【選挙から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(29)平成25年 1月29日 和歌山地裁 平19(行ウ)7号 政務調査費違法支出金返還請求事件

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(29)平成25年 1月29日 和歌山地裁 平19(行ウ)7号 政務調査費違法支出金返還請求事件

裁判年月日  平成25年 1月29日  裁判所名  和歌山地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(行ウ)7号
事件名  政務調査費違法支出金返還請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  文献番号  2013WLJPCA01296001

要旨
◆県議会議員らが県から交付を受けた政務調査費のうち、事務所費、事務費及び人件費の支出が違法なものであったなどとして、県の住民である原告らが、被告県知事に対し、各議員及び議員の相続人らに不当利得返還請求をするよう求めた住民訴訟の事案において、政務調査費が調査研究に資するため必要な経費に支出されたか否かは、使途基準の適合の有無により判断すべきであり、ある支出が調査研究のためでも、他の目的のためでもある場合には、社会通念上相当な割合によって按分した額につき政務調査費を支出できるものと解されるところ、本件各議員の支出の一部には使途基準に適合しない違法な支出が認められるとして、請求を一部認容した事例

裁判経過
控訴審 平成26年 1月30日 大阪高裁 判決 平25(行コ)40号 政務調査費違法支出金返還請求控訴事件

参照条文
地方自治法2条14項(平20法69改正前)
地方自治法100条(平20法69改正前)
地方自治法242条の2第1項4号
和歌山県政務調査費の交付に関する条例2条(平13和歌山県条例34。平19和歌山県条例48改正前)
和歌山県政務調査費の交付に関する条例10条(平13和歌山県条例34。平19和歌山県条例48改正前)
和歌山県政務調査費の交付に関する規程4条
和歌山県政務調査費の交付に関する規程7条

裁判年月日  平成25年 1月29日  裁判所名  和歌山地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(行ウ)7号
事件名  政務調査費違法支出金返還請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  文献番号  2013WLJPCA01296001

和歌山市〈以下省略〉
原告 X1
同市〈以下省略〉
原告 X2
同市〈以下省略〉
原告 X3
同市〈以下省略〉
原告 X4
同市〈以下省略〉
原告 X5
上記5名訴訟代理人弁護士 阪本康文
同 森崎有治
同訴訟復代理人弁護士 芝野友樹
同市〈以下省略〉
被告 和歌山県知事 Y
同訴訟代理人弁護士 月山桂
同 谷口曻二
同 水野八朗
同 田中祥博
同 月山純典
同 藤井友彦
同 山本和正
同 田中志保
同訴訟復代理人弁護士 岸本行正
同指定代理人 W1
同 W2
同 W3
同 W4
同市〈以下省略〉
被告補助参加人 亡A1訴訟承継人Z1(以下「補助参加人Z1」という。)
同市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z2(以下「補助参加人Z2」という。)
同市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z3(以下「補助参加人Z3」という。)
同市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z4(以下「補助参加人Z4」という。)
上記4名訴訟代理人弁護士 今井浩三
同 稲毛一郎
同 松村廣治
同 幸田勝利
同 平井龍八
同 清王達之
同 國重徹
同 近森裕行

 

 

主文

1  被告は,A2に対し,358万9963円を支払うよう請求せよ。
2  被告は,A3に対し,108万3905円を支払うよう請求せよ。
3  被告は,A4に対し,84万9351円を支払うよう請求せよ。
4  被告は,A5に対し,479万2921円を支払うよう請求せよ。
5  被告は,A6に対し,20万1990円を支払うよう請求せよ。
6  被告は,A7に対し,182万6113円を支払うよう請求せよ。
7  被告は,補助参加人Z1に対し,85万1469円を支払うよう請求せよ。
8  被告は,亡A1相続人A8に対し,42万5734円を支払うよう請求せよ。
9  被告は,亡A1相続人A9に対し,42万5734円を支払うよう請求せよ。
10  被告は,A10に対し,310万6353円を支払うよう請求せよ。
11  被告は,A11に対し,482万4624円を支払うよう請求せよ。
12  被告は,A12に対し,175万円を支払うよう請求せよ。
13  被告は,A13に対し,149万5748円を支払うよう請求せよ。
14  被告は,A14に対し,212万6593円を支払うよう請求せよ。
15  被告は,A15に対し,195万5546円を支払うよう請求せよ。
16  被告は,A16に対し,439万4000円を支払うよう請求せよ。
17  被告は,A17に対し,101万5699円を支払うよう請求せよ。
18  被告は,A18に対し,158万0301円を支払うよう請求せよ。
19  被告は,A19に対し,101万2659円を支払うよう請求せよ。
20  被告は,A20に対し,252万1814円を支払うよう請求せよ。
21  被告は,A21に対し,141万0191円を支払うよう請求せよ。
22  被告は,補助参加人Z2に対し,133万1687円を支払うよう請求せよ。
23  被告は,A22に対し,25万9498円を支払うよう請求せよ。
24  被告は,A23に対し,207万5750円を支払うよう請求せよ。
25  被告は,A24に対し,163万3469円を支払うよう請求せよ。
26  被告は,A25に対し,31万7391円を支払うよう請求せよ。
27  被告は,補助参加人Z3に対し,83万6006円を支払うよう請求せよ。
28  被告は,A26に対し,361万2051円を支払うよう請求せよ。
29  被告は,A27に対し,398万9183円を支払うよう請求せよ。
30  被告は,A28に対し,262万2557円を支払うよう請求せよ。
31  被告は,A29に対し,224万2605円を支払うよう請求せよ。
32  被告は,A30に対し,250万5483円を支払うよう請求せよ。
33  被告は,A31に対し,251万6197円を支払うよう請求せよ。
34  被告は,A32に対し,45万7769円を支払うよう請求せよ。
35  被告は,A33に対し,22万0465円を支払うよう請求せよ。
36  被告は,A34に対し,499万5947円を支払うよう請求せよ。
37  被告は,補助参加人Z4に対し,179万1701円を支払うよう請求せよ。
38  被告は,A35に対し,62万1729円を支払うよう請求せよ。
39  被告は,A37に対し,183万0570円を支払うよう請求せよ。
40  被告は,A38に対し,165万2436円を支払うよう請求せよ。
41  被告は,A39に対し,175万2634円を支払うよう請求せよ。
42  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
43  訴訟費用は,これを2分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。
44  補助参加によって生じた費用は,
(1)  原告らと補助参加人Z1との間に生じた費用については,これを3分し,その2を補助参加人Z1の負担とし,その余を原告らの負担とし,
(2)  原告らと補助参加人Z2との間に生じた費用については,これを10分し,その7を補助参加人Z2の負担とし,その余を原告らの負担とし,
(3)  原告らと補助参加人Z3との間に生じた費用については,これを3分し,その2を補助参加人Z3の負担とし,その余を原告らの負担とし,
(4)  原告らと補助参加人Z4との間に生じた費用については,これを5分し,その2を補助参加人Z4の負担とし,その余を原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,別紙1「政務調査費違法支出金一覧表」の「相手方」欄記載の者(ただし,番号7・符号キの亡A1[以下「A1議員」という。]の関係では,番号7の1ないし3・符号キの1ないし3の補助参加人Z1,亡A1相続人A8及び同A9[以下「A1議員の相続人」という。])に対し,それぞれ,
(1)  「合計」欄記載の金員
(2)  「小計①」欄記載の金員に対する平成15年5月1日から,「小計②」欄記載の金員に対する平成15年5月30日から,「小計③」欄記載の金員に対する平成16年5月1日から,各「小計④」欄記載の金員に対する平成17年5月1日から,「小計⑤」欄記載の金員に対する平成18年5月1日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員
を支払うよう請求せよ。
2  訴訟費用は被告の負担とする。
第2  事案の概要
本件は,和歌山県の住民である原告らが,和歌山県議会議員であった別紙1「政務調査費違法支出金一覧表」の「相手方」欄記載の者(ただし,番号7・符号キについては,A1議員。以下「本件議員ら」という。なお,同一覧表の符号は,書証の符号に対応するものである。)が和歌山県から交付を受けた政務調査費のうち,平成14年度ないし平成17年度の事務所費,事務費及び人件費の支出が違法なものであったなどと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,不当利得返還請求として,A1議員を除く本件議員及びA1議員の相続人に対して同支出相当額及びそれらに対する政務調査費収支報告書の提出期限日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するように求める住民訴訟である。
1  法令等の定め
(1)  平成20年法律第69号による改正前の地方自治法(以下,単に「地方自治法」という。)には,以下の定めがある。
ア 普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における議員に対し,政務調査費を交付することができる。この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならない(100条13項)。
イ 前項の政務調査費の交付を受けた議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする(同条14項)。
(2)  和歌山県では,地方自治法に基づき,「和歌山県政務調査費の交付に関する条例」が制定されている。平成19年3月14日条例第48号による改正前の「和歌山県政務調査費の交付に関する条例」(乙A1の1。以下「本件条例」という。)には,以下の定めがある。
ア この条例は,地方自治法100条13項及び14項の規定に基づき,和歌山県議会議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,議会における議員に対し政務調査費を交付することに関し必要な事項を定めるものとする(1条)。
イ 政務調査費は,和歌山県議会の議員に対して交付する(2条)。
ウ 議員に係る政務調査費は,月額24万円とし,毎月1日に在職する議員に対し交付する(4条1項)。
エ 議長は,政務調査費の交付を受けようとする議員について,毎年度4月10日までに,別に定めるところにより知事に通知しなければならない(6条1項)。
オ 知事は,前条第1項の規定による通知に係る議員について,その年度分の政務調査費の交付の決定を行い,当該議員に通知しなければならない(7条1項)。
カ 議員は,前条第1項の規定による交付の決定の通知を受けた後,毎四半期に属する最初の月の20日までに,当該四半期に属する月数分の政務調査費を請求するものとする(8条1項本文)。
キ 知事は,前2項の請求があったときは,速やかに政務調査費を交付するものとする(8条3項)。
ク 知事は,政務調査費の交付を受けた議員がその年度において交付を受けた政務調査費の総額から,当該議員がその年度において行った政務調査費による支出(次条に規定する使途基準に従って行った支出をいう。)の総額を控除して残余がある場合,当該残余の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができる(9条4項)。
ケ 政務調査費の交付を受けた議員は,政務調査費を別に定める使途基準に従い使用しなければならない(10条)。
コ 政務調査費の交付を受けた議員は,当該政務調査費に係る収支報告書を,別記様式(省略)により,毎年4月30日までに議長に提出しなければならない(11条1項)。
サ 議長は,政務調査費の適正な運用を期すため,前条の規定により収支報告書が提出されたときは,必要に応じ調査を行うものとする(12条)。
(3)  本件条例10条を受けて,「和歌山県政務調査費の交付に関する規程」(乙A2。以下「本件規程」という。)が制定されている。本件規程には,以下の定めがある。
ア 政務調査費の交付を受けた議員は,政務調査費の支出について,会計帳簿を作成しその内訳を明確にするとともに,証拠書類等を整理保管し,これらの書類を当該政務調査費の収支報告書の提出期日の末日の翌日から起算して3年を経過する日まで保存しなければならない(7条)。
イ 議員に係る政務調査費については,本件規程4条及び別表第2(省略)により,使途基準が定められている。
議員に係る政務調査費の支出は,使途によって,「調査研究費」,「研修費」,「会議費」,「資料作成費」,「資料購入費」,「広報費」,「事務所費」,「事務費」及び「人件費」に分けられ,そのうち事務所費,事務費及び人件費の使途基準(以下「本件使途基準」という。)は,以下のとおりである。
(ア) 事務所費
議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費(事務所の賃借料,管理運営費等)
(イ) 事務費
議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費(事務用品・備品購入等,通信費等)
(ウ) 人件費
議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費(給料,手当,社会保険料,賃金等)
2  争いのない事実等
以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨より容易に認めることができる。
(1)  当事者等(争いがない)
ア 原告らは,和歌山県内に居住する住民である。
イ 被告は,普通地方公共団体である和歌山県の知事である。
ウ 本件議員らは,平成14年度から平成17年度までの間,いずれも和歌山県議会議員であった。
なお,A1議員は,平成21年11月8日に死亡し,その妻であるZ1(補助参加人Z1)と子であるA8及びA9(A1議員の相続人ら)が,それぞれ法定相続分に従い,相続した(甲キ3ないし6)。
(2)  政務調査費の受領と支出
ア 本件議員らは,平成14年度から平成17年度までの間に,地方自治法100条13項,本件条例4条の規定に基づき,和歌山県から,1人当たり月額24万円の政務調査費の交付を受けた(争いがない)。
イ 本件議員らは,平成14年度から平成17年度までの政務調査費のうち,原告らが本件訴訟で問題としている費目について,和歌山県議会議長に対し,別紙2(1)「政務調査費支出額一覧表(修正前)」記載の額を支出したと報告した,(甲ア1ないし3,イ1ないし3,ウ1,2,エ1ないし4,オ1ないし4,カ1ないし3,キ1,2,ク1ないし4,ケ1ないし5,コ1ないし3,サ1ないし4,シ1ないし4,ス1ないし4,ソ1ないし4,タ1,2,チ1ないし4,ツ1ないし3,テ1ないし4,ト1ないし4,ナ1,2,ニ1ないし3,ヌ1ないし4,ネ1ないし4,ノ1,2,ハ1,2,ヒ1ないし4,フ1ないし3,ヘ1ないし4,ホ1ないし3,マ1ないし3,ミ1ないし3,ム1ないし4,メ1,2,モ1ないし4,ヤ1ないし4,ユ1,2,ヨ1,2,ラ1ないし4,リ1ないし4,ル1ないし4,弁論の全趣旨)。
その後,本件議員らのうち,別紙2(2)「政務調査費支出額一覧表(修正後)」記載の「相手方」欄記載の者は,和歌山県議会議長に対し,同記載の額のとおり,修正報告した(甲A4,ケ6ないし9[枝番のあるものは枝番を含む。],甲ヤ5,弁論の全趣旨)。
(3)  住民監査請求等
ア 原告らは,平成19年5月18日,本件議員らが支出した平成14年度から平成17年度までの事務所費,事務費及び人件費の違法な支出があったとして,和歌山県監査委員に対し,住民監査請求をした(甲A1ないし3。以下「本件監査請求」という。)。
イ これに対し,和歌山県監査委員は,平成19年7月17日付けで,本件監査請求のうち,平成14年度ないし平成16年度の政務調査費の支出に係る部分を地方自治法242条2項本文の定める1年の監査請求期間(以下「法定監査請求期間」という。)経過後にされた不適法なものであるとして却下し,平成17年度の政務調査費の支出に係る部分を棄却するとの決定をし,原告らに対し,その旨を通知した(甲A3,弁論の全趣旨)。
ウ 原告らは,平成19年8月16日,本件訴訟を提起した。
3  争点
(1)  本件監査請求の適法性(本案前の争点)
(2)  政務調査費の支出の違法性
(3)  附帯請求の起算日
4  争点に対する当事者の主張
(1)  争点(1)(本件監査請求の適法性)
(被告又は被告補助参加人らの主張)
ア 本件監査請求のうち,平成14年度ないし平成16年度の政務調査費の支出に係る部分は,法定監査請求期間経過後にされた不適法な住民監査請求として却下されたから,本件訴えのうち同支出に係る部分は,適法な監査請求が前置されていない。
また,本件監査請求のうち,平成17年度の政務調査費の支出に係る部分も,同年度末である平成18年3月31日に行為が完了したので,遅くとも平成19年3月31日の経過をもって法定監査請求期間が経過した。そして,原告らが,相当の注意力(最高裁平成14年9月17日第三小法廷判決[集民207号111頁])をもって調査すれば,本件議員らの行為が終わった平成18年3月31日から法定監査請求期間に,住民監査請求をすることが十分に可能であったから,その徒過に正当な理由はない。したがって,本件訴えのうち同支出に係る部分も,適法な監査請求が前置されていない。
よって,適法な監査請求が前置されていない本件訴えは不適法であるから却下されるべきである。
イ なお,後記のとおり,原告らは,本件監査請求が,被告が本件議員らに対する不当利得返還請求権の行使を怠る事実を対象とするものであるから,法定監査請求期間の制限が適用されないと主張する。
しかし,本件では,本件議員らの支出行為の本件使途基準適合性が判断の対象となり,「特定の財務会計上の行為が違法であるとし,当該行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としているとき(原告らが指摘する最高裁判決)に当たる。
また,本件議員らの支出行為の本件使途基準適合性をいつまでも不確定の状態に置くことは望ましくない。
したがって,本件監査請求につき,法定監査請求期間の制限は適用される。
ウ なお,和歌山県監査委員が,本件監査請求のうち,平成17年度の政務調査費の支出に係る部分につき,誤って,法定監査請求期間の徒過に正当な理由があるとして,これを受理し,監査を行ったとしても,そのことによって,法定監査請求期間を徒過した本件監査請求のうちの上記部分,ひいては上記部分に係る本件訴えが適法となるものではない(最高裁昭和63年4月22日第二小法廷判決[集民154号57頁])。
(原告らの主張)
ア 財産の管理等を怠る事実については,法定監査請求期間の制限が適用されないところ,本件監査請求は,被告の本件議員らに対する不当利得返還請求権の行使を怠る事実を対象とするものである。
イ なお,例外的に,財産の管理等を怠る事実に係る監査請求が,特定の財務会計上の行為を違法であるとし,当該行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理等を怠る事実としているものであるときは,当該監査請求については,当該怠る事実に係る請求権の発生原因たる当該行為のあった日又は終わった日を基準として,法定監査請求期間の制限が適用される(最高裁昭和62年2月20日第二小法廷判決[民集41巻1号122頁])。
しかし,和歌山県の本件議員らに対する不当利得返還請求権の有無を判断するのに必要なのは,本件議員らが,平成14年度ないし平成17年度の政務調査費の違法な支出をしたことであり,本件請求は,上記の例外的な場合に当たらないので,法定監査請求期間の制限は適用されない。
したがって,本件監査請求は,適法である。
ウ そして,監査委員が適法な監査請求を不適法であるとして却下した場合,当該請求をした住民は直ちに住民訴訟を提起することができる(最高裁平成10年12月18日第三小法廷判決[民集52巻9号2039頁])から,本件訴えのうち,監査請求が却下された平成14年度ないし平成16年度の政務調査費の支出に係る部分も適法である。
(2)  争点(2)(政務調査費の支出の違法性)
(原告らの主張)
ア 主張立証責任等について
(ア) 政務調査費の使途の主張立証責任について
政務調査費に関する不当利得の返還については,返還請求をする側において,政務調査費の使途について相当な根拠をもって疑義が存することを主張立証した場合には,相手方において,合理的な疑いを容れない程度にその疑義を解消するに足る主張と反証を行う必要があり,それがなされない場合には,政務調査費の適法な支出がなされなかったものと推認されるというべきである(名古屋地裁平成19年3月22日判決[判例タイムズ1280号153頁]参照)。
そして,政務調査費の使途についての証拠は,本件議員らが保存すべきものとされていること(本件規程7条)からすれば,原告らとしては,政務調査費の支出が本件使途基準に適合したものとはいえないことを推認させる一般的,外形的事実を主張立証した場合には,被告及び被告補助参加人らにおいて,その推認を妨げるべく,本件使途基準に適合したものと認めるに足りる具体的な使途を明らかにする必要があるというべきである(仙台地裁平成19年4月27日判決[判例地方自治310号17頁]参照。甲A6)。
後記のとおり,原告らは,本件議員らの政務調査費の支出が本件使途基準に適合したものとはいえないことを推認させる一般的,外形的事実を主張立証し,政務調査費の使途について,相当な根拠をもって疑義が存することを主張立証した。これに対し,被告及び被告補助参加人らは,本件使途基準に適合したものと認めるに足りる具体的な使途を明らかにせず,合理的な疑いを容れない程度にその疑義を解消するに足る主張と反証をしない。したがって,本件議員らの政務調査費の支出は違法である。
(イ) 政務調査費の支出の違法性の立証等について
地方自治法に基づいて制定された本件条例及び本件規程が,本件使途基準を定めた上,政務調査費収支報告書の提出,会計帳簿の作成とその内訳の明確化や,証拠書類等の整理保管と保存を義務づけ,支出について議長の調査権を認めているのは,政務調査費が,議員の調査研究に資するため必要な経費に支出されることを担保し,それについての検証を可能かつ容易にし,透明性を確保する趣旨であるとともに,証拠書類等に基づく裏付けがあり,会計帳簿に計上された支出でなければ,適法な支出とは認めない趣旨である。このような趣旨からすれば,次のaないしdのとおりといえる。
a 本件規程7条に基づき,政務調査費の支出に伴って作成及び保存されるべき会計帳簿は,証拠書類等と一体になって,入出金発生の都度,「収入」,「支出」,及び「残高」が処理日付順に連続性を持って記載されたものである必要がある。このような会計帳簿及び証拠書類等によって,支出の内訳が明確にされない場合には,適法な支出とはいえない。
b 政務調査費収支報告書の提出後に,計上されていなかった経費を新たに計上し,又は既に計上されていた調査研究に資するため必要とはいえない経費と差し替えることは許されない。
c 実際の支出が,政務調査費収支報告書の記載内容と異なる場合や,調査研究に資するため必要な経費かどうかを確認できないような場合には,適法な支出とはいえない。
d 政務調査費収支報告書の記載内容自体や,政務調査費の支出に伴って作成及び保存されたものではない再現資料によっては,支出の適法性を立証することはできない。
(ウ) 本件条例,本件規程及びそれらの運用の違法性について
本件条例及び本件規程が,地方自治法2条14項(地方公共団体は,その事務を処理するに当たっては,住民の福祉の増進に努めるとともに,最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。)及び100条14項の委任の趣旨に反し,又はその範囲を超えて,政務調査費の支出を許容するものである場合には,本件条例及び本件規程は,違法無効である。
そして,本件使途基準は,議員の調査研究に資するため必要とはいえない経費に支出することを可能にする上,調査研究に資するため必要な経費に支出したと装うことを可能にするものであるから,違法,無効である。
また,「和歌山県政務調査費運用の手引き」(乙A3。以下「本件手引き」という。)のうち,事務所費につき,政務調査用事務所と後援会事務所との併用を認める定め,事務費につき,携帯電話の使用料に支出を認める定め,人件費につき,調査研究の従事とその他の業務の従事との併存を認める定め,及び議員の親族の雇用を認める定めは,いずれも違法,無効である。
イ 本件議員らの政務調査費の支出について
本件議員らは,平成14年度ないし平成17年度において,別紙1「政務調査費違法支出金一覧表」の「事務所費」,「事務費」,「人件費」欄記載の金員を政務調査費として支出した。
ウ 事務所費について
(ア) 事務所は,調査研究に必要がなく,その日常的設置は,他の目的に流用され,その経費は,環境整備費に当たるから,政務調査費の支出は許されない(乙A3)。
(イ) ①当該事務所が議員の政務調査用事務所として使用されているという実態がない場合,②その実態があるとしても,その経費について調査研究の従事時間で負担割合を按分していない場合,③当該事務所が政治団体等の他の事務所を兼ねているときに,その他の事務所から政務調査用事務所の分離独立性を確保するための外形が整えられていない場合,④その外形が整えられているとしても,それぞれの事務所の使用面積や使用頻度で負担割合を明確に按分していない場合には,政務調査費の支出は許されない。
(ウ) 本件議員らの事務所費の支出は,別紙3(1)「本件議員らの事務所費について」の原告らの主張欄記載のとおり,違法である。
エ 事務費について
(ア) 日常的に設置された事務所の事務機器や備品等を揃えるための経費は,環境整備費に当たるから,政務調査費の支出は許されない(乙A3)。
また,政務調査用事務所が政治団体等の他の事務所を兼ねているときに,その他の事務所から政務調査用事務所の分離独立性を確保するための外形が整えられていない場合には,政務調査費の支出は許されない。
(イ) 調査研究との関連性が明確でないものや,金額が社会通念に照らして著しく高額であるものについては,政務調査費の支出は許されない。
また,調査研究だけでなく,他の目的にも多く利用できる通信費は,調査研究に必要なものと他の目的に必要なものとを按分していない場合,又は按分している場合であっても,その按分率の根拠を示していない場合には,政務調査費の支出は許されない。
(ウ) 個々の費目については,以下のとおりである。
a 書籍代
書籍名,内容等から,議員の調査研究の目的,必要性,有効性が分かるものに限り,政務調査費の支出が許される。
b 写真に係る経費,送料,切手,はがきの購入費
政治団体等のためのものと区別して使用され,議員の調査研究に必要かつ相当であることが分かるものに限り,政務調査費の支出が許される。
c パソコンその他の機器に係る経費,用紙の購入費
他の目的にも多く利用できるから,政務調査費の支出は許されない。
d 新聞の購読費
一般紙については,個人家庭で購読するのが通常であり,議会や図書館等で保管している新聞や雑誌等については,それらを活用できるから,政務調査費の支出は原則として許されない。特殊な新聞について,議員の調査研究のための資料に限り,政務調査費の支出が許される。
e コピー代
議員の調査研究に必要かつ相当であることが分かるものに限り,政務調査費の支出が許される。
f 消耗品,文具,封筒等の購入費
他の目的にも多く利用できるから,万年筆,ボールペン,スタンプ等には,政務調査費の支出は許されない。
g 印刷費
不特定多数の県民に対して,大量に配布する議員広報活動や県政報告等は,そのほとんどが支持者拡大や再選等を目的とした政治活動のためのものであるから,政務調査費の支出は許されない。
h 飲料,茶菓子等の購入費
政務調査費の支出は許されない。
i ガソリン代
当該車両の使用実態から,議員の調査研究に必要かつ相当であることが分かるものに限り,政務調査費の支出が許される。
j 通信費
他の目的にも多く利用できるから,議員の調査研究に必要かつ相当であることが分かるものに限り,政務調査費の支出が許される。
k ホームページ作成,維持費
ほとんどが政治活動のためのものであるから,政務調査費の支出は許されない。
l カメラ,什器,事務品の購入費
他の目的にも多く利用できるから,政務調査費の支出は許されない。
m 広報費,県政報告に関する経費
ほとんどが政治活動のためのものであるから,政務調査費の支出は許されない。
(エ) 本件議員らの事務費の支出は,別紙3(2)「本件議員らの事務費について」の原告らの主張欄記載のとおり,違法である。
オ 人件費について
(ア) 日常的に設置された事務所で雇用する事務員の人件費は,環境整備費に当たり,他の目的(私用,選挙等)にも多く利用できるから,政務調査費の支出は許されない(乙A3)。
また,政務調査用事務所が政治団体等の他の事務所を兼ねているときに,その他の事務所から政務調査用事務所の分離独立性を確保するための外形が整えられていない場合には,政務調査費の支出は許されない。
(イ) ①親族を雇用するときに,その雇用を必要とする特別の事情が明らかでない場合,②調査研究に必要なものと他の活動に必要なものとを按分していない場合,又は按分している場合であったとしてもその按分率の根拠を示していない場合には,政務調査費の支出は許されない。
(ウ) 本件議員らの人件費の支出は,別紙3(3)「本件議員らの人件費について」の原告らの主張欄記載のとおり,違法である。
(被告又は被告補助参加人らの主張)
ア 主張立証責任等について
(ア) 公開された政務調査費収支報告書に基づき,本件議員らの政務調査費の支出が本件使途基準に適合したものとはいえないことを主張立証することは困難ではないから,原告らは,少なくとも,本件議員らの政務調査費の支出が本件使途基準に適合したことに合理的な疑いを容れる事由を具体的に主張立証しなければならず,原告らがそうして初めて,被告に反証を行う必要が生じる。そして,原告らは,本件議員らの政務調査費の支出が本件使途基準に適合したことに合理的な疑いを容れる事由を具体的に主張立証していない。
なお,本件議員らが個別明細等を明らかにしていないことをもって,政務調査費が本件使途基準に適合したものといえないわけではない。
(イ) 原告らは,政務調査費収支報告書の提出後に,計上されていなかった経費を新たに計上し,又は既に計上されていた調査研究に資するため必要といえない経費と差し替えて計上することは許されないと主張する((原告らの主張)ア(イ)b)が,不当利得かどうかという問題においては,政務調査費収支報告書に記載されていなかった経費であっても,当該経費が調査研究に資するため必要なものと認められるときには,適法な支出といえる(乙A5,6)。
また,原告らは,政務調査費の支出に伴って作成及び保存されたものではない再現資料によっては,支出の適法性を立証することはできないなどと主張する((原告らの主張)ア(イ)d)が,議員に会計帳簿の作成を義務づけている本件規程7条は,支出の適法性を立証する方法を制限するものではないから,再現資料等によって,調査研究に資するため必要な経費に支出されたと認められるときには,適法な支出といえる。
イ 本件議員らの政務調査費の支出について
政務調査費収支報告書の一部修正報告(上記2(2)イ)により,①A5議員は,平成17年度の事務所費及び事務費を支出しておらず,②A33議員は,平成17年度の人件費を支出しておらず,③A34議員は,平成17年度の事務所費を24万0278円しか支出しておらず,④A36議員は,平成17年度の事務所費を30万円しか支出していないから,これらの点を考慮すべきである。
ウ 事務所費について
別紙3(1)「本件議員らの事務所費について」の被告又は被告補助参加人らの主張欄記載のとおり,本件議員らの政務調査費の支出は適法である。
エ 事務費について
別紙3(2)「本件議員らの事務費について」の被告又は被告補助参加人らの主張欄記載のとおり,本件議員らの政務調査費の支出は適法である。
オ 人件費について
別紙3(3)「本件議員らの人件費について」の被告又は被告補助参加人らの主張欄記載のとおり,本件議員らの政務調査費の支出は適法である。
カ なお,議会活動の活性化や議員の審議能力を高めるためには,広く有用な調査研究が日常的に必要であるから,原告らの主張のように「調査研究」を狭く解するべきではない。
(3)  争点(3)(附帯請求の起算日)
(原告らの主張)
本件条例には,交付を受けた政務調査費に残余がある場合の返還時期について明確に定めた規定はないが,収支報告書の提出時点で残余の額も確定するので,議員が確定した残余をなお保持しておくべき合理的理由はない。したがって,政務調査費の支出が違法であることを理由とする返還請求における附帯請求の起算日は,政務調査費の交付を受けた年度に係る収支報告書の提出期限の翌日というべきである。
(被告又は被告補助参加人らの主張)
否認ないし争う。
和歌山県では,政務調査費の返還手続につき,特に定めていないから,附帯請求の起算日を論じる必要はない。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(本件監査請求の適法性)について
(1)  地方自治法242条2項本文は,財務会計上の行為について,当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは監査請求をすることができない旨規定するが,財産の管理等を怠る事実については,このような期間制限は規定されていないから,怠る事実に係る監査請求には,原則として,上記規定は適用されないと解される(最高裁昭和53年6月23日第三小法廷判決[集民124号145頁]参照)。もっとも,例外的に,怠る事実に係る監査請求が,特定の財務会計上の行為を違法であるとし,当該行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって怠る事実としているものであるときは,当該監査請求については,当該行為のあった日又は終わった日を基準として上記規定を適用すべきものと解するのが相当である(最高裁昭和62年2月20日第二小法廷判決[民集41巻1号122頁]参照)。
(2)  ところで,本件条例(上記第2の1(2))によれば,和歌山県における政務調査費の交付,使用及び返還の仕組みは,以下のとおりである。
すなわち,知事による政務調査費の交付の決定の通知を受けた議員が,知事に政務調査費の交付を請求し(8条1項本文),知事は定額の政務調査費を交付する(8条3項)。政務調査費の交付を受けた議員は,本件使途基準に従ってこれを使用し(10条),毎年,政務調査費に係る収支報告書を議長に提出する(11条1項)。そして,議長は,政務調査費の適正な運用を期するため,必要に応じ調査を行い,知事は,残余がある場合には,その返還を命ずる(9条4項,12条)。
(3)  上記(2)のような政務調査費の交付,使用及び返還の仕組みからすれば,どの支出に政務調査費が充当され,それが本件使途基準に適合したものか否かは,政務調査費の交付の時点では明らかではなく,本件議員らが収支報告書を和歌山県議会議長に提出した時点で最終的に確定するものと解される。
そして,本件監査請求の対象は,和歌山県の本件議員らに対して有する政務調査費の返還請求権の行使を怠る事実であるところ,本件監査請求は,地方自治法100条13項が定める政務調査費の交付という財務会計上の行為の違法,無効から返還請求権が発生したと主張するものではなく,本件議員らの使用の違法,無効から返還請求権が発生したと主張するものであり,これらは財務会計上の行為ではない。
そうすると,本件監査請求は,特定の財務会計上の行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって怠る事実とするものにも当たらない。
したがって,本件監査請求には,地方自治法242条2項は適用されないから,監査請求期間を徒過した違法はなく,本件訴えは適法である。
(4)  監査委員が適法な監査請求を不適法であるとして却下した場合,当該請求をした住民は,直ちに住民訴訟を提起することができると解される(最高裁平成10年12月18日第三小法廷判決[民集52巻9号2039頁]参照)。
本件監査請求のうち平成14年度ないし平成16年度に係る部分は,和歌山県監査委員によって却下されたが(上記第2の2(3)イ),上記(3)のとおり,適法であったから,本件訴えは適法である。
2  争点(2)(政務調査費の支出の違法性)に対する判断1(判断基準と立証責任について)
(1)  政務調査費は,地方公共団体が,地方自治法100条13項に基づき,地方議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として交付するものであるから,政務調査費が調査研究に資するため必要な経費に支出されなかった場合,当該支出をした議員は,当該支出額に相当する利益を法律上の原因なく得たことになる。
そして,和歌山県においては,同条項の規定を受けて,本件条例が制定され,本件条例を受けて,本件規程が制定されているところ,本件規程で定められた本件使途基準は,使途によって,政務調査費の支出を「調査研究費」,「研修費」,「会議費」,「資料作成費」,「資料購入費」,「広報費」,「事務所費」,「事務費」,「人件費」と詳細に分けた上で,それぞれの内容の説明をし,支出が許されるものを例示しており(上記第2の1(3)イ),政務調査費の使途の合理的な基準を定めたものといえるから,政務調査費の交付を定める地方自治法の趣旨に反するものではない。
この点,原告らは,本件条例,本件使途基準を含む本件規程が地方自治法2条14項及び100条13項の委任の趣旨に反し,又はその範囲を超えて違法無効であるなどと主張する。しかし,地方自治法は,議員の調査研究に資するため必要な経費の一部である政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は条例で定めなければならない(上記第2の1(1)ア)としており,議員の調査研究に資するため必要な経費の範囲内で具体的な使途基準をどのように定めるかについては,地方議会の自律的な判断に委ねていると解される。そして,地方自治における地方議会の役割の重要性にかんがみ,議会の審議能力を強化し,議員の政務調査活動の充実を図るという政務調査費交付制度の趣旨からすれば,本件使途基準が,多岐にわたる政務調査活動に係る政務調査費の使途について,議員の合理的な裁量判断の余地を認めていることは相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
したがって,政務調査費が調査研究に資するため必要な経費に支出されたかどうかは,当該支出が本件使途基準に適合しているかどうかによって判断すべきである。
ただし,ある支出が調査研究のためでもあるし,他の目的のためでもあるという場合には,その全額に政務調査費を支出すべきではないから,社会通念上相当な割合によって按分した額に政務調査費を支出できると解するのが相当である。
(2)  地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求を行うには,「違法な怠る事実」を原告らが立証しなければならない。本件では,「違法な怠る事実」があるというためには,和歌山県が本件議員らに対し,不当利得返還請求権を有していることが必要であるところ,不当利得返還請求権の要件である「法律上の原因がないこと」については,上記返還請求権があることを主張する者に立証責任があると解される(最高裁昭和59年12月21日第二小法廷判決[集民143号503頁]参照)。
したがって,原告らには,「本件議員らによって本件使途基準に適合した政務調査費の支出がなされなかったこと」についての立証責任があるというべきである。
もっとも,立証の程度が当事者双方の立証活動によって定まることは当然であり,立証責任を負う者が相当程度の立証を行い,さらなる証拠提出を期待することが困難な事情があるのに,相手方が容易になしうる反証を行わないような場合には,証明されたと認められる場合もありうるというべきである。
この点,政務調査費の具体的な使途に関する証拠の大部分を被告又は本件議員らが保有している一方で,原告らが本件議員らの内部事情を知りうる立場にないという事情があるから,原告らの立証が本件使途基準に適合した政務調査費の支出がなされなかったことを一応推認させる程度に達しており,被告及び被告補助参加人らが十分な反証を行わないような場合には,当該政務調査費の支出は本件使途基準に適合したものといえないことが証明されたと認めるべきである。
ただし,政治活動の自由の性質にかんがみれば,政務調査費の支出については,議員の合理的判断に委ねられているというべきであるから,上記の「本件使途基準に適合した政務調査費の支出がなされなかったことを一応推認させる程度」という立証の程度をあまりに低くすることは相当ではなく,一応推認される程度の事実を具体的に立証しない限り,被告及び被告補助参加人らの反証がなかったとしても,証明されたとは認められないというべきである。
そこで,以下,3において,本件議員らのうち多数の者に共通する当事者の主張について判断した上で,4において,上記の観点から,本件議員らそれぞれについて具体的に検討する。なお,金額の計算において,1円未満は四捨五入するものとする。
3  争点(2)(政務調査費の支出の違法性)に対する判断2(本件議員らのうち多数の者に共通する主張について)
(1)  原告らの主張について
ア 政務調査費の支出の順序について
原告らは,本件議員らが,発生した経費に政務調査費を順次支出し,上限額である1人当たり年額288万円を超えたときは,超えた経費について,政務調査費の支出は許されないなどと主張する。
しかし,政務調査費は,調査研究に資するため必要な経費の一部として,一定期間分が交付されるものである(上記第2の1(2)ア,ウ,カ,キ)。そうすると,議員が調査研究に政務調査費の上限額を超える経費を支出することが許されないわけではなく,上限額を超える経費は議員の自己負担となるにすぎない。また,調査研究に資するため必要な経費のうち,どれに政務調査費を支出するかは,経費発生の順序に拘束されるものではなく,議員の合理的な裁量判断に委ねられているというべきである。
したがって,原告らの上記主張は採用できない。
イ 来客用でない駐車場について
原告らは,政務調査用事務所の駐車場使用料のうち来客用でない部分に政務調査費を支出することは許されないと主張する。
しかし,駐車場のうち来客用でない部分に係る使用料も,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として,社会通念上相当なものといえる。
したがって,原告らの上記主張は採用できない。
ウ 長期間の月払に支出するべき政務調査費について
原告らは,各年4月以降に支払った固定電話使用料,携帯電話使用料,インターネット使用料が各年3月の使用分である場合には,翌年度の政務調査費を支出することは許されないと主張する。
しかし,上記支払がいずれも継続的契約に基づく使用料の支払であることからすれば,使用月ではなく,請求月,すなわち支払月を基準に各年度の政務調査費を支出することが不合理とはいえない。
したがって,原告らの上記主張は採用できない。
エ 電話等の基本料金について
原告らは,調査研究以外に利用された電話等の基本料金に政務調査費を支出することは許されないなどと主張する。
確かに,本件手引き(乙A3。4枚目)も,その旨を定めている。しかし,調査研究に使用される電話等であれば,その基本料金にも政務調査費を支出するのが合理的である。また,本件手引きは,経費の支出が本件使途基準に適合しているかどうかの指針を示したものにすぎず,直接政務調査費の支出に係る違法性の判断基準になると解することはできない。
したがって,原告らの上記主張は採用できない。
オ 自宅の電話等について
原告らは,政務調査用事務所が,本件議員らの自宅に設置されていた場合,自宅の固定電話,ファックス,インターネット,パソコン,プリンターが,専ら私的に利用されたと主張する。
しかし,本件議員らの自宅の固定電話等の使用内容に,調査研究に関するものが含まれていなかったとは認められない。
したがって,原告らの上記主張は採用できない。
カ 携帯電話について
原告らは,携帯電話は,社会通念上,その大半が調査研究以外の活動に使用されたといえるし,携帯電話は調査研究に使用する必要はないなどと主張する。
しかし,携帯電話は,平成14年から平成17年当時の普及の程度を考慮すれば,本件議員らが行う調査研究に使用する必要がなかったとは認められず,その使用料は,調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当なものといえるから,原告らの上記主張は採用できない。
キ 事務用品・備品について
原告らは,コピー機代(複写機代,輪転機代,リース料を含む。),電話機代,ファックス機代,パソコン代,プリンター代,日常的に利用可能なインターネット代が,調査研究に直接必要なものではない,政務調査費の支出が許されない環境整備費(乙A3。4枚目)であるなどと主張する。
しかし,上記機器は,平成14年から平成17年当時の普及の程度を考慮すれば,本件議員らが行う調査研究に使用する必要がなかったとは認められず,その使用料は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当なものといえるから,原告らの上記主張は採用できない。
なお,原告らは,カメラは私的に利用できるし,自宅のカメラを代用すれば足りると主張するが,政務調査用事務所用カメラの購入は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として,社会通念上相当なものといえるから,原告らの上記主張は採用できない。
ク 親族の雇用について
原告らは,議員の親族の仕事内容は電話番程度であるなどと主張するが,具体的根拠がないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,議員の親族を雇用する場合,特別の事情や必要性がなければならないなどと主張する。
しかし,原告らが指摘するお手盛りの危険や検証の困難さは,議員の親族を雇用する場合に限らず生じる問題である。また,そのような疑いを生じさせないことが望ましいとはいえるが,被雇用者の選択は,議員の合理的な裁量判断に委ねられているというべきである。
したがって,原告らの上記主張は採用できない。
ケ 人件費に係る行政手続の不履行について
原告らは,本件議員らの被用者のうち,その年収が103万円を超えている者につき,所得税を支払う必要があるのに,その所得に係る支払者と金額を税務申告書の写しや源泉徴収票等によって確認できないから,その雇用の事実がなかったなどと主張する。
しかし,行政手続の不履行をもって,勤務実態がなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
コ 人件費に係る賃金支払日について
原告らは,人件費に関し,賃金支払日が休日の場合には,賃金支払の事実はなかったなどと主張する。
しかし,会計上の処理日の休日平日の別をもって,勤務実態や賃金支払の事実がなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
(2)  被告の主張について
被告は,政務調査費収支報告書に記載した支出以外に政務調査費の支出が許される経費があったから,不当利得はないなどと主張する。
しかし,本件議員らが不当利得を問われているのは,調査研究に資するため必要とはいえない経費に政務調査費を支出したことであって,上限額に満つる政務調査費の支出が許される経費が存在したことではない。
したがって,被告の上記主張は採用できない。
4  争点(2)(政務調査費の支出の違法性)に対する判断3(本件議員らそれぞれについて)
(1)  A2議員(以下「A2議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A2議員の政務調査用事務所(未登記で,土地の登記簿上の所在は,和歌山県有田市〈以下省略〉。ただし,下記自宅の住居表示である同市〈以下省略〉と届出されていた。)は,自宅(登記簿上の所在は,同市〈以下省略〉。住居表示は,同市〈以下省略〉)とは別の場所に,株式会社g,後援会及び「a党a1支部」と併設されていた(甲ア4,5,7の1・2,8,乙Bア1,2,4,Eア1)。
この点,A2議員は,後援会及び「a党a1支部」は自宅に設置されており,「a党a1支部」の活動実態はなかった,政務調査用事務所に「A2後援会事務所」と表示しているのは,「政務調査事務所」という名称が一般には理解されないからであって,実際に行っていたのは政務調査活動であると陳述する(乙Eア1)。しかし,後援会及び「a党a1支部」は,政務調査用事務所と同じ住所(同市〈以下省略〉)で届出され,上記政務調査用事務所の建物には,後援会の看板が設置され,a党の国会議員のポスターが貼られていた(甲ア4,5,7の1・2,8)。したがって,A2議員の上記陳述は,信用できない。
他方,原告らは,上記政務調査用事務所の建物に政務調査用事務所の表示がなかったから,政務調査用事務所は存在しなかったなどと主張する。しかし,政務調査用事務所の表示がなかったからといって,政務調査用事務所が存在しなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,政務調査用事務所にA2議員の後援団体とされる「d1会」の看板が設置されていたから(甲ア7の1・2,8),上記団体の経費に政務調査費が支出されたなどと主張するが,上記団体の実態等を認める証拠はないから,採用できない。
イ 事務所費について
A2議員は,株式会社gから,同社所有の建物1階部分を,平成15年5月1日から平成17年4月30日までの間,政務調査用事務所として,賃料月額3万円で賃借したところ,同建物には,株式会社gの事務所も設置されていた(甲ア7の1・2,8,乙Bア1,2,4,Eア1,弁論の全趣旨)。
株式会社gの役員は,A2議員が代表取締役,その妻であるB1及びその子であるB2が取締役,A2議員の母であるB3が監査役であったから(甲ア6,乙Bア3),A2議員が株式会社gに対して支払った政務調査用事務所の賃料は,実質的にA2議員の利益になっていたといえる。
そして,議員の利益となる賃料は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費とは認められないから,A2議員が株式会社gに対する賃料に政務調査費を支出したことは違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A2議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費,固定電話使用料については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,自宅の固定電話使用料については,私的以外に,調査研究にも利用されていたと認められるから(乙Eア1),社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,株式会社g,後援会及び「a党a1支部」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A2議員は,携帯電話をほとんど調査研究のために使用したと陳述するが(乙Eア1),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費について
A2議員は,平成16年12月28日に「有限会社ミカサ事務機」に対して事務用品代472円,同日にオープンラック代3980円及びファイルスタンド代696円,平成17年2月3日にコピー用紙代414円及び事務用封筒代248円,平成16年度中に平成17年版和歌山県民手帳3冊代1800円の合計7610円を支払った(乙Cア3ないし6,弁論の全趣旨)。
しかし,上記支払のうち,和歌山県民手帳代について,同じものを3冊も購入することが,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要するとは認められないから,そのうち2冊分1200円に政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A2議員が,事務用品・備品購入費につき,平成16年度に1603円(≒[7610円-1200円]×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 固定電話使用料について
a 政務調査用事務所の固定電話使用料について
