政治と選挙Q&A「公認 候補者 公募 ポスター 新人 戸別訪問 国政政党 地域政党」に関する裁判例(19)平成19年 4月20日 東京地裁 平15(ワ)29718号・平16(ワ)13573号 損害賠償等請求事件
裁判年月日 平成19年 4月20日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平15(ワ)29718号・平16(ワ)13573号
事件名 損害賠償等請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2007WLJPCA04208010
要旨
◆創価学会員で執筆活動等を行う原告が、被告会社発行の雑誌に掲載された記事により名誉を毀損されたとして、被告会社及び記事を執筆した被告らに対し、慰謝料の支払と謝罪広告の掲載を求めた事案において、記事は原告が創価学会員であることを秘匿して連立政権下の日本社会党の機関紙に潜入し情報活動をしていたかのような印象を与え原告の社会的評価を低下させるものであり、その点につき真実性及び相当性は認められないとして名誉毀損を認めたものの、原告の損害は慰謝料の支払と自らの反論活動で相当程度回復されるなどとして、慰謝料請求の一部のみを認容した事例
参照条文
民法709条
民法710条
民法715条
民法723条
裁判年月日 平成19年 4月20日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平15(ワ)29718号・平16(ワ)13573号
事件名 損害賠償等請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2007WLJPCA04208010
東京都新宿区〈以下省略〉
第1事件・第2事件原告 X
同訴訟代理人弁護士 弘中徹
同 仙田正一
同 海野秀樹
同 若井広光
埼玉県狭山市〈以下省略〉
第1事件・第2事件被告 Y1
東京都新宿区〈以下省略〉
同 有限会社フォーラム
同代表者取締役 Y1
東京都立川市〈以下省略〉
第2事件被告 Y2
被告3名訴訟代理人弁護士 松井繁明
同 藤澤整
主文
1 第1事件・第2事件被告Y1及び同有限会社フォーラムは,第1事件・第2事件原告に対し,連帯して,44万円及びこれに対する平成15年8月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 第1事件・第2事件被告Y1,同有限会社フォーラム及び第2事件被告Y2は,第1事件・第2事件原告に対し,連帯して,66万円及びこれに対する平成16年4月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 第1事件・第2事件原告の第1事件及び第2事件についてのその余の各請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は,第1事件及び第2事件を通じて,これを10分し,その9を第1事件・第2事件原告の負担とし,その余を第1事件・第2事件被告Y1,同有限会社フォーラム及び第2事件被告Y2の負担とする。
5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1 第1事件
(1) 第1事件・第2事件被告Y1(以下「被告Y1」という。)及び同有限会社フォーラム(以下「被告フォーラム」という。)は,第1事件・第2事件原告(以下「原告」という。)に対し,連帯して1100万円及びこれに対する平成15年8月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 被告Y1及び被告フォーラムは,被告フォーラム発行の「FORUM21」(以下「本件雑誌」という。)に,別紙1記載の謝罪広告を別紙2記載の掲載条件で1回掲載せよ。
2 第2事件
(1) 被告Y1,被告フォーラム及び第2事件被告Y2(以下「被告Y2」という。)は,原告に対し,連帯して1650万円及びこれに対する平成16年4月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 被告Y1,被告フォーラム及び被告Y2は,本件雑誌に,別紙3記載の謝罪広告を別紙4記載の掲載条件で1回掲載せよ。
第2 事案の概要
本件は,執筆活動等を行う原告が,被告Y1,被告Y2が執筆し被告フォーラムが発行する本件雑誌の平成15年8月1日号及び平成16年4月15日号にそれぞれ掲載された記事によってその名誉を毀損されたとして,慰藉料の支払及び謝罪広告の掲載を求める事案である。
1 前提となる事実(当事者間に争いがない。)
(1) 当事者
原告は,取材,執筆活動等を行う者であり,創価学会員である。原告は,平成5年11月15日から平成8年12月27日まで,日本社会党(現社会民主党)の機関紙である社会新報の編集部にアルバイトとして採用されていた。
被告フォーラムは,雑誌等の出版,販売を目的とする有限会社であり,平成14年3月から,本件雑誌を隔週刊で発行して,全国に販売している。被告Y1は,被告フォーラムの代表者取締役であり,本件雑誌の発行人である。被告Y2は,取材,執筆活動等を行う者である。
(2) 本件各記事の掲載
ア 被告フォーラムは,本件雑誌の平成15年8月1日号の21頁から24頁にかけて,同誌編集部の名で,「正体が判明した創価学会・公明党「ダミー本」の執筆者」との見出しで始まる特報記事を掲載した(以下「本件記事1」という。)。本件記事1には,次のような記述があった(以下「本件記述1」という。)。
(ア)(小見出し)社民党機関紙にも潜入
(本文)
「X」については,さらに奇怪な事実が判明している。彼は社民党機関紙「社会新報」記者という経歴の持ち主でもあるのだ。
彼は早大時代,創価学会学生部メンバーだったと言われている。その後,フリーライターのグループに加入。1990年代に「社会新報」に入り,90年代後期に退職した。同紙の元編集関係者によると「ある人の紹介で来たが,当初は学会員とは知らなかった」という。
彼の「社会新報」在籍時期に注目する必要がある。自社さ連立政権の時期にピッタリ重なるのだ。当時,公明党は野党だった。そして,政権側は自民党を先頭に強烈な創価学会批判を展開していた。そのさなかに「社会新報」入りしたXは,とりわけ95年の宗教法人法改正問題の「取材」に熱心だったという。「(社民党の)政審関係者に執拗な取材攻勢をかけたため,編集部に苦情が来た」(前出元編集部関係者)ほどだった。
この宗教法人法改正問題で,大きな争点になったのは,池田大作名誉会長を参考人招致するか否かだった。参院審議の大詰めに,自民党が参考人招致をチラつかせたとたん公明や新進党の元公明党議員の目の色が変わった。法人法委員会の理事らを深夜まで閉じ込めて気勢をあげ,公明や新進党の元公明党秘書らが委員会室前の廊下を埋めつくすという騒ぎになった。そのとき,Xは与党の政審関係者らの動向に,執拗な「取材」をしていたのである。
(イ)(小見出し)「仮面グループの源流は信濃町?」
(本文)
創価学会を批判する団体や個人の動向を「取材」し執筆する仮面のグループ。その水脈をたどると,一つの源流に集約されていく。「信濃町」である。
イ 被告フォーラムは,本件雑誌の平成16年4月15日号の8頁から11頁にかけて,「文春「出版禁止」事件と創価学会」と題する特集記事の一つとして,被告Y2の名で,「「事前検閲」を可能にするもの」との見出しで始まる記事を掲載した(以下「本件記事2」という。以下,本件記事1及び本件記事2を総称して「本件各記事」という。)。本件記事2には,次のような記述があった(以下「本件記述2」という。)。
(小見出し)スパイ活動は日常行為?
