に散見されるとして、いずれも同一筆者による筆跡と認められる旨結論付けている(以下「W鑑定書」と総称する。)。また、Wは、当公判廷において、上記各資料の間に、異なる筆者によると判断できるだけの筆癖の相違が認められなかった反面、運筆、字画構成等の特徴が随所で一致していたとして、上記結論に至った理由について、鑑定書と同旨の供述をするとともに、このような判断に至った過程について、より詳細かつ具体的に説明している(以下「W供述」という。)。
イ そこで、W鑑定書の信用性について検討する。
(ア) W供述によれば、Wは、約30年間にわたり文書鑑定業を営んで、年間20ないし30件、累計で700件を超す筆跡鑑定を行うなど、筆跡鑑定について豊富な経験と実績を有することが明らかである。
また、その鑑定手法は、W鑑定書にあるとおり、字画の交差位置、起筆位置等の字画構成上の特徴、はねる、のばす等の運筆上の特徴、誤字形の特徴等の「筆癖」に着目して、この筆癖が比較対照する各文書の中に共通して現れているかどうかを検討するというものである。そして、この筆癖に着目する理由として、W鑑定書は、個々人の筆記技術は、幼小からの筆記経験を積み重ねて習得したものであり、その筆記経験の間には、各人の精神的・肉体的好みに合った筆記要領が生じ、それが次第に定着して習慣となり、ついには記載した文字に筆癖となって表現されるに至るところ、いったん定着した筆癖は、容易に消滅したり変革できるものではなく、筆記姿勢等の筆記条件が異なっても、記載した文字の随所に筆者特有の筆癖が表現されることを指摘している。そして、このような筆跡の有する個性を抽出して対照するという手法自体は、弁護人提出の関係証拠からも、筆跡鑑定において一般に是認され共有されているものと認められるから、W鑑定書は、特別の知識経験に属する法則を具体的文字に適用して判断したものと評価することができる。
なお、W供述によれば、Wは、筆癖を抽出するに当たり、特定のペン習字の教本を参考としていることが認められるが、この点も、筆癖を抽出する上の客観的基準を設けているという趣旨において是認できるものである。
(イ)a 次に、具体的な判断内容についてみるに、W鑑定書は、本件対照資料との筆跡の同一性を認めた根拠として、それぞれ以下の点を指摘している。すなわち、(a) B名義の各交付請求書は、〈1〉「確(15画)」、「練(14画)」、「認(14画)」、「都(11画)」、「現(11画)」、「容(10画)」、「品(9画)」、「岡(8画)」、「早(6画)」、「在(6画)」、「再(6画)」、「川(3画)」、「大(3画)」の漢字13文字のほか、ひらがな9文字、「2」、「5」、「8」等の算用数字4文字について、本件対照資料中の同一文字と筆癖が一致し、〈2〉「福」、「滋」、「賀」等の漢字20文字の字画部について、本件対照資料中の別の文字の形態が類似する字画部と筆癖が一致する(甲34)。
(b) C名義の各交付請求書は、〈1〉「確(15画)」、「認(14画)」、「習(11画)」、「野(11画)」、「現(11画)」、「容(10画)」、「品(9画)」、「所(8画)」、「在(6画)」、「再(6画)」、「川(3画)」、「大(3画)」、「山(3画)」の漢字13文字のほか、ひらがな9文字、「2」、「5」、「8」の算用数字3文字について、本件対照資料中の同一文字と筆癖が一致し、〈2〉「現」、「登」、「録」等の漢字16文字の字画部について、本件対照資料中の別の文字の形態が類似する字画部と筆癖が一致する(甲85)。
(c) D名義の各交付請求書は、〈1〉「確(15画)」、「練(14画)」、「認(14画)」、「習(11画)」、「野(11画)」、「現(11画)」、「容(10画)」、「神(9画)」、「法(8画)」、「在(6画)」、「再(6画)」、「上(3画)」の漢字12文字のほか、ひらがな10文字、「3」、「8」の算用数字2文字について、本件対照資料中の同一文字と筆癖が一致し、〈2〉「習」、「藤」、「法」等の漢字19文字の字画部について、本件対照資料中の別の文字の形態が類似する字画部と筆癖が一致する(甲123)。
(d) B名義の手数料納付書は、〈1〉「練(14画)」、「岡(8画)」、「早(6画)」の漢字3文字のほか、ひらがな6文字、「2」、「5」、「7」、「8」等の算用数字5文字について、本件対照資料中の同一文字と筆癖が一致し、〈2〉「滋」「賀」、「福」等の漢字10文字の字画部について、本件対照資料中の別の文字の形態が類似する字画部と筆癖が一致する(甲233)。
(e) C及びD名義の各手数料納付書は、〈1〉「習(11画)」、「野(11画)」、「所(8画)」、「法(8画)」、「次(6画)」、「山(3画)」、「川(3画)」の漢字7文字のほか、ひらがな21文字、「2」、「5」、「7」、「8」等の算用数字5文字について、本件対照資料中の同一文字と筆癖が一致し、〈2〉「秀」、「次」、「藤」等の漢字6文字の字画部について、本件対照資料中の別の文字の形態が類似する字画部と筆癖が一致する(甲235)。