A2議員は,政務調査用事務所の固定電話(①0737-〈省略〉,②0737-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の①6万1362円及び②7万6198円の合計13万7560円,平成17年4月分ないし平成18年3月分の①5万0491円及び②8万4801円の合計13万5292円を支払った(上記ア,乙Cア7ないし10,Eア1)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A2議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に3万4390円(=13万7560円×1/4),平成17年度に3万3823円(=13万5292円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A2議員は,政務調査用事務所の建物は,1階が政務調査用事務所,2階が株式会社gであったところ,政務調査用事務所に設置された固定電話の子機が株式会社gの事務所にあり,株式会社gの事務所に設置された固定電話の子機が政務調査用事務所にあったため,政務調査用事務所に設置された固定電話の使用料の80%と,株式会社gに設置された固定電話の使用料の20%に政務調査費を支出したと陳述する(乙Eア1)。しかし,上記アのとおり,政務調査用事務所は株式会社gと併設されており,A2議員が陳述する按分割合に裏付けはないから,A2議員の上記陳述は信用できない。
他方,原告らは,政務調査用事務所の建物の2階に設置された固定電話のみが同建物の外壁に表示されて,株式会社gの代表電話番号とされており(甲ア8),同建物の1階と2階の業務内容は区別されていなかったから,同建物の固定電話はすべて株式会社gが使用したと主張する。しかし,上記アのとおり,政務調査用事務所と株式会社gが併設されており,同建物内の固定電話が調査研究に使用されなかったとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,A2議員が,株式会社gの固定電話使用料に政務調査費を支出したなどと主張する。しかし,上記アのとおり,A2議員の政務調査用事務所は,株式会社gと併設されており,A2議員が株式会社gの代表取締役であったことからすれば,政務調査用事務所及びA2議員の自宅の固定電話使用料が株式会社g名義で支払われていた(乙Cア7,8,11,12)からといって,それらすべてが株式会社gの固定電話使用料であったとはいえないから,原告らの上記主張は採用できない。
b A2議員の自宅の固定電話使用料について
A2議員は,自宅の固定電話(0737-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計6万1600円,平成17年4月分ないし平成18年3月分の合計5万7531円を支払った(乙Cア11,12,Eア1)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A2議員が,自宅の固定電話使用料につき,平成16年度に3万0800円(=6万1600円×1/2),平成17年度に2万8766円(≒5万7531円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出したことは違法である。
この点,原告らは,A2議員の政務調査用事務所が,自宅とは別の場所に設置されていたし,夜間に自宅への来客があったとしても,後援会活動又は株式会社gの事業活動に関する相談であるから,自宅の固定電話は,専ら私的に利用されたと主張する。しかし,A2議員が使用した自宅の固定電話の内容に,議員として行う調査研究に関するものが含まれていなかったと断定できるだけの証拠はないから,原告らの上記主張は採用できない。
(エ) 携帯電話使用料について
A2議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計11万5452円,平成17年4月分ないし平成18年3月分の合計11万6790円を支払った(乙Cア13ないし15)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A2議員が,携帯電話使用料につき,平成16年度に2万3090円(≒11万5452円×1/5),平成17年度に2万3358円(=11万6790円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
下記(イ)のB4の人件費については,同人が上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,下記(イ)のB1の人件費については,同人が株式会社gから,役員報酬として年額60万円の交付を受けていたこと(乙Bア3,弁論の全趣旨)も考慮し,下記(イ)の賃金額に年額60万円を加えた上で,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法とするのが相当である。
(イ) 人件費の支出等について
a A2議員は,平成15年5月から,勤務場所を和歌山県「有田市〈以下省略〉」,業務内容を政務調査補助,賃金を月額8万円として,A2議員の兄の妻であるB4を雇用し,同人に対し,平成15年5月分ないし平成18年3月分の賃金として月額8万円を支払った(乙Dア1,Eア1,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,B4の人件費につき,平成15年度(同年4月を除く。)に22万円(=8万円×11か月×1/4),平成16年度及び平成17年度に各24万円(=8万円×12か月×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
b A2議員は,平成15年5月から,勤務場所を和歌山県「有田市〈以下省略〉」,業務内容を政務調査補助,賃金を月額3万円として,A2議員の妻であるB1を雇用し,同人に対し,平成15年5月分ないし平成18年3月分の賃金として月額3万円を支払った(乙Dア2,Eア1)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,B1の人件費につき,平成15年度(同年4月を除く。)に22万円(=[3万円×11か月+60万円×11か月/12か月]×1/4),平成16年度及び平成17年度に各24万円(=[3万円×12か月+60万円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
オ まとめ
(ア) A2議員は,事務所費として,平成15年度(同年4月を除く。)に33万円,平成16年度及び平成17年度に各36万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),これらの支出はいずれも違法である。
(イ) A2議員は,事務費として,平成16年度に17万9846円,平成17年度に5万6518円の政務調査費を支出した(別紙1)。そのうち,平成16年度に支出許容額合計8万9883円(=1603円+3万4390円+3万0800円+2万3090円)を超える8万9963円を支出した部分は違法であるが,平成17年度については,支出許容額合計8万5947円(=3万3823円+2万8766円+2万3358円)を超える違法支出はない。
(ウ) A2議員は,人件費として,平成15年度(同年4月を除く。)に121万円,平成16年度及び平成17年度に各132万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計44万円(=22万円+22万円)を超える77万円,平成16年度及び平成17年度に支出許容額各合計48万円(24万円+24万円)を超える各84万円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A2議員に対し,平成15年度(同年4月を除く。)分合計110万円(=33万円+77万円),平成16年度分合計128万9963円(=36万円+8万9963円+84万円)及び平成17年度分合計120万円(36万円+84万円)の総合計358万9963円の不当利得の返還を請求するべきである。
(2)  A3議員(以下「A3議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A3議員の政務調査用事務所は,当時の自宅(和歌山県紀の川市〈以下省略〉所在のアパートの103号室)とは別のA3議員の父が所有する一戸建て平屋(同市〈以下省略〉)に設置されていた(乙Eイ1)。
なお,A3議員の後援会及び政治団体「d2会」は,自宅に設置されていた(甲A5の3,乙Eイ1)。
この点,原告らは,後援会及び「d2会」が政務調査用事務所に併設されていたなどと主張する。しかし,その主張は,これを裏付ける証拠がないから,採用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A3議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費については,上記アのとおり他の目的のものが併設されていなかった事務所で使用されたから,按分して政務調査費を支出する必要は認められない。
また,自宅の固定電話使用料については,私的以外に,調査研究にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,携帯電話使用料及びデジタルカメラ代については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会及び「d2会」の各活動や,私的にも使用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A3議員は,政務調査用の携帯電話以外に,私的に利用するための携帯電話を契約していたから,政務調査用の携帯電話は調査研究以外に使用しなかったと陳述するが(乙Eイ1),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) テプラ代について
A3議員は,テプラ(ラベルプリンター。4E4020607)を購入したと認められるところ(乙Cイ4),テプラ代は4万円と認められる(乙Eイ1)。
上記テプラの購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,その支出は適法である。
(ウ) 固定電話使用料について
A3議員は,固定電話(0736-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計6万1315円,平成17年4月分ないし平成18年3月分の合計5万4356円を支払った(乙Cイ1の1ないし3)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A3議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に3万0658円(≒6万1315円×1/2),平成17年度に2万7178円(=5万4356円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 携帯電話使用料について
A3議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計18万0581円,平成17年4月分ないし平成18年3月分の合計21万4179円を支払った(乙Cイ2の1ないし3)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A3議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に4万5145円(≒18万0581円×1/4),平成17年度に5万3545円(≒21万4179円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) デジタルカメラ代について
A3議員は,デジタルカメラ(K835FCM1PKC)を購入したと認められるところ(乙Cイ3),デジタルカメラ代は4万7000円と認められる(乙Eイ1)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A3議員が,平成17年度のデジタルカメラ代につき,1万1750円(=4万7000円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(カ) その他の主張について
A3議員は,上記以外にも,プリンター,文具,用紙,事務所の光熱費及び水道費等で月額2万4000円を下らない経費があったところ,A3議員が平成19年4月の和歌山県議会議員選挙に落選した後,転居に際して政務調査費に係る資料のすべてを廃棄したため,証拠書類等が残っていないなどと陳述する(乙Eイ1)。しかし,A3議員は,上記第2の1(3)アのとおり,少なくとも政務調査費の収支報告書の提出期間の末日の翌日から起算して3年を経過するまで証拠書類等を保存しなければならなかったところ,上記陳述の裏付けはないから,信用できない。
ウ 人件費について
A3議員は,平成15年5月1日から平成18年3月31日までの間,賃金を月額8万円として,B5を雇用し,同人に対し,平成15年5月分ないし平成18年3月分の賃金として月額8万円を支払った(乙Dイ1,弁論の全趣旨)。
したがって,A3議員が,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円(=8万円×11か月),平成16年度及び平成17年度に各96万円(=8万円×12か月)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
なお,A3議員は,平成16年度において,B5に支払った賃金2か月分の夏及び冬のボーナスは,政務調査費ではなく,A3議員個人の資産から支出したと陳述しているところ(乙Eイ1),この点は上記判断を左右するものではない。
エ まとめ
(ア) A3議員は,事務費として,平成16年度に59万8219円,平成17年度に53万3962円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計11万5803円(=4万円+3万0658円+4万5145円)を超える48万2416円,平成17年度に支出許容額合計9万2473円(=2万7178円+5万3545円+1万1750円)を超える44万1489円を支出した部分は違法である。
(イ) A3議員は,人件費として,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度に112万円,平成17年度に96万円の政務調査費を支出した(別紙1)。そのうち,平成15年度(同年4月を除く)については,支出許容額合計88万円を超える違法支出はない。平成16年度については,支出許容額合計96万円を超える16万円を支出した部分は違法である。平成17年度については,支出許容額合計96万円を超える違法支出はない。
(ウ) よって,被告は,A3議員に対し,平成16年度分合計64万2410円(=48万2416円+16万円)及び平成17年度分44万1489円の総合計108万3905円の不当利得の返還を請求するべきである。
(3)  A4議員(以下「A4議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
平成16年10月に設置されたA4議員の政務調査用事務所(和歌山県紀の川市〈以下省略〉)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会及び「a党a2支部」と併設されていたところ(甲A5の2・3,乙Bウ11,14,Eウ3),その前後で事務所の設置状況が変化したという事情は認められないから,同年9月以前も,政務調査用事務所の設置状況は同じであったと認められる。
この点,A4議員は,「a党a2支部」が,看板やポスターを作成する程度で,年額5万円程度の予算規模しかなく,活動実績がほとんどなかったと陳述するが(乙Eウ3),その裏付けはないから,信用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A4議員の政務調査用事務所の敷地賃料,建物リース料等及びクーラー修理費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるところ,A4議員は,後援会の「光熱水費」及び「事務所費」としても,平成16年に合計143万7159円,平成17年に合計285万6739円を支出した(甲ウ3,4)。
したがって,後述する敷地賃料,建物リース料等及びクーラー修理費に,後援会の上記「光熱水費」及び「事務所費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
この点,A4議員は,上記クーラーは政務調査用事務所分のクーラーであるから,按分は必要ではないなどと陳述するが(乙Eウ3),その裏付けはないし,上記建物内は,実質的に一室であったとみることができるから(乙Bウ11),信用できない。
(イ) 事務所費の支出等について
a 政務調査用事務所の敷地賃料について
A4議員は,平成16年9月,B6から,賃料月額12万円で政務調査用事務所の敷地を賃借し,同人に対し,同月分の賃料12万円を支払った(乙Bウ2,5,Eウ3)。
また,A4議員は,平成16年10月から平成18年3月までの間,B7から,政務調査用事務所の敷地を賃借し,同人に対し,平成16年10月分ないし平成17年3月分の賃料として28万円,平成17年4月分ないし平成18年3月分の賃料として48万円を支払った(乙Bウ1,3,4,Eウ3)。
この点,原告らは,平成16年10月分ないし平成17年3月分の賃料が月額4万円であれば,同期間の賃料の合計は24万円となるはずであるし,整地,建設及び駐車場用の土地使用による増額分4万円は,政務調査費の支出が許されない環境整備費であるなどと主張する。しかし,上記費用は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるし,賃貸借契約における賃料額は契約当事者間の合意により決定されるものであり,上記賃料額が不相当に高額であるともいえないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,平成16年10月以降に政務調査用事務所の敷地を賃借し,同敷地上の建物を所有していたのは後援会であったから,そのような敷地賃料に政務調査費を支出することは許されないなどと主張する。しかし,後記bのとおり,後援会が政務調査用事務所の建物を所有していたとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
b 建物リース料等について
A4議員は,サカイハウス株式会社から,建物をリースし,後援会は,平成16年10月14日,同社に対し,同月から32か月分のリース料等68万7500円を支払ったところ,A4議員は,後援会に対し,政務調査用事務所の負担分として,平成16年10月1日に6か月分の6万円,平成17年4月12日に12か月分の12万円を政務調査費から支払った(乙Bウ1,2,6,7,9,10,Eウ3)。
この点,原告らは,上記建物が後援会所有の新築建物であるなどと主張する。確かに,サカイハウス株式会社発行の御見積書(乙Bウ9)には,「仮設事務所新築工事」との記載がある。しかし,期間が「8/26(木)より2年8ヶ月(980日)」,「追加延長の場合は1日当り/420円です。」と記載されていることからすれば,上記建物はリース建物であったと認められるから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,後援会の平成16年分及び平成17年分の収支報告書(甲ウ3,4)には,収入として建物リース料が計上されていないから,建物リース料の受領の事実がなかったなどと主張する。しかし,上記リース料の領収証(乙Bウ6,7)が虚偽であるとは認められないし,会計手続が履行されていなかったからといって,リース料の支払の実体がなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
c クーラー修理費について
A4議員は,平成17年7月10日,「植田設備」に対し,クーラー修理費1万1400円を支払った(乙Bウ1,8,Eウ3)。
この点,原告らは,クーラー修理費が政務調査費の支出が許されない環境整備費であると主張する。しかし,クーラー修理費は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
d まとめ
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき143万7159円を加えた上で3分の1,平成17年度につき285万6739円を加えた上で3分の1)のとおり,A4議員が,上記事務所費につき,平成16年度に65万5355円(≒[12万円+28万円+〔68万7500円×6か月/32か月〕+143万7159円]×1/3),平成17年度に120万1984円(≒[48万円+〔68万7500円×12か月/32か月〕+1万1400円+285万6739円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A4議員の政務調査用事務所の事務費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,A4議員は,後援会の「備品・消耗品費」としても,平成16年に323万4029円を支出した(甲ウ3)。
したがって,後述する事務費に,後援会の上記「備品・消耗品費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
(イ) 平成16年度の事務費について
A4議員は,事務費の40%として,平成16年9月10日のパソコン設置代4万1105円及び「文具打田書店」に対する3万3128円,同月12日の事務用品代7590円,同月15日の倉庫建替え諸経費1万7164円及び1万2100円,同月17日の事務用品代1万5980円,368円及び2100円並びに鍵作成費682円,同年10月1日の郵送料1万8000円,同月12日の文具代3万1500円,同月30日の事務用品代4897円,同年12月4日の講演会会場代2万0750円,同月15日の印鑑代855円,同月16日の電話料金4万7181円,平成17年1月11日の事務椅子代2980円,同月19日のはがき代5000円,同年2月18日の報告会会場代1809円,郵送代340円,同年3月4日のファックス用紙代1万1103円,同月16日の事務用品代2880円,同月26日の事務用品OA機器代4368円の合計28万1880円を支払った(乙Cウ2,Eウ3)。
しかし,上記支払のうち,平成16年9月15日の倉庫建替え諸経費1万7164円及び1万2100円,同年12月4日の講演会会場代2万0750円,平成17年2月18日の報告会会場代1809円の合計5万1823円は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(323万4029円を加えた上で3分の1)のとおり,A4議員が,上記事務費につき,平成16年度に126万9724円(≒[〔28万1880円-5万1823円〕÷40%+323万4029円]×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 平成17年度の事務費について
A4議員は,平成17年12月25日にコピー用紙・通信費等経費の40%として38万2685円を支払ったと陳述するが(乙Cウ1,Eウ3),その裏付けはないから,信用できない。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A4議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたものであるところ,A4議員は,後援会の人件費としても,平成16年に96万円,平成17年に60万円を支出した(甲ウ3,4)。
したがって,後述する人件費に,後援会の上記人件費を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
(イ) 人件費の支出等について
A4議員は,平成16年9月1日から平成18年3月31日までの間,業務内容を政務調査に関わる手伝い等,賃金を月額4万円として,B8及びB9を雇用し,各人に平成16年9月分ないし平成18年2月分の賃金として月額4万円を支払い,さらに,B9に平成18年3月分の賃金として4万円を支払った(乙Dウ1ないし7)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年につき96万円,平成17年につき60万円をそれぞれ加えた上で3分の1)のとおり,A4議員が,上記人件費につき,平成16年度に50万6667円(≒[4万円×7か月×2人+96万円]×1/3),平成17年度に50万6667円(≒[4万円×11か月+4万円×12か月+60万円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A4議員は,後援会は,B8及びB9とは別の者を雇用していたと陳述するが(乙Eウ3),その裏付けはないから,信用できない。
オ まとめ
(ア) A4議員は,事務所費として,平成16年度に40万円,平成17年度に61万1400円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額65万5355円を超える違法支出はなく,平成17年度に支出許容額120万1984円を超える違法支出もない。
(イ) A4議員は,事務費として,平成16年度に28万1880円,平成17年度に38万2685円の政務調査費を支出した(別紙1)。そのうち,平成16年度に支出許容額126万9724円を超える違法支出はなく,平成17年度については,38万2685円の支出全額が違法である。
(ウ) A4議員は,人件費として,平成16年度に56万円,平成17年度に92万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額50万6667円を超える5万3333円及び平成17年度に支出許容額50万6667円を超える41万3333円をそれぞれ支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A4議員に対し,平成16年度分5万3333円及び平成17年度分合計79万6018円(=38万2685円+41万3333円)の総合計84万9351円の不当利得の返還を請求するべきである。
(4)  A5議員(以下「A5議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A5議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,「hコンサルタント」の名称により行政書士業及び宅建業が経営されていたほか,後援会,政治団体「A5を育てる会」,同「d3会」,「a党△△支部」及び「e1研究会」が併設されていた(甲A5の2・3,乙Eエ1)。
この点,A5議員は,後援会につき,個人からの献金の受け皿で,別途,事務員を雇用しており,「A5を育てる会」及び「d3会」につき,活動の実体はほとんどなく,「a党△△支部」につき,法人からの献金の受け皿であると陳述するが(乙Eエ1),その裏付けはないから,信用できない。
イ 事務所費について
A5議員は,平成16年度の事務所費につき,ガソリン代として24万1880円を支払ったと陳述するが(乙Eエ1),その裏付けはないから,信用できない。
A5議員は,政務調査費収支報告書において,平成17年度の事務所費に計上された「燃料費等」29万9173円を,ガソリン代として調査研究費に計上する修正をした(甲A4,乙Eエ1)。
しかし,上記「燃料費等」がガソリン代であったことの裏付けはないから,A5議員がガソリン代を支払ったと認めることはできない。
したがって,A5議員が,平成16年度及び平成17年度に事務所費として政務調査費を支出したことは違法である。
ウ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A5議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その7分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
a B10
A5議員は,平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間,就業場所を和歌山市〈以下省略〉,業務内容を事務,賃金を時給850円,所定時間外労働の賃金を時給850円,通勤手当を月額1万円等として,B10を雇用した(乙Dエ1,2,6,57)。
そして,B10は,次のとおり勤務した(乙Dエ6ないし20,22,24,26,28,30,32,34,36,39,42,45,48,51,54,57)。
(a) 平成15年4月に合計224.5時間勤務した。
(b) 平成15年5月に合計119.5時間,同年6月に合計115時間,同年7月に合計125時間,同年8月に合計82時間,同年9月に合計63時間,同年11月に合計66.5時間,同年12月に合計102.5時間,平成16年1月に合計75.5時間,同年2月に合計103時間,同年3月に合計86.5時間勤務し,この10か月間で合計938.5時間勤務した。
(c) 平成16年7月に合計93時間,同年8月に合計102時間,同年10月に合計106.5時間,同年12月に合計116時間,平成17年1月に合計84時間,同年2月に合計70.5時間,同年3月に合計94.5時間勤務し,この7か月間で合計666.5時間勤務した。
(d) 平成17年4月に合計82時間,同年5月に合計96.5時間,同年6月に合計101.5時間,同年7月に合計120.5時間,同年8月に合計109時間,同年9月に合計119時間,同年10月に合計109.5時間,同年11月に合計108時間,同年12月に合計121.5時間,平成18年1月に合計111時間,同年2月に合計103時間,同年3月に合計122.5時間勤務し,この12か月間で合計1304時間勤務した。
以上によると,A5議員は,B10に対し,通勤手当を含む賃金として,平成15年4月に20万0825円(=1万円×1か月+850円×224.5時間),平成15年度(同年4月を除く。)に89万7725円(=1万円×10か月+850円×938.5時間),平成16年度に63万6525円(=1万円×7か月+850円×666.5時間),平成17年度に122万8400円(=1万円×12か月+850円×1304時間)を支払ったと認められる。
しかし,上記支払のうち,平成15年7月16日の9時間の勤務は,ゴルフコンペであり(乙Dエ9),議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費とはいえないから,A5議員が,その勤務に対応する賃金7650円(=850円×9時間)に政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(7分の1)のとおり,A5議員が,B10の人件費につき,平成15年4月に2万8689円(≒20万0825円×1/7),平成15年度(同年4月を除く。)に12万7154円(≒[89万7725円-7650円]×1/7),平成16年度に9万0932円(≒63万6525円×1/7),平成17年度に17万5486円(≒122万8400円×1/7)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
b B11
A5議員は,平成16年10月から平成17年7月までの間,就業場所を和歌山市〈以下省略〉,業務内容を事務,就業時間を午前9時から午後5時30分まで,賃金を月給12万円,所定時間外労働の賃金を時給850円,通勤手当を月額1万円等として,B11を雇用した(乙Dエ1,3,21,35)。
そして,B11は,次のとおり勤務した(乙Dエ21,23,25,27,29,31,33,35,38)。
(a) 平成16年度に,所定時間内労働として,4か月勤務し,所定時間外労働として,平成16年12月に3.5時間,平成17年3月に合計8時間の合計11.5時間勤務した。
(b) 平成17年度に,所定時間内労働として,4か月勤務し,所定時間外労働として,平成17年4月に合計8時間,同年5月に合計24時間,同年6月に合計1.5時間,同年7月に3.5時間,同月8日に7.5時間の合計44.5時間勤務した。なお,平成17年8月は,1日だけ7.5時間勤務したところ(乙Dエ38),同人の雇用期間が同年7月までとされていたことからすれば(乙Dエ3),所定外労働時間として勤務したと認められる。
以上によると,A5議員は,B11に対し,通勤手当を含む賃金として,平成16年度に52万9775円(=[1万円+12万円]×4か月+850円×11.5時間),平成17年度に55万7825円(=[1万円+12万円]×4か月+850円×44.5時間)を支払ったと認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(7分の1)のとおり,A5議員が,B11の人件費につき,平成16年度に7万5682円(≒52万9775円×1/7),平成17年度に7万9689円(≒55万7825円×1/7)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
c B12
A5議員は,平成17年8月から平成18年3月までの間,就業場所を和歌山市〈以下省略〉,業務内容を事務,賃金を時給850円,所定時間外労働の賃金を時給850円等として,B12を雇用した(乙Dエ1,4,37,58)。
そして,B12は,平成17年8月に合計38.5時間,同年9月に合計68.5時間,同年10月に合計70時間,同年11月に合計60.5時間,同年12月に合計65.5時間,平成18年1月に合計42時間,同年2月に合計46.5時間,同年3月に合計63.5時間勤務し,この8か月間で合計455時間勤務した(乙Dエ37,40,43,46,49,52,55,58)。
したがって,A5議員は,B12に対し,賃金として,平成17年度に38万6750円(=850円×455時間)を支払ったと認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(7分の1)のとおり,A5議員が,B12の人件費につき,平成17年度において,5万5250円(=38万6750円×1/7)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
d B13
A5議員は,平成17年9月から平成18年3月までの間,就業場所を和歌山市〈以下省略〉,業務内容を事務,賃金を時給850円,所定時間外労働の賃金を時給850円,通勤手当を1万円等として,B13を雇用した(乙Dエ5)。
そして,B13は,平成17年9月に合計11.5時間,同年10月に合計41時間,同年11月に合計50時間,同年12月に合計82時間,平成18年1月に合計87時間,同年2月に合計106.5時間,同年3月に合計77時間勤務し,この7か月間で合計455時間勤務した(乙Dエ41,44,47,50,53,56,59)。
したがって,A5議員は,B13に対し,通勤手当を含む賃金として,平成17年度に45万6750円(=1万円×7か月+850円×455時間)を支払ったと認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(7分の1)のとおり,A5議員が,B13の人件費につき,平成17年度において,6万5250円(=45万6750円×1/7)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
e その他の主張について
A5議員は,平成15年4月にはB14及びB15も,平成15年度(同年4月を除く。)にはB14も,平成16年度にはB14及びB16も,平成17年度にはB17及びB16も,それぞれ雇用していたなどと陳述する(乙Dエ1,Eエ1)。しかし,B14,B15,B16及びB17の具体的な雇用条件や支払額等は不明であるから,信用できない。
他方,原告らは,被用者を複数雇用する必要性はなかったと主張する。しかし,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究を補助する職員を複数雇用することは社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,「hコンサルタント」がその被用者をA5議員の調査研究に従事させ,その賃金に政務調査費を支出し,「hコンサルタント」の経理処理により,A5議員が人件費分の政務調査費を公表されないヤミ所得として得ていたなどと主張するが,その主張を裏付ける証拠はないから,採用できない。
エ まとめ
(ア) A5議員は,事務所費として,平成16年度に24万1880円,平成17年度に29万9173円の政務調査費を支出したところ(別紙1),これらの支出はいずれも違法である。
(イ) A5議員は,人件費として,平成15年4月に15万円,平成15年度(同年4月を除く。)ないし平成17年度に各160万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額合計2万8689円を超える12万1311円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計12万7154円を超える147万2846円,平成16年度に支出許容額合計16万6614円(=9万0932円+7万5682円)を超える143万3386円,平成17年度に支出許容額合計37万5675円(=17万5486円+7万9689円+5万5250円+6万5250円)を超える122万4325円を支出した部分は違法である。
(ウ) よって,被告は,A5議員に対し,平成15年4月分12万1311円,平成15年度分(同年4月を除く。)147万2846円,平成16年度分合計167万5266円(=24万1880円+143万3386円)及び平成17年度分合計152万3498円(=29万9173円+122万4325円)の総合計479万2921円の不当利得の返還を請求するべきである。
(5)  A6議員(以下「A6議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
(ア) A6議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,A6議員の自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会である「d4会」及び「a党a3支部」と併設されていた(甲A5の2・3,乙Eオ1)。
(イ) A6議員は,平成17年11月11日,和歌山市長選挙に立候補することを表明し(甲オ7の1・2),平成18年3月17日に和歌山県議会議員を辞職した(甲オ8)。
ところで,県議会議員が他の選挙に立候補する場合,その表明以前から準備をすることが通常と認められ,その期間は3か月と認めるのが相当であり,選挙用事務所で準備を行った等の特段の事情が認められない限り,選挙の準備は政務調査用事務所で行われたと推認するべきである。そして,A6議員について,上記特段の事情は認められない。したがって,A6議員は,平成17年9月以降,政務調査用事務所において,和歌山市長選挙への立候補準備も行っていたと認められる。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
a 平成17年8月以前のA6議員の電気料金,灯油代,ガス代,湯沸器代等,ジュース代,お茶代及び政務調査用事務所の固定電話使用料については,上記ア(ア)のとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるところ,A6議員は,「a党a3支部」の「事務所費」としても,平成16年に23万3850円,平成17年に23万5400円を支出した(甲オ5の2・3)。
したがって,後述する電気料金,灯油代,ガス代,湯沸器代等,ジュース代,お茶代及び政務調査用事務所の固定電話使用料に,「a党a3支部」の上記事務所費(平成16年度につき23万3850円,平成17年度につき9万8083円[≒23万5400円×5か月/12か月])を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
また,平成17年8月以前のガソリン代及び車両整備費については,上記ア(ア)のとおりの事務所の設置状況等及び自動車の汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,「d4会」及び「a党a3支部」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
b 平成17年9月以降の電気料金,灯油代,ガス代,湯沸器代等及び固定電話使用料については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるところ,A6議員は,「a党a3支部」の「事務所費」としても,平成17年に23万5400円を支出した(甲オ5の3)。
したがって,後述する電気料金,灯油代,ガス代,湯沸器代等及び固定電話使用料に,「a党a3支部」の上記事務所費(13万7317円[≒23万5400円×7か月/12か月])を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
また,平成17年9月以降のガソリン代及び車両整備費については,上記アのとおりの事務所の設置状況等及び自動車の汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,「d4会」,「a党a3支部」及び選挙の準備の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 電気料金,灯油代,ガス代,湯沸器代等,ジュース代,お茶代及び政務調査用事務所の固定電話使用料の支出等について
a 電気料金について
A6議員は,政務調査用事務所の電気料金(①従量電灯A,②低圧電力)として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の2万4775円(①),同年4月分ないし同年8月分の1万0622円(①),同年9月分ないし平成18年3月分の合計10万4586円(①につき,7万9918円。②につき,2万4668円)を支払った(乙Bオ1,6)。
なお,一般的に,従量電灯Aは,一般家庭で使用される電気料金の形態で,低圧電力は,エアコン,業務用冷蔵庫,ポンプ,エレベーター,工場等のモーター等で使用される電気料金の形態であり,用途や使用量に応じて使い分けられるべきものであるところ,A6議員が,政務調査用事務所において,従量電灯A及び低圧電力を利用したことは,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,従量電灯A及び低圧電力の電気料金に政務調査費を支出したことは許される。
b 灯油代,ガス代,湯沸器代について
A6議員は,有限会社福島商店に対し,次のとおり支払をした。
(a) 平成16年12月25日に灯油代1万3500円(乙Bオ7の1,乙Eオ1),平成17年3月25日に灯油代1万3200円(乙Bオ7の2,乙Eオ1)の合計2万6700円を支払った。
(b) 平成17年12月28日に4万4800円(同月分のガス料金2370円,湯沸器代2万3840円,その部品等代合計1万0100円,取付工料2500円,灯油代3990円及び消費税2022円の合計4万4822円から22円を値引きした金額[乙Bオ3の1ないし3]),平成18年1月27日に7420円(同月分の灯油代4568円及びガス料金2860円の合計7428円から8円を値引きした金額[乙Bオ2の1・2])の合計5万2220円を支払った。
この点,原告らは,上記灯油,ガス,及び湯沸器等につき,A6議員の自宅に納品されたものであるなどと主張する(乙Bオ2の1・2,3の1ないし3)。しかし,領収書等の宛先は「A6事務所」であったし(乙Bオ2の1・2,3の1ないし3),領収書の宛先の住所(A6議員の自宅[和歌山市〈以下省略〉])をもって(乙Bオ2の1・2,3の1ないし3),上記灯油,ガス,及び湯沸器等の用途を認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,湯沸器の取付工料は政務調査費の支出が許されない環境整備費であると主張する。しかし,湯沸器の取付工料は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
c ジュース代,お茶代,花代について
A6議員は,平成16年6月16日にジュース代1万7280円(乙Bオ9,Eオ1),同月27日にお茶代7245円(乙Bオ10の1,Eオ1),同年9月26日にお茶代7560円(乙Bオ10の2,Eオ1),同年12月25日にお茶代7245円(乙Bオ10の3,Eオ1),同月30日に花代1万3500円(乙Bオ8の1,Eオ1),同日に花代1万円(乙Bオ8の2,Eオ1),平成17年3月29日にお茶代7455円(乙Bオ10の4,Eオ1)の合計7万0285円を支払った。
しかし,上記支払のうち,花代2万3500円は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費とは認められないから,これに政務調査費を支出することは許されない。
d 政務調査用事務所の固定電話使用料について
A6議員は,政務調査用事務所の固定電話(073-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計3万7052円,平成17年4月分ないし同年8月分の合計1万4066円,同年9月分ないし平成18年3月分の合計3万4893円を支払った(乙Bオ4,11,Eオ1)。
この点,原告らは,電話使用料は通信費として事務費に計上されるべきであると主張する。しかし,本件使途基準は使途によって政務調査費を支出できる上限額を定めているわけではなく,計上した使途の誤りをもって,政務調査費の支出が違法であるとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
e まとめ
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき23万3850円を加えた上で3分の1,平成17年度につき,同年8月以前は9万8083円を加えた上で3分の1,同年9月以降は13万7317円を加えた上で4分の1)のとおり,A6議員が,上記電気料金,灯油代,ガス代,湯沸器代等,ジュース代,お茶代及び固定電話使用料につき,平成16年度に12万3054円(=[2万4775円+2万6700円+7万0285円-2万3500円+3万7052円+23万3850円]×1/3),平成17年度に12万3178円(≒[1万0622円+1万4066円+9万8083円]×1/3+[10万4586円+5万2220円+3万4893円+13万7317円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) ガソリン代及び車両整備費の支出等について
A6議員は,ガソリン代及び車両整備費として,次のとおり支払をした(乙Bオ5,12)。
a 平成16年4月に「GP-1」代1万3288円及び「メンテ」代2万0265円,同年5月に「GP-1」代1万4677円,同年6月に「GP-1」代1万0384円,同年7月に「GP-1」代1万9492円,同年8月に「GP-1」代1万9180円及び「メンテ」代1万1760円,同年9月に「GP-1」代1万7109円,同年10月に「GP-1」代4113円及び「レギュラー」代6407円,同年11月に「GP-1」代1万4853円,同年12月に「GP-1」代1万1366円,平成17年1月に「GP-1」代1万3143円,同年2月に「GP-1」代1万3214円及び「メンテ」代1万2075円,同年3月に「GP-1」代1万3835円の合計21万5161円を支払った。
b 平成17年4月に「GP-1」代1万0771円,同年5月に「GP-1」代1万9856円,同年6月に「GP-1」代3903円,「レギュラー」代6455円及び「メンテ」代7665円,同年7月に「レギュラー」代1万3976円,同年8月に「レギュラー」代1万7582円の合計8万0208円を支払った。
c 平成17年9月に「レギュラー」代2万1413円,同年10月に「レギュラー」代7424円及び「メンテ」代7513円,同年11月に「GP-1」代1万4802円,「レギュラー」代3750円及び「メンテ」代1400円,同年12月に「レギュラー」代2万6020円,平成18年1月にガソリン代又は車両整備費3万3784円,同年2月にガソリン代又は車両整備費3万6948円,同年3月にガソリン代又は車両整備費3万1428円の合計18万4482円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(平成17年8月以前は4分の1,同年9月以降は5分の1)のとおり,A6議員が,ガソリン代及び車両整備費につき,平成16年度に5万3790円(≒21万5161円×1/3),平成17年度に5万6948円(≒8万0208円×1/4+18万4482円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,ガソリン代等は交通費として調査研究費に計上されるべきであると主張する。しかし,本件使途基準は使途によって政務調査費を支出できる上限額を定めているわけではなく,計上した使途の誤りをもって,政務調査費の支出が違法であるとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,ガソリン代等はどうのような調査研究のために使用されたか明確ではないから,調査研究以外の活動に使用されたと主張する。しかし,ガソリン代等は,自動車の汎用性の高さを考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当といえるから,原告らの上記主張は採用できない。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A6議員の自宅の固定電話及びファックスの使用料については,私的以外に,調査研究にも利用されていたと認められるから(乙Eオ1),社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,「d4会」及び「a党a3支部」の各活動や,平成17年9月以降の選挙の準備,並びに私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,同年8月以前はその4分の1,同年9月以降はその5分の1をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
なお,A6議員は,「a党a3支部」の「備品・消耗品費」として,平成17年に62万7320円を支払った(甲オ5の3)。しかし,A6議員の政務調査費の支出のうち,事務用品・備品購入費は,下記(エ)のとおり,全額違法な支出であるから,政務調査費の支出許容額の算定において,「a党a3支部」の上記「備品・消耗品費」を考慮することはできない。
(イ) A6議員の自宅の固定電話使用料について
A6議員は,自宅の①固定電話(073-〈省略〉)及び②ファックス(073-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の①34万1893円及び②3万5681円,同年4月分ないし平成18年3月分の①31万7228円及び②4万1852円を支払った(乙Cオ1,2,5,6,Eオ1)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A6議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に合計18万8787円(=37万7574円×1/2),平成17年度に合計17万9540円(=35万9080円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,A6議員の政務調査用事務所が,自宅とは別の場所に設置されていたから,自宅の固定電話及びファックスは,専ら私的に利用されたと主張する。しかし,A6議員が使用した自宅の固定電話等の内容に調査研究に関するものが含まれていなかったとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) 携帯電話使用料について
A6議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計12万5860円(乙Cオ7),平成17年4月分ないし同年8月分の合計4万6630円,同年9月分ないし平成18年3月分の合計11万2261円(乙Cオ3)を支払った。
なお,「ドコモ料金支払内訳書」の「記事」欄には「一括請求によるお支払い」との記載があること(乙Cオ3,7)からすれば,複数の回線が使用されていたことがうかがわれる。しかし,上記書面に表示された電話使用料は,「事前案内書兼領収証」の「電話番号毎のご請求内訳をご確認ください」との記載(乙Cケ5の1ないし10)がいう電話番号毎の電話使用料,すなわち,上記携帯電話番号のみの使用料であると認められる(乙Cケ15,16)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成17年8月以前は4分の1,平成17年9月以降は5分の1)のとおり,A6議員が,携帯電話使用料につき,平成16年度に3万1465円(=12万5860円×1/4),平成17年度に3万4110円(≒4万6630円×1/4+11万2261円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) パソコン代等について