(本文)
異例中の異例のXは,さらにこう続ける。
「社会新報関係者から入社を誘われ,これに応じたのであり,入社後間もなく,原告は,自らが創価学会員であることを当時の上司に話し,平成6年(94年)初頭には多くの社会新報関係者がそのことを知っていたのであって,原告が創価学会員であることを殊更に秘匿していたなどという事実は全くない」
Xは社会党機関紙の社会新報で働いていたことがなぜか得意でたまらないらしい。月刊潮などでもこれを披露しているのだが,しかし,自前の,おまけに直結する政党を持つ,カルトと評される宗教団体の構成員がそもそも他党の中枢部である機関紙編集局の内部にいること自体,正常なこととはとても言えない。とまれ,Xの「入社」は真実なのか。
元社会党書記局員たち(いずれも当時)が次のように指摘する。
「新報はれっきとした社会党の機関紙です。にもかかわらず,党とはまったく別組織めいた感じを与える『新報に入社』といった表現はまやかしでしかありませんし,そもそも党では『入社』なんて言葉は使わない」
次の点はどうなのか。彼は「94年初頭には自分が創価学会員だということは多くの関係者が知っていた」と強調している。
「とんでもない。そういう人物を編集部に入れるはずがない。私たちはずっと正体を知らなかった」
そして,ついにと言うべきか,案の定と言うべきか,ひょんなことからXの妙な動きが露顕。関係者たちの記憶に強く残った。
95年の秋。国会(村山富市・自社さ政権)でオウム真理教事件を機に発火した宗教法人法改正の流れが勢いを増して,“池田大作氏の参考人招致”が焦点となり,創価学会議員(野党の新進党に所属)や同秘書たちが国会の廊下を封鎖するような騒ぎへ発展していくさなかのことだ。彼は社会党内の宗教法人法担当部署を取材をしていた。しかし……,元社会新報記者がこう証言する。
「そのころの新報には宗教法人法に関する記事がありません。宗教法人法を取り上げる企画すらなかった」
としたら,当然こんな疑問が生まれる。Xはいったい,何のために,誰のために同取材を行なっていたのか。ノンフィクション・ライター(ジャーナリスト)は編集長やデスクの命じることだけ取材するわけではない。縦横に幅を広げていく。むしろそうしなければならないのだ。とはいえ野放図は許されない。Xの動きはこうした図式に当てはまるだろうか。
当てはまらない。なぜなら,彼が所属していたのは社会党の方針を的確に報じなければならない,とりわけ与野党の対立議案については慎重の上にも慎重を期さなければならない機関紙であり,あまつさえ彼は企画を重視する特報欄の担当でもあったからだ。が,社会新報には当時,宗教法人法改正に関する企画そのものが存在していなかったという。としたら,再び問いたい,Xはこのときの,創価学会議員たちがこぞって,あわてふためき,目を血走らせ,トイレへ行く間も惜しんで「阻止」を叫び続けていた“センセー国会招致”にかかわる取材の成果をどのように処理したのか。彼はこう言う。
「社会新報在籍中に,宗教法人法改正問題について取材をしたことがない。スパイ活動をする目的で,社会新報に入社したのではない」
Xはもしかしたらシレッとして次のように言い張るかもしれない。たとえば3月19日の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の受賞式にも姿を現さなかった。もちろん「スパイ活動」もしていない,と。
「田中真紀子」以前に「池田大作」は平然と“事前検閲”による言論弾圧を展開していたのである。そうした彼らの極悪行為を可能にしているものは何か。ひとえにスパイ活動である。彼らにとって「スパイ活動」は歯磨きや洗顔や入浴と同じ日常行為だと言えなくもない。このことは彼らにより惹起された数多くの言論弾圧・プライバシー(人権)侵害・傷害・脅迫・虚偽(ガセネタ)散布事件が証明している。つまり,ほかならぬ彼ら自身が熟知している。
Xはじつに熱心な池田信徒だった。
(3) 損害賠償等請求訴訟の提起
原告は,本件記事1の内容が原告の名誉を毀損するものであるとして,被告フォーラム及び被告Y1を被告として,当庁に,平成15年12月26日,損害賠償等請求訴訟(第1事件)を提起し,その後,本件雑誌に本件記事2が掲載されたため,被告フォーラム,被告Y1及び被告Y2を被告として,当庁に,平成16年6月25日,損害賠償等請求訴訟(第2事件)を提起した。
2 原告の主張
(1) 本件各記事の名誉毀損性
ア 本件記事1について
本件記述1は,原告が創価学会員であることを隠して社会新報に「潜入」した時期が,自由民主党,日本社会党及び新党さきがけの連立政権(以下「自社さ連立政権」という。)下の政党与党による強烈な創価学会批判が展開されている最中であること,原告が創価学会員であることを隠して,自社さ連立政権下で強烈な創価学会批判が展開されている時期に合わせて社会新報に「潜入」した目的が,そのような創価学会批判を展開している政権与党の動向を探ることにあったこと,そのことが端的に表れたのが,宗教法人法改正問題の際の政審関係者への「執拗な取材」であり,原告が社会新報に「潜入」して行った政権与党の動向を探る「取材」活動が,「信濃町」すなわち創価学会における原告の任務であったことなどの事実を摘示するものであり,本件記事1全体の文脈や「潜入」「奇怪」などの表現も併せ,一般読者の普通の注意と読み方とを基準として本件記述1を見ると,創価学会員である原告が,自社さ連立政権時代において,日本社会党を始めとする公明党や創価学会と敵対する団体や関係者から種々の情報を不当に収集し,それを創価学会や公明党に漏洩するという諜報活動を行う目的で,創価学会員であることをことさらに秘匿して社会新報に入社し,実際に,自社さ連立政権時代に国会で審議されていた宗教法人法改正問題について,創価学会の池田大作名誉会長(以下「池田名誉会長」という。)の参考人招致についての与党の動きを探るため,社会新報記者の肩書を利用して,日本社会党中央本部の政策審議会(以下「政策審議会」という。)の関係者に対して執拗な取材攻勢をかけるなど,創価学会のために諜報活動をしていたとの印象を与えるものであるから,本件記事1は原告の社会的評価を低下させ,その名誉を毀損するものである。
イ 本件記事2について
本件記述2は,原告が社会新報在籍中,創価学会員であることをことさらに秘匿していたこと,池田名誉会長に対する参考人招致が取り沙汰されていた当時,社会新報では,宗教法人法改正問題に関する記事を掲載する予定がなかったにもかかわらず,原告が創価学会のために,社会新報の記者の肩書きを利用して日本社会党内の宗教法人法担当部署に,池田名誉会長の参考人招致に関する取材をし,そこから得た情報を創価学会に漏洩するなど,創価学会のために諜報活動をしていたことなどの事実を摘示するものであり,一般読者の普通の注意と読み方とを基準として本件記述2を見ると,原告が,熱心に信奉する創価学会のために,社会新報記者としての肩書きを利用して,種々の情報を不正に収集し,それを創価学会に漏洩するという諜報活動を行う目的をもって,創価学会員であることをことさらに秘匿して,日本社会党の機関紙を発行する社会新報に入社し,その後もそれを秘匿し続けて活動し,実際に,自社さ連立政権時代に国会で審議されていた宗教法人法改正問題に関して,池田名誉会長の参考人招致についての与党の動きを探るため,日本社会党の宗教法人法担当部署に対して取材を行い,それにより得た情報を創価学会に漏洩するなど,創価学会のために諜報活動をしていたとの印象を与えるものであるから,本件記事2は原告の社会的評価を低下させ,その名誉を毀損するものである。
(2) 被告らの責任
ア 本件記事1について
被告フォーラム及び本件雑誌の発行人である被告Y1は,本件記事1によって原告の名誉を毀損したものであるから,被告フォーラムは民法709条,715条に基づき,被告Y1は同法709条に基づき,連帯して不法行為責任を負う。
イ 本件記事2について
被告フォーラム及び本件雑誌の発行人である被告Y1は,本件記事2を掲載することによって,被告Y2は,本件記事2を執筆することによって,原告の名誉を毀損したものであるから,被告フォーラムは民法709条,715条に基づき,被告Y1及び被告Y2は,同法709条に基づき,連帯して不法行為責任を負う。
(3) 損害
ア 慰藉料
原告はフリージャーナリストとして人権問題等に強い関心をもって,これまで真摯に取材,執筆活動をしてきた。原告が社会新報に入社した動機も人権問題等に関する執筆活動等を行うためであり,実際に社会新報では,人権問題等に関する記事を数多く執筆してきた。しかるに,被告らはこうした事実をことさらに無視して本件各記事を掲載し,本件各記事が,原告が周囲を欺きながら創価学会のために諜報活動(スパイ活動)をしていたとの虚偽の事実を摘示したことによって,原告の社会的評価は著しく低下させられた。実際にも本件各記事の掲載により,原告がスタッフをしていたメディアに対して抗議があり,その結果原告がスタッフを退かざるを得なくなるという実害も発生している。本件雑誌は,日本全国で4000部発行されている雑誌であり,一般国民に対して大きな影響力を有していることはもとより,政界関係者やマスコミ関係者等にも多数配布されている。現に平成15年2月13日に行われた本件雑誌の創刊1周年を祝し,被告Y1を激励する会には,複数の国会議員や月刊誌,週刊誌の編集長など,政界,マスコミ界,宗教界から200名にのぼる来賓が参加した。
特に,本件記事2は,原告を侮蔑するような表現を用いたものである上,本件記事1について原告が名誉毀損であるとして損害賠償等請求訴訟を提起し,同事件が審理されている最中に,あえて名誉毀損行為を繰り返したものであって,その行為態様の悪質性は顕著であり,違法性の程度は極めて高い。
このように,本件各記事の内容の悪質性と,本件雑誌の影響力からすれば,本件記事1及び本件記事2によって原告が被った精神的苦痛は甚大であり,これを金銭的に評価すれば本件記事1については1000万円,本件記事2については1500万円を下らない。
イ 弁護士費用相当損害金
被告Y1及び被告フォーラムの本件記事1並びに被告Y1,被告Y2及び被告フォーラムの本件記事2による名誉毀損行為によって,原告は本件各損害賠償請求訴訟の提起を余儀なくされ,その訴訟追行を原告訴訟代理人らに委任した。原告が訴訟代理人らに支払う弁護士費用のうち,本件記事1について100万円,本件記事2について150万円は,名誉毀損行為と相当因果関係にある損害である。
