政治と選挙Q&A「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例(72)平成21年 6月25日 東京地裁 平18(ワ)17391号 損害賠償等請求事件
政治と選挙Q&A「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例(72)平成21年 6月25日 東京地裁 平18(ワ)17391号 損害賠償等請求事件
裁判年月日 平成21年 6月25日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平18(ワ)17391号
事件名 損害賠償等請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2009WLJPCA06258001
要旨
◆野党第一党(当時)所属のA議員に対し、IT企業社長のBが与党幹事長(当時)Cの次男へ送金を指示したとされるメール文書を提供した原告X1と、同原告が代表取締役を務めていた原告会社が、被告の発行する週刊誌に掲載された記事によって、名誉あるいは信用を毀損されたと主張して、被告に対し不法行為に基づく損害賠償及び謝罪文の掲載を求めた事案において、本件記事には、原告らの社会的評価を低下させ、かつその真実性やそう信じることについての相当性が認められない部分や、論評としての域を逸脱した部分があるとして、慰謝料の支払を命じたが、謝罪文の掲載は認められなかった事例
参照条文
民法709条
民法710条
民法723条
裁判年月日 平成21年 6月25日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平18(ワ)17391号
事件名 損害賠償等請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2009WLJPCA06258001
東京都目黒区〈以下省略〉
原告 X1
さいたま市〈以下省略〉
原告 株式会社X2
同代表者代表取締役 C
上記両名訴訟代理人弁護士 弘中惇一郎
同 和久田修
同 飯田正剛
X1訴訟代理人弁護士 河村健夫
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 株式会社新潮社
同代表者代表取締役 D
同訴訟代理人弁護士 岡田宰
同 広津佳子
同 杉本博哉
主文
1 被告は,原告X1に対し,165万円及びこれに対する平成18年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告X1のその余の請求及び原告株式会社X2の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は,原告X1に生じた費用の20分の19と被告に生じた費用の100分の57を原告X1の負担とし,原告株式会社X2に生じたすべての費用と被告に生じた費用の5分の2を原告株式会社X2の負担とし,原告X1に生じたその余の費用及び被告に生じたその余の費用を被告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1 被告は,原告X1(以下「原告X1」という。)に対し,3300万円及びこれに対する平成18年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告株式会社X2(以下「原告会社」という。)に対し,2200万円及びこれに対する平成18年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告は,「○○○○」誌上において,別紙1「謝罪文」を1頁全部を使用して掲載せよ。
第2 事案の概要
本件は,民主党に所属していたE1衆議院議員(以下「E1元議員」という。)に対し,E2(以下「E2」という。)が自由民主党の当時の幹事長であったE3(以下「E3元幹事長」という。)の二男に対する3000万円の送金を指示したとされるメール文書(以下「本件メール」という。)を提供した原告X1と,同原告が代表取締役を務めていた原告会社が,被告が発行する「○○○○」平成18年3月2日特大号,同月9日特大号及び同年4月6日号の各誌上に掲載された記事によって,名誉あるいは信用が毀損されたとして,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,各賠償金及びこれらに対する不法行為の後(訴状送達の日の翌日)である平成18年9月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払並びに謝罪文の掲載を求める事案である。
1 前提となる事実(証拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)
(1) 当事者
ア 原告X1(旧姓は「A」であったが,平成19年4月12日,養子縁組により改姓した。)は,フリーの雑誌記者として活動していた経歴を有し,E1元議員が平成18年2月16日の衆議院予算委員会において公開した本件メールを同議員に対して提供した者である。
原告会社は,放送番組の企画及び制作並びに出版物,電子出版物の企画及び販売等を目的として平成13年5月30日に設立された会社である(なお,設立当時の商号は,有限会社aであったが,平成16年4月1日に株式会社bに組織変更した上,平成16年8月16日に株式会社cに,平成17年9月1日に株式会社X2に,それぞれ商号を変更した。)。原告X1は,平成19年4月13日まで,その代表取締役を務めていた。原告会社は,平成17年10月及び11月に,雑誌「△△△△」の創刊号及び第2号を発行した(甲6,7,9の1から5,原告X1)。
イ 被告は,書籍及び雑誌の出版等を目的とする株式会社であり,週刊誌である「○○○○」を発行している。
(2) 本件メールをめぐる経緯
E1元議員は,平成18年2月16日の衆議院予算委員会において,本件メールを示して,E2がE3元幹事長の二男名義の口座に3000万円を送金したとの疑惑を追及した。ところが,後に,本件メールはE2が送信したものではないことが判明し,国会及びマスコミは連日のように,この問題を取り上げることとなった。
このような状況の下で,E1元議員は,同年3月24日,衆議院懲罰委員会の席上で,正式に,本件メールの提供者が原告X1であることを明らかにし,同委員会は,同月29日,原告X1を証人として喚問することを決定した。
しかし,同月31日,E1元議員が議員辞職を表明したため,同委員会は,同年4月3日,原告X1に対する証人喚問を取りやめることを決定した。
(3) 「○○○○」誌上における原告X1に関する各記事の掲載
ア 被告は,平成18年2月23日に発売された「○○○○」同年3月2日特大号に,「『謀略メール』をE1議員に渡した『札つき記者』の正体[特集]」との見出しで,別紙2のとおりの記事(以下「本件記事1」という。)を掲載した。
本件記事1には,別紙5の「記事1について」のうち「名誉毀損部分(請求原因)」欄記載の各記述が含まれている(以下,同名誉毀損部分1から7を「本件記事1番号1の記述」から「本件記事1番号7の記述」という。)。
イ 被告は,「○○○○」同年3月9日特大号に,「『民主崩壊』メールE1議員が語った『私はこうして騙された』」との見出しで,別紙3のとおりの記事(以下「本件記事2」という。)を掲載した。
本件記事2には,別紙5の「記事2について」のうち「名誉毀損部分(請求原因)」欄記載の各記述が含まれている(以下,同名誉毀損部分1から6を「本件記事2番号1の記述」から「本件記事2番号6の記述」という。)。
ウ 被告は,「○○○○」同年4月6日号に,「[特集]E1議員が金欠『ガセメール記者』に渡していたという『100万円』情報」との見出しで,別紙4のとおりの記事(以下「本件記事3」といい,「本件記事1」から「本件記事3」を合わせて「本件各記事」という。)を掲載した。
本件記事3には,別紙5の「記事3について」のうち「名誉毀損部分(請求原因)」欄記載の各記述が含まれている(以下,同名誉毀損部分1から6を「本件記事3番号1の記述」から「本件記事3番号6の記述」といい,本件記事1番号1の記述から本件記事3番号6の記述の全てを合わせて「本件各記述」という。)。
2 争点
(1) 本件各記述は,原告X1の社会的評価を低下させるものであるかどうか。
なお,本件記事1番号2の記述のうち別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(ア)から(ク)記述部分,同番号3,同番号4,同番号5の各記述,同番号6の記述のうち「六本木ヒルズに事務所を構えたと吹聴していたのですが,結局,全くのデタラメでした」との記述部分,同番号7,本件記事2番号4の各記述,同番号5の記述のうち別紙5中「記事2について」の番号5の「被告の反論」欄記載の(ア)から(ケ)記述部分,同番号6の記述のうち「A氏に確認したところ,話がだんだんあやふやになって来て,問い詰めたらメールも本物かどうか分からない。おまけに,E4さんも実在するのか怪しくなってきたのです」との記述部分,本件記事3番号3の記述のうち「Aは,“情報源の元d社員は,真相を明らかにすることによって,E2サイドから追われる身になるし,身の危険がある。身を隠すためにはホテル代をはじめさまざまな経費がかかる”と言って,E1からカネを引き出した」との記述部分,同番号4の記述のうち「パイロット版の出来があまりにもお粗末だったことから,3月に予定されていた創刊号の広告出稿も苦戦していた。台所事情は相当苦しかったはずで,“自己実現”どころの騒ぎではなかったはずですよ」との記述部分,同番号5の記述のうち「2月にAから連絡があったのだそうです。目的は子供名義で作っていた口座の預金を何とかしたいということ。前妻は子供のための預金だからと,それを断ったそうですが,お金には相当困っていたようなのです」との各記述部分及び同番号6の記述が,原告X1の名誉を毀損するものであることは,被告もこれを争わない。
(2) 本件各記述は,原告会社の信用を毀損するものであるかどうか。
(3) 本件各記述により摘示された事実が真実であるかどうか,又は,被告においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があったかどうか。本件各記事は公正な論評であるかどうか。
(4) 原告らの受けた損害はどの程度か。
3 争点に対する当事者の主張
(1) 争点(1)について
ア 原告らの主張
本件各記述が,原告X1の社会的評価を低下させ,名誉毀損に該当する理由は,別紙5の「名誉毀損となる理由」欄記載のとおりである。
イ 被告の主張
本件各記述の名誉毀損性については,別紙5の「被告の反論」欄記載のとおりである。
(2) 争点(2)について
ア 原告らの主張
本件記事3番号4の記述は,原告会社は資金繰りが苦しい会社であるとの印象を読者に与え,原告会社の社会的信用を毀損するものである。
また,原告会社は,原告X1が代表取締役を務めていたが,本件メールに関する一連の騒動により原告X1に社会の注目が過度に集中したため,原告X1と原告会社が一体のものとして評価されてしまった結果,本件各記事により,原告会社が「ガセメール記者」である原告X1の会社であると読者に印象付けられ,原告会社の信用が毀損された。
イ 被告の主張
本件各記述は,本件記事3番号4の記述を除いて,原告X1に関するものであって,原告会社に関するものではないところ,法人の代表者に対する名誉毀損が法人に対する名誉毀損となるのは,記述,論評された代表者に関する事実が法人の業務執行又はそれと密接に関連する場合に限られるというべきであり,本件各記述が摘示する事実はいずれもこれに当たらないから,何ら原告会社の社会的評価を低下させるものではない。そもそも,一般読者は,原告会社の存在すら知らず,原告X1が原告会社を経営していたことも知らないから,原告X1と原告会社が一体のものとして評価されてしまうことはない。
(3) 争点(3)について
ア 被告の主張
本件各記述は,別紙5の「公共性 公益目的」欄記載のとおり,いずれも公共の利害に関する事実に係り,その目的は専ら公益を図ることにある。