b 以上のように、Wは、上記各鑑定書において、各鑑定資料と本件対照資料との筆跡の同一性を認めた理由として、各鑑定資料中の多くの文字について、本件対照資料中の同一文字又は別の文字の形態が類似する字画部との筆癖の一致を指摘しているところ、その指摘する筆癖は、大半が個性的なものと認められ、各筆癖が一致するとの判断も是認することができる。さらに、Wは、当公判廷において、個々の筆癖を抽出した理由、抽出した各筆癖の特徴、さらに、同一文字に相違する筆癖が見られる場合の理由についても、首尾一貫した供述をしており、弁護人からの詳細な反対尋問にも全く動揺しておらず、その供述内容をみても、鑑定の公正さを疑わせる点や不自然・不合理な点は認め難いのである。
(ウ)a ところで、弁護人は、W鑑定書について、〈1〉その鑑定手法は、近代統計学の知見に基づいて希少性や恒常性(常同性)を重視する近時の鑑定手法とは異なり、これらの観点のない客観性、科学性に欠けるものである上、対照資料について全体としての特徴を検討したり、対照資料の方から鑑定資料を検討するなどしていないこと、〈2〉筆跡鑑定の対照資料は、筆跡が終生不変でない以上、鑑定時から一定期間内に収集されたものに限定すべきであるのに、被告人の高校時代の本件ノート等が対照資料とされていること、〈3〉比較対照する文字を同一のものに限定せず、異なる文字の一部(へん、つくり、点の打ち方等)も含めていること、〈4〉本来筆跡鑑定の対象から外されるべきひらがなや算用数字を対照に用いていること、〈5〉W鑑定書は、筆跡の同一性に関する客観的基準がなく、Wの主観によっていることなどを指摘して、およそ信用できない旨主張し、被告人も、これとほぼ同旨の主張をしている。
また、自らも筆跡鑑定を行っているA4ことA5(以下「A5」という。)は、同人作成の意見書(弁27)において、弁護人の上記主張とほぼ同旨の意見を記載しているほか、鑑定資料及び対照資料から抽出した標本の写真に朱線を書き込んでいる点等を指摘して、W鑑定書は鑑定書としての体裁をなしていない旨論難し、当公判廷においても、W鑑定書を恣意的、主観的と批判した上、強いていえば、本件各交付請求書等の筆跡と被告人の筆跡とが同筆かどうかは判定できない旨供述している(以下、上記意見書及び公判供述を併せて「A5意見」と総称する。)。
b そこで、弁護人やA5の指摘する点を踏まえて、更に検討を加える。
(a) まず、弁護人の主張のうち前記〈1〉の点についてみるに、確かに、弁護人請求の関係証拠によると、最近の研究や鑑定例において、希少性や恒常性を重視して、これを統計学的に実証しようとする傾向があるとうかがわれることは、所論指摘のとおりである。
しかし、Wも、この点、当公判廷において、恒常性の代わりに、「筆癖が一貫して一致している」などという言葉を用いつつ、資料中に一貫した筆癖が表現されていればそれを重要視すると供述しており、また、筆癖に希少性があっても、一致している筆癖が1つ限りであれば、それだけでは同一筆者によるものとは判断していないとも供述しているのである。したがって、W鑑定書においても、筆跡の特徴の出現率を一切捨象してすべて筆癖として指摘したり、恒常性や希少性について全く配慮しないような鑑定手法を採っているとはいえないのであり、希少性や恒常性についても一定の配慮を払っていることがうかがわれる。
(b) また、同〈2〉の点について、確かに、関係証拠中には、筆跡は社会人になってからその人らしさがより明確になる(弁19)、筆跡は年代によって多少の変動を伴うから、対照資料として過去に記載された筆跡を収集する場合には少なくとも5年以内の文書であることが望ましい(弁25)との指摘がみられる。
しかし、Wは、この点、当公判廷において、筆癖は高校へ上がるぐらいに大体固まる上、本件対照資料の中には、本件ノートのように文字数の多いものがあり、また、休学願(甲222、224)のように丁寧に書かれたものと本件ノートのように割合早く書かれたものというように書きぶりの変化もあったので、鑑定可能であると考えたとも述べている。そして、関係証拠中の上記各見解も、高校や大学時代の筆跡ないし5年以上前の筆跡が対照資料として全く使えないという趣旨まで含むものとは解されず、かえって、字画形態は、13歳ころに個性が明瞭になり、恒常性が認められるようになったという研究報告もあるというのである(弁19)。そうすると、Wの上記説明は、客観的裏付けを有する合理的な説明ということができる。
(c) さらに、同〈3〉及び〈4〉の点について、関係証拠中には、漢字の部分構造のみを抽出して行う分解識別には問題がある(弁19)、単純な形態の文字より複雑な形態の文字の方が恒常度が高く、カタカナ、ひらがな、漢字の順に恒常度が高くなる(弁19、24)、4画の漢字では文字ごとの正答率にばらつきがみられた(弁20)、算用数字のうち「0」、「1」、「6」、「9」については、形態が画一的になりやすく特徴が指摘しづらい(弁22)などという指摘がみられる。