(4) 謝罪広告
被告らは,「潜入」「奇怪」「仮面」「偽名」「不審人物」「世間常識からみれば奇っ怪かつ剣呑な男」などといった原告の人格を貶める表現を用いて,原告に何らの取材をすることもなく内容虚偽の記事を掲載した上,本件記事2は第1事件提訴後に掲載されたものであるなど,極めて悪質であり,原告の受けた損害は,上記金銭的な賠償では十分に回復することが不可能であるから,社会的評価を回復するためには,本件記事1について別紙1,2のとおり,本件記事2について別紙3,4のとおり謝罪広告を掲載させることが必要である。
(5) 被告らの主張に対する反論
ア 公共性,公益性について
いずれも争う。
被告らは,原告がフリージャーナリストであり一般読者等に対し,大きな影響力を有することから,原告の活動,行動は,公共の利害に関する事実であるとする。しかしながら,原告は公人ではなく一私人にすぎないのであり,フリージャーナリストであるとの一事によって原告に関するすべての事実の公表に公共性が認められることにはならない。
本件各記事は「潜入」「奇怪」「仮面」「偽名」などという原告の人格を貶める表現を多用し,また「スパイ」活動をしているなどという虚偽の事実を摘示するとともに,社会新報又は原告本人に確認すれば容易に知ることができた事実についてこれらに対する一切取材をしておらず,社会新報の元編集関係者なる人物からの伝聞情報のみによって虚偽の事実を摘示している。このような,虚偽の事実に基づく悪意に満ちた記事内容や,杜撰な取材態度からすれば,本件各記事がもっぱら原告の個人攻撃,人格攻撃を目的として掲載されたものであることは明らかであって,およそ公益を図る目的など認められない。
イ 真実性,相当性について
(ア) 真実性について
a 原告が社会新報に入社したのは細川連立政権時代の平成5年11月15日であるから,自社さ連立政権時代に原告が社会新報に入社したとの摘示事実は虚偽であり,そのころ,A記者(以下「A記者」という。)やB編集長(以下「B編集長」という。),Cデスク(以下「Cデスク」という。)らは原告が創価学会員であることを知っており,その翌年の3月の原告の結婚式のころには社会新報の編集部の内部でもそのことは広く知られるようになっていたのであるから,原告が社会新報入社時や在籍時に創価学会員であることを秘匿していた事実はない。
b 原告は,平成7年9月29日に小川正浩政策審議会事務局次長(以下「小川次長」という。)を取材したが,それは同人が当時政策審議会においていわゆるNPO法を担当していたことから,同年12月の掲載記事のために行ったものである。また,同年12月4日及び平成8年2月2日にも,小川次長を訪ねて,NPO法に関する資料の提供を求めたが,それを断られたことはあった。しかし,いずれにせよ,宗教法人法改正問題について,原告が政策審議会に取材に行った事実はない。
(イ) 相当性について
a 本件記事1について
本件記事1の執筆に当たり,被告Y1にはその摘示事実を真実と信じるにつき相当な理由があるとの主張は争う。
被告Y1は,本件記事1の執筆に当たり,Eや被告Y2から情報提供を受けただけであり,単なる意見交換であった。本件記事1掲載後にDから直接話を聞いたがこれもEや被告Y2から得た情報について電話で確認したという程度である。被告Y1は,B編集長や政策審議会の元職員F(以下「F」という。)の存在を本件記事1の執筆前から知っていたのにもかかわらず,自ら取材をしなかった。
被告Y1は,本件記事1を執筆する前に原告が社会新報に入社したのは平成5年秋であることを知っており,自社さ連立政権時代に原告が入社したことを真実と信じるはずはないから,相当性を論じる前提がない。また,原告が創価学会員であることを秘匿して社会新報に入社したとの事実については,当時採用権限を持っていたB編集長を取材することで,同編集長が採用当時原告が創価学会員であると知っていたことは容易に知ることができたのにもかかわらず,同編集長に対する取材をせず,社会新報の編集部員にすぎなかったD(以下「D」という。)から話を聞いたのみで本件記事1を執筆したのであるから,相当性はない。
原告が政策審議会に対して宗教法人法改正問題を取材していたとの事実については,被告Y1は,E及び被告Y2との情報交換をしただけで本件記事1を執筆した。しかし,Eも被告Y2も,その共通の情報源はDであり,DはFから伝え聞いたものであった。被告Y1は,それを知りながら,Fに取材することをしなかったのであるから,相当性はない。さらに,池田大作名誉会長の参考人招致が国会で取り沙汰されている時期に原告が政策審議会を取材したとの事実について何の証拠も得ていなかった。
また,原告本人に対する取材も行っておらず,相当性は認められない。
b 本件記事2について
被告Y2は,原告が本件記事1を名誉毀損であるとして損害賠償等請求訴訟を提起し,本件記事1で摘示された事実が虚偽であると主張した後に本件記事2を執筆しているのであるから,可能な限りの取材活動を尽くすことが要求される。しかしながら,本件記事2の執筆前に,従前取材していたDに加えて,Fにも取材をしているものの,B編集長や小川正浩に対する取材は行っていない。被告Y2は,第2事件が提訴された後になって以前から面識のあるB編集長に話を聞いているのであり,本件記事2を執筆する前に取材することも容易であった。さらに,池田名誉会長の参考人招致が国会で取り沙汰されている時期に原告が政策審議会を取材したとの事実については何の証拠も得ていなかった。被告Y2は,原告本人に対する取材も行っておらず,いずれにしても相当性は認められない。
本件記事2の執筆者である被告Y2において相当性が認められない以上,被告Y2以上の取材活動を何もしていない被告Y1については,相当性が認められる余地はない。
(6) 請求
よって,原告は,民法709条,715条,710条,723条に基づき,被告Y1及び被告フォーラムに対し,連帯して1100万円及びこれに対する不法行為の日である平成15年8月1日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払並びに本件雑誌に別紙1記載の名誉回復のための謝罪広告を別紙2記載の掲載条件で1回記載することを求め,被告Y1,被告Y2及び被告フォーラムに対し,連帯して1650万円及びこれに対する不法行為の日である平成16年4月15日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払並びに本件雑誌に別紙3記載の名誉回復のための謝罪広告を別紙4記載の掲載条件で1回記載することを求める。
3 被告らの主張
本件各記事は法的保護に値する原告の社会的評価を低下させる内容ではないから,本件各記事により原告の名誉が毀損されたとの主張並びに損害及び謝罪広告に関する主張は争う。本件各記事は公共性,公益性を有する上,被告らの綿密な取材に基づき掲載されたものであるから,真実性,相当性を備えた内容であって,名誉毀損として不法行為を構成するものではない。
(1) 本件各記事の名誉毀損性について
原告は,本件各記事において,原告が創価学会や公明党のために諜報活動を行う目的で社会新報に入社し,実際に宗教法人法改正問題について創価学会のために諜報活動をしていた事実を摘示していると主張するが,被告らはこれを否認する。また,本件各記事とほぼ同内容の記事が本件雑誌よりはるかに大きな社会的影響力を有する「週刊新潮」(平成15年9月18日号)及び「しんぶん赤旗」(同年9月3日号)においても掲載されている。原告は,反論や批判があるならば自らの著作や執筆により反論することが可能なジャーナリストであるから,原告の社会的評価が低下したかどうかの判断に際しては,このような事情を考慮すべきである。
ア 本件記事1について
本件記事1で摘示した事実は,①原告が本名で執筆するほかに,「G」の名で「拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪」と題する書籍を,さらに「H」の名で「サイコパスの犯罪」と題する書籍等をそれぞれ執筆していたなどの現在の活動に関する事実,②創価学会員である原告が社会民主党機関誌「社会新報」の記者であったという経歴を有しており,社会新報の元編集関係者は当初原告が創価学会員であることを知らなかった旨述べているなどの採用時の事実,③原告の「社会新報」在籍時期は自社さ連立政権の時期と重なり,原告がとりわけ平成7年の宗教法人法改正問題の取材に熱心で,政策審議会の関係者に執拗な取材攻勢をかけたため編集部に苦情が来たと同紙の元編集部関係者が述べていること,原告が「創価学会による被害者の会」など反創価学会グループの取材を熱心に行っていたことなどの在籍時の行動に関する事実である。
原告は,上記②の事実(採用時の事実)をもって諜報活動をする目的で社会新報に入社したとの事実及び上記③の事実(在籍時の行動に関する事実)をもって諜報活動を行っていた事実を摘示するものであると主張するが,被告Y1及び被告フォーラムは,このように決めつける事実は摘示しておらず,かえって「Xがこの時期になぜ「社会新報」入りをしたのか。その真意と真相はまだ闇につつまれている。」と指摘して,取材の結果明らかとなった生の事実を摘示するにとどめ,これらの事実の意味するところについての評価は留保することを記事上で明記している。また,「潜入」「奇怪」などの表現も,読者は記事全体を読むのであるから,小見出しや細部の表現をもって読者が記事内容を誤解することはあり得ない。
原告は,上記①の事実(現在の活動に関する事実)や上記③の事実(在籍時の行動に関する事実)のうち原告が「創価学会による被害者の会」など反創価学会グループの取材を熱心に行っていた事実については,社会的評価を低下させるものとして問題視していないが,むしろ原告の社会的評価が低下するとすればこれらの事実に負うところが大きく,本件記述1による社会的評価の低下とは峻別されるべきである。
イ 本件記事2について
本件記事2は,本件記事1について原告から損害賠償等請求訴訟が提起されたことから,被告Y2が自分の取材結果も踏まえ,本件記事1と同じ事実を摘示し,その正当性を補完して主張し,原告の訴訟上の主張に対し反論を行ったものである。
