「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例(155)昭和47年 8月10日 岡山地裁 昭46(わ)507号 国家公務員法違反・公職選挙法違反被告事件
「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例(155)昭和47年 8月10日 岡山地裁 昭46(わ)507号 国家公務員法違反・公職選挙法違反被告事件
裁判年月日 昭和47年 8月10日 裁判所名 岡山地裁 裁判区分 判決
事件番号 昭46(わ)507号
事件名 国家公務員法違反・公職選挙法違反被告事件
文献番号 1972WLJPCA08100003
要旨
◆特定郵便局長である被告人が、他の特定郵便局長等に脱法文書であるマッチを配付した行為が、共謀者間の授受であつて、公職選挙法二四三条五号、一四六条一項に該当しないとされた事例
◆被告人の右行為が人事院規則に定める政治的行為に該当しないとされた事例
新判例体系
公法編 > 組織法 > 公職選挙法〔昭和二五… > 第一三章 選挙運動 > 第一四六条 > ○脱法文書図画頒布等… > (五)その他
◆特定郵便局長である被告人が、他の特定郵便局長等に脱法文書であるマッチを配布した本件行為は、共謀者間の授受であって、公職選挙法第二四三条第五号、第一四六条第一項に該当しない。
公法編 > 組織法 > 国家公務員法〔昭和二… > 第三章 職員に適用さ… > 第七節 服務 > 第一〇二条 > ○政治的行為の制限 > (二)政治的行為 > C 非該当事例
◆特定郵便局長である被告人が、他の特定郵便局長等に脱法文書であるマッチを配布した行為は、人事院規則に定める政治的行為に該当しない。
出典
刑月 4巻8号1464頁
判タ 285号249頁
参照条文
公職選挙法146条
公職選挙法243条
国家公務員法102条
人事院規則
裁判年月日 昭和47年 8月10日 裁判所名 岡山地裁 裁判区分 判決
事件番号 昭46(わ)507号
事件名 国家公務員法違反・公職選挙法違反被告事件
文献番号 1972WLJPCA08100003
主文
被告人を罰金八万円に処する。右罰金を完納することができないときは、金一、〇〇〇円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。
被告人に対し、公職選挙法第二五二条第一項の選挙権および被選挙権および被選挙権を有しない期間を三年間に短縮する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、岡山市津島九六四番地岡山津島特定郵便局長の官職にある国家公務員であり、昭和四六年六月四日公示、同月二七日施行の参議院議員通常選挙に際し、全国区から立候補して当選した西村尚治の選挙運動者であるが、同候補者に当選を得しめる目的をもつて、
(一) 公職選挙法第一四二条の禁止を免れる行為として、同月九日頃別紙一覧表(一)記載のとおり、岡山県備前市香登本一、二二三番地の三香登特定郵便局外七箇所において、選挙人である楠原清馬外七名に対し、両面の中央部分に赤の大活字で「西村」と印刷し、小活字で上部に「バッテリーの御用命は」、下部に「二四―二五九九」「岡山市清輝橋一の七」とそれぞれ印刷した宣伝用小型マッチ合計三二〇個位を配布して、脱法文書を頒布し
(二) 同月初旬頃別紙一覧表(二)記載のとおり、岡山市古京町一丁目七番三六号三光荘外一箇所において、選挙人である今中高二外二名に対し、同候補者の写真を掲載し、全国区自民党公認参議院議員候補者西村尚治等と表示した室内用ポスター(法定外)合計一一枚位を配布し、もつて法定外選挙運動文書を頒布し
一面政治的目的を有する文書を配布することによつて、人事院規則で定める政治的行為をしたものである。
(証拠の標目)省略
(法令の適用)