しかし、同じく関係証拠の中には、筆者識別の資料には7画以上の漢字が適切であり、中でも、「へん」と「つくり」で構成された漢字や「しんにょう」の漢字の正答率が高く(弁24)、識別率が最も高い漢字の字画数は10画であった(弁19)、算用数字の中でも、「2」、「3」、「4」、「5」、「7」、「8」については、個人差が現れやすく、特徴が指摘しやすいほか、希少性の高い書き方については、恒常性も高く、筆跡鑑定の有力な鑑別要素となり得る(弁22)などの指摘もみられる。
そして、W鑑定書では、前認定のとおり、漢字の部分構造のみ抽出して行う上記分解識別や、ひらがな・算用数字・字画数の少ない漢字についての筆跡の識別のみから判断しているわけではなく、各鑑定書ごとに、識別率が特に高いとされる字画数が10画前後の漢字や「へん」と「つくり」で構成される漢字、さらに筆跡鑑定の有力な鑑別要素となり得るとされる「2」、「3」、「5」、「7」、「8」の筆癖をも総合して結論を導いているのである。
(d) その他、弁護人が、個々の文字について、鑑定資料には現れない特徴が本件対照資料中に多数現れているなどと主張するところを検討しても、Wは、同一人であっても、複数の筆癖を有するものであり、一貫した筆癖が表現されていること自体あまり経験がないなどと述べているところ、この指摘は、本件ノート中の記載を通覧すれば、同一文字に関して複数種類の筆跡の特徴が見出せることからも首肯することができる。しかも、鑑定資料である本件各交付請求書等に記載された文字数と比較して、本件ノートを含む本件対照資料に記載された文字数が膨大であることなどにも照らせば、弁護人の上記主張がW鑑定書の信用性を損なうものとは認め難いのである。
(e) 次いで、A5意見についてみるに、A5は、Wが標本の写真に朱線を入れている点を論難するが、W作成の各鑑定書において、鑑定資料及び本件対照資料の拡大写真に朱線が入れられているのは、Wが認めた筆癖を分かりやすく摘示するための手法にすぎないものといえるのであり、鑑定方法や鑑定結果の相当性に何らかの影響を与えるものとはいえない。しかも、鑑定資料及び本件対照資料がすべて取り調べられている状況の下においては、このような朱線の存在が裁判所の判断に不当な影響を与えるものともいえないのである。
(f) なお、A5は、当公判廷において、本件では、本件各交付請求書等と本件対象資料とが同筆かどうか判定できないとも供述する。しかし、A5自身、刑事裁判の重大性、そして対象資料の古さから、本件の鑑定書作成を辞退した旨述べていることからも、この判断は、主としてW作成の各鑑定書を基にしたものであることがうかがわれる。しかも、A5意見の内容を検討しても、Wの鑑定手法ないし鑑定書の作成方法を論難するものにすぎず、本件各交付請求書等と本件対象資料とが同筆かどうかを判定できない理由について具体的に論証するものとはなっていない。そうすると、A5意見は、弁護人らの前記主張を超えて、W鑑定書の信用性を直接左右するものといえないのである。
(エ) 以上のように、弁護人の主張やA5意見を踏まえて検討しても、これらは、W鑑定書の信用性を大きく動揺させるに足りるものとはいえないのである。そして、前認定のように、Wが筆跡鑑定についての豊富な経験を有しており、W鑑定書は、筆跡鑑定において一般に是認され共有されている手法を採用して、数多くの筆跡の特徴の一致を指摘しており、それぞれに納得のいく指摘であることを考慮すると、W鑑定書には、決して低くない信用性を認めることができる。
もっとも、弁護人も指摘するように、W鑑定書は、筆癖として指摘するところの筆跡の特徴がどの程度の希少性を有するのかを具体的に示さないだけでなく、どのような筆癖がどの程度まで一致すれば同一筆者と判定するのか、鑑定資料と対照資料との間に異なる筆癖が認められる場合に、どの程度までは同一筆者の筆癖の幅として許容されるかについての具体的な基準ないし根拠を明らかにしていない。そうすると、筆跡鑑定が鑑定人の個人的な経験に依存する部分の多いことを考慮しても、このようなW鑑定書のみによって、鑑定資料の筆者が被告人であると認定することには躊躇を覚えざるを得ないのである。
したがって、W鑑定書については、それのみによって本件各交付請求書等の記載と本件対照資料の記載とが同一筆者によるものとまで認めることは困難であるが、少なくとも、本件各交付請求書等は被告人が記載したものと認定しても、本件証拠関係と筆跡の観点から矛盾するところはないものと認められるという限度で十分に信用できるものであり、しかも、Wの指摘する筆跡の一致の数及び内容に照らすと、被告人が本件各交付請求書等を記載した可能性が高いことを強くうかがわせるものということができる。
(4) 掌紋の印象状態の鑑定
ア 東京医科歯科大学名誉教授のA6(以下「A6」という。)は、本件各交付請求書上に遺留された掌紋がどのような状態で印象されているかなどについて鑑定を行い、同人作成の鑑定書3通(甲61、94、132)において、本件各交付請求書に付着した左手掌紋は、右利きの人が書類を記載台等の上に置いて記入を行う際に、左手が記入に対応する通常の動作をすることによって押捺されたものと考えて不自然はないが、交付請求書を提出するなどの通常の受渡しで印象されたとは通常考えられない旨の鑑定結果を記載している。そして、A6は、当公判廷において、上記の鑑定結果の具体例として、本件各交付請求書上の遺留掌紋は、交付請求書用紙を記載台の上に置いて、右手で文字を書こうとする場合に、左手がその紙を押さえるとか、交付請求書用紙を重ねて記入している場合に、書き終わった用紙を左側にずらして次の用紙を記入する際、動かした用紙を押さえるなどの自然な動作で付着したものであったとしても不自然ではない旨供述している(以下「A6供述」といい、上記鑑定書と併せて「A6鑑定」と総称する。)。