原告は,本件記事2については,随所に「スパイ活動」との表現を用いるなど,本件記事1よりもさらに明確に原告が社会新報内で創価学会のスパイとして活動していたとの事実を摘示しているなどと主張するが,本件記事2は,本件記事1についての損害賠償等請求訴訟において同記事は原告が「諜報(スパイ)活動」をしていたとの事実を摘示するものであるとの原告の主張を受けてその表現をカギ括弧付きで引用したにすぎない(1か所カギ括弧を付していない表現は,スパイ活動の一般論を述べたものである。)。
(2) 抗弁
本件各記事は公共の利害に関する事実について公益を図る目的で掲載されたものであり,本件各記事に記述されている各事実は,いずれも綿密な取材に基づいて摘示したものであり,真実性又は真実であると信ずるに足りるだけの相当性を備えた内容であるから,名誉毀損として不法行為を構成するものではない。
ア 本件各記事の公共性,公益性
原告は,自らの責任で取材,執筆,言論活動を行うフリージャーナリストであり,その取材,執筆,言論活動によって一般読者等に対し大きな影響力を有しているから,一般人と異なること,特に,いわゆるノンフィクション物の執筆において,その性質上,実在する人物,団体の行動,活動に対する評価や批判が内容となることから,他者の名誉等を侵害する危険性を孕んでおり,自らの執筆内容について責任を持つことが特に求められているのに,原告は別名を使用し,執筆した書籍については,民事訴訟や刑事告発などで問題とされていること,「しんぶん赤旗」や「週刊新潮」においても本件各記事と類似の内容の記事が記載されるなど社会的関心が寄せられていたこと,社会新報は政党である社会民主党(旧日本社会党)の機関紙であり,平成7年当時は旧日本社会党と公明党(新進党の一部)は与党と野党に分かれ,宗教法人法改正問題が重要案件となっているなどの政治状況の下,社会新報に採用された原告の経歴,行状に関する事実は,政治的な問題を有する重大事項であることなどからすれば,本件各記事は公共の利害に関する事実について公益を図る目的で掲載されたものである。
イ 本件各記事の真実性,相当性
(ア) 本件各記事の真実性
a 原告が,「1990年代に「社会新報」に入り,90年代後期に退職した。同紙の元編集関係者によると「ある人の紹介で来たが,当初は学会員とは知らなかった」」との事実に関しては,社会新報在籍時期及び期間については原告自らがこれを認めているところである上,原告が記者として採用される前に原告が創価学会員であることを知っていたのはA記者のみであり,採用された当初にそれを知っていたのは,B編集長とCデスクのみであり,社会新報内に原告が創価学会員であることが知られたのは,平成6年3月26日に行われた原告の結婚披露宴以降であることは,原告もこれを認めているので,上記事実は真実である。
b 「同紙の元編集関係者によると「ある人の紹介で来たが,当初は学会員とは知らなかった」という。」という事実に関しては,平成15年7月上旬ころ,フリージャーナリストであるEと被告Y2が,当時の社会新報編集部員であったDに取材して,同様の供述を得て,取材データを作成した上で,被告Y1も自らDに内容を確認して記事を掲載したものであり,Dは,当初,原告が創価学会員であることを知らず,原告が創価学会員であることを知ったのは,原告が採用された後に行われた原告の結婚式,結婚披露宴での参加者の顔ぶれ,スピーチ等によるものであり,その当時,非常に驚いたことを明確に述べているから,上記事実は真実である。
c 「彼の「社会新報」在籍時期に注目する必要がある。自社さ連立政権の時期にピッタリ重なるのだ。当時,公明党は野党だった。そして,政権側は自民党を先頭に強烈な創価学会批判を展開していた。」という事実に関しては,原告が「社会新報」に在籍していた期間である平成6年以降は,いわゆる自社さ連立政権の時代であり,衆議院では公明党は新進党の一部を構成しており,日本社会党と新進党は,与党と野党の立場に分かれていたのであり,特に平成7年には,オウム真理教事件を契機に,宗教法人法の不備が表面化し,政府(当時の首相は村山富市)は,宗教法人審議会の報告を受けて同法改正法案を国会に提出しており,この問題に関連し,与党である自由民主党が創価学会批判を強め,池田名誉会長の証人喚問,参考人招致を求めるなど,この問題が政治的な焦点となり,これに対し,当時創価学会を有力支持母体とする新進党は徹底抗戦の構えを見せていたのであるから,上記事実は真実である。
被告らは原告がスパイ活動をする目的で社会新報に入ったなどという事実を指摘しているのではなく,原告が社会新報の記者となった当初,同誌の元編集関係者は原告が学会員とは知らなかったという事実と,原告の社会新報在籍時期が自社さ連立政権の時期と重なるという事実を指摘しているのであって,そのこと自体は紛れもない真実である。なお,そもそも,原告らの主張する平成5年11月の時点においても,公明党(及びその支持母体である創価学会)と日本社会党が別政党であることは明らかであり,日本社会党と公明党が連立政権を構成している時代であるからといって,自らが創価学会員でありながら社会新報の記者となることの不自然性が払拭されるわけではない。
d 「そのさなかに「社会新報」入りしたXは,とりわけ95年の宗教法人法改正問題の「取材」に熱心だったという。「政審関係者に執拗な取材攻勢をかけたため,編集部に苦情が来た」(前出元編集部関係者)ほどだった。」との事実に関しては,原告は,社会新報に在籍中に宗教法人法改正問題の取材をしたことはない旨主張するが,上記記事は,平成15年7月上旬,E及び被告Y2がDに対して取材を行い,Dから同様の供述を得て,それを元に取材データを作成した上で,被告Y1も自らDに内容を確認して記事を掲載したものである上,Fからも同様の供述を得ているから,上記事実は真実である。
(イ) 本件各記事の内容が真実と信じるについての相当性
a 本件記事1について
被告Y1は,本件記事1の執筆前に,社会新報の編集者や旧日本社会党の関係者らを取材していたEから,原告の結婚式まで社会新報編集部員は原告が創価学会員であることを知らなかったという事実や宗教法人法改正問題について政策審議会に執拗な取材をしたという事実のほか,原告の退職時の経緯,マスコミ界における原告の評判などについて情報を得た上,Eよりも幅広く旧日本社会党や社会新報関係者を取材していた被告Y2から,未来書房と原告の関係,Eと同様の上記各事実に関する情報を得て,さらに社会新報関係者と親しいIや日本共産党関係者などに対する取材から,原告と社会民主党の関係,「拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪」に関する情報を得て,「創価学会による被害者の会」の事務局員であったJ(以下「J」という。)からは同会に対する取材の経緯についての詳しい情報を得た上で,Dから取材して聞き取るなど,十分な取材を尽くした上で,本件記事1を記載したのであるから,本件記事1の内容が真実であると信ずるについて相当な理由があるというべきである。
b 本件記事2について
被告Y2は,本件記事2の執筆前,未来書房の所在地周辺での聞き取り調査やメディア関係者への聞き取り,創価学会の現役幹部や元幹部,事務所勤務者,J及び日本共産党の関係者らからの聞き取りを行い,未来書房と創価学会の関係,原告が「拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪」の執筆者であり,創価学会員であること等の情報を得るとともに,Dを始めとして,旧日本社会党のK書記局員,元日本社会党の書記局員及び政策審議会に所属していた者などを取材し,複数の社会新報記者から被告Y2が取材した時点で原告が創価学会員であることを知らなかったとの情報を得た上,Fからの聞き取りを行い,Jから「創価学会による被害者の会」に対する取材の経緯に関する情報を得て,E,被告Y1とそれぞれが得た情報の交換を行い,そのほか,「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」授賞式の様子を複数の開催幹事や出席者から聞き取り,1990年代半ばの政治状況について新聞,雑誌等のチェックを行うなどの取材活動を行ったものであり,十分な取材を尽くした上で,本件記事2を執筆したのであるから,本件記事2の内容が真実であると信ずるについて相当な理由があるというべきである。
(ウ) まとめ
したがって,本件各記事の摘示した事実が真実であり,又は被告らにおいて真実であると信じるについての相当性があるから,被告らが不法行為責任を負うことはない。
4 主な争点
(1) 本件各記事が原告の社会的評価を低下させ,その名誉を毀損するものといえるかどうか。
(2) 本件各記事が公共性を有する事実について公益を図る目的で記載されたものかどうか,本件各記事の主要部分が真実かどうか,真実と信じるについて相当の理由があるといえるかどうか。
第3 当裁判所の判断
1 名誉毀損性について
原告は,本件各記事が原告の社会的評価を低下させ,その名誉を毀損するものであると主張するので,本件各記事の摘示する事実が原告の社会的評価を低下させその名誉を毀損するものであると評価できるかどうかを検討する。
(1) 本件記事1は,小見出しにおいて「社民党機関紙にも潜入」と記述した上で,本件記述1において,創価学会員である原告の「社会新報」在籍時期が自社さ連立政権の時期に「ピッタリ」重なり,公明党が野党であった当時,自由民主党を先頭に強烈な創価学会批判が展開されていた「さなかに「社会新報」入りした」原告が,とりわけ池田名誉会長を参考人招致するか否かが大きな争点になっていた宗教法人法改正問題の取材に「熱心」で,与党の政策審議会関係者らの動向に「執拗な取材攻勢をかけ」ていたことなどを記述しており,これらの記述は,単に原告の採用時の事実や在籍時の原告の行動に関する事実を摘示したにとどまらず,公明党が野党であり日本社会党が与党であった自社さ連立政権の最中の時期に,原告が創価学会員であることを隠して日本社会党の機関誌である社会新報に採用されて在籍し,その在籍期間中に創価学会の池田名誉会長を参考人招致するかどうかが大きな争点となっている宗教法人法改正問題に関して政策審議会の関係者らの動向について取材を執拗に行っていたという事実を摘示したものである。