被告人の、判示所為のうち、政治的目的を有する文書を配布した点は包括して国家公務員法第一一〇条第一項第一九号、第一〇二条第一項、人事院規則一四―五第一項第二号、同規則一四―七第五項第一号、第六項第一三号、第一七号に、脱法文書頒布の点は包括して公職選挙法第二四三条第五号、第一四六条第一項に、法定外文書頒布の点は包括して同法第二四三条第三号、第一四二条にそれぞれ該当するところ、右国家公務員法違反と脱法文書頒布および法定外文書頒布とはそれぞれ一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるから、刑法第五四条第一項前段、第一〇条により、結局、以上を一罪として最も重い国家公務員法違反の罪の刑で処断すべく、その所定刑中罰金刑(ただし寡額は脱法文書頒布の罪の刑のそれによる。)の範囲内で、諸般の事情を考慮して、被告人を罰金八万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法第一八条により、金一、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により、公職選挙法第二五二条第四項により同条第一項所定の選挙権および被選挙権を有しない期間を三年間に短縮することとする。
(一部無罪の理由)
第一、本件公訴事実中、被告人が昭和四六年六月五日頃岡山市古京町一丁目七番三六号三光荘において中村治夫に対し、判示(二)の室内用ポスター(法定外)五枚位を頒布するとともに、人事院規則に定める政治的行為をしたとの点については、被告人は第一回公判廷においてこれを認めている(ただし同人の検察官に対する昭和四六年七月九日付供述調書では、誰が何枚位持つて行つたかは明らかでないように述べている。)が、補強証拠がない(中村治夫の検察官に対する供述調書には「私は持帰つても貼る適当な場所もないので受取りませんでした。」とある。)ので、犯罪の証明がないことに帰すが、この事実は判示所為と包括一罪の関係にあるものとして起訴されたものと認められるから、主文において無罪の言渡をしない。
第二、本件公訴事実中、別紙一覧表(三)記載のとおり、昭和四六年六月八日頃から同月一七日頃までの間、前後一〇回にわたり、公職選挙法第一四二条の禁止を免れる行為として、岡山市中山下二丁目一番一号岡山中央郵便局外四箇所において、選挙人である万波省三外一一名に対し、判示したような宣伝用小型マッチ合計一万五、六三〇個を選挙人への頒布方を依頼して交付し、もつて脱法文書を頒布するとともに、国家公務員であるのに特定の候補者を支持する目的で、人事院規則に定める政治的行為をしたとの点については、次の理由で犯罪の証明がないことに帰するが、この事実は判示所為と包括一罪の関係にあるものとして起訴されたものと認められるので、主文において無罪の言渡をしない。
一、本件の概要
〈証拠・略〉を総合すると、次の事実が認められる。
(一) 特定郵便局長の任意的団体として、全国的には全国特定郵便局長会(全特と略す。)が、中国地方には中国地方特定郵便局長会(中特と略す。)が、岡山県には中特の一五の下部組織のうち備前地区(会長被告人)、備中地区(会長頃末通夫寄島特定郵便局長)、美作地区(会長山本三男加茂特定郵便局長)各特定郵便局長会(地区会と略す。)があり、備前地区会の下部組織としては九部会があつてそれぞれ部会長を擁している。また、備前地区会では会長、副会長、理事および部会長をもつて役員会を構成している。
(一)(1) 昭和四六年六月二七日施行の参議院議員選挙に際し、全特では、全国区から立候補した全特の顧問西村尚治を組織をあげて応援することとした。
(2) 被告人は、公職選挙法第一四二条の禁止を免れ、西村候補の名前を印象づける方法として、実在する西村という名の店の宣伝マッチを作つて配布することを考え、仕事上懇意な岸本堅に対し、西村という名で宣伝マッチを配つている店があつたら教えてほしい旨依頼していたが、同年五月下旬頃同人の紹介で岡山市清輝橋一丁目七番地西村電機商会に西村喜吉を訪れ、西村候補の選挙運動のために同店名義の宣伝マッチを作つて配ることの了解を得たうえ、自ら判示したような図案を考えて右岸本に渡し、四、〇〇〇個のマッチを製造するよう中外商事株式会社に手配することを依頼した。