また,本件各記述は,別紙5の「真実性・相当性」欄記載のとおり,いずれも,摘示された事実が真実であり,または,被告においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があり,もしくは,公正な論評である(なお,本件記事3番号2の記述は,そもそも,原告X1の社会的評価を低下させるものではないから,公共性及び公益目的の有無さらには真実性・相当性の有無を論じるまでもない。)。
イ 原告らの主張
本件各記述は,摘示された事実が真実であり,または,被告においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があり,もしくは,公正な論評であるとの原告らの上記主張は,否認し,争う(ただし,別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(カ)記述部分が真実であることは積極的に争うものではない。)。
(4) 争点(4)について
ア 原告らの主張
(ア) 原告X1は,本件各記事の掲載により,原告会社の営業が全くできなくなり,さらに,原告X1が資金繰りに苦しんでいるとの評価が社会的に定着してしまったため,建設中の自宅の住宅ローンの融資が止められたり,取引していた証券会社の口座も停止されるなどの被害を被ったほか,PTSDに罹患しているとの診断を受けるなどの甚大な精神的損害を被っている。原告X1が被った損害は,金銭に換算すると3000万円を下らない。
また,原告X1は,本件訴訟委任の報酬として,原告ら代理人に対し,300万円の支払を約した。
(イ) 原告会社は,本件各記事の掲載により,それまで締結していた広告代理店契約が解約されたり,発行する雑誌「△△△△」の広告主からその掲載を拒否されたため,莫大な損害を被った。原告会社が被った損害は,売上ベースで3億円をはるかに超えるものであり,その利益額は少なく見積もっても2000万円を下回ることはない。
また,原告会社は,本件訴訟委任の報酬として,原告ら代理人に対し,200万円の支払を約した。
イ 被告の主張
原告らの上記主張は,否認し,争う。
第3 当裁判所の判断
1 名誉毀損を理由とする不法行為の成立要件
ある記事の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは,当該記事を全体として考察し,当該記事についての一般の読者の普通の注意と読み方とを基準として判断すべきである(なお,本件記事1においては,原告X1を「B」という仮名で報じているが,「○○○○」の翌週号に掲載された本件記事2においては,原告X1の旧姓である「A」との実名で報じられており,「A氏が…してきたことは,先週号で報じた通りである。」(本件記事2番号4の記述)と記載されているから,一般の読者には,本件記事1が,原告X1に関するものであることは容易に理解することができたものというべきである(この点については,被告も強く争ってはいない。)。)。
そして,民事上の不法行為となる名誉毀損については,その行為が公共の利害に関する事実に係り専ら公益を図る目的に出た場合には,摘示された事実がその重要な部分において真実であることの証明があれば,上記行為には違法性がなく,また,真実であることの証明がなくても,行為者がそれを真実と信ずるについて相当の理由があるときには,上記行為には故意又は過失がなく,不法行為が成立しないものと解するのが相当である。
また,ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠き,仮に上記意見ないし論評の前提としている事実が真実であることの証明がないときにも,行為者において上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定されるものと解するのが相当である。
ところで,本件各記事は,政界を揺るがし,社会的関心が高かった本件メールを巡る騒動について,本件メール又は本件メールをE1元議員に提供した原告X1に関する記事であって,その記載内容等に照らせば,被告による掲載行為が公共の利害に関する事実に係り,その目的が専ら公益を図ることにあったものと認められる。
そこで,以下においては,本件各記事の名誉毀損性(争点(1)),真実性及び相当性等(争点(3))について,順次,個別に検討を加える。
2 本件記事1について
(1) 本件記事1番号1の記述について
ア 「札つき」とは,定評のあること,または世の中に知れ渡っていることを意味するが,一般に悪い意味に用いられる用語である上,本件記事1においては,原告X1が過去に何度も虚偽の情報を出版社に持ち込んで記事にしたという内容が記載されており,前後の文脈も踏まえて,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすれば,原告X1が何度も出版社に虚偽の情報を持ち込んで記事にした評判の悪い記者であるという印象を与えるものであるから,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは否定できない。
イ しかしながら,その論評の前提としている事実は,原告X1が情報を持ち込んだ複数の記事の内容が虚偽であった事実であるところ,上記事実については,下記(2)のとおり,いずれも真実であるか,真実と信ずるについて相当の理由があったといえる上,論評としての域を逸脱したものであるとはいえない。
(2) 本件記事1番号2の記述について
ア 本件記事1番号2の記述のうち,別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(ア)から(ク)記述部分が原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
そして,本件記事1番号2の記述のうち,「◎◎◎◎編集部は,B記者が取材源とする人物にどのような取材をしたのかを,法廷で全く明らかにすることができずに惨敗。一審は当時,名誉毀損訴訟の最高額に当たる1000万円の損害賠償と,謝罪文掲載を命じたのである。」,「その後,この訴訟は控訴審に持ち込まれ,賠償額こそ相場よりも高すぎるとして600万円に減額されたが,」及び「結局,◎◎◎◎は,『この記事は,見出しを含めて,重要部分が事実ではありませんでした。この記事によりE5氏にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします』という,『捏造』の烙印を甘んじて受けるに等しい『全面降伏』の謝罪文を掲載したのである。」との各記述部分は,その前後の文脈も踏まえて,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすると,原告X1が出版社に持ち込んだ虚偽の記事について,出版社が名誉毀損訴訟を提起されて,高額の損害賠償等を命じられたという印象を与えるものであるから,原告X1の社会的評価を低下させるものというべきである。
もっとも,本件記事1番号2の記述うち,「とても一筋縄では行きそうにないが,」,「この4ページの特集記事は,2000年1月に,当時,☆☆☆☆に在籍していたE5選手が渡米し,シアトルのジムで自主トレをした一部始終を報じている。冒頭から,E5選手のトレーニングスケジュールを細かく描写し,目玉は,E5選手が練習をおろそかにして,二日に一度はストリップ劇場に通っていたこと。E5選手が片言英語でダンサーと会話した内容まで細かく紹介してある。『この情報を編集部に持ち込み,さらに取材をしたのがBでした』と証言するのは,元◎◎◎◎の関係者である。『ところが,記事が出た2ヵ月後,E5が,ストリップなど1回も行っていないと,5000万円の損害賠償と謝罪広告を求めて,訴えてきたのです。編集部は当然,B記者に取材結果の確認をしたら,彼は,補足の取材をして,ストリップ嬢の間違いない証言があるといって来た。それで,訴訟に対抗してもう一本“金髪嬢が爆弾証言”という追加の記事を作ったくらいでした。」,「別の週刊誌記者が話を続ける。『Bは,主に芸能畑,スポーツ関係のネタを持ってアチコチに顔を出していたのですが,」及び「E6総理が倒れて入院中に,娘のE7が見合いをしていたという◎◎◎◎の記事も彼のネタです。」との各記述部分は,いずれも原告X1が取材した記事に関する記載であるが,記事の内容そのものに関するものであったり,記事に対してE5選手(以下「E5」という。)が提訴したこと,「◎◎◎◎」誌がそれに応訴したことなどに関するものにすぎないから,それらの記述自体が,原告X1の社会的評価を低下させるものであるとはいえない。
イ 別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(ア)記述部分は,「週間◎◎◎◎」2000年2月4日号の「やっぱり!“虎の穴”自主トレE5が『金髪ストリップ通い』目撃!」との見出しの記事(以下「E5記事」という。)が問題記事であったと論評するものであって,その論評の前提としている事実は,同(イ)から(エ)記述部分に摘示された事実であるところ,上記事実は,下記ウ及びエのとおり,いずれも,真実であるか,真実と信ずるについて相当の理由がある。また,「問題記事の代表例」という記述は,下記エのとおり,原告X1が持ち込んだE5記事について,裁判所から出版社が高額の損害賠償等を命じる判決を受けたことなどに照らすと,論評としての域を逸脱したものであるとはいえない。
ウ 別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(イ)記述部分は,原告X1が持ち込んだE5記事について,名誉毀損訴訟が提起されたため,その取材経過を確認された際,原告X1があやふやな説明しかできなかった事実を摘示するものであるが,それが真実であることを認めるに足りる証拠はない。すなわち,「○○○○」の記者であるE8記者(以下「E8記者」という。)は,「◎◎◎◎」の記者をしていたE9(以下「E9」という。)に取材をしたことが認められるが(乙22,証人E9,証人E8),E9から原告X1のE5記事に関する取材経過等について,上記事実を裏付けるような証言を得たものとは認められない。他に,上記事実が真実であることを認めるに足りる証拠はない。
しかしながら,「○○○○」編集部においては,上記記述部分を執筆するに当たり,原告X1が十分な取材をしていない旨を判示した下記エ記載の各判決の内容等を参照したことが認められる(乙16)から,上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があるものというべきである。
エ 別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(ウ)及び(エ)記述部分,「◎◎◎◎編集部は,B記者が取材源とする人物にどのような取材をしたのかを,法廷で全く明らかにすることができずに惨敗。一審は当時,名誉毀損訴訟の最高額に当たる1000万円の損害賠償と,謝罪文掲載を命じたのである。」,「その後,この訴訟は控訴審に持ち込まれ,賠償額こそ相場よりも高すぎるとして600万円に減額されたが,」並びに「結局,◎◎◎◎は,『この記事は,見出しを含めて,重要部分が事実ではありませんでした。この記事によりE5氏にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします』という,『捏造』の烙印を甘んじて受けるに等しい『全面降伏』の謝罪文を掲載したのである。」との各記述部分は,E5記事に関する名誉毀損訴訟において,裁判所から原告X1の取材が適切に行われたことは確認できず,せいぜい知人等に取材を試みた程度の不十分なものであると認定され,出版社が高額の損害賠償等を命じられた事実を摘示するものである。
証拠(乙1,3,4)によれば,①「◎◎◎◎」2000年2月4日号にE5記事が掲載されたこと,②E5は,E5記事によって名誉を毀損されたと主張して,「◎◎◎◎」を発行する株式会社小学館(以下「小学館」という。)を被告として東京地方裁判所に謝罪広告等請求事件を提起したところ(平成12年(ワ)第5109号),同裁判所は,平成13年3月27日,E5記事は原告X1の取材結果の報告等に基づいて作成されたが,原告X1の「取材方法の適切性及び正確性について確認することができない」などとして,小学館に対し,慰謝料1000万円の支払及び謝罪広告の掲載を命じる判決をしたこと,③小学館はこれを不服として東京高等裁判所に控訴したが(平成13年(ネ)第2550号),同裁判所は,平成13年12月26日,E5記事の取材に関して,せいぜい原告X1がE5の「シアトルでのトレーニングについて知人等から取材を試みたことを推認できる程度であって,」原告X1の「取材内容あるいは供述内容が主要な点で真実であることを客観的に裏付けるものとは到底いえない。」などとして,損害賠償額を600万円に減額したものの,小学館に対し,慰謝料600万円の支払を命じる判決をし,同判決は確定したことなどの事実が認められる。