そうすると,本件記述1を,一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すれば,創価学会員である原告がその支持する公明党が野党である時期に与党の関係者らの動向について情報収集をする目的で社会新報に創価学会員であることを隠して採用され,社会新報に在籍中,実際にもそのような目的のために創価学会に深い利害関係を有する宗教法人法改正問題に関して政策審議会の関係者らに執拗に取材をしていたとの印象を受ける記事であるから,執筆活動等を行う原告の社会的評価を低下させ,その名誉を毀損するものと認められる。
被告Y1及び被告フォーラムは,「Xがこの時期になぜ「社会新報」入りをしたのか。その真意と真相はまだ闇につつまれている。」と指摘し,取材の結果から明らかになった生の事実を摘示するにとどめ,それらの事実との評価は留保することを明記しており,原告の社会的評価が低下することはない旨主張する。しかしながら,本件記事1には,「仮面グループの源流は信濃町?」という小見出しが付され,「その真意と真相は闇につつまれている。」との記述がされてはいるものの,それに続いて,「しかし「HことGことX」という手法は,創価学会の常套手段である。」と断定するとともに,「創価学会を批判する団体や個人の動向を「取材」し執筆する仮面のグループ。その水流をたどると,一つの源流に集約されていく。「信濃町」である。」と締めくくっている(甲1)ことなどから,これらの記述をも併せると,一般の読者に対しては,むしろ,原告が創価学会の指示のもとで,創価学会が支持する公明党とは対立関係にあった与党の関係者らの動向について情報収集する目的で創価学会員であることを秘匿して社会新報に入ったというの印象を強く与えるものであることは否定できない。
また,被告Y1及び被告フォーラムは,本件記述1による社会的評価の低下と原告が「G」の名で「拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪」という書籍を執筆し,「H」の名で「サイコパスの犯罪」という書籍を執筆していたなどという原告の現在の活動に関する記述部分による社会的評価の低下とは峻別すべきであって,仮に原告の社会的評価が低下することがあり得るとすれば,それは後者によるものであって,本件記述1による社会的評価の低下はないと主張する。しかしながら,原告が偽名を使って日本共産党や創価学会と対立する弁護士を批判する内容の書籍を執筆していたという事実と,原告が創価学会員であることを秘匿して公明党と対立関係にあった日本社会党の機関誌である社会新報に入り,宗教法人問題について与党の政策審議会の関係者から執拗に情報収集をしていたという本件記述1の摘示する事実とは,質的には異なるものであるから,上記書籍の執筆等の事実とは別に,本件記述1によって,原告の社会的評価が低下することは明らかである。
被告Y1及び被告フォーラムの主張は採用できない。
(2) 本件記事2は,見出しにおいて「「事前検閲」を可能にするもの」,小見出しにおいて「スパイ活動は日常行為?」との記述をし,創価学会員である原告を「編集部に入れるはずがない。私たちはずっと正体を知らなかった」という元日本社会党書記局員たちの発言を記述した上で,社会新報に宗教法人法に関する記事も取り上げる企画もなかったのに,原告が「何のために,誰のために」取材を行っていたのか,「創価学会議員たちがこぞって,あわてふためき,目を血走らせ,トイレへ行く間も惜しんで「阻止」を叫び続けていた“センセー国会招致”にかかわる取材の成果をどのように処理したのか」との記述に続けて,原告は「もしかしたらシレッとして次のように言い張るかもしれない」,「「スパイ活動」もしていない,と」,「「池田大作」は平然と“事前検閲”による言論弾圧を展開していた」,「そうした彼らの極悪行為を可能にしているものは何か。ひとえにスパイ活動である。彼らにとって「スパイ活動」は歯磨きや洗顔や入浴と同じ日常行為だと言えなくもない。」とした上で,原告は「じつに熱心な池田信徒だった。」と締めくくっている記事であり,これらの記述は,単に本件記事1に関する訴訟についての原告の主張を受けてその表現を引用したり,一般論としてのスパイ活動を述べたにとどまらず,原告は,創価学会員であるという「正体」を知らせないまま日本社会党の機関紙である社会新報の編集部に入り,当時宗教法人法に関する記事や取り上げる企画もないのに原告がこれに関する取材を行い,これは事前検閲による言論弾圧という「極悪行為」を可能にする「スパイ活動」の一環として行われたとの事実を摘示するものである。
そうすると,本件記述2を一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すれば,創価学会員である原告が創価学会による事前検閲による言論弾圧を可能にする目的で社会新報に入り,実際にも宗教法人法の取材を通じて諜報活動を行っていたとの印象を強く受ける記事であるから,執筆活動等を行う原告の社会的評価を低下させ,その名誉を毀損するものと認められる。
(3) 被告らは,「週刊新潮」や「しんぶん赤旗」においても同様の内容の記事が掲載されていること,原告はジャーナリストとして自らの著作や執筆によって反論が可能であることなどを指摘して,原告の社会的評価が低下したとはいえないものと主張するが,これらの事情は,被告らの名誉毀損の成否に何ら消長を及ぼすものではないから,被告らの主張は採用できない。
2 抗弁について
被告らは,本件各記事が公共性を有する事実について公益を図る目的で記載されたものであり,その主要部分が真実であり,又は真実と信じるについて相当の理由があるから不法行為を構成するものではないと主張する。そこで,本件各記事が公共性を有する事実について公益を図る目的で記載されたものかどうかについてはしばらく措き,まず本件各記事の主要部分が真実であるかどうか,又は真実と信じるについて相当の理由があるといえるかどうかについて検討する。
(1) 前記前提となる事実,証拠(甲1から5,9から12,17から27,32から43,49から51,53から57,乙1から35(いずれも枝番号を含む。),証人D,同F,原告本人,被告Y1本人,同Y2本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア 当事者等
原告は,執筆活動等を行う者であり,昭和60年3月に創価学会に入会し,平成5年ころは男子部の地区リーダーの地位にあった。原告は,小規模な編集制作会社に勤務する傍ら,任意の記者団体であるアジア記者クラブでの勉強会に参加するなどし,カンボジアの選挙監視要員として,平成5年5月から6月ころ,PKO活動に参加するなどした。
被告フォーラムは,被告Y1が代表者を務める有限会社であるが,平成14年3月ころ,主に創価学会,公明党等に関する問題を取り上げることを目的とした隔週刊の本件雑誌を創刊した。本件雑誌は,直接購読販売方式により約4000部程度,発行されている。被告Y2は,取材,執筆活動をしている者であり,被告Y1と知り合って,本件雑誌にも創価学会やその関係者を批判的に取り上げた記事をたびたび執筆している。
イ 原告が社会新報に採用される経緯
原告は,平成5年7月ころ,上記アジア記者クラブの会合などを通じて社会新報記者であったA記者と知り合い,同記者を通じて,同年11月15日,社会新報にアルバイトとして採用された。この時期は,いわゆる細川連立政権の時代であり,公明党は日本社会党とともに与党を形成していた。
社会新報は週2回発行される日本社会党の機関紙であり,同党は職員の採用につき,党員であること等を条件としていたところ,原告を社会新報に紹介したA記者は,原告が創価学会員であることを知っており,Cデスク(「とくほう」欄担当デスクで採用当時の原告の直属上司)もその旨を知って,B編集長(当時の日本社会党中央本部機関紙局社会新報編集長)にそれを伝えたが,政治部に所属するのではなく「とくほう」欄の担当にすれば特に問題はないと考え,アルバイトとして原告の採用を決定した。そして,B編集長は,社会新報のデスク会議のメンバー(政治部,特報部,生活家庭部,整理部等の各部長)にも原告が創価学会員である旨を伝えた。このように,社会新報の編集部幹部職員は原告を採用した当初から原告が創価学会員であることを知っていたものの,編集部員らの多くはそれを知らなかった。
ウ 原告が社会新報に在籍していた時期の政治状況,原告の活動等
(ア) 原告は,採用後,社会新報の3面の「とくほう」欄を中心として記事を執筆した。
平成6年3月26日,原告の結婚式及び披露宴が開催されたが,これには,B編集長,Cデスク,A記者等社会新報関係者が出席したほか,公明党の木庭健太郎参議院議員も出席し,出席者の約半数は創価学会員であった。同年4月7日には,社会新報の編集部内で内輪の結婚祝賀会が開催された。このころから,同編集部内でも原告が創価学会員であることが広く知られることとなった。
(イ) 平成6年4月25日,細川連立内閣が総辞職し,羽田内閣を経て,同年6月30日,村山(自社さ)連立政権が発足し,これによって,日本社会党が与党,公明党が野党となった。
同年11月7日,原告は,「創価学会による被害者の会」の設立記者会見を取材し,その後,数回にわたり,同会の記者会見などを取材した。
(ウ) 原告は,第134臨時国会が開会した平成7年9月29日,政策審議会の小川次長(当時,政策審議会の厚生部会,環境部会,科学技術部会,文教部会を統括する福祉教育の担当次長)を訪問して取材をした。同日,村山富市首相は,所信表明演説において,宗教法人法改正にも積極姿勢を示す旨述べた。また,同日,かねて文部大臣から宗教法人制度に関する検討を要請されていた宗教法人審議会が宗教法人法の見直しに関する検討結果を取り纏めた。
(エ) 平成7年3月20日に発生した地下鉄サリン事件を契機に,宗教法人法の改正問題が国会における大きな争点となり,同年11月22日に参議院で同法改正案の審議に入り,同月27日に参議院宗教法人等特別委員会で自由民主党が池田名誉会長の参考人招致を要求し,同月28日,同委員会の休憩中に公明党関係の議員や秘書らが委員会室前の廊下を埋めつくす騒ぎとなるなどし,結局,同月30日,与野党がその参考人招致を見送ることで合意した。宗教法人法改正法は同年12月8日,成立した。