(3) その数日後、被告人が、広島市の中特会館で前記頃末に出会つた際、右の経過を話したところ、同人は、備中地区でも、同じ方法をとりたいので四、〇〇〇個注文すると言い、さらにその後被告人に対して電話で三、〇〇〇個追加注文してきた。同じ頃、被告人が同市中山下二丁目一番一号岡山中央郵便局に万波省三庶務課長を訪れた際、右の経過を話したところ、岡山中央郵便局でも使いたいから五、〇〇〇個一緒に作つてほしいと言われた。そこで被告人は、同年六月四日頃前記中外商事に対し、一万二、〇〇〇個追加注文した。
(4) さらに同月六日、七日頃前記山本に架電して右の経過を話したところ、美作地区の分として一、〇〇〇個注文するとのことであつたので、被告人は、中外商事に対し、予備の分を見込んで四、〇〇〇個追加注文するとともに、内一、〇〇〇個は中外商事から加茂郵便局に直送してくれるように依頼した。
(5) 中外商事からは、同市津島九六四番地岡山津島郵便局に、同月八日に一万六、〇〇〇個、同月一二日に三、〇〇〇個、岡山県苫田郡加茂町塔中三三番地加茂茂郵便局に同月一五日頃に一、〇〇〇個それぞれ納品された。被告人から予め指示を受けていた岡山津島郵便局員赤松毅は、配達人をして、同月八日同日納品分のうち一万二、〇〇〇個を直ちに岡山中央郵便局へ届けさせ、同局において、前記万波に五、〇〇〇個引渡し、その翌日頃前記頃末の命を受けとりに来た国本泰造に七、〇〇〇個引渡した。
(三)(1) 一方被告人は、同年五月二九日岡山市明治生命ビルで開かれた備前地区会総会の席上、「今回の参院選で、特定郵便局長会として西村候補を推せんすることになつたので、同候補が当選できるよう頑張つてもらいたい。前回よりも多く票を取らないとだめなので、局長一人宛五〇票位集めてもらいたい。」旨挨拶し、次いで同年六月五日同市中古京町三光荘で開かれた役員会の席上、西村候補を当選させるために頑張つてほしいとの挨拶に続いて、「西村というバッテリー屋の広告マッチを作らせているので、これが出来たら連絡するから、それを各理事や部会長ができるだけ多くの人に配つてもらいたい。」旨挨拶した。この役員会には、長谷川好孝、尾崎正、西崎多郎、木村資郎、今中高二、片山元、中村治夫、原幸雄その他の者が出席していたが、被告人の挨拶に対しては、多少質問が出た程度で特段の反対意見はなく、その場に居たほとんど全員が「やりましよう。」と言つてこれに賛成した。
(四)(1) 被告人は、同月八日成本武男和田特定郵便局長兼児島東部会副部会長が岡山津島郵便局へ立寄つた際、同人から児島東部会には一五局長いることを聞き、「これは児島東部会の分だから頼む。一つの局に二袋ずつ配つてほしい。西村というバッテリー屋は岡山市内に実在する店で、ここの名前を使うことは承諾してもらつているんじや。」と言つて三〇袋六〇〇個の本件マッチを渡し、同人も了承してこれを受けとり、その後依頼の趣旨に従つて配布した。
(2) 被告人は、同月七日と八日に電話で長谷川好孝和気特定郵便局長兼備前地区会副会長、尾崎正岡山上伊福特定郵便局長兼同地区会理事および西崎多郎野谷特定郵便局長兼同地区会理事に対し、奨励物資を御津部会の特定郵便局へ配るとともに選挙の票読みをすることを依頼していたが、同月九日右長谷川および尾崎が各局を廻るに先立つて岡山津島郵便局へ立寄つた際、「例のマッチが出来たから廻るついでに各局へ配つてもらいたい。西崎野谷局長にも加勢を頼んでいるから三人で廻つて選挙の督励をしてもらいたい。」と言つて、本件マッチ四〇〇個位を渡した。
右両名は特定郵便局に右マッチを配りながら、野谷局で西崎と合流し、さらに御津部会に属する残りの局全部と赤磐部会に属する四局を廻つて右マッチを配つた。そして、当日別れる際、長谷川と尾崎は、「明日は二人で赤磐部会に属する残りの局を廻ろう。」と約束した。
(3) 翌一〇日右長谷川と尾崎は、岡山津島郵便局に会い、被告人から本件マッチ二〇〇個位を受けとり、赤磐部会に属する残りの局に配つて廻つた。
(4) 同月一二、三日頃片山元下土井特定郵便局長兼備前地区会副会長と今中高二神崎特定郵便局長兼邑久部会会長は、同月一五日に保険の督励などのために邑久部会の特定郵便局を廻ることにし、同月一四日頃片山から被告人にその旨伝えた。そこで被告人は、「マッチができているので、ついでに西崎野谷局長も頼んで配つてくれ。」と依頼した。片山はその旨西崎に伝え、翌一五日西崎と共に岡山市西大寺東片岡一、〇七七番地神崎特定郵便局に今中高二を訪れたが、被告人からマッチを受けとるのを忘れてしまつた。これに気づいた被告人は、前記赤松をして本件マッチ三三〇個位を神崎局に届けさせて右三名に渡し、右三名は邑久部会所属郵便局長に配つて廻つた。
