政治と選挙Q&A「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例(59)平成23年 5月26日 神戸地裁 平21(ワ)913号 国家賠償請求事件 〔レッドパージ訴訟〕
政治と選挙Q&A「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例(59)平成23年 5月26日 神戸地裁 平21(ワ)913号 国家賠償請求事件 〔レッドパージ訴訟〕
裁判年月日 平成23年 5月26日 裁判所名 神戸地裁 裁判区分 判決
事件番号 平21(ワ)913号
事件名 国家賠償請求事件 〔レッドパージ訴訟〕
裁判結果 請求棄却 上訴等 控訴 文献番号 2011WLJPCA05266001
要旨
◆従前、各勤務先から共産党員又はその同調者であることを理由とする免職処分又は解雇(レッド・パージ)を受けた原告らが、日本国政府の積極関与の下に行われたレッド・パージにより思想良心の自由が侵害されたにもかかわらず、政府は救済措置を行わず、国会議員も救済措置を命じる立法を違法に行わなかったなどとして、被告国に対し、損害賠償を求めた事案において、レッド・パージによる本件免職又は解雇は、連合国最高司令官の指示に従ったもので、当時、GHQの指示・命令に従わざるを得ない状況下にあった政府がレッド・パージを主導したとは認められないことなどからすると、本件免職又は解雇、救済措置の不作為は国賠法上違法とはいえず、また、立法不作為についても国賠法上の違法性は認められず、裁量の範囲を逸脱したともいえないとして、請求を棄却した事例
裁判経過
控訴審 平成24年10月24日 大阪高裁 判決 平23(ネ)2061号 国家賠償請求控訴事件 〔レッドパージ訴訟〕
出典
訟月 58巻8号2925頁
判時 2131号94頁
労働法律旬報 1756号62頁
評釈
石森光輝・訟月 58巻8号2925頁
橋本敦・労働法律旬報 1756号24頁
佐伯雄三・前衛 877号191頁
橋本敦・民主法律時報 468号4頁
橋本敦・民主法律時報 475号9頁
参照条文
国家賠償法1条1項
日本国憲法19条
国家公務員法78条3号
労働基準法3条
裁判年月日 平成23年 5月26日 裁判所名 神戸地裁 裁判区分 判決
事件番号 平21(ワ)913号
事件名 国家賠償請求事件 〔レッドパージ訴訟〕
裁判結果 請求棄却 上訴等 控訴 文献番号 2011WLJPCA05266001
神戸市〈以下省略〉
原告 X1
神戸市〈以下省略〉
原告 X2
神戸市〈以下省略〉
原告 X3
上記3名訴訟代理人弁護士 小牧英夫
同 佐伯雄三
同 松山秀樹
同 西田雅年
同 橋本敦
同 坂本修
同 白子雅人
同 名波大樹
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
上記代表者法務大臣 A
上記指定代理人 近藤裕之
同 永井孝治
同 石森光輝
同 髙橋伸幸
同 南野健一
同 田井地かすみ
同 小林淳
同 田邉錬太郎
同 森麻理子
主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は,原告らの負担とする。
事実及び理由
第1 請求
被告は,原告らに対し,それぞれ2000万円及びこれに対する平成21年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,原告X1(以下「原告X1」という。),原告X2(以下「原告X2」という。)及び原告X3(以下「原告X3」といい,上記3名を「原告ら」という。)が,昭和25年以降に,それぞれの勤務先から,日本共産党の党員又はその同調者であることを理由とする免職処分又は解雇(以下「レッド・パージ」という。)を受けたことにつき,レッド・パージは日本政府が積極的に関与して行われたものであり,これにより,原告らの思想及び良心の自由が侵害されたにもかかわらず,昭和27年4月に我が国が主権を回復して以降,現在までの間,政府が原告らを含むレッド・パージの対象者に対する救済措置を一切行なわず,また,国会議員がレッド・パージの対象者の救済措置を命じる立法を行わなかった違法な不作為により,原告らが財産的損害及び精神的損害を被ったとして,被告に対し,国家賠償法1条に基づき,原告ら各自に損害賠償2000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年4月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
第3 前提事実(争いがないか,掲記した証拠又は弁論の全趣旨により認められる。)
1 原告らに対する免職処分又は解雇
(1) 原告X1について
原告X1は,昭和5年○月生まれの男性であり,昭和20年11月にa省に入省した。原告X1は,昭和24年7月に日本共産党に入党し,昭和25年8月当時は,b電報局で勤務しており,同時に,b電報局労働組合の執行委員・情宣部長も務めていた。
同月26日ころ,原告X1は,上記労働組合の他の執行委員ら3名とともに,国家公務員法78条に基づき,免職処分を受けた。
原告X1に対する上記免職処分は,レッド・パージによるものであった。
(甲A1,甲A5,原告X1本人)
(2) 原告X2について
原告X2は,大正5年○月生まれの男性であり,昭和23年7月にc株式会社に入社した。原告X2は,同22年10月に日本共産党に入党しており,昭和25年10月当時は,c株式会社尼崎工場で勤務して,c社尼崎工場労働組合の副執行委員長を務めていた。
同月26日,原告X2は,同社従業員5名とともに,同社から解雇された。
原告X2に対する上記解雇は,レッド・パージによるものであった。
(甲B1,甲B3,甲B9,原告X2本人)
(3) 原告X3について
原告X3は,大正10年○月生まれの男性であり,昭和22年6月,d株式会社に入社した。原告X3は,同年3月,日本共産党に入党しており,昭和25年10月当時は,同社葺合工場で勤務していた。
同月25日,原告X3は,同社従業員53名とともに同社から解雇された。
原告X3に対する上記解雇は,レッド・パージによるものであった。
(甲C1,原告X3本人)
2 連合国最高司令官のレッド・パージに関する指令等
我が国は,昭和20年8月14日にポツダム宣言を受諾し,同年9月2日に降伏文書に調印して以降,同27年4月28日に連合国との間の「日本国との平和条約」(昭和27年条約第5号。以下「平和条約」という。)が発効するまでの間,連合国による占領管理下にあり,国家統治の権限は連合国最高司令官の制限の下に置かれていたところ,連合国最高司令官マッカーサー(以下「マッカーサー」という。)及び連合国最高司令官総司令部(以下「GHQ」という。)は,以下のとおりの指令及び要請等を行った。
(1) 昭和24年7月4日,マッカーサーは,アメリカ独立記念日に際し,以下の内容の要旨の声明を発表した(甲8②。以下「マッカーサー声明」という。)。
ア 共産主義が成功するためには破壊しなければならない諸自由の楯の陰で,その背信的な目的を前進し続けていることはこの時代の矛盾の一つであり,かかる運動に対し法律の効力,是認及び保護を今後与えるべきか否かは問題である。
イ 日本国民の大部分は,共産主義運動が始まろうとする脅威を十分に理解しているために共産主義宣伝に動揺していない。このような日本国民は,共産主義の東進を食い止め,南進を阻止する有力な防壁である。
(2) マッカーサーは,昭和25年5月3日の憲法記念日に発表した声明で,日本共産党は,最近では合法の仮面をかなぐり捨て,それに代わって公然と国際的略奪勢力の手先となり外国の権力政策,帝国主義的目的及び破壊的宣伝を遂行する役割を引き受けている,同党の行動は,同党が破壊しようとしている国家及び法律から同党がこれ以上の恩恵と保護を受ける権利があるかどうかの問題を提起し,さらに同党の活動を果たしてこれ以上憲法で認められた政治運動とみなすべきかどうかの疑問を生ぜしめるとして,日本共産党を公然と非難した(甲7・1081頁)。
(3) マッカーサーは,同年6月6日付けの書簡(甲7・1083頁。以下「本件書簡1」という。)により,当時の内閣総理大臣吉田茂(以下「吉田首相」という。)に対し,日本共産党中央委員ら24名を公職から追放することを指令した。
(4) マッカーサーは,同年6月7日付けの吉田首相宛て書簡(甲7・1084頁。以下「本件書簡2」という。)により,e紙編集責任者17名を公職から追放することを指令した。
(5) マッカーサーは,同年6月26日付けの吉田首相宛て書簡(甲7・1085頁。以下「本件書簡3」という。)により,e紙を30日間の発行停止とすることを指令した。
(6) マッカーサーは,同年7月18日付けの吉田首相宛て書簡(甲7・1085頁。以下「本件書簡4」といい,上記4通の書簡を合わせて「本件各書簡」という。)により,e紙及びその後継紙並びにその同類紙の発行を無期限に停止する措置をとることを指令した。
(7) 同月22日,GHQ民政局公職審査課長B(以下「B」という。)は,在京の新聞会社8社及び地方社を代表する新聞協会代表者に対し,「マ元帥が3度に亘り出した指令にもとづいて,社内の明白な党員及びシンパを全部追い出せ。これは司令部の命令ではないから,経営者各自の責任において遂行されたい。しかし,司令部は背後から支援するし,また,国警や労働委員会などにも,それぞれ指示してあるから安心して施行せよ。」とする内容を口頭で伝えた(以下「B談話」という。甲9・469頁)。
(8) 同年9月25日及び26日,GHQ経済科学局労働課長Cは,石炭,鉄鋼,非鉄金属,造船などの代表と懇談し,26日の私鉄経営者協会との談話において,以下の内容の話をした(以下「C談話」という。甲9・471頁から472頁)。
ア 私鉄の赤色分子追放は,労使双方の協力によって行うこと。実施の責任は使用者にある。
イ 総司令部及び政府は,干渉も指示もしない。
ウ 整理の対象は,アクティブ・トラブルメーカー並びにその同調者であって,共産党員であることのみをもって排除するものではない。
エ 組合との同意協議約款の有無に関わらず,組合と協議することが望ましい。ただし,会社と協力する組合と協議すればよい。
オ 整理の完了は,昭和25年10月末日を目途とする。
カ 整理対象となる人員,職名,整理の期日について,経営者協会からGHQ宛てに報告すること。
キ 使用者は,この整理に便乗して,企業整備合理化に基づく整理を行わないこと。便乗整理があった場合は,GHQ経済科学局労働課より差し止めることがある。
ク 現在の法律に関する解釈は,日本政府の責任であるが,自分の意見は,日本政府の意見と一致している。
ケ 本日は,米国政府の意向に基づいてGHQ経済科学局労働課の自分が招集したのであるから,この措置は,その意を体して労使の双方が実施するものであることを考えてもらいたい。
3 政府及び経営者団体の対応
(1) 昭和25年9月5日,政府(第3次吉田内閣)は,「共産主義者等の公職から排除に関する件」の閣議決定を行い,共産主義者又はその同調者は官庁,公団,公共企業体等の機関から排除すること,地方公務員及び教職員についてもこれに準ずる措置をとることを確認した(甲5・37頁)。
労働省労政局長は,同年10月9日付け「企業内における共産主義的破壊分子の排除について」と題する通牒(労発第315号)を発し,「世上レッド・パージと称せられる解雇」について,「屡次のマッカーサー元帥の声明及び書簡の次第もあり,経営者が自己の企業を破壊から防衛するための措置として行われるものであり,その限りにおいては憲法,労組法,労基法その他の法令に違反するものとは解せられない」とした(甲6・31頁,甲12・418頁)。
(2) 同月2日,日本経営者団体連盟は,「赤色分子排除対策について」と題する方針書を発表し,共産党員及びその同調者の全面的排除について加盟企業に指示を行った(甲6の2・24頁)。
4 主権の回復
昭和27年4月28日,平和条約が公布され,戦争状態の終了及び日本国の主権の回復が確認された。
第4 争点
本件の争点は以下のとおりである。
1 原告らに対するレッド・パージによる免職又は解雇は,政府が中心となって行ったものとして,国家賠償法上の違法行為に該当するか。
2 政府が,レッド・パージにより免職又は解雇された原告らに対する救済措置を行わなかった不作為が国家賠償法上の違法行為に該当するか。