そうすると,別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(ウ)及び(エ)記述部分等が摘示する上記事実は,いずれも真実であるというべきである。
オ 別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(オ)記述部分が論評の前提としている事実は,原告X1が,E5記事以外にも,虚偽の内容の記事を出版社に持ち込んだとの事実であるところ,下記カのとおり,少なくとも原告X1が記事として持ち込み「◇◇◇◇」1999年9月25日号に掲載された,●●●●のアナウンサーであったE10(以下「E10」という。)が,学生時代に風俗店でアルバイトしていた旨の「学生時代の アルバイト●●●●新人美女アナは『六本木のランパブ嬢』だった」との見出しの記事(以下「E10記事」という。)が虚偽の内容であったことは,真実である上,E10記事については,裁判所から出版社が高額の損害賠償等を命ずる判決を受けたことなどに照らし,他の記事も酷いという記述は,論評としての域を逸脱したものであるとはいえない。
カ 別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(カ)記述部分は,原告X1が作成したE10記事について,出版社に対する謝罪広告等請求訴訟が提起され,高額の損害賠償金の支払と謝罪広告の掲載が命じられたという事実を摘示するものである。
原告においても,上記事実が真実であることは積極的に争うものではないが,念のため検討すると,証拠(乙5から7,16,23,原告X1)によれば,①「◇◇◇◇」1999年9月25日号にE10記事が掲載されたこと,②E10らは,E10記事によって名誉等を毀損されたなどと主張して,「◇◇◇◇」を発行する株式会社講談社(以下「講談社」という。)を被告として東京地方裁判所に謝罪広告等請求事件を提起したところ(平成11年(ワ)第21521号),同裁判所は,講談社がE10記事が真実であることの証拠として提出した取材源の宣誓供述書の写し(ただし,氏名を黒塗りして伏せた上で提出されている。)は,反対尋問をすることができず証明力は極めて低く,種々の不自然な点があって信用し難いとした上で,E10記事は虚偽の事実を記載したものと認定し,E10記事の掲載によるE10の慰謝料500万円等の損害を認め,平成13年9月5日,講談社に対し,770万円の支払及び謝罪広告の掲載を命じる判決をし,同判決は確定したこと,③E10記事の取材源は原告X1であり,原告X1は,平成12年2月8日,公証役場において,自分は風俗店においてE10から接客を受けるなどして,E10記事と同様の事実を知っている旨の宣誓供述書を作成し,署名したことなどの事実が認められる。
そうすると,別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(カ)記述部分は,真実であるというべきである(なお,原告X1は,上記宣誓供述書は原告が代表者を務める会社の社員による不始末に対して責任を取るために署名したもので,そこに記載されたE10に関する情報は,同社員が持って来たものであると供述するが(原告X1本人),他方で,原告X1は,上記宣誓供述書に記載された事実を自ら体験したとも供述しており,その供述は一貫しておらず到底信用できない。)。
キ 別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(キ)記述部分は,原告X1が持ち込み,「◎◎◎◎」2000年5月19日号に掲載された,E7が,E6元首相が脳梗塞で倒れてから1か月余の間に,精力的にお見合いを重ねていた旨の「衆院出馬!E7サン(26)『駆け込みお見合い』をナマ中継」という見出しの記事(以下「E6記事」という。)の内容が虚偽であるとの事実を摘示するものである。
確かに,「▽▽▽▽」2000年7月号には,「独占手記夫人が初めて明かす四十三日間夫・E6『病室』の真実」との見出しの記事が掲載され,E6夫人であるE11が,E7がE6の入院中にお見合いをしていたという記事は根も葉もないものである旨を記述している(乙9)ことが認められる。しかしながら,関係者による手記が存在するだけでは,上記事実が真実であると認めるには十分ではない。E8記者がE9に対する取材結果をまとめたデータ原稿(乙22)には,単にE11が雑誌の手記でE6記事の内容を否定した旨の記載があるのみで,それ以上に上記事実が真実であることの根拠についての記載はなく,また,E9は,原告X1がE6記事の入稿作業等に関わっていた旨を証言するにとどまり,明確にE6記事の情報源について話を聞いたとは証言していないから(証人E9),E9の供述から上記事実が真実であると認めることもできない。他に,上記事実が真実であると認めるに足りる証拠はない。
また,被告において,E6記事の内容が虚偽であることについて,他に裏付け取材を行ったことも窺われないから,被告が上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があったと認めることもできない。
ク 別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(ク)記述部分が論評の前提としている事実は,原告X1が週刊誌に持ち込んだ記事がほとんど虚偽の内容であったとの事実である。
原告X1が持ち込んだE5記事及びE10記事は,いずれも虚偽の内容のものであったことが認められるが,他方で,原告X1がE6記事を「◎◎◎◎」に持ち込んだこと及びE6記事の内容が虚偽であることが,真実であるとも,被告において真実と信ずるについて相当の理由があったとも認められないことは上記キ記載のとおりである。また,E9は,E8記者の取材に対し,KKベストセラーズの「●●●●」という雑誌及び笠倉出版の「□□□□」という雑誌において,原告X1が虚偽の内容の記事を書いた旨を供述し(乙17,22),組織変更前の原告会社の取締役であり,週刊誌の編集に携わっていたE12(以下「E12」という。)も,E8記者の取材に対し,「□□□□」について上記と同様に供述し(乙23),E9は,「●●●●」について上記と同様に証言をするが(証人E9),いずれも他に裏付けとなる証拠がないから,E9及びE12の供述のみでは,原告X1が上記各雑誌において虚偽の内容の記事を書いた事実が真実と認めるには十分ではないし,被告において,他に裏付け取材を行ったことも窺われないから,被告が上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があったと認めることもできない。そして,E5記事及びE10記事は,裁判所から出版社が高額の損害賠償金の支払等を命じる判決を受けるなどしたことを考慮しても,これらの2つの記事のみを根拠として,原告X1の持ち込む記事のほとんどが問題記事であると論評するのは,論評の前提事実を欠き,また論評の域を逸脱したものといわざるを得ない。
(3) 本件記事1番号3の記述について
ア 本件記事1番号3の記述が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
イ 本件記事1番号3の記述は,原告X1が,複数の人物に対し,自己の出自に関して虚偽の発言をしたという事実を摘示するものである。
証拠(乙10,22,23,27,40,証人E9,証人E8)によれば,①E8記者は,E9を取材し,E9から,原告X1が自らのことを「E29の孫」であると発言していた旨の情報を得たこと,②E8記者は,E12を取材し,E12から,原告X1が自らのことを「E30の孫」であるとか,「元e県知事の甥」であるとか,「E29の孫」であるなどと発言していた旨の情報を得たこと,③E8記者は,原告X1が一時期取締役を務めていた株式会社デュマーモの代表取締役であったE13(現姓・E14,以下「E13」という。)を取材し,E13から,原告X1が自らのことを「E29の孫」であると発言していた旨の情報を得たこと,④E1元議員が,原告X1らと会食した際,原告X1が自らのことを「元e県知事の孫」であると発言していたことなどの事実が認められる。そして,原告X1が述べる自らの経歴及び戸籍謄本等(甲12,原告X1本人)に照らすと,原告X1が,「E30の孫」,「元e県知事の甥」,「元e県知事の孫」または「E29の孫」ではないものと推認することができる。
そうすると,本件記事1番号3の記述は,真実であるというべきである。
なお,原告X1は,本件記事1番号3において摘示されたような各発言をしたことはないと供述するが,E8記者は,原告X1の発言を直接聞いたという複数の人物から取材をしている上,民主党が公表した同党「メール」問題検証チーム作成の報告書(以下「民主党報告書」という。乙10)にも,平成18年1月30日ころにE1元議員と原告X1らが会食した際に,原告X1が元e県知事の孫であることなどが話題となった旨が記載されていることに照らし,原告X1の上記供述は信用できない。
(4) 本件記事1番号4の記述について
ア 本件記事1番号4の記述が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
イ 本件記事1番号4の記述は,原告X1が虚言癖の持ち主であると論評するものであるところ,その論評の前提としている事実は,原告X1が複数の人物に対し自己の出自に関して虚偽の発言をしたという事実である。そして,同事実については,上記(3)のとおり,真実である上,虚言癖の持ち主であるという記述は,原告X1が,複数の人物に対して内容の異なる虚偽の発言を繰り返していたことなどに照らすと,論評としての域を逸脱したものであるとはいえない。
(5) 本件記事1番号5の記述について
ア 本件記事1番号5の記述が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
イ 本件記事1番号5の記述は,原告X1が編集プロダクションを経営していた際,使用していた女性に芸能人と交際していた旨の虚偽のシナリオを読ませて録音テープを作成し,月刊誌の編集部に持ち込んだものの,虚偽であることが発覚したという事実を摘示するものである。
確かに,E8記者は,E9及びE12を取材し,それぞれから,原告X1が女性に芸能人と付き合っていたという虚偽の内容をテープに吹き込ませて雑誌社の編集部に持ち込んだことがある旨の情報を得たことが認められる(乙22,23)。しかしながら,E9は,上記事実をE12から聞いて知っているにすぎないというのであるから(証人E9),結局,E12が唯一の情報源であるところ,原告X1がE12らに対し,原告会社の組織変更前の有限会社aの業務に関する未払金等を巡って,民事訴訟(東京地方裁判所平成15年(ワ)第7064号債務不存在確認請求事件)を提起するなど対立関係にあったこと(甲20)などに照らすと,E12の供述の信用性については慎重にこれを吟味する必要がある。本件においては,原告X1が女性に芸能人と付き合っていたという虚偽の内容をテープに吹き込ませて雑誌社の編集部に持ち込んだことがあるという事実は,他にそれを裏付ける証拠が全くないから,E12の供述のみでは,それを真実と認めるには十分ではない。また,被告において,E12に直接取材するなど裏付け取材を行った形跡もないから(なお,本件訴訟において,被告は,E12に陳述書の作成を依頼したものの,拒否されている。),被告が上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があったともいえない。
(6) 本件記事1番号6の記述について
ア 本件記事1番号6の記述のうち,「六本木ヒルズに事務所を構えたと吹聴していたのですが,結局,全くのデタラメでした」という部分が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。また,上記記述のうち,「2年くらい前から,dの仕事をしていると本人が言っていました。」という部分は,原告X1が六本木ヒルズに事務所を構える理由に関する記述であるから,虚偽の話の一体をなすものとして,同じく原告X1の社会的評価を低下させるものというべきである。