(5) 被告人は、同月一四日頃前記長谷川に電話で、「明日岡山南部会を廻つてもらおうと思つているので来てほしい。」と連絡するとともに、翌一五日木村資郎奥田特定郵便局長兼岡山南部会部会長に電話で、「これから君の局へ長谷川が行くから、二人で岡山南部会の各局を廻つて奨励物資を配るとともに選挙情勢も聞いてほしい」と連絡し、同日岡山津島郵便局を訪れた長谷川に、「すまぬが岡山南部会を木村部会会長と廻つてほしい。木村には連絡ずみだから。」と言つて、本件マッチ三〇〇個位を渡し、右長谷川と木村は、同日翌一六日の二日にわたつて右マッチを岡山南部会所属特定郵便局長に配つて廻つた。
(6) 被告人は、同月一四日頃岡山津島郵便局を訪れた中村治夫奉還町特定郵便局長兼岡山北部会部会長に対し本件マッチ三八〇個位を渡し、「このマッチを持つて帰つて各局に配つてほしい。」と依頼し、同人はその後同部会所属の各局に配つて廻つた。
(7) 被告人は、同月一六日頃電話で原幸雄塩生特定郵便局長兼児島西部会部会長に対し、「明日西村候補の宣伝車が行くから、手のすいている者は午後三時半頃味野の大正橋のところへ出迎えてくれ、そのとき例のマッチをことづけるから。」と指示し、翌一七日倉敷市味野一丁目四番二三号付近路上において某特定郵便局長を通じて同人に対し本件マッチ二六〇個位を渡し、同人は、被告人の意図が児島西部会所属特定郵便局長に右マッチを配ることにあることを察知し、これに加担する意図のもとに右マッチを受けとり、その後右趣旨に従つてこれを配布した。
二、公職選挙法違反および国家公務員法違反の成否
以上認定した事実に基づいて考えるに、
(一)(1) 頃末通夫、山本三男および万波省三は、被告人から脱法文書である前記マッチを配布して西村候補を当選させるための活動をする考えを聞き、積極的にこれに加担する意図で自己の分を注文しているのであつて、脱法文書頒布について被告人と共謀関係にあり、前認定(二)、(5)のように、被告人が右三名に本件マッチを引渡した行為は、いずれも共謀者間の授受にあたるというべきである。
(2) 右三名以外の者に対する関係について考えるに、昭和四六年六月五日の役員会における被告人の発言に対し、出席者から積極的な反対意見はなく、ほとんど全員が「やりましよう。」と言つてこれに同調した段階において、本件マッチができあがつた場合にはこれを頒布することについての一応の合意が成立し、それができあがつた後に、前認定のように被告人が頒布方を依頼して引渡した段階で共謀が確定的となつたとみるべきである。ところで、右のうち尾崎正は、右役員会において被告人がマッチの話をしたようにも思うが、他に気にかかることがあつたのではつきり聞いていないと述べている(同人の検察官に対する昭和四六年七月一三日付供述調書謄本)が、それ以前に既にその話を聞いており(右供述調書謄本)、前認定のとおり積極的に配布行為にも参加しているのであるから、他の者と同様に共謀関係が成立していると考えてよい。また原幸雄は、右役員会を早く退席したためマッチの話を聞いていないが、それ以前に被告人からマッチを作つている話をされたうえ「作つたら送るから利用してくれ。」とまで言われている(同人の検察官に対する同月一九日付供述調書謄本)のであるから、前認定のように被告人の指示を受け、被告人の意図を察知し、これに加担する意図のもとに本件マッチを受領した時点で、被告人と共謀関係に入つたものと言うべきである。さらに成本武男は右役員会に出席しておらず、事前にマッチの話を聞いていた形跡もない。しかし、被告人が同人に本件マッチを渡すときには、児島東部会所属郵便局の数を聞いたうえ、一局当りの個数も示してその配布方を依頼していることからすると、同人は被告人のいわば手足ともいえるような使者に当るのではないかとの疑問さえ生ずるが、同人が児島東部会副部会長という地位あり、同年五月二九日の総会に出席して被告人の話を聞き、同人自身も西村候補を積極的に応援する気持でいたこと(同人の検察官に対する供述調書謄本)などからすると、やはり被告人から経過の説明を受けて本件マッチを渡される時に共謀関係に入つたとみるのが相当である。。そうすると、被告人が前記三名以外の者に本件マッチを引渡した行為もまた、いずれも共謀者間の授受にあたるというべきである。