イ そこで、A6鑑定の信用性について検討するに、A6供述によると、A6は、約40年にわたって皮膚紋理の研究に従事し、皮膚紋理ないし掌紋についての豊富な学識を有していると認められるところ、A6鑑定は、このような専門知識を用いて、本件各交付請求書上に付着した遺留掌紋が手掌のどの部位のものであるかを特定して、その紋様を分析した上、上記のとおりの結論を導いているのである。したがって、A6鑑定は、特別の学識経験者のみが知り得る一定の法則又はこれを具体的事実に当てはめた判断の報告といえる上、その判断過程は常識的かつ明解なものであり、A6供述の内容に照らしても、特に不自然・不合理な点は認められない。
この点、被告人は、A6鑑定が本件捜査に従事していた警察官を用いた再現実験に依拠していることを指摘し、これらの者が被疑事実の内容に合わせて再現を行う可能性があるとして、その信用性を論難する。しかし、どのような状況の下で書面上に遺留掌紋と同じ部位・状態の掌紋が付着するのかは、正にA6鑑定の鑑定事項そのものであり、そのような点について再現実験に関与した警察官が事前に知悉し、意図的に掌紋を付着させるなどということは、想定することができない。しかも、A6供述によると、この再現実験はあくまでもA6の意向及び指示に基づいて実施したというのであるから、被告人指摘の点がA6鑑定の信用性を左右するとは認め難いのである。
ウ そうすると、A6鑑定は、上記鑑定結果の限度において、十分信用することができる。
(5) まとめ
ア(ア) 以上を総合して検討するに、まず、掌紋鑑定及びA6鑑定によれば、本件各交付請求書のうちB名義のもの3枚、C名義のもの3枚及びD名義のもの1枚から検出された対照可能な掌紋はいずれも、被告人の左手の掌紋であり、かつ、右利きの人が書類を記載台等の上に置いて記入を行う際に、左手が記入に対応する通常の動作、すなわち、左手で記入中の紙を押さえる、あるいは書き終わって左側にずらした用紙を押さえるといった自然な動作で印象されたとしても、不自然ではないが、交付請求書を提出するなどの通常の受渡しで印象されたとは通常考えられないものであると認められるところ、関係証拠によれば、被告人が右利きであることは明らかである。
(イ) さらに、W鑑定書によれば、本件各交付請求書等は被告人が記載したものと認定したとしても、本件証拠関係と筆跡の観点から矛盾するところがないものと認められるばかりでなく、被告人が本件各交付請求書等を記載した可能性の高いことが認められる。
(ウ) しかも、前判示のとおり、本件各犯行の犯人はいずれも、東京陸運支局等の敷地内にある関東陸運振興財団の事務所で交付請求書用紙及び印紙を購入した後、最寄りの東京陸運支局等のホールにおいて、同所に備付けの鉛筆を用いるなどして、各交付請求書の偽造及び行使の各犯行を引き続き敢行したことが強くうかがわれ、本件各犯行はいずれも、調査活動の一環として敢行された組織的背景を有するものであり、C事件とD事件は、同一の人物又はグループによる一連の犯行であることが推認できるのである。
(エ) 以上の事実を総合すれば、被告人が、B事件及びC事件については東京陸運支局で、D事件については練馬事務所で、それぞれ本件各交付請求書を偽造し、一括提出して行使したことを優に推認することができる。
イ これに対し、被告人は、本件各犯行に及んだことを否定するが、本件各交付請求書上に被告人の掌紋が遺留されている理由を含めて、何らかの積極的否認事実の具体的主張を伴ったものではなく、本件全証拠を精査しても、被告人以外の者が本件各交付請求書を作成して行使したことをうかがわせるような証拠は全く存在しないのである。したがって、本件各犯行への関与を否認する趣旨の被告人の供述は、前記の本件証拠関係に照らし、到底信用することができない。
3 結論
以上の次第で、判示のとおり、被告人が本件各犯行のすべてに及んだことを優に認めることができる。
(法令の適用)