イ 本件記事1番号6の記述は,原告X1がdと仕事をしており,六本木ヒルズに事務所を構えていると虚偽の事実を吹聴していたという事実を摘示するものである。
確かに,E8記者は,E12を取材し,E12から,原告X1がdと仕事をしており六本木ヒルズに事務所があると吹聴していたという情報を得たことが認められる(乙23,証人E8)が,上記(5)と同様に,E12の供述のみでは,上記事実が真実と認めるには十分ではない。また,被告において,それについて何ら裏付け取材をした形跡もないから,上記事実が真実と信ずるについて相当の理由があったともいえない。
(7) 本件記事1番号7の記述について
ア 本件記事1番号7の記述が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
イ 本件記事1番号7の記述は,原告X1が元記者というよりも詐話師という肩書きが似合う人物であると論評するものであるところ(なお,ここでいう「詐話師」という用語は,一般的に広く使用されない用語であるものの,上記記述においては,「偽りの話をする者」という意味で用いられているものと考えられる。),その論評の前提としている事実は,原告X1が情報を持ち込んだ複数の記事の内容が虚偽であった事実及び原告X1が虚偽の出自等を複数の人物に話していた事実である。
そして,前記のとおり,これらの事実は,いずれも真実であったものといえる上,被告が上記論評において用いた「詐話師」という表現は,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすると,「詐欺師」と誤読,誤解されるおそれがないとはいえず,その限りでいささか穏当を欠く表現といわざるを得ないが,論評としての域を逸脱したものであるとまではいうことができない。
3 本件記事2について
(1) 本件記事2番号1の記述について
ア 本件記事2番号1の記述については,前記2(1)と同様,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは否定できない。
イ しかしながら,その論評の前提としている事実は,原告X1が情報を持ち込んだ複数の記事の内容が虚偽であった事実であるところ,上記事実については,前記2(2)のとおり,いずれも真実であるか,真実と信ずるについて相当の理由があったといえる上,論評としての域を逸脱したものであるとはいえない。
(2) 本件記事2番号2の記述について
ア 本件記事2番号2の記述は,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすると,原告X1が,本件メールの受信者であるとともに発信者でもあり,自作自演をして虚偽のメールをE1元議員に提供したとの印象を与えるものであるから,原告X1の社会的評価を低下させるものであるといえる。
被告は,上記記述は,メールの体裁についての記述にすぎない上,民主党議員の見方を紹介したにとどまり断定したものではないから,原告X1の社会的評価を低下させるものではないと主張する。しかしながら,前後の文脈も踏まえると,上記記述は,原告X1が虚偽のメールをE1元議員に提供したとの印象を一般の読者に与えるものといわざるを得ないから,被告の上記主張は採用できない。
イ 本件記事2番号2の記述は,本件メールの送信者と受信者のアドレスが,原告X1の名前を連想させる同一のものであり,本件メールは虚偽のものであったという事実を摘示するものである。
証拠(乙10,17,31,証人E8)によれば,E1元議員とともに原告X1からdに関する情報提供を受け,民主党の「メール」問題検証チームのメンバーで予算委員でもあったX29衆議院議員が,平成18年2月21日,同チームのメンバーらに対し,送信元(from)と送信先(to)が同一の「メール」のプリントアウトを見せたこと,E8記者は,同月27日,民主党の衆議院議員であって,同年3月8日から同党の「メール」問題検証チームの委員になるX30議員に電話取材をし,同議員から,送信者と受信者部分が墨塗りされていない本件メールを見たところ,送信者と受信者が同じであり,そのアドレスは原告X1の名前のはじめの方を連想させるものであった旨の情報を得たことなどが認められる。そして,同月27日の東京新聞において,民主党の調査により,それまで墨塗りされていたために不明だった本件メールの送信者と受信者が同一人物であること,そのアドレスはE1元議員に本件メールを持ち込んだ「フリー記者」のものであることが判明した旨が報じられたこと(乙45の1),同月28日の「■■■■」において,民主党調査チームが,本件メールの送受信者欄にはいずれもE1元議員に本件メールを持ち込んだ「フリー記者」のアドレスが記されていることを確認した旨が報じられたこと(乙45の2)などをも併せ考えると,原告X1がE1元議員に提供した本件メールの送信者と受信者のアドレスが,原告X1の名前を連想させる同一のものであったと推認することができる。
そうすると,本件記事2番号2の記述は,その重要な部分において真実であるというべきである。なお,民主党報告書には,メンバーは,このメールについて協議したが,真偽の判断には至らなかった旨の記載があるものの,これは,メールの真偽に関するものであり,送信者と受信者のアドレスが原告X1の名前を連想させるようなメールが存在したことを否定するものではないから,上記判断を左右するものではない。
(3) 本件記事2番号3の記述について
ア 本件記事2番号3の記述は,本件メールをE1元議員に提供した原告X1がその入手先に関していい加減な発言を繰り返していたという印象を一般の読者に与えるものであるから,原告X1の社会的評価を低下させるものといえる。
被告は,上記記述は,E1元議員が聞いたという内容を摘示したものであって,直接原告X1に言及しているわけではないから,原告X1の社会的評価を低下させるものではないと主張する。しかしながら,上記記述は,その前後の文脈をも踏まえ,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすると,E1元議員に対して本件メールを提供した「ネタ元」である原告X1がその入手先について二転三転する発言をしていたとの印象を与えることは上記のとおりであるから,原告X1に言及した記事であるといわざるを得ないのであって,被告の上記主張は採用できない。
イ 本件記事2番号3の記述は,原告X1が,本件メールの入手先について,当初の説明とは異なり,ハッカーが入手したものを原告X1が盗んできたと説明を変え,さらに,創価学会がE1元議員を陥れるために原告X1の仕事上のパートナーである創価学会員に本件メールを提供させたと再度説明を変えたとの事実を摘示するものである。
証拠(乙10,18,証人E15)によれば,「○○○○」編集部のE15記者は,E1元議員が一番信頼していたとされ,民主党がE1元議員に対するサポートを要請していたE16元衆議院議員の周辺関係者を取材し,E1元議員が民主党に説明した話として,E1元議員は,当初,原告X1から,原告X1が本件メールをdの関係者から直接入手したと説明を受けていたが,次いで,dのネットワークに不正アクセスした人物が入手したものを原告X1が勝手に持ち出してきたと説明が変わり,さらに,原告X1の仕事上のパートナーである創価学会員から受け取ったと再度説明が変わったという情報を得たことなどが認められる。また,原告X1は,当時,原告会社の取締役を務めていたCは,創価学会員であった旨を供述している(甲4,9の5,原告X1本人)。そして,E1元議員は,平成18年3月24日の衆議院懲罰委員会の席上,本件メールが提供された当初は,原告X1から,dの社内で流通したメールであるという説明を受けていたが,各方面からメールに対する疑義が指摘されたため,原告X1に確認したところ,つじつまの合わない説明をし,何度かその説明が変わったこと,△△△△の会社の者で,非常に親しい者(S)がメールの作成に関与したなどと説明したこともあったことを,自ら回答し(乙44),民主党報告書には,E1元議員から事情聴取した結果として,「E1議員の入院後,A氏は,E1議員に「メールをA氏に持ち込んだのはS氏である。このことは100%間違いのない事実だ。」と電話で述べた。これを聞いてE1議員は,「『メール』はdの元社員がハードディスクをコピーして持ち出したものからA氏が選別したという以前の説明と明らかに矛盾する」と考えた。」との記載がある(乙10)ことなどが認められる。
以上によれば,原告X1は,E1元議員に対し,本件メールの入手先について,dの社員から入手したとか,dのネットワークに不正にアクセスした者から入手したとか,原告会社の関係者から入手したとか,説明を二転三転させていたことが認められるから,本件記事2番号3の記述は,その重要な部分において真実であるというべきである。
(4) 本件記事2番号4の記述について
ア 本件記事2番号4の記述が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
イ 本件記事2番号4の記述は,原告X1が複数の週刊誌に「ガセネタ」を持ち込んだと論評するものであるところ,その論評の前提としている事実は,原告X1が情報を持ち込んだ複数の記事は内容が虚偽であったという事実である。
そして,上記事実については,前記2(2)のとおり,E6記事については,原告X1が持ち込んだこと及びその内容が虚偽であることを認めるには十分ではないものの,原告X1が持ち込んだE5記事及びE10記事の内容がいずれも虚偽であることは真実であるといえ,E5記事及びE10記事によって裁判所から出版社が高額の損害賠償金の支払等を命ずる判決を受けたことなどを踏まえると,原告X1が「ガセネタ」を持ち込み,迷惑の種をまき散らしたとの記載が,論評としての域を逸脱したものであるとはいえない。
(5) 本件記事2番号5の記述について
ア 本件記事2番号5の記述のうち,別紙5中「記事2について」の番号5の「被告の反論」欄記載の(ア)から(ケ)記述部分が原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
また,本件記事2番号5の記述のうち,「A氏は週刊誌業界でのみ悪名を馳せていたわけでは決してない。普段の振る舞いの中からもまた,何やら訝しい話が聞こえてくるのだ。」との記述部分は,原告X1が,多方面において悪名を馳せていたとの印象を一般の読者に与えるものであるから,原告X1の社会的評価を低下させるものといえる。
もっとも,本件記事2番号5の記述のうち,「『彼は一度離婚して再婚していますが,話は最初の奥さんとまだ一緒だった頃のこと。トヨタの4WD車とベンツのオープンカーを所有していた彼は,トヨタに奥さんと子供を乗せ,ドライブに出かけることにしたのです。が,その道すがら“会社にとめたベンツの中に,取りに行きたいものがある”と言い出し,急遽,会社のある千駄ヶ谷に向かうことになりました』一家は千駄ヶ谷に到着。ところが,である。」及び「一体,何があったのか?」との各記述部分は,原告X1の社会的評価を低下させるものであるとはいえない。
イ 本件記事2番号5の記述のうち,別紙5中「記事2について」の番号5の「被告の反論」欄記載の(ア)から(ケ)記述部分及び「A氏は週刊誌業界でのみ悪名を馳せていたわけでは決してない。普段の振る舞いの中からもまた,何やら訝しい話が聞こえてくるのだ。」との記述部分は,原告X1が,保険会社に対し,車輌盗難の事実がないにもかかわらず保険金請求をした事実を摘示するものである。