(オ) 村山富市首相は,平成8年1月5日,退陣を表明し,同月11日,橋本(自社さ)連立内閣が発足した。日本社会党は,同年1月ころ,党名を社会民主党に変更したが,同年9月11日,民主党が発足した際,社会民主党から民主党へ多くの議員や職員が転じた。そして,B編集長やCデスクが同月28日に社会新報を退職した。同年11月7日,橋本内閣が自由民主党の単独政権となった。
(カ) このような状況の下で,平成8年11月ころ,社会新報は週2回発行から週1回発行に変更されるなど規模が縮小されるとともに,原告も解雇を言い渡されたが,交渉の結果,同年12月27日,原告は,社会民主党との間で合意書を取り交わし,退職金等の支払を受けて社会新報を退職した。
エ 被告らの取材活動と本件各記事の掲載等
(ア) 被告Y1は,平成15年3月末ころ,「創価学会による被害者の会」の事務局員であるJから,潮出版が出版した書籍「サイコパスの犯罪」についての名誉毀損訴訟において,同書籍は原告が「H」の名で執筆したものと判明したこと,原告がかつて社会新報に在籍して「創価学会による被害者の会」を少なくとも3回は取材していたという話を聞き,原告の存在を知るとともに,本件雑誌において原告を取り上げることを企画した。
一方,被告Y2は,同年春ころ,未来書房の出版した書籍「拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪」について,日本共産党が東京地方検察庁に告訴したことを聞いて取材を開始し,未来書房の所在地や経営者の探索等を行うとともに,創価学会に関係する取材等をしているEや被告Y1と情報交換をするなどしていたところ,Jから,上記の書籍に関する名誉毀損訴訟において,同書籍は原告が「G」の名で執筆したものと判明した旨聞いたため,原告についての調査を始めた。
被告Y2は,平成15年の5,6月ころ,古くからの知り合いであるD(同人は原告の社会新報在籍時,社会新報の編集部に在籍していた。)から,原告が創価学会員であることは原告の採用当初は知らなかったが,原告の結婚披露宴に出席した人間から聞いてそれを知ったこと,Fから平成7年秋ころに原告が政策審議会に取材に来たことを伝え聞いたことなどを聞き及んだ。そして,被告Y2は,平成15年6月ころ,Dから社会新報在籍当時の原告の仕事内容等について取材をして,原告が平成5年11月から平成8年12月まで社会新報でアルバイトとして稼働しており,原告が採用された当時の社会新報の編集長がB編集長であったこと,B編集長は原告が創価学会員であることを知っていたこと,原告の結婚式が平成6年3月に行われ,B編集長,Cデスク及びA記者らが出席し,公明党の木庭健太郎参議院議員も出席していたことなども知った。しかし,被告Y2は,B編集長に対して直接取材をすることはなかった。
(イ) 被告Y1は,平成15年8月1日,本件記事1を執筆し,本件雑誌に本件記事1を掲載した。被告Y1は,執筆前にDから直接話を聞くことはなく,本件記事1の掲載までの間に,原告に対して取材を申し込んだり,その当時の社会新報の編集長やB編集長に対して取材をすることもせず,もっぱら被告Y2やEからの情報をもとに本件記事1を執筆した。なお,同年9月3日,「しんぶん赤旗」が「反共謀略本 著者は創価学会員 三つの名で正体隠し」との見出しで,同月18日,「週刊新潮」が「「赤旗」が暴いた3つの名を持つ「創価学会員」ライターの正体」との見出しで,原告が3つの名前を使い分けて本を書いていたこと,創価学会員である原告が自社さ連立政権で公明党が野党である時期に社会新報に在籍し,その後退職したことなどを記述した記事を掲載したが,これらの記事の掲載に際し,「しんぶん赤旗」及び「週刊新潮」の担当記者らは原告本人や社会新報のその当時の編集長に対する取材を行っていた。
同月24日,原告が当時記事を執筆していた「日刊ベリタ」の代表に宛てて,原告が「旧社会党の機関紙「社会新報」の記者をしていたときには,創価学会員であることを隠して反創価学会の運動をしている人たち・団体を「取材」の名目で調査していたなど,およそジャーナリストの倫理からかけはなれたことを多々おこなってきました。」,「これらのことは,ジャーナリストのY1氏が主幹する雑誌「フォーラム21」や共産党の機関紙「赤旗」にたびたび取り上げられ,周知の事実です。」などという内容の電子メールが送付され,また,同年10月9日ころから,インターネット上の掲示板2ちゃんねるなどにおいて,原告が社会新報に潜り込んでいたとか,原告がスパイであるなどという内容の書き込みがされるようになった。
(ウ) 被告Y2は,本件記事1が掲載されて,被告Y1が原告に関する記事を企画していたことを知るとともに,原告が本件記事1について名誉毀損に当たるとして不法行為による損害賠償等を請求する第1事件を提起するに至って,被告Y1に対し,本件記事2の執筆を持ちかけた。
その後,被告Y1は,平成16年1月19日ころ,Fを取材した。
被告Y2は,同年3月25日ころにFから政策審議会に同人が在籍していた当時の話について取材をした。Fは,被告Y2に対し,A記者を通じて原告を知っていたが,平成7年9月末か10月初めに原告が小川次長のもとを訪れて1時間程度の取材をしたこと,小川次長が宗教法人法に関する取材をされたと言っていたこと,取材直後に原告が創価学会員であることについて話題となり,政策審議会の事務局の関係者が社会新報編集部に原告が在籍しているかどうかを電話で確認したことなどを話した。被告Y2は,B編集長や原告本人には全く取材をしないまま,本件記事2を執筆し,同年4月15日,本件記事2が本件雑誌に掲載された。
(2) 被告らは本件各記事の主要部分が真実であると主張するので検討する。
前記のとおり,本件各記事は,原告が自社さ連立政権の最中の時期に創価学会員であることを隠して社会新報に採用されて在籍し,宗教法人法改正問題に関して政策審議会の関係者らの動向についての取材を執拗に行っており,これは創価学会の「スパイ活動」の一環として行われたとの事実を摘示するものである。
このうち,原告が社会新報に一時期在籍していたという事実は真実であるが,原告は,平成5年11月15日に社会新報に採用され,その際に採用に関する権限を有していた幹部職員であるB編集長及び原告の上司であるCデスクは,原告が創価学会員であることを知っていたのであるから,他の編集部員らがそれを知らなかったとしても,原告が自社さ連立政権の最中の時期に創価学会員であることを隠して社会新報に採用されたものとは評価できないというべきである。
また,平成7年9月29日に第134臨時国会が開会し,村山首相が所信表明演説で宗教法人法改正にも積極姿勢を示す旨を述べ,宗教法人審議会が検討結果を取り纏めていたところ,原告は,同日に政策審議会を訪れて小川次長を取材しているが,それのみでは原告が小川次長に対して宗教法人法問題について取材したことを認めるには十分ではない。この点に関する証人Fの証言はあいまいで直ちに採用できない上,小川次長はNPO法の担当でもあり,同年10月3日には社会新報にNPO法に関する記事が掲載されていること(甲12)などをも併せ考えると,原告が小川次長を訪れてNPO法に関する資料の提供を受けたことは十分あり得るものと考えられる。また,原告は,同年12月4日及び平成8年2月2日に小川次長のもとを訪れているが,同年11月30日には池田名誉会長の参考人招致の見送りが決定し,同年12月8日には宗教法人法改正法が成立したことなどにも照らすと,原告が宗教法人法問題で与党関係者の動向を情報収集するために小川次長のもとを訪れたものとは認めがたい。
結局,原告が「宗教法人法問題」に関して政策審議会の関係者らの動向についての取材を「執拗」に行ったという事実はこれを認めるに足りる証拠はないものというべきである。
そうすると,本件各記事の主要部分について真実であるとは認められない。
(3) そこで,被告らが,本件各記事を執筆し,又は発行するに当たり,その主要部分が真実であると信じるについて相当の理由があるかどうかを更に検討する。
ア 本件記事1について
被告Y1は,本件記事1の執筆に関し,被告Y2,E及びJらとの意見交換により情報を得たものの,その際のメモや記録も残っておらず,Dから直接話を聞いたこともなく(被告Y1は,本件記事1の執筆後発行前にDに電話をかけて話を聞いたと述べるが,いずれにしても本件記事1の執筆以前に取材をしていないことは明らかである。),原告が社会新報に採用され在籍していた際の事情を最もよく知るB編集長や原告の小川次長に対する取材に関する事情を伝え聞いているFに取材することもなく,原告本人に対して取材の申込みも行わず,もっぱら被告Y2やEの取材結果を伝え聞いてそれをもとに本件記事1を執筆したのであり,その他に本件記事1を裏付けるための取材活動をしたことを窺わせる事情もない。
したがって,被告Y1において,本件記事1の内容が真実であると信じるについて相当な理由があるとは認められない。
イ 本件記事2について
被告Y2は,本件記事2を執筆する前に,D及びFに取材をし,他にも多くの関係者に対する取材をした旨述べる。しかしながら,Dは,原告が社会新報に採用され在籍していた当時社会新報の編集部に在籍していたものの,職員やアルバイトの採用に関する権限を有していたわけではなく,また,原告が小川次長を取材した時の事情についてはFから伝え聞いたことを間接的に話したにとどまる上,被告Y2は,原告が社会新報に採用され在籍していた際の事情を最もよく知るB編集長を取材することは容易であったのに本件記事2が執筆される以前においてその取材をしていないこと,原告が小川次長を取材した時の事情に関しては,結局のところFを1回取材したことに基づく情報しか入手していなかったのであり,原告本人に対する直接の取材が可能であるにもかかわらず,被告Y2はこれを全く行っていないことなどからすれば,被告Y2は,本件記事2の執筆に際して,必要な裏付け取材を欠いていたものというほかはない。
したがって,被告Y2において本件記事2の内容が真実であると信じるについて相当な理由があるとは認められない。
また,被告Y1は,本件記事1の掲載後,Fから話を聞いたものの,これも被告Y2が得ていた情報の域を超えるものではなく,他に積極的な取材活動をした様子は窺われないから,被告Y1について,本件記事2の内容が真実であると信じるについて相当な理由があるとは認められない。
(4) まとめ
以上によれば,本件各記事は,原告の社会的評価を低下させるものとしてその名誉を毀損するものであり,その主要部分が真実であると認められず,真実であると信じるについて相当な理由があると認められないから,その余の点を判断するまでもなく,被告らは原告に対して不法行為責任を負う。