A6議員は,平成18年1月19日,パソコン本体代6万9900円,モニター代2万7500円,OS代1万2000円,オフィスソフト代2万6000円,プリンター代4万7000円,バックアップ用HDD代1万6000円,本体設置及び機器接続費1万5000円,パソコンセットアップ費2万円の合計23万3400円を支払った(乙Cオ4の1・2)。
しかし,上記パソコン代等は,相当長期間の調査研究を前提とする事務用品・備品購入費であるところ,その支払は,上記アのとおりA6議員が和歌山市長選挙に立候補を表明した平成17年11月11日以降で,平成18年3月17日に和歌山県議会議員を辞職する直前になされたものである。したがって,仮に,被告が主張するように,その時期にパソコンが壊れたとしても(ただし,その裏付けはない。),上記パソコン代等は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当なものと認められず,これに政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A6議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたものであるところ,A6議員は,「a党a3支部」の「人件費」としても,平成15年に278万8020円,平成16年に283万4020円,平成17年に285万5110円を支払った(甲オ5の1ないし3)。
したがって,後述する人件費に,「a党a3支部」の上記人件費(平成15年4月につき23万2335円[=278万8020円×1か月/12か月],同年度[同年4月を除く。]につき255万5685円[=278万8020円×11か月/12か月],平成16年度につき283万4020円,平成17年度につき285万5110円)を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,平成17年8月以前はその3分の1,同年9月以降はその4分の1をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
A6議員は,B18に対し,平成15年4月25日付けで賃金として9万円(乙Dオ1の1),A6議員の妻であるB19に対し,同月20日付けで賃金として8万円(乙Dオ1の2,Eオ1)の合計17万円を支払った。
また,A6議員は,B19に対し,平成15年5月から平成16年3月までの間,各20日付けで賃金としてそれぞれ8万円(乙Dオ2ないし12,Eオ1)の合計88万円(=8万円×11か月)を支払った。
さらに,A6議員は,B19に対し,平成16年4月から平成17年3月までの間,各20日付けで賃金としてそれぞれ8万円(乙Dオ13ないし24,Eオ1)の合計96万円(=8万円×12か月)を支払った。
そのほか,A6議員は,B18,B20及びB21に対し,平成17年11月から平成18年3月までの間,各25日付けで賃金としてそれぞれ7万円(乙Dオ25ないし39)の合計105万円(=7万円×5か月×3人)を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(平成15年4月につき23万2335円,同年度[同年4月を除く。]につき255万5685円,平成16年度につき283万4020円,平成17年度につき285万5110円をそれぞれ加えた上で,同年8月以前はその3分の1,同年9月以降はその4分の1)のとおり,A6議員が,平成15年4月に13万4112円(≒[9万円+8万円+23万2335円]×1/3),平成15年度(同年4月を除く。)に114万5228円(≒[88万円+255万5685円]×1/3),平成16年度に126万4673円(≒[96万円+283万4020円]×1/3),平成17年度に97万6278円(≒[105万円+285万5110円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A6議員は,「d4会」が,B20,B18及びB21に対し,政務調査用事務所の賃金とは別に,それぞれ月額8万円を支払っていたと陳述するが(乙Eオ1),その裏付けはないから,信用できない。
オ まとめ
(ア) A6議員は,事務所費として,平成16年度に22万3000円,平成17年度に21万3000円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計17万6844円(=12万3054円+5万3790円)を超える4万6156円,平成17年度に支出許容額合計18万0126円(=12万3178円+5万6948円)を超える3万2874円を支出した部分は違法である。
(イ) A6議員は,事務費として,平成16年度に21万7000円,平成17年度に22万7000円の政務調査費を支出した(別紙1)。そのうち,平成16年度については,支出許容額合計22万0252円(=18万8787円+3万1465円)を超える違法支出はないが,平成17年度に支出許容額合計21万3650円(=17万9540円+3万4110円)を超える1万3350円を支出した部分は違法である。
(ウ) A6議員は,人件費として,平成15年4月に17万円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度に96万円,平成17年度に105万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額合計13万4112円を超える3万5888円及び平成17年度に支出許容額合計97万6278円を超える7万3722円を支出した部分は違法である。しかし,平成15年度(同年4月を除く。)については,支出許容額合計114万5228円を超える違法支出はなく,平成16年度についても,支出許容額合計126万4673円を超える違法支出はない。
(エ) よって,被告は,A6議員に対し,平成15年4月分3万5888円,平成16年度分4万6156円,平成17年度分合計11万9946円(=3万2874円+1万3350円+7万3722円)の総合計20万1990円の不当利得の返還を請求するべきである。
(6)  A7議員(以下「A7議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A7議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会及び政治団体「e2研究会」と併設されていた(甲A5の1,乙Eカ31)。
この点,A7議員は,後援会及び「e2研究会」の活動の実体はなく,「e2研究会」の事務所は存在しないし,後援会活動に関する費用は,政務調査用事務所の経費と別の簿冊に分けて処理していたと陳述する(乙Eカ3ないし31)。しかし,後援会は,平成16年に102万円(繰越分8045円を除く。)の収入及び101万7042円の支出があり(乙Eカ23ないし30),平成17年に70万円の収入及び67万2906円の支出があったから(乙Eカ17ないし22),活動の実体がなかったとは認められない。また,「e2研究会」は,後援会に対し,平成16年4月25日,同年5月25日,同年6月24日,同年7月25日,同年8月25日,同年9月25日にそれぞれ2万円ずつ寄附していたから(乙Eカ25),活動の実体がなかったとは認められない。そして,後援会の経費は,政務調査用事務所の帳簿にも混在して記載されていたと認められる(乙Cカ1の1ないし3,2の1ないし3,Dカ1,2,Eカ1ないし30)。したがって,A7議員の上記陳述は信用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
a A7議員の政務調査用事務所の事務費(携帯電話使用料を除く。)については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたところ,A7議員が後援会の収入からも政務調査用事務所の事務費を支払ったことが認められ,その額は,平成16年4月から平成17年3月までの間に50万円,同年4月から平成18年3月までの間に30万円と認めるのが相当である(乙Eカ17ないし30)。
したがって,後述する事務費に上記後援会の収入から支払われた額を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
b 携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会及び「e2研究会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 証拠資料について
A7議員が経費の支払を都度記入した帳簿(乙Cカ1の1ないし3,2の1ないし3,Dカ1,2,Eカ1ないし16)は,その内容や体裁等からすれば,おおむね信用できる。
(ウ) 事務費(携帯電話使用料を除く。)について
a 事務機器借上費について
A7議員は,事務機器借上費として,次のとおり支払をした(乙Cカ1の1,2の1,Eカ3,10,弁論の全趣旨)。
(a) パソコンリース代として,平成16年4月5日,同年5月6日,同年6月3日,同年7月5日,同年8月3日,同年9月3日,同年10月4日,同年11月4日,同年12月3日,平成17年1月4日,同年2月3日,同年3月3日に各2万0055円の合計24万0660円を支払った。
(b) パソコンリース代として,平成17年4月4日,同年5月6日にそれぞれ2万0055円,同年6月3日に2万2155円,同年7月4日に1万1466円,「エプソン保守」料として,同年5月26日に2万5200円及びその手数料105円の合計9万9036円を支払った。
b 通信費等について
A7議員は,通信費等として,次のとおり支払をした(乙Cカ1の2,2の2,Eカ3,10)。
(a) 平成16年4月1日に「八千代ムセン」に対して備品購入費2280円,同年5月27日に「コーナン」に対して雑品代7281円,同年7月8日に「八千代」に対して備品購入費4270円,同年9月6日に車整備費9500円,同年10月12日に文具(コピー用紙他)代2242円,平成17年1月20日にストーブ代4980円,同年3月10日にコピー用紙代1040円の合計3万1593円を支払った。
(b) 平成17年5月26日にインターネット使用料1万8900円及びその手数料52円,同月27日に「マニフェスト」の郵便料金2070円,同月28日に「ローカルマニフェスト」の郵便料金240円,同年9月5日に切手代240円,同月7日に切手代1200円,同月15日に切手代1600円,同月20日にはがき代1万5000円,同年12月20日にはがき代500円,同日にウイルスバスター代3150円,平成18年1月4日に郵便料金290円,同月30日に「ローカルマニフェスト」の切手代80円,同月31日に切手代160円,同年2月2日に郵便料金410円,同月20日に切手代80円,同月27日にはがき代1万3500円,同年3月29日に切手代2930円,同月30日に切手代80円の合計6万0482円を支払った。
しかし,上記支払のうち,平成16年4月1日の「八千代ムセン」に対する備品購入費2280円,同年5月27日の「コーナン」に対する雑品代7281円,同年7月8日の「八千代」に対する備品購入費4270円の合計1万3831円は,内容が明らかでなく,支払先が多様な商品を扱う店であることからすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
また,上記支払のうち,平成17年5月27日の「マニフェスト」の郵便料金2070円,同月28日の「ローカルマニフェスト」の郵便料金240円,平成18年1月30日の「ローカルマニフェスト」の切手代80円の合計2390円は,選挙活動ないし政治活動に係る費用であると考えられるから,それらに政務調査費を支出したことは違法である。
c 事務用品・備品購入費等について
A7議員は,事務用品・備品購入費として,次のとおり支払をした(乙Cカ1の3,2の2・3,Eカ3,10)。
(a) 平成16年4月1日に「コーナン」に対して事務用品代2436円,1860円及び672円,同月2日に「コーナン」に対して事務用品代980円,同月7日に「コーナン」に対して事務用品代6299円,同月26日にウイルスバスター代3150円,同年5月7日にコピートナー代3万2130円及びその手数料262円,同月14日に文具代1604円,同月15日に文具代662円,同月16日に文具代3033円,同月23日に文具代1628円,同年6月3日に文具代1879円,同年9月2日に「コーナン」に対して事務用品代3108円及び2978円,同月5日に「近鉄」に対して事務用品代1260円,同年10月27日に文具代1804円,同年10月22日に茶封筒代176円,同年11月16日にウイルスバスター代3150円,同月18日に名刺ファイル代1092円,平成17年1月5日に「コーナン」に対して事務用品代3083円,同月8日に印鑑代500円,同月27日に印鑑代1365円,同月30日に文具代1260円,同年3月22日に文具代1669円,同月31日に名刺ファイル代1890円の合計7万9930円を支払った。
(b) 平成17年4月9日に「コーナン」に対して事務用品代950円,同月25日にウイルスバスター代3150円,同月28日に封筒代264円,同年5月8日に文具代3480円及び553円,同月26日にコピー用紙代1518円,同月27日に文具代954円,同年6月6日に文具代2709円,同月8日に文具代2038円,同月15日に防犯鍵代6600円,同月17日にスペアキー代1468円,同月30日に文具代2397円,同年8月3日にプリンターインク代2340円,同月18日に文具代970円,同月21日に文具代546円,567円,4074円,3万2130円,2340円及び7020円,同月23日に事務用品代6651円,同月24日に事務用品代3360円及び1008円,同年9月5日にトナー代3万2392円,同日に事務用品代3万2130円,2340円,2996円及び2070円,同月15日に事務用品代2244円,同年10月22日にファイル代546円,同月24日にプリンターインク代5220円,同月31日に名刺ファイル代944円,同日に事務用品代3355円,同年11月23日に事務用品代1766円,同年12月2日に事務用品代525円,同日にファイル代2051円,同月8日にファイル代2160円,同日に事務用品代3万2130円,同月18日に文具代3144円,同月27日に文具代354円,平成18年1月17日に文具代609円及び680円,同月30日に文具代980円及び425円,同年2月1日に文具代1260円,同月2日に文具代630円,同月4日に文具代1550円,同月16日に文具代352円,同年3月12日に文具代2070円,同月26日に文具代2212円,同月28日に文具代264円,同月31日に文具他代2万0432円の合計24万4918円を支払った。
なお,上記支払のうち,平成17年8月21日の文具代3万2130円,同年9月5日の事務用品代3万2130円,同年12月8日の事務用品代3万2130円は,平成16年5月7日のコピートナー代3万2130円及びその手数料262円(乙Cカ2の3),平成17年9月5日のトナー代3万2392円(乙Cカ1の3)等の金額に照らせば,トナー代であったと認められる。
しかし,上記支払のうち,平成16年4月1日の「コーナン」に対する事務用品代2436円,1860円及び672円,同月2日の「コーナン」に対する事務用品代980円,同月7日の「コーナン」に対する事務用品代6299円,同年9月2日の「コーナン」に対する事務用品代3108円及び2978円,同月5日の「近鉄」に対する事務用品代1260円,平成17年1月5日の「コーナン」に対する事務用品代3083円の合計2万2676円,並びに上記支払のうち,同年4月9日の「コーナン」に対する事務用品代950円,同年8月23日の事務用品代6651円,同月24日の事務用品代3360円及び1008円,同年9月5日の事務用品代2340円,2996円及び2070円,同月15日の事務用品代2244円,同年10月31日の事務用品代3355円,同年11月23日の事務用品代1766円,同年12月2日の事務用品代525円の合計2万7265円は,内容が明らかでなく,支払先が多様な商品を扱う店であることからすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
d まとめ
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき50万円を加えて3分の1,平成17年度につき30万円を加えて3分の1)のとおり,A7議員が,上記事務費(携帯電話使用料を除く。)につき,平成16年度に合計27万1892円(=〔[24万0660円+3万1593円-1万3831円+7万9930円-2万2676円]+50万円〕×1/3),平成17年度に合計22万4927円(=〔[9万9036円+6万0482円-2390円+24万4918円-2万7265円]+30万円〕×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 携帯電話使用料について
A7議員は,携帯電話使用料として,次のとおり支払をした(乙Cカ1の2,2の2,Eカ3,10)。
a 平成16年4月21日に4万3289円,同年5月28日に4万0639円,同年6月24日に4万1297円,同年7月26日に4万2514円,同年8月20日に1万7266円,同年9月24日に1万9475円,同年10月15日に2万1001円,同年11月19日に1万9097円,同年12月21日に2万0280円,平成17年1月24日に2万0112円,同年2月22日に2万6657円,同年3月22日に1万7507円の合計32万9134円を支払った。
b 平成17年4月14日に2万4055円,同年5月20日に2万5078円,同年6月23日に2万3350円,同年7月25日に2万2984円,同年8月19日に2万3846円,同年9月21日に2万2611円,同年10月14日に1万9602円,同年11月25日に2万2231円,同年12月20日に2万0428円,平成18年1月23日に1万5324円,同年2月21日に1万6243円,同年3月22日に1万3923円の合計24万9675円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A7議員が,携帯電話使用料につき,平成16年度に合計8万2284円(=32万9134円×1/4),平成17年度に合計6万2419円(=24万9675円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 人件費について
(ア) B22
A7議員は,平成15年5月31日,B22に対し,同月から平成16年3月までの11か月分の賃金として16万円を支払ったと陳述する(乙Dカ3,Eカ31)。
しかし,10か月分の賃金を前払することは不自然であるし,上記支払に係る領収証(乙Dカ3)は,「5月分給与」と記載されており,信用できない。
したがって,A7議員の上記陳述は信用できず,B22に対する賃金に政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) B23
A7議員は,A7議員の妻であるB23に対し,賃金として,平成16年10月30日に同年4月から同年10月までの月額2万8000円の7か月分19万6000円,同年11月30日に2万8000円,同年12月28日に2万8000円,平成17年1月31日に2万8000円,同年2月28日に2万8000円,同年3月31日に4207円を支払い,同年9月5日に5か月分27万5000円,同月30日に5万5000円,同年11月25日に2か月分11万円,平成18年1月31日に2か月分11万円,同年3月2日に5万5000円,同月31日に5万5000円を支払ったと陳述する(乙Dカ1,2,Eカ1ないし3,10,31)。
しかし,上記のとおり賃金を長期間不規則に一括払することは不自然であるし,平成17年3月31日に支払われたとされる賃金額が4207円という中途半端な金額であったこと,他に裏付けがないことからすれば,A7議員の上記陳述は信用できない。
したがって,B23に対する賃金に政務調査費を支出した部分は違法である。
エ まとめ
(ア) A7議員は,事務費として,平成16年度に68万1317円,平成17年度に65万4111円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計35万4176円(=27万1892円+8万2284円)を超える32万7141円,平成17年度に支出許容額合計28万7346円(=22万4927円+6万2419円)を超える36万6765円を支出した部分は違法である。
(イ) A7議員は,人件費として,平成15年度(同年4月を除く。)に16万円,平成16年度に31万2207円,平成17年度に66万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),これらの支出はいずれも違法である。
(ウ) よって,被告は,A7議員に対し,平成15年度分(同年4月を除く。)16万円,平成16年度分63万9348円(=32万7141円+31万2207円),平成17年度分102万6765円(=36万6765円+66万円)の総合計182万6113円の不当利得の返還を請求するべきである。
(7)  A1議員
ア 事務所の設置状況等について
A1議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,自宅に設置され,「A1後援会」及び政治団体「d5会」と併設されていた(甲A5の3,丙Cキ130,弁論の全趣旨)。
この点,補助参加人Z1は,「d5会」が,b党和歌山県本部から,法人からの献金を受けるための団体として設置するよう指導されて作ったものにすぎないし,「A1後援会」及び「d5会」が,選挙のなかった平成16年度及び平成17年度において,活動の実体はなかったと主張する。しかし,その主張は,これを裏付ける証拠がないから,採用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A1議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費(ホームページ制作費等,郵便料金を含み,デジタルカメラ代を除く。)については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,デジタルカメラ代及び通信費(インターネット使用料,固定電話使用料,携帯電話使用料等)については,上記アのとおりの事務所の設置状況等及びその汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,「A1後援会」及び「d5会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A1議員は,携帯電話2台を所有していたところ(丙Cキ1ないし4,62ないし65),補助参加人Z1は,A1議員が,調査研究に使用するものとそれ以外のものに使い分けていたと主張する。しかし,その主張は,これを裏付ける証拠がないから,採用できない。
また,補助参加人Z1は,A1議員が,インターネットを調査研究以外に利用しなかったし,固定電話の使用料を使用割合に従って調査研究に7,私的に3で按分していたと主張する。しかし,その主張は,これを裏付ける証拠がないから,採用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費について
a 事務用品・備品購入費について
A1議員は,次のとおり,事務用品・備品購入費の支払をした。
(a) 平成16年4月7日にUSBデータリンクケーブル及びレシーバー代5670円(丙Cキ99),同年5月21日にレーザープリンター用トナー代4万7880円(丙Cキ100),同月25日にWINDOWSソフト代1万0332円(丙Cキ101),同月31日にファックスインクフィルム代3960円(丙Cキ102),同年6月4日に文具代420円(丙Cキ103),同月10日にプリンター用紙代8515円(丙Cキ104),同月12日にパソコンメモリー代5980円(丙Cキ105),同年8月23日に「文房創庫オーヤマ」に対して1226円(丙Cキ106),同年10月9日にプリンターインク代1万0340円及びファックス用紙代3840円(丙Cキ111),同年11月17日に「パソコン付属品」代4725円,「OAサプライ」代3339円及び「PC拡張機器」代2900円,同月22日に「文房創庫オーヤマ」に対して紙製品代189円(丙Cキ113),同月28日にWINDOWSソフト(一太郎)代8757円(丙Cキ114),同月30日に「文房創庫オーヤマ」に対して文具及び事務用品代1382円(丙Cキ115),同年12月15日にWINDOWSソフト「EASYCD&DVDCREATO」代7511円,CD-RW代1340円,CD-R代1396円及び用紙代1280円(丙Cキ116),平成17年1月4日に「株式会社ニノミヤ」に対して用紙又はインク類代2156円(丙Cキ117),同月16日に電子辞書代2万9190円(丙Cキ120,121,139),同年2月3日に「文房創庫オーヤマ」に対して2807円(丙Cキ123),同月6日に「Joshin」に対してCDラジカセ代6000円,電池代500円及び100円均一商品代100円(丙Cキ124,140),同月18日にレーザープリンター用トナー代2万2680円(丙Cキ125),同月24日に「文房創庫オーヤマ」に対して文具及び事務用品代1622円(丙Cキ126),同日にストレージ機器代5505円,用紙代324円,インクカートリッジ代2560円,PC拡張機器代3991円及びこれらの消費税618円(丙Cキ127,138),同年3月13日にファックス用紙代6400円(丙Cキ128),同月28日にICレコーダー代2万3810円,ラジオ代1万0800円及びこれらの消費税1730円(カメラ用品代1600円に係るものを除く。丙Cキ129,138)の合計25万1775円を支払った。
(b) 平成17年4月8日にプリンターインク代及びプリンター用紙代9750円(丙Cキ31),同月15日に用紙及びインクカートリッジ代3001円(丙Cキ32),同月25日にインクリボン代1275円(丙Cキ33),同日にファイルボックス代6780円(丙Cキ34),同月27日にCD-R代2070円及びCD・DVDケース代1400円(丙Cキ35,138),同年5月5日にPC用紙代2400円(丙Cキ36),同年7月6日にセキュリティソフト代4200円(丙Cキ37),同月26日にインクジェット用はがき代,USBメモリ代及びインク代の合計1万3840円(丙Cキ38),同年9月16日に電話インク,文具及び消耗品代6560円(丙Cキ42),同年10月14日に「ケイ・エー商会」に対して3万円(手数料を含む。丙Cキ43),同月28日に「文房創庫オーヤマ」に対して693円(丙Cキ44),同年11月7日にノートパソコンバッテリー(NEC)代8190円(丙Cキ45),同月16日にUSBハブ代1030円(丙Cキ46),同年12月4日に「文房創庫オーヤマ」に対して2431円(丙Cキ47),同月18日にプリンターインク代6950円(丙Cキ48),同月17日にパソコン代25万4800円(丙Cキ51),同月22日に「パソコン工房」に対して「BLW-54PM-PKU」代9219円(丙Cキ52),同月31日にノートパソコンのメモリー増設及び取付作業代1万7304円(丙Cキ53,弁論の全趣旨),同年2月3日にパワーポイントソフト代1万1801円(丙Cキ54),同月6日にレーザープリンター用トナー代4万7880円(丙Cキ55),同月8日に「文房創庫オーヤマ」に対して6101円(丙Cキ56),同月11日にDVDプレイヤー代4万9500円及びDVDメディア代2000円(丙Cキ57,138),同月24日にノートパソコンバッテリー(富士通)代1万2600円(丙Cキ58),同年3月11日にシステム手帳代1万1340円(丙Cキ59),同月21日にPC用紙代1350円(丙Cキ60),同月23日にデジタルプロジェクター代24万9900円(丙Cキ61)の合計77万4365円を支払った。
なお,上記支払のうち,「文房創庫オーヤマ」に対する,平成16年8月23日の1226円(丙Cキ106),同年11月22日の紙製品代189円(丙Cキ113),平成17年2月3日の2807円(丙Cキ123),同年10月28日の693円(丙Cキ44),同年12月4日の2431円(丙Cキ47),平成18年2月8日の6101円(丙Cキ56)は,支払先及び支払額からすれば,事務用品又は文具の代金であると認められる。また,平成18年1月22日の「パソコン工房」に対する「BLW-54PM-PKU」代9219円(丙Cキ52)は,支払先及び支払額からすれば,パソコン関連機器等の代金であると認められる。
しかし,上記支払のうち,平成17年2月6日の「Joshin」に対する支払のうち100円均一商品代100円(丙Cキ124,140),同年10月14日の「ケイ・エー商会」に対する3万円(手数料を含む。丙Cキ43)は,支払先が多様な商品を扱う店であることからすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A1議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に8万3891円(≒[25万1775円-100円]×1/3),平成17年度に24万8122円(≒[77万4365円-3万円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
b 原告らの主張について
(a) 原告らは,「文房創庫オーヤマ」に対する平成16年8月23日の1226円,同年11月30日の1382円,平成17年2月3日の2807円,同月24日の1622円,同年12月4日の2431円,平成18年2月8日の6101円の各支払(丙Cキ47,56,106,115,123,126)につき,過量に購入された文房具であり相当でない,又は別の商品が含まれていると主張する。しかし,その金額からすれば,過量であるとはいえないし,別の商品が含まれていることを示す証拠もないから,原告らの上記主張は採用できない。
(b) 原告らは,USBデータリンクケーブル及びレシーバー(丙Cキ99),WINDOWSソフト(一太郎)(丙Cキ114),WINDOWSソフト「EASYCD&DVDCREATO」,CD-RW,CD-R及び用紙(丙Cキ116),電子辞書(丙Cキ120,121,139),CDラジカセ(丙Cキ124,140),ストレージ機器(丙Cキ127,138),ファックス用紙(丙Cキ128),ICレコーダー,携帯ラジオ(丙Cキ129,138),インクリボン(丙Cキ33),CD-R及びCD・DVDケース(丙Cキ35,138),セキュリティソフト(丙Cキ37,101),ノートパソコンバッテリー(丙Cキ45,58),USBハブ(丙Cキ46),「BLW-54PM-PKU」(丙Cキ52),ノートパソコンのメモリー増設及び取付作業(丙Cキ53,105),パワーポイントソフト(丙Cキ54,138),システム手帳(丙Cキ59)が,調査研究に直接必要なものではないと主張する。しかし,これらの購入費は,いずれも議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(c) 原告らは,DVDプレイヤー(丙Cキ57,138)が一般家庭で普及しており,自宅のものを代用すれば足りると主張するが,政務調査用事務所におけるDVDプレイヤーの購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(d) 原告らは,デジタルプロジェクター(丙Cキ61)が議員個人の宣伝や政治活動の集会にも利用され,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,政務調査用事務所におけるデジタルプロジェクターの購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
また,原告らは,デジタルプロジェクターが政務調査費の支出が許されない高額な備品(乙A3)であると主張するが,その代金として24万9900円は社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(e) 原告らは,A1議員が既にNEC製のパソコンを所有していたから(丙Cキ45),新たに富士通製のパソコン(丙Cキ51)を購入する必要はなかったと主張する。しかし,補助参加人Z1は,NEC製のパソコンの型式が古く,重量が3.3kgもあったため,持ち運びが便利な1.37kgの小型軽量タイプで,多くの機能を備えた富士通製ノートパソコンを購入する必要があったなどと購入の必要性を具体的に主張しており,その主張には合理性があるといえるから,原告らの上記主張は採用できない。
(f) 原告らは,ノートパソコン(丙Cキ51)が政務調査費の支出が許されない高額な備品(乙A3)であると主張するが,その代金として25万4800円は社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(g) 原告らは,プリンター2台分のトナー及びインク(丙Cキ32,38,48,55,100,111,125),ノートパソコン2台分のバッテリー(丙Cキ45,58)が,調査研究に係る事務遂行に要する経費として社会通念上相当な範囲を逸脱しているし,政務調査費の支出が許されない環境整備費であると主張する。しかし,プリンター及びノートパソコン各2台の維持費は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) ホームページ制作費等について
a ホームページ制作費等について
A1議員は,ホームページ制作費等(サーバー代,プログラム改修費等を含む。)として,次のとおり支払をした。
(a) 「株式会社和通」に対し,平成16年9月30日に35万7000円(手数料を含む。丙Cキ107ないし110)を支払い,NTTコミュニケーションズ株式会社に対し,平成16年4月分の8715円,同年5月分ないし同年10月分の各5040円,同年11月分の3413円(丙Cキ89ないし96,135)の合計39万9368円を支払った。
(b) 「PCコンサルティング・インターネットデザイン・電子広告」を取り扱う「有限会社トリトン」に対し,平成17年8月24日に4万9140円(手数料含む。丙Cキ39ないし41),平成18年3月3日に2万6040円(手数料含む。丙Cキ26,134)の合計7万5180円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A1議員が,ホームページ制作費等につき,平成16年度に13万3123円(≒39万9368円×1/3),平成17年度に2万5060円(=7万5180円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
b 原告らの主張について
(a) 原告らは,ホームページが,内容の如何を問わず,ほとんど政治活動のためのものであると主張するが,ホームページ制作費等は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
また,原告らは,ホームページの制作費等が,政務調査費の支出が許されない高額な備品(乙A3)であると主張するが,その代金として2年間合計15万8183円(=13万3123円+2万5060円)は社会通念上相当であるから,採用できない。
(b) 原告らは,ホームページ制作の1年後に改修する必要はなかったと主張するが,その具体的根拠はないから,採用できない。
(エ) 郵便料金について
A1議員は,平成16年5月21日に郵便料金670円(丙Cキ97),平成17年1月11日に切手代2650円(丙Cキ98)の合計3320円を支払い,同年7月5日にはがき及び切手代7500円(丙Cキ27),同年11月24日にはがき代2万7500円(丙Cキ28),同年12月26日にはがき代1050円(丙Cキ29),同日に切手代1000円(丙Cキ30)の合計3万7050円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A1議員が,郵便料金につき,平成16年度に1107円(≒3320円×1/3),平成17年度に1万2350円(=3万7050円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,はがきを使用した「A1ニュース」(丙Cキ136,137)が,ほとんど政治活動のためのものであるなどとと主張する。しかし,その記載内容からすれば,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) デジタルカメラ代について
a デジタルカメラ代について
A1議員は,平成16年11月17日にデジタルカメラ代4万9800円(丙Cキ112),平成17年1月9日にコンパクトフラッシュカード代4880円,デジタルカメラ代11万8000円及びこれらの消費税6144円(丙Cキ118,119),同月20日にカメラのバッテリー代6020円(丙Cキ122),同年3月28日にカメラ用品代1600円及びその消費税80円(丙Cキ129,138)の合計18万6524円を支払い,平成18年1月14日にフラッシュメモリー代8100円(丙Cキ50,138)を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合のとおり(4分の1),A1議員が,上記デジタルカメラ代につき,平成16年度に4万6631円(≒18万6524円×1/4),平成17年度に2025円(=8100円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
b 原告らの主張について
(a) 原告らは,デジタルカメラを2台も購入する必要はなかったと主張する。しかし,補助参加人Z1は,コンパクトデジタルカメラと一眼レフデジタルカメラで,撮影の目的や対象に応じて使い分けるなどと購入の必要性を具体的に主張しており,その主張には合理性があると認められるから,原告らの上記主張は採用できない。
(b) 原告らは,デジタルカメラの予備バッテリーを購入する必要はなかったと主張する。しかし,予備バッテリーの購入費も,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(カ) 固定電話使用料について
A1議員は,固定電話(073-〈省略〉)の使用料として,次のとおり支払をした(丙Cキ5ないし23,66ないし86)。
(a) 平成16年3月分(支出時期を基準に区切ったもの)の1万5530円,同年4月分の7599円及び2087円,同年5月分の8593円,同年6月分の1万6440円及び3182円,同年7月分の9664円及び1522円,同年8月分の8700円及び1248円,同年9月分の6014円及び1216円,同年10月分の7994円及び1243円,同年11月分の5080円及び1462円,同年12月分の6164円及び1245円,平成17年1月分の7277円,同年2月分の5515円,同年3月分の951円(支出時期を基準に区切ったもの)の合計11万8726円を支払った。
(b) 平成17年3月分の5983円(支出時期を基準に区切ったもの),同年4月分の6862円及び2528円,同年5月分の4705円及び1092円,同年6月分の5977円及び1443円,同年7月分の5176円,同年8月分の5939円及び1530円,同年9月分の8670円,同年10月分の9467円及び1438円,同年11月分の1万0925円,同年12月分の7594円,平成18年1月分の4204円及び1363円,同年2月分の7606円,同年3月分の2411円の9万4913円を支払った(丙Cキ5ないし23,66ないし86)。
そして,上記(ア)の割合(4分の1)のとおり,A1議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に2万9682円(≒11万8726円×1/4),平成17年度に2万3728円(≒9万4913円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(キ) 携帯電話使用料等について
A1議員は,携帯電話(①090-〈省略〉,②090-〈省略〉)の使用料として,次のとおり支払をした(丙Cキ1ないし4,62ないし65)。
(a) 平成16年4月分の①2万1264円及び②3982円,同年5月分①2万2419円及び②4121円,同年6月分の①2万3525円及び②9532円,同年7月分の①3万5282円及び②1万2652円,同年8月分の①3万0266円及び②3989円,同年9月分の①1万6395円及び②6241円,同年10月分の①1万6579円及び②5108円,同年11月分の①1万7560円及び②5660円,同年12月分の①1万4916円及び②3692円,平成17年1月分の①1万4505円及び②3664円,同年2月分の①2万0157円及び②4648円,同年3月分の①1万2484円及び②9876円の合計31万8517円を支払った。
(b) 平成17年4月分の①1万7265円及び②4117円,同年5月分の①1万9320円及び②4581円,同年6月分の①2万2272円及び②3880円,同年7月分の①1万4861円及び②3949円,同年8月分の①1万8562円及び②5013円,同年9月分の①4万3605円及び②4540円,同年10月分の①3万8398円及び②3622円,同年11月分の①2万4731円及び②4077円,同年12月分の①1万4984円及び②5128円,平成18年1月分の①8673円及び②3780円,同年2月分の①1万0656円及び②3780円,同年3月分の①8683円及び②3780円の合計29万2257円を支払った(丙Cキ1ないし4,62ないし65)。
また,平成18年1月13日に携帯電話機(090-〈省略〉)及びその付属機器の代金1万9440円を支払った(丙Cキ49)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A1議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に7万9629円(≒31万8517円×1/4),平成17年度に7万7924円(≒[29万2257円+1万9440円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ク) インターネット使用料について
A1議員は,インターネット使用料として,平成16年4月分ないし同年6月分の各6000円,同年7月分ないし同年9月分の各5700円,同年10月分の4900円,同年11月分の4741円,同年12月分ないし平成17年3月分の各4900円の合計6万4341円を支払い,同年4月分から平成18年1月分の各4900円,同年2月分の2万1462円,同年3月分の7000円の合計7万7462円を支払った(丙Cキ24,25,87,88,131ないし132)。
なお,A1議員は,平成18年1月23日ころ,「株式会社ケイ・オプティコム」との間で,「eo64エア」というサービス(割引後の月額2100円)を契約しており(丙Cキ132,133),それに伴う工事又は手続費用等が発生したため,平成18年2月分の金額が他の月より高額になったと認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A1議員が,インターネット使用料につき,平成16年度に1万6085円(≒6万4341円×1/4),平成17年度に1万9366円(≒7万7462円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ まとめ
(ア) A1議員は,事務費として,平成16年度に123万3693円,平成17年度に127万0968円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計39万3148(=8万3891円+13万3123円+1107円+4万6631円+2万9682円+7万9629円+1万6085円)を超える84万0545円,平成17年度に支出許容額合計40万8575円(=24万8122円+2万5060円+1万2350円+2025円+2万3728円+7万7924円+1万9366円)を超える86万2393円を支出した部分は違法である。
(イ) よって,被告は,A1議員の相続人である補助参加人Z1に対し,平成16年度分42万0273円(=84万0545円×1/2)及び平成17年度分43万1197円(=86万2393円×1/2)の合計85万1469円,A8及びA9に対し,平成16年度分各21万0136円(=84万0545円×1/4)及び平成17年度分各21万5598円(=86万2393円×1/4)の合計各42万5734円の不当利得の返還を請求するべきである。
(8)  A10議員(以下「A10議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A10議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉所在のf1ビル3階)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会と併設されていた(甲ク5,6,乙Bク1,29の1・2)。
なお,「a党a4支部」,政治団体「d22会」,及び「d6会」は,自宅に設置されていた(甲A5の2・3)。
この点,A10議員は,選挙の時期以外には後援会活動はなく,チラシ(甲ク5)に後援会と自宅しか表示しなかったのは,「政務調査用事務所」という名称が一般には理解されないからであるなどと陳述するが(乙Eク25),いずれもその裏付けはないから,A10議員の上記陳述は信用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A10議員の政務調査用事務所の事務所費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務所管理費(水道料金及び共益料,ガス料金,冷暖房維持費)について
A10議員は,政務調査用事務所の①水道料金及び共益料,②ガス料金,③冷暖房維持費,④これらの消費税として,次のとおり支払をした(乙Bク5ないし28の各2,乙Eク25)。
a 平成16年4月に①1万1225円,②1586円,③2000円及び④661円,同年5月に①1万0998円,②1153円,③2000円及び④649円,同年6月に①1万0975円,②953円,③2000円及び④648円,同年7月に①1万0958円,②856円,③2000円及び④647円,同年8月に①1万0969円,②863円,③2000円及び④648円,同年9月に①1万0963円,②785円,③2000円及び④648円,同年10月に①1万0932円,②855円,③2000円及び④646円,同年11月に①1万0897円,②876円,③2000円及び④644円,同年12月に①1万0876円,②865円,③2000円及び④643円,平成17年1月に①1万0798円,②1527円,③2000円及び④639円,同年2月に①1万0782円,②1575円,③2000円及び④639円,同年3月に①1万0763円,②1783円,③2000円及び④638円の合計17万6563円を支払った。
b 平成17年4月に①1万0778円,②1625円,③2000円及び④638円,同年5月に①1万0759円,②953円,③2000円及び④637円,同年6月に①1万0683円,②845円,③2000円及び④634円,同年7月に①1万0678円,②851円,③2000円及び④633円,同年8月に①1万0657円,②843円,③2000円及び④632円,同年9月に①1万0635円,②765円,③2000円及び④631円,同年10月に①1万0648円,②867円,③2000円及び④632円,同年11月に①1万0623円,②885円,③2000円及び④631円,同年12月に①1万0618円,②1523円,③2000円及び④630円,平成18年1月に①1万0621円,②1985円,③2000円及び④631円,同年2月に①1万0656円,②2989円,③2000円及び④632円,同年3月に①1万0697円,②3994円,③2000円及び④634円の合計17万7773円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A10議員が,事務所管理費(水道料金及び共益料,ガス料金,冷暖房維持費)につき,平成16年度に8万8282円(≒17万6563円×1/2),平成17年度に8万8887円(≒17万7773円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 事務所賃料について
A10議員は,平成16年度及び平成17年度において,B24から,政務調査用事務所として,和歌山市〈以下省略〉所在のf1ビル3階3号室の事務室を,賃料月額3万6750円(消費税込み)で賃借し,平成16年4月分ないし平成18年3月分の賃料を支払った(乙Bク1ないし4,29の1・2,乙Eク25)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A10議員が,上記事務所賃料につき,平成16年度及び平成17年度に,それぞれ22万0500円(=3万6750円×12か月×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,A10議員が,政務調査費収支報告書の支出の内訳欄に「事務所管理費等」と記載したから(甲ク1,2),事務所管理費よりも高額の事務所賃料は,政務調査費の支出対象にしなかったと主張するが,このような例示の表現方法をもって政務調査費を支出しなかったと認めることはできないから,採用できない。
(エ) 駐車場使用料について
A10議員は,平成16年4月から平成18年3月までの間,それぞれ翌月使用分の政務調査用事務所の駐車場使用料として月額1万5750円を支払った(乙Bク5ないし28の各1,乙Eク25)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A10議員が,政務調査用事務所の駐車場使用料につき,平成16年度及び平成17年度に,それぞれ9万4500円(=1万5750円×12か月×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,A10議員が,政務調査費収支報告書の支出の内訳欄に「事務所管理費等」と記載したから(甲ク1,2),事務所管理費よりも高額の駐車場使用料は,政務調査費の支出対象にしなかったと主張するが,このような例示の表現方法をもって政務調査費を支出しなかったと認めることはできないから,採用できない。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A10議員の政務調査用事務所の事務費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 通信費について
A10議員は,政務調査用事務所の固定電話(073-〈省略〉)の使用料として,次のとおり支払をした(甲ク5,6,乙Cク1,2の1,3ないし8,9の1,10ないし12,13の1,14,15,16の1,17ないし20,21の1,22ないし24,乙Eク25)。
a 平成16年4月分の1万8043円,同年5月分の1万2417円,同年6月分の1万3076円,同年7月分の1万4715円,同年8月分の1万5740円,同年9月分の1万2237円,同年10月分の1万1820円,同年11月分の1万1830円,同年12月分の1万3331円,平成17年1月分の1万2885円,同年2月分の1万0848円,同年3月分の1万1943円の合計15万8785円を支払った。
b 平成17年4月分の1万2105円,同年5月分の1万1566円,同年6月分の9700円,同年7月分の1万1869円,同年8月分の1万0609円,同年9月分の1万1215円,同年10月分の1万1758円,同年11月分の9198円,同年12月分の1万0436円,平成18年1月分の1万0203円,同年2月分の1万2240円,同年3月分の1万1105円の合計13万2010円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A10議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に7万9443円(≒15万8785円×1/2),平成17年度に6万6005円(≒13万2010円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 事務器経費について
経費明細書(乙Eク1ないし24)のうち,日立クレジット及び和歌山ゼロックスに対する支払部分は,その体裁に照らし経費明細書が毎月作成されたものとうかがわれること,領収証等が存在する他の支払部分が正確であることにかんがみれば,信用できる。
したがって,A10議員は,事務器経費として,日立クレジットに対し,平成16年4月から平成18年3月までの間に月額1万9740円を支払ったと認められる。
また,A10議員は,和歌山ゼロックスに対し,平成16年4月に892円,同年5月に1240円,同年6月に892円,同年7月に892円,同年8月に6767円,同年9月に892円,同年10月に892円,同年11月に1954円,同年12月に892円,平成17年1月に892円,同年2月に892円,同年3月に892円の合計1万7989円を支払い,同年4月に2703円,同年5月に892円,同年6月に892円,同年7月に2453円,同年8月に5133円,同年9月に892円,同年10月に892円,同年11月に2570円,同年12月に892円,平成18年1月に892円,平成18年2月に2017円,同年3月に2017円の合計2万2245円を支払ったと認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A10議員が,上記事務器経費につき,平成16年度に12万7435円(≒[1万9740円×12+1万7989円]×1/2),平成17年度に12万9563円(≒[1万9740円×12+2万2245円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,A10議員が,政務調査費収支報告書の支出の内訳欄に「電信電話料等」と記載したから(甲ク1,2),通信費よりも高額の事務機経費は,政務調査費の支出対象にしなかったと主張するが,このような例示の表現方法をもって政務調査費を支出しなかったと認めることはできないから,採用できない。