証拠(乙11から13)によれば,原告X1は,日本信販株式会社が所有するメルセデスベンツSLK230(品川○○○ふ△△△)を使用していたが,平成14年9月22日,警視庁原宿警察署に対し,その盗難被害届を提出し,同月24日,AIU保険会社日本支社(以下「AIU」という。)に対し,同月22日に車輌盗難に遭ったとして,保険金の請求をしたこと,上記車輌については,同年10月2日,一時登録が抹消されたこと,原告X1は,同年11月8日,AIUに対し,保険金請求を取り下げ,同年12月24日,原宿警察署に被害届を取り下げたこと,上記車輌は,平成15年3月7日,所有者を株式会社ニューズボックスとして新規登録がされたことなどが認められる。そして,E8記者は,E12を取材し,E12から,原告X1の妻であったE17(以下「E17」という。)から,上記車輌がなくなった際,原告X1はE17にAIUの保険センターに電話させたと聞いたことや,原告X1は原宿警察署に被害届を出し,外国人の窃盗団に盗まれたと言っていたが,原告X1の知人が上記車輌に別のナンバーを付け換えて乗っていた旨の情報を得たこと(乙23,28,29),E8記者は,E13を取材し,E13から,E17から上記車輌がなくなった際,原告X1は窃盗団に盗まれたと言っていたが,実は保険会社から保険金を取ろうとしている様子であると相談を受けた旨の情報を得たこと(乙27),E8記者は,AIUの担当者を取材をし,同担当者から,上記車輌の盗難について不審を抱きリサーチ会社に調査をさせたところ,原告X1の方から保険金請求を取り下げたこと,原告X1の車を置いた場所等の説明が二転三転したこと,原告X1から一,二か月前に「この車が盗まれたら,保険出るのか」との問合せがあったことなどの情報を得たこと(乙30),E8記者は,上記車輌の保険金請求に関して,E17に裏付け取材をしたこと(証人E8)などが認められる。
以上によれば,原告X1が上記車輌について盗難の事実がないにもかかわらず保険会社に保険金請求をしたものと推認することができるから,本件記事2番号5の記述のうち,別紙5中「記事2について」の番号5の「被告の反論」欄記載の(ア)から(ケ)記述部分及び「A氏は週刊誌業界でのみ悪名を馳せていたわけでは決してない。普段の振る舞いの中からもまた,何やら訝しい話が聞こえてくるのだ。」との記述部分は,その重要な部分において真実であるというべきである。
原告X1は,上記車輌は平成14年11月2日に知人のE18が無断で乗り回していたことが分かったので,保険金請求や盗難被害届を取り下げた旨供述し,その旨が記載された原宿警察署刑事課宛の公証人の確定日付けのある報告書(甲22)が存在する。しかしながら,約1か月半にもわたり知人が乗り回していることに気づかなかったということ自体疑問である上,上記保険会社の担当者の供述等に照らしても,原告X1の上記供述及び上記報告書は信用できない。
(6) 本件記事2番号6の記述について
ア 本件記事2番号6の記述のうち,「A氏に確認したところ,話がだんだんあやふやになって来て,問い詰めたらメールも本物がどうか分からない。おまけに,E4さんも実在するのか怪しくなってきたのです」との記述部分が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。また,本件記事2番号6の記述のうち,「『E19』偽メール騒ぎの『前科』もあった」との中見出しは,原告X1が,過去にもメールを捏造して騒ぎを起こしており,虚偽の発言を繰り返していたとの印象を一般の読者に与えるから,原告X1の社会的評価を低下させるものといえる。
もっとも,その余の記述は,原告X1が週刊誌にE19と日本人女性との間で交わされたメールを持ち込んだ事実及びE19が所属していた格闘技団体から抗議を受けた事実を摘示するものにすぎないから,原告X1の社会的な評価を低下させるものではない。
イ 本件記事2番号6の記述のうち,「A氏に確認したところ,話がだんだんあやふやになって来て,問い詰めたらメールも本物がどうか分からない。おまけに,E4さんも実在するのか怪しくなってきたのです」との記述部分及び「『E19』偽メール騒ぎの『前科』もあった」との中見出しは,週刊誌「▲▲▲▲」の2000年9月14日号に掲載された「E19さん壮絶な生と死スクープ!秘めた愛『死水を取れなかった日本人妻』との一問一答」との見出しの記事(以下「E19記事」という。)に関して,原告X1が「▲▲▲▲」の編集部に持ち込んだというE19と日本人女性との間で交わされたメールについて,原告X1に確認しても,そのメールが本物かどうか,またそのような日本人女性が実在するのか,あやふやな説明しかできなかったという事実を摘示するものである。
確かに,「○○○○」編集部のE20記者(以下「E20記者」という。)は,「▲▲▲▲」の編集部に所属するE21記者を取材し,同記者から,E22デスクの指示で,E19の葬儀に出かけて愛人のインタビューをとるように命じられたが,それらしい人物を見つけることができず,取材は失敗したが,E22デスクからは,原告X1が取材に成功したと聞かされ,「▲▲▲▲」にE19記事が掲載されたが,その後,K-1のE23社長から抗議があり,E22デスクが原告X1に確認したところ,話の内容があやふやになったと聞いた旨の情報を得たと証言し,それにそうE20記者の陳述書(乙19)及びA5版ノート2頁強の取材ノート(乙21)が存在する。しかしながら,もともと,「▲▲▲▲」のE21記者は,匿名で取材に応じたのであるから,その信用性は慎重に吟味する必要があるところ,同記者は,E22デスクに対する裏付け取材をしないように求めたというのであるから(証人E20),同記者の供述のみによって上記事実を真実と認めるには十分ではない。かえって,小学館の「▲▲▲▲編集部」は,弁護士法23条の2に基づく照会に対し,日本人女性とE19とのやりとりが残ったメールを原告X1が小学館に持ち込んだ事実はなく,原告X1は,E19記事に関わった記者の一人であったものの,K-1から抗議があったかどうかは答えられない旨の回答(乙50の1から3)をしている。他に,上記事実を真実と認めるに足りる証拠はない。
また,上記のとおり,E20記者は,E22デスクに対する裏付け取材はしておらず,K-1の関係者からコメントを得たものの,昔の話なので言いたくないと詳細について裏付け取材はできなかったというのであるから(証人E20),単にE21記者が「▲▲▲▲」での記者経験が長いことだけでその情報が信用できる(乙19)と判断することはできず,被告において,上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があるとはいえない。
4 本件記事3について
(1) 本件記事3番号1の記述について
ア 被告は,E1元議員から原告X1に対し100万円が支払われたという事実自体は,原告X1の社会的評価を低下させるものではなく,民主党がその事実を否定しているという事実は,原告X1の社会的評価に何ら関係しないものであると主張する。
確かに,本件記事3番号1の記述のうち,「ガセメールを党のカネで買っていたとなると,あまりにも外聞が悪いし,前原代表のクビさえ飛びかねないから,そこは否定するしかない。」という記述部分は,民主党に対する社会的評価に影響があるとしても,原告X1の社会的評価には影響するものではない。しかしながら,その余の記述部分は,原告X1がE1元議員に対し虚偽のメールを提供したのみならず,その見返りにE1元議員から金員を受け取っていたとの印象を一般の読者に与えるから,原告X1の社会的評価を低下させるものといえる。
なお,「○○○○」編集部のE24記者(以下「E24記者」という。)の陳述書(乙20)には,記事に記載した情報が必ずしも事実とは確認されていないと読者にわかるような表現にした旨の記載があるが,むしろ,本件記事3には,「だが残念ながら,E1町でこの言い分を真に受けるムキは少ない。」との記載があり,本件記事3を全体として読むと,一般の読者に対し,E1元議員の原告X1に対し現金を支払っていない旨の言い分は,信用性に乏しいとの印象を与える表現であるといわざるを得ない。
イ 本件記事3番号1の記述のうち,「A氏,32歳。本誌をはじめ,これまでいくつかのメディアで名前を取りざたされた,悪名高い元記者である。」との記述部分は,論評の前提としている事実が真実であり,論評としての域を逸脱したものとはいえない。
本件記事3番号1の記述のうち,「A氏,32歳。本誌をはじめ,これまでいくつかのメディアで名前を取りざたされた,悪名高い元記者である。」及び「ガセメールを党のカネで買っていたとなると,あまりにも外聞が悪いし,前原代表のクビさえ飛びかねないから,そこは否定するしかない。」との各記述部分を除く部分は,原告X1が,本件メールをE1元議員に提供して,その見返りとして金員を受け取っていたという事実を摘示するものである。
しかしながら,上記事実が真実であることを認めるに足りる証拠はない。
E8記者は,知り合いの全国紙政治部記者及び政界関係者を取材し,それぞれが民主党のスタッフから聞いた話として,原告X1が民主党から100万円を受け取った旨の情報を得たことが認められる(乙17,20,32,33,36,証人E8)が,もともと政治アナリストE25を除き匿名の取材対象者からの伝聞情報にすぎす,情報源も民主党のスタッフとか,調査委員会のスタッフという程度で明らかではないから,そのような不確かな情報によって,上記事実が真実であるとは到底認められない。かえって,同様に匿名の関係者からは,本件メールの提供に関して金員の支払がなかった旨の情報(乙34,37,38)も得られており,E1元議員は,衆議院懲罰委員会において,原告X1に対する金員の提供はなかった旨を自ら回答している上(乙44),民主党国会対策委員長であったX31衆議院議員も,「○○○○」のE26記者の取材に対し,原告X1に対する金員の提供を否定し(乙39),民主党報告書(乙10)においても,原告X1に対する金員の提供は否定されている。確かに,本件メールの提供の見返りとして金員が提供されていたとすれば,民主党にとって,政治的スキャンダルとなり,大きな打撃を受けることが予想されるが,そのような事情を考慮しても,これらが信用性を欠くものとまで言い切ることはできない。
そして,被告は,上記のように金員の提供を否定する情報がありながら,不確かな情報についてさしたる裏付け取材もせず,E1元議員の言い分は信用性に乏しいとの印象を与えるような記述をしたのであるから,上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があるとも言い難い。
(2) 本件記事3番号2の記述について
ア 本件記事3番号2の記述のうち,「私はこのメールを買うために,民主党が国対費から400万円出したという話を聞きました。」という記述部分は,その前後の文脈を踏まえると,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすると,原告X1が本件メールをE1元議員に提供した見返りとして民主党が原告X1に多額の金員を支払ったという印象を与えるものであるから,原告X1の社会的評価を低下させるものというべきである。「真偽のほどはわかりませんが」という断定を避ける記載がされていることは,上記判断を左右するものではない。
もっとも,本件記事3番号2の記述のうち,「もし出していても,民主党のごく一部の人間しか知らないことでしょう。ただ,政党がさまざまな情報を買って,国会で対立関係にある政党を攻撃するというのは55年体制のときからよくあったことで,ある意味,国会の常識です。その程度のカネであれば,国対委員長の一存でどうにでもなるものなんですよ」という記述部分は,民主党の内部の事情や国会対策に関するもので,原告X1の社会的評価を低下させるものとはいえない。
イ 本件記事3番号2の記述のうち「私はこのメールを買うために,民主党が国対費から400万円出したという話を聞きました。」という記述部分は,民主党が原告X1から本件メールの提供を受けた見返りとして,原告X1に対し多額の金員を支払ったという事実を摘示するものである。
E24記者は,民主党のE27元参議院議員(以下「E27元議員」という。)を取材し,上記事実と符合する情報を得たことが認められる(乙20)が,それは伝聞情報にすぎないから,上記事実が真実であると認めるには十分ではない。他に,上記事実が真実であることを認めるに足りる証拠はない。
また,被告は,さしたる裏付け取材をしておらず,E27元議員が与野党の国会対策に詳しいからといって(乙20),上記情報が信用できるとはいえないから,被告において,上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があるとはいえない。
(3) 本件記事3番号3の記述について
ア 本件記事3番号3の記述のうち,「Aは,“情報源の元d社員は,真相を明らかにすることによって,E2サイドから追われる身になるし,身の危険がある。身を隠すためにはホテル代をはじめさまざまな経費がかかる”と言って,E1からカネを引き出した。」との記述部分が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