3 損害について
(1) 本件記事1について
前記認定によれば,本件記事1の掲載後,原告の勤務先に対して本件記事1の記述を前提とした原告を中傷する内容の電子メール文書が送付され,原告が「スパイ」であるなどという内容の記載もインターネット上の掲示板にされるなどしたが,本件雑誌は直接購読販売方式により約4000部程度の発行部数にとどまるものである上,原告は執筆等をその職業とする者であり,自ら言論によって反論することもできること,その他本件に現れた一切の事情を考慮すると,本件記事1によって原告が受けた精神的苦痛を慰藉するには40万円の慰藉料の支払を命ずるのが相当である。そして,弁護士費用のうち4万円を本件記事1の掲載と相当因果関係がある損害と認める。
したがって,被告Y1及び被告フォーラムは,本件記事1による慰藉料等として連帯して44万円を支払う義務がある。
(2) 本件記事2について
本件記事2は,原告が本件記事1に関して損害賠償等請求訴訟(第1事件)を提起した後に掲載されたものであり,その内容も本件記事1を超えて,原告が諜報活動をしていたと強く印象づける記述をしているものであり,これに上記の各事情,その他本件に現れた一切の事情を考慮すると,本件記事2によって原告が受けた精神的苦痛を慰藉するには慰藉料60万円の支払を命ずるのが相当である。そして,弁護士費用のうち6万円を本件記事2の掲載と相当因果関係がある損害と認める。
したがって,被告Y1,被告Y2及び被告フォーラムは,本件記事2による慰藉料等として連帯して66万円を支払う義務がある。
4 謝罪広告について
原告は,本件各記事により原告が受けた損害を回復するには本件雑誌に謝罪広告を掲載させることが必要であると主張するが,原告は上記の慰藉料の支払を受けられることによって,損害が相当部分回復されるほか,原告自身が自らの著述,言論活動により,反論等することで,受けた損害を回復することは十分可能であり,実際にも,自己のホームページにおいて被告らに対する反論を公にしていることをも考慮すると,原告の名誉回復のために損害賠償に加えて謝罪広告の掲載を認めることが必要であるとは認められない。
5 結論
よって,原告の請求は,第1事件について,被告Y1及び被告フオーラムに対し連帯して44万円及び遅延損害金の支払を求める限度で,第2事件について,被告Y1,被告Y2及び被告フォーラムに対し連帯して66万円及び遅延損害金の支払を求める限度で,それぞれ理由があるからその限度でこれらを認容することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 阿部潤 裁判官 渡邉弘 裁判官 安見章)
〈以下省略〉
*******
政治と選挙の裁判例「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧
(1)平成19年 7月12日 東京地裁 平17(行ウ)63号・平17(行ウ)295号・平17(行ウ)296号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(2)平成19年 7月 3日 東京地裁 平17(行ウ)530号・平17(行ウ)531号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(3)平成19年 6月21日 東京地裁 平16(ワ)10840号 損害賠償等請求事件
(4)平成19年 6月14日 宇都宮地裁 平15(ワ)407号 損害賠償請求事件
(5)平成19年 6月13日 最高裁大法廷 平18(行ツ)176号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(6)平成19年 6月13日 最高裁大法廷 平18(行ツ)175号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟〕
(7)平成19年 6月 8日 東京地裁 平18(行ウ)14号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(8)平成19年 5月30日 東京地裁 平19(ワ)4768号 損害賠償請求事件
(9)平成19年 5月30日 東京地裁 平17(行ウ)55号・平17(行ウ)132号・平17(行ウ)133号・平17(行ウ)134号 各難民の認定をしない処分取消請求事件
(10)平成19年 5月25日 東京地裁 平17(行ウ)337号・平17(行ウ)338号・平17(行ウ)339号・平17(行ウ)340号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(11)平成19年 5月25日 青森地裁 平17(行ウ)7号 政務調査費返還代位請求事件
(12)平成19年 5月10日 東京高裁 平18(う)2029号 政治資金規正法違反被告事件 〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・控訴審〕
(13)平成19年 5月 9日 東京地裁 平18(行ウ)290号 損害賠償等(住民訴訟)請求事件
(14)平成19年 4月27日 東京地裁 平17(行ウ)439号・平18(行ウ)495号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(15)平成19年 4月27日 東京地裁 平14(行ウ)390号・平17(行ウ)328号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消請求事件
(16)平成19年 4月27日 東京地裁 平14(ワ)28215号 損害賠償請求事件
(17)平成19年 4月27日 仙台地裁 平15(行ウ)8号 政務調査費返還代位請求事件
(18)平成19年 4月26日 東京地裁 平17(行ウ)60号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(19)平成19年 4月20日 東京地裁 平15(ワ)29718号・平16(ワ)13573号 損害賠償等請求事件
(20)平成19年 4月13日 東京地裁 平17(行ウ)223号・平18(行ウ)40号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(21)平成19年 4月13日 東京地裁 平17(行ウ)329号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(22)平成19年 4月12日 東京地裁 平17(行ウ)166号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(23)平成19年 4月11日 東京地裁 平17(ワ)11486号 地位確認等請求事件
(24)平成19年 3月29日 仙台高裁 平18(行コ)25号 違法公金支出による損害賠償請求履行請求住民訴訟控訴事件
(25)平成19年 3月28日 東京地裁 平17(行ウ)523号・平17(行ウ)534号・平17(行ウ)535号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(26)平成19年 3月28日 東京地裁 平17(行ウ)424号・平17(行ウ)425号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(27)平成19年 3月27日 岡山地裁 平11(ワ)101号・平13(ワ)257号・平13(ワ)1119号・平13(ワ)1439号・平14(ワ)1177号・平14(ワ)1178号 退職慰労金請求事件、貸金請求事件、損害賠償請求事件、所有権移転登記抹消登記手続等請求事件 〔岡山市民信金訴訟・第一審〕
(28)平成19年 3月23日 東京地裁 平17(行ウ)474号・平17(行ウ)525号・平18(行ウ)118号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件、訴えの追加的併合申立事件
(29)平成19年 3月23日 東京地裁 平16(行ウ)462号・平17(行ウ)344号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(30)平成19年 3月16日 東京地裁 平17(行ウ)380号・平17(行ウ)381号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(31)平成19年 3月 6日 東京地裁 平17(行ウ)111号・平17(行ウ)113号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(32)平成19年 2月28日 東京地裁 平16(行ウ)174号・平17(行ウ)162号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(33)平成19年 2月26日 熊本地裁 平17(わ)55号・平17(わ)113号 贈賄被告事件
(34)平成19年 2月22日 東京地裁 平16(行ウ)479号・平16(行ウ)480号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(35)平成19年 2月21日 東京地裁 平17(行ウ)375号・平17(行ウ)376号 退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(36)平成19年 2月 9日 東京地裁 平17(行ウ)154号・平17(行ウ)155号・平17(行ウ)479号・平17(行ウ)480号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(37)平成19年 2月 8日 東京地裁 平17(行ウ)22号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(38)平成19年 2月 7日 大阪地裁 平17(わ)7238号・平17(わ)7539号 弁護士法違反、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