被告人の判示各所為のうち、登録事項等証明書交付請求書の各偽造の点はいずれも刑法159条1項に、偽造登録事項等証明書交付請求書の各行使の点はいずれも同法161条1項、159条1項にそれぞれ該当するところ、上記各偽造とその各行使との間にはそれぞれ手段結果の関係があり、上記各請求書の各一括行使はいずれも1個の行為が10個の罪名に触れるとともに、各一括行使ごとに上記牽連関係にある各犯罪行為が収れんする場合に当たるから、同法54条1項前段、後段、10条により、結局、判示第1ないし第3についてそれぞれ1罪として犯情の最も重い偽造有印私文書行使罪(なお、各偽造文書ごとに犯情の差違は認められない。)の刑で処断することとし、以上は同法45条前段の併合罪であるから、同法47条本文、10条により、犯情の最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年4月に処し、同法21条を適用して未決勾留日数中360日をその刑に算入し、情状により、同法25条1項を適用してこの裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予し、押収してある登録事項等証明書交付請求書10枚(平成14年押第498号の1(登録事項等証明書手数料納付書1式)中のもの)の各偽造部分はすべて、判示第1の各偽造有印私文書行使罪の犯罪行為を組成した物、同じく登録事項等証明書交付請求書10枚(同押号の6ないし15)の各偽造部分はすべて、判示第2の各偽造有印私文書行使罪の犯罪行為を組成した物、同じく登録事項等証明書交付請求書10枚(同押号の28ないし37)の各偽造部分はすべて、判示第3の各偽造有印私文書行使罪の犯罪行為を組成した物で、いずれも何人の所有をも許さないものであるから、同法19条1項1号、2項本文を適用してこれらを没収し、訴訟費用については、刑訴法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。
(弁護人の主張に対する判断)
弁護人は、本件逮捕勾留について、〈1〉東京都議会議員選挙に立候補していたA7(以下「A7」という。)の選挙運動や被告人が支持していた三里塚空港反対闘争及び反戦活動の妨害を目的とするものである、〈2〉任意同行の要件を欠いた違法な強制力の行使の末に逮捕に至ったものである、〈3〉別件の放火事件の取調べを目的とする違法な別件逮捕である、〈4〉一定組織・党派に対する解体攻撃、被告人に対する転向強要を目的とする勾留及び取調べであるなど、憲法13条、15条、19条、21条に反するものであるから、これらの憲法条項を直接適用し、あるいは刑訴法339条1項2号により決定で本件公訴を棄却すべきである旨主張する。
しかしながら、本件各犯行は、3月以上5年以下の懲役刑という法定刑の決して軽くない有印私文書偽造罪及び同行使罪に該当する犯罪であることに加えて、その組織性や計画性、何らかの違法活動を行うための調査活動であったとうかがわれること、更には、その結果、現実に自動車の登録事項等証明書交付請求書に対する公共の信用を害し、本来は交付されるべきでない登録事項等証明書を不正に流出させたことをも勘案すると、その犯情にも重いものがあるというべきである。さらに、本件証拠関係に照らすと、被告人には本件各犯行に関する十分な嫌疑があったものと認められるのであり、捜査機関は、本件各犯行について、その後に発生した放火事件の準備のための調査活動とみなしていたことがうかがわれるのである。
そうすると、被告人及びA7の当公判廷における各供述を踏まえて検討しても、本件逮捕勾留が所論のような選挙妨害や被告人の転向強要等を主たる目的とするものではなかったと認められるのであり、違法な別件逮捕に当たらないことも明らかである。さらに、被告人に対する逮捕手続も、人通りの多い駅頭で、被告人と同様にA7の選挙運動に携わっていた者も周囲に多数いたとうかがわれる当時の状況を考慮すると、身柄拘束後に逮捕状を呈示したからといって、違法となるものではない。その他、本件各公訴提起を無効とするような違法があったことをうかがわせる事情は存しないのである。
したがって、弁護人の上記主張は、すべてその前提を欠くものとして、採用することができない。
(量刑の理由)
本件は、有印私文書偽造・同行使の事案である。
被告人は、前後3回にわたって、関東運輸局東京陸運支局又は同支局練馬自動車検査登録事務所において、架空人名義で合計30通の登録事項等証明書交付請求書を偽造した上、その架空人に成り済ましてこれらを係員に提出行使しており、その態様は、請求枚数が過大になって係員から怪しまれないように犯行場所を分散し、架空人名義をその都度使い分けるなど巧妙であるほか、同種の犯行を3回も反復し、偽造文書の通数も合計30通と多量に及んでいる点からも悪質である。
また、本件各犯行は、特定の集合住宅の駐車場に駐車された自動車の所有者又は使用者の氏名、住所等の個人情報が記載された登録事項等証明書の交付請求をすることによって、別人も関与したとうかがわれる同種の犯罪行為とともに、その集合住宅の駐車場内の自動車について、網羅的にその所有者又は使用者の氏名や住所等を知るための調査活動の一環であったと優に推認できるのであり、組織的・計画的な犯行であることも明らかである。
しかも、各地方運輸局では、登録事項等証明書の交付制度が民事法律関係の安定・調整等に資するための民事登録の公開の目的に従って設けられたものであることにかんがみ、その交付請求がプライバシーの侵害ないし犯罪行為への利用等の違法な目的に使用されるおそれがあると判明したものについては、登録事項等証明書を交付しない取扱いがされていたから、本件各交付請求が許容される余地はなかったのである。ところが、本件各犯行によって、私文書である登録事項等証明書交付請求書に対する公共の信用が現実に害されたばかりでなく、30人もの個人のプライバシーが現実に侵害されており、その結果にも重いものがあるというべきである。