また,本件記事3番号3の記述のうち,「だが,“確定情報”として,こんな指摘をするのは,ある政界関係者だ。『民主党のスタッフ,それもこの問題の検証チームの関係者から聞いた話ですが,確かにE1からAにカネは渡っている。金額はやはり100万円。ただし,国対費ではなく,E1のポケットマネーだそうです。名目は情報提供料ではありません。」及び「E1はこの事実を党の聞き取りでしゃべっているし,複数の関係者もそれを認めている。ただ,これが明らかになれば,民主党のイメージダウンは計り知れない。そこでお金は雑誌の代金だけということで済ませることになっているのです』」との各記述部分は,いずれも,前記4(1)と同様に,原告X1の社会的評価を低下させるものであるといえる。なお,E24記者の陳述書(乙20)には,記事に記載した情報が必ずしも事実とは確認されていないと読者にわかるような表現にした旨の記載があるが,むしろ,あえて,「確定情報」と記載して,一般の読者に確定的な情報であるとの印象を与えるような表現ぶりをとっているといわざるを得ない。
イ 本件記事3番号3の記述は,原告X1が本件メールをE1元議員に提供した見返りとして,E1元議員から100万円を受け取っていたという事実を摘示するものであるところ,上記事実が真実であることを認めるに足りる証拠はなく,被告において,上記事実を真実と信ずるについて相当の理由がないことも,前記4(1)と同様である。
(4) 本件記事3番号4の記述について
ア 本件記事3番号4の記述のうち,「パイロット版の出来があまりにもお粗末だったことから,3月に予定されていた創刊号の広告出稿も苦戦していた。台所事情は相当苦しかったはずで,“自己実現”どころの騒ぎではなかったはずですよ」との記述部分が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
もっとも,本件記事3番号4の記述のうち,「さらに,当時のA氏側の事情を説明するのは,あるジャーナリストだ。「A氏が昨年パイロット版を作った雑誌『△△△△』には,当初,あるイタリア系の高級ブランドメーカーが大広告主としてついていたのですが,社内の事情で突然スポンサーから降りることになった。」との記述部分は,広告主が社内事情でスポンサーを降りたとの事実を摘示するものにすぎず,原告X1の社会的評価を何ら低下させるものではない。
イ 本件記事3番号4の記述のうち,「パイロット版の出来があまりにもお粗末だったことから,3月に予定されていた創刊号の広告出稿も苦戦していた。台所事情は相当苦しかったはずで,“自己実現”どころの騒ぎではなかったはずですよ」との記述部分は,原告X1が雑誌の出版を企画したが,経営に苦慮し,経済的にも困窮していたとの事実を摘示するものであるが,それが真実であると認めるに足りる証拠はない。かえって,E8記者がジャーナリストのE28を取材したデータ原稿(乙34)には,原告X1が経済的に困窮してはいなかった旨の記載がされている。
また,被告において,上記事実について裏付け取材をした形跡もないから,上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があったともいえない。
(5) 本件記事3番号5の記述について
ア 本件記事3番号5の記述のうち,「2月にAから連絡があったのだそうです。目的は子供名義で作っていた口座の預金を何とかしたいということ。前妻は子供のための預金だからと,それを断ったそうですが,お金には相当困っていたようなのです」との記述部分が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
また,本件記事3番号5の記述のうち,「金欠のガセメール記者」という論評も,一般の読者に原告X1が経済的に困窮していたという印象を与えるものであるから,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは明らかである。
もっとも,本件記事3番号5の記述のうち,「A氏の知人の話。『A氏には数年前に離婚した妻がいて,子供は前妻が引き取っている。離婚以来ほとんど連絡は取っていなかったのですが,」との記述部分は,原告X1が離婚をしたこと及びその後は前妻や子との連絡を取っていなかったことを摘示するにとどまるから,原告X1の社会的評価を何ら低下させるものではない。
イ 本件記事3番号5の記述のうち,「2月にAから連絡があったのだそうです。目的は子供名義で作っていた口座の預金を何とかしたいということ。前妻は子供のための預金だからと,それを断ったそうですが,お金には相当困っていたようなのです」との記述部分が摘示する事実及び「金欠のガセメール記者」という論評の前提としている事実は,原告X1が経済的に困窮していたという事実であるところ,それが真実であることを認めるに足りる証拠はない。確かに,証拠(乙17,42,証人E9,証人E8)によれば,E8記者は,①E9を取材し,E9から,氏名を明かせない者から聞いた話として,E17が原告X1から子供名義の口座の預金を無心されたが断ったと言っていた旨の情報を得たこと,②E12を取材し,E12から,E17から聞いた話として,原告X1から平成18年2月15日ころE17に電話があった旨の情報を得たことが認められるが,いずれも,伝聞あるいは再伝聞の情報にすぎないから,それらの情報から上記事実が真実であると認めるには十分ではない。他に,上記事実を真実と認めるに足りる証拠はない。
また,E8記者は,E17に対しては,本件記事3番号5の記述に関する裏付け取材をしていないというのであるから(証人E8),被告において,上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があるともいえない。
(6) 本件記事3番号6の記述について
ア 本件記事3番号6の記述が,原告X1の社会的評価を低下させるものであることは,被告もこれを自認するところである。
イ 本件記事3番号6の記述は,原告X1が警察からの追及を逃れるため精神病院に入院しようとしたことがあり,今回も同じ方法で追及を逃れようとする可能性があるとの事実を摘示するものであるが,それが真実であると認めるに足りる証拠はない。すなわち,E8記者は,E12を取材し,E12から,E17から聞いた話として,原告X1が,自動車の保険金詐欺未遂を行った際に,警察に逮捕されないように精神病院に連れて行って欲しいとE17に頼んできたという情報を得たと証言し(証言E8),それにそう陳述書(乙17)やデータ原稿(乙35)も存在するが,これらは伝聞の情報にすぎないから,その情報のみから上記事実を真実であると認めるには十分ではない。他に,上記事実が真実であることを認めるに足りる証拠はない。
また,E8記者は,E17に対しては,本件記事3番号6の記述に関する裏付け取材をしていないというのであるから(証人E8),被告において,上記事実を真実と信ずるについて相当の理由があるともいえない。
5 原告会社に対する信用毀損の成否(争点(2))について
本件記事3番号4の記述を除いた本件各記述の内容は,原告X1がE1元議員に対し本件メールを提供したことのほか,フリーの雑誌記者としていくつかの記事を週刊誌に持ち込んだこと又は原告X1個人の私生活に関することであり,いずれも原告会社の経営とは全く関係がなく,原告会社に関する記述も一切ないから,それらが原告X1の社会的評価を低下させるものであっても,直ちに,一般の読者に対し,原告X1と別個の人格を有する原告会社の信用を低下させるような印象を与えるものとはいえないというべきである。原告らは,本件メールに関する一連の騒動により原告X1に社会の注目が過度に集中したため,原告X1と原告会社が一体のものとして評価された旨を主張するが,本件メールに関する社会の関心は,原告会社の事業に向けられたものではなく,本件各記事の内容等に照らしても,一般の読者が原告X1と原告会社が一体のものと評価するような事情も認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
次に,本件記事3番号4の記述は,雑誌「△△△△」について,スポンサーが降りることとなり,創刊号の広告出稿に苦戦したことなどを摘示しているものである。もっとも,本件記事2の中には,原告X1が富裕層向けの雑誌「△△△△」を発行する予定であった旨の記述がある上,本件記事3の中には,E1元議員が「A氏の会社が発行する雑誌を」後援会の資金で購入した旨の記載があるものの,雑誌「△△△△」を出版したのが原告会社であることを示すような記述はなく,かえって,「“自己実現”どころの騒ぎではなかった」という記述がされているところ,E1元議員が,衆議院懲罰委員会において,原告X1が情報提供をしてきた動機を「A氏の自己実現,それから,E1に国会で追及の材料として使ってもらってE1の功績にしてほしい」と説明したという記述部分と併せて読むと,一般の読者には原告X1の経済状況が苦しかったという印象を与えるものにすぎず,原告会社の信用を低下させるものとは言い難い。
したがって,本件各記述によって,原告会社の信用が毀損されたとはいえず,原告会社の被告に対する請求は,いずれも理由がない。
6 損害(争点(4))について
以上のとおり,本件各記述には,その重要な部分において真実である記述部分,被告において真実と信ずるについて相当の理由がある部分及び意見ないし論評として違法性を欠く部分が相当程度あるものの,本件記事1番号2の記述のうち,別紙5中「記事1について」の番号2の「被告の反論」欄記載の(キ)及び(ク)記述部分,同番号5及び6の各記述,本件記事2番号6の記述の一部,本件記事3番号1,2,4及び5の各記述の一部,同番号3及び6の各記述は,いずれも原告X1の名誉を毀損するものとして不法行為に該当する。そして,名誉毀損に係る記述の内容その他本件に現れた一切の諸事情を考慮すると,原告X1が被った精神的苦痛に対する慰謝料は,本件記事1につき40万円,本件記事2につき30万円,本件記事3につき80万円とするのが相当である。また,弁護士費用のうち,本件記事1につき4万円,本件記事2につき3万円,本件記事3につき8万円を,上記不法行為と相当因果関係がある損害と認める。
次に,既に本件各記事が掲載されてから一定程度の時間が経過していることも踏まえ,その他本件に現れた一切の諸事情を考慮しても,上記金員の支払のほかに別紙1「謝罪文」の掲載を命じる必要があるとはいえない。
7 結論
以上によれば,原告X1の請求は,被告に対し,損害金165万円及びこれに対する不法行為の後(訴状送達の日の翌日)である平成18年9月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余の原告X1の請求及び原告会社の請求はいずれも理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 阿部潤 裁判官 佐藤英彦 裁判官 吉田達二)
〈以下省略〉
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政治と選挙の裁判例「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧
(1)平成22年11月30日 金沢地裁 平21(行ウ)3号 公金支出差止請求事件
(2)平成22年11月19日 盛岡地裁 平18(行ウ)11号 政務調査費返還請求事件
(3)平成22年11月17日 東京高裁 平22(行ケ)16号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(4)平成22年11月17日 東京高裁 平22(行ケ)15号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(5)平成22年11月12日 東京地裁 平21(行ウ)126号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(6)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)542号 政務調査費返還(住民訴訟)請求事件