3 国会議員がレッド・パージ対象者を救済する内容の立法を行わなかった立法不作為が国家賠償法上の違法行為に該当するか。
4 原告らの損害額
第5 争点に関する当事者の主張
1 争点1(原告らに対するレッド・パージによる免職又は解雇は,政府が中心となって行ったものとして,国家賠償法上の違法行為に該当するか。)
【原告らの主張】
(1) レッド・パージによる免職処分や解雇は,共産主義者やその同調者を社会から排除することを企図して,政府等が積極的に推進していった施策であり,また,民間企業における解雇についても,それに先立つ内閣等の積極的関与があって,初めて実施が可能なものであった。
政府が,原告らを直接に免職し又は企業が原告らを解雇することを積極的に後押しするとともに,レッド・パージ対象者を,「企業の破壊者」,「暴力分子」と決めつけて,暴力的に社会秩序を破壊し,民主国家の転覆を企てているかのような誤った情報を宣伝することにより,生産関係,社会関係から排除し,継続的な人権侵害を行ったものであることは,以下の(2)及び(3)の事実関係から明らかであり,政府が中心となって行った原告らに対するレッドパージによる免職又は解雇は,国家賠償法上の違法行為に該当する。
(2) 本件各書簡によるマッカーサーの指令に至るまでの政府,閣僚らの行動
ア 第3次吉田内閣の構想
昭和24年1月の総選挙で,共産党は衆議院で35議席を獲得した。同年2月に第3次吉田内閣が成立したが,吉田首相は,その就任談話において,経済安定九原則を忠実に実行することを誓うとともに,反共産主義対策を内閣の基本方針にすえることを宣言した。
イ 吉田首相の書簡
同年3月28日,吉田首相は,GHQ参謀第2部のD少将に対し,「日本の共産主義者の破壊的かつ反逆的な行動を暴露し,彼らの極悪な戦略と戦術に関して国民を啓発することによって,共産主義の悪と戦う手段として,私は長い間,米議会の非米活動委員会をモデルにした『非日活動委員会』を設置することが望ましいと熟慮してきた。」とする書簡を送り,破壊活動防止法と公安調査庁,内閣調査室が設置・施行されるきっかけを作った。
ウ 団体等規正令の公布
同年4月4日,「政党,協会その他の団体の結成の禁止等に関する件」(昭和21年勅令第101号)が改正され,「団体等規正令」(昭和24年政令第64号)が公布され発効した。同令は,第一条で,「反民主主義的な団体」の結成及び指導を禁止すること等を目的とするとされていたが,この趣旨について,吉田首相が「政治団体たる共産党そのものを対象とする」ものであったと述べていることから,共産党を対象としたものであることは明らかであった。
エ 吉田首相談話
同年7月4日のマッカーサー声明に対して,吉田首相は,共産党の「非合法化に関する総司令部側からの最初の示唆が,公式の形をとって与えられた」もの,すなわち「団体等規正令に現れた占領政策の方向,すなわち,共産主義を法的に否定せんとする態度を,一段と明白にしたもの」と受け取り,早速これを歓迎する談話を発表し,具体的措置について法務府等で研究することとした。
オ 法務府とGHQ民政局公職審査課長Bとの会談
同月21日,法務府と民政局公職審査課長Bとの間で会談がもたれ,その中で,吉田首相が閣議に提出する予定となっている政府機関から共産主義者及びその同調者を追放する案が検討された。
その案においては,「日本の復興をめぐる危機的な状況に鑑み,政府機関の公正,穏健かつ民主的な運営を確保するため,人員整理の計画を立案・決定」するとして,政府機関及び地方公共団体の職員から「共産党員(秘密党員を含む),同党の同調者及び協力者,そして共産主義を信奉していると見られるすべての破壊分子」を一斉に解雇することとされていた。
カ 官公庁におけるレッド・パージ実施に係る閣議決定
同月22日,政府は閣議において公務員のレッド・パージの方針を決定し,これを同年5月に成立した「行政機関職員定員法」(以下「定員法」という。)を根拠とする行政機関に関する人員整理(行政整理)に含めて行うことを確認した。
キ 吉田首相からのマッカーサー宛ての書簡
吉田首相は,マッカーサーに宛てた同年8月9日付けの書簡において,「わが国の政治的経済的安定にとって緊急に必要と私が信ずる具体策」として自らの所信を明らかにして,共産主義を阻止するために必要な方策を具体的に掲げた。
さらに,吉田首相は,「政府職員ならびに教育機関から共産主義の影響力を抹殺する」ことを「国家再建のための一つの包括的計画」の方策として「政府が断固として恐れることなく政策を遂行する」決意を披露した。
ク 吉田首相の構想
昭和25年3月6日,吉田首相は,マッカーサーとの個人的会談において,共産党の解散をマッカーサーの権限でやってほしいと持ち込んだが(共産党非合法化構想),これに対し,マッカーサーは,自分の権限ですることはできないが,国会が立法によって実施するならば反対はしないと答えた。
(3) 本件各書簡によるマッカーサーの指令後の政府,閣僚らの行動
ア E法務総裁の衆議院法務委員会における答弁
昭和25年7月下旬,本件書簡4に基づくものとして,全国の新聞,通信,放送関係各社が合計約700名に達する共産党員及び同調者の解雇を行った点に関して,同月31日,E法務総裁は,衆議院法務委員会においてされた共産党の議員からの上記解雇が憲法違反ではないかとの質問に対し,上記解雇について,正当な理由があり,政府としては全幅の敬意を表し,かつ,これを積極的に支援する旨答弁した。
また,E法務総裁は,参議院本会議においても,上記と同様の答弁を繰り返した。
イ 閣議決定・閣議了解等
同年8月23日,第3次吉田内閣において,公務員のレッド・パージに関して,E法務総裁とF官房長官との協議により,「国家公務員は国家公務員法第78条第3号を適用する」等の方針を決めた。
さらに,同内閣において,同年9月5日付けで「共産主義者等の公職からの排除に関する件」が閣議決定された後,同月11日には各省次官宛て通達として「脱党者取扱要領」と「次官会議に諮るべき事項」が閣議決定に伴う次官会議の申合せとして内閣官房副長官から出され,同月12日には「共産主義者等の公職からの排除に関する件」が閣議了解されるなど,政府関係機関職員のレッド・パージに乗り出すことになった。
ウ 労働省労政局長通牒
労働省労政局長は,同年10月9日付けで,前記前提事実3(1)のとおり,民間企業のレッド・パージに関して,「企業内における共産主義的破壊分子の排除について」と題する通牒を各都道府県知事宛てに出し,企業がレッド・パージを遂行することは合法性があるとしてレッド・パージを強力に推進していった。
エ G労働大臣の全国労働委員会連絡協議会における表明
同月11日,G労働大臣は,第5回全国労働委員会連絡協議会の席において,個々の共産党員の具体的行動を問題とすることなく,共産党に所属しているという理由だけで解雇することが企業防衛のために許容されるとする日本政府の法的見解を表明し,積極的に民間企業におけるレッド・パージを推奨していった。
オ G労働大臣の関東経営者協議会における挨拶
同月20日,G労働大臣は,関東経営者協議会における挨拶で,個々の共産党員の具体的行動を問題にすることなく,共産党に所属しているという理由での解雇が企業防衛のために許容されるとして,レッド・パージを容認する発言をした。
カ 報道機関の利用
政府は,閣議決定や関係閣僚の発言などを報道機関に発表するなどの方法により,新聞等において,マッカーサー声明及び本件各書簡が報道されるだけでなく,政府がレッド・パージを推進していること及びレッド・パージの対象者は,暴力的な方法で社会秩序を乱し,民主主義国家の破壊を企てている人物であるように宣伝して,レッド・パージを積極的に推し進めた。
さらに,原告らは,レッド・パージによって免職又は解雇された事実を実名によって報道されたり,実名は記事に出ていなくとも,レッド・パージを行った企業名が報道されることにより,レッド・パージの対象者として解雇されたことが容易に分かる状態に置かれた。
(4) 以上のとおり,政府は,GHQの指令,指示にやむを得ず従ったというのではなく,主体的にGHQの指示を利用して,報道機関における共産党員及び同調者の排除から,中央及び地方公共団体の各行政機関における排除へとレッド・パージを拡大し,さらに,重要産業におけるレッド・パージを推進するために,民間企業におけるレッド・パージに積極的に関与し,その大量実施を可能にしたのである。
【被告の主張】
(1) 原告らが違法行為として主張している閣議決定,閣議了解などの政府の行為や,首相,閣僚らの言動,発言等は,いずれも当時,我が国において最終的権威を有していた連合国最高司令官の指示によるレッド・パージの実施に関連するものである。そして,当時の日本の国家機関及び国民は,連合国最高司令官の発する一切の命令指示に誠実かつ迅速に服従する義務を有していたのであるから,原告らが主張する政府関係者等の言動が違法と評価される余地はないというべきである。
(2) そして,レッド・パージによる免職又は解雇が適法なものであることは,以下の最高裁判所の判決及び決定において確立している。
ア 最高裁昭和27年4月2日大法廷決定
最高裁判所昭和26年(ク)第114号同27年4月2日大法廷決定(民集6巻4号387頁。以下「昭和27年決定」という。)は,申請人を全日本新聞労働組合共同支部外30名,相手方を社団法人共同通信社とする仮処分申請事件の抗告事件において,レッド・パージによる報道機関における解雇に関し,本件書簡4について,「この書簡は直接には日本政府に対し「e紙」及びその後継紙並びにその同類紙の発行を無期限に停止する措置をとるよう指令したものの如くであるが,右の文言の全趣旨を本件にあらわれた他の資料と共に考え合わせてみると,一般に相手方のような報道機関から共産主義者又はその支持者を排除すべきことを要請した指示であること明かである。また右の書簡は内閣総理大臣吉田茂に宛てられたものではあるが,前記日附の官報にも公表されており,それは同時に日本のすべての国家機関並びに国民に対する指示でもあると認むべきである。」,「日本の国家機関及び国民が連合国最高司令官の発する一切の命令指示に誠実且つ迅速に服従する義務を有すること(昭和20年9月2日降伏文書5項,同日連合国最高司令官指令1号12項),従つて日本の法令は右の指示に牴触する限りにおいてその適用を排除されることはいうまでもないところであるから,相手方共同通信社が連合国最高司令官の指示に従つてなした本件解雇は法律上の効力を有するものと認めなければならない。」と判示して,レッド・パージによる解雇の有効性を認めた。
イ 最高裁判所昭和35年4月18日大法廷決定
最高裁判所昭和29年(ク)第223号同35年4月18日大法廷決定(民集14巻6号905頁。以下「昭和35年決定」という。)においても,昭和27年決定を踏襲し,「連合国最高司令官の指示が,当時わが国の国家機関及び国民に対して,法規としての効力を有するものであつた」とした上で,「連合国最高司令官の指示が,(中略)ただ単に「公共的報道機関」についてのみなされたものではなく,『その他の重要産業』をも含めてなされたものであることは,当時同司令官から発せられた原審挙示の屡次の声明及び書簡の趣旨に徴し明らかであるばかりでなく,そのように解すべきである旨の指示が,当時当裁判所に対しなされたことは当法廷に顕著な事実である。そしてこのような解釈指示は,当時においてはわが国の国家機関及び国民に対し,最終的権威をもつていたのである(昭和20年9月3日連合国最高司令官指令2号4項参照)。」と判示した。
ウ 最高裁判所昭和50年3月28日第二小法廷判決
最高裁判所昭和49年(行ツ)第60号同50年3月28日第二小法廷判決(訟務月報21巻5号1083頁)は,旧電気通産省におけるレッド・パージによる免職処分が争われた裁判においても,「連合国最高司令官の声明及び書簡が公共的報道機関その他の重要産業から共産主義者及びその同調者をすべて排除すべきことを要請した同司令官の指示であつて,それらの者のうち,官庁等の機密を漏洩し業務の正常な運営を阻害するなどその秩序を乱し又乱すおそれのある者のみを排除すべく裁量の余地を与えたものとは解されず,それにつき憲法違反の問題を生ずるものでないことは,当裁判所大法廷判例(昭和26年(ク)第114号同27年4月2日決定・民集6巻4号387頁,昭和29年(ク)第223号同35年4月18日決定・民集14巻6号905頁)の趣旨とするところであり,今日においても,右判例を変更する必要は認められない。また,右指示の実施に関して決定された原判示の閣議決定等も,共産主義者及びその同調者を包括的に排除の対象としたものと解すべきである(当裁判所昭和44年(行ツ)第53号同48年2月23日第二小法廷判決参照)。そして,右指示の重要産業に電気通信事業を営む旧電気通信省が含まれることは明らかである。」と判示して,免職処分の有効性を認めている。