(二) そこで、公職選挙法第一四六条第一項所定の脱法文書を共謀者間で授受した場合に、頒布罪が成立するかどうかが問題となるが、形式犯である脱法文書頒布罪に関しては、実質犯である買収事犯における交付、受交付の行為に相当するものの処罰規定がなく、法は共謀者間におけるかかる文書の授受をも処罰の対象としているものとは考えられないから、このような文書の授受は、頒布行為のいわゆる内部的な準備行為としての所持の移転にすぎず、頒布罪を構成しないものと解するのが相当である。
(三)、次に、右各共謀者間の文書の授受が、人事院規則一四―七第六項第一三号(そして第一七号)の「配布」に当るかどうかが問題となる。国家公務員法および右規則の立法趣旨は、公職選挙法との関係で前述したことがそのまま妥当するものではないことは当然であるけれども、共謀者間の文書の授受が、その文書をして予定された効果を発揮させるための内部的な準備行為であることに変りはない。国家公務員法第一〇二条が政治活動を制限することとした理由が「国家公務員法の適用をうける一般職に属する公務員は、その職務の遂行にあたつては、厳に政治的に中立の立場を堅持し、いやしくも一部の階級若しくは一派の政党又は政治団体に偏することを許されないのであり、かくしてはじめて、一般職に属する公務員が憲法一五条にいう全体の奉仕者である所以も全うせられ、また政治にかかわりなく法規の下において民主的且つ能率的に運営せらるべき行政の継続性と安定性が確保されうる。」ことにある(最高裁判所大法廷昭和三三年三月一二日判決刑集一二巻三号五〇一頁)としても、反面、公務員が国民として享有する権利もまた可能な限り尊重されなければならないところであるから、公務員の政治的活動を禁ずる規定の解釈にあたつては、公務員の国民としての権利を不必要に制限しないように意を用いる必要がある。この観点からすると、前記「配布」は、内部的な準備行為としての段階を含まず、文書をいわば外部の者に交付し、その予定された効果を発揮しうる状態に置くことを指称するものと解するのが相当であり、このように解しても前記立法趣旨を十分全うしうるものと思料する。そうすると被告人の前記行為は、前記規則第六項第一三号の「配布」に当らず、従つて同項第一七号にも当らず、国家公務員法第一〇二条第一項にも違反しないものと言わなければならない。
三、結論
以上述べた理由により、被告人の別紙一覧表(三)の行為は、結局、犯罪の証明がないことに帰する。
よつて主文のとおり判決する。
(瀬戸正義)
別紙一覧表省略
「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例一覧
(101)昭和56年12月23日 名古屋高裁 昭56(行ケ)2号
(102)昭和56年12月21日 福岡地裁 昭34(ワ)765号 雇傭関係存在確認等請求事件
(103)昭和56年 8月10日 高松高裁 昭55(行ケ)1号 選挙無効裁決取消請求事件
(104)昭和56年 7月 9日 東京地裁八王子支部 昭49(特わ)242号 公職選挙法違反被告事件
(105)昭和56年 6月17日 東京高裁 昭55(行ケ)368号 当選無効請求事件
(106)昭和56年 6月15日 最高裁第二小法廷 昭55(あ)874号 公職選挙法違反被告事件 〔戸別訪問禁止違憲事件・差戻前上告審〕
(107)昭和56年 5月30日 大阪地裁 昭49(わ)2174号 公職選挙法違反被告事件 〔糸山派選挙違反事件〕
(108)昭和56年 4月23日 東京地裁 昭55(ワ)8860号 損害賠償請求事件
(109)昭和56年 3月27日 大阪地裁 昭49(わ)2174号 公職選挙法違反被告事件
(110)昭和55年10月 3日 仙台高裁 昭54(行ケ)2号 町議会議員一般選挙の当選の効力に関する裁判取消、当選決定処分有効確認請求事件
(111)昭和55年 6月24日 千葉地裁 昭54(わ)1292号 公職選挙法違反事件 〔宇野派選挙違反事件・第一審〕