(7)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)251号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(8)平成22年11月 2日 東京高裁 平22(行ケ)14号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(9)平成22年10月29日 東京地裁 平19(ワ)31252号 損害賠償等請求事件
(10)平成22年10月29日 東京地裁 平19(行ウ)472号・平19(行ウ)493号・平19(行ウ)494号・平19(行ウ)495号・平19(行ウ)496号・平19(行ウ)497号・平19(行ウ)498号・平19(行ウ)715号・平19(行ウ)785号・平20(行ウ)55号・平20(行ウ)132号・平20(行ウ)133号・平20(行ウ)404号・平20(行ウ)405号・平20(行ウ)406号・平20(行ウ)407号・平20(行ウ)408号・平20(行ウ)686号・平20(行ウ)756号・平21(行ウ)367号・平18(行ウ)472号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、在留特別許可をしない処分取消請求事件
(11)平成22年10月28日 東京地裁 平19(ワ)31393号 損害賠償請求事件
(12)平成22年10月27日 仙台高裁 平21(行コ)28号 違法公金支出による損害賠償履行請求控訴事件
(13)平成22年10月22日 東京高裁 平22(行ス)76号
(14)平成22年10月 1日 東京地裁 平21(行ウ)132号 難民不認定処分取消等請求事件
(15)平成22年 9月30日 東京地裁 平21(行ウ)231号 報酬支出差止請求事件
(16)平成22年 9月17日 東京地裁 平21(行ウ)226号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(17)平成22年 9月14日 最高裁第三小法廷 平22(ク)760号・平22(許)24号 仮処分命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する抗告事件
(18)平成22年 7月30日 東京地裁 平21(行ウ)281号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(19)平成22年 7月30日 東京地裁 平20(行ウ)605号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(20)平成22年 6月24日 東京地裁 平21(行ウ)15号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(21)平成22年 6月17日 名古屋高裁 平22(ラ)137号 仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件
(22)平成22年 6月16日 東京地裁 平22(ワ)221号 損害賠償請求事件
(23)平成22年 6月 8日 東京地裁 平21(行ウ)144号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(24)平成22年 5月31日 東京地裁 平20(ワ)16947号 損害賠償請求事件
(25)平成22年 5月20日 東京地裁 平21(行ウ)99号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(26)平成22年 5月13日 東京高裁 平20(う)2470号 国家公務員法違反被告事件
(27)平成22年 4月28日 東京地裁 平20(行ウ)642号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(28)平成22年 4月27日 札幌高裁 平21(行ケ)1号 衆議院議員選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・札幌高裁・第一審〕
(29)平成22年 4月13日 東京地裁 平20(ワ)34451号 貸金等請求事件
(30)平成22年 3月31日 東京地裁 平21(行ウ)259号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(31)平成22年 3月30日 大阪高裁 平19(ネ)2853号 損害賠償請求控訴事件
(32)平成22年 3月30日 東京地裁 平21(行ウ)256号 医薬品ネット販売の権利確認等請求事件
(33)平成22年 3月29日 東京高裁 平18(う)2351号 国家公務員法違反被告事件
(34)平成22年 3月29日 金沢地裁 平19(行ウ)5号 公金違法支出損害賠償請求事件
(35)平成22年 3月26日 熊本地裁 平19(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(36)平成22年 3月25日 岐阜地裁大垣支部 平20(ワ)253号 損害賠償請求事件
(37)平成22年 3月12日 福岡高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・福岡高裁・第一審〕
(38)平成22年 3月11日 東京高裁 平21(行ケ)36号 選挙無効請求事件
(39)平成22年 3月11日 東京高裁 平21(行ケ)35号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(40)平成22年 3月 8日 福岡地裁 平19(行ウ)8号 難民不認定処分取消等請求事件
(41)平成22年 3月 3日 東京地裁 平20(行ウ)412号・平20(行ウ)425号・平20(行ウ)426号・平21(行ウ)79号 退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(42)平成22年 2月26日 東京地裁 平20(行ウ)486号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(43)平成22年 2月24日 東京高裁 平21(行ケ)20号・平21(行ケ)21号・平21(行ケ)22号・平21(行ケ)23号・平21(行ケ)24号・平21(行ケ)25号・平21(行ケ)26号・平21(行ケ)27号 各選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(44)平成22年 2月24日 東京高裁 平21(行ケ)19号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(45)平成22年 2月 5日 東京地裁 平20(行ウ)713号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(46)平成22年 2月 3日 東京高裁 平21(行ケ)30号 選挙無効請求事件
(47)平成22年 1月29日 東京地裁 平20(行ウ)261号・平20(行ウ)273号・平20(行ウ)274号 難民の認定をしない処分取消等請求事件(第1事件・第2事件)、退去強制令書発付処分取消等請求事件(第3事件)
(48)平成22年 1月27日 東京地裁 平20(ワ)14157号 損害賠償等請求事件
(49)平成22年 1月25日 広島高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・広島高裁・第一審〕
(50)平成22年 1月22日 東京地裁 平21(行ウ)82号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(51)平成22年 1月15日 東京地裁 平20(行ウ)626号・平21(行ウ)2号 在留特別許可をしない処分無効確認請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(52)平成21年12月28日 大阪高裁 平21(行ケ)2号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・大阪高裁・第一審〕
(53)平成21年12月 4日 東京地裁 平20(ワ)7435号・平20(ワ)26797号 建物収去土地明渡請求事件、建物退去土地明渡請求事件
(54)平成21年11月30日 最高裁第二小法廷 平20(あ)13号 住居侵入被告事件 〔葛飾政党ビラ配布事件・上告審〕
(55)平成21年11月27日 東京地裁 平14(刑わ)3696号・平14(刑わ)4021号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(56)平成21年11月26日 東京地裁 平21(行ウ)86号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(57)平成21年11月26日 東京地裁 平20(行ウ)629号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(58)平成21年11月26日 東京地裁 平20(行ウ)436号・平20(行ウ)444号・平20(行ウ)445号・平20(行ウ)446号・平20(行ウ)447号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(59)平成21年10月29日 東京地裁 平18(行ウ)529号・平18(行ウ)564号・平20(行ウ)235号・平20(行ウ)237号 在留を特別に許可しない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(60)平成21年10月28日 京都地裁 平19(ワ)3986号・平20(ワ)797号・平20(ワ)2263号・平20(ワ)3884号・平21(ワ)1575号 損害賠償請求事件
(61)平成21年10月21日 東京地裁 平21(行ウ)61号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(62)平成21年10月 9日 東京地裁 平19(ワ)9718号 損害賠償等請求事件
(63)平成21年 9月30日 最高裁大法廷 平20(行ツ)209号 選挙無効請求事件
(64)平成21年 9月30日 最高裁大法廷 平20(行ツ)196号 選挙無効請求事件
(65)平成21年 9月29日 東京地裁 平19(行ウ)437号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(66)平成21年 8月28日 東京地裁 平19(行ウ)123号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(67)平成21年 8月27日 東京地裁 平20(行ウ)323号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(68)平成21年 8月25日 東京地裁 平20(ワ)16289号 書籍出版等差止請求事件 〔扶桑社教科書差し止め訴訟〕
(69)平成21年 7月22日 東京地裁 平21(ワ)7588号 慰謝料等請求事件
(70)平成21年 7月16日 東京地裁 平20(行ウ)525号 難民不認定処分無効確認請求事件
(71)平成21年 6月30日 東京地裁 平20(行ウ)421号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(72)平成21年 6月25日 東京地裁 平18(ワ)17391号 損害賠償等請求事件
(73)平成21年 6月23日 東京地裁 平20(行ウ)163号・平20(行ウ)167号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(74)平成21年 6月17日 大阪高裁 平20(行コ)159号 政務調査費返還請求行為請求控訴事件
(75)平成21年 6月12日 東京地裁 平20(ワ)27642号 貸金請求事件
(76)平成21年 5月29日 東京地裁 平20(行ウ)150号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(77)平成21年 5月27日 東京高裁 平20(行コ)333号 不当利得返還(住民訴訟)請求控訴事件
(78)平成21年 5月26日 東京地裁 平21(む)1220号 政治資金規正法被告事件