(エ) 雑費について
A10議員は,平成16年5月5日にお茶代1560円(乙Cク2の2),同年12月15日に文具代4887円(乙Cク9の2,弁論の全趣旨)の合計6447円を支払い,平成17年4月3日にお茶代1490円(乙Cク13の2),同年7月5日に洗浄用スポンジ代384円(128円×3個[乙Cク16の2,Eク16,弁論の全趣旨]),同月15日に茶こし付きケトル代850円(乙Cク16の3),同年12月8日に「第117回大会ブロンズ」代4500円(乙Cク21の2)の合計7224円を支払った。
しかし,上記支出のうち,「第117回大会ブロンズ」代4500円は,「職場野球 表彰たて代金」(乙Eク21)であり,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A10議員が,上記雑費につき,平成16年度に3224円(≒6447円×1/2),平成17年度に1362円(≒[7224円-4500円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,洗浄用スポンジ3個や茶こし付きケトルが調査研究に直接必要なものではないと主張する。しかし,洗浄用スポンジ3個や茶こし付きケトルの購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるし,洗浄用スポンジの数として3個は社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A10議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
A10議員は,平成16年4月から平成18年3月までの間,賃金を月額8万円として,B25を雇用し,同人に対し,平成16年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額8万円を支払った(乙Bク1,Dク1,Eク1ないし25)。
この点,A10議員は,平成15年4月から平成16年3月までの間も,B25を雇用していたと陳述するが(乙Eク25),その裏付けはないから,信用できない。したがって,A10議員が,上記賃金につき,平成15年4月に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円を政務調査費から支出したことは違法である。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A10議員が,上記賃金につき,平成16年度及び平成17年度にそれぞれ48万円(=8万円×12か月×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
オ まとめ
(ア) A10議員は,事務所費として,平成16年度に81万9472円,平成17年度に72万6254円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計40万3282円(=8万8282円+22万0500円+9万4500円)を超える41万6190円,平成17年度に支出許容額合計40万3887円(=8万8887円+22万0500円+9万4500円)を超える32万2367円を支出した部分は違法である。
(イ) A10議員は,事務費として,平成16年度に38万3885円,平成17年度に47万0943円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計21万0102円(=7万9443円+12万7435円+3224円)を超える17万3783円,平成17年度に支出許容額合計19万6930円(=6万6005円+12万9563円+1362円)を超える27万4013円を支出した部分は違法である。
(ウ) A10議員は,人件費として,平成15年4月に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度及び平成17年度に各96万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度及び平成17年度に支出許容額各合計48万円を超える各48万円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A10議員に対し,平成15年4月分8万円,平成15年度分(同年4月を除く。)88万円,平成16年度分合計106万9973円(=41万6190円+17万3783円+48万円),平成17年度分合計107万6380円(=32万2367円+27万4013円+48万円)の総合計310万6353円の不当利得の返還を請求するべきである。
(9)  A11議員(以下「A11議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A11議員の政務調査用事務所(和歌山県田辺市〈以下省略〉)は,自宅に設置され,後援会,「a党○○支部」,「a党a5支部」及び政治団体「d7会」と併設されていた(甲A5の2・3,ケ10,乙Eケ3)。
この点,A11議員は,後援会はグラウンドゴルフや忘年会の実施及び会費の徴収等のための会議(毎年1回)を行う程度の団体であること,「a党○○支部」は党費を受け入れて県連へ納付するだけの団体であること,「a党a5支部」は法人からの献金の受け皿であることから,自宅では,議員としての調査研究以外のものは行っていなかったと陳述するが(乙Eケ3),その裏付けはないから,信用できない。
他方,原告らは,A11議員の自宅に政務調査用事務所が設置されていることを示すものはなかったし(甲ケ10),A11議員が自宅で県民から陳情を受け,情報交換をするなどしていたとしても,再選や支持を主たる目的としたものであるから,議員としての調査研究とはいえないなどと主張する。しかし,その具体的な根拠はないから,原告らの上記主張は採用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分について
A11議員の政務調査用事務所の自宅のものとは別の駐車場賃料については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 駐車場賃料の支出等について
A11議員は,平成15年度ないし平成17年度において,賃料を月額合計1万4000円として,和歌山県田辺市〈以下省略〉所在の駐車場2台分を賃借していた(乙Bケ1の1・2,乙Eケ3,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A11議員が,上記駐車場賃料につき,平成15年4月に2800円(=1万4000円×1/5),平成15年度(同年4月を除く。)に3万0800円(=1万4000円×11か月×1/5),平成16年度に3万3600円(=1万4000円×12か月×1/5),平成17年度に3万3600円(=1万4000円×12か月×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A11議員の政務調査用事務所の固定電話使用料,携帯電話使用料及び自動車の修理ないし車検の費用については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その6分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,文具代等については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A11議員は,自宅の固定電話や携帯電話を調査研究以外に利用することはほとんどなかったと陳述するが(乙Eケ3),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 平成14年度の事務費について
A11議員は,平成14年度において,車代50万円,自動車税3万4500円,車検代11万8000円を支払ったと陳述するが(甲ケ5),その裏付けはないから,信用できない。
(ウ) 平成15年4月以降の固定電話使用料について
A11議員は,固定電話(0739-〈省略〉,0739-〈省略〉,0739-〈省略〉)の3回線分の使用料として,平成15年4月分の5万8326円,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計20万6062円,同年4月分ないし平成18年3月分の合計29万7853円を支払った(乙Cケ2ないし4,Eケ3)。
そして,上記(ア)の按分割合(6分の1)のとおり,A11議員が,上記固定電話使用料につき,平成15年4月に9721円(=5万8326円×1/6),平成16年度に3万4344円(≒20万6062円×1/6),平成17年度に4万9642円(≒29万7853円×1/6)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,原告らは,3台分の固定電話が必要なものではないと主張するが,3台分の固定電話使用料も,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当である。したがって,原告らの上記主張は採用できない。
(エ) 平成15年4月以降の携帯電話使用料について
A11議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成15年4月分の7096円(乙Cケ12),平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計7万7703円(乙Cケ14,15),同年4月分ないし平成18年3月分の合計7万8456円(乙Cケ15,16)を支払った。
なお,平成17年6月分ないし平成18年3月分の使用料において,「ドコモ料金支払内訳書」(乙Cケ15,16)に表示された電話使用料は,「事前案内書兼領収証」(乙Cケ5の1ないし10)に表示された電話使用料と異なる。しかし,上記「ドコモ料金支払内訳書」の「記事欄」には「一括請求によるお支払い」との記載があることからすれば,複数の回線が使用されていたことがうかがわれるところ,上記書面に表示された電話使用料は,上記「事前案内書兼領収証」の「電話番号毎のご請求内訳をご確認ください」との記載(乙Cケ5の1ないし10)がいう電話番号毎の電話使用料,すなわち,上記携帯電話のみの使用料であると認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(6分の1)のとおり,A11議員が,上記携帯電話使用料につき,平成15年4月に1183円(≒7096円×1/6),平成16年度に1万2951円(≒7万7703円×1/6),平成17年度に1万3076円(≒7万8456円×1/6)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) 平成15年4月以降の自動車の修理ないし車検の費用について
A11議員は,南和総業株式会社に対し,自動車の修理又は車検の費用として,平成15年4月25日に4万9800円,平成16年8月30日に6万8612円を支払った(乙Cケ10,11,Eケ3)。
そして,上記(ア)の按分割合(6分の1)のとおり,A11議員が,自動車の修理又は車検の費用につき,平成15年4月に8300円(=4万9800円×1/6),平成16年度に1万1435円(≒6万8612円×1/6)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
なお,自動車の修理及び車検の費用は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念相当といえる。
(カ) 平成15年4月以降の文具代等について
A11議員は,卸問屋米喜に対し,平成17年4月11日に1万8771円,同月28日に3135円,同年7月11日に4200円,同年8月10日に3024円の合計2万9130円を支払った(乙Cケ6ないし9)。
なお,卸問屋米喜が「コクヨ全製品・三菱鉛筆特約店」であり,事務用品,学用文具,OA機器,包装資材を取り扱っていることや(乙Cケ6ないし9),上記支払額からすれば,上記支払は,文具代等と認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A11議員が,上記文具代等につき,平成17年度に5826円(=2万9130円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
A11議員は,平成15年4月以降,賃金を月額8万円として,A11議員の妻であるB26を雇用していたと陳述する(乙Eケ3)。しかし,その裏付けはないから,信用できない。
オ まとめ
(ア) A11議員は,事務所費として,平成15年4月に2万8000円,平成15年度(同年4月を除く。)に30万8000円,平成16年度に33万6000円,平成17年度に16万8000円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額2800円を超える2万5200円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計3万0800円を超える27万7200円,平成16年度に支出許容額合計3万3600円を超える30万2400円,平成17年度に支出許容額合計3万3600円を超える13万4400円を支出した部分は違法である。
(イ) A11議員は,事務費として,平成14年度に65万2500円(ただし,原告らが問題としている部分),平成15年4月に5万5369円,平成16年度に29万4747円,平成17年度に34万9286円の政務調査費を支出した(別紙1)。そのうち,平成14年度の65万2500円の支出は全額違法であり,平成15年4月に支出許容額合計1万9204(=9721円+1183円+8300円)を超える3万6165円,平成16年度に支出許容額合計5万8730円(=3万4344円+1万2951円+1万1435円)を超える23万6017円,平成17年度に支出許容額合計6万8544円(=4万9642円+1万3076円+5826円)を超える28万0742円を支出した部分は違法である。
(ウ) A11議員は,人件費として,平成15年4月に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度及び平成17年度に各96万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),これらの支出は全額違法である。
(エ) よって,被告は,A11議員に対し,平成14年度分65万2500円,平成15年4月分合計14万1365円(=2万5200円+3万6165円+8万円),平成15年度分(同年4月を除く。)合計115万7200円(=27万7200円+88万円),平成16年度分合計149万8417円(=30万2400円+23万6017円+96万円),平成17年度分合計137万5142円(=13万4400円+28万0742円+96万円)の総合計482万4624円の不当利得の返還を請求するべきである。
(10)  A12議員
ア 事務所の設置状況等について
A12議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,「a党a6支部」及び「d8会」と併設されていた(甲A5の2・3,乙Eコ1)。
この点,A12議員は,「a党a6支部」が,法人からの献金を受けるための団体であり,活動の実体はなかったと陳述するが(乙Eコ1),その裏付けはないから,信用できない。
イ 人件費について
A12議員が政務調査費収支報告書において,事務所費に計上した経費は,人件費に計上されるべきものであったから(弁論の全趣旨),以下,人件費として検討する。
(ア) 人件費の按分等について
A12議員は,「d8会」の人件費については,B27及びB28を雇用していたと陳述するところ(乙Dコ34,Eコ1),同人らの住所,生年月日,年齢及び電話番号も具体的に明らかにしており,信用できる。
したがって,A12議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
A12議員は,平成15年5月から平成18年3月までの間,賃金を月額10万円として,B29を雇用し,同人に対し,各月末日付けで賃金月額10万円を支払った(乙Dコ1ないし33,Eコ1)。
なお,平成16年4月及び平成17年4月の賃金の領収証はないが,平成15年5月から平成18年3月までの他の月につき,領収証が存在することからすれば,平成16年4月及び平成17年4月においても,他の月と同様に賃金10万円が支払われたと認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A12議員が,上記賃金につき,平成15年度(同年4月を除く。)に55万円(=10万円×11か月×1/2),平成16年度及び平成17年度に各60万円(=10万円×12か月×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,B29が「a党a6支部」に雇用されていたと主張するが,その主張を認める証拠はないから,採用できない。
また,原告らは,A12議員が3年間も誤って人件費を事務所費として計上していたというのは不自然であり,政務調査費収支報告書が修正されたのは監査の対象となった平成17年度のみであったから,A12議員は,実際にはB29に対し賃金を支払っていなかったと主張するが,上記説示のとおり,採用できない。
ウ まとめ
(ア) A12議員は,事務費及び人件費として,平成15年度(同年4月を除く。)ないし平成17年度において,各110万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計55万円を超える55万円,平成16年度及び平成17年度に支出許容額各合計60万円を超える各50万円を支出した部分は違法である。
(イ) よって,被告は,A12議員に対し,平成15年度分(同年4月を除く。)55万円,平成16年度分60万円,平成17年度分60万円の総合計175万円の不当利得の返還を請求するべきである。
(11)  A13議員
ア 事務所の設置状況等について
A13議員の政務調査用事務所(和歌山県海南市〈以下省略〉)は,自宅に設置されており,後援会,「a党a7支部」及び政治団体「d9会」と併設されていた(甲A5の2・3,乙Eサ1)。
この点,A13議員は,後援会及び「d9会」の活動実体はなかったと陳述するが(乙Eサ1),その裏付けはないから,信用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
a A13議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費及び切手代等については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたところ,A13議員は,「a党a7支部」の「備品・消耗品費」としても,平成16年度に119万円,平成17年度に17万円を支出した(甲サ5の2・3)
したがって,後述する事務用品・備品購入費及び切手代等に,上記「a党a7支部」の「備品・消耗品費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
この点,A13議員は,「a党a7支部」が光熱費及び大きな備品購入費等を負担していたから,政務調査費は,調査研究に係る事務遂行に要する経費以外に支出しなかったと陳述する(乙Eサ1)。他方,原告らは,「a党a7支部」が事務費を支出していたから,政務調査用事務所が負担した事務費はなかったと主張する。しかし,「a党a7支部」の「備品・消耗品費」の内訳は明らかではないから,A13議員の上記陳述は信用できないし,原告らの上記主張は採用できない。
b 通信費(固定電話使用料,ファックス用電話使用料及び携帯電話使用料)については,上記アのとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,後援会,「a党a7支部」及び「d9会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A13議員は,携帯電話を調査研究以外に利用することはほとんどなかったと陳述するが(乙Eサ1),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費及び切手代等について
a 事務用品・備品購入費について
A13議員は,事務用品・備品購入費として,次のとおり支払をした。
(a) 平成16年4月15日に地図代899円(乙Cサ39の2),同月23日にファックス用紙代2310円(乙Cサ39の1),同年6月9日に岡田デンキ工事店に対して1600円(乙Cサ39の3),同年7月5日にパソコンセキュリティソフト代6048円(乙Cサ39の4),同月25日にフロッピーディスク代580円(乙Cサ39の5),同年8月16日にファックス用紙代1160円(乙Cサ39の6),同年10月15日にファックス用紙代608円(乙Cサ39の8),同月22日に修正テープ代378円及びスペアテープ代189円(乙Cサ39の7),同年12月24日にファックス用紙代2640円及びプリンターのインク代4935円(乙Cサ39の9),平成17年1月11日に「文具・事務用品・OA機器 有限会社コニシ」に対して2万4150円(乙Cサ39の10),同年2月5日にビデオテープ代1800円(乙Cサ39の11),同月16日に「100円SHOPオリーブ」に対して200円(乙Cサ39の12),同日にパソコン代18万円及び増設メモリ代6069円(乙Cサ40の1・2),同日にDVD-RAM代500円(乙Cサ40の4),同年3月14日にビデオテープ代2200円(乙Cサ39の13),同月18日に携帯電話購入費1万3650円(乙Cサ40の3)の合計24万9916円を支払った。
(b) 平成17年4月27日にファックス用紙代1320円(乙Cサ14の3),同月28日にVHSテープ代1838円(乙Cサ14の2),同年5月6日に印刷費1万7325円(乙Cサ15の1,Eサ1),同月18日に地図代1890円及び雑誌代559円(乙Cサ15の2),同年6月23日にプリンターのインク代840円及びファックス用紙代1160円(乙Cサ16の4),同年7月4日にパソコンセキュリティソフト代4200円(乙Cサ17),同年8月22日に文具代5105円(乙Cサ18,Eサ1),同年9月6日にファックス用紙代2320円(乙Cサ19の2),同月12日にパソコン付属品代2780円(乙Cサ19の3),同年9月22日にパソコン代16万9798円(乙Cサ19の1),同年10月4日にプリンターのインク代6620円(乙Cサ20の2),同年11月30日に文具類代1478円(乙Cサ21の3,Eサ1),同年12月16日に地図代2310円(乙Cサ22の3),平成18年1月3日にパソコンのドライブ代1万5000円及びCD-RW代780円(乙Cサ23の2),同日にパソコンの配線器具代1280円(乙Cサ23の3,Eサ1),同月8日にパソコン関連品代3960円(乙Cサ23の1),同月22日にイヤホンマイク代2940円(乙Cサ23の4),同年2月24日にファックス用紙代2320円(乙Cサ24の3),同年3月3日にコピー用紙代228円(乙Cサ25の2),同年3月9日にパソコン関連品代4403円(乙Cサ25の1),同月13日に事務用封筒代88円(乙Cサ25の3)の合計25万0542円を支払った。
なお,上記支払のうち,平成16年6月9日の岡田デンキ工事店に対する1600円(乙Cサ39の3)は,被告が,事務所用電話子機の電池代であると主張しているところ,支払先及び支払額からすれば,そのとおり認められる。また,平成17年1月11日の「文具・事務用品・OA機器 有限会社コニシ」に対する2万4150円(乙Cサ39の10)は,被告が,コピー用紙,大型封筒,ペン,マジック等の事務用品・備品購入費であると主張しているところ,支払先からすれば,そのとおり認められる。
しかし,平成17年2月16日の「100円SHOPオリーブ」に対する200円(乙Cサ39の12)は,被告が,調査研究のための文具1点の代金100円を含むとしか主張していないから,A13議員が,他の100円に政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,平成16年8月16日及び同年10月15日のファックス用紙代に係る領収証(乙Cサ39の6・8)の会員番号が異なっているから,A13議員が購入したものではないと主張する。しかし,異なる会員カードで購入されたものであるからといって,調査研究に係る事務遂行に要する経費でないと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。また,同年7月25日のフロッピーディスク代に係る領収書(乙Cサ39の5)がB30宛てであることについても,同様である。
また,原告らは,2年連続で購入されたパソコン代が,調査研究に係る事務遂行に要する経費として,社会通念上相当な範囲を逸脱していると主張する。しかし,上記パソコン代は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
b 切手代等について
A13議員は,次のとおり切手代等の支払をした。
(a) 平成16年4月12日にはがき代5万円(乙Cサ38の1),同月14日にはがき代2万5000円及び交換手数料855円(乙Cサ38の2),同年5月6日にはがき代1万5000円(乙Cサ38の3),平成17年3月28日に切手代3万2000円及びはがき代5万円(乙Cサ38の4)の合計17万2855円を支払った。
(b) 平成17年4月7日に「EXPACK500」の料金1000円(乙Cサ14の1),同年6月3日に切手代1万1510円(乙Cサ16の2),同月8日に切手代3万2000円(乙Cサ16の1),同月22日に往復はがき代1000円(乙Cサ16の3),同年10月17日に「EXPACK500」の料金500円(乙Cサ20の1),同年11月8日に上山印刷所に対して7875円(乙Cサ21の1),同日にはがき代2万5000円(乙Cサ21の2),同年12月16日に切手代4万5000円(乙Cサ22の1・2),同月26日にはがき代3000円(乙Cサ22の5),同月28日にはがき代1500円(乙Cサ22の4),平成18年2月8日に切手代5万円(乙Cサ24の1),同月17日に郵便料金200円(乙Cサ24の2),同年3月9日に郵便料金140円(乙Cサ25の4)の合計17万8725円を支払った。
なお,上記支払のうち,平成17年11月8日の上山印刷所に対する7875円(乙Cサ21の1)は,A13議員が,封筒代込みの印刷費であると陳述するところ(乙Eサ1),支払先及び支払額からすれば,信用できる。
この点,原告らは,上記切手代等は高額であり,調査研究のためのものではなかったと主張する。しかし,上記切手代等は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
c まとめ
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき119万円を加えて4分の1,平成17年度につき17万円を加えて4分の1)のとおり,A13議員が,上記事務用品・備品購入費及び切手代等につき,平成16年度に40万3168円(=〔[24万9916円-100円+17万2855円]+119万円〕×1/4),平成17年度に14万9817円(≒〔[25万0542円+17万8725円]+17万円〕×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 固定電話及びファックス用電話の使用料について
A13議員は,固定電話及びファックス用電話の使用料につき,次のとおり支払をした。
a 固定電話(073-〈省略〉)の使用料として,
(a) 平成16年5月分の9636円,同年6月分の9189円,同年7月分の9506円,同年8月分の1万4198円,同年9月分の1万0638円,同年10月分の9874円,同年11月分の8442円,同年12月分の9173円,平成17年1月分の7393円,同年2月分の9285円,同年3月分の9438円の合計10万6772円を支払った。
(b) 平成17年4月分の9000円,同年5月分の1万2208円,同年6月分の8710円,同年7月分の7628円,同年8月分の1万1959円,同年9月分の2万4283円,同年10月分の1万5420円,同年11月分の9174円,同年12月分の9768円,平成18年1月分の9851円,同年2月分の1万5947円,同年3月分の1万0182円の合計14万4130円を支払った。
b ファックス用電話(073-〈省略〉)の使用料として,
(a) 平成16年5月分の4786円,同年6月分の4574円,同年7月分の5665円,同年8月分の5651円,同年9月分の4701円,同年10月分の4817円,同年11月分の4646円,同年12月分の4630円,平成17年1月分の4548円,同年2月分の4284円,同年3月分の4147円の合計5万2449円を支払った。
(b) 平成17年4月分の4192円,同年5月分の4365円,同年6月分の4125円,同年7月分の3908円,同年8月分の3915円,同年9月分の3920円,同年10月分の5883円,同年11月分の4006円,同年12月分の3956円,平成18年1月分の3933円,同年2月分の3907円,同年3月分の3915円の合計5万0025円を支払った。
(以上につき,乙Cサ1ないし12,26ないし36[枝番を含む。])
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A13議員が,平成16年度に3万1844円(≒[10万6772円+5万2449円]×1/5),平成17年度に3万8831円(=[14万4130円+5万0025]×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 携帯電話使用料について
A13議員は,携帯電話(①090-〈省略〉,②090-〈省略〉又は080-〈省略〉,③090-〈省略〉)の使用料として,次のとおり支払をした。
a 平成16年5月分の2万8873円(①1万9050円,②7198円,③2625円),同年6月分の1万1996円(①9371円,③2625円),同年7月分の1万0991円(①8366円,③2625円),同年8月分の1万2951円(①1万0326円,③2625円),同年9月分の1万2650円(①1万0141円,③2509円),同年10月分の1万1487円(①8978円,③2509円),同年11月分の1万4922円(①1万2413円,③2509円),同年12月分の1万2008円(①9499円,③2509円),平成17年1月分の10828円(①8319円,③2509円),同年2月分の1万1208円(①8489円,③2719円),同年3月分の1万3313円(①1万0804円,③2509円)の合計15万1227円を支払った。
b 平成17年4月分の1万7976円(①1万5362円,③2614円),同年5月分の2万3388円(①2万0788円,③2600円),同年6月分の1万8895円(①1万6349円,③2546円),同年7月分の1万5258円(①1万2541円,③2717円),同年8月分の2万0034円(①1万6139円,③3895円),同年9月分の1万8201円(①1万5692円,③2509円),同年10月分の1万8820円(①1万6311円,③2509円),同年11月分の1万6837円(①1万4328円,③2509円),同年12月分の1万3676円(①1万1167円,③2509円),平成18年1月分の1万5730円(①1万3207円,③2523円),同年2月分の1万4254円(①1万1640円,③2614円),同年3月分の1万3380円(①1万0871円,③2509円)の合計20万6449円を支払った。
(以上につき,乙Cサ13,37[枝番を含む。])
しかし,A13議員の携帯電話使用料は,「ファミリー割引」の適用対象であったから(乙Cサ13,37[枝番を含む。]),親回線ではない②及び③の携帯電話は,同議員の家族が使用する携帯電話であったと認められるから,上記支払のうち,これらの携帯電話使用料に係る平成16年度の3万5471円,平成17年度の3万2054円に政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A13議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に2万3151円(≒[15万1227円-3万5471円]×1/5),平成17年度に3万4879円(≒[20万6449円-3万2054円]×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A13議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたところ,A13議員は,「a党a7支部」の「人件費」としても,平成15年度に172万円,平成16年度に122万円,平成17年度に115万円を支出した(甲サ5の1ないし3)。
したがって,後述する人件費に,上記「a党a7支部」の「人件費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
この点,原告らは,「a党a7支部」が人件費を支出していたから,政務調査用事務所が負担した人件費はなかったと主張する。しかし,「a党a7支部」の「人件費」の内訳は明らかではないから,原告らの上記主張は採用できない。
(イ) 人件費の支出等について
A13議員は,平成15年4月1日から,勤務場所を「A13事務所」,業務内容を書類整理や陳情の聞き取り等,賃金を平成15年4月から平成17年3月までの間においては月額8万円,平成17年4月から平成18年3月までの間においては月額4万円として,A13議員の妻であるB30を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成17年3月分の賃金として月額8万円,平成17年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額4万円を支払った(乙Dサ1ないし4,6,7,Eサ1[枝番を含む。])。
また,A13議員は,親族であるB31を雇用し,同人に対し,平成15年9月12日付けで賃金として1万5000円,同年12月29日付けで賃金として2万1000円の合計3万6000円を支払い,平成16年6月から同年8月までの間の各20日付けで賃金としてそれぞれ1万5000円,同年9月20日付け及び平成17年2月20日付けで賃金としてそれぞれ2万円の合計8万5000円を支払った(乙Dサ5の1ないし5,8の1・2,Eサ1)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成15年度につき172万円を加えて4分の1,平成16年度につき122万円を加えて4分の1,平成17年度につき115万円を加えて4分の1)のとおり,A13議員が,上記賃金につき,平成15年4月に5万5833円(≒[8万円+172万円×1か月/12か月]×1/4),平成15年度(同年4月を除く。)に62万3166円(≒[8万円×11か月+3万6000円+172万円×11か月/12か月]×1/4),平成16年度に56万6250円(=[8万円×12か月+8万5000円+122万円]×1/4),平成17年度に40万7500円(=[4万円×12か月+115万円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ まとめ
(ア) A13議員は,事務費として,平成16年度に61万2972円,平成17年度に69万6215円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計45万8163円(=40万3168円+3万1844円+2万3151円)を超える15万4809円,平成17年度に支出許容額合計22万3527円(=14万9817円+3万8831円+3万4879円)を超える47万2688円を支出した部分は違法である。
(イ) A13議員は,人件費として,平成15年4月に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に91万6000円,平成16年度に104万5000円,平成17年度に48万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額合計5万5833円を超える2万4167円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計62万3166円を超える29万2834円,平成16年度に支出許容額合計56万6250円を超える47万8750円,平成17年度に支出許容額合計40万7500円を超える7万2500円を支出した部分は違法である。
(ウ) よって,被告は,A13議員に対し,平成15年4月分2万4167円,平成15年度(同年4月を除く。)分29万28343円,平成16年度分合計63万3559円(=15万4809円+47万8750円),平成17年度分合計54万5188円(=47万2688円+7万2500円)の総合計149万5748円の不当利得の返還を請求するべきである。
(12)  A14議員(以下「A14議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A14議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉所在のf2ビルの1室)は,自宅(和歌山県伊都郡〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,i産業株式会社,j商事和歌山営業所及び政治団体「d10会」と併設されていた(甲A5の3,シ5,乙Eシ1,弁論の全趣旨)。
この点,原告らは,A14議員が政務調査用事務所があったと陳述するビルの案内板等には,事務所名やA14議員の氏名の表示がなく,客観的に見て,A14議員の事務所が設置されていることを認識できない状態であった(甲シ12)から,政務調査用事務所があるとは認められないと主張する。しかし,外形上,政務調査事務所があると認識できないからといって,政務調査用事務所がないと断定的に認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
イ 事務所費について
A14議員は,平成17年度において,A14議員が代表者であった「d10会」(甲A5の3)から,賃料を月額4万円として,政務調査用事務所を賃借し,そのうち50%に政務調査費を支出したと陳述する(乙Eシ1)。
また,A14議員が,「d10会」に対し,平成17年4月分ないし平成18年3月分の事務所賃料として48万円(4万円×12か月)を支払った旨の記載がある平成18年3月31日付け領収証が存在する(乙Bシ1)。
さらに,「d10会」は,本件訴訟係属後の平成22年1月18日付けで,総務大臣及び和歌山県選挙管理委員会に対し,平成18年分の収支報告書について,「個人からの寄附」欄に計上したA14議員からの平成18年11月9日付け48万円を削除し,「その他の収入」欄に「事務所借上料の個人負担分」48万円を計上する旨の訂正願を提出した(甲シ10,乙Bシ2)。
しかし,上記事務所の賃貸借契約書はない(甲A3,弁論の全趣旨)。また,上記領収証の日付(平成18年3月31日)と上記寄附の日付(平成18年11月9日)とは,大きく異なる。さらに,平成17年4月分ないし平成18年3月分の賃料を上記収支報告書のとおり同年11月9日に支払ったというのは不自然である。したがって,A14議員の陳述等は信用できない。
そうすると,A14議員が,政務調査用事務所の賃料に政務調査費を支出したことは違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
a A14議員の政務調査用事務所の切手代等については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたところ,A14議員は,「d10会」の「備品・消耗品費」としても,平成16年度に142万3640円,平成17年度に220万1278円を支出した(甲シ11の2・3)。
したがって,後述する切手代等に,上記「d10会」の「備品・消耗品費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出したことは違法であるとするのが相当である。
この点,原告らは,「d10会」が事務費を支出していたから,政務調査用事務所が負担した事務費はなかったと主張する。しかし,「d10会」の「備品・消耗品費」の内訳は明らかではないから,原告らの上記主張は採用できない。
b A14議員の自宅の固定電話使用料については,私的以外に,調査研究にも利用されていたと認められるから(乙Eシ1),その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
c A14議員の携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,i産業株式会社,j商事和歌山営業所及び「d10会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A14議員は,携帯電話を調査研究以外に利用することはほとんどなかったと陳述するが(乙Eシ1),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 切手代等について
A14議員は,切手代等として,次のとおり支払をした。
a 平成16年4月16日に切手代等2万3560円(乙Cシ42の1),同年5月17日に切手代等3万4250円(乙Cシ42の2),同年6月9日に切手代等3万1460円(乙Cシ42の3),同年7月22日に切手代等1万7870円(乙Cシ42の4),同年8月10日に切手代等2万0910円(乙Cシ42の5),同年9月9日に切手代等1万5080円(乙Cシ42の6),同年10月13日に切手代等3万1210円(乙Cシ42の7),同年11月2日にはがき代1万5000円(乙Cシ42の11),同年11月12日に切手代等3万1660円(乙Cシ42の8),同年12月14日に切手代等2万3700円(乙Cシ42の9),平成17年3月22日にB32に対して切手等立替金4万7950円(乙Cシ42の10)の合計29万2650円を支払った。
b 平成17年4月28日に切手代3万円(乙Cシ16の2),同年5月2日に切手代1万円(乙Cシ16の3),同年12月5日に郵送料860円(乙Cシ16の1),平成18年2月24日に切手代2280円(乙Cシ16の4)の合計4万3140円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年度につき142万3640円を加えて4分の1,平成17年度につき220万1278円を加えて4分の1)のとおり,A14議員が,上記切手代等につき,平成16年度に42万9073円(≒[29万2650円+142万3640円]×1/4),平成17年度に56万1105円(≒[4万3140円+220万1278円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,上記切手代等は高額であり,調査研究のためのものではなかったと主張する。しかし,上記切手代等は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) 自宅の固定電話使用料について
A14議員は,自宅の固定電話2回線(①0736-〈省略〉,②0736-〈省略〉)の使用料として,次のとおり支払をした(乙Cシ2ないし13,17ないし28[枝番を含む。],Eシ1)。
a 平成16年4月分の①6832円及び②6940円,同年5月分の①6126円及び②8029円,同年6月分の①4563円及び②7735円,同年7月分の①5570円及び②9092円,同年8月分の①5779円及び②1万0540円,同年9月分の①5591円及び②8453円,同年10月分の①5579円及び②6612円,同年11月分の①5464円及び②6554円,同年12月分の①5422円及び②7278円,平成17年1月分の①7010円及び②6273円,同年2月分の①4305円及び②7998円,同年3月分の①4373円及び②7028円の合計15万9146円を支払った。
b 平成17年4月分の①4302円及び②6703円,同年5月分の①4323円及び②9580円,同年6月分の①4334円及び②6858円,同年7月分の①4392円及び②6102円,同年8月分の①5126円及び②7452円,同年9月分の①5707円及び②5888円,同年10月分の①4560円及び②6463円,同年11月分の①3991円及び②5777円,同年12月分の①3843円及び②6347円,平成18年1月分の①5676円及び②7382円,同年2月分の①3864円及び②6066円,同年3月分の①3958円及び②7095円の13万5789円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A14議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に7万9573円(=15万9146円×1/2),平成17年度に6万7895円(≒13万5789円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,A14議員の政務調査用事務所が,自宅に設置されていなかったから,自宅の固定電話は専ら私的に利用されたと主張する。しかし,A14議員が使用した自宅の固定電話の内容に調査研究に関するものが含まれていなかったとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
(エ) 携帯電話使用料について
A14議員は,携帯電話(①090-〈省略〉,②090-〈省略〉)の使用料として,次のとおり支払をした(乙Cシ15,29ないし41[枝番を含む。])。
a 平成16年4月分の①1万5719円及び②3197円,同年5月分の①8787円及び②2943円,同年6月分の①8363円及び②2845円,同年7月分の①9028円及び②2847円,同年8月分の①9188円及び②2845円,同年10月分の①1万0930円及び②2845円,同年11月分の①7623円及び②3286円,同年12月分の①6492円及び②2845円,平成17年1月分の①8730円及び②3188円,同年2月分の①1万0968円及び②5532円,同年3月分の①6714円及び②4341円の①合計10万2542円及び②合計3万6714円を支払い,同年4月分の①7242円及び②2803円を支払った。
b 平成16年9月分の①及び②の合計1万0038円,平成17年5月分の①及び②の合計1万3643円,同年6月分の①及び②の合計1万2141円,同年7月分の①及び②の合計1万3411円,同年8月分の①及び②の合計1万8909円,同年9月分の①及び②の合計1万3813円,同年10月分の①及び②の合計1万7166円,同年11月分の①及び②の合計1万2932円,同年12月分の①及び②の合計1万8267円,平成18年1月分の①及び②の合計1万5555円,同年2月分の①及び②の合計1万5284円,同年3月分の①及び②の合計1万4087円を支払った。
ところで,A14議員の携帯電話使用料は,「ファミリー割引」の適用対象であったから(乙Cシ15,29ないし41[枝番を含む。]),上記①及び②は,A14議員及びその家族が使用する携帯電話であるところ,そのうち親回線である上記①がA14議員の使用する携帯電話と認めるのが相当である。そして,上記①及び②の携帯電話の使用料の内訳が不明な上記bの支払については,その内訳が判明している上記aの①及び②の使用料比率に基づき,A14議員の携帯電話使用料を算出するのが相当である。
上記使用料比率をみると,上記aの支払のうちの①合計10万9784円(=10万2542円+7242円)と②合計3万9517円(=3万6714円+2803円)の比率は,73.53:26.47(≒10万9784円/[10万9784円+3万9517円]:3万9517円/[10万9784円+3万9517円])となる。
したがって,上記bの支払については,平成16年9月分は①が7381円で,②が2657円と認めるのが相当である。また,平成17年5月分は①が1万0032円で,②が3611円,同年6月分は①が8927円で,②が3214円,同年7月分は①が9861円で,②が3550円,同年8月分は①が1万3904円で,②が5005円,同年9月分は①が1万0157円で,②が3656円,同年10月分は①が1万2622円で,②が4544円,同年11月分は①が9509円で,②が3423円,同年12月分は①が1万3432円で,②が4835円,平成18年1月分は①が1万1438円で,②が4117円,同年2月分は①が1万1238円で,②が4046円,同年3月分は①が1万0358円で,②が3729円,以上の①の合計12万1478円,②の合計4万3730円と認めるのが相当である。
しかし,上記支払のうち親回線ではない②に係る平成16年度の合計3万9371円(=3万6714円+2657円),平成17年度の合計4万6533円(=2803円+4万3730円)に政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A14議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に2万1985円(≒[10万2542円+7381円]×1/5),平成17年度に2万5744円(=[7242円+12万1478円]×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A14議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたところ,A14議員は,「d10会」の「人件費」としても,平成15年度ないし平成17年度に各120万円を支出した(甲シ11の1ないし3)。
したがって,後述する人件費に,上記「d10会」の「人件費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
この点,被告は,「d10会」が後記(イ)のB32とは別の者を雇用していたと主張する。他方,原告らは,「d10会」が人件費を支出していたから,政務調査用事務所が負担した人件費はなかったと主張する。しかし,「d10会」の「人件費」の対象は明らかではないから,被告及び原告らの上記主張は採用できない。
(イ) 人件費の支出等について
A14議員は,平成15年4月から平成18年3月までの間,勤務場所を和歌山市〈以下省略〉,業務内容を「議員活動の政務調査事務等」,賃金を月額10万円(通勤費含む)として,B32を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額10万円を支払った(乙Dシ1ないし5[枝番を含む。])。
なお,平成17年8月分の賃金の領収証(乙Dシ2の5)には金額の記載がないが,雇用契約書及び他の月の領収証(乙Dシ1ないし5[枝番を含む。])の記載からすれば,A14議員は,B32に対し,平成17年8月分の賃金として,10万円を支払ったと認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(各年度につき,120万円を加えて4分の1)のとおり,A14議員が,平成15年4月に5万円(=[10万円+120万円×1か月/12か月]×1/4),平成15年度(同年4月を除く。)に55万円(=[10万円×11か月+120万円×11か月/12か月]×1/4),平成16年度及び平成17年度に各60万円(=[10万円×12か月+120万円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,A14議員が,B32の賃金の領収証(甲シ6ないし9[枝番を含む。])を複写して使い回していたから,実際は賃金を支払っていなかったと主張する。確かに,上記領収証の体裁や文字の形状からすれば,支払者及び受領者の氏名,受領者の住所,金額については複写されたものと認められる。しかし,領収証の日付,但し書き,「B32」の印影については複写されたものとは認められない。したがって,A14議員が,B32に対し,賃金を支払っていなかったとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
エ まとめ
(ア) A14議員は,事務所費として,平成17年度に24万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),その支出は違法である。
(イ) A14議員は,事務費として,平成16年度に61万7224円,平成17年度に35万4182円の政務調査費を支出した(別紙1)。そのうち,平成16年度に支出許容額合計53万0631円(=42万9073円+7万9573円+2万1985円)を超える8万6593円を支出した部分は違法であるか,平成17年度については,支出許容額合計65万4744円(=56万1105円+6万7895円+2万5744円)を超える違法支出はない。