(112)昭和55年 4月22日 大阪高裁 昭55(行ケ)2号 町議会議員の当選の効力に関する裁決取消請求事件
(113)昭和55年 2月29日 最高裁第三小法廷 昭54(あ)809号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件 〔「殺人シール」事件・上告審決定〕
(114)昭和55年 2月 1日 神戸地裁 昭49(わ)502号 公職選挙法違反事件 〔糸山派選挙違反事件・第一審〕
(115)昭和54年10月 9日 東京高裁 昭53(行ケ)180号 裁決取消請求事件
(116)昭和54年 3月20日 東京高裁 昭53(う)1253号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(117)昭和54年 1月26日 東京高裁 昭53(う)1056号 公職選挙法違反被告事件
(118)昭和54年 1月24日 松江地裁出雲支部 昭51(わ)43号 公職選挙法違反被告事件 〔戸別訪問禁止違憲事件〕
(119)昭和53年11月 2日 岸和田簡裁 昭46(ろ)104号 公職選挙法違反被告事件
(120)昭和53年 7月10日 最高裁第一小法廷 昭53(行ツ)58号 裁決取消請求事件
(121)昭和53年 4月17日 東京地裁 昭52(刑わ)2736号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(122)昭和53年 2月28日 東京高裁 昭51(行ケ)59号 裁決取消請求事件
(123)昭和53年 1月26日 最高裁第一小法廷 昭52(あ)308号 公職選挙法違反被告事件
(124)昭和52年12月23日 福岡高裁那覇支部 昭52(行ケ)1号 町長選挙無効等確認請求事件
(125)昭和52年12月22日 神戸地裁柏原支部 昭48(わ)4号 公職選挙法違反被告事件
(126)昭和52年10月27日 大阪高裁 昭52(行ケ)2号
(127)昭和52年 6月16日 福岡高裁 昭50(行ケ)4号 町議会議員選挙無効の裁決の取消請求事件
(128)昭和52年 3月15日 仙台高裁 昭50(う)38号 公職選挙法違反事件 〔岩手県南バス労組員選挙違反事件〕
(129)昭和52年 2月24日 東京地裁 昭45(行ウ)4号 懲戒戒告処分取消請求事件 〔全国税東京足立分会事件〕
(130)昭和51年12月24日 最高裁第二小法廷 昭51(あ)192号 公職選挙法違反被告事件
(131)昭和51年 9月30日 最高裁第一小法廷 昭51(行ツ)49号 選挙無効請求事件
(132)昭和51年 6月30日 最高裁第二小法廷 昭50(行ツ)106号 町長当選の効力に関する裁決取消請求事件
(133)昭和51年 4月28日 名古屋高裁 昭45(行コ)14号 損害賠償請求控訴事件
(134)昭和51年 3月11日 最高裁第一小法廷 昭50(あ)1957号 公職選挙法違反被告事件
(135)昭和51年 2月25日 東京高裁 昭50(行ケ)127号 選挙無効請求事件
(136)昭和50年12月11日 東京高裁 昭50(う)1324号 公職選挙法違反被告事件
(137)昭和50年12月10日 大阪高裁 昭50(う)697号 公職選挙法違反被告事件
(138)昭和50年 8月20日 大阪高裁 昭47(う)1086号 公職選挙法違反被告事件
(139)昭和50年 6月 4日 東京簡裁 昭50(ろ)82号 公職選挙法違反被告事件
(140)昭和50年 3月 3日 東京地裁 昭47(行ウ)160号 損害賠償請求事件
(141)昭和50年 2月21日 大阪高裁 昭48(う)394号 公職選挙法違反被告事件
(142)昭和50年 2月 5日 盛岡地裁 昭47(わ)35号 公職選挙法違反被告事件
(143)昭和49年12月23日 最高裁第二小法廷 昭49(行ツ)53号 町議会議員選挙に関する裁決取消請求事件
(144)昭和49年11月 6日 最高裁大法廷 昭44(あ)1501号 国家公務員法違反被告事件 〔猿払事件・上告審〕
(145)昭和49年 8月29日 札幌高裁 昭49(う)17号 公職選挙法違反被告事件