(39)平成19年 1月31日 東京地裁 平16(行ウ)323号・平17(行ウ)469号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(40)平成19年 1月31日 東京地裁 平16(行ウ)396号・平16(行ウ)399号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(41)昭和27年 4月 4日 佐賀地裁 昭25(行)1号 休職退職取消並びに損害賠償請求事件
(42)昭和27年 1月14日 福岡高裁 昭26(ナ)9号 裁決取消ならびに当選有効確認事件
(43)昭和26年12月25日 福岡高裁 昭26(う)2846号 団体等規正令違反事件
(44)昭和26年12月 3日 大阪高裁 昭26(う)1094号 昭和二五年政令第三二五号違反被告事件
(45)昭和26年11月30日 福岡高裁 昭26(ナ)4号 当選の無効に関する異議申立に対する決定取消請求事件
(46)昭和26年11月20日 名古屋高裁 昭26(ナ)12号 町長選挙に関する選挙無効事件
(47)昭和26年11月 1日 名古屋地裁 昭24(ワ)561号 解雇無効確認請求事件 〔名古屋市職員免職事件〕
(48)昭和26年10月24日 広島高裁松江支部 昭26(う)54号 収賄被告事件
(49)昭和26年10月19日 福岡高裁 昭26(う)2437号 公職選挙法違反被告事件
(50)昭和26年 9月29日 名古屋地裁 昭24(ワ)561号 組合員除名無効確認請求事件 〔名古屋交通組合除名事件〕
(51)昭和26年 9月26日 札幌高裁 昭26(う)365号・昭26(う)366号・昭26(う)367号 国家公務員法違反被告事件
(52)昭和26年 9月 3日 札幌高裁 昭26(う)507号 昭和二五年政令第三二五号違反被告事件
(53)昭和26年 8月24日 高松高裁 昭24(控)1374号・昭24(控)1375号・昭24(控)1376号・昭24(控)1377号・昭24(控)1378号 衆議院議員選挙法違反・虚偽有印公文書作成・同行使等被告事件
(54)昭和26年 8月 7日 札幌高裁 昭26(う)475号 昭和二一年勅令第三一一号違反被告事件
(55)昭和26年 7月 7日 東京地裁 昭25(モ)2716号 仮処分異議申立事件 〔池貝鉄工整理解雇事件〕
(56)昭和26年 6月15日 名古屋高裁 昭26(う)529号 公職選挙法違反事件
(57)昭和26年 5月26日 大阪地裁 昭25(ワ)1824号 解雇無効確認請求事件 〔大阪陶業不当解雇事件〕
(58)昭和26年 5月 9日 広島高裁 昭25(ナ)2号 当選の効力に関する訴訟事件
(59)昭和26年 3月30日 東京高裁 昭25(う)4120号 電車顛覆致死偽証各被告事件 〔三鷹事件・控訴審〕
(60)昭和26年 3月28日 札幌高裁 昭25(う)692号 地方税法違反被告事件
(61)平成18年 6月29日 東京地裁 平16(特わ)973号 国家公務員法違反事件 〔国家公務員赤旗配付事件〕
(62)平成18年 6月20日 京都地裁 平16(行ウ)40号 地労委任命処分取消等請求事件
(63)平成18年 6月13日 東京地裁 平15(行ウ)416号・平16(行ウ)289号 難民の認定をしない処分取消等請求、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(64)平成18年 5月15日 東京地裁 平17(ワ)1922号 慰謝料等請求事件
(65)平成18年 4月21日 東京地裁 平16(ワ)7187号 謝罪広告等請求事件
(66)平成18年 3月31日 大阪高裁 平17(行コ)22号・平17(行コ)23号 同和奨学金賠償命令履行請求各控訴事件
(67)平成18年 3月30日 東京地裁 平16(特わ)5359号 政治資金規正法違反被告事件 〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・第一審〕
(68)平成18年 3月30日 京都地裁 平17(ワ)1776号・平17(ワ)3127号 地位不存在確認請求事件
(69)平成18年 3月29日 東京地裁 平17(行ウ)157号・平17(行ウ)184号・平17(行ウ)185号・平17(行ウ)186号・平17(行ウ)187号・平17(行ウ)188号・平17(行ウ)189号・平17(行ウ)190号・平17(行ウ)191号 国籍確認請求事件 〔国籍法三条一項違憲訴訟・第一審〕
(70)平成18年 3月28日 東京高裁 平17(行ケ)157号・平17(行ケ)158号・平17(行ケ)159号・平17(行ケ)160号・平17(行ケ)161号・平17(行ケ)162号・平17(行ケ)163号 選挙無効請求事件
(71)平成18年 3月23日 名古屋地裁 平16(行ウ)73号・平16(行ウ)76号 退去強制令書発付処分取消請求、難民不認定処分等無効確認請求事件
(72)平成18年 2月28日 東京地裁 平13(行ウ)150号 行政文書不開示処分取消請求事件 〔外務省機密費訴訟〕
(73)平成18年 2月28日 横浜地裁 平16(行ウ)1号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔神奈川県労委(東芝・配転)事件・第一審〕
(74)平成18年 2月 2日 福岡高裁 平17(行コ)12号 固定資産税等の免除措置無効確認等請求控訴事件
(75)平成18年 1月19日 最高裁第一小法廷 平15(行ヒ)299号 違法公金支出返還請求事件
(76)平成18年 1月12日 大分地裁 平15(わ)188号 公職選挙法違反被告事件
(77)平成18年 1月11日 名古屋高裁金沢支部 平15(ネ)63号 熊谷組株主代表訴訟控訴事件 〔熊谷組政治献金事件・控訴審〕
(78)平成17年12月26日 東京地裁 平17(行ウ)11号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔JR西(岡山)組合脱退慫慂事件〕
(79)平成17年12月 1日 東京高裁 平16(行コ)347号 難民の認定をしない処分取消請求控訴事件
(80)平成17年11月15日 東京地裁 平16(ワ)23544号 損害賠償請求事件
(81)平成17年11月10日 最高裁第一小法廷 平17(行フ)2号 文書提出命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 〔政務調査費調査研究報告書文書提出命令事件〕
(82)平成17年10月25日 東京地裁 平16(ワ)14421号 損害賠償請求事件
(83)平成17年 9月15日 東京高裁 平17(ネ)707号 謝罪放送等請求事件
(84)平成17年 9月14日 大阪地裁 平15(行ウ)55号・平15(行ウ)56号・平15(行ウ)57号 所得税賦課決定処分取消請求事件
(85)平成17年 9月 8日 名古屋地裁 平16(行ウ)46号 難民不認定処分取消請求事件
(86)平成17年 8月31日 名古屋地裁 平16(行ウ)48号・平16(行ウ)49号・平16(行ウ)50号 裁決取消等請求各事件
(87)平成17年 8月25日 京都地裁 平16(行ウ)12号 損害賠償請求事件
(88)平成17年 7月 6日 大阪地裁 平15(ワ)13831号 損害賠償請求事件 〔中国残留孤児国賠訴訟〕
(89)平成17年 6月15日 大阪高裁 平16(行コ)89号 難民不認定処分取消、退去強制命令書発付取消等各請求控訴事件
(90)平成17年 5月31日 東京地裁 平16(刑わ)1835号・平16(刑わ)2219号・平16(刑わ)3329号・平16(特わ)5239号 贈賄、業務上横領、政治資金規正法違反被告事件 〔日本歯科医師会事件〕
(91)平成17年 5月30日 名古屋地裁 平15(行ウ)63号 政務調査費返還請求事件
(92)平成17年 5月26日 名古屋地裁 平16(行ウ)40号 岡崎市議会政務調査費返還請求事件
(93)平成17年 5月24日 岡山地裁 平8(行ウ)23号 損害賠償等請求事件
(94)平成17年 5月19日 東京地裁 平12(行ウ)319号・平12(行ウ)327号・平12(行ウ)315号・平12(行ウ)313号・平12(行ウ)317号・平12(行ウ)323号・平12(行ウ)321号・平12(行ウ)325号・平12(行ウ)329号・平12(行ウ)311号 固定資産税賦課徴収懈怠違法確認請求、損害賠償(住民訴訟)請求事件
(95)平成17年 5月18日 東京高裁 平16(行ケ)356号 選挙無効請求事件
(96)平成17年 4月27日 仙台高裁 平17(行ケ)1号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(97)平成17年 4月21日 熊本地裁 平16(行ウ)1号 固定資産税等の免除措置無効確認等請求事件
(98)平成17年 4月13日 東京地裁 平15(行ウ)110号 退去強制令書発付処分取消等請求事件 〔国籍法違憲訴訟・第一審〕
(99)平成17年 3月25日 東京地裁 平15(行ウ)360号・平16(行ウ)197号 難民の認定をしない処分取消請求、退去強制令書発付処分等取消請求事件
(100)平成17年 3月23日 東京地裁 平14(行ウ)44号・平13(行ウ)401号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
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■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kouenkai-nyuukai-boshuu-kakutoku-daikou/
■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績! 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績!
地獄のポスター貼りやります! ドブ板選挙ポスタリストが貼る! ポスター掲示交渉実績を大公開!
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