(79)平成21年 5月25日 大阪地裁 平18(行ウ)128号 懲戒処分取消請求事件 〔国・気象衛星センター(懲戒免職)事件〕
(80)平成21年 5月22日 東京地裁 平19(行ウ)309号・平20(行ウ)518号 在留特別許可をしない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(81)平成21年 5月11日 京都地裁 平21(む)843号 証拠開示命令請求事件
(82)平成21年 4月23日 仙台地裁 平19(ワ)1560号 不当解雇損害賠償等請求事件 〔京電工論旨解雇事件〕
(83)平成21年 4月21日 東京地裁 平20(行ウ)142号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(84)平成21年 3月31日 大阪地裁 平19(行ウ)34号・平19(行ウ)63号・平19(行ウ)77号・平20(行ウ)82号 国際放送実施命令取消等請求(甲~丙事件)、国際放送実施要請違法無効確認等請求(丁事件)事件
(85)平成21年 3月27日 東京地裁 平19(行ウ)178号・平20(行ウ)21号・平20(行ウ)146号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(86)平成21年 3月27日 東京地裁 平18(行ウ)520号・平18(行ウ)524号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(87)平成21年 3月26日 東京地裁 平20(行ウ)134号・平20(行ウ)177号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、追加的併合事件
(88)平成21年 3月26日 東京地裁 平19(行ウ)580号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(89)平成21年 3月24日 東京地裁 平19(ワ)23257号 損害賠償請求事件
(90)平成21年 3月23日 名古屋地裁 平18(行ウ)64号 政務調査費返還代位請求事件
(91)平成21年 3月18日 東京地裁 平19(行ウ)305号・平20(行ウ)501号 在留特別許可をしない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(92)平成21年 2月27日 東京地裁 平18(行ウ)497号 遺族補償給付等不支給処分取消請求事件
(93)平成21年 2月27日 東京地裁 平18(ワ)26458号・平18(ワ)24160号 謝罪広告等請求事件、損害賠償請求事件 〔特高警察関係資料集成事件〕
(94)平成21年 2月25日 東京地裁 平19(行ウ)325号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(95)平成21年 2月25日 東京地裁 平18(行ウ)374号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(96)平成21年 2月16日 東京地裁 平20(ワ)16317号 損害賠償請求事件
(97)平成21年 2月13日 東京地裁 平20(行ウ)144号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(98)平成21年 1月29日 東京地裁 平19(行ウ)741号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(99)平成21年 1月27日 横浜地裁川崎支部 平15(ワ)200号 差止等請求事件
(100)平成21年 1月22日 大津地裁 平19(行ウ)10号 公金支出差止め請求事件
■「選挙 コンサルタント」に関する裁判例一覧【1-101】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-consultant/
■「選挙 立候補」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-rikkouho/
■「政治活動 選挙運動」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seijikatsudou-senkyoundou/
■「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou-poster/
■「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例一覧【1~49】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bira-chirashi/
■「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seimu-katsudouhi-poster/
■「演説会 告知 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-seiji-enzetsukai-kokuchi-poster/
■「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例一覧【101~210】
https://www.senkyo.win/kousyokusenkyohou-negotiate-put-up-poster/
■「政治ポスター貼り 公職選挙法 解釈」に関する裁判例一覧【211~327】
https://www.senkyo.win/political-poster-kousyokusenkyohou-explanation/
■「公職選挙法」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou/
■「選挙 公報 広報 ポスター ビラ」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-kouhou-poster-bira/
■「選挙妨害」に関する裁判例一覧【1~90】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bougai-poster/
■「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-2ren-3ren-poster-political-party-official-candidate/
■「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kojin-tandoku-poster-political-party-official-candidate/
■「政党 公認 候補者 公募 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-party-official-candidate-koubo-poster/
■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-politician/
■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-campaign-bulletin-gazette-public-relations/
■「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-2ren-3ren-poster/
■「国政政党 地域政党 個人(単独)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-kojin-tandoku-poster/
■「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-official-candidate-koubo-poster-kokusei-seitou-chiiki-seitou/
■「政治団体 公認 候補者 告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-official-candidate-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster/
■「政治団体 後援会 選挙事務所 候補者 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-kouenkai-senkyo-jimusho-official-candidate-poster/
■「政党 衆議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-shuugiin-giin-poster/
■「政党 参議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-sangiin-giin-poster/
■「政党 地方議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-chihou-giin-poster/
■「政党 代議士 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-daigishi-giin-poster/
■「政党 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-poster-hari-volunteer/
■「政党 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-touin-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/
■「政治団体 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seiji-dantai-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/
■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kouenkai-nyuukai-boshuu-kakutoku-daikou/
■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績! 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績!
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(3)今すぐ無料でお見積りのご相談 ☆大至急スピード無料見積もり!選挙広報支援プランご提案
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(4)政界初!世界発!「ワッポン」 選挙管理委員会の認証確認済みPR型「ウィン!ワッポン」
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(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
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(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。
(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
街頭外壁掲示許可交渉代行/全業種 期間限定!貴社(貴店)ポスター貼り サイズ/枚数/全国エリア対応可能!
【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。
(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!
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