(146)昭和49年 5月21日 広島高裁岡山支部 昭48(う)124号 公職選挙法違反事件
(147)昭和49年 4月24日 仙台高裁 昭47(行ケ)2号 町議会議員選挙の効力に関する訴願裁決取消請求事件
(148)昭和49年 2月19日 仙台高裁秋田支部 昭48(う)13号 公職選挙法違反被告事件
(149)昭和48年 9月26日 名古屋高裁 昭47(行ケ)4号 市議会議員当選の効力に関する訴願裁決取消請求事件
(150)昭和48年 9月13日 名古屋高裁 昭47(う)510号 公職選挙法違反被告事件
(151)昭和48年 3月30日 名古屋地裁豊橋支部 昭42(わ)347号 国家公務員法違反被告事件
(152)昭和48年 3月29日 仙台地裁 昭42(わ)120号 公職選挙法違反被告事件
(153)昭和48年 3月 1日 大阪地裁 昭43(わ)2537号 公職選挙法違反被告事件
(154)昭和47年12月22日 東京高裁 昭46(行ケ)100号 裁決取消請求及び同参加事件
(155)昭和47年 8月10日 岡山地裁 昭46(わ)507号 国家公務員法違反・公職選挙法違反被告事件
(156)昭和47年 5月25日 京都地裁 昭40(わ)1209号 公職選挙法違反被告事件
(157)昭和47年 4月10日 東京高裁 昭45(う)1795号 公職選挙法違反被告事件
(158)昭和47年 1月28日 高松高裁 昭46(行ケ)2号 選挙の効力に関する裁決に対する不服請求事件
(159)昭和46年 8月27日 大阪高裁 昭46(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(160)昭和46年 3月11日 大阪高裁 昭46(行ス)2号 行政処分執行停止申立却下決定に対する即時抗告申立事件
(161)昭和45年12月 7日 仙台高裁秋田支部 昭44(行ケ)1号 村議会議員一般選挙における当選の効力に関する裁決取消請求事件
(162)昭和45年11月 7日 名古屋地裁 昭43(わ)1271号 公職選挙法違反被告事件
(163)昭和45年10月13日 東京地裁八王子支部 昭41(ワ)331号 損害賠償請求事件
(164)昭和45年 9月25日 大阪高裁 昭43(う)1525号 公職選挙法違反被告事件
(165)昭和45年 7月16日 東京高裁 昭43(行ケ)99号 選挙の効力に関する訴訟事件
(166)昭和45年 6月11日 東京高裁 昭44(行タ)3号 裁決取消請求事件
(167)昭和45年 4月24日 水戸地裁 昭43(わ)305号 公職選挙法違反被告事件
(168)昭和44年 6月14日 東京地裁 昭40(特わ)555号 国家公務員法違反、公職選挙法違反被告事件 〔総理府統計局事件・第一審〕
(169)昭和44年 3月18日 最高裁第三小法廷 昭43(あ)487号 公職選挙法違反被告事件
(170)昭和43年12月25日 佐賀地裁 昭42(わ)26号 公職選挙法違反被告事件
(171)昭和43年12月 2日 東京高裁 昭43(う)1736号 公職選挙法違反被告事件
(172)昭和43年11月11日 大阪高裁 昭43(う)322号 公職選挙法違反被告事件
(173)昭和43年 9月17日 福岡高裁 昭42(行ケ)12号 町長選挙の当選の効力に関する裁決取消並びに当選無効請求事件
(174)昭和43年 6月 6日 東京地裁 昭42(行ウ)213号 行政処分取消請求事件 〔練馬区長準公選事件〕
(175)昭和43年 5月31日 名古屋高裁金沢支部 昭42(行ケ)1号 町議会議員選挙の当選効力に関する審査申立に対する裁決取消
(176)昭和43年 4月12日 東京地裁 事件番号不詳 公職選挙法違反被告事件
(177)昭和43年 3月25日 旭川地裁 昭42(わ)16号 国家公務員法違反被告事件 〔いわゆる猿払事件・第一審〕
(178)昭和43年 2月12日 東京高裁 事件番号不詳 公職選挙法違反被告事件
(179)昭和43年 1月25日 高松高裁 昭42(う)59号 公職選挙法違反被告事件
(180)昭和42年11月20日 伊丹簡裁 昭42(ろ)6号 公職選挙法違反被告事件
(181)昭和42年10月20日 東京高裁 昭42(行ケ)34号 選挙無効等確認請求事件