(ウ) A14議員は,人件費として,平成15年4月に10万円,平成15年度(同年4月を除く。)に110万円,平成16年度及び平成17年度に各120万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額合計5万円を超える5万円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計55万円を超える55万円,平成16年度及び平成17年度に支出許容額各合計60万円を超える各60万円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A14議員に対し,平成15年4月分5万円,平成15年度(同年4月を除く。)分55万円,平成16年度分合計68万6593円(=8万6593円+60万円),平成17年度分合計84万円(=24万円+60万円)の総合計212万6593円の不当利得の返還を請求するべきである。
(13)  A15議員(以下「A15議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
(ア) A15議員の政務調査用事務所は,A15議員の自宅(和歌山県橋本市〈以下省略〉)の敷地内の別棟に設置され,後援会と併設されていた(甲A3,5の3,乙Eス1)。
(イ) A15議員は,平成17年3月28日,橋本市長選挙に立候補することを表明し,同年5月11日,和歌山県議会議員を辞職した(甲ス5ないし8,弁論の全趣旨)。
ところで,県議会議員が他の選挙に立候補する場合,その表明以前から準備をすることが通常と認められ,その期間は3か月と認めるのが相当であり,選挙用事務所で準備を行った等の特段の事情が認められない限り,選挙の準備は政務調査用事務所で行われたと推認するべきである。そして,A15議員について,上記特段の事情は認められない。したがって,A15議員は,平成17年1月以降,政務調査用事務所において,橋本市長選挙への立候補準備も行っていたと認められる。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
まず,A15議員の政務調査用事務所の平成16年12月以前の電気料金,灯油代及びロッカー購入費については,上記ア(ア)のとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,平成16年12月以前のガス料金及び水道料金については,政務調査用事務所のガス及び水道の検針メーターがA15議員の自宅のものと兼用されていたから(乙Eス1),社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
次に,平成17年1月以降の電気料金及び灯油代については,上記ア(イ)のとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,後援会の活動や選挙の準備にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,平成17年1月以降のガス料金及び水道料金については,政務調査用事務所のガス及び水道の検針メーターがA15議員の自宅のものと兼用されていたから(乙Eス1),社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務所備品修繕等について
A15議員は,平成16年度に,事務所備品修繕費等2万8326円を支払ったところ,平成19年1月20日に事務所を整理した際に領収証等を焼却したと陳述するが(乙Eス1),その裏付けはないから,信用できない。
(ウ) 電気料金について
a A15議員は,①お客様番号が「〈省略〉」の契約に係る電気料金として,平成16年4月分の7305円,同年5月分の4967円,同年6月分の5065円,同年7月分の5650円,同年8月分の9634円,同年9月分の7803円,同年10月分の7272円,同年11月分の5465円,同年12月分の5489円の合計5万8650円を支払い,平成17年1月分の7199円,同年2月分の5466円,同年3月分の5835円の合計1万8500円を支払い,同年4月分の7273円,同年5月分の8113円の合計1万5386円を支払った(乙Bス1)。
b また,A15議員は,②お客様番号が「〈省略〉」の契約に係る電気料金としても,平成16年4月分の1万4554円,同年5月分の1万2356円,同年6月分の1万1937円,同年7月分の1万3821円,同年8月分の1万9185円,同年9月分の1万6647円,同年10月分の1万2926円,同年11月分の1万2269円,同年12月分の1万7477円,平成17年1月分の2万1064円,同年2月分の1万6891円,同年3月分の1万6152円,同年4月分の2万0270円,同年5月分の2万1902円を支払った(乙Bス2)。
c ところで,A15議員は,上記①が政務調査用事務所のもので,上記②が自宅のものであると陳述するところ(乙Bス2),上記ア(ア)のとおり,A15議員の政務調査用事務所が,自宅敷地内の別棟に設置されていたこと,上記①よりも上記②の方が高額であることからすれば,A15議員の上記陳述は信用できる。したがって,上記①が政務調査用事務所のものと認められる。
他方,原告らは,上記①も自宅のものであると主張するが,これを裏付ける証拠はないから,採用できない。
d そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前は2分の1,平成17年1月以降は3分の1)のとおり,A15議員が,上記電気料金につき,平成16年度に3万5492円(≒5万8650円×1/2+1万8500円×1/3),平成17年度に5129円(≒1万5386円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 灯油代について
A15議員は,政務調査用事務所の灯油代として,平成16年11月分の4366円,同年12月分の1万1044円の合計1万5410円を支払い,平成17年1月分の4980円,同年2月分の1万0560円,同年3月分の5520円の合計2万1060円を支払い,同年4月分の4662円を支払った(乙Bス3,Eス1)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前は2分の1,平成17年1月以降は3分の1)のとおり,A15議員が,上記灯油代につき,平成16年度に1万4725円(=1万5410円×1/2+2万1060円×1/3),平成17年度に1554円(=4662円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,灯油は調査研究に直接必要なものではないと主張するが,灯油代は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
また,原告らは,灯油がA15議員の自宅に配達されていたから,政務調査用事務所のものではなかったと主張する。しかし,A15議員の政務調査用事務所が,自宅敷地内の別棟に設置されていたことからすれば,配達場所が政務調査用事務所でないからといって,その使途が政務調査用事務所のものでないと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
さらに,原告らは,平成17年4月及び同年5月に暖房の必要はなかったと主張する。しかし,①「センター処理日」が平成17年4月1日とされている灯油代5520円については,「処理日」が同年3月10日とされ,②「センター処理日」が同年5月1日とされている灯油代4662円については,「処理日」が同年4月4日とされている(乙Bス3)ところ,「センター処理日」は紀北川上農業協同組合における会計処理日であり,現実の購入日は「処理日」であると認められるから,上記①及び②の灯油は,それぞれ同年3月下旬及び4月上旬に使用されたと認められる。したがって,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) ロッカー購入費について
A15議員は,平成16年5月20日,スチール書庫2個の代金として5万8000円を支払った(乙Bス5の1・2)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前であるため2分の1)のとおり,A15議員が,上記スチール書庫の代金につき,平成16年度に2万9000円(=5万8000円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,事務費に当たるロッカー購入費に,事務所費として政務調査費を支出することは許されないと主張する。しかし,政務調査費収支報告書に計上する使途を誤ったからといって,政務調査費の支出が違法であると認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,ロッカーは調査研究に直接必要なものではないと主張するが,ロッカーの購入費は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(カ) ガス料金について
A15議員は,政務調査用事務所のガス料金として,平成16年4月分の2403円,同年5月分の3177円,同年6月分の2575円,同年7月分の2618円,同年8月分の3226円,同年9月分の2919円,同年10月分の2833円,同年11月分の2919円,同年12月分の2532円の合計2万5202円を支払い,平成17年1月分の2575円,同年2月分の3005円,同年3月分の2446円の合計8026円を支払い,同年4月分の3091円,同年5月分の3048円の合計6139円を支払った(乙Bス3,Eス1)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前は3分の1,平成17年1月以降は4分の1)のとおり,A15議員が,上記ガス料金につき,平成16年度に1万0408円(≒2万5202円×1/3+8026円×1/4),平成17年度に1535円(≒6139円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,ガスが調査研究に直接必要なものではないなどと主張するが,ガス料金は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(キ) 上下水道料金について
A15議員は,事務所の上下水道料金として,平成16年4月分の9083円,同年5月分の8497円,同年6月分の1万0548円,同年7月分の9376円,同年8月分の1万1720円,同年9月分の1万0548円,同年10月分の9376円,同年11月分の8790円,同年12月分の8790円の合計8万6728円を支払い,平成17年1月分の6739円,同年2月分の7618円,同年3月分の6153円の合計2万0510円を支払い,同年4月分の8204円,同年5月分の1万0548円の合計1万8752円を支払った(乙Bス4,Eス1)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前は3分の1,平成17年1月以降は4分の1)のとおり,A15議員が,上記上下水道料金につき,平成16年度に3万4037円(≒8万6728円×1/3+2万0510円×1/4),平成17年度に4688円(=1万8752円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,水道は調査研究に直接必要なものではないなどと主張するが,水道料金は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
まず,A15議員の政務調査用事務所の平成16年12月以前の事務用品・備品購入費,固定電話使用料,ファックス用電話使用料については,上記ア(ア)のとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,平成16年12月以前の携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会の活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
次に,平成17年1月以降の事務用品・備品購入費,固定電話使用料,ファックス用電話使用料については,上記ア(イ)のとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,後援会の活動や選挙の準備にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,平成17年1月以降のの携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会の活動や選挙の準備,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 文具類代について
A15議員は,平成16年度に,コピー用紙等文具類代15万0748円を支払ったところ,平成19年1月20日に事務所を整理した際に領収書等を焼却したと陳述するが(乙Eス1),その裏付けはないから,信用できない。
(ウ) 郵便料金について
A15議員は,平成17年1月7日,7406通分の郵便料金40万9640円を支払った(乙Cス8)。
しかし,上記支払は,上記アのとおりA15議員が和歌山県橋本市長選挙の準備を開始した平成17年1月以降のものであり,その数量が多いことに加えて,A15議員から政務調査用に使用したとの合理的な説明がないことからすれば,選挙活動のものであって,調査研究に係る事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
(エ) 事務用品・備品購入費について
A15議員は,平成16年8月3日にコピートナー代1万8900円(乙Cス9),同月4日にコピートナー代1万8900円(乙Cス9)の合計3万7800円を支払い,平成17年3月4日にコピートナー代3万7800円(乙Cス9)を支払い,同年4月22日にパソコン代15万4080円(乙Cス6),同日のファックス紙代1470円(乙Cス7),同月28日のファックス機代3万1290円(税込み)及びインクフィルム代2415円(税込み。実際の支払額は合計額から49円を値引きした額である。乙Cス7)並びに同年5月2日の「ツギ線 1500W用」代1774円(乙Cス7)の合計19万0980円を支払った。
しかし,上記支払のうち,平成17年4月22日のパソコン代及び同月28日のファックス機代及びこれに係るインクフィルム代の合計18万7736円(=15万4080円+3万1290円+2415円-49円)は,相当長期間の調査研究を前提とする事務用品・備品購入費であるところ,その支払は,上記アのとおりA15議員が橋本市長選挙に立候補を表明した平成17年3月28日以降のものである。したがって,上記購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当なものと認められず,これに政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前は2分の1,平成17年1月以降は3分の1)のとおり,A15議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に3万1500円(=3万7800円×1/2+3万7800円×1/3),平成17年度に1081円(=[19万0980円-18万7736円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,コピートナーを2日連続で購入する必要はなかったいと主張する。しかし,コピートナー2個の購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) 固定電話使用料について
A15議員は,事務所の固定電話(0736-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月使用分の1万6824円,同年5月使用分の1万0683円,同年6月使用分の1万3143円,同年7月使用分の1万1120円,同年8月使用分の1万2153円,同年9月使用分の1万5361円,同年10月使用分の1万1574円,同年11月使用分の9560円,同年12月使用分の7985円の合計10万8403円を支払い,平成17年1月使用分の1万4483円,同年2月使用分の1万2826円,同年3月使用分の2万2136円の合計4万9445円を支払い,同年4月使用分の3万2831円,同年5月使用分の4万1439円の合計7万4270円を支払った(乙Cス1,2,Eス1)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前は2分の1,平成17年1月以降は3分の1)のとおり,A15議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に7万0684円(=10万8403円×1/2+4万9445円×1/3),平成17年度に2万4757円(=7万4270円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(カ) ファックス用電話使用料について
A15議員は,事務所のファックス用電話(0736-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月使用分の1530円,同年5月使用分の1522円,同年6月使用分の1642円,同年7月使用分の2081円,同年8月使用分の1705円,同年9月使用分の3059円,同年10月使用分の1736円,同年11月使用分の1610円,同年12月使用分の1522円の合計1万6407円を支払い,平成17年1月使用分の1596円,同年2月使用分の1815円,同年3月使用分の4133円の合計7544円を支払い,同年4月使用分の3014円,同年5月使用分の1万1685円の合計1万4699円を支払った(乙Cス3,4,Eス1)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前は2分の1,平成17年1月以降は3分の1)のとおり,A15議員が,上記ファックス用電話使用料につき,平成16年度に1万0719円(=1万6407円×1/2+7544円×1/3),平成17年度に4900円(=1万4699円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(キ) 携帯電話使用料について
A15議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月使用分の4466円,同年5月使用分の3672円,同年6月使用分の3555円,同年7月使用分の4466円,同年8月使用分の4569円,同年9月使用分の3433円,同年10月使用分の3735円,同年11月使用分の3467円,同年12月使用分の3540円の合計3万4903円を支払い,平成17年1月使用分の3433円,同年2月使用分の3544円,同年3月使用分の4187円の合計1万1164円を支払い,同年4月使用分の4657円,同年5月使用分の4481円の合計9138円を支払った(乙Cス5)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前は3分の1,平成17年1月以降は4分の1)のとおり,A15議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に1万4425円(≒3万4903円×1/3+1万1164円×1/4),平成17年度に2285円(≒9138円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
まず,A15議員の政務調査用事務所の平成16年12月以前の人件費については,上記ア(ア)のとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
次に,平成17年1月以降の人件費については,上記ア(イ)のとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,後援会の活動や選挙の準備にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
a B33
A15議員は,平成15年度ないし平成17年度において,勤務場所を和歌山県橋本市〈以下省略〉,業務内容を和歌山県議会議員活動に伴う調査研究及び資料作成作業補助事務,賃金を1日5000円として,A15議員の長男の妻であるB33を雇用し,その賃金として,平成15年4月分の4万円,平成15年5月分ないし平成16年3月分の45万7500円,平成16年4月分ないし平成17年3月分の57万円,平成17年4月分及び同年5月分の9万円を支払った(乙Dス1,2,Eス1)。
なお,平成17年1月分ないし同年3月分の賃金額が不明であるため,平成16年4月分ないし平成17年3月分の賃金合計額から平均をとって按分し,平成16年4月分ないし平成17年3月分の支払額57万円のうち,平成16年4月分ないし平成16年12月分は,42万7500円(=57万円×9か月/12か月),平成17年1月分ないし同年3月分は,14万2500円(=57万円×3か月/12か月)と認める。
b B34
A15議員は,平成15年度ないし平成17年度において,賃金を平成15年4月から平成16年3月までの間は1日5000円,平成16年4月から平成17年5月までの間は1日6000円として,B34を雇用し,その賃金として,平成15年4月分の10万5000円,平成15年5月分ないし平成16年3月分の91万5000円,平成16年4月分ないし平成17年3月分の137万1000円,平成17年4月分及び同年5月分の21万6000円を支払った(乙Dス3,Eス1)。
なお,平成17年1月分ないし同年3月分の賃金額が不明であるため,平成16年4月分ないし平成17年3月分の賃金合計額から平均をとって按分し,平成16年4月分ないし平成17年3月分の支払額137万1000円のうち,平成16年4月分ないし平成16年12月分は,102万8250円(=137万1000円×9か月/12か月),平成17年1月分ないし同年3月分は,34万2750円(=137万1000円×3か月/12か月)と認める。
c そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前は2分の1,平成17年1月以降は3分の1)のとおり,A15議員が,上記人件費のうち,平成15年4月に7万2500円(=[4万円+10万5000円]×1/2),平成15年度(同年4月を除く。)に68万6250円(=[45万7500円+91万5000円]×1/2),平成16年度に88万9625円(=[42万7500円+102万8250円]×1/2+[14万2500円+34万2750円]×1/3),平成17年度に10万2000円(=[9万円+21万6000円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,被用者を複数雇用する必要はなかったなどと主張する。しかし,上記アのとおりのA15議員の政務調査用事務所の設置状況からすれば,A15議員の被用者は,調査研究以外の事務にも従事していたと認められるから,複数の被用者が雇用されていたことが不自然とはいえず,その人数や賃金額に不当な点は認められない。したがって,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A15議員は,事務所費として,平成16年度に17万1228円,平成17年度に1万3800円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計12万3662円(=3万5492円+1万4725円+2万9000円+1万0408円+3万4037円)を超える4万7566円,平成17年度に支出許容額合計1万2906円(=5129円+1554円+1535円+4688円)を超える894円を支出した部分は違法である。
(イ) A15議員は,事務費として,平成16年度に68万1812円,平成17年度に12万4000円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計12万7328円(=3万1500円+7万0684円+1万0719円+1万4425円)を超える55万4484円,平成17年度に支出許容額合計3万3023円(=1081円+2万4757円+4900円+2285円)を超える9万0977円を支出した部分は違法である。
(ウ) A15議員は,人件費として,平成15年4月に11万6000円,平成15年度(同年4月を除く。)に109万8000円,平成16年度に155万3000円,平成17年度に24万5000円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額合計7万2500円を超える4万3500円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計68万6250円を超える41万1750円,平成16年度に支出許容額合計88万9625円を超える66万3375円,平成17年度に支出許容額合計10万2000円を超える14万3000円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A15議員に対し,平成15年4月分4万3500円,平成15年度分(同年4月を除く。)41万1750円,平成16年度分合計126万5425円(=4万7566円+55万4484円+66万3375円),平成17年度分合計23万4871円(=894円+9万0977円+14万3000円)の総合計195万5546円の不当利得の返還を請求するべきである。
(14)  A16議員(以下「A16議員」という。)
ア A16議員は,平成19年8月16日,隣家から出火した火災により,自宅敷地内にあったk株式会社の事務所等が焼失した際,政務調査費の証拠書類等も焼失した上,政務調査費の経理を行っていたB35が平成18年7月17日に死亡したと陳述する(乙Eソ1)。しかし,その裏付けはないから,A16議員の上記陳述は信用できない。
イ A16議員は,事務所費として,平成16年度に12万5000円,平成17年度に28万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),これらの支出はいずれも違法である。
ウ A16議員は,事務費として,平成16年度に5万円,平成17年度に12万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),これらの支出はいずれも違法である。
エ A16議員は,人件費として,平成15年4月に10万円,平成15年度(同年4月を除く。)に114万2000円,平成16年度に126万2000円,平成17年度に131万5000円の政務調査費を支出したところ(別紙1),これらの支出はいずれも違法である。
オ よって,被告は,A16議員に対し,平成15年4月分10万円,平成15年度分(同年4月を除く。)114万2000円,平成16年度分合計143万7000円(=12万5000円+5万円+126万2000円),平成17年度分合計171万5000円(=28万円+12万円+131万5000円)の総合計439万4000円の不当利得の返還を請求するべきである。
(15)  A17議員(以下「A17議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A17議員の政務調査用事務所(①和歌山県日高郡〈以下省略〉,②同郡〈以下省略〉,③同郡〈以下省略〉)は,A17議員の自宅(和歌山県日高郡〈以下省略〉)とは別の場所に設置されていた(甲タ4,乙Bタ1ないし4,Eタ1,弁論の全趣旨)。
また,上記①の事務所は,後援会,株式会社l農園(以下「l農園」という。)及び株式会社m建設(以下「m建設」という。)と併設されていた(甲A5の3,甲タ3)。
なお,m建設は,自宅にも設置され(甲タ4,乙Cタ3ないし13),「a党a8支部」は,A17議員の自宅に設置されていた(甲A5の2)。
この点,被告は,m建設が平成11年ころから休眠状態であったと主張するが,これを裏付ける証拠はないから,採用できない。
他方,原告らは,住宅地図において,和歌山県日高郡〈以下省略〉には,l農園とm建設の表示があったのに,政務調査用事務所の表示はなかったから(甲タ3),政務調査用事務所は存在しなかったなどと主張する。しかし,住宅地図に表示されていなかったからといって,政務調査用事務所が存在しなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,複数の事務所が設置されていたのは政治活動のためであったなどと主張するが,具体的な根拠はないから,採用できない。
イ 事務所費について
A17議員は,上記②の事務所につき,管理者であったB36に対し,平成17年8月30日に光熱費その他2万4000円,同年9月30日に同年4月分ないし同年9月分の賃料18万円,同年12月30日に光熱費その他2万4000円,平成18年3月30日に平成17年10月分ないし平成18年3月分の賃料18万円を支払ったと陳述する(乙Eタ1)。
しかし,上記②の事務所の建物賃貸借契約書や,光熱費等の支払に関する契約書はない。また,A17議員がB36宛てに6か月分をまとめて支払った旨の領収証が作成されているが(乙Bタ1ないし4),B36は,A17議員が上記②の事務所で雇用していた者であり,上記②の事務所の建物等の所有者はB37であったこと(乙Dタ1,4[枝番を含む。],Eタ1,弁論の全趣旨)からすれば,不自然である。
したがって,A17議員の陳述等は信用できず,A17議員が,政務調査用事務所の賃料等に政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
上記①の事務所の事務費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
上記②及び③の事務所の事務費については,上記アのとおり他の目的のものが併設されていなかった事務所で使用されたから,按分して政務調査費を支出する必要は認められない。
上記①ないし③の事務所のいずれの事務費か明らかでないものについては,全ての事務所の事務費と認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の3を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会,m建設,l農園及び「a党a8支部」の各活動や,私的に利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その6分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A17議員は,携帯電話を調査研究以外に利用することはほとんどなかったと陳述するが(乙Eタ1),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) パソコン代について
A17議員は,平成17年6月15日,上記①の事務所のパソコン代16万円を支払った(乙Cタ1,Eタ1)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A17議員が,上記パソコン代につき,平成17年度に4万円(=16万円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) コピー機代について
A17議員は,上記②の事務所の1台のコピー機代として,平成16年8月10日に17万円,同年10月10日に20万円の合計37万円を支払った(乙Cタ16の1・2,Eタ1)。
上記コピー機代は,議員が行う調査研究に係る事務遂行に係る経費として社会通念上相当であるから,その支出は全額適法である。
この点,原告らは,コピー機が政務調査費を支出することが許されない高額な備品(乙A3)であると主張するが,その代金として37万円は社会通念上相当であるから,採用できない。
(エ) 文書作成委託費について
A17議員は,上記①ないし③の事務所のいずれの事務費か明らかでないワープロ入力サービス代として,平成16年9月4日に1万6500円,同月23日に6000円,平成17年2月28日に2000円の合計2万4500円を支払った(乙Cタ14の1ないし3)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の3)のとおり,A17議員が,上記ワープロ入力サービス代につき,平成16年度に1万8375円(=2万4500円×3/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) コピー作業費について
A17議員は,上記①ないし③の事務所のいずれの事務費か明らかでないコピー作業費として,A17議員の妻であるB38に対し,平成16年4月30日,同年5月31日,同年6月30日,同年7月31日,同年8月31日,同年9月30日,同年10月31日,同年11月30日,同年12月30日,平成17年1月31日,同年2月26日,同年3月31日にそれぞれ1万円の合計12万円を支払った(乙Cタ15の1ないし12,Eタ1,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の3)のとおり,A17議員が,上記コピー作業費につき,平成16年度に9万円(=12万円×3/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,支払日のほとんどが毎月末であったから,コピー作業費ではなかったと主張するが,具体的な根拠はないから,採用できない。
(カ) 携帯電話使用料について
A17議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の4万2869円,同年5月分の3万8666円,同年6月分の3万2367円,同年7月分の3万3744円,同年8月分の3万2831円,同年9月分の2万9643円,同年10月分の3万7726円,同年11月分の5万2707円,同年12月分の3万6286円,平成17年1月分の3万4660円,同年2月分の2万9260円,同年3月分の3万0870円の合計43万1629円を支払った(乙Cタ3ないし13)。
そして,上記(ア)の按分割合(6分の1)のとおり,A17議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に7万1938円(≒43万1629円×1/6)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,携帯電話使用料の事前案内書兼領収証の宛先がm建設であるから(乙Cタ3ないし8),携帯電話使用料に政務調査費を支出することは許されないと主張する。しかし,携帯電話使用料は,上記アのとおりの事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当といえるから,原告らの上記主張は採用できない。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
上記①の事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
上記②及び③の事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設されていなかった事務所で雇用されたから,按分して政務調査費を支出する必要は認められない。
(イ) 人件費の支出等について
a B39
A17議員は,上記①の事務所において,B39を雇用し,同人に対し,平成16年11月に1万円を支払い,平成17年4月ないし平成18年3月の各28日にそれぞれ2万円の合計24万円を支払った(乙D3の1ないし12,6,Eタ1)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A17議員が,平成16年度に2500円(=1万円×1/4),平成17年度に6万円(=24万円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
b B36
A17議員は,上記②の事務所において,B36を雇用し,同人に対し,平成16年6月30日,同年9月27日,同年12月28日,平成17年2月28日にそれぞれ6万円の合計24万円を支払い,同年4月ないし平成18年3月の各末日にそれぞれ2万円の合計24万円を支払った(乙Dタ1の1ないし12,4の1ないし4,Eタ1)。
そして,上記(ア)のとおり,上記②の事務所の人件費については,按分の必要はなく,上記支払は全額適法である。
この点,原告らは,賃金の支払が3か月分の後払い又は1か月分の前払いとなっていたことや,領収証の領収者欄に,B36の氏名の上に上記②の事務所の所在地が記入されていること(乙Dタ1の1ないし12,4の1ないし4)から,A17議員が賃金を支払った事実はないなどと主張する。しかし,いずれもB36が氏名等を記入し押印しており,上記事情から,B36が労働に従事していなかったとか,賃金支払の事実がなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
c B40
A17議員は,上記③の事務所において,B40を雇用し,同人に対し,平成16年4月ないし平成17年3月の各末日にそれぞれ5万円の合計60万円を支払い,同年4月28日,同年5月30日,同年6月30日,同年7月30日,同年8月30日,同年9月30日,同年10月30日,同年11月30日,同年12月30日,平成18年1月30日,同年2月28日,同年3月30日にそれぞれ3万円の合計36万円を支払った(乙Dタ2の1ないし12,5の1ないし12,Eタ1)。
そして,上記(ア)のとおり,上記③の事務所の人件費については,按分の必要はなく,上記支払は全額適法である。
この点,原告らは,領収証の領収者欄に,上記③の事務所の所在地が記入されていること(乙Dタ2の1ないし12,5の1ないし12)から,A17議員が賃金を支払った事実はないなどと主張する。しかし,いずれもB40が氏名等を記入し押印していたから,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A17議員は,事務所費として,平成17年度に40万8000円の政務調査費を支出したところ(別紙1),その支出は全額違法である。
(イ) A17議員は,事務費として,平成16年度に85万0512円,平成17年度に16万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計55万0313円(=37万円+1万8375円+9万円+7万1938円)を超える30万0199円,平成17年度に支出許容額4万円を超える12万円を支出した部分は違法である。
(ウ) A17議員は,人件費として,平成16年度に85万円,平成17年度に84万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計84万2500円(=2500円+24万円+60万円)を超える7500円,平成17年度に支出許容額合計66万円(=6万円+24万円+36万円)を超える18万円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A17議員に対し,平成16年度分合計30万7699円(=30万0199円+7500円),平成17年度分合計70万8000円(=40万8000円+12万円+18万円)の総合計101万5699円の不当利得の返還を請求するべきである。
(16)  A18議員(以下「A18議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A18議員の政務調査用事務所(和歌山県新宮市〈以下省略〉)は,自宅に設置され,後援会と併設されていた(甲A5の3,乙Eチ1)。
なお,A18議員が代表者を務める「a党□□支部」は和歌山県新宮市〈以下省略〉に,政治団体「d11会」は同市〈以下省略〉に,それぞれ設置されていた(甲A5の2・3)。
この点,原告らは,A18議員が,自宅においても「a党□□支部」の活動をしていたと主張するが,その主張を裏付ける証拠はないから,採用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A18議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費,後納郵便料金,切手代等については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,固定電話使用料,ファックス用電話使用料,電話リース料,ファックス機購入費については,調査研究以外に,後援会の活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会,「a党□□支部」及び「d11会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務用品・備品購入費について
A18議員は,平成17年5月27日にファクシミリ用紙代4800円(乙Cチ7の1),同年6月3日にコピー用紙代380円(乙Cチ7の2),同月29日に名刺代7800円(乙Cチ7の3)の合計1万2980円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A18議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成17年度に6490円(=1万2980円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,名刺が調査研究に直接必要なものではないと主張するが,名刺代は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(ウ) 後納郵便料金について
A18議員は,後納郵便料金として,平成17年4月分の8700円,同年5月分の1万5080円,同年6月分の5800円,同年7月分の7540円,同年8月分の1万5080円,同年9月分の8700円,同年10月分の1万1600円,同年11月分の1万1020円,同年12月分の1万2180円,平成18年1月分の1万3340円の合計10万9040円を支払った(乙Cチ8の1ないし10)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A18議員が,上記後納郵便料金につき,平成17年度に5万4520円(=10万9040円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 切手代等について
A18議員は,平成16年5月24日に通常はがき代2000円及び往復はがき代3200円,同年11月24日に往復はがき代4000円及び切手代2000円の合計1万1200円を支払い,平成17年3月18日に郵便料金1万8960円,同年12月19日に切手代1760円,平成18年3月6日に切手代700円,同月17日に切手代3万0030円の合計5万1450円を支払った(乙Cチ9の1ないし4,10の1・2)。
しかし,上記支払のうち,平成17年3月18日の郵便料金1万8960円は,平成16年度の支払であり,議員が平成17年度に行う調査研究に係る事務遂行に要する経費(乙Eチ1)とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A18議員が,上記切手代等につき,平成16年度に5600円(=1万1200円×1/2),平成17年度に1万6245円(=[5万1450円-1万8960円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,平成18年3月17日の切手代3万0030円が過量で,平成17年度内の調査研究のためのものではないなどと主張する。しかし,上記切手代は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) 固定電話使用料,ファックス用電話使用料について
A18議員は,固定電話(①0735-〈省略〉,②0735-〈省略〉)の使用料として,平成17年4月分の①8805円,同年5月分の①6376円,同年6月分の①9101円,同年7月分の①8348円,同年8月分の①7914円,同年9月分の①6312円及び②2万5883円,同年10月分の①8541円及び②4656円,同年11月分の①9047円及び②3560円,同年12月分の①7394円及び②4797円,平成18年1月分の①6411円及び②3777円,同年2月分の①1万1029円及び②4664円,同年3月分の①1万0440円及び②2993円の合計15万0048円を支払った(乙Cチ1の1ないし12,2の1ないし7)。
また,A18議員は,ファックス用電話(0735-〈省略〉)の使用料として,平成17年4月分の2619円,同年5月分の2504円,同年6月分の2655円,同年7月分の2476円,同年8月分の2557円,同年9月分の2647円,同年10月分の2509円,同年11月分の2554円,同年12月分の2634円,平成18年1月分の2601円,同年2月分の2597円,同年3月分の2615円の合計3万0968円を支払った(乙Cチ3の1ないし12)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A18議員が,上記固定電話及びファックス用電話の使用料につき,平成17年度に6万0339円(≒[15万0048円+3万0968円]×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,電話3台分の電話使用料が,調査研究に係る事務遂行に要する経費として社会通念上相当な範囲を逸脱していると主張する。しかし,上記電話使用料は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(カ) 電話リース料について
A18議員は,平成17年7月分,同年9月分,同年10月分,及び平成18年3月分の電話リース料として,それぞれ3423円の合計1万3692円を支払った(乙Cチ5の1ないし4)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A18議員が,上記電話リース料につき,平成17年度に4564円(=1万3692円×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(キ) ファックス機購入費について
A18議員は,平成17年5月26日にファックス機購入費として1万4800円を支払った(乙Cチ6)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A18議員が,上記ファックス機購入費につき,平成17年度に4933円(≒1万4800円×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ク) 携帯電話使用料について
A18議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成17年5月分の7746円,同年6月分の7074円,同年7月分の8793円,同年9月分の1万1684円,同年10月分の9387円,同年11月分の6911円(うち延滞利息として70円),同年12月分の8992円,平成18年1月分の7095円,同年2月分の6917円,同年3月分の6102円の合計8万0701円を支払った(乙Cチ4の1ないし10)。
しかし,上記支出のうち,平成17年11月分の使用料に係る延滞利息70円は,A18議員の履行遅滞により発生したものであり,議員が行う調査研究に係る事務遂行に要するとは認められないから,それに政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A18議員が,上記携帯電話使用料につき,平成17年度に1万6126円(≒[8万0701円-70円]×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A18議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおりその他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
A18議員は,平成15年度ないし平成17年度において,勤務場所をA18議員の自宅,仕事内容を調査研究活動の補助,賃金を月額8万円として,A18議員の妻であるB41を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額8万円を支払った(乙Dチ1ないし6,Eチ1)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A18議員が,人件費につき,平成15年4月に4万円(=8万円×1/2),平成15年度(同年4月を除く。)に44万円(=8万円×11か月×1/2),平成16年度及び平成17年度に各48万円(=8万円×12か月×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ まとめ
(ア) A18議員は,事務費として,平成16年度に1万1200円,平成17年度に29万7918円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計5600円を超える5600円,平成17年度に支出許容額合計16万3217円(=6490円+5万4520円+1万6245円+6万0339円+4564円+4933円+1万6126円)を超える13万4701円を支出した部分は違法である。
(イ) A18議員は,人件費として,平成15年4月に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度及び平成17年度に各96万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額4万円を超える4万円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計44万円を超える44万円,平成16年度及び平成17年度に支出許容額合計48万円を超える各48万円を支出した部分は違法である。
(ウ) よって,被告は,A18議員に対し,平成15年4月分4万円,平成15年度分(同年4月を除く。)44万円,平成16年度分合計48万5600円(=5600円+48万円),平成17年度分合計61万4701円(=13万4701円+48万円)の総合計158万0301円の不当利得の返還を請求するべきである。
(17)  A19議員(以下「A19議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A19議員の政務調査用事務所(和歌山県新宮市〈以下省略〉所在のf3ビル1階)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置されていた(乙Eツ1)。
なお,A19議員の後援会は,自宅に設置されていた(甲A5の3)。
この点,原告らは,和歌山県監査委員が認めたとおり,政務調査用事務所に政治団体が併設されていた(甲A3)と主張する。しかし,その主張を裏付ける証拠はないから,原告らの上記主張は採用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A19議員の政務調査用事務所の駐車場(和歌山県新宮市〈以下省略〉[乙Bツ1])の賃料については,その場所と上記アのとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,後援会の活動にも利用されていたと認められるから(乙Eツ1),その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 駐車場の賃料について
A19議員は,契約期間を平成14年3月18日から平成18年3月31日までの間,駐車車両の車名をカローラ,駐車車両の登録番号を「さ○○-○○」,賃料を月額6000円として,B42から,和歌山県新宮市〈以下省略〉所在の駐車場を賃借し(乙Bツ1ないし4[枝番を含む。],Eツ1,弁論の全趣旨),後援会名義で,B42に対し,平成15年5月分ないし平成18年3月分の駐車場賃料として月額6000円を支払った(乙Bツ2ないし4[枝番を含む。])。
なお,平成15年5月分,同年7月分,同年9月分,同年12月分,平成16年1月分ないし同年3月分の駐車場賃料の銀行振込明細書はないが,平成15年6月から平成18年3月までの他の月の銀行振込明細書があることからすれば,他の月と同様に駐車場賃料6000円が支払われたと認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A19議員が,上記駐車場賃料につき,平成15年度(同年4月を除く。)に3万3000円(=6000円×11か月×1/2),平成16年度及び平成17年度に各3万6000円(=6000円×12か月×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,上記駐車場賃貸借契約において,「カローラ」「さ○○-○○」以外の無断駐車禁止の特約があったことや(乙Bツ1),上記駐車場が自宅付近にあったことから,特定の車両専用の自宅用駐車場であったなどと主張する。しかし,上記駐車場賃貸借契約は,A19議員が県議会議員に選出される1年以上前に締結されたから(乙Bツ1,弁論の全趣旨),特定の車両の駐車のみを予定していたことは不自然ではない。また,A19議員は,自宅の隣の車庫を自宅用駐車場に利用していると陳述するところ(乙Eツ1),その陳述は具体的であり,信用できる。したがって,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,自宅に設置されていた後援会が上記駐車場の賃料を支払い,これを利用していたと主張する。しかし,弁論の全趣旨により認められる上記駐車場,政務調査用事務所及び後援会の場所を考慮すれば,上記駐車場が政務調査用事務所のために利用されなかったとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