ところで、関係証拠によると、被告人は「革命的共産主義者同盟中核派」と称する団体(以下「中核派」という。)の構成員又はその同調者と認められるところ、本件各犯行の組織性・計画性、関係証拠からうかがわれる被告人の当時の生活状況からは、本件各犯行が中核派の活動の一端をなすものであったことがうかがわれる。また、関係証拠によれば、中核派は、本件各犯行前から、その機関紙等において、成田空港関係者の使用車両等に対する放火攻撃等を敢行した旨の多数の記事を掲載してきており、被告人はこれらを入手して所持していたものと認められる。しかも、本件各犯行の態様は、上記のように架空人名義を使い分けて犯行場所も分散させるという巧妙なものであり、被告人は、遅くとも、B事件で自ら交付請求をした登録事項等証明書を手にした時点までには、本件各犯行の目的が特定の集合住宅の居住者の居室又はその所有自動車に関する網羅的な調査であることを知り得たものとうかがわれるのである。そうすると、中核派の機関紙等を閲読していたことがうかがわれる被告人においても、自ら交付請求する登録事項等証明書が中核派による何らかの違法活動に供される可能性を認識した上、本件各犯行に及んでいたものと推認できるのであり、その違法活動には中核派の機関紙等に記事が掲載された放火等の重大犯罪も含まれ得るとの認識をも併せ有していたことがうかがわれるのである。もとより、集合住宅の居住者の居室又はその所有自動車を特定して行う違法行為としては、住居侵入、窃盗、逮捕監禁、暴行・傷害といった放火と比較すると軽微な犯罪も多く想定することができる。また、上記機関紙等には、放火のための調査活動に関する記述が存在しない上、本件証拠関係によっても、被告人が各交付請求書に記載した自動車登録番号以上の具体的な情報を全く与えられないまま本件各犯行を敢行した可能性も排斥し得ないのである。したがって、本件の量刑に当たっても、被告人において、本件各犯行の結果が放火等の重大犯罪に至り得るものと認識していたことは、一般的・抽象的な認識という限度においてのみ考慮し得るにすぎない。とはいえ、このように法秩序を軽視し、社会に重大な害悪をもたらし得る可能性を認識しながら、ためらうことなくあえて違法行為に及んでいる被告人の姿勢は、厳しい非難に値するとともに、組織的な違法行為に供するという本件各犯行の目的も、反社会的で悪質極まりないものである。
以上を総合すると、被告人の刑事責任は重いというべきである。
他方、本件各犯行については、組織的な背後関係の存在がうかがわれるのであり、被告人が、限られた情報しか与えられないまま、組織関係者の指示のみに基づき、本件各犯行の全容を把握することなく、犯行に加担した可能性も否定できないこと、本件各犯行により交付請求する登録事項等証明書がいかなる違法行為の用に供されようとしているのかを、被告人がどのように認識していたのかについては、これを解明すべき適切な証拠が存在せず、しかも、本件各犯行の結果が放火等の重大犯罪に至り得るとの被告人の認識も、あくまで一般的・抽象的なものとして認定できるにすぎないこと、被告人は、喘息の持病を有するところ、本件によって2年近くにわたり身柄を拘束されていること、被告人にはこれまでに前科のないこと、母親が被告人の身を案じているとうかがわれること、その他被告人のために酌むべき事情も認められる。
そこで、これら諸事情を総合考慮すると、本件各犯行の組織性・計画性、悪質性、法益侵害の程度等に照らし、被告人を懲役2年4月に処した上、本件証拠関係から認められる被告人の役割、認識内容、前科関係等をも勘案して、特に今回に限りその刑の執行を猶予するのが相当である。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 中谷雄二郎 裁判官 横山泰造 裁判官 蛯原意は、差し支えにより署名押印することができない。 裁判長裁判官 中谷雄二郎)
別表1~別表3〈省略〉
「選挙妨害 ポスター」に関する裁判例一覧
(1)令和元年 5月24日 東京地裁 平28(ワ)17007号 選挙供託金制度違憲国家賠償請求事件
(2)平成30年 7月20日 福岡地裁久留米支部 平28(ワ)69号 損害賠償請求事件
(3)平成30年 2月23日 東京地裁 平27(行ウ)73号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(4)平成28年 9月28日 東京地裁 平25(ワ)29185号 選挙無効等確認請求事件
(5)平成28年 1月13日 熊本地裁人吉支部 平26(ワ)51号 損害賠償請求事件
(6)平成27年11月18日 福岡地裁 平26(ワ)2716号 謝罪広告等請求事件
(7)平成25年12月25日 東京地裁 平24(ワ)25051号 労働組合員権利停止処分無効確認等請求事件
(8)平成25年11月29日 東京地裁 平25(ワ)18098号 被選挙権侵害による損害賠償請求事件
(9)平成24年 9月27日 東京高裁 平24(ネ)1676号 組合長選挙無効確認等請求控訴事件 〔全日本海員組合事件〕