(3) さらに,昭和35年決定においては,「一般に民事上の法律行為の効力は,他に特別の規定がないかぎり,行為当時の法令に照らして判定すべきものである。」とし,連合国最高司令官の「右指示に基いてなされた本件解雇の効力は,その後右指示が平和条約の発効とともに効力を失つたとしても,何ら影響を被るものではない。」と判示して,平和条約が発効し,連合国最高司令官の指示がその効力を失ったことは,解雇の有効性に何ら影響を及ぼさないことを明らかにしており,前記の各最高裁判所の判決及び決定の内容に照らせば,レッド・パージによる免職又は解雇は適法かつ有効であり,また,平和条約の発効によって連合国最高司令官の指令等が効力を失った後も,免職又は解雇の効力に影響がないことが明らかである。
(4) したがって,レッド・パージによる免職又は解雇が違法であることを前提とする原告らの主張は理由がない。
2 争点2(政府が,レッド・パージにより免職又は解雇された原告らに対する救済措置を行わなかった不作為が国家賠償法上の違法行為に該当するか。)
【原告らの主張】
(1) 先行行為に基づく作為義務の発生
国等が先行行為により何らかの危険状態を生じさせ,そこから生じ得る損害の発生を阻止すべきであったのに,それをしなかった場合には,当該不作為は,国家賠償法上の違法行為に該当する。
上記の先行行為に基づく作為義務の成立要件は,①被害を生じさせる危険をはらんだ原因行為たる先行行為の存在,②当該先行行為により被害が生じることについての予見可能性及び③一定の措置を講じることによる侵害結果の回避可能性であり,①の作為義務を基礎づける先行行為は適法であるか違法であるかは問わない。
そして,これらの成立要件が認められる場合には,公務員の職務上の義務を定めた具体的な根拠規定の有無にかかわらず作為義務が肯定される。
本件においては,以下のとおり,前記各要件に該当する事実が存在し,被告国が原告らに対する救済措置を行う作為義務を負うことは明白である。
(2) 先行行為の存在
ア 政府,閣僚らは,前記1【原告らの主張】のとおりの一連の行為により,レッド・パージを積極的に推進して,原告らに対するレッド・パージによる免職又は解雇を実施しただけでなく,国民の間にレッド・パージ対象者が暴力的に社会秩序を破壊し,民主国家転覆を企てているかのような誤った情報を宣伝したものであり,政府等の先行行為が存在する。
イ これに対し,被告は,原告らが主張している政府等の行為は,いずれも連合国最高司令官の指示に基づくものであるから,違法と評価される余地はないとするが,レッド・パージに関する政府等の行為は,以下のとおり,本件各書簡が発せられるより前からの当時の政府等の判断に基づく自発的なものであり,政府にはマッカーサーの権威を利用してレッド・パージを推進しようとする意図はあったにしても,マッカーサーの指示に基づいてレッド・パージを実施したものではない。
(ア) 本件各書簡が発せられる以前から,芦田均(以下「芦田首相」という。)及び吉田首相の各総理大臣は,レッド・パージの構想を持ち,これを実行に移すことを計画していた。
昭和23年5月20日,芦田首相は,衆議院外務委員会において,「政府職員その他官公吏をして,共産党員として国家並びに社会に不利益なる行動をなすがごとき場合には,これは必ず共産党員とは限らないのでありますが,いかなる場合においても,これを厳重に取り締まるべきは当然のことであります」と述べた。
そして,これ以降も,芦田首相は,国会答弁,記者会見及び遊説と機会のあるごとに繰り返しレッド・パージの必要性を説き,これについて,調査,検討中であると表明していた。また,芦田首相は,レッド・パージの立法化について,GHQ民政局長Hの了解を得て,この立案を外務省調査局長のIに担当させていた。
このように芦田首相によるレッド・パージ構想は,GHQの指示や示唆とは全く無関係に,主体的,主導的に計画されたものであり,上記時点では,GHQの反共政策は,レッド・パージの実施という段階にまでは至っていなかったので,それは占領下日本における最初のレッド・パージ構想であり,昭和24年から実施される第1次レッド・パージに先鞭をつけるものであった。
(イ) 吉田首相は,前記1(2)キのマッカーサー宛ての昭和24年8月9日付け書簡において「国家再建のためのひとつの包括的計画」として,アジア大陸を席捲しつつある共産主義の流れを阻止するために,政治上,経済上必要な方策をとる必要があること,我が国が地理的位置及び国民の特性からして共産主義の防波堤として,極東における安定勢力になること,政府自らのイニシアティブと責任において,この反共キャンペーンを行うことが望ましいと考えていることを述べた。
このように,吉田首相は,本件各書簡が発せられる前年に既にレッド・パージを含む反共政策を計画し,政府の責任において主体的,自発的に,これらの計画を実施することをマッカーサーに約束しているのであり,政府が,当時,GHQの権威を利用しながら積極的にレッド・パージを推進していったことは明らかである。
(ウ) 吉田首相は,GHQの意向に関わりなく,その意向を超えて共産党の非合法化や共産党議員のレッド・パージまでを計画するなど積極的,自発的にレッド・パージを含む反共政策を推進していた。
J民政局長の覚書によれば,吉田首相は2回にわたりマッカーサーを私的に訪ねたが,昭和25年3月には,団体等規正令の規定によって共産党を非合法化する可能性や,共産党の非合法化のタイミングについて助言を求めた。
(エ) 昭和26年1月20日,E法務総裁が,吉田首相の代理人として民政局のBを訪れ,吉田首相が共産党議員のパージに強い関心を持っており,2,3名の共産党の国会議員を同月25日の国会開会以前に追放することを望んでいると述べたが,Bは,国会議員のパージには相当に明確な論拠が必要であると指摘した上で,事前に特別審査局から提出された資料ではパージの論拠は示されていないとして,吉田首相の意向に反対した。
ウ また,本件各書簡が発せられた昭和25年より前の昭和24年から,政府が,以下のとおり,マッカーサーの指示に基づくことなく,積極的にレッド・パージを実施していたことからしても,原告らに対するレッド・パージによる免職又は解雇が,マッカーサーの指示に基づくものでないことが裏付けられる。
すなわち,レッド・パージは,大きく分けて2つの段階で実施されており,第1次レッド・パージは,昭和24年からドッジ・プランに基づき官公庁と民間企業において実施されたもので,官公庁における解雇は「行政整理」,民間企業における解雇は「企業整備」と呼ばれ,その中で合計約60万人という大量解雇が実施されたが,この際に,共産党員及びその同調者とみなしたものを意図的に含めることによって,官公庁では約1万人,民間企業では数千人から1万人の共産党員及びその同調者とみなされた者が追放された。
エ さらに,本件各書簡の記載やB談話及びC談話などを考慮しても,本件各書簡は,一般の公務員や民間企業職員を対象とするレッド・パージの指示を含むものとは到底考えられない。
(ア) 本件各書簡が連合軍総司令官からの指示・指令であると解される場合には,その事項の実施のために,「「ポツダム」宣言受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」(昭和20年勅令第542号。以下「ポツダム緊急勅令」という。)に基づく政令の形式をとることができ,その指示・指令の内容は,国内法に優先する法規範としての意味を有し,かつ,それに対する違反は,「連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令」(昭和21年政令第311号)に違反するものとして処罰対象となる。
そうであれば,罪刑法定主義及び憲法31条からして,その内容は一義的に明確でなければならず,類推解釈や拡大解釈をすることは許されない。特に,レッド・パージに関する指示・指令の存在は,対象となった者の失職という重大な結果をもたらすだけでなく,思想・良心の自由に対する重大な制限となるのであるから,指示・指令の内容は,明確かつ具体的なものでなければならず,その内容を類推解釈又は拡大解釈することは憲法31条に反することになる。
そして,本件各書簡が指示・指令か,又は,単なる勧告・示唆かについては厳格に分けて理解されなければならないところ,そのいずれと解するかについては,当該書簡に表現された連合軍最高司令官の意思の解釈によって決せられる外はない。
その上で,本件各書簡については,その書簡自体の文言からも,また,書簡が発せられた際の種々の事情などからしても,公務員や民間企業の職員一般に対するレッド・パージを指示・指令するものではないことは明らかである。
まず,本件各書簡自体の文言をみると,本件書簡1は,共産党中央委員24名の追放措置をとることを具体的に指示した書簡,本件書簡2は,「e紙」編集責任者17名の追従措置をとることを具体的に指示したもの,本件書簡3は,「e紙」の30日間発行停止措置をとることを具体的に指示した書簡及び本件書簡4は,「e紙」とその後継紙及び同類紙の無期限発行停止措置をとることを具体的に指示した書簡であって,本件各書簡は,それぞれ上記指示以外の如何なる具体的な内容についても指示するものではない。
なお,本件各書簡は,具体的な指示を発する理由として日本共産党の政策や活動,「e紙」の危険性や有害性とその排除の必要性については言及しているものの,その結論である指示の具体的内容は,上記の点に止まるのであって,それ以外の如何なる内容も含んでいないことは,その文言上から明らかである。
本件各書簡が発せられた際の状況,種々の事情からみても本件各書簡の内容には公務員及び民間企業の職員に対するレッド・パージを含んでいないことは明らかである。
(イ) 本件各書簡が発せられた直後に行われたB談話においても,報道機関経営者に対して,レッド・パージの指示・指令を行っておらず,せいぜい示唆に止まるものであり,本件各書簡において具体的な指示・指令が行われていないことは明らかである。
Bと報道機関経営者の会談は,各30分から1時間程度の個別の会談により行われ,そこで示されたBの談話は,①マッカーサー書簡の趣旨に基づき各社の責任において実施すること,②GHQの命令,指示ではない,③GHQと日本政府は全面的に支援する,を主たる内容とするものであった。このような姿勢は,その後も一貫しており,昭和25年8月11日の第2回目の会談において,参加者が,レッド・パージは国内法を超越した本件各書簡によって遂行されたもので日本の裁判所には裁判権がないから被解雇者からの申立ては却下すべきであると発言したのに対して,Bは,もし前述の行動が誤りでかつ違法であると信じながらこれらの人物を解雇したのであれば,被雇用者の解雇を行うべきではなかったし,解雇した人物を再雇用すべきであると厳しく批判した。
このように,結局,この会談におけるBの談話は,B自らが繰り返し強調しているように,GHQの指令や指示ではなく報道機関経営者に対するBの示唆・要請という性格のものであった。
(ウ) C談話について
民間重要産業に対するC談話においても,民間企業経営者に対して,レッド・パージの指示・指令を行っておらず,示唆に止まることは明らかである。
同年9月25日及び26日の両日,Cは,石炭,金属・鉱山,造船,鉄鋼,自動車,私鉄,電機,重機械,銀行,化学の十大重要産業の労使代表を招致し,レッド・パージについての協議を行い,同年10月6日,繊維,セメント,硫安,ゴム,石油,紙パルプ,印刷出版,冷凍業,海運,生命保険・損害保険の各産業代表との間でも同様の協議を行った。しかし,そこでCは,レッド・パージの具体的な指示・指令は行っておらず,単に示唆を行ったに止まっている。