さらに,原告らは,駐車場は調査研究に直接必要なものではないと主張するが,駐車場の賃料は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A19議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費,パソコン通信費及び切手代等については,上記アのとおり他の目的のものが併設されていなかった事務所で使用されたから,按分して政務調査費を支出する必要は認められない。
また,自宅の固定電話使用料,携帯電話使用料及びデジタルカメラ代については,上記アのとおりの事務所の設置状況等及びその汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会活動や,私的にも利用されていたと認められるから,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務用品・備品購入費について
A19議員は,事務用品・備品購入費として,次のとおり支払をした。
a 平成16年4月23日にLAN代及びその出張設定費用1万2579円(乙Cツ27の1),同年5月31日にB43に対して9000円(乙Cツ28の1),同年7月26日に文具類代525円(乙Cツ30の6,弁論の全趣旨),同月28日に現像代3969円(乙Cツ30の5,弁論の全趣旨),同年8月11日に文具類代588円(乙Cツ31の1,弁論の全趣旨),同年9月3日に用紙代3000円(乙Cツ32の1,弁論の全趣旨),同年12月3日に文具類代3759円(乙Cツ35の3,弁論の全趣旨),同日に文具類代840円(乙Cツ35の1,弁論の全趣旨),同月9日にプリンターのインク代5670円(乙Cツ35の2),同月18日に文具類代871円(乙Cツ35の6,弁論の全趣旨)の合計4万0801円を支払った。
b 平成17年4月1日に文具類代230円(乙Cツ3の3,弁論の全趣旨),同月6日に写真プリント代3014円(乙Cツ3の2),同月9日に肩書き筆耕料2000円(乙Cツ3の4),同月18日に印鑑登録証明書発行手数料300円(乙Cツ3の5),同月29日に文具類代630円(乙Cツ3の6,弁論の全趣旨),同年5月20日に写真プリント代及びプリントコピー代1004円(乙Cツ4の1),同月ころに和歌山県の職員録2冊の代金1400円(乙Cツ4の3),同年6月17日に文具類代840円(乙Cツ5の3,弁論の全趣旨),同月29日に「DV-908A」代6980円(乙Cツ5の5),同年7月12日に時計の電池交換代1000円(乙Cツ6の5),同月22日に文具類代678円(乙Cツ6の6,弁論の全趣旨),同年8月9日に収入印紙代200円(乙Cツ7の2),同月11日にUSBマウス代1869円(乙Cツ7の3),同年10月5日に文具類代1458円(乙Cツ9の1,弁論の全趣旨),同月6日に文具類代1785円(乙Cツ9の2,弁論の全趣旨),同月30日に文具類代1050円(乙Cツ9の3),同年12月10日に筆ペン代954円,筆代168円,ポチ袋代352円,金封代118円(乙Cツ11の3),同月17日にアルバム代819円及び替え台紙代840円(乙Cツ11の2),平成18年1月3日にPS2マウス代980円(乙Cツ12の1),同年2月27日に文具類代1260円(乙Cツ13の1,弁論の全趣旨),同年3月16日に文具代126円(乙Cツ14の3)の合計3万0055円を支払った。
しかし,上記支出のうち,平成17年4月9日のB43に対する肩書き筆耕料2000円(乙Cツ3の4),同年12月10日のポチ袋代352円及び金封代118円(乙Cツ11の3)の合計2470円は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,これに政務調査費を支出した部分は違法である。
また,上記支払のうち,平成16年5月31日のB43に対する9000円の支払(乙Cツ28の1)は,B43個人から紙類代を購入したという被告の主張自体が不自然であって採用できず,上記と同様に肩書き筆耕料と認められ,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,それらに政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,上記支払のうち,平成17年5月ころの和歌山県の職員録2冊の代金1400円(乙Cツ4の3)は,同じものを2冊も購入することが,議員が行う調査研究に係る事務遂行に必要とは認められないから,そのうち1冊分700円に政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,A19議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に3万1801円(=4万0801円-9000円),平成17年度に2万6885円(=3万0055円-2470円-700円)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A19議員は,平成16年6月3日にプリント代210円,同年7月28日に文具代2144円,同年11月13日にプリント代180円,同年12月12日にテープ代2394円,平成17年1月29日にプリント代1188円,同年2月17日にフィルム代924円,同年7月6日に事務用品代462円,同年10月29日に写真現像代2454円を支払ったところ,その領収書はあるが,文字が薄いためコピーできないと陳述する(乙Eツ1)。しかし,その裏付けはないから,A19議員の上記陳述は信用できない。
他方,原告らは,収入印紙代(乙Cツ3の5,7の2)が,調査研究のためのものではないと主張する。しかし,上記収入印紙代は,印鑑登録証明書発行手数料と認められ,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当と認められるから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,LAN代及びその設定費用(乙Cツ27の1),職員録(乙Cツ4の3),デジタルビデオ(乙Cツ5の5),電池交換(乙Cツ6の5),USBマウス(乙Cツ7の3),アルバム(乙Cツ11の2),PS2マウス(乙Cツ12の1)が,調査研究に直接必要なものではないと主張する。しかし,これらの費用は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当と認められるから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) パソコン通信費について
A19議員は,パソコン通信料として,平成16年4月分の4693円,同年5月分の4599円,同年6月分の4536円,同年7月分の4730円,同年8月分の4804円,同年9月分の4912円,同年10月分の4471円,同年11月分の4329円,同年12月分の4502円,平成17年1月分の4502円,同年2月分の4513円,同年3月分の4630円の合計5万5221円を支払い,同年4月分の4682円,同年5月分の4949円,同年7月分の4744円,同年8月分の4675円,同年9月分の4730円,同年10月分の5180円,同年11月分の4772円,同年12月分の4639円,平成18年1月分の4676円,同年2月分の4838円,同年3月分の4610円の合計5万2495円を支払った(乙Cツ3の7,4の4,6の9,7の5,8の3,9の4,10の5,11の6,12の5,13の4,14の6,27の2,28の2,29,30の7,31の2,32の2,33,34,35の8,36,37の2,38の1)。
なお,上記通信料の支出の裏付けである手書きのメモは,具体的であり,信用できる。
そして,上記パソコン通信料は,議員が行う調査研究に係る事務遂行に係る経費として社会通念上相当であるから,その支出は全額適法である。
(エ) 切手代等について
A19議員は,切手代等として,次のとおり支払をした。
a 平成16年7月12日に切手代8000円(乙Cツ30の1),同月23日に郵便料金900円(乙Cツ30の2),同月29日に切手代8000円及びはがき代1000円(乙Cツ30の3),同年12月6日に切手代8000円(乙Cツ35の4),同月29日に切手代8000円(乙Cツ35の5)及びはがき交換手数料180円(乙Cツ35の7),平成17年2月10日に郵便料金140円(乙Cツ37の1),同年3月14日に切手代410円(乙Cツ38の2)及び切手代60円(乙Cツ38の3)の合計3万4690円を支払った。
b 平成17年4月15日に切手代390円(乙Cツ3の1),同年5月12日に郵便料金450円(乙Cツ4の2),同年6月14日に郵便料金140円(乙Cツ5の1),同月20日に切手代880円(乙Cツ5の2),同月26日にはがき代2500円(乙Cツ5の4),同年7月1日に切手代1万6000円(乙Cツ6の3),同月5日に郵便料金580円(乙Cツ6の2),同月14日に郵便料金140円(乙Cツ6の8),同月15日に切手代4000円(乙Cツ6の7),同月27日にはがき交換手数料65円(乙Cツ6の4)及びはがき代1000円(乙Cツ6の1),同年8月8日に郵便料金240円(乙Cツ7の1),同月26日に郵便料金390円(乙Cツ7の4),同年9月15日に郵便料金510円(乙Cツ8の1),同月28日に切手代820円(乙Cツ8の2),同年11月7日にはがき代1万5000円(乙Cツ10の3),同月15日に郵便料金140円(乙Cツ10の4),同月18日に郵便料金140円(乙Cツ10の1),同月22日に切手代8000円(乙Cツ10の2),同年12月8日に切手代390円(乙Cツ11の1),同月9日に切手代4000円(乙Cツ11の5),同月17日に切手代8000円及びはがき代1500円(乙Cツ11の4),平成18年1月4日に切手代4000円(乙Cツ12の2),同月14日に郵便料金200円(乙Cツ12の4),同月23日に郵便料金140円(乙Cツ12の3),同年2月2日に郵便料金3990円(乙Cツ13の2),同月24日に切手代960円(乙Cツ13の3),同年3月6日に郵便関係費2万2040円(乙Cツ14の5)及び切手代140円(乙Cツ14の4),同月7日に切手代820円(乙Cツ14の2),同月13日にはがき交換手数料240円(乙Cツ14の1)の合計9万7805円を支払った。
そして,上記切手代等は,議員が行う調査研究に係る事務遂行に係る経費として社会通念上相当であるから,その支出は全額適法である。
この点,原告らは,まとめて購入した多額の切手代及びはがき代が調査研究のためのものではないと主張する。しかし,上記切手代等は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) 固定電話使用料及び携帯電話使用料について
a A19議員は,自宅の固定電話(0735-〈省略〉)の使用料として,平成16年3月分の7304円,同年4月分の9792円,同年5月分の1万7120円,同年6月分の8630円,同年7月分の1942円,同年8月分の3万2868円,同年9月分の4799円,同年10月分の8751円,同年11月分の8585円,同年12月分の1万2934円,平成17年1月分の5050円,同年2月分の1万4056円の合計13万1831円を支払い,同年3月分の9468円,同年4月分の1万2562円,同年5月分の2万4905円,同年6月分の3万4010円,同年7月分の6445円,同年8月分の6456円,同年9月分の9070円,同年10月分の1万0414円,同年11月分の3万0830円,同年12月分の1万6902円,平成18年1月分の1万0560円,同年2月分の8882円の合計18万0504円を支払った(乙Cツ1の1ないし12,15ないし26の各1,Eツ1)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A19議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度(同年3月分ないし平成17年2月分)に4万3944円(≒13万1831円×1/3),平成17年度(同年3月分ないし平成18年2月分)に6万0168円(=18万0504円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
b A19議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年3月分の1万3149円,同年4月分の1万0168円,同年5月分の1万0743円,同年6月分の1万1032円,同年7月分の9588円,同年8月分の1万5833円,同年9月分の1万0029円,同年10月分の8561円,同年11月分の1万2885円,同年12月分の1万0396円,平成17年1月分の9556円,同年2月分の1万2972円の合計13万4912円を支払い,同年3月分の8525円,同年4月分の3万9346円,同年5月分の2万0609円,同年6月分の1万6037円,同年7月分の1万6587円,同年8月分の1万3415円,同年9月分の1万7158円,同年10月分の1万2705円,同年11月分の2万1599円,同年12月分の1万4166円,平成18年1月分の1万7855円,同年2月分の2万0664円の合計21万8666円を支払った(乙Cツ2の1ないし12,15ないし26の各2)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A19議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度(同年3月分ないし平成17年2月分)に4万4971円(≒13万4912円×1/3),平成17年度(同年3月分ないし平成18年2月分)に7万2889円(≒21万8666円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
c この点,原告らは,平成16年3月分及び平成17年3月分の固定電話使用料及び携帯電話使用料の支払がそれぞれ平成16年3月31日及び平成17年3月31日に口座振替によりされたから(乙Cツ1の1,2の1,15の1,15の2),これらを平成16年度及び平成17年度の事務費として計上したことは違法であると主張する。しかし,固定電話使用料及び携帯電話使用料は,継続的契約に係るものであり,定期的に支払がされること,平成16年3月分及び平成17年3月分の支払は各年度開始日の直前にされ,領収証は4月15日に発行されたこと(乙Cツ1の1,2の1,15の1,15の2)からすれば,A19議員が支払を認識したのは平成16年度及び平成17年度であったと認められるから,平成16年3月分及び平成17年3月分の固定電話使用料及び携帯電話使用料をそれぞれ平成16年度及び平成17年度の事務費として計上することが許されないとはいえない。したがって,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,A19議員の政務調査用事務所が,自宅とは別の場所に設置されていたから,自宅の固定電話及び携帯電話は,専ら私的に利用されたと主張する。しかし,A19議員が使用した自宅の固定電話等の内容に調査研究に関するものが含まれていなかったとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
さらに,原告らは,上記bの携帯電話使用料の内訳が明らかではなく高額であるから,数台分の使用料であると主張する。しかし,その主張を裏付ける具体的な証拠はなく,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(カ) デジタルカメラ代について
A19議員は,平成16年7月25日にデジタルカメラ代3万2000円を支払った(乙Cツ30の4,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A19議員が,上記デジタルカメラ代につき,平成16年度に1万0667円(≒3万2000円×1/3)を超えて政務調査費を支出したことは違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
下記(イ)のB44及びB43は,上記アのとおり後援会が設置されていたA19議員の自宅で雇用されていたから,調査研究以外に,後援会の活動にも従事していたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
A19議員は,平成15年度(同年4月を除く。)ないし平成17年度において,勤務場所をA19議員の自宅,業務内容を「事務,運転手」,賃金を,平成15年度(同年4月を除く。)は1日4000円で1か月8万円,平成16年度及び平成17年度は1日2500円で1か月5万円,支給日を月末として,A19議員の妻であるB44を雇用し,同人に対し,平成15年5月分ないし平成16年3月分の賃金として月額8万円,平成16年4月分ないし平成17年7月分の賃金として月額5万円を各月末日付けで支払った(乙Dツ1,2,4ないし7,Eツ1)。
また,A19議員は,B43を雇用し,同人に対し,平成17年8月17日に賃金として4000円,同年11月14日に賃金として6000円,平成18年1月30日に賃金として2000円の合計1万2000円を支払った(乙Dツ3の1ないし3,Eツ1)。
なお,被告は,多忙の時期にB43を雇用していたと主張するところ,B43の賃金の支払状況からすれば,信用できるから,B43は,B44と同様に,A19議員の自宅で調査研究に従事したと認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A19議員が,平成15年度(同年4月を除く。)に44万円(=8万円×11か月×1/2),平成16年度に30万円(=5万円×12か月×1/2),平成17年度に10万6000円(=[5万円×4か月+1万2000円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,運転手に対する賃金が調査研究に直接必要なものとはいえないと主張するが,運転手に対する賃金も,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
オ まとめ
(ア) A19議員は,事務所費として,平成15年度(同年4月を除く。)に3万3000円,平成16年度に3万6000円,平成17年度に3万6000円の政務調査費を支出したところ(別紙1),これらの支出は全額適法である。
(イ) A19議員は,事務費として,平成16年度に30万3147円,平成17年度に39万5048円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計22万1294円(=3万1801円+5万5221円+3万4690円+4万3944円+4万4971円+1万0667円)を超える8万1853円,平成17年度に支出許容額合計31万0242円(=2万6885円+5万2495円+9万7805円+6万0168円+7万2889円)を超える8万4806円を支出した部分は違法である。
(ウ) A19議員は,人件費として,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度に60万円,平成17年度に21万2000円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計44万円を超える44万円,平成16年度に支出許容額合計30万円を超える30万円,平成17年度に支出許容額合計10万6000円を超える10万6000円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A19議員に対し,平成15年度分(同年4月を除く。)44万円,平成16年度分合計38万1853円(=8万1853円+30万円),平成17年度分合計19万0806円(=8万4806円+10万6000円)の総合計101万2659円の不当利得の返還を請求するべきである。
(18)  A20議員(以下「A20議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A20議員の政務調査用事務所(和歌山県東牟婁郡〈以下省略〉)は,自宅に設置され,後援会及び「a党a9支部」と併設されていた(甲A5の2・3,乙Eテ1,弁論の全趣旨)。
この点,A20議員は,後援会及び「a党a9支部」が,和歌山県東牟婁郡〈以下省略〉所在の後援会会長B45宅に設置されていたと陳述する(乙Eテ1)。しかし,その裏付けはないから,A20議員の上記陳述は信用できない。
イ 事務費について
(ア) A20議員は,政務調査費収支報告書において,平成17年度の事務所費に計上された経費を事務費に計上する修正をしたところ(第2の2(2)イ。別紙2(2)),平成16年度の事務所費に計上された経費も,事務費に計上するべきであったと認められるから(弁論の全趣旨),事務費として検討する。
この点,原告らは,計上するべき使途を誤って政務調査費を支出することは許されないと主張するが,本件使途基準は使途によって政務調査費を支出できる上限額を定めているわけではなく,計上した使途が誤っていたからといって,政務調査費の支出が違法であるとは認められないから,採用できない。
(イ) 事務費の按分等について
A20議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費,郵便料金等及びパソコン代については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,固定電話使用料,ファックス用電話使用料,インターネット使用料及び携帯電話使用料については,上記アのとおりの事務所の設置状況等及びその汎用性の高さを考慮すれば,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出したことは違法である。
(ウ) 事務用品・備品購入費について
A20議員は,平成16年4月9日に「有限会社久司商店」に対して1510円(乙Cテ13の1),同年12月11日に「文具・事務機・教材 有限会社久司商店」に対して4410円(乙Cテ13の2)の合計5920円を支払い,平成17年7月13日に「文具・事務機・教材 有限会社久司商店」に対して2755円(乙Cテ6)を支払った。
なお,被告は,平成16年4月9日の支払はコピー用紙代であり,同年12月11日及び平成17年7月13日の支払はコピー用紙,封筒,便箋等の事務用品代であると主張するところ,支払先である有限会社久司商店が文具及び事務機等を取り扱っていることや金額からすれば,そのとおり認めるのが相当である。
そして,上記(イ)の按分割合(3分の1)のとおり,A20議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に1973円(≒5920円×1/3),平成17年度に918円(≒2755円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 切手代等について
A20議員は,平成16年6月20日に切手代5万円(乙Cテ12の1),同月28日にはがき代6200円(乙Cテ12の2),同年11月10日にはがき代5万円(乙Cテ12の3),平成17年3月15日に切手代4万円(乙Cテ12の4)の合計14万6200円を支払い,同年11月20日に切手代1780円(乙Cテ5)を支払った。
そして,上記(イ)の按分割合(3分の1)のとおり,A20議員が,上記切手代等につき,平成16年度に4万8733円(≒14万6200円×1/3),平成17年度に593円(≒1780円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,年度末にまとめて購入した多額の切手代が同年度内の調査研究のためのものではないと主張する。しかし,上記切手代は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) パソコン代等について
A20議員は,平成17年12月29日にパソコン代14万5000円及び保証料7250円の合計15万2250円を支払った(乙Cテ7)。
そして,上記(イ)の按分割合(3分の1)のとおり,A20議員が,上記パソコン代等につき,平成17年度に5万0750円(=15万2250円×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,領収証の宛名が「B46」と記載されているから(乙Cテ7),調査研究のためのものではないと主張する。しかし,弁論の全趣旨に照らし,「B46」はA20議員の親族であると認められるし,領収証の宛名をもって,目的物の使途を認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
(カ) 固定電話使用料について
A20議員は,自宅の固定電話(0735-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の1万8285円,同年5月分の1万0021円,同年6月分の1万3533円,同年7月分の1万5332円,同年8月分の1万3192円,同年9月分の6142円,同年10月分の9657円,同年11月分の1万0408円,同年12月分の7282円,平成17年1月分の8065円,同年2月分の1万0006円,同年3月分の1万8679円の合計14万0602円を支払い,同年4月分の1万4887円,同年5月分の9018円,同年6月分の6718円,同年7月分の1万0297円,同年8月分の9567円,同年9月分の1万0315円,同年10月分の7929円,同年11月分の1万0377円,同年12月分の7544円,平成18年1月分の1万1659円,同年2月分の1万2631円,同年3月分の1万2987円の合計12万3929円を支払った(乙Cテ1の1ないし13,8の1ないし12,弁論の全趣旨)。
そして,上記(イ)の按分割合(4分の1)のとおり,A20議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に3万5151円(≒14万0602円×1/4),平成17年度に3万0982円(≒12万3929円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,上記固定電話使用料の内訳が明らかではなく高額であるから,数台分の使用料であると主張する。しかし,その主張を裏付ける具体的な証拠はなく,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(キ) ファックス用電話使用料について
A20議員は,自宅のファックス用電話(0735-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の2496円,同年5月分の2875円,同年6月分の2981円,同年7月分の2611円,同年8月分の2777円,同年9月分の2689円,同年10月分の2613円,同年11月分の3024円,同年12月分の2731円,平成17年1月分の2695円,同年2月分の3050円,同年3月分の2718円の合計3万3260円を支払い,同年4月分の2517円,同年5月分の2665円,同年6月分の3484円,同年7月分の2616円,同年8月分の2549円,同年9月分の2578円,同年10月分の2650円,同年11月分の2658円,同年12月分の2578円,平成18年1月分の2524円,同年2月分の2587円,同年3月分の2473円の合計3万1879円を支払った(乙Cテ2の1ないし13,9の1ないし12)。
そして,上記(イ)の按分割合(4分の1)のとおり,A20議員が,上記ファックス用電話使用料につき,平成16年度に8315円(=3万3260円×1/4),平成17年度に7970円(≒3万1879円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ク) インターネット使用料について
A20議員は,インターネット使用料(月額4800円及び消費税)として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計6万0480円,同年4月分ないし平成18年3月分の合計6万0480円を支払った(乙Cテ4,11)。
そして,上記(イ)の按分割合(4分の1)のとおり,A20議員が,上記インターネット使用料につき,平成16年度及び平成17年度にそれぞれ1万5120円(=6万0480円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ケ) 携帯電話使用料について
a A20議員は,携帯電話(①090-〈省略〉,②090-〈省略〉[平成16年1月契約開始],③090-〈省略〉[平成17年1月契約開始])の使用料として,平成16年4月分の①及び②の合計1万3134円,同年5月分の①及び②の合計8867円,同年6月分の①及び②の合計1万3351円,同年7月分の①及び②の合計1万3281円,同年8月分の①及び②の合計1万2014円,同年9月分の①及び②の合計1万2076円,同年10月分の①及び②の合計1万1839円,同年11月分の①及び②の合計1万0675円,同年12月分の①及び②の合計1万1207円,平成17年1月分の①ないし③の合計1万9148円,同年2月分の①ないし③の合計1万8615円,同年3月分の①ないし③の合計1万2934円,同年4月分の①ないし③の合計1万5155円,同年5月分の①ないし③の合計1万5858円,同年6月分の①ないし③の合計1万2076円,同年7月分の①ないし③の合計1万3416円,同年8月分の①ないし③の合計1万1369円,同年9月分の①ないし③の合計1万1396円,同年10月分の①ないし③の合計1万6299円,同年11月分の①ないし③の合計1万0999円,同年12月分の①ないし③の合計1万0399円,平成18年1月分の①ないし③の合計1万4174円,同年2月分の①ないし③の合計1万1870円を支払った(乙Cテ3の1ないし10,10の1ないし12)。
なお,平成18年3月分の①ないし③の使用料金については,直接の証拠がないが,平成17年1月から平成18年2月分の平均である1万3836円と認めるのが相当である。
b ところで,弁論の全趣旨に照らし,親回線ではない上記②及び③の回線は,A20議員の家族が使用する携帯電話の回線であったと認められ,その使用料に政務調査費を支出した部分は違法である。この点,上記①ないし③の回線使用料の内訳は,按分して認めるのが相当であるから,上記①の回線使用料は,平成16年4月分が6567円,同年5月分が4434円,同年6月分が6676円,同年7月分が6641円,同年8月分が6007円,同年9月分が6038円,同年10月分が5920円,同年11月分が5338円,同年12月分が5604円,平成17年1月分が6383円,同年2月分が6205円,同年3月分が4311円で,これらの合計は7万0124円であり,同年4月分が5052円,同年5月分が5286円,同年6月分が4025円,同年7月分が4472円,同年8月分が3790円,同年9月分が3799円,同年10月分が5433円,同年11月分が3666円,同年12月分が3466円,平成18年1月分が4725円,同年2月分が3957円,同年3月分が4612円で,これらの合計は5万2283円である。
c そして,上記(イ)の按分割合(4分の1)のとおり,A20議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に1万7531円(=[5万3225円+1万6899円]×1/4,平成17年度に1万3071円(=5万2283円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A20議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
A20議員は,平成15年度ないし平成17年度において,勤務場所をA20議員の自宅,業務内容を「事務,運転手」,賃金を1日4000円,1か月8万円,支給日を月末として,A20議員の義父であるB47を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額8万円を支払った(乙Dテ1ないし4[枝番を含む。],Eア1)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A20議員が,上記人件費につき,平成15年4月に2万6667円(=8万円×1/3),平成15年度(同年4月を除く。)に29万3333円(=8万円×11か月×1/3),平成16年度及び平成17年度に各32万円(=8万円×12か月×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,被告は,B47が調査研究以外に従事していなかったと主張するが,その主張を裏付ける証拠はないから,採用できない。
他方,原告らは,運転手に対する賃金が調査研究に直接必要なものとはいえないと主張するが,運転手に対する賃金も,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
エ まとめ
(ア) A20議員は,事務費として,平成16年度に44万2432円,平成17年度に40万5609円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計12万6823円(=1973円+4万8733円+3万5151円+8315円+1万5120円+1万7531円)を超える31万5609円,平成17年度に支出許容額合計11万9404円(=918円+593円+5万0750円+3万0982円+7970円+1万5120円+1万3071円)を超える28万6205円を支出した部分は違法である。
(イ) A20議員は,人件費として,平成15年4月に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度及び平成17年度に各96万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額合計2万6667円を超える5万3333円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計29万3333円を超える58万6667円,平成16年度及び平成17年度に支出許容額各合計32万円を超える各64万円を支出した部分は違法である。
(ウ) よって,被告は,A20議員に対し,平成15年4月分5万3333円,平成15年度分(同年4月を除く。)58万6667円,平成16年度分合計95万5609円(=31万5609円+64万円),平成17年度分合計92万6205円(=28万6205円+64万円)の総合計252万1814円の不当利得の返還を請求するべきである。
(19)  A21議員(以下「A21議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A21議員の政務調査用事務所(①和歌山県西牟婁郡〈以下省略〉,②同県東牟婁郡〈以下省略〉[ただし,平成16年6月以前],③和歌山市〈以下省略〉所在のf4ビル1階[ただし,平成16年7月以降])は,A21議員の自宅(和歌山県西牟婁郡〈以下省略〉)とは別に設置されていた(甲A3,5の3,乙Eト1,弁論の全趣旨)。
上記①の事務所は,後援会と併設され,上記③の事務所は,政治団体「e3連絡会」の事務所と併設されていた(甲A5の3,ト5ないし7,乙Eト1,弁論の全趣旨)。
この点,原告らは,A21議員が上記③の事務所と「e3連絡会」との外形上の区分がなく,個別に機能する形になっていない旨回答したこと(甲ト5),上記③の事務所に政務調査用事務所が存在する旨の表示がなかったことから(甲ト6,7),上記③の事務所は,政務調査用事務所の実体がなかったと主張する。しかし,平成16年6月まで上記②の事務所が存在し,これが廃止された経緯等を考慮すれば,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,複数の事務所が設置されていたのは政治活動のためであったなどと主張するが,具体的な根拠はないから,採用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
上記①の事務所の事務費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
上記②の事務所(平成16年6月以前)の事務費については,上記アのとおり他の目的のものが併設されていなかった事務所で使用されたから,按分して政務調査費を支出する必要は認められない。
上記③の事務所(平成16年7月以降)の事務費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
したがって,上記①ないし③の事務所のいずれの事務費か明らかでないものについては,全ての事務所の事務費と認められるから,社会通念上相当な按分割合として,平成16年6月以前はその4分の3を超えて政務調査費を支出した部分,平成16年7月以降はその2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務用品・備品購入費について
A21議員は,事務用品・備品購入費として,次のとおり支払をした。
a 平成16年4月20日にコピー用紙代3218円(乙Cト4の1の3),同月22日に印紙代400円(乙Cト4の1の1,弁論の全趣旨),同月29日に蛍光灯代1万円(乙Cト4の1の2),同年5月2日に「コーナン商事株式会社」に対して1万5173円(乙Cト4の2の2),同日に「株式会社ジュンテンドー」に対して2282円(乙Cト4の2の3),同日に「有限会社遊宝館」に対して1470円(乙Cト4の2の4),同月3日に「八千代ムセン電機株式会社」に対して3980円(乙Cト4の3の1),同月11日に,ゴミ袋代81円,乾電池代368円及びティッシュペーパー代298円(乙Cト4の3の3),同月15日に「ザ・ダイソー」に対して1155円(乙Cト4の3の2),同年6月11日に雑貨代840円(乙Cト4の3の5)の合計3万9265円を支払った。
b 平成16年7月3日に「ザ・ダイソー」に対して1260円(乙Cト4の3の6),同月4日に録音録画用テープ代241円(乙Cト4の3の7),同月5日に写真代2258円(乙Cト4の4の1,弁論の全趣旨),同日に「100円ショップ SANYO 生活良品館」に対して315円(乙Cト4の4の3),同月10日に賞状額ウッドフレーム3個の代金2940円(乙Cト4の4の4),同月15日に携帯電話の電池パック代2310円(乙Cト4の4の5),同月30日に雑貨代420円(乙Cト4の4の2),同年8月22日に「ザ・ダイソー」に対して2415円(乙Cト4の5の3),同月30日に文具代252円(乙Cト4の5の4),同年9月3日に写真代3050円(乙Cト4の5の1),同月6日に写真代237円(乙Cト4の5の7,弁論の全趣旨),支出日が不明でドラッグストアに対して1198円(乙Cト4の5の6),同年10月8日に封筒代1313円(乙Cト4の6の1),同月20日にミネラルウォーター代105円及び印章ケース代105円(乙Cト4の6の6),同月23日に「100YEN PLAZA」に対して840円(乙Cト4の6の2・3),同日に「SATY」に対して「エムアンドオー」代609円及び「アイデア」代1260円(乙Cト4の6の4),同日に書籍代588円(乙Cト4の6の5),同年11月1日にCDソフト代1970円(乙Cト4の6の7),同月29日に「100円ショップシルク」に対して雑貨代210円(乙Cト4の6の10),同年12月11日に「100YEN PLAZA」に対して雑貨代945円(乙Cト4の7の2),平成17年1月30日に「オークワ」に対して雑貨代1260円(乙Cト4の7の3),同月31日にライトバスケット代498円(乙Cト4の7の4),同年2月9日に「オークワ」に対して雑貨代1680円(乙Cト4の7の6),同月24日に,ミネラルウォーター代328円,雑誌代300円,朝日新聞の朝刊代130円及び毎日新聞の朝刊代130円(乙Cト4の7の5),同月26日に「ワープロ・印刷・製本 有限会社紀州商合印刷」に対して9万9748円(乙Cト4の8),同年3月30日に文具代189円(乙Cト4の10の1・2。なお,レシート[乙Cト4の10の2]及び領収証[乙Cト4の10の1]は同一の支出に係るものであると認められる。),同月31日に「電設資材総合卸商社 株式会社大西商会」に対して4万0243円(乙Cト4の10の3)の合計16万9347円を支払った。
c 平成17年4月8日にプリント代4153円(乙Cト2の1の1),同月11日にプリント代1548円(乙Cト2の2の1,弁論の全趣旨),同月16日に収納ケース代498円及びA4フラットファイル代552円(乙Cト2の2の4),同年5月19日に「ザ・ダイソー」に対して3780円(乙Cト2の3の2),同月30日に「有限会社和歌山ロックセンター」に対して4800円(乙Cト2の3の3),同年6月3日に「100円ショップシルク」に対して雑貨代1575円(乙Cト2の4の1),同月28日にプリント代1339円(乙Cト2の4の2,弁論の全趣旨),同年7月10日に「ザ・ダイソー」に対して1575円(乙Cト2の4の3),同月14日にギフト代3150円(乙Cト2の4の5),同年9月18日に「ザ・ダイソー」に対して945円(乙Cト2の6の2),同日に「100YEN PLAZA」に対して210円及び105円(乙Cト2の6の3・4)の合計2万4230円を支払った。
d なお,被告は,平成16年7月10日の賞状額ウッドフレーム代2940円(乙Cト4の4の4)が,議場で質問内容を説明する際の資料を掲示するためのものであったと説明するところ,その説明内容は具体的で信用できる。また,被告は,平成17年3月31日の「電設資材総合卸商社 株式会社大西商会」に対する4万0243円(乙Cト4の10の3)が,調査資材代であったと説明するところ,その説明内容は,支払先に照らし信用できる。
しかし,上記aの支払のうち,平成16年5月2日の「コーナン商事株式会社」に対する1万5173円(乙Cト4の2の2),同日の「株式会社ジュンテンドー」に対する2282円(乙Cト4の2の3),同日の「有限会社遊宝館」に対する1470円(乙Cト4の2の4),同月3日の「八千代ムセン電機株式会社」に対する3980円(乙Cト4の3の1),同月15日の「ザ・ダイソー」に対する1155円(乙Cト4の3の2),同年6月11日の「オークワ」に対する雑貨代840円(乙Cト4の3の5)の合計2万4900円,上記bの支払のうち,平成16年7月3日の「ザ・ダイソー」に対する1260円(乙Cト4の3の6),同月5日の「100円ショップ SANYO 生活良品館」に対する315円(乙Cト4の4の3),同月30日の「オークワ」に対する雑貨代420円(乙Cト4の4の2),同年8月22日の「ザ・ダイソー」に対する2415円(乙Cト4の5の3),ドラッグストアに対する支出日が不明の1198円(乙Cト4の5の6),同年10月23日の「100YEN PLAZA」に対する840円(乙Cト4の6の2・3),同日の「SATY」に対する「エムアンドオー」代609円及び「アイデア」代1260円(乙Cト4の6の4),同年11月29日の「100円ショップシルク」に対する雑貨代210円(乙Cト4の6の10),同年12月11日の「100YEN PLAZA」に対する雑貨代945円(乙Cト4の7の2),平成17年1月30日の「オークワ」に対する雑貨代1260円(乙Cト4の7の3),同年2月9日の「オークワ」に対する雑貨代1680円(乙Cト4の7の6)の合計1万2412円,上記cの支払のうち,平成17年5月19日の「ザ・ダイソー」に対する3780円(乙Cト2の3の2),同年6月3日の「100円ショップシルク」に対する雑貨代1575円(乙Cト2の4の1),同年7月10日の「ザ・ダイソー」に対する1575円(乙Cト2の4の3),同年9月18日の「ザ・ダイソー」に対する945円(乙Cト2の6の2),同日の「100YEN PLAZA」に対する210円及び105円(乙Cト2の6の3・4)の合計8190円は,いずれも購入商品の内容が明らかでなく,支払先が多様な商品を扱う店であることからすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
また,平成17年7月14日のギフト代3150円(乙Cト2の4の5)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出したことは違法である。
e そして,上記(ア)の按分割合(平成16年6月以前は4分の3,同年7月以降は2分の1)のとおり,A21議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に8万9242円(≒[3万9265円-2万4900円]×3/4+[16万9347円-1万2412円]×1/2),平成17年度に6445円(=[2万4230円-8190円-3150円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) パソコン代について
A21議員は,平成17年4月13日にパソコン代16万6236円(乙Cト2の2の2)を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A21議員が,上記パソコン代につき,平成17年度に8万3118円(=16万6236円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) プリンター代について
A21議員は,平成17年8月1日にプリンター代1万4500円(乙Cト2の5の1)を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A21議員が,上記プリンター代につき,平成17年度に7250円(=1万4500円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) 切手代等について
A21議員は,切手代等として,次のとおり支払をした。
a 平成16年4月29日にB48宛の宅配便料金710円(乙Cト4の1の4,4の2の1。なお,宅配便の伝票[乙Cト4の1の4]及び別納料金等領収証[乙Cト4の2の1]は同一の支出に係るものであると認められる。),同年5月12日に切手代200円(乙Cト4の3の4)の合計910円を支払った。
b 平成16年9月6日に郵便料金7000円(乙Cト4の5の5),同月29日に切手代960円(乙Cト4の5の2),同年11月1日に年賀はがき代2万円(乙Cト4の6の8・9),平成17年1月27日にB48宛の宅配便料金840円(乙Cト4の7の1),同年2月15日にB48宛の宅配便料金840円(乙Cト4の9の1),同年3月2日にB48宛の宅配便料金840円(乙Cト4の9の2)の合計3万0480円を支払った。
c 平成17年4月8日にB49宛の宅配便料金740円(乙Cト2の1の2),同月14日にA21後援会事務所宛の宅配便料金740円(乙Cト2の2の3),同年5月2日にB48宛の宅配便料金840円(乙Cト2の3の1),同年6月28日にはがき代10万円(乙Cト2の4の4,弁論の全趣旨),同年8月1日に郵便料金550円(乙Cト2の4の6・7。なお,領収証書[乙Cト2の4の6]及び書留・配達記録郵便物受領証[乙Cト2の4の7]は同一の支出に係るものと認められる。),同日に切手代800円(乙Cト2の5の2),同年9月13日にメール便料金110円(乙Cト2の6の1),平成18年3月15日にはがき代12万2900円(乙Cト2の7,弁論の全趣旨)の合計22万6680円を支払った。
しかし,上記支出のうち,平成16年11月1日の年賀はがき代2万円(乙Cト4の6の8・9)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出したことは違法である。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年6月以前は4分の3,同年7月以降は2分の1)のとおり,A21議員が,上記切手代等につき,平成16年度に5923円(≒910円×3/4+[3万0480円-2万円]×1/2),平成17年度に11万3340円(=22万6680円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,後援会宛の宅配便料金(乙Cト2の2の3)が後援会の経費であったと主張するが,宅配便の宛先をもって,目的物の使途を認めることはできないから,採用できない。
また,原告らは,平成17年6月28日付けのはがき代10万円(乙Cト2の4)及び平成18年3月15日付けのはがき代12万2900円(乙Cト2の7)が過量で,調査研究のためのものではないなどと主張する。しかし,上記はがき代は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
他方,被告は,平成16年4月29日の宅配便料金710円(乙Cト4の1の4,4の2の1),平成17年1月27日の宅配便料金840円(乙Cト4の7の1),同年2月15日の宅配便料金840円(乙Cト4の9の1),同年3月2日の宅配便料金840円(乙Cト4の9の2),平成17年5月2日の宅配便料金840円(乙Cト2の3の1)が,議会での質問事項に関する参考意見等を調査するために,特定の人物に資料や冊子等を配送した際の配送料であり,平成17年4月8日の宅配便料金740円(乙Cト2の1の2),同月14日の宅配便料金740円(乙Cト2の2の3),同年9月13日のメール便料金110円(乙Cト2の6の1)が,議会活動(質問,答弁等)の冊子等を送付した配送料であるから,調査研究以外の目的のものではないと主張するが,その主張を裏付ける証拠はないから,採用できない。
ウ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
上記③の事務所に勤務していた下記(イ)のB50(乙Eト1)の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,上記②の事務所に勤務していたものの,後援会の会計責任者であったB51(甲A5の3)の人件費については,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
A21議員は,平成16年7月1日から平成18年3月31日までの間,業務内容を「一般事務・調査研究の補助」,賃金を平成16年7月1日から平成17年3月31日までの間については月額5万0315円,平成17年4月1日から平成18年3月31日までの間については月額6万円,支給日を月末として,B50を雇用し,同人に対し,平成16年7月分ないし平成17年3月分の賃金として月額5万0315円,平成17年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額6万円を支払った(乙Dト1,2の1ないし12,3,4の1ないし3,Eト1,弁論の全趣旨)。
また,A21議員は,平成15年4月から平成16年6月までの間,B51を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成16年6月分の賃金として月額5万円を支払い,平成15年4月及び同年5月の賃金の振込手数料として420円,同年6月ないし平成16年2月の賃金の振込手数料として315円,同年3月の賃金の振込手数料として420円,同年4月ないし6月の賃金の振込手数料として315円を支払った(乙Dト4の4,5ないし9,Eト1,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A21議員が,上記人件費につき,平成15年4月に2万5210円(=[5万円+420円]×1/2),平成15年度(同年4月を除く。)に27万6838円(≒[5万円×11か月+420円+315円×9か月+420円]×1/2),平成16年度に30万1890円(=[5万0315円×9か月+5万円×3か月+315円×3か月]×1/2),平成17年度に36万円(=6万円×12か月×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出したことは違法である。
この点,A21議員は,「e3連絡会」がB50以外の者を雇用していたと陳述するが(乙Eト1),その裏付けはないから,信用できない。
エ まとめ
(ア) A21議員は,事務費として,平成16年度に24万0901円,平成17年度に51万1196円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計9万5165円(=8万9242円+5923円)を超える14万5736円,平成17年度に支出許容額合計21万0153円(=6445円+8万3118円+7250円+11万3340円)を超える30万1043円を支出した部分は違法である。
(イ) A21議員は,人件費として,平成15年4月に5万円,平成15年度(同年4月を除く。)に55万3570円,平成16年度に60万3780円,平成17年度に72万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額合計2万5210円を超える2万4790円,平成15年度(同年4月を除く。)に合計27万6838円を超える27万6732円,平成16年度に合計30万1890円を超える30万1890円,平成17年度に支出許容額合計36万円を超える36万円を支出した部分は違法である。
(ウ) よって,被告は,A21議員に対し,平成15年4月分2万4790円,平成15年度分(同年4月を除く。)27万6732円,平成16年度分合計44万7626円(=14万5736円+30万1890円),平成17年度分合計66万1043円(=30万1043円+36万円)の総合計141万0191円の不当利得の返還を請求するべきである。