(10)平成24年 1月16日 最高裁第三小法廷 平21(あ)1877号 殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、公職選挙法違反、火薬類取締法違反被告事件
(11)平成23年 5月30日 東京高裁 平23(ネ)378号 損害賠償、損害賠償等反訴請求控訴事件
(12)平成23年 3月17日 名古屋高裁 平22(ネ)496号 損害賠償請求控訴事件
(13)平成22年12月15日 東京地裁 平21(ワ)16235号 損害賠償請求本訴事件、損害賠償等請求反訴事件
(14)平成22年10月29日 東京地裁 平19(ワ)31252号 損害賠償等請求事件
(15)平成22年 7月 1日 東京地裁 平20(ワ)31122号 損害賠償等請求事件
(16)平成22年 3月25日 岐阜地裁大垣支部 平20(ワ)253号 損害賠償請求事件
(17)平成20年10月 8日 東京地裁 平13(ワ)12188号 各損害賠償請求事件
(18)平成20年 5月26日 長崎地裁 平19(わ)131号 殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、公職選挙法違反等被告事件
(19)平成20年 1月10日 東京地裁 平19(ワ)20886号 損害賠償等請求事件
(20)平成19年12月26日 東京地裁 平19(行ウ)171号 退去強制令書発付処分取消請求事件
(21)平成18年 6月29日 東京地裁 平16(特わ)973号 国家公務員法違反事件 〔国家公務員赤旗配付事件〕
(22)平成16年 3月29日 神戸地裁姫路支部 平10(ワ)686号 新日本製鐵思想差別損害賠償請求事件
(23)平成16年 2月27日 東京地裁 平7(合わ)141号 殺人、殺人未遂、死体損壊、逮捕監禁致死、武器等製造法違反、殺人予備被告事件 〔オウム真理教代表者に対する地下鉄サリン事件等判決〕
(24)平成15年 7月24日 東京地裁 平13(刑わ)2337号 有印私文書偽造、同行使被告事件
(25)平成14年 7月30日 最高裁第一小法廷 平14(行ヒ)95号 選挙無効確認請求事件
(26)平成13年 1月29日 東京地裁 平10(ワ)15657号 損害賠償等請求事件
(27)平成12年 2月23日 東京高裁 平11(ネ)5203号 謝罪広告等請求控訴同附帯控訴事件
(28)平成11年12月13日 大阪地裁 平11(ワ)8121号 損害賠償請求事件 〔大阪府知事セクハラ事件民事訴訟判決〕
(29)平成11年 9月21日 東京地裁 平10(ワ)1177号 謝罪広告等請求事件
(30)平成11年 5月19日 青森地裁 平10(ワ)307号 定時総会決議無効確認請求、損害賠償請求事件
(31)平成 9年 3月18日 大阪高裁 平8(行コ)35号 供託金返還請求控訴事件
(32)平成 8年 8月 7日 神戸地裁 平7(行ウ)41号 選挙供託による供託金返還請求事件
(33)平成 8年 3月29日 東京地裁 平5(特わ)546号 所得税法違反被告事件
(34)平成 6年12月 6日 東京地裁 平2(ワ)2211号 除名処分無効確認請求事件
(35)平成 5年 8月24日 前橋地裁 昭51(ワ)313号 損害賠償請求事件 〔東京電力(群馬)事件〕
(36)平成 5年 5月13日 大阪地裁 平4(ワ)619号 損害賠償請求事件
(37)平成 5年 4月14日 福岡高裁宮崎支部 平3(行ケ)2号 選挙の効力に関する審査申立に対する裁決取消請求事件 〔伊仙町町長選挙無効裁決取消請求訴訟〕
(38)平成 3年 5月28日 大阪地裁 昭61(ワ)7005号 市議会議員選挙投票済投票用紙差押事件
(39)平成 2年12月13日 福岡地裁小倉支部 昭61(ワ)838号 懲戒処分無効確認等請求事件 〔国鉄清算事業団(JR九州)事件〕
(40)平成 2年10月30日 大阪地裁 昭61(わ)1691号 公正証書原本不実記載、同行使、公職選挙法違反等被告事件
(41)平成 2年 3月28日 名古屋地裁 昭63(ワ)2433号 損害賠償請求事件
(42)昭和57年 6月 8日 東京地裁 昭52(ワ)3269号 除名処分無効確認等請求事件
(43)昭和56年 7月 9日 東京地裁八王子支部 昭49(特わ)242号 公職選挙法違反被告事件
(44)昭和55年10月30日 最高裁第一小法廷 昭53(オ)940号 慰謝料請求事件 〔スロットマシン賭博機事件〕
(45)昭和55年 2月14日 最高裁第一小法廷 昭54(行ツ)67号 選挙無効審査申立棄却裁決取消請求事件
(46)昭和54年11月30日 京都地裁 昭53(ワ)260号 謝罪文掲示等請求事件
(47)昭和54年 1月30日 高松高裁 昭49(う)198号 国家公務員法違反被告事件 〔高松簡易保険局選挙応援演説事件・控訴審〕
(48)昭和53年 3月30日 松山地裁西条支部 昭48(わ)107号 公職選挙法違反被告事件
(49)昭和52年 6月16日 福岡高裁 昭50(行ケ)4号 町議会議員選挙無効の裁決の取消請求事件