オ そして,前記アの先行行為が被害を生じさせる危険をはらんだ原因行為に当たることは,①レッド・パージの実施時点においても,当時の法的な価値基準からみて,原告らレッド・パージ対象者が侵害された人権は,最大限に法的保護が与えられるべき権利であったこと,②同時点において,国家機関はこれらの人権を保障すべき義務を負っていたこと,③日本政府はレッド・パージ対象者を排除する積極的意図を持ち,レッド・パージを推進するための積極的な関与など一連の行動を行っていることからすれば,レッド・パージに関する政府,閣僚らの言動や閣議決定などが,被害を発生させる危険をはらんだ原因行為たる先行行為に該当することは明らかである。
また,仮にレッド・パージが連合国最高司令官の指示・指令に基づくものであり,それ自体が違法とは評価できないとしても,それはせいぜい当時の日本の国家機関及び国民は連合国最高司令官の発する一切の命令指示に誠実かつ迅速に服従する義務を有していたから,当時の政府などの行為をとらえて違法と評価できないというだけであって,政府等の一連の行為がレッド・パージ対象者の法益を侵害していないとはいえないのである。
(3) 権利侵害の予見可能性及び回避可能性の存在
前記(2)のとおり,国家機関自らが人権侵害行為を実施しているのであるから,作為義務の発生要件となる予見可能性が存在することは明らかである。
また,マッカーサーからの指令の時点で,政府はこれに協力せず,人権侵害を回避する可能性が存在したと考えるが,仮に,これが占領下では法的に期待することが困難であったとしても,少なくとも平和条約が発効し,政府が自らの判断において,救済策を講じることが可能となった時点では,原告らレッド・パージの対象者の人権侵害状態を回復するための救済策を実施する可能性が確実に存在したことは明らかである。
(4) 以上のとおり,政府等がレッド・パージに積極的に関与したという先行行為が存在しており,その後も,原告らに対する思想・良心・信条の自由という重大な人権侵害状態が継続していたのであるから,仮に,レッド・パージによる免職又は解雇自体が当時の状況から違法と評価されない場合であっても,上記のような免職又は解雇により侵害された人権の価値の重大性,侵害の態様の重大性,その被害の深刻さ及び他の公職追放者への扱いとの均衡等に照らせば,政府には,原告らを含むレッド・パージ対象者について,名誉回復措置を講じ,また,レッド・パージにより失職し,その後も能力に見合う収入を得る機会を断たれたことによって所得が減少し,年金受給額が低額となった財産的損害を回復するための救済措置に必要な法案を国会に提出する作為義務が生じていたことは明らかである。
それにもかかわらず,政府は,昭和27年4月28日の平和条約発効後から現在に至るまで,上記救済措置をとっていないのであるから,その不作為が,国家賠償法における違法なものであることは明らかである。
【被告の主張】
(1) 政府の不作為が国家賠償法上違法と評価されるためには,個別の国民に対して職務上の法的作為義務を負っていることが前提となるが,我が国において,レッド・パージにより免職又は解雇された者を対象とした名誉回復,職場復帰及び損害の補償等を行うための施策・措置等を講ずべきことを定めた具体的な法令の規定は存在しない。また,憲法の各規定やポツダム宣言等を見ても,直ちにそのような作為義務が生じると解釈することもできない。
したがって,政府において,かかる施策・措置を講ずべき法的作為義務を有しているとはいえない。
(2) 原告らは,法令に具体的な根拠規定がない場合でも,例外的に条理に基づく法的な作為義務が認められると主張する。
条理とは事物の道理のことであって,法の不存在による裁判の不能を回避するため,例外的に裁判規範性を有するものであるから,条理に基づく作為義務が認められるのは極めて例外的な場合に限られるべきである。
そして,前記1の【被告の主張】のとおり,レッド・パージによる免職又は解雇という先行行為は,連合国最高司令官の指示に基づき行われたものであり,この指示は法規としての性格を有し,我が国の国家機関はこれに服従すべき義務があった。そうすると,原告らが条理に基づく作為義務の発生根拠として,政府が連合国最高司令官からの明確な指示がないのにもかかわらず,免職処分及び解雇を積極的に推進したとの主張は失当である。
また,レッド・パージに基づく免職又は解雇は適法であり,かつ,平和条約の発効後の法秩序の下でもその効力が否定されるものではないから,免職又は解雇により雇用関係が適法に終了している以上,レッド・パージにより免職又は解雇された者について,何らかの回復措置を必要とする違法な法益侵害状態は存在しておらず,条理に基づく法的な作為義務を認める前提を欠くものである。
(3) したがって,政府が,レッド・パージの対象者について何らかの救済措置を取らなかったことは,国家賠償法上,違法と評価されるものではない。
3 争点3(国会議員がレッド・パージ対象者を救済する内容の立法を行わなかった立法不作為が国家賠償法上の違法行為に該当するか。)
【原告らの主張】
(1) 国家賠償法1条1項の「公権力の行使」には,当然,国会議員による立法行為も含まれ,その国会議員の立法行為には,立法の不作為も含まれる。
そして,立法不作為の違法性を判断する上では,①侵害されている国民の権利が憲法上の基本的権利であり,侵害を放置することが憲法上許されないものであること,②他の法律の定めに照らし,不平等な取扱いを受けていることが明らかであり,異なった取扱いをすることに合理性がないこと及び③権利侵害の回復もしくは拡大防止のためには立法によらなければならず,他に救済の手段がないことの各要件が重視されなければならない。
(2) 本件においては,以下のとおり,上記の立法の不作為の違法性の要件が満たされている。
ア 憲法上の権利侵害
原告らは単に共産主義者又はその支持者という理由のみによって解雇されたものであり,憲法で保障された思想・良心の自由,法の下の平等などの根源的権利を侵害されたものである。かかる権利侵害を放置することが憲法上許されないことは明白である。
イ 不平等取扱い
昭和21年2月に,「就職禁止,退官,退職等ニ関スル件」(昭和21年勅令第109号。以下「公職追放令」という。)が定められ,翌年に,「公職に関する就職禁止,退官,退職乙に関する勅令」が定められたが,その後,平和条約の発効と同時に,公職追放令は廃止された。
これにより,公職から排除された者は復職したばかりでなく,公私の恩給,年金その他の手当又は利益を受ける権利又は資格を取得するものとされ(同法附則2項),さらに,同年6月3日,政令第171号が公布及び発効されたことにより,公職等から罷免等されて恩給,年金,手当等の受給権を失った者に対し,これを回復する具体的時期や範囲が定められた。
これに対し,レッドパージによって免職又は解雇された者については,その復職や恩給,年金,手当等の受給権の回復を認める法律が制定されておらず,憲法や国際法規に明白に違反する解雇とそれによる年金受給権の喪失等の重大な結果が未だに是正・救済されていないことは,重大な平等原則違反といわなければならない。
ウ 他に救済手段がないこと
さらに,レッドパージによる免職又は解雇は,昭和27年決定及び昭和35年決定等により,超憲法的効力があると判断されたため,レッドパージによる免職又は解雇によって失職した者は,明白に憲法に違反する重大な権利侵害を受けながら,司法による救済が受けられない状態にある。
したがって,このような場合,国権の最高機関である国会における立法により,権利の回復を図る以外に方法はない。
(3) そして,立法不作為における国会議員の故意・過失の認定は,個々の議員の行為ではなく,合議制機関としての国会の統一的な意思について認定すべきものであり,また,その故意・過失は,立法不作為の違法性,違憲性の中に内在していると解すべきであるから,その有無を厳密に認定する必要はない。
なお,公職追放の場合と比較すれば,平和条約発効後に,レッドパージ被害者を救済する法律を制定すべきことは国会議員が容易に知り得たことであるから,これを制定しなかった国会議員に少なくとも過失があることは明らかである。
(4) 以上のとおり,本件について国会議員の立法不作為による被告の国家賠償責任を認めるべきである。
【被告の主張】
(1) 立法の不作為を含む立法行為を理由とする国家賠償請求について,国会議員は,立法に関しては,原則として,国民全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり,個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではないというべきであって,国会議員の立法行為は,立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき,容易に想定し難いような例外的な場合でない限り,国家賠償法1条1項の適用上,違法の評価を受けないものといわなければならない(最高裁昭和53年(オ)第1240号同60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁。以下「昭和60年第一小法廷判決」という。)。
(2) これを本件についてみると,昭和27年決定及び昭和35年決定は,レッド・パージによる免職又は解雇が,占領下の我が国において,国家機関及び国民が誠実かつ迅速に服従する義務を有する連合国最高司令官の指示によるもので,当時の法令上,適法であったことを明らかにしているのであるから,これが違法・無効であったことを前提とする原告らの主張は前提を欠く。
(3) そして,戦中・戦後にかけての国の存亡にかかわる非常事態にあっては,国民の全てが,多かれ少なかれ,その生命・身体・財産の犠牲を堪え忍ぶべきことを余儀なくされていたのであって,これらに対する補償の措置を講ずるか否かの判断は国会の裁量的権限に委ねられていたものと解されるところ(最高裁昭和58年(オ)第1337号同62年6月26日第二小法廷判決・裁判集民事151号147頁),レッド・パージによる免職又は解雇も,戦争直後における占領下における占領政策の一環であり,それが,我が国の当時の国家機関及び国民に対し最終的権威を有していた連合国最高司令官による指示から成るものであったことや,レッド・パージによる免職又は解雇がされた当時には,我が国が連合国の占領下にあり,GHQとの間で,実質的に対等の立場になかったこと,そのため,免職又は解雇が当時の法令上適法とされていることなどの事情を考慮すれば,これにより国民が被った不利益に係る補償の要否については,当時の我が国が置かれた立場,これを前提にした社会情勢のほか,国家財政,社会経済等の諸事情を踏まえた高度の政策的判断を経た上で決定されるべきものである。
したがって,レッド・パージによる損失に係る補償立法をすることについては,憲法上,立法府の政策的判断に委ねられていることが明らかであり,その補償等に係る立法不作為が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行わないというがごとき,容易に想定し難いような例外的な場合に当たるとはいえない。
(4) したがって,国会議員がレッド・パージ対象者を救済する内容の立法を行っていない不作為は,国家賠償法上の違法行為に該当しない。
4 争点4(原告らの損害額)
【原告らの主張】
(1) 原告らの財産的損害
原告らが現在支給を受けている年金額は,原告X1が月額22万円,原告X2が月額6万7600円,原告X3が月額8万5000円である。原告らが,被告の救済措置により復職し,定年まで勤務したとすれば,各原告らが受ける年金額は,少なくとも現在より月額10万円以上は上回っていたはずであり,原告らは,少なくとも月額10万円以上の財産的損害を被っている。
原告らの中で年金受給期間がもっとも短い原告X1でも受給期間は20年間であり,月額10万円の損害であれば,総額2400万円の損害となる。
ア 原告X1について
原告X1は,免職の結果,就労の機会を奪われ,極めて低賃金の就職先にしか就職できず,本来得べかりし賃金相当額の経済的な損害を被っている。また,原告X1は,免職されなければ,郵政省か電電公社に勤務して得られたであろう退職金や年金も受給することはできなかった。
さらに,a省に在職していた期間の年金記録は抹消されたままであり,これらの経済的な損害は,年金の受給に限っても現在までも継続している。