(182)昭和42年 8月 8日 高松高裁 昭40(う)240号 公職選挙法違反被告事件
(183)昭和42年 5月30日 大阪高裁 昭41(ネ)427号 損害賠償及び慰謝料請求控訴事件
(184)昭和42年 5月23日 福岡高裁 昭41(う)853号 公職選挙法違反被告事件
(185)昭和42年 4月27日 東京地裁 昭40(特わ)594号 公職選挙法違反被告事件
(186)昭和42年 1月25日 東京地裁 昭40(特わ)589号 公職選挙法違反被告事件
(187)昭和41年10月31日 広島高裁 昭41(う)120号
(188)昭和41年10月24日 東京高裁 昭38(ナ)6号 裁決取消、選挙無効確認併合事件 〔東京都知事選ニセ証紙事件・第二審〕
(189)昭和41年 9月28日 東京高裁 昭41(う)1371号 公職選挙法違反被告事件
(190)昭和41年 9月16日 東京高裁 昭40(う)2319号 公職選挙法違反被告事件
(191)昭和41年 5月10日 東京高裁 昭38(ナ)23号 選挙無効事件
(192)昭和41年 4月28日 東京高裁 事件番号不詳 公職選挙法違反被告事件
(193)昭和40年11月29日 大阪高裁 昭40(行ケ)1号 当選無効請求事件
(194)昭和40年11月26日 東京高裁 昭39(う)642号 公職選挙法違反被告事件
(195)昭和40年11月 5日 東京高裁 昭40(う)353号 公職選挙法違反被告事件
(196)昭和40年 6月 5日 松山地裁 昭38(わ)68号 公職選挙法違反被告事件
(197)昭和40年 4月27日 大阪高裁 昭38(ナ)4号 裁決取消請求事件
(198)昭和40年 2月 5日 最高裁第二小法廷 昭39(あ)2106号 公職選挙法違反被告事件
(199)昭和39年12月20日 大阪高裁 昭39(う)1338号
(200)昭和39年12月15日 東京地裁 昭38(刑わ)2385号 公職選挙法違反、公記号偽造、公記号偽造行使等事件
(201)昭和39年12月 7日 千葉地裁 昭37(わ)297号 公職選挙法違反各被告事件
(202)昭和39年11月18日 東京高裁 昭39(う)1173号 公職選挙法違反被告事件
(203)昭和39年10月14日 福岡高裁 昭37(ナ)3号 市長選挙の当選の効力に関する訴願裁決取消請求事件
(204)昭和39年 8月31日 大阪高裁 昭39(う)643号 公職選挙法違反被告事件
(205)昭和39年 5月22日 大阪高裁 昭38(ナ)10号 当選無効請求事件
(206)昭和39年 5月22日 大阪高裁 事件番号不詳 当選無効請求事件
(207)昭和39年 5月 9日 福岡高裁 事件番号不詳 市長選挙の当選の効力に関する訴願裁決取消請求事件
(208)昭和39年 4月30日 大阪高裁 昭38(ナ)9号 選挙並びに当選無効事件
(209)昭和39年 3月11日 東京高裁 昭38(う)2547号 公職選挙法違反被告事件
(210)昭和39年 2月26日 東京高裁 昭38(う)2109号 公職選挙法違反被告事件
■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
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(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
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ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。
(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
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(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!
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