(50)昭和49年 6月28日 高松地裁 昭40(わ)250号 国家公務員法違反被告事件 〔高松簡易保険局員選挙応援演説事件・第一審〕
(51)昭和48年 3月29日 仙台地裁 昭42(わ)120号 公職選挙法違反被告事件
(52)昭和46年 8月27日 大阪高裁 昭46(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(53)昭和45年12月21日 東京地裁 昭40(行ウ)121号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔大分銀行救済命令取消事件〕
(54)昭和44年 7月 3日 札幌高裁 昭43(う)326号 公職選挙法違反被告事件
(55)昭和43年 8月30日 福岡地裁 昭42(行ウ)18号 救済命令処分取消請求事件 〔九建日報社救済命令取消事件〕
(56)昭和42年 6月29日 東京高裁 昭39(う)1553号 名誉毀損・公職選挙法違反被告事件
(57)昭和42年 6月13日 福岡高裁 昭41(う)934号 恐喝等被告事件
(58)昭和42年 4月25日 東京地裁 昭40(特わ)579号 公職選挙法違反被告事件
(59)昭和42年 3月23日 東京地裁 昭40(特わ)636号 公職選挙法違反被告事件
(60)昭和41年10月24日 東京高裁 昭38(ナ)6号 裁決取消、選挙無効確認併合事件 〔東京都知事選ニセ証紙事件・第二審〕
(61)昭和41年 5月18日 大阪地裁 昭38(ワ)1629号 委嘱状不法発送謝罪請求事件
(62)昭和40年11月26日 東京高裁 昭39(う)642号 公職選挙法違反被告事件
(63)昭和40年 3月11日 東京高裁 昭39(う)1689号 公職選挙法違反被告事件
(64)昭和39年11月18日 東京高裁 昭39(う)1173号 公職選挙法違反被告事件
(65)昭和39年 6月29日 東京高裁 昭38(ネ)1546号 貸金請求控訴並に同附帯控訴事件
(66)昭和39年 5月29日 東京地裁 昭34(わ)2264号 公職選挙法違反被告事件
(67)昭和38年 5月27日 名古屋高裁 昭32(行ナ)2号 行政処分取消請求事件
(68)昭和37年12月21日 福岡地裁 昭33(わ)1043号 地方公務員法違反事件 〔福教組勤評反対闘争事件・第一審〕
(69)昭和37年 4月18日 東京高裁 昭35(ナ)15号 選挙無効確認請求事件
(70)昭和37年 3月15日 最高裁第一小法廷 昭36(オ)1295号 選挙無効確認請求
(71)昭和36年10月30日 東京高裁 昭32(ナ)1号 住民投票無効確認請求事件
(72)昭和36年 6月30日 東京高裁 昭34(ナ)15号 選挙無効確認訴訟請求事件
(73)昭和35年10月24日 名古屋高裁金沢支部 昭34(ナ)1号 町長選挙無効請求事件
(74)昭和35年 8月24日 札幌高裁 昭35(う)203号 名誉毀損、公職選挙法違反事件
(75)昭和35年 6月18日 東京高裁 昭34(ナ)12号 選挙無効請求事件
(76)昭和35年 5月24日 大津地裁 昭34(ワ)32号 解職行為取消請求、資格確認請求併合事件
(77)昭和33年 7月15日 東京高裁 昭32(う)562号 名誉毀損被告事件
(78)昭和32年12月26日 東京高裁 昭31(ナ)5号 選挙無効確認請求事件
(79)昭和32年 2月28日 東京高裁 昭30(ナ)28号 市議会議員選挙無効確認訴訟事件
(80)昭和31年12月27日 福岡地裁 昭30(ナ)5号 町長選挙無効確認事件
(81)昭和31年11月13日 大阪高裁 昭31(ナ)2号 選挙無効確認事件
(82)昭和31年 5月21日 東京地裁 昭28(ワ)7177号 損害賠償請求事件
(83)昭和31年 3月 5日 大阪高裁 昭30(う)1028号 傷害事件
(84)昭和30年 9月15日 東京高裁 昭30(ナ)5号 衆議院議員選挙無効確認請求事件
(85)昭和30年 4月27日 東京高裁 昭30(ナ)2号 衆議院議員選挙無効訴訟事件
(86)昭和29年11月29日 大阪高裁 昭29(う)1684号 公職選挙法違反事件
(87)昭和28年12月 4日 甲府地裁 事件番号不詳 住居侵入公務執行妨害強要暴行被告事件
(88)昭和25年12月25日 東京高裁 昭24(ナ)16号 村長解職投票無効事件
(89)昭和23年10月18日 名古屋高裁 事件番号不詳 食糧緊急措置令違反被告事件
(90)昭和 5年 9月23日 大審院 昭5(れ)1184号 衆議院議員選挙法違反被告事件
■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
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(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
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