イ 原告X2について
原告X2は,レッド・パージによる解雇の結果,就労の機会を奪われ,食料等の面倒をかけないために,家族と別居して日本共産党の常任活動家として活動することになり,その間は給料等の収入は一切なく,単に食事に困らないだけという生活を強いられた。その後,昭和28年に民主的な団体に参加して活動し,退職するまで34年間働いたが,給料はほとんど受け取っていなかった。したがって,原告X2は,本来得べかりし賃金相当額の経済的な損害を被った。
また,原告X2は,解雇により,当時のc株式会社に勤務し続けていたならば,定年退職まで働いていて得られたであろう退職金や,就労していたことに基づく年金額も受給することができなかったのであり,これらの経済的な損害は,年金の受給に限っても現在まで継続している。
ウ 原告X3について
原告X3は,レッド・パージによる解雇の後,定職に就くことが不可能となったため,現在の年金額は月額約8万5000円であり,原告X3の経済的な損害は,現在まで継続している。
(2) 原告ら各自の精神的損害額
原告らが,思想良心の自由という最も重要な人権を侵害された上,犯罪者であるかのようなレッテルを貼られたまま60年間を過ごしてきたことによる精神的苦痛は甚大であり,これを慰藉するに相当な額は各自1000万円を下ることはない。
ア 原告X1について
原告X1がレッド・パージにより免職となった事実は,新聞で実名により報道され,ラジオでも報道されたため,原告X1はあたかも犯罪者のような扱いを受け,同窓会にも呼ばれなくなった。
原告X1は,免職後,昭和30年まで就職先もなく,日本共産党の神戸市委員会,丹波地区委員会,兵庫県委員会常任などをしていたが,昭和31年から就職したものの,警察が勤務先に尋ねてくるなど身辺調査をしたたことが原因となって,居づらくなり退職した。その後も,原告X1は,就職の際にレッド・パージにより免職となったことを経歴書に記載していなかったとして,経歴詐称を理由に解雇されるなど,レッド・パージ対象者として免職されたことにより,安定した就職をすることもできず,限られた職にしか就くことができない状態となった。
イ 原告X2について
原告X2は,レッド・パージにより解雇されたが,これに納得せず,毎朝会社の門前に行くいわゆる「出勤闘争」を始めたところ,会社は警備員を配置して,原告X2の入構を拒んだ。また,原告X2が,解雇理由の説明を求めて,工場長らに直接面談しようとしたところ拒否され,さらに総務部長の自宅で帰宅を待っていたところ,住居侵入罪で逮捕,起訴された。
原告X2が,レッド・パージにより解雇された事実は,新聞で実名により報道され,また住居侵入罪で逮捕,起訴されたことも報道されたため,再就職もできず,前記(1)イのとおり一定期間家族との別居を余儀なくされた。
ウ 原告X3について
原告X3に対する解雇は,当時の新聞で「五十四名に引導 d社の赤追放通告」と報道された。原告X3は,その後も定職につくことができず,ぎりぎりの生活を余儀なくされたため,結婚もせず,現在は一人暮らしで月額約8万5000円の年金で生活している。
(3) したがって,原告ら各自の損害額は,それぞれ前記(1)及び(2)の合計2000万円を下ることはない。
【被告の主張】
原告らの年金受給額は不知であり,その余は争う。
第6 争点に対する当裁判所の判断
1 証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1) 第二次大戦後の連合国による我が国の占領管理について
ア 我が国は,ポツダム宣言を受諾して,降伏文書に調印したことに伴い,降伏文書に基づく占領を受諾した。
連合国の占領管理下における日本国の統治権限及び日本国民の法的地位等については,基本的には降伏文書によって規律されるところとなり,日本国民は,連合国最高司令官又はその指示に基づいて日本国政府の諸機関により課せられる一切の要求に応ずべきこと(降伏文書3項),また,日本官庁の職員等は,連合国最高司令官が降伏条項実施のため適当であると認めて,自ら発し又はその委任に基づき発せしめる一切の布告,命令及び指示を遵守し,誠実にこれを施行する義務があった(同5項)。さらに,我が国は,ポツダム宣言の条項を誠実に履行すること,及び同宣言を実施するため連合国最高司令官又はその他特定の連合国代表者が要求することのあるべき一切の命令を発し,かつ一切の措置を執ることを約し(同6項),天皇及び日本国政府の国家統治の権限は,降伏条項を実施するため適当と認める措置を執る連合国最高司令官の制限の下に置かれることになった(同8項)。
日本の占領管理のための最高政策決定機関としては,アメリカのワシントンに米英中ソその他主要連合国から成る極東委員会が設置され,一方,占領地である我が国には,占領政策の円滑かつ迅速な実現を図るため,最高の執行権者として連合国最高司令官が置かれ,さらにその諮問機関として米英中ソ等の代表者によって構成される対日理事会が付置された。(公知の事実)
イ 連合国最高司令官が日本管理に当たって,どのような地位と権限とを有するかについて,昭和22年6月9日に極東委員会で採択された「降伏後の対日基本政策」には,「天皇及び日本国政府の権能は,最高司令官に従属するものであり,最高司令官は,降伏条項を実施し並びに日本国の占領及び管理の遂行のために確立された政策を実行するために,必要な一切の権能を有する。」,「最高司令官は,天皇を含む日本国政府の機構及び機関を通じてその権能を行使する。但し,右はここに述べられている目的及び政策を満足に促進する範囲に限られる。最高司令官の判断と裁量とによって,日本国政府は,国内行政事項において通常の統治の権限を行使することを許されることもできるし,また,最高司令官は,日本国政府の機関を用いないで,採るべき措置をいかなる場合においても命ずることができる。」と規定されていた(甲35・3頁から4頁)。
すなわち,連合国最高司令官は,通常は,日本政府を通して日本に対する管理を行うが(間接統治),日本政府を通さないで,直接日本管理を行うこともでき,前記のとおり降伏条項を実施するにあたり必要であると判断したときには,日本国憲法の明文の定めとは全く無関係に法律上自由に自ら適当と認める措置をとることができ,日本政府はこれを実施することが義務づけられていた。
ウ 日本政府は,昭和20年9月20日勅令第542号をもって,旧憲法下の緊急勅令の形式で,「政府ハ「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ連合国最高司令官ノ為ス要求ニ係ル事項ヲ実施スル為特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ為シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得」とするポツダム緊急勅令を制定し,同日施行した。また,同令にいう命令とは,同日制定の勅令第543号「「ポツダム」宣言受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件ノ施行ニ関スル件」により,勅令,閣令又は省令をいうとされた。
したがって,本来であれば,法律をもって規定すべき事項についても,連合国最高司令官の要求にかかる事項を実施するために特に必要ある場合には,ポツダム緊急勅令に基づく政令をもって所要の定めをすることができることになっていた(甲35・6頁から7頁)。
(なお,ポツダム緊急勅令は,「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」(昭和27年法律第81号)により,昭和27年4月28日の平和条約の発効と同時に廃止された。)
エ したがって,第二次大戦後,我が国においては,昭和21年11月3日に日本国憲法が公布され,新憲法に従い新たな国家体制を確立するために政治・経済・社会の諸制度に対する根本的な見直しや改革,国内法体制の整備等の各種作業が進められていた一方で,我が国の国家機関及び国民は,その後平和条約が発効するまでの間は,依然として連合国による占領管理下に置かれ,連合国最高司令官が降伏条項を実施するため自らの判断に基づき適当と認めて発する一切の命令指示について,誠実かつ迅速にこれに服従する義務を課せられ,しかも降伏条項を実施するため具体的にいかなる措置が必要であるかの認定・判断権はすべて連合国最高司令官に帰属し,我が国はその命令指示等を拒否したり,批判することは一切許されなかったのであるから,我が国の統治機構は一応存在していたものの,占領目的の実現の名の下に,連合国による種々の厳しい規制を受け,法的,政治的にみれば,我が国は独立国家としての地位と権限を有するには至っていなかった。
(2) マッカーサーの指令の態様について
連合国最高司令官が管理のために必要な措置を命ずる場合,通常は,指令又は覚書という形式がとられたが,その形式については,法的に何らかの制約があるわけではなく,また,必ずしも文書の形式をもってすることも必要とはされていなかったため,口頭で指令することや,連合国最高司令官の書簡という形式をとることもあり得た。
したがって,内閣総理大臣に宛てたマッカーサーの書簡が,指令又は要求の意味を持つのか,それとも単なる勧告又は示唆の意味を持つかは,その形式から決することはできず,個々の書簡について,そこに表現された連合国最高司令官の意思の解釈によって決すべきものといえ,具体的には,その書簡自体若しくは書簡が発せられるに至った種々の事情又は書簡に関連して発せられる種々の文書若しくは声明等によって判断されることになった。(甲35・4頁から5頁)
(3) マッカーサー又はGHQ関係者が行った指令等
ア 昭和21年1月4日,マッカーサーは,日本政府に対し,日本を戦争に駆り立てた人物を官公職から追放すべきことを内容とする「望ましからず人物の公職よりの罷免排除に関する覚書」を発した。
そこで,同年2月,公職追放令が定められ,翌年には,「公職に関する就職禁止,退官,退職等に関する勅令」が定められて,戦争犯罪人,戦争協力者,大政翼賛会関係者等が,官公職から追放された。
なお,その後,昭和27年4月21日に「公職に関する就職禁止,退職等に関する勅令等の廃止に関する法律」(昭和27年法律第94号)が制定され,同法が,同月28日の平和条約発効と同時に施行されたことにより,公職追放令は廃止された。
イ 昭和21年5月15日,対日理事会において,K・GHQ外交局長は「われわれ占領軍は共産主義を歓迎するものではない」との発言を行った(甲9・465頁)。
ウ 同月20日,食糧メーデーに関し,マッカーサーは「暴民デモ許さず」とする発言を行った(甲9・465頁から466頁)。
エ マッカーサーは,昭和22年2月1日に実行が計画されていた官公庁のゼネラル・ストライキの中止を指令した(甲11・270頁から271頁,甲12・407頁)。
マッカーサーは,同23年7月22日には,芦田首相に対し「公務員の争議行為等の禁止等に関する書簡」を発し,これに基づいて,ポツダム緊急勅令により,「昭和23年7月22日附内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基づく臨時措置に関する政令」(昭和23年7月31日政令201号)が発せられて即日施行され,公務員は団体交渉権を有しないこととされ(同令1条),争議行為を禁止され(同2条1項),違反した者に対する刑罰が定められた(甲35・1頁)。
オ 昭和25年6月の本件書簡1による日本共産党幹部24名の追放及び本件書簡2によるe紙編集責任者17名の追放後,同月29日には,GHQ経済科学局労働課は,「日本労働運動における反共計画」と題する覚書を作成した(甲12・352頁,412頁)。
(4) 本件書簡4の内容
マッカーサーが吉田首相宛てに発した本件書簡4の内容は概要下記のとおりであり,その内容は,昭和25年7月18日の官報に掲載された(甲7・1085頁)。
記
拝啓 虚偽,煽動的,破壊的な共産主義者の宣伝の伝播を阻止する目的をもった私の6月26日付け書簡以来,日本共産党が公然と連携している国際勢力は民主主義社会における平和の維持と本件の支配の尊厳に対して更に陰険な脅威を与えるに至り,暴力によって自由を抑圧する彼らの目的について至る所の自由な人民に対し警告を与えている。かかる情勢下においては日本においてこれを信奉する少数者がかかる目的のために宣伝を播布するため公的報道機関を自由かつ無制限に使用することは新聞の自由の概念の悪用であり,これを許すことは公的責任に忠実な自由な日本の報道機関の大部分のものを危険に陥れ,かつ一般国民の福祉を危うくするものである。