(20)  補助参加人Z2
ア 事務所の設置状況等について
補助参加人Z2の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,自宅に設置されており,後援会及び「b党b1支部」と併設されていた(甲A5の2・3,Eナ1)。
この点,補助参加人Z2は,選挙のなかった平成16年度及び平成17年度において,後援会の活動実体はなかった,「b党b1支部」は法人からの献金を受けるための団体であり,その活動はb党和歌山県本部で行っていたと陳述する(丙Eナ1)。しかし,その裏付けはないから,補助参加人Z2の上記陳述は信用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
補助参加人Z2の政務調査事務所の事務用品・備品購入費(携帯電話機代及びデジタルカメラ代を除く。)及び郵便料金については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,固定電話使用料,インターネット使用料,携帯電話使用料,携帯電話機代及びデジタルカメラ代については,上記アのとおりの事務所の設置状況等及びその汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会及び「b党b1支部」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,補助参加人Z2は,インターネット,携帯電話及びデジタルカメラを調査研究以外に利用しなかったし,固定電話使用料の使用割合は,按分していたとおり,調査研究7,私用3の割合であったと陳述する(丙Eナ1)。しかし,その裏付けはないから,補助参加人Z2の上記陳述は信用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費(携帯電話機代及びデジタルカメラ代を除く。)について
a 補助参加人Z2は,事務用品・備品購入費として,次のとおり支払をした。
(a) 平成16年4月1日に文具代1876円(丙Cナ154),同月23日にインクカートリッジ代5292円(丙Cナ155),同月28日に「ホームセンター・コーナン」に対して消耗品,インクカートリッジ他代1万0290円(丙Cナ156),同年5月9日に手帳代588円及び封筒代2800円(丙Cナ157),同月21日に「株式会社ニノミヤ」に対して5120円(丙Cナ158),同月31日に文具用品代2万9800円(丙Cナ159),同年6月4日に「ホームセンター・コーナン」に対して文具用品代1万1360円(丙Cナ160),同年7月11日に用紙代3536円(丙Cナ163),同月25日にイヤホン代1554円(丙Cナ165),同年9月23日に「ホームセンター・コーナン」に対して備品,消耗品代9572円(丙Cナ166),同月27日に計算機代1万2000円(丙Cナ167),同年10月6日に文具用品代1080円(丙Cナ168),同月14日にフロッピーディスクドライブ代2280円(丙Cナ169),同月27日に文具用品代1万1183円(丙Cナ170),同年11月3日にインクリボン代9800円(丙Cナ171),同年12月12日に「DVD DVDH160T」代7万9800円(丙Cナ172),同月20日に文具代4158円(丙Cナ173),同月21日に「株式会社ニノミヤ」に対して3150円(丙Cナ174),同月27日に「コーナン」に対して「1430CL 25CB2サイシロムジ」代1470円(丙Cナ175),同月31日に「コーナン商事株式会社」に対して4795円(丙Cナ176),平成17年1月16日にインクリボン代8010円,ファックス用紙代6400円(丙Cナ177),同年3月に「株式会社コメリ」に対して文具用品代3780円(丙Cナ178),同年3月13日に「株式会社コメリ」に対して文具用品代1万2283円(丙Cナ179),同月17日に文具用品代1888円(丙Cナ180),同月25日に文具用品代2100円(丙Cナ181),同日に文具用品代2880円(丙Cナ182)の合計24万8845円を支払った。
(b) 平成17年4月1日にファックスリボン及びコピー用紙代3万円(丙Cナ32),同月8日にコピー代400円(丙Cナ33),同月10日に「CPUソフト」代4万2960円(丙Cナ34),同月12日に封筒代628円(丙Cナ35),同月27日に「TSUTAYA WAY」に対して事務用品(消耗品)代4565円(丙Cナ37),同年5月6日に「株式会社コメリ」に対して「消耗品,文具」代3282円(丙Cナ38),同月7日に「Joshin」に対して2万1000円(丙Cナ39),同月10日に「Joshin」に対して「ネットワーク WBR2-G54/P」代9500円(丙Cナ40),同月12日に「ミスタージョン株式会社」に対して文具品代3393円(丙Cナ41),同月15日に「株式会社萬栄」に対して「政務調査に係る文具」代8599円(丙Cナ42),同月16日に「ホームセンター・コーナン」に対して文具消耗品代2599円(丙Cナ43),同日に「文房創庫オーヤマ」に対して2420円(丙Cナ44),同月25日に「コーナン商事株式会社」に対して「消耗品文具」代2698円(丙Cナ45),同月26日に「ミスタージョン株式会社」に対して「ボールペン文具」代969円(丙Cナ46),同月28日に「コーナン商事株式会社」に対して「ノート代」1396円(丙Cナ47),同日に「文房創庫オーヤマ」に対して4848円(丙Cナ48),同月29日に「文房創庫オーヤマ」に対して1887円(丙Cナ49),同年6月3日に「ミスタージョン株式会社スーパーホームセンター」に対して消耗品代6720円(丙Cナ50),同月5日に「ケーヨーデイツー」に対して1850円(丙Cナ51),同日に「ケーヨーデイツー」に対して901円(丙Cナ52),同月8日に「ミスタージョン株式会社」に対して3202円(丙Cナ53),同月13日に「コーナン商事株式会社」に対して3160円(丙Cナ54),同日に「ミスタージョン株式会社」に対して1232円(丙Cナ55),同月15日に「文房創庫オーヤマ」に対して紙製品代359円(丙Cナ56),同月16日に「ミスタージョン株式会社」に対して1214円(丙Cナ57),同月17日に「株式会社コメリ」に対して2168円(丙Cナ58),同年7月1日に「ミスタージョン株式会社」に対して6284円(丙Cナ59),同日に文具用品代3570円(丙Cナ60),同日に「株式会社ミドリ電化」に対して「インクジェット用カラー用紙,デジカメプリント」代1万4100円(丙Cナ61),同月7日に「Joshin」に対してインクカートリッジ(消耗品)代1万3000円(丙Cナ62),同月20日に「ミスタージョン株式会社」に対して消耗品代4636円(丙Cナ64),同月21日に「コーナン商事株式会社」に対して消耗品,文具代5983円(丙Cナ65),同月24日に「株式会社コメリ」に対して文具用品代1万1960円(丙Cナ66),同月25日に「雑貨屋ブルドッグ」に対して事務用品代1万0653円(丙Cナ67),同年8月1日にデジタルメモリ代1万7000円(そのうち2735円はポイント払い。丙Cナ68),同年8月5日に複写機代11万円(丙Cナ69),同月14日にケーブル代1950円(丙Cナ70),同月26日に「Joshin」に対して「事務用品」代1万9800円(丙Cナ71),同年9月1日にシュレッダー及びデジタルカメラ用メモリ代3万円(丙Cナ72),同年9月5日に「ミスタージョン株式会社」に対して3782円(丙Cナ73),同日にファックスリボン代2000円(丙Cナ74),同月23日に「ミスタージョン株式会社 スーパーホームセンター」に対して日用品代7324円(丙Cナ75),同月29日に「コーナン商事株式会社」に対して4480円(丙Cナ76),同年10月2日に「ミスタージョン株式会社」に対して722円(丙Cナ77),同月10日に「株式会社コメリ」に対して「消耗品(文具)」代5502円(丙Cナ78),同月18日に「ホームセンター・コーナン」に対して事務用品(消耗品)代1万5414円(丙Cナ79),同月21日にインクフィルム代4000円(丙Cナ80),同月23日に「文具用品」代5957円(丙Cナ81),同月27日に「コーナン商事株式会社」に対して2560円(丙Cナ82),同月28日に高枝採集ハサミ代1580円(丙Cナ83),同月30日に「株式会社オージョイフル」に対して3518円(丙Cナ84),同年11月7日に「ミスタージョン株式会社 スーパーホームセンター」に対して備品代7476円(丙Cナ85),同月8日に「ミスタージョン株式会社」に対して消耗品代3091円(丙Cナ86),同月18日に「コーナン商事株式会社」に対して事務用品代3149円(丙Cナ87),同年12月4日に「ミスタージョン株式会社」に対して消耗品代1118円(丙Cナ88),同月8日に「ミスタージョン株式会社」に対して消耗品代3784円(丙Cナ89),同月14日に「コーナン商事株式会社」に対して「コピー用紙(消耗品)」代3364円(丙Cナ90),同月16日に「ミスタージョン株式会社」に対して「文具用品」代3566円(丙Cナ91),同月19日に「株式会社西浦」に対して事務用品(消耗品)代7084円(丙Cナ92),同日に「株式会社コメリ」に対して「文具用品」代1516円(丙Cナ93),同月24日に「コーナン」に対してはがき代2388円及び筆ペン代398円(丙Cナ94),同月29日に「OAサプライ ECI-E32-6P/BOX」代3941円及びUSBメモリ代3800円(そのうち2360円はポイント払い。丙Cナ95),同日にクリーナー代7980円(丙Cナ96),同月30日にDVDメディア代900円(丙Cナ97),平成18年1月5日に「ミスタージョン株式会社」に対して「政務調査に係る消耗品」代3234円(丙Cナ98),同月19日に「ミスタージョン株式会社」に対して1534円(丙Cナ99),同月20日に消耗品代1050円(丙Cナ100),同月24日に「コーナン商事株式会社」に対して「文具用品(消耗品)」代724円(丙Cナ101),同月25日に「コーナン商事株式会社」に対して9548円(丙Cナ102),同月28日に「株式会社コメリ」に対して6250円(丙Cナ103),同年2月6日に「ミスタージョン株式会社」に対して2080円(丙Cナ104),同月16日に「株式会社コメリ」に対して2618円(丙Cナ105),同月18日に「ミスタージョン株式会社」に対して2880円(3380円から500円割引。丙Cナ106),同月20日に「ヤマダ電機」に対して「事務機一般」代2万9957円(丙Cナ107),同月22日に「コーナン商事株式会社」に対して1622円(丙Cナ108),同月26日にアンテナケーブル代1270円(丙Cナ109),同年3月2日に「株式会社コメリ」に対して事務用品代5474円(丙Cナ110),同月10日に「株式会社ニトリ」に対して事務用品(消耗品)代1万7890円(丙Cナ111),同月ころに「ミスタージョン株式会社」に対して「文具」代2217円(丙Cナ112),同月23日に「株式会社コメリ」に対して消耗品代2342円(丙Cナ113)の合計61万1970円を支払った。
b 上記aの使途に関する補足説明
(a) 「文房創庫オーヤマ」に対する平成17年5月16日の2420円(丙Cナ44),同月28日の4848円(丙Cナ48),同月29日の1887円(丙Cナ49),同年6月15日の紙製品代359円(丙Cナ56)は,支払先及び支払額からすれば,事務用品又は文具の代金であると認められる。
また,平成16年12月12日の「DVD DVDH160T」代7万9800円(丙Cナ172)は,商品名及びその金額からすれば,DVDレコーダーであり,平成17年5月10日の「Joshin」に対する「ネットワーク WBR2-G54/P」代9500円(丙Cナ40)は,その商品名からすれば,パソコンでインターネットを利用するための機器代であり,同年12月29日の「OAサプライ ECI-E32-6P/BOX」代3941円(丙Cナ95)は,その商品名からすれば,プリンターのインク代であると認められる。
(b) 補助参加人Z2は,平成16年5月21日の「株式会社ニノミヤ」に対する5120円(丙Cナ158)がフォトプリント用紙,同月31日の文具用品代2万9800円(丙Cナ159)がキャビネット,同年6月4日の「ホームセンター・コーナン」に対する文具用品代1万1360円(丙Cナ160)がCD-R及び図面ボックス,同年9月23日の「ホームセンター・コーナン」に対する備品,消耗品代9572円(丙Cナ166)がデスクトレー及びシャトルバック,同年12月21日の「株式会社ニノミヤ」に対する3150円(丙Cナ174)が電卓,同月31日の「コーナン商事株式会社」に対する4795円(丙Cナ176)が封筒及びノート,平成17年3月の「株式会社コメリ」に対する文具用品代3780円(丙Cナ178)がマジックインキ及び鉛筆,同月13日の「株式会社コメリ」に対する文具用品代1万2283円(丙Cナ179)がファイルボックス,同年4月10日の「CPUソフト」代4万2960円(丙Cナ34)がイラストレーターという資料作成ソフト,同月27日の「TSUTAYA WAY」に対する事務用品(消耗品)代4565円(丙Cナ37)がノート及びボールペン,同年5月6日の「株式会社コメリ」に対する「消耗品,文具」代3282円(丙Cナ38)がクリアファイル,同月7日の「Joshin」に対する2万1000円(丙Cナ39)がプリンターのインクリボン,同月12日の「ミスタージョン株式会社」に対する文具品代3393円(丙Cナ41)がフォトペーパー,同月15日の「株式会社萬栄」に対する「政務調査に係る文具」代8599円(丙Cナ42)が手帳,同月16日の「ホームセンター・コーナン」に対する文具消耗品代2599円(丙Cナ43)がデスクライト,同月25日の「コーナン商事株式会社」に対する「消耗品文具」代2698円(丙Cナ45)がノート及びマジック,同年6月3日の「ミスタージョン株式会社 スーパーホームセンター」に対する消耗品代6720円(丙Cナ50)が書類整理用のスチールトレー,同月5日の「ケーヨーデイツー」に対する1850円(丙Cナ51)が封筒,同日の「ケーヨーデイツー」に対する901円(丙Cナ52)がノート及びペン,同月8日の「ミスタージョン株式会社」に対する3202円(丙Cナ53)がレタートレー,同月13日の「コーナン商事株式会社」に対する3160円(丙Cナ54)がフロアーケース,同日の「ミスタージョン株式会社」に対する1232円(丙Cナ55)がノート及びペン,同月16日の「ミスタージョン株式会社」に対する1214円(丙Cナ57)がカラーコピー用紙,同年6月17日の「株式会社コメリ」に対する2168円(丙Cナ58)がレターケース,同年7月1日の「ミスタージョン株式会社」に対する6284円(丙Cナ59)がフロアーケース,同月20日の「ミスタージョン株式会社」に対する消耗品代4636円(丙Cナ64)がプログラム関数電卓,同月21日の「コーナン商事株式会社」に対する消耗品,文具代5983円(丙Cナ65)が収納ボックス,同月24日の「株式会社コメリ」に対する文具用品代1万1960円(丙Cナ66)がブックスタンド,同月25日の「雑貨屋ブルドッグ」に対する事務用品代1万0653円(丙Cナ67)がフロアーケース,同年8月26日の「Joshin」に対する「事務用品」代1万9800円(丙Cナ71)がプリンターのインクカートリッジ,同年9月5日の「ミスタージョン株式会社」に対する3782円(丙Cナ73)がバインダー及びノート,同月23日の「ミスタージョン株式会社 スーパーホームセンター」に対する日用品代7324円(丙Cナ75)がクリップ及び名刺ホルダー,同月29日の「コーナン商事株式会社」に対する4480円(丙Cナ76)がホッチキス及びシャープペン,同年10月2日の「ミスタージョン株式会社」に対する722円(丙Cナ77)がノート,同月10日の「株式会社コメリ」に対する「消耗品(文具)」代5502円(丙Cナ78)がファイル,同月18日の「ホームセンター・コーナン」に対する事務用品(消耗品)代1万5414円(丙Cナ79)がラミネーター,同月23日の「文具用品」代5957円(丙Cナ81)がマチ付き封筒,同月27日の「コーナン商事株式会社」に対する2560円(丙Cナ82)がコピー用紙,同月30日の「株式会社オージョイフル」に対する3518円(丙Cナ84)がカラーコピー用紙,同年11月7日の「ミスタージョン株式会社 スーパーホームセンター」に対する備品代7476円(丙Cナ85)がクリアーブック,同月8日の「ミスタージョン株式会社」に対する消耗品代3091円(丙Cナ86)がフラットファイル,同月18日の「コーナン商事株式会社」に対する事務用品代3149円(丙Cナ87)がノート,ボールペン及びサインペン,同年12月4日の「ミスタージョン株式会社」に対する消耗品代1118円(丙Cナ88)が封筒,同月8日の「ミスタージョン株式会社」に対する消耗品代3784円(丙Cナ89)がモバイルマウス,同月14日の「コーナン商事株式会社」に対する「コピー用紙(消耗品)」代3364円(丙Cナ90)がコピー用紙,同月16日の「ミスタージョン株式会社」に対する「文具用品」代3566円(丙Cナ91)が電動鉛筆削り,同月19日の「株式会社西浦」に対する事務用品(消耗品)代7084円(丙Cナ92)がデジタルカメラ用プリント紙,同月19日の「株式会社コメリ」に対する「文具用品」代1516円(丙Cナ93)がパンチラベル,平成18年1月5日の「ミスタージョン株式会社」に対する「政務調査に係る消耗品」代3234円(丙Cナ98)がラベル及びハサミ,同月19日の「ミスタージョン株式会社」に対する1534円(丙Cナ99)がスティックのり,同月20日の消耗品代1050円(丙Cナ100)がテープのり,同月25日の「コーナン商事株式会社」に対する9548円(丙Cナ102)が裁断機,同月28日の「株式会社コメリ」に対する6250円(丙Cナ103)がドリルパンチ,同年2月6日の「ミスタージョン株式会社」に対する2080円(丙Cナ104)がインデックス(ラミネート),同月16日の「株式会社コメリ」に対する2618円(丙Cナ105)がノート及びペン,同月18日の「ミスタージョン株式会社」に対する2880円(丙Cナ106)がホワイトボード,同月22日の「コーナン商事株式会社」に対する1622円(丙Cナ108)がブックスタンド,同年3月2日の「株式会社コメリ」に対する事務用品代5474円(丙Cナ110)がペーパーカッター,同月10日の「株式会社ニトリ」に対する事務用品(消耗品)代1万7890円(丙Cナ111)がプリンターのインクカートリッジ,同月ころの「ミスタージョン株式会社」に対する「文具」代2217円(丙Cナ112)がノート及びボールペン,同月23日の「株式会社コメリ」に対する消耗品代2342円(丙Cナ113)がマーカーペンであると陳述しているところ(丙Eナ1),その陳述は具体的であり,信用できるから,そのとおり認めることができる。
また,補助参加人Z2は,平成17年10月28日の高枝採集ハサミ(丙Cナ83)が,和歌山県内のヒノキ枯れの原因を究明するため,ヒノキの枝を採取する際に必要となったものであると主張しているところ,その主張は具体的であるから,そのとおり認めるのが相当である。
c しかし,上記aの支払のうち,平成17年8月1日の2735円分及び同年12月29日の2360円分のポイントを利用した支払は,割引と同様に考えられるから,これらの合計5095円分に政務調査費を支出することは許されない。
また,上記aの支払のうち,平成17年9月1日のシュレッダー及びデジタルカメラ用メモリ代3万円(丙Cナ72)については,うち1万円がデジタルカメラ用メモリ代と認めるのが相当である。
d そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,補助参加人Z2が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に8万2948円(≒24万8845円×1/3),平成17年度に19万8958円(=[61万1970円-5095円-1万円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
e この点,補助参加人Z2は,他に電池代522円を支払ったと主張する。しかし,その裏付けとして提出された領収証(丙Cナ36)は印字が薄く,内容を判読することが不可能であるから,補助参加人Z2の上記主張は,採用できない。
f 他方,原告らは,平成16年4月1日の文具代1876円(丙Cナ154),同月28日の消耗品,インクカートリッジ他代1万0290円(丙Cナ156),同年5月21日のフォトプリント用紙代5120円(丙Cナ158),同年12月31日の封筒及びノート代4795円(丙Cナ176),平成17年3月のマジックインキ及び鉛筆代3780円(丙Cナ178),同年4月27日のノート及びボールペン代4565円(丙Cナ37,112),同年5月6日のクリアファイル代3282円(丙Cナ38),同月7日のプリンターのインクリボン代2万1000円(丙Cナ39),同月12日のフォトペーパー代3393円(丙Cナ41),同月15日の手帳代8599円(丙Cナ42),同月16日の模造紙代2420円(丙Cナ44),同月25日のノート及びマジック代2698円(丙Cナ45),同月28日の模造紙,マジック及び物差し代4848円(丙Cナ48),同月29日のカラーノート代1887円(丙Cナ49),同年6月4日の封筒代1850円(丙Cナ51,88),同月13日のノート及びペン代1232円(丙Cナ55,105),同月16日のカラーコピー用紙代1214円(丙Cナ57,84),同年8月26日のプリンターのインクカートリッジ代4480円(丙Cナ71,111),同年9月29日のバインダー及びノート代3782円(丙Cナ73),同月23日のクリップ及び名刺ホルダー代7324円(丙Cナ75),同月29日のホッチキス及びシャープペン代4480円(丙Cナ76),同年10月10日のファイル代5502円(丙Cナ78),同月23日のマチ付き封筒代5957円(丙Cナ81),同月27日のコピー用紙代2560円(丙Cナ82,90),同年11月7日のクリアーブック代7476円(丙Cナ85),同月8日のフラットファイル代3091円(丙Cナ86),同月18日のノート,ボールペン及びサインペン代3149円(丙Cナ87),同年12月19日のデジタルカメラ用プリント紙代7084円(丙Cナ92),平成18年1月5日のラベル及びハサミ代3234円(丙Cナ98),同月19日のスティックのり代1534円(丙Cナ99),同年20日のテープのり代1050円(丙Cナ100),同年2月6日のインデックス代2080円(丙Cナ104),同年3月23日のマーカーペン代2342円(丙Cナ113)が,過量に購入された文房具であり相当でない,又は別の商品が含まれていると主張する。しかし,その金額からすれば,過量であるとはいえないし,別の商品が含まれていることを示す証拠もないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,平成16年5月21日のフォトプリント用紙(丙Cナ158),キャビネット(丙Cナ159),CD-R及び図面ボックス(丙Cナ160),イヤホン(丙Cナ165),デスクトレー及びシャトルバック(丙Cナ166),ファイルボックス(丙Cナ168,179),DVDレコーダー(丙Cナ172),電卓(丙Cナ174),書類棚(丙Cナ181),シャープペン(丙Cナ182),イラストレーターという資料作成ソフト(丙Cナ34),CPUネット(丙Cナ40),フォトペーパー(丙C41),手帳(丙C42),デスクライト(丙Cナ43),模造紙(丙Cナ44),模造紙,マジック及び物差し(丙Cナ48),スチールトレー(丙Cナ50,173),レタートレー(丙Cナ53),フロアーケース(丙Cナ54,59,67),レターケース(丙Cナ58,180),多穴パンチ(丙Cナ60),プログラム関数電卓(丙Cナ64),収納ボックス(丙Cナ65,170),ブックスタンド(丙Cナ66,108),クリップ及び名刺ホルダー(丙Cナ75),ラミネーター(丙Cナ79),ノート,ボールペン及びサインペン(丙Cナ87),モバイルマウス(丙Cナ89),電動鉛筆削り(丙Cナ91),デジタルカメラ用プリント紙(丙Cナ92),クリーナー(丙Cナ96),裁断機(丙Cナ102),ドリルパンチ(丙Cナ103),ホワイトボード(丙Cナ106),デスクマット(丙Cナ107),アンテナケーブル(丙Cナ109),ペーパーカッター(丙Cナ110)が,調査研究に直接必要なものではないと主張する。しかし,これらの購入費は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,いずれも議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
さらに,原告らは,平成17年8月1日のデジタルメモリの領収証(丙Cナ68)の宛名が「B52」と記載されているから,調査研究のためのものではないと主張する。しかし,B52は,補助参加人Z2と同居する同人の二男であるし(丙Eナ1),領収証の宛名をもって,目的物の使途を認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) 郵便料金について
a 補助参加人Z2は,郵便料金として,次のとおり支払をした。
(a) 平成16年4月21日に郵便料金600円(丙Cナ138),同月27日に郵便料金470円(丙Cナ139),同年5月19日に郵便料金140円及び切手代3200円(丙Cナ140),同年6月7日に切手代8000円(丙Cナ141),同日に郵便料金5980円(丙Cナ142),同年8月30日に郵便料金410円(丙Cナ143),同年9月16日に郵便料金120円及び切手代50円(丙Cナ144),同年11月12日に郵便料金2万4000円(丙Cナ145),同月16日に郵便料金240円及び切手代8000円(丙Cナ146),同月22日に切手代1万3200円(丙Cナ147),同年12月20日に切手代8000円(丙Cナ148),平成17年1月4日に切手代50円(丙Cナ149),同月26日に郵便料金340円(丙Cナ151),同日にはがき交換手数料120円(丙Cナ152),同年3月16日に切手代50円(丙Cナ153)の合計7万2970円を支払った。
(b) 平成17年5月2日に郵便料金410円(丙Cナ18),同年6月3日に郵便料金1万1675円(丙Cナ19),同月7日に郵便料金1万5065円(丙Cナ20),同月9日に郵便料金1万1290円(丙Cナ21),同日に郵便料金140円(丙Cナ22),同年8月27日に切手代800円(丙Cナ23),同年10月5日に「EXPACK500」代500円(丙Cナ24),同月20日に切手代400円(丙Cナ25),同月26日に切手代280円(丙Cナ26),同年12月21日に年賀はがき代1万5000円(丙Cナ27),同月26日に年賀はがき代1万円(丙Cナ28),平成18年3月9日に切手代8000円(丙Cナ29),同日に郵便料金410円(丙Cナ30),同月24日に郵便料金240円(丙Cナ31)の合計7万4210円を支払った。
b なお,平成17年1月26日のはがき交換手数料120円(丙Cナ152)は,現金20円及び切手100円により支払われたものであるところ,その切手100円の購入費に政務調査費を支出することが違法と認めることはできない。
また,平成17年12月21日及び同月26日の年賀はがき(丙Cナ27,28)は,「Z2通信(平成18年新春号)」(丙Cナ186)に使用されたところ,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,政務調査費を支出することが違法と認めることはできない。
c そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,補助参加人Z2が,上記郵便料金につき,平成16年度に2万4323円(≒7万2970円×1/3),平成17年度に2万4737円(≒7万4210円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
d 補助参加人Z2は,他に切手代8000円を支払ったと主張する。しかし,その裏付けとして提出された領収証(丙Cナ17)は印字が薄く,内容を判読することが不可能であるから,補助参加人Z2の上記主張は,採用できない。
また,補助参加人Z2は,他に切手代1500円を支払ったと主張する。しかし,その裏付けとして提出された領収証(丙Cナ150)は,「08年01月16日」と記載され,平成20年1月16日の支払に係るものであるから,補助参加人Z2の上記主張は,採用できない。
さらに,補助参加人Z2は,平成16年度の郵便料金はすべて「Z2通信(No.3)」(丙Cナ187)等の県政報告資料を郵送したものであり,平成17年6月3日,同月7日及び同月9日の郵便料金(丙Cナ19ないし21)は「Z2通信(No.5)」の発送のために使用し,平成18年3月9日の郵便料金(丙Cナ29)は「b党県議員団平成18年度予算要望書に対する主な実績」の発送のために使用したから,その全額に政務調査費の支出が許されると陳述する(丙Eナ1)。しかし,その裏付けはなないから,補助参加人Z2の上記陳述は信用できない。
e 他方,原告らは,郵便料金の使途である「Z2通信」等が,ほとんど政治活動のためのものであるなどとと主張する。しかし,その記載内容(丙Cナ184ないし187)からすれば,「Z2通信」の郵便料金は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,上記郵便料金は過量であり,調査研究のためのものではなかったと主張する。しかし,上記郵便料金は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(エ) 固定電話使用料及びインターネット使用料について
a 補助参加人Z2は,固定電話使用料(073-〈省略〉)として,西日本電信電話株式会社に対し,平成16年4月分の1万9250円,同年5月分の3万5938円,同年6月分の2万4598円,同年7月分の2万6479円,同年8月分の1万6843円,同年9月分の8208円,同年10月分の3万1736円,同年11月分の1万8993円,同年12月分の5775円,平成17年1月分の1万2647円,同年2月分の8402円,同年3月分の1万4327円の合計22万3196円を支払い,同年4月分の1万7899円を支払った(丙Cナ13,126ないし137)。
b 補助参加人Z2は,インターネット使用料として,ソフトバンクBB株式会社に対し,平成16年9月分の6664円,同年10月分の1万0944円,同年11月分の1万2930円,同年12月分の1万2478円,平成17年1月分の6806円,平成17年2月分の6514円,同年3月分の5758円の合計6万2094円を支払い,同年4月分の7998円,同年5月分の9547円,同年6月分の7863円,同年7月分の839円の合計2万6247円を支払った(丙Cナ14,183)。なお,これらの支払は,それぞれ前月使用分であると認められる(丙Cナ14,183)。
c 補助参加人Z2は,固定電話使用料及びインターネット使用料として,株式会社ケイ・オプティコムに対し,平成17年5月分の1万3282円,同年6月分の1万2033円,同年7月分の1万7510円,同年8月分の1万1113円,同年9月分の1万7033円,同年10月分の2万4759円,同年11月分の1万6844円,同年12月分の1万9223円,平成18年1月分の1万4310円,同年2月分の1万6949円,同年3月分の3万0213円の合計19万3269円を支払った(丙Cナ15,16,弁論の全趣旨)。
d しかし,上記支払のうち,補助参加人Z2は,平成17年5月から,株式会社ケイ・オプティコムと契約し,その経費に政務調査費を支出する以上,ソフトバンクBB株式会社との契約に係る平成17年5月分ないし同年7月分の使用料合計1万8249円に政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,補助参加人Z2が,固定電話使用料及びインターネット使用料につき,平成16年度に7万1323円(≒[22万3196円+6万2094円]×1/4),平成17年度に5万4792円(≒[1万7899円+2万6247円+19万3269円-1万8249円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,上記固定電話使用料及びインターネット使用料の内訳が明らかではなく高額であるから,数台分の使用料であると主張する。しかし,その具体的な根拠はなく,上記固定電話使用料及びインターネット使用料は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) 携帯電話使用料について
補助参加人Z2は,携帯電話使用料として,平成16年4月分の1万2705円,同年5月分の1万7350円,同年6月分の1万3582円,同年7月分の2万1357円,同年8月分の1万7178円,同年9月分の1万2373円,同年10月分の1万5921円,同年11月分の1万3099円,同年12月分の1万2783円,平成17年1月分の1万2781円,同年2月分の1万1004円,同年3月分の2万7685円の合計18万7818円を支払い,同年4月分の1万9323円,同年5月分の1万7015円,同年6月分の1万8265円,同年7月分の1万5504円,同年8月分の2万6609円,同年9月分の3万5831円,同年10月分の2万9305円,同年11月分の2万1025円,同年12月分の2万0631円,平成18年1月分の1万8881円,同年2月分の1万3534円,同年3月分の1万6393円の合計25万2316円を支払った(丙Cナ1ないし12,114ないし125)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,補助参加人Z2が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に4万6955円(≒18万7818円×1/4),平成17年度に6万3079円(≒25万2316円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,上記携帯電話使用料の内訳が明らかではなく高額であるから,数台分の使用料であると主張する。しかし,その具体的な根拠はなく,上記携帯電話使用料は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(カ) 携帯電話機代について
補助参加人Z2は,平成16年6月19日に「株式会社ニノミヤ」に対して携帯電話のストラップ代710円(丙Cナ161),同日に「ドコモショップ」に対して通信用品代4620円(丙Cナ162)の合計5330円を支払い,平成17年7月19日に携帯電話機代7350円(丙Cナ63)を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,補助参加人Z2が,上記携帯電話機代につき,平成16年度に1333円(≒5330円×1/4),平成17年度に1838円(=7350円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
なお,原告らは,上記携帯電話機代,携帯電話用品(丙Cナ161,162)が,調査研究に直接必要なものではないと主張する。しかし,それらの購入費は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(キ) デジタルカメラ代について
補助参加人Z2は,平成16年7月23日にデジタルカメラ代3万9375円(丙Cナ164),平成17年9月1日にシュレッダー及びデジタルカメラ用メモリ代3万円(丙Cナ72)を支払った。
なお,上記デジタルカメラ用メモリ代は,1万円と認めるのが相当である。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,補助参加人Z2が,上記デジタルカメラ代につき,平成16年度に9844円(≒3万9375円×1/4),平成17年度に2500円(=1万円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ まとめ
補助参加人Z2は,事務費として,平成16年度に77万6909円,平成17年度に113万7408円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計23万6726円(=8万2948円+2万4323円+7万1323円+4万6955円+1333円+9844円)を超える54万0183円,平成17年度に支出許容額合計34万5904円(=19万8958円+2万4737円+5万4792円+6万3079円+1838円+2500円)を超える79万1504円を支出した部分は違法である。
よって,被告は,補助参加人Z2に対し,総合計133万1687円の不当利得の返還を請求するべきである。
(21)  A22議員(以下「A22議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A22議員の政務調査用事務所(和歌山県御坊市〈以下省略〉)は,自宅(和歌山県日高郡〈以下省略〉)とは別の場所に設置されていた(乙Cニ2の4・5,Eニ1)。
また,A22議員の後援会及び政治団体「d12会」は,自宅に設置されていた(甲A5の3,乙Eニ1)。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分割合等について
A22議員の政務調査用事務所の固定電話使用料,コピー機使用料,パソコン代及びプリンター代については,上記アのとおり他の目的のものが併設されていなかった事務所で使用されたから,按分して政務調査費を支出する必要は認められない。
もっとも,携帯電話使用料及びデジタルカメラ代については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会及び「d12会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A22議員は,携帯電話を調査研究以外に利用することはほとんどなかったと陳述するが(乙Eニ1),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 固定電話使用料について
A22議員は,政務調査用事務所の固定電話(0738-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計8万1373円,同年4月分ないし平成18年3月分の合計6万5238円を支払った(乙Cニ1の2,2の2,弁論の全趣旨)。
しかし,A22議員は,上記支払のうち,それぞれ30%相当額である平成16年度の2万4411円,平成17年度の1万9571円に政務調査費を支出した(乙Eニ1)。
そして,A22議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に2万4411円,平成17年度に1万9571円をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,自宅に後援会等が併設されていたから,政務調査用事務所においても後援会等の活動がされていたなどと主張するが,その具体的な根拠はないから,採用できない。
(ウ) コピー機使用料について
A22議員は,平成16年12月,B53に対し,政務調査用事務所に備えられたコピー機の同年4月分ないし同年12月分の使用料18万円を支払った(乙Cニ2の3,Eニ1,弁論の全趣旨)。
なお,上記使用料の領収証(乙Cニ2の3)には「事務所共益費」と記載されているところ,この点につき,A22議員は,事務所の貸主である有限会社イナダに対するコピー機使用料の趣旨であると陳述する(乙Eニ1)。A22議員が政務調査用事務所を無償で借りていたこと(乙Cニ2の4)からすれば,A22議員の上記陳述は信用でき,上記のとおり認めることができる。
そして,A22議員が,上記コピー機使用料につき,平成16年度に18万円を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) パソコン代及びプリンター代について
A22議員は,平成17年10月30日にパソコン代22万0500円(乙Cニ1の3),デジタルカメラ代及びプリンター代11万5000円(乙Cニ1の4)のの合計33万5500円を支払った。
上記デジタルカメラ代及びプリンター代11万5000円の内訳は明らかでないため,そのうち,デジタルカメラ代は,5万7500円と認めるのが相当である。
そして,A22議員が,上記パソコン代及びプリンター代につき,平成17年度に27万8000円(=33万5500円-5万7500円)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) 携帯電話使用料について
A22議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計41万9067円,同年4月分ないし平成18年3月分の合計31万7511円を支払った(乙Cニ1の1,2の1)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A22議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に10万4767円(≒41万9067円×1/4),平成17年度に7万9378円(≒31万7511円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,「ドコモ料金支払内訳書」の「記事」欄には「一括請求によるお支払い」との記載があるから(乙Cニ1の1,2の1),数台分の使用料であると主張する。確かに,上記記載からすれば,複数の回線が使用されていたことがうかがわれる。しかし,上記書面に表示された電話使用料は,「事前案内書兼領収証」の「電話番号毎のご請求内訳をご確認ください」との記載(乙Cケ5の1ないし10)がいう電話番号毎の電話使用料,すなわち,上記携帯電話番号のみの使用料であると認められるから(乙Cケ15,16),原告らの上記主張は採用できない。
(カ) デジタルカメラ代について
A22議員は,平成17年10月30日にデジタルカメラ代及びプリンター代11万5000円(乙Cニ1の4)を支払った。
なお,上記(エ)のとおり,上記デジタルカメラ代は,5万7500円と認めるのが相当である。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A22議員が,上記デジタルカメラ代につき,平成17年度に1万4375円(=5万7500円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A22議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設されていなかった事務所で雇用されたから,按分して政務調査費を支出する必要があるとは認められない。
(イ) 人件費の支出等について
A22議員は,平成15年5月及び同年6月において,勤務場所を政務調査用事務所,業務内容を政務調査補助,賃金を月額15万円の月末払として,B54を雇用し,同人に対し,平成15年5月分及び同年6月分の賃金として各月10日に月額15万円の合計30万円を支払った(乙Dニ5,6の1・2,上記ア)。
また,A22議員は,平成15年9月から平成16年3月までの間,勤務場所を政務調査用事務所,業務内容を政務調査補助,賃金を月額15万円の月末払として,B55を雇用し,同人に対し,平成15年9月分ないし平成16年3月分の賃金として各月25日に月額15万円の合計105万円を支払った(乙Dニ7,8の1ないし7,上記ア)。
さらに,A22議員は,平成16年4月から同年9月までの間,勤務場所を政務調査用事務所,業務内容を政務調査補助,賃金を月額12万円の月末払として,B56を雇用し,同人に対し,平成16年4月分ないし平成16年9月分の賃金として各月10日に月額12万円の合計72万円を支払った(乙Dニ3,4の1ないし6,上記ア)。
そのほか,A22議員は,平成17年度において,勤務場所を「県内(日高郡内)」,業務内容を政務調査補助,賃金を月額8万円の月末払として,B57を雇用し,同人に対し,平成17年4月分ないし平成18年3月分の賃金として各月末ころに月額8万円の合計96万円を支払った(乙Dニ1,2の1ないし12)。
そして,A22議員が,上記人件費につき,平成15年度(同4月を除く。)に135万円(=30万円+105万円),平成16年度に72万円,平成17年度に96万円をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,B57の具体的な勤務場所が定まっていなかったから,調査研究に従事したとはいえないと主張する。しかし,B57の業務内容は,政務調査補助であったから(乙Dニ1),原告らの上記主張は採用できない。
エ まとめ
(ア) A22議員は,事務費として,平成16年度に36万円,平成17年度に60万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計30万9178円(=2万4411円+18万円+10万4767円)を超える5万0822円,平成17年度に支出許容額合計39万1324円(=1万9571円+27万8000円+7万9378円+1万4375円)を超える20万8676円を支出した部分は違法である。
(イ) A22議員は,人件費として,平成15年度(同年4月を除く。)に135万円,平成16年度に72万円,平成17年度に96万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),これらの支出はいずれも適法である。
(ウ) よって,被告は,A22議員に対し,平成16年度分5万0822円,平成17年度分20万8676円の合計25万9498円の不当利得の返還を請求するべきである。
(22)  A23議員(以下「A23議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A23議員の政務調査用事務所(和歌山県御坊市〈以下省略〉)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会,政治団体「d13会」及び「d14会」と併設されていた(甲A5の3,乙Cヌ10,Eヌ5)。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分割合等について
A23議員の政務調査用事務所の郵便関係費用,パソコン関係費用及び文房具代については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会,「d13会」及び「d14会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A23議員は,後援会及び「d14会」が,平成15年度ないし平成17年度にほとんど活動しておらず,「d13会」の経費が政務調査用事務所の経費とは別に計上されていたと陳述するが(乙Eヌ5),その裏付けはないから,信用できない。
他方,原告らは,現金出納簿(乙Eヌ1ないし4)に携帯電話使用料の記載がないから,事務費に政務調査費の支出は許されないと主張する。しかし,以下のとおり,事務費支払の事実は,他の証拠によって認められるから,原告らの上記主張は採用できない。
(イ) 郵便関係費用について
A23議員は,郵便関係費用として,次のとおり支払をした。
a 平成16年4月2日に郵便料金2000円(乙Cヌ4の1),同月13日に郵便料金2880円及びはがき代1000円(乙Cヌ4の2),同月16日に切手・はがき類代140円(乙Cヌ4の3),同月23日に郵便料金140円(乙Cヌ4の4),同月26日に切手代2500円(乙Cヌ4の5),同日に郵便料金120円(乙Cヌ4の6),同月28日に郵便料金200円(乙Cヌ4の7),同月30日に郵便料金410円及び切手代1万8400円(乙Cヌ4の8),同年5月12日に郵便料金6240円(乙Cヌ4の9),同年6月25日に切手代1000円(乙Cヌ4の10),同年7月8日に郵便料金1万5750円(乙Cヌ4の11),同月28日に切手代1000円(乙Cヌ4の12),同年8月10日に郵便料金590円(乙Cヌ4の13),同月11日に暑中見舞用はがき代1000円及び切手代2500円(乙Cヌ4の14),同年9月3日に切手・はがき類代530円(乙Cヌ4の15),同月6日にはがき代2500円(乙Cヌ4の16),同日に切手・はがき類代1800円(乙Cヌ4の17),同月10日に郵便料金4400円(乙Cヌ4の18),同年10月18日に郵便料金120円(乙Cヌ4の19),同月25日に切手代2500円(乙Cヌ4の20),同月29日にはがき代1500円(乙Cヌ4の21),同年11月8日に郵便料金90円(乙Cヌ4の22),同月12日に郵便料金7000円(乙Cヌ4の23),同月17日に切手・はがき類代3000円(乙Cヌ4の24),同月26日に切手・はがき類代3000円(乙Cヌ4の25),同年12月22日に切手・はがき類代1000円(乙Cヌ4の26),同月24日に切手代2500円(乙Cヌ4の27),同月27日に郵便料金120円及びはがき代1万2500円(乙Cヌ4の28),平成17年1月12日に郵便料金200円(乙Cヌ4の29),同月24日に郵便料金2880円(乙Cヌ4の30),同日に郵便料金350円(乙Cヌ4の31),同年2月7日に郵便料金200円(乙Cヌ4の32),同年3月2日に切手代3200円(乙Cヌ4の33),同月4日に郵便料金4410円(乙Cヌ4の34),同月7日に郵便料金140円(乙Cヌ4の35),同日に郵便料金3120円(乙Cヌ4の36),同月25日に郵便料金2220円(乙Cヌ4の37),同日に郵便料金140円(乙Cヌ4の38),同日に切手代2500円(乙Cヌ4の39)の合計11万7790円を支払った。
b 平成17年4月4日に郵便料金240円(乙Cヌ1の1),同年5月18日に郵便料金7410円(乙Cヌ1の2),同月25日に切手代2500円(乙Cヌ1の3),同年6月9日に郵便料金250円(乙Cヌ1の4),同月15日に郵便料金90円(乙Cヌ1の5),同月17日に切手代10円(乙Cヌ1の6),同月27日に切手・はがき類代2500円(乙Cヌ1の7),同年7月27日に切手代1100円(乙Cヌ1の8),同年8月26日にはがき代1250円(乙Cヌ1の9),同年9月14日に郵便料金(現金書留)500円(乙Cヌ1の10),同日に現金書留用封筒代20円(乙Cヌ1の11),同月26日に切手代1200円(乙Cヌ1の12),同月27日に郵便料金120円(乙Cヌ1の13),同年10月7日に切手代3200円及びはがき代2250円(乙Cヌ1の14),同月12日に郵便料金80円(乙Cヌ1の15),同月28日に郵便料金120円(乙Cヌ1の16),同年11月14日に現金書留用封筒代20円(乙Cヌ1の17),同日に郵便料金(現金書留)750円(乙Cヌ1の18),同月22日に郵便料金80円(乙Cヌ1の19),同月24日に郵便料金640円(乙Cヌ1の20),同年12月6日に切手・はがき類代2500円(乙Cヌ1の21),同月9日に切手・はがき類代3000円(乙Cヌ1の22),平成18年1月10日に切手・はがき類代2万円(乙Cヌ1の23),同日に往復はがき代7000円,切手代4400円及び通常はがき代2500円(乙Cヌ1の24),同月18日に郵便料金3120円(乙Cヌ1の25),同年2月17日に郵便料金480円(乙Cヌ1の26),同月24日に郵便料金5570円(乙Cヌ1の27),同日に「EXPACK500」料金1000円(乙Cヌ1の28),同年3月3日に郵便料金270円(乙Cヌ1の29),同月10日に郵便料金2490円(乙Cヌ1の30)の合計7万6660円を支払った。
しかし,上記支出のうち,平成16年8月11日の暑中見舞用はがき代1000円(乙Cヌ4の14)は,議員が行う調査研究に係る事務遂行に係る経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A23議員が,上記郵便関係費用につき,平成16年度に2万9198円(≒[11万7790円-1000円]×1/4),平成17年度に1万9165円(=7万6660円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,郵便関係費用が過量で,年度内の調査研究のためのものではないなどと主張する。しかし,上記郵便関係費用は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) パソコン関係費用
A23議員は,平成16年6月23日にパソコンのセキュリティソフト代3150円(乙Cヌ5の1),同年11月24日にパソコンのセキュリティソフト代3150円(乙Cヌ5の2),平成17年2月4日に,USBメモリー代6580円,LANケーブル代2060円,CD・DVDケース及びそのファイル代960円(乙Cヌ5の3),同月7日にパソコン代15万2000円(乙Cヌ5の4,Eヌ5),同年3月2日にフロッピーディスク代1480円(乙Cヌ5の5)の合計16万9380円を支払い,同年6月26日にプリンターのインク代6620円(乙Cヌ2の1),同年8月1日にパソコンのセキュリティソフト代3150円(乙Cヌ2の2),同年12月26日にパソコンのセキュリティソフト代3150円(乙Cヌ2の3)の合計1万2920円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A23議員が,上記パソコン関係費用につき,平成16年度に4万2345円(=16万9380円×1/4),平成17年度に3230円(=1万2920円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,USBフラッシュメモリー,LANケーブル,CD/DVDケース及びその専用フィルム,フロッピーディスク,パソコンのセキュリティソフトの更新代2件につき,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,それらの費用は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