現在自由な世界の諸力を結集しつつある偉大な闘いにおいてはすべての分野のものはこれに伴う責任を分担し,かつ,誠実に遂行しなければならない。かかる責任のうち,公共的報道機関が担う責任程大きいものはない。なぜなら,そこには真実を報道し,この真実に基づいて事情に通じ,啓発された世論をつくりあげる全責任があるからである。歴史は自由な新聞がこの責任を遂行しなかった場合必ず自ら死滅を招いたことを記録している。
私は共産主義者の宣伝が責任を自覚した日本国民大衆に与えるかもしれない破滅的な影響については憂慮してはいない。けだし,日本国民大衆が正義と公正の目的に献身し,共産主義の偽善の仮面を見破る能力を有することを既に充分に立証してきているからである。
しかしながら現実の諸事件は共産主義が公共の報道機関を利用して破壊的暴力的綱領を宣伝し,無責任,不法の少数分子を煽動して法に背き秩序を乱し公共の福祉を損なわしめる危険が明白なことを警告している。それゆえ日本において共産主義が言論の自由を濫用してかかる無秩序への煽動を続ける限り,彼らに公的報道の自由を使用させることは公共の利益のために拒否されねばならない。
よって,私は,日本政府に対し,先の私の書簡の実施のために現在とられている措置を引き続き強力に実施し,日本国内において不動的な共産主義者の宣伝の播布に当たってきたe紙及びその後継紙並びに同類紙の発行に対し課せられた停刊措置を無期限に継続することを指令する。
(5) 本件書簡4発出後のGHQの指示等
ア 同年7月22日に,Bが,朝日,毎日,読売,日経,東京,共同,時事,日本放送協会の8社等にしたB談話に基づき,同月28日から新聞,放送界でレッド・パージが実施された(甲9・469頁,甲12・354頁)。
イ 同年8月3日,GHQ民間情報教育局長L中佐は,新聞,放送界の赤色分子追放について,「日本の新聞発行者及び日本放送協会経営者が最近その内部機構を再検討し,その結果現存ならびに潜在的な破壊分子の解雇を命じたことは時宜を得た勇敢な措置であるばかりでなく,1950年7月18日連合国最高司令官が吉田首相宛の書簡で「共産主義が破壊と暴力の教義を宣伝するため公共の言論機関を利用する危険が明らかに存在している」旨を述べた書簡の主旨に全く合致するものである。」とする声明を発表し,同声明は,同月4日の朝日新聞に掲載された(甲7・1086頁)。
ウ 同年8月10日,GHQから,民間重要産業経営者にレッド・パージが指示された(甲12・355頁)。
エ 同月18日,Cは,地方民事部司令官をGHQに招致して,企業内における共産主義者で積極的に業務を妨害する者を企業から排除するよう地区の経営者に助言されたい,ただし,共産党員というだけでパージするのではなく,少数の積極的トラブルメーカーを排除することによって一般組合員に心理的効果を与えること,いかなることがあっても,占領当局が直接手を下したり,そのような印象を与えぬよう留意されたいと訓示した(甲12・353頁)。
オ Cは,同年9月25日に石炭,鉄鋼,非鉄金属,造船などの代表者を労働省に呼んで懇談したが,その際の発言の要旨は,本日集まってもらったのは赤の追放について話をしたいためである,赤の追放については組合と経営者の協力によってやるべきである,GHQや日本政府が干渉することは考えたくない,赤の追放は重要な産業からやるべきでなるべく早くやってほしい,11月1日までに完了してほしい,何人くらい解雇するかはGHQからは助言はしない,自分に追放すべき者のリストすなわち何日に何人解雇するかの計画を提出してほしい等とするものであった(甲6の2・122頁から124頁)。
また,Cは,同年10月6日には,繊維,セメント,硫安,紙業,ゴム,石油,紙パルプ,冷凍業,船主協会,生命保険,損害保険,印刷出版の諸産業の代表にも同様の話をし,レッド・パージは全産業に波及した(甲12・357頁から358頁)。
(6) 本件各書簡発出前の政府,閣僚らの言動等
ア 昭和24年7月4日,マッカーサー声明が発表されたのに対し,吉田首相は,「日本国民をもって,共産主義の東進を阻止する防壁であると断ぜられたことは,我々の深く感銘するところである」として,マッカーサー声明を歓迎する談話を発表した(甲8②,甲8③)。
イ 昭和24年に,政府(第3次吉田内閣)は,GHQの示唆を受けて,定員法に基づく官公庁における人員整理(以下「行政整理」という。)を行った。その際,GHQは,日本政府に対し,共産主義者を解雇対象の第1順位にするよう示唆したが,このような行政整理に関する解雇基準についてのGHQの指示は機密とされ,地方軍政部等の労働担当者にも知らされてはならない極秘事項とされていた(甲12・349頁から350頁)。
ウ 吉田首相は,マッカーサー宛ての同年8月9日付けの書簡において,日本の政治的及び経済的な安定のために必要な施策として,当面の課題は,工業化を促進することであり,それは民主化の過程と並行して進められなければならず,経済的には工業を推進し,貿易を拡大しなければならないが,政治的にはアジア大陸を席捲しつつある共産主義の流れを阻止しなくてならない。そのために必要な方策は,政府職員ならびに教育機関から共産主義の影響力を抹殺すること等であり,日本の地理的位置及び国民の特性からして,共産主義の防波堤になり,極東における安定勢力になり得るし,政府のイニシアティブと責任において,反共キャンペーンを行うことが望ましいとする見解を示した(甲13・272頁から273頁)。
エ 吉田首相は,昭和25年3月6日,マッカーサーとの個人的な会談において,日本共産党の解散をマッカーサーの権限を用いて実施してほしいと提案したが,これに対し,マッカーサーは,自らの権限ですることはできないが,国会において立法により実施するならば反対はしないと答えた(甲4・360頁)。
2 争点1(原告らに対してされた免職又は解雇の違法行為該当性)について
(1) 原告らは,原告らに対してされたレッド・パージによる免職又は解雇は,政府が中心となって行ったものであり,国家賠償法上の違法行為に該当すると主張する。
(2) しかし,原告らに対する免職又は解雇は,マッカーサーから吉田首相に対し,本件書簡4が発せられた後に,原告らが共産党員であることを理由としてされたものであるところ,同書簡の指示内容は,直接には,日本政府に対し,「e紙」及びその後継紙並びにその同類紙の発行を無期限に停止する措置をとるよう指令したもののようであるが,同書簡の趣旨は,前記前提事実及び認定事実のとおり,当時発せられた本件各書簡の内容,マッカーサー及びGHQ関係者の声明並びに連合国最高司令官の指示についての解釈の表示であるCの各産業代表者に対する談話の内容等に照らせば,単に公共的報道機関についてのみではなく,その他の重要産業からも,共産党員又はその同調者を排除すべきことを要請する指示であると認められ,また,同書簡は吉田首相に宛てられたものではあるが,同日付けの官報にも公表されており,それは同時に日本のすべての国家機関並びに国民に対する指示でもあり,当時我が国の国家機関及び国民は,降伏文書5項に基づき連合国最高司令官の発する一切の命令指示に誠実かつ迅速に服従する義務を有し,日本の法令は,その指示に抵触する限りにおいてその適用を排除されていたのであるから,原告らに対して行われたレッド・パージによる免職又は解雇は,その行為時点において,連合国最高司令官の指示に従ってされたもので法律上の効力を有しており,その後に平和条約の発効により連合国最高司令官の指示が効力を失ったとしても,影響を受けるものではないというべきである(昭和27年決定,同35年決定,最高裁昭和36年(オ)第218号同37年2月15日第一小法廷決定参照)。
(3) したがって,原告らに対する免職又は解雇が国家賠償法上の違法行為に当たるとする原告らの主張を採用することはできない。
3 争点2(救済措置の不作為の違法性)について
(1) 原告らは,政府は一連の行為によりレッド・パージを積極的に推進し,原告らの人権を侵害する先行行為を行ったものであるから,レッド・パージによる免職又は解雇が適法とされる場合でも,原告らの救済措置を行う作為義務を負い,これに反した不作為は国家賠償法上の違法行為に該当すると主張する。
(2) そこで検討するに,前記1(6)認定のとおり,確かに,マッカーサーが吉田首相に対して本件各書簡を発出するより前の時点において,吉田首相はマッカーサーらに対し,日本共産党に敵対する態度を明らかにし,政府の責任において反共キャンペーン実施することや共産党の解党をマッカーサーの権限において実施してほしいなどと伝えており,また,政府は,昭和24年には,行政整理の一貫として,日本共産党員及びその同調者を整理した事実が認められる。
しかしながら,昭和24年の行政整理において共産党員が対象とされたのは,前記認定のとおり,GHQの示唆を受けたことによるものであると認められるし,さらに,そもそも前記2判示のとおり,本件書簡4は,マッカーサーが重要産業からの共産党員及びその同調者の排除を指示した趣旨のものであると認められる以上,吉田首相の個人的な意向いかんにかかわらず,連合国の占領下にあった我が国においては,政府としては,GHQからの指示・命令に従わざるを得ない状況であったのであるから,政府がレッド・パージを主導して行ったものと認めるには足りず,本件記録上,他に同事実を認めるに足りる証拠はない。
そうすると,本件書簡4に基づいてされた原告らに対する免職又は解雇は違法行為に該当するとはいえず,また,原告らに対する免職又は解雇を政府が主導して行ったと認めることもできないから,原告らがレッド・パージによる免職又は解雇により受けた損害について,政府が,何らの法律上の根拠もなしに,救済措置を行うべき条理上の作為義務を負っていたものと認めることはできない。
(3) なお,原告らは,そもそも本件書簡4は,一般の公務員や民間企業の職員に対するレッド・パージを指示・命令したものではなく,示唆に止まるものであったのであり,そのことは,本件書簡4が指示・命令であれば発せられるはずのポツダム緊急勅令に基づく政令が定められていないとし,上記の原告らの主張に沿う証拠(甲27,M証人33項,34項)も存在する。
しかし,本件書簡4が,公共報道機関のみならず重要産業においてもレッド・パージを指示したものであると認められることは前記2(2)判示のとおりであるし,また,書簡が指令・要求の性質を持つ場合には,政府は,連合国最高司令官の指令・要求にかかる事項を実施するために,特に必要ある場合においては,法律をもって規定すべき事項もポツダム緊急勅令に基づく政令の形式により定めをすることができるが(甲35・6頁から7頁),反対に,書簡が指令・要求の性質を持つからといって,必ずしもポツダム緊急勅令に基づく政令の定めを要することにはならないのであり,特に,前記1認定のとおり,GHQは,GHQが直接レッド・パージに関与しているとの印象を日本国民に与えないよう留意するとともに,使用者に対しては,その責任においてレッド・パージを行うべきであることを念押ししながら,実際には,超憲法的にレッド・パージの指示を行っていたものと認められるのであるから,政府においてもレッド・パージに関する政令を定めないことはむしろ当然であると解され,ポツダム緊急勅令に基づく政令が定められていないことは,本件書簡4がレッド・パージを示唆したにとどまることを裏付けるものとはいえず,原告らの主張に沿う上記各証拠も,本件書簡4がレッド・パージを指示したものであるとの前記判断を左右するものではない。
(4) 以上のとおり,原告らが作為義務発生の根拠として主張する,本件各書簡はレッド・パージを示唆したものにすぎないのに,政府がレッド・パージを積極的に推進したという事実は,これを認めることはできず,政府が原告らに対し,レッド・パージによる免職又は解雇について救済措置をとらなかった不作為が国家賠償法上の違法行為に当たるとはいえない。
4 争点3(救済立法の不作為の違法性)について
(1) 原告らは,国会議員が,原告らを含むレッド・パージの対象者に関して,年金の支給等を内容とする救済立法を行わなかった不作為が,国家賠償法上違法であると主張する。
(2) 国家賠償法1条1項は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに,国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずることを規定するものであるところ,国会議員が立法に関し個別の国民に対する関係においていかなる法的義務を負うかをみるに,憲法の採用する議会制民主主義の下においては,国会は,国民の間に存する多元的な意見及び諸々の利益を立法過程に公正に反映させ,議員の自由な討論を通してこれらを調整し,究極的には多数決原理により統一的な国家意思を形成すべき役割を担うものである。そして,国会議員は,多様な国民の意向をくみつつ,国民全体の福祉の実現を目指して行動することが要請されているのであって,議会制民主主義が適正かつ効果的に機能することを期するためにも,国会議員の立法過程における行動で,立法行為の内容にわたる実体的側面に係るものは,これを議員各自の政治的判断に任せ,その当否は終局的に国民の自由な言論及び選挙による政治的評価にゆだねるのを相当とする。
このように,国会議員の立法行為は,本質的に政治的なものであって,その性質上法的規制の対象になじまず,特定個人に対する損害賠償責任の有無という観点から,あるべき立法行為を措定して具体的立法行為の適否を法的に評価するということは,原則的には許されないものといわざるを得ない。
したがって,国会議員は,立法に関しては,原則として,国民全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり,個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではないというべきであって,国会議員の立法行為は,立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき,容易に想定し難いような例外的な場合でない限り,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受けないものといわなければならない(昭和60年第一小法廷判決参照)。
(3) そこでこれを本件についてみると,前記2(2)のとおり,本件書簡4の内容は,連合国最高司令官の指示であって,また,日本の国家機関及び国民は,連合国最高司令官の発する一切の命令指示に誠実かつ迅速に服従する義務を有していたから,本件書簡4に基づく指示によってされたレッド・パージによる免職又は解雇は,当時において有効であり,かつ,平和条約により我が国が主権を回復した後においても,この効力は左右されない。
以上のとおり,本件書簡4に基づくレッド・パージによる免職又は解雇が違法ではないとすると,これによって生じた原告らの損害の回復は,違法行為を前提としない損失補償の問題として把握されるべきことになるが,我が国は,原告らに対する免職又は解雇の当時,連合国の占領下にあり,政治,経済等のあらゆる面において連合国による種々の厳しい規制を受けていたのであるから,国民には,少なからず,身体及び財産等についての損害が発生したことがあったと考えられる。
そして,このような損害に対する補償の要否及び在り方は,事柄の性質上,財政,経済,社会政策等の国政全般にわたった総合的政策判断を待って初めて決し得るものであって,憲法の条項に基づいて一義的に決することは不可能であるというほかなく,これについては,国家財政,社会経済,国民が被った被害の内容,程度等に関する資料を基礎とする立法府の裁量に委ねられたものと解するのが相当である。
以上のとおり,レッド・パージによって生じた損失について立法により補償することについては,憲法上,立法府の政策的判断に委ねられていることが明らかであり,その補償等に係る立法不作為が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行わないというがごとき,容易に想定し難いような例外的な場合に当たるとはいえない。
(4) なお,公職追放令により官公職から追放された者については,平和条約発効と同時に,公職追放令を廃止する法律が施行され,復職した上で,恩給,年金,手当等の受給権の回復がされているにもかかわず,レッド・パージの対象者については,何らの手当もされていないことは,原告らの指摘するとおりであるが,前述のとおり,レッド・パージの対象者に生じた損害について,立法により補償すべきか否か,また,補償するとしてどのような補償の内容にすべきか否かは,立法裁量の問題であり,政治的判断を待って解決されるべき事柄であって,国会がその立法をなさないことが,原告ら個人との関係において,国家賠償法1条1項の適用上,違法との評価を受けるものということはできないし,立法府が,レッド・パージによる解雇について,公職追放令の場合と同様の立法措置を講じていないことが,その裁量の範囲を逸脱したものとまではいうことができない。
(5) 以上のとおりであるから,原告らが主張する立法不作為の違法性は認められず,国会議員の立法不作為を理由とする原告らの国家賠償請求は理由がない。
第7 結論
よって,原告らの本件請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 矢尾和子 裁判官 金子隆雄 裁判官 織川逸平)
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政治と選挙の裁判例「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例一覧
(1)昭和26年 3月 7日 大阪高裁 昭25(う)2385号 選挙運動の文書図画等の特例に関する法律違反被告事件
(2)昭和26年 3月 3日 金沢地裁 昭25(行)2号 県議会議長辞職許可決議無効事件
(3)昭和26年 2月26日 仙台高裁 昭25(う)1081号 昭和二二年勅令第一号違反事件
(4)昭和26年 2月19日 新潟地裁 昭25(行)14号 休職処分取消請求事件
(5)昭和26年 2月 2日 最高裁第二小法廷 昭25(れ)1505号 公務執行妨害教唆各被告事件
(6)昭和25年12月28日 岐阜地裁 昭25(モ)12号 仮処分異議申立事件 〔電産特別指令確認事件〕
(7)昭和25年12月20日 最高裁大法廷 昭25(れ)1021号 昭和二二年勅令第一号違反被告事件
(8)昭和25年12月20日 高松高裁 昭25(う)794号
(9)昭和25年12月19日 東京地裁 昭25(ワ)2251号 解雇無効確認請求事件 〔東京都職員免職事件〕
(10)昭和25年12月16日 東京地裁八王子支部 昭25(モ)165号 仮処分異義申立事件 〔富士工業工場閉鎖事件〕
(11)昭和25年12月14日 大阪地裁 昭25(ヨ)43号 仮処分申請事件 〔新家工業組合除名事件〕
(12)昭和25年12月13日 東京高裁 昭25(行ナ)12号 商標登録願拒絶査定不服抗告審決取消請求事件
(13)昭和25年12月 8日 最高裁第二小法廷 昭25(あ)2863号 公職選挙法違反・昭和二二年勅令第一号違反被告事件
(14)昭和25年12月 6日 高松高裁 事件番号不詳
(15)昭和25年11月22日 最高裁大法廷 昭25(れ)280号 賭場開張図利被告事件
(16)昭和25年11月10日 岡山地裁 昭24(ワ)107号 組合員除名決議無効確認等請求事件 〔倉敷レーヨン組合除名事件〕
(17)昭和25年10月27日 福岡高裁 事件番号不詳 解職処分無効確認等請求控訴事件 〔熊本電気鉄道事件・控訴審〕
(18)昭和25年10月18日 京都地裁 昭25(行)10号 議会議員除名決議取消請求事件
(19)昭和25年10月 4日 広島高裁 昭25(う)649号 公職選挙法違反・昭和二二年勅令第一号違反被告事件
(20)昭和25年10月 3日 秋田地裁 昭25(行)19号 休職ならびに懲戒免職処分取消請求事件 〔秋田県教員懲戒免職事件〕
(21)平成24年 4月13日 東京地裁 平23(行ウ)73号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(22)平成24年 4月12日 東京地裁 平23(行ウ)48号 難民の認定をしない処分等無効確認請求事件
(23)平成24年 4月10日 東京地裁 平23(行ウ)128号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(24)平成24年 3月27日 和歌山地裁 平19(行ウ)8号 政務調査費返還代位請求事件
(25)平成24年 3月26日 仙台地裁 平19(ワ)1648号・平20(ワ)430号・平20(ワ)1915号・平21(ワ)355号・平21(ワ)896号・平21(ワ)1398号 監視活動停止等請求事件
(26)平成24年 3月23日 東京地裁 平22(行ウ)368号 難民不認定処分取消請求事件
(27)平成24年 3月16日 東京地裁 平21(行ウ)311号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(28)平成24年 2月29日 東京地裁 平21(行ウ)585号 公金支出差止請求事件
(29)平成24年 2月23日 大阪地裁 平21(行ウ)154号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(30)平成24年 2月22日 東京地裁 平22(行ウ)445号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(31)平成24年 2月14日 東京地裁 平22(行ウ)323号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(32)平成24年 2月 3日 青森地裁 平20(行ウ)4号 政務調査費返還代位請求事件
(33)平成24年 1月31日 大阪高裁 平23(行コ)96号 政務調査費違法支出損害賠償命令控訴事件
(34)平成24年 1月31日 福岡高裁 平23(行コ)13号 大分県政務調査費返還等請求事件
(35)平成24年 1月27日 東京地裁 平22(ワ)5552号 地位確認等請求事件 〔学校法人尚美学園事件〕
(36)平成24年 1月18日 横浜地裁 平19(行ウ)105号 政務調査費返還履行等代位請求事件
(37)平成24年 1月17日 東京地裁 平21(行ウ)600号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(38)平成24年 1月13日 東京地裁 平23(ワ)4292号 損害賠償等請求事件
(39)平成24年 1月12日 東京地裁 平22(行ウ)251号・平22(行ウ)256号・平22(行ウ)257号・平22(行ウ)258号・平22(行ウ)259号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(40)平成23年12月21日 東京地裁 平21(行ウ)636号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(41)平成23年12月 9日 徳島地裁 平19(行ウ)17号 政務調査費違法支出不当利得返還命令請求事件
(42)平成23年12月 8日 東京地裁 平21(行ウ)341号 観察処分期間更新処分取消請求事件
(43)平成23年12月 6日 東京地裁 平22(行ウ)215号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(44)平成23年11月30日 東京地裁 平22(行ウ)37号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(45)平成23年11月25日 東京地裁 平21(ワ)3923号・平21(ワ)20801号 損害賠償等請求事件、損害賠償請求事件
(46)平成23年10月27日 東京地裁 平20(行ウ)497号・平20(行ウ)530号・平20(行ウ)531号・平20(行ウ)532号・平20(行ウ)533号・平20(行ウ)487号・平20(行ウ)557号・平20(行ウ)690号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、在留特別許可をしない処分無効確認請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(47)平成23年10月25日 東京地裁 平21(行ウ)373号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(48)平成23年 9月30日 仙台高裁 平22(行コ)20号 政務調査費返還請求控訴事件
(49)平成23年 9月29日 東京地裁 平22(行ウ)460号 退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(50)平成23年 9月16日 東京高裁 平21(ネ)2622号 各損害賠償請求控訴事件
(51)平成23年 9月 2日 東京地裁 平22(行ウ)36号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(52)平成23年 7月25日 東京地裁 平19(行ウ)591号 懲戒処分取消等請求事件
(53)平成23年 7月22日 東京地裁 平22(行ウ)555号・平23(行ウ)61号・平23(行ウ)171号 難民の認定をしない処分取消請求事件、追加的併合申立事件
(54)平成23年 7月19日 東京地裁 平21(行ウ)582号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(55)平成23年 7月12日 東京地裁 平20(行ウ)682号・平21(行ウ)537号・平22(行ウ)48号 退去強制令書発付処分取消等請求事件(第1事件)、在留特別許可をしない処分無効確認請求事件(第2事件)、難民の認定をしない処分取消請求事件(第3事件)
(56)平成23年 7月 8日 東京地裁 平22(行ウ)197号・平22(行ウ)210号・平22(行ウ)211号・平22(行ウ)212号・平22(行ウ)213号 在留特別許可をしない処分取消等請求事件
(57)平成23年 7月 6日 東京地裁 平22(ワ)15626号 除名処分無効確認等請求事件
(58)平成23年 6月29日 東京地裁 平21(ワ)40345号・平22(ワ)36010号 損害賠償等請求事件、不当利得返還請求事件
(59)平成23年 5月26日 神戸地裁 平21(ワ)913号 国家賠償請求事件 〔レッドパージ訴訟〕
(60)平成23年 5月25日 東京地裁 平22(行ウ)156号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(61)平成23年 5月20日 仙台高裁 平22(行コ)8号 政府調査費返還代位請求控訴事件
(62)平成23年 5月18日 東京高裁 平22(行ケ)30号 裁決取消等請求事件
(63)平成23年 5月17日 東京地裁 平21(行ウ)17号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(64)平成23年 5月11日 神戸地裁 平21(行ウ)4号 政務調査費違法支出返還請求事件
(65)平成23年 4月26日 東京地裁 平22(行ウ)162号・平22(行ウ)448号・平22(行ウ)453号 在外日本人国民審査権確認等請求事件(甲事件)、在外日本人国民審査権確認等請求事件(乙事件)、在外日本人国民審査権確認等請求事件(丙事件)
(66)平成23年 4月 6日 大阪地裁 平20(ワ)14355号 損害賠償請求事件 〔目的外支出政務調査費損害賠償請求事件〕
(67)平成23年 3月24日 東京地裁 平20(ワ)17676号 損害賠償等請求事件
(68)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)303号 衆議院議員選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(69)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)268号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(70)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)257号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(71)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)256号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(72)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)235号 選挙無効請求事件
(73)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)234号 選挙無効請求事件
(74)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)207号 選挙無効請求事件
(75)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)206号 選挙無効請求事件
(76)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)203号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(77)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)201号 選挙無効請求事件
(78)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)200号 選挙無効請求事件
(79)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)199号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(80)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)189号 選挙無効請求事件
(81)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)188号 選挙無効請求事件
(82)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)130号 選挙無効請求事件
(83)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)129号 選挙無効請求事件
(84)平成23年 3月17日 名古屋高裁 平22(ネ)496号 損害賠償請求控訴事件
(85)平成23年 3月10日 東京高裁 平21(行コ)181号 懲戒処分取消等請求控訴事件
(86)平成23年 3月 8日 釧路地裁 平20(行ウ)5号 不当利得金返還請求事件
(87)平成23年 3月 8日 釧路地裁 平20(行ウ)1号 損害賠償請求事件
(88)平成23年 3月 4日 東京地裁 平21(行ウ)1号・平21(行ウ)7号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(89)平成23年 2月24日 大分地裁 平19(行ウ)9号 大分県政務調査費返還等請求事件
(90)平成23年 2月18日 東京地裁 平21(行ウ)513号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(91)平成23年 1月31日 東京高裁 平22(行コ)91号 損害賠償請求住民訴訟控訴事件
(92)平成23年 1月28日 福岡高裁宮崎支部 平22(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(違憲状態)・福岡高裁宮崎支部〕
(93)平成23年 1月26日 広島高裁松江支部 平22(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(違憲状態)・広島高裁松江支部〕
(94)平成23年 1月21日 福岡地裁 平21(行ウ)28号 政務調査費返還請求事件
(95)平成23年 1月20日 東京地裁 平20(ワ)13385号 損害賠償等請求事件
(96)平成23年 1月19日 宇都宮地裁 平20(行ウ)13号 政務調査費不当利得返還請求事件
(97)平成23年 1月14日 東京地裁 平21(行ウ)279号 在留特別許可をしない処分取消請求事件
(98)平成22年12月16日 東京高裁 平22(行ケ)24号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(違憲状態)・東京高裁〕
(99)平成22年12月16日 広島高裁岡山支部 平22(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(違憲状態)・広島高裁岡山支部〕
(100)平成22年12月 1日 東京地裁 平21(行ウ)374号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
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■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
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■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績! 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績!
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(3)今すぐ無料でお見積りのご相談 ☆大至急スピード無料見積もり!選挙広報支援プランご提案
ポスター掲示難易度ランク調査 ご希望のエリア/貼付箇所/貼付枚数 ☏03-3981-2990✉info@senkyo.win
「政治活動用のポスター貼り代行」や「選挙広報支援プラン」の概算お見積りがほしいというお客様に、選挙ドットウィンの公職選挙法に抵触しない広報支援プランのご提案が可能です。
(4)政界初!世界発!「ワッポン」 選挙管理委員会の認証確認済みPR型「ウィン!ワッポン」
完全無料使い放題でご提供可能! 外壁街頭ポスター掲示貼付ツール 1枚から対応/大至急/一斉貼付け!
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(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
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アポイントメント獲得代行/後援会イベントセミナー集客代行/組織構築支援/党員募集獲得代行(所属党本部要請案件)/演説コンサルティング/候補者ブランディング/敵対陣営/ネガティブキャンペーン(対策/対応)
(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。
(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
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【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。
(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
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