また,原告らは,パソコンのセキュリティソフトの更新代2件につき,1件のソフトを3台のパソコンに使用できたはずであるから,調査研究に係る事務遂行に要する経費として社会通念上相当な範囲を逸脱していると主張する。しかし,平成16年度ないし平成17年度の当時,1件のソフトを3台のパソコンに使用できたことを示す証拠はないから,原告らの上記主張は採用できない。
(エ) 文房具代について
A23議員は,文房具代として,平成16年8月4日に567円,同年12月14日に1470円の合計2037円を支払った(乙Cヌ6の1・2)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A23議員が,上記文房具代につき,平成16年度に509円(≒2037円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) 携帯電話使用料について
A23議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年5月分の3万2404円,同年6月分の2万3251円,同年7月分の2万9974円,同年8月分の3万9533円,同年9月分の3万3467円,同年10月分の4万1399円,同年11月分の3万7421円,同年12月分の3万3859円,平成17年1月分の2万6215円,同年2月分の1万9399円,同年3月分の1万9825円,同年4月分の2万5548円の合計36万2295円を支払い,同年5月分の1万7734円,同年6月分の1万6908円,同年7月分の2万0296円,同年8月分の2万2785円,同年9月分の2万5819円,同年10月分の2万7749円,同年11月分の2万3667円,同年12月分の1万1595円,平成18年1月分の9982円,同年2月分の8169円,同年3月分の1万0164円,同年4月分の1万2545円の合計20万7413円を支払った(乙Cヌ3の1ないし12,7の1ないし12)。
なお,A23議員は,請求月,すなわち,支払月ではなく,使用月を基準にして,各年度の政務調査費を支出していたところ,携帯電話使用料は,継続的契約に係るものであり,定期的に支払がされることからすれば,上記のような政務調査費の支出方法も,不合理とはいえない。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A23議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に7万2459円(=36万2295円×1/5),平成17年度に4万1483円(=20万7413円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A23議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A23議員は,下記(イ)のB58及びB59が,調査研究以外の活動に従事しなかったと陳述するが(乙Eヌ5),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 人件費の支出等について
a A23議員は,平成15年度ないし平成17年度において,勤務場所をA23議員の政務調査用事務所,業務内容を政務調査補助,賃金を時給750円及び交通費月額3000円,支給日を月末として,B58を雇用し,同人に対し,平成15年4月分の7万1800円を支払い,同年5月分の賃金として7万1250円,同年6月分の賃金として7万1000円,同年7月分の賃金として7万5000円,同年8月分の賃金として5万7000円,同年9月分の賃金として7万2000円,同年10月分の賃金として8万2000円,同年11月分の賃金として6万3000円,同年12月分の賃金として8万3500円,平成16年1月分の賃金として6万4500円,同年2月分の賃金として6万3000円,同年3月分の賃金として8万3250円の合計78万5500円を支払い,同年4月分の賃金として8万1000円,同年5月分の賃金として6万5250円,同年6月分の賃金として5万3250円,同年7月分の賃金として7万7250円,同年8月分の賃金として6万1500円,同年9月分の賃金として7万1300円,同年10月分の賃金として8万3250円,同年11月分の賃金として8万1000円,同年12月分の賃金として7万5000円,平成17年1月分の賃金として6万7000円,同年2月分の賃金として6万9000円,同年3月分の賃金として7万5000円の合計85万9800円を支払い,同年4月分の賃金として7万円,同年5月分の賃金として6万4000円,同年6月分の賃金として5万7000円,同年7月分の賃金として5万5500円,同年8月分の9万円,同年9月分の賃金として8万7000円,同年10月分の賃金として6万7500円,同年11月分の賃金として8万円,同年12月分の賃金として5万6000円,平成18年1月分の賃金として6万7250円,同年2月分の賃金として7万2000円,同年3月分の賃金として7万2000円の合計85万9800円を支払った(乙Dヌ1,3の1ないし12,4の1ないし12,5の1ないし11,6)。
なお,上記支払のうち,平成15年6月分の875円,平成15年10月分,平成17円4月分及び同年5月分の各1000円,平成15年12月分の250円,平成16年9月分,平成17年11月分及び同年12月分の各500円,平成16年12月分の1875円が,それぞれ積算書の賃金額を超えており(乙Dヌ8の1・2・8・9,9の6・9,10の2・6・8),平成16年5月分の2万1000円,同年6月分の2万1500円,同年11月分の1万7625円が,それぞれ積算書の賃金額の誤計算により過払いとなっているが,上記のとおり,それぞれ実際に支払ったことが認められる。
b また,A23議員は,平成15年4月14日から同月25日までの間(土日を除く。),賃金を1日8000円として,B59を雇用し,同人に対し,同月30日にその賃金として8万円を支払った(乙Dヌ2,7)。
c そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A23議員が,上記人件費につき,平成15年4月に3万7950円(=[7万1800円+8万円]×1/4),平成15年度(同年4月を除く。)に19万6375円(=78万5500円×1/4),平成16年度に21万4950円(=85万9800円×1/4),平成17年度に20万9563円(≒83万8250円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出したことは違法である。
この点,原告らは,B58の雇用契約書(乙Dヌ1)が,正月付けであること,B58の自署がないことから,同人に労働の事実はなかったと主張する。しかし,B58は,雇用契約書に押印したこと,賃金受領の領収書を作成したこと,B58の労働時間の積算書が作成されたことから(乙Dヌ1,3の1ないし12,4の1ないし12,5の1ないし11,6),原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,被用者が雇用期間終了後に賃金を受領することはあり得ないから,B59に対する賃金の支払の事実はなかったと主張する。しかし,平成15年4月25日(金)に雇用期間の終了した者が,同月30日(水)に賃金を受領することが不自然であるとはいえないから,原告らの上記主張は採用できない。
さらに,原告らは,A23議員が被用者を複数雇用する必要性はなかったと主張する。しかし,A23議員が被用者を複数雇用し,賃金を支払ったことは,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の程度で,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
エ まとめ
(ア) A23議員は,事務費として,平成16年度に28万9207円,平成17年度に8万9420円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計14万4511円(=2万9198円+4万2345円+509円+7万2459円)を超える14万4696円,平成17年度に支出許容額合計6万3878円(=1万9165円+3230円+4万1483円)を超える2万5542円を支出した部分は違法である。
(イ) A23議員は,人件費として,平成15年4月に15万1800円,平成15年度(同年4月を除く。)に71万4500円,平成16年度に85万9800円,平成17年度に83万8250円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額合計3万7950円を超える11万3850円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計19万6375円を超える51万8125円,平成16年度に合計21万4950円を超える64万4850円,平成17年度に支出許容額20万9563円を超える62万8687円を支出した部分は違法である。
(ウ) よって,被告は,A23議員に対し,平成15年4月分11万3850円,平成15年度分(同年4月を除く。)51万8125円,平成16年度分合計78万9546円(=14万4696円+64万4850円),平成17年度分合計65万4229円(=2万5542円+62万8687円)の総合計207万5750円の不当利得の返還を請求するべきである。
(23)  A24議員(以下「A24議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A24議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,自宅と同一敷地内のビルに設置され,後援会,政治団体「A24政策研究会」及びテナント「n」と併設されていた(甲A5の3,乙Bネ3の1,Eネ11)。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分割合等について
A24議員の政務調査用事務所の賃料については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるところ,A24議員は,「A24政策研究会」の「光熱水費」及び「事務所費」としても,平成16年度に合計67万6629円,平成17年度に合計64万7089円を支出した(甲ネ7,8)。
したがって,後述する賃料に,上記「A24政策研究会」の「光熱水費」及び「事務所費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
この点,A24議員は,平成14年度から平成17年度までの間,後援会及び「n」がほとんど活動していなかったなどと陳述する(乙Eネ11)。しかし,その裏付けはないから,A24議員の上記陳述は信用できない。
(イ) 事務所の賃料について
A24議員は,平成15年度ないし平成17年度において,「A24政策研究会」の名義で,A24議員の母であるB60から,f5ビルの一室を賃料月額10万円で賃借し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃料として毎月末ころに月額10万円を支払った(甲A3,乙Bネ1,2,Eネ11,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成15年度につき4分の1,平成16年度につき67万6629円を加えて4分の1,平成17年度につき64万7089円を加えて4分の1)のとおり,A24議員が,平成15年4月に2万5000円(=10万円×1/4),平成15年度(同年4月を除く。)に27万5000円(10万円×11か月×1/4),平成16年度に46万9157円(≒[10万円×12か月+67万6629円]×1/4),平成17年度に46万1772円(≒[10万円×12か月+64万7089円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A24議員は,事務所の賃料の50%を政務調査費から支出していたと陳述するところ(乙Eネ11),原告らは,その陳述を前提とすれば,「A24政策研究会」の事務所費は,年額60万円以上となるはずであるが,実際には,平成16年度が34万2655円,平成17年度が32万3098円であったから(甲ネ7,8),「A24政策研究会」は賃料を支払っておらず,A24議員は実際に賃料を支払っていなかったと主張する。しかし,賃貸人であるB60が家賃台帳(乙ネB2)に毎月押印していたから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,事務所の賃借人が「A24政策研究会」であったから,賃料に政務調査費を支出することは許されないと主張する。しかし,賃借名義がA24議員でなかったからといって,賃借人としての実体がなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
さらに,原告らは,「n」が賃料を経費として計上していたから,賃料に政務調査費を支出することは許されないと主張する。しかし,その具体的な根拠はないから,原告らの上記主張は採用できない。
そのほか,原告らは,f5ビルが,A24議員の共有する土地上にあり(甲ネ5),A24議員が経営するoタバコ店もあったから(乙Cネ1の3・5・6・9・10・15・18),A24議員が支払った政務調査用事務所の賃料は,実質的にA24議員の利益になっていたと主張する。しかし,f5ビルは,A24議員の母が,敷地を共有するとともに建物を所有し(甲ネ5,6),居住しているところ,別居する親子を経済的に一体と認めることはできないから,原告らの主張は採用できない。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A24議員の政務調査用事務所の事務費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるところ,A24議員は,「A24政策研究会」の「備品・消耗品費」としても,平成16年度に74万7118円,平成17年度に66万3040円を支出した(甲ネ7,8)。
したがって,後述する事務用品・備品購入費及び郵便関係費用に,上記「A24政策研究会」の「備品・消耗品費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
また,携帯電話使用料等については,上記アのとおりの事務所の設置状況等及びその汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会,「A24政策研究会」及び「n」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務用品・備品購入費,郵便関係費用について
a 事務用品・備品購入費について
A24議員は,平成16年6月1日にファイル代1050円(乙Cネ5の1,弁論の全趣旨),同月8日にボールペン代315円(乙Cネ5の2,弁論の全趣旨),同年7月8日にシャープペンシル代315円(乙Cネ5の3,弁論の全趣旨),同年8月21日に領収証用紙代157円(乙Cネ5の4,弁論の全趣旨),平成17年1月7日に領収証用紙代471円(乙Cネ5の5),同年3月18日にスポンジ代105円,ファイル代525円及び年賀状ホルダー代525円(乙Cネ5の6)の合計3463円を支払った。
また,A24議員は,平成17年4月2日にパソコンのセキュリティソフト代4050円(乙Cネ2の1),同年5月11日に文具代270円(乙Cネ2の2),同年6月8日にシャープペンシルの芯代210円(乙Cネ2の3),同月25日に録音用テープ代720円(乙Cネ2の4,弁論の全趣旨),同年7月6日に事務用箋代597円(乙Cネ2の5),同月22日にガムテープ代420円(乙Cネ2の6,弁論の全趣旨),同月25日に印鑑代360円(乙Cネ2の7),同年8月4日に筆ペン代629円(乙Cネ2の8),同月29日に模造紙代150円(乙Cネ2の9),同年9月21日にシャープペンシルの芯代378円(乙Cネ2の10,弁論の全趣旨),同年10月4日に印鑑代367円(乙Cネ2の11),同日にカメラの電池代398円(乙Cネ2の12),同年11月19日にコピー用紙代834円(乙Cネ2の13),同年12月1日にボールペン代206円(乙Cネ2の14),同月19日に領収証用紙代314円(乙Cネ2の15),平成18年1月17日にファイル代315円(乙Cネ2の16),同月24日に「和田紙店」に対して使途不明の294円,筆ペン代630円及び消しゴム代60円(乙Cネ2の17)の合計1万1202円を支払った。
なお,平成18年1月24日の「和田紙店」に対する294円の支払(乙Cネ2の17)は,支払先,金額及び同時に購入した商品からすれば,事務用品・備品購入費であると認められる。
b 郵便関係費用について
A24議員は,平成16年7月23日に切手代800円(乙Cネ4の1),同月29日に郵便料金240円(乙Cネ4の2),同年8月24日にはがき代1500円(乙Cネ4の3),同年9月22日に切手代1600円(乙Cネ4の4),同年11月12日に切手代2500円(乙Cネ4の5),同月15日にはがき代1000円(乙Cネ4の6),平成17年1月20日に後納郵便料1万4390円(乙Cネ4の7),平成17年2月21日に後納郵便料1万7290円(乙Cネ4の8),同年3月15日に郵便料金240円(乙Cネ4の9),同月17日に郵便料金140円(乙Cネ4の10)の合計3万9700円を支払った。
また,A24議員は,平成17年4月27日に郵便料金240円(乙Cネ1の1),同年6月8日に郵便料金390円及び切手代1600円(乙Cネ1の2),同月20日に切手代50円(乙Cネ1の3),同月27日に郵便料金240円(乙Cネ1の4),同年7月21日に切手代1000円(乙Cネ1の5),同年8月4日に切手代1万6320円及びはがき代1500円(乙Cネ1の6),同月8日に郵便料金140円(乙Cネ1の7),同年9月21日に郵便料金1170円(乙Cネ1の8),同月27日に切手代400円(乙Cネ1の9),同年11月8日にはがき代1000円(乙Cネ1の10),同月22日に郵便料金240円(乙Cネ1の11),同月25日に郵便料金390円(乙Cネ1の12),同年12月7日に郵便料金140円及び切手代420円(乙Cネ1の13),同月14日に郵便料金390円(乙Cネ1の14),同月16日に切手代1610円(乙Cネ1の15),同月19日に切手代240円(乙Cネ1の16),同月30日に郵便料金200円(乙Cネ1の17),平成18年1月23日に切手代1600円(乙Cネ1の18)の合計2万9280円を支払った。
なお,平成16年7月23日の切手代,同年9月22日の切手代,同年11月15日のはがき代,平成17年6月20日の切手代,同年7月21日のはがき代,同年8月4日の切手代及びはがき代,同年9月27日の切手代,同年11月8日のはがき代,同年12月16日の切手代,平成18年1月23日の切手代は,A24議員が経営するoタバコ店又はA24議員が販売したものであるが(乙Cネ1の3・5・9・10・15・18,4の1・4・6),その代金額,切手及びはがきの性質からすれば,A24議員がその利益を図ったものとは認められない。
この点,原告らは,平成17年1月20日及び同年2月21日の後納郵便料は,「A24政策研究会代表 A24」名義で支払われたから(乙Cネ4の7・8),「A24政策研究会」の経費であると主張する。しかし,上記後納郵便料の使途を認める証拠はないから,原告らの上記主張は採用できない。
c まとめ
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき74万7118円を加えて4分の1,平成17年度につき66万3040円を加えて4分の1)のとおり,A24議員が,上記事務用品・備品購入費及び郵便関係費用につき,平成16年度に19万7570円(≒[3463円+3万9700円+74万7118円]×1/4),平成17年度に17万5881円(≒[1万1202円+2万9280円+66万3040円]×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 携帯電話使用料等について
A24議員は,携帯電話の使用料として,平成16年4月分の1万2577円,同年5月分の1万2583円,同年6月分の1万3957円,同年7月分の1万1389円,同年8月分の1万1967円,同年9月分の1万0211円,同年10月分の9999円,同年11月分の1万1149円,同年12月分の1万4012円,平成17年1月分の1万1363円,同年2月分の1万0211円,同年3月分の1万0260円の合計13万9678円を支払い,同年4月分の1万1244円,同年5月分の1万1871円,同年6月分の1万2517円,同年7月分の1万1938円,同年8月分の1万4879円,同年9月分の2万4049円,同年10月分の2万9400円,同年11月分の2万8215円,同年12月分の3万4004円,平成18年1月分の2万5035円,同年2月分の2万2437円,同年3月分の2万3872円の合計24万9461円を支払った(乙Cネ3,6の1・2)。
また,A24議員は,平成16年11月25日,携帯電話の機種変更代1万6800円を支払った(乙Cネ7)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A24議員が,上記携帯電話使用料等につき,平成16年度に3万1296円(≒[13万9678円+1万6800円]×1/5),平成17年度に4万9892円(≒24万9461円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A24議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他のものが併設された事務所で雇用されたものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
なお,A24議員は,「A24政策研究会」の「人件費」として,平成16年度に133万6703円,平成17年度に133万9118円を支出したところ(甲ネ7,8),後述するとおり,業務内容を調査研究の補助として支払われた賃金以外の賃金も支払われていた事実が別途認められるから,上記「A24政策研究会」の「人件費」としての支出は考慮しない。
(イ) 人件費の支出等について
a A24議員は,平成15年6月1日から平成18年3月31日までの間において,勤務場所をA24議員の政務調査用事務所,業務内容を調査研究の補助,賃金を月額5万円として,B61を雇用し,同人に対し,平成15年7月分ないし平成18年3月分の賃金として月額5万円を支払った(乙Dネ1,2,8の1ないし4)。また,同人に対しては,別途,平成15年7月分ないし平成18年3月分の賃金として月額10万円(所得税,社会保険料等を含む。)が支払われていた(乙Dネ9の1ないし4)。
b A24議員は,平成16年1月1日から平成18年3月31日までの間において,勤務場所をA24議員の政務調査用事務所,業務内容を調査研究の補助,賃金を月額5万円として,B62を雇用し,同人に対し,平成16年1月分ないし平成18年3月分の賃金として月額5万円を支払った(乙Dネ3,4,10の1ないし3)。また,同人に対しては,別途,平成16年1月分ないし平成18年3月分の賃金として月額10万円が支払われていた(乙Dネ11の1ないし3)。
c A24議員は,平成15年4月1日から同年5月31日までの間において,勤務場所をA24議員の政務調査用事務所,業務内容を調査研究の補助,賃金を月額5万円として,B63を雇用し,同人に対し,平成15年4月分及び同年5月分の賃金として月額5万円を支払った。また,同人に対しては,別途,平成15年4月分及び同年5月分の賃金として月額10万円が支払われていた(乙Dネ5,12)。
d A24議員は,平成15年4月1日から同年6月30日までの間において,勤務場所をA24議員の政務調査用事務所,業務内容を調査研究の補助,賃金を月額10万円として,B64を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし同年6月分の賃金として月額10万円を支払った(乙Dネ6,13)。また,同人に対しては,別途,平成15年4月分ないし同年6月分の賃金として月額10万円が支払われていた(乙Dネ14)。
e A24議員は,平成15年6月1日から同年12月31日までの間において,勤務場所をA24議員の政務調査用事務所,業務内容を調査研究の補助,賃金を月額5万円として,B65を雇用し,同人に対し,平成15年6月分ないし同年12月分の賃金として月額5万円を支払った。また,同人に対しては,別途,平成15年6月分ないし同年12月分の賃金として月額5万円が支払われていた(乙Dネ7,15)。
f そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A24議員が,上記人件費につき,平成15年4月に8万7500円(=[15万円+20万円]×1/4),平成15年度(同年4月を除く。)に76万2500円(=[15万円+20万円×2か月+10万円×7か月+15万円×9か月+15万円×3か月]×1/4),平成16年度に90万円(=[15万円×12か月+15万円×12か月]×1/4),平成17年度に90万円(=[15万円×12か月+15万円×12か月]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 原告らの主張について
原告らは,B61,B62及びB64の業務内容を調査研究の補助として支払われた賃金について,それ以外の賃金の支払と異なり,社会保険料及び所得税等が控除されていなかったから(乙Dネ8の1ないし4,9の1ないし4,13,14,10の1ないし3,11の1ないし3,弁論の全趣旨),実際には支払われていなかったと主張する。しかし,社会保険料及び所得税等の控除がされていなかったからといって,勤務実体がなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,A24議員が被用者を複数雇用する必要性はなかったと主張する。しかし,上記人件費は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の程度で,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A24議員は,事務所費として,平成15年4月に5万円,平成15年度(同年4月を除く。)に55万円,平成16年度及び平成17年度に各60万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額合計2万5000円を超える2万5000円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計27万5000円を超える27万5000円,平成16年度に支出許容額合計46万9157円を超える13万0843円,平成17年度に支出許容額合計46万1772円を超える13万8228円を支出した部分は違法である。
(イ) A24議員は,事務費として,平成16年度に10万7572円,平成17年度に5万9570円の政務調査費を支出したところ(別紙1),いずれも支出許容額(平成16年度につき,合計22万8866円[=19万7570円+3万1296円]。平成17年度につき,合計22万5773円[=17万5881円+4万9892円])を超える違法支出はない。
(ウ) A24議員は,人件費として,平成15年4月に14万9602円,平成15年度(同年4月を除く。)に84万4092円,平成16年度に118万9775円,平成17年度に120万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額8万7500円を超える6万2102円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額76万2500円を超える8万1592円,平成16年度に支出許容額90万円を超える28万9775円,平成17年度に支出許容額90万円を超える30万円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A24議員に対し,平成15年4月分合計8万7102円(=2万5000円+6万2102円),平成15年度分(同年4月を除く。)合計35万6592円(=27万5000円+8万1592円),平成16年度分合計42万0618円(=13万0843円+28万9775円),平成17年度分合計43万8228円(=13万8228円+30万円)の総合計163万3469円の不当利得の返還を請求するべきである。
(24)  A25議員(以下「A25議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A25議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,自宅に設置されており,「a党a10支部」及び政治団体「d15会」と併設されていた(甲A5の2・3,乙Eノ1)。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分割合等について
A25議員の政務調査用事務所のデータ整理委託料については,A25議員が,住民から集めた意見や要望等を管理し,議員活動に反映するためのデータ整理を外部に委託した費用であると陳述しているところ(乙Eノ1),その陳述は合理的で信用できるから,按分して政務調査費を支出する必要は認められない。
また,事務用品・備品購入費(インスタントカメラ代を除く。),プリンター代及び輪転機リース料については,上記アのとおり他のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,携帯電話使用料及びインスタントカメラ代については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,「a党a10支部」及び「d15会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A25議員は,「a党a10支部」が,会費徴収程度しか活動しておらず,その事務費はなかったし,「d15会」が,政治資金受入れのための団体で,その活動に係る事務費に政務調査費を支出した事実はないと陳述するが(乙Eノ1),その裏付けはないから,信用できない。
また,A25議員は,携帯電話を調査研究以外に利用することはほとんどなかったと陳述するが(乙Eノ1),その裏付けはないから,信用できない。
他方,原告らは,データ整理委託料につき,調査研究の内容が明らかでないから,政務調査費を支出することは許されないと主張する。しかし,上記に説示したところに加え,政治活動の自由の性質にかんがみれば,調査研究の内容を詳細に明らかにしないからといって,政務調査費の支出を違法とするのは相当でないから,原告らの上記主張は採用できない。
(イ) データ整理委託料について
A25議員は,調査研究に関するデータ処理の委託料として,平成16年12月6日に「有限会社パッシュ」に対し2万9400円(乙Cノ6の1,9),同月20日に「株式会社福本経営研究所」に対し9450円(乙Cノ6の2)の合計3万8850円を支払った。
なお,「株式会社福本経営研究所」への支払について,「株式会社福本経営研究所」の作成に係る確認書(乙Cノ10)には,「政治活動に必要なデータ処理」のための費用と記載されているが,調査研究と政治活動を区別したものとは認められない。
そして,A25議員が,上記データ整理委託料につき,平成16年度に3万8850円を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 事務用品・備品購入費について
a A25議員は,平成15年12月22日に機器消耗品代3013円(乙Cノ4の14),平成16年4月29日に事務用品代462円(乙Cノ4の2),同年7月28日に文具又は事務機器類代1万4864円(乙Cノ4の3),同年10月12日にインクリボン代680円,「セルフオプション」代350円及び管球代368円(乙Cノ4の4),同月17日にトイレットペーパー代398円,ペーパーカップ代256円,ペーパーボール代198円,セロハンテープ代88円及びコピー用紙代496円(乙Cノ4の5),同月22日に和歌山リコー株式会社に対して6300円(乙Cノ4の6),同月23日にコピー用紙代414円(乙Cノ4の7),同月26日に文具又は事務機器類代2370円(乙Cノ4の8),同年11月5日に印章用品代及び金封のし代の合計808円(乙Cノ4の9),同月11日に蛍光灯,電球及び点灯管代の合計2422円(乙Cノ4の10),同月24日に文具又は事務機器類代2110円(乙Cノ4の11),同月29日に筆記具代及び事務用品代の合計913円(乙Cノ4の12),同年12月9日に「パッケージプラザモリモト」に対して1437円(乙Cノ4の13),平成17年1月27日に文具又は事務機器類代1万9818円(乙Cノ4の15),同年2月13日にインクリボン代2040円(乙Cノ4の16),同月15日に機器消耗品代3570円(乙Cノ4の17),同月22日に事務用品代及び金封代の合計1944円(乙Cノ4の18),同月24日にカットベニア代88円(乙Cノ4の19)の合計6万5407円を支払った。
また,A25議員は,平成17年4月1日に紙製品代315円(乙Cノ4の1),同年6月16日に「和歌山県職員労働組合県庁支部売店」に対して252円(乙Cノ1の1),同月17日に「パッケージプラザモリモト」に対して5879円(乙Cノ1の2),同月21日に文具又は事務機器類代1万4998円(乙Cノ1の3),同年7月2日にプリンターのインク代3700円,蛍光灯代410円,コード類代544円及び電球代196円(乙Cノ1の4),同月11日にヘルメット代1980円(乙Cノ1の5),同月17日にホース代4560円(乙Cノ1の6),同年8月3日に文具又は事務機器類代2万8569円(乙Cノ1の7),同年9月8日に文具又は事務機器類代2万9350円(乙Cノ1の8),同年10月8日に文具又は事務機器類代1万7720円(乙Cノ1の9),同年11月5日にコピー用紙代1040円(乙Cノ1の10),同年12月16日にコピー用紙代1240円及びインクジェットラベル代1498円(乙Cノ1の11),同月17日に文具又は事務機器類代2万1282円(乙Cノ1の12),平成18年1月3日にコピー用紙代894円(乙Cノ1の13),同年2月7日に文具又は事務機器類代2万9951円(乙Cノ1の14)の合計16万4378円を支払った。
なお,平成16年10月22日の和歌山リコー株式会社に対する6300円(乙Cノ4の6)は,支払先からすれば,事務機器関係費用であり,平成16年12月9日の「パッケージプラザモリモト」に対する1437円(乙Cノ4の13),平成17年6月17日の「パッケージプラザモリモト」に対する5879円(乙Cノ1の2)は,支払先である「パッケージプラザモリモト」が紙製品やパッケージ販売店であること(弁論の全趣旨)や金額からすれば,紙製品又はパッケージ類の代金であると認められる。
b しかし,上記支出のうち,平成15年12月22日の機器消耗品代3013円(乙Cノ4の14)は,平成15年度の支払であり,平成16年度又は平成17年度の議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
また,平成16年10月12日の「セルフオプション」代350円(乙Cノ4の4)は,電動歯ブラシの交換用替ブラシであると認められ,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
さらに,平成16年11月5日及び平成17年2月22日の金封のし代各294円(乙Cノ4の9・18),平成17年7月17日のホース代4560円(乙Cノ1の6)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
c そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A25議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に2万0485円(≒[6万5407円-3013円-350円-294円-294円]×1/3),平成17年度に5万3273円(≒[16万4378円-4560円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,平成17年7月2日のプリンターのインク代等の領収証(乙Cノ1の4)の宛名が「B66」と記載されているから,調査研究のためのものではないと主張する。しかし,「B66」はA25議員の親族であると認められるし,領収証の宛名をもって,目的物の使途を認めることはできない。したがって,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,ヘルメット(乙Cノ1の5),トイレットペーパー,ペーパーカップ及びペーパーボール(乙Cノ4の5),蛍光灯及び点灯管(乙Cノ4の10),並びにカットベニア(乙Cノ4の19)が,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,これらの購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(エ) プリンター代について
A25議員は,平成17年2月13日にプリンター代9980円を支払った(乙Cノ7)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A25議員が,上記プリンター代につき,平成16年度に3327円(≒9980円×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) 輪転機リース料について
A25議員は,平成16年4月分ないし平成18年3月分の輪転機リース代として月額1万8480円を支払った(乙Cノ3の1ないし12,8の1ないし12)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A25議員が,上記輪転機リース料につき,平成16年度及び平成17年度に各7万3920円(=1万8480円×12か月×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,輪転機で作成したものが,調査研究に必要なものではなかったと主張する。しかし,具体的な根拠はないし,上記輪転機リース料は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(カ) 携帯電話使用料について
A25議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計6万1869円,同年4月分ないし平成18年3月分の合計6万1202円を支払った(乙Cノ2,5)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A25議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に1万5467円(≒6万1869円×1/4),平成17年度に1万5301円(≒6万1202円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,「ドコモ料金支払内訳書」の「記事」欄には「一括請求によるお支払い」との記載があるから(乙Cノ2,5),数台分の使用料であると主張する。しかし,同書面に表示された電話使用料は,「事前案内書兼領収証」の「電話番号毎のご請求内訳をご確認ください」との記載(乙Cケ5の1ないし10)がいう電話番号毎の電話使用料,すなわち,上記携帯電話番号のみの使用料であると認められるから(乙Cケ15,16),原告らの上記主張は採用できない。
(キ) インスタントカメラ代について
A25議員は,平成18年3月30日にインスタントカメラ代780円(乙Cノ1の15)を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A25議員が,上記インスタントカメラ代につき,平成17年度に195円(=780円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ まとめ
(ア) A25議員は,事務費として,平成16年度に16万4322円,平成17年度に44万7807円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計15万2049円(=3万8850円+2万0485円+3327円+7万3920円+1万5467円)を超える1万2273円,平成17年度に支出許容額合計14万2689円(=5万3273円+7万3920円+1万5301円+195円)を超える30万5118円を支出した部分は違法である。
(イ) よって,被告は,A25議員に対し,平成16年度分1万2273円,平成17年度分30万5118円の合計31万7391円の不当利得の返還を請求するべきである。
(25)  補助参加人Z3
ア 事務所の設置状況等について
補助参加人Z3の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,自宅に設置され,政治団体「d16会」と併設されていた(甲A5の3,丙Eハ1,弁論の全趣旨)。
なお,補助参加人Z3の後援会は,和歌山市〈以下省略〉に設置されていた(甲A5の3)。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
補助参加人Z3の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費(携帯電話機代及びデジタルカメラ代を除く。)及び郵便料金については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,固定電話使用料及びインターネット使用料については,上記アのとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,「d16会」の活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,携帯電話使用料,携帯電話機代及びデジタルカメラ代については,上記アのとおりの事務所の設置状況等及びその汎用性を考慮すれば,調査研究以外に,「d16会」及び後援会の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,補助参加人Z3は,選挙のなかった平成16年度及び平成17年度において,「d16会」の活動実体はなかった,携帯電話及びインターネットを調査研究以外に全く利用しなかった,固定電話使用料を調査研究に7割も利用したと陳述するが(丙Eハ1),その裏付けはないから,補助参加人Z3の上記陳述は信用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費について
a 補助参加人Z3は,平成16年4月23日に「文房創庫オーヤマ」に対して757円(丙Cハ94),同月28日に「徳美堂印舗」に対して8500円(丙Cハ95),同年6月1日に「文房創庫オーヤマ」に対して390円(丙Cハ97),同年7月6日に筆記具代472円(丙Cハ98),同月10日に筆記具代282円(丙Cハ99),同年12月18日にパソコンマウス代3800円(丙Cハ100),平成17年1月4日に「文房創庫オーヤマ」に対して事務用品代160円及び紙製品代336円(丙Cハ101,102),同月21日に880円(丙Cハ104),同月22日に「ケーズデンキ」に対して8万0400円(丙Cハ103),同月25日に「文房創庫オーヤマ」に対して1734円(丙Cハ105),同月31日に「文房創庫オーヤマ」に対して紙製品代708円(丙Cハ106),同年2月14日に「文房創庫オーヤマ」に対して4675円(丙Cハ107),同年3月3日に「文房創庫オーヤマ」に対して3570円(丙Cハ108),同月30日に「有限会社ナカスヂ事務器」に対して6615円(丙Cハ109),同月31日に「有限会社ナカスヂ事務器」に対して5万2290円(丙Cハ110)の合計16万5569円を支払った。
また,補助参加人Z3は,平成17年5月22日に「文房創庫オーヤマ」に対して1257円(丙Cハ39),同年6月29日に「文房創庫オーヤマ」に対して2313円(丙Cハ40),同年7月14日に「文房創庫オーヤマ」に対して472円(丙Cハ41),同年8月26日に「文房創庫オーヤマ」に対して4675円(丙Cハ42),同年10月19日に「文房創庫オーヤマ」に対して754円(丙Cハ43),同月31日に「文房創庫オーヤマ」に対して1743円(丙Cハ44),同年11月2日に「パソコンのアプライド」に対してパソコン代18万9800円,「PIXUSMP170」代1万7800円,「ヴァリオシーナ カジュアルバッグ」代3980円及びパソコンの保証料5500円(丙Cハ45),同月6日に「岡文具店」に対して1990円(丙Cハ46),同月17日に「徳美堂印舗」に対して3000円(丙Cハ47),同年12月22日に「文房創庫オーヤマ」に対して2146円(丙Cハ48),同日に「文房創庫オーヤマ」に対して504円(丙Cハ49),同月25日にインクカートリッジ代2016円(丙Cハ50),平成18年2月16日に「文房創庫オーヤマ」に対して586円(丙Cハ51),同月24日に「文房創庫オーヤマ」に対して879円(丙Cハ52),同年3月2日に「ケーズデンキ」に対して2520円(丙Cハ53),同月6日にノートパソコン代19万3880円(丙Cハ54),同月24日に「文房創庫オーヤマ」に対して4290円(丙Cハ56)の合計44万0105円を支払った。
b なお,平成16年12月18日のパソコンマウス代3800円の領収証は印字が薄く,判読できない(丙Cハ100)。しかし,「政務調査費支出票」(丙Cハ100)には「パソコンマウス代」と記載されているところ,「政務調査費支出票」がおおむね各事務費の支出ごとに領収証等を添付して内容を記載したものであること(丙Cハ1ないし110,112ないし114)からすれば,そのとおり認められる。
また,「文房創庫オーヤマ」に対する平成16年4月23日の757円(丙Cハ94),同年6月1日の390円(丙Cハ97),平成17年1月4日の事務用品代160円及び紙製品代336円(丙Cハ101,102),同月25日の1734円(丙Cハ105),同月31日の紙製品代708円(丙Cハ106),同年2月14日の4675円(丙Cハ107),同年3月3日の3570円(丙Cハ108),同年5月22日の1257円(丙Cハ39),同年6月29日の2313円(丙Cハ40),同年7月14日の472円(丙Cハ41),同年8月26日の4675円(丙Cハ42),同年10月19日の754円(丙Cハ43),同月31日の1743円(丙Cハ44),同年12月22日の2146円(丙Cハ48),同日の504円(丙Cハ49),平成18年2月16日の586円(丙Cハ51),同月24日の879円(丙Cハ52),同年3月24日の4290円(丙Cハ56)の各支払,並びに「岡文具店」に対する平成17年11月6日の1990円(丙Cハ46)の支払は,支払先及び支払額からすれば,事務用品又は文具の代金であると認められる。
さらに,「徳美堂印舗」に対する平成16年4月28日の8500円(丙Cハ95),平成17年11月17日の3000円(丙Cハ47)の各支払は,支払先からすれば,印鑑関係費用であると認められる。
そして,「パソコンのアプライド」に対する平成17年11月2日の「PIXUSMP170」代1万7800円及び「ヴァリオシーナ カジュアルバッグ」代3980円(丙Cハ45)の支払は,支払先及び商品名からすれば,プリンター代及びパソコンを持ち運ぶためのバッグ代であると認められる。
そのほか,「有限会社ナカスヂ事務器」に対する平成17年3月30日の6615円(丙Cハ109)及び同月31日の5万2290円(丙Cハ110)の各支払は,「有限会社ナカスヂ事務器」が「O・A機器オフィス家具 事務用品」を取り扱っていることや,上記支払額からすれば,事務機器又は事務用品代であったと認められる。
c しかし,上記aの支払のうち,平成17年1月21日の880円(丙Cハ104)は,支払先や内容が明らかではないことからすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
また,「ケーズデンキ」に対する平成17年1月22日の8万0400円(丙Cハ103)及び平成18年3月2日の2520円(丙Cハ53)の各支払は,内容が明らかでなく,支払先が多様な商品を扱う店であることからすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
さらに,平成18年3月6日のノートパソコン代19万3880円(丙Cハ54)は,補助参加人Z3において,持ち運びが可能なものが必要であったとして,平成17年11月2日にノートパソコンを購入したにもかかわらず(丙Cハ45),そのわずか4か月後に購入されたものであり,補助参加人Z3が陳述するように,平成7年ころに購入したデスクトップ型のパソコンが寿命を迎えたとしても,上記ノートパソコン代は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
d そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,補助参加人Z3が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に4万2145円(=[16万5569円-880円-8万0400円]×1/2),平成17年度に12万1853円(=[44万0105円-2520円-19万3880円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
e 原告らの主張について
(a) 原告らは,平成17年11月2日のノートパソコン代及びその保証料(丙Cハ45)につき,補助参加人Z3が既にパソコンを所有していたから,新しいパソコンを購入する必要はなかったなどと主張する。しかし,補助参加人Z3は,デスクトップ型のパソコンを所有していたが,持ち運びが可能なものが必要であったと陳述しているところ(丙Eハ1),その陳述は具体的であり信用できる。そして,上記ノートパソコン代及びその保証料は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(b) 原告らは,2台目のプリンターが調査研究に係る事務遂行に要する経費として社会通念上相当な範囲を逸脱していると主張する。しかし,2台目のプリンター(丙Cハ45)及び1台目のプリンター用のインク(丙Cハ50)の購入費は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(c) 原告らは,平成16年12月18日のパソコンマウス(丙Cハ100)及び平成17年11月2日の「ヴァリオシーナ カジュアルバッグ」(丙Cハ45)が,調査研究に直接必要なものではないと主張する。しかし,これらの購入費も,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) 郵便料金について
補助参加人Z3は,平成16年6月24日に切手代1800円(丙Cハ92),同月29日に切手代900円(丙Cハ93)の合計2700円を支払い,平成17年6月10日に郵便料金120円(丙Cハ37),同年12月22日に郵便料金270円(丙Cハ38)の合計390円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,補助参加人Z3が,上記郵便料金につき,平成16年度に1350円(=2700円×1/2),平成17年度に195円(=390円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 固定電話使用料について
補助参加人Z3は,固定電話使用料(073-〈省略〉)として,平成16年5月分の1万1107円,同年6月分の1万9595円,同年7月分の1万3850円,同年8月分の1万3442円,同年9月分の1万4479円,同年10月分の1万3909円,同年11月分の1万2527円,同年12月分の1万2076円,平成17年1月分の1万2023円,同年2月分の1万4341円,同年3月分の1万4374円の合計15万1723円を支払い,同年4月分の1万9270円,同年5月分の2万0234円,同年6月分の1万9213円,同年7月分の2万0339円,同年8月分の1万1943円,同年9月分の2万0927円,同年10月分の1万7657円,同年11月分の1万6601円,同年12月分の1万4634円,平成18年1月分の1万4230円,同年2月分の1万3770円,同年3月分の1万6780円の合計20万5598円を支払い,同年4月分の1万9258円を支払った(丙Cハ13ないし24,69ないし79,113)。
しかし,上記支払のうち,平成18年4月分の固定電話使用料1万9258円(丙Cハ113)は,補助参加人Z3が,使用月ではなく,請求月,すなわち,支払月を基準にして,各年度の政務調査費を支出していたことから,平成17年度の政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,補助参加人Z3が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に5万0574円(=15万1723円×1/3),平成17年度に6万8533円(=20万5598円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) インターネット使用料について
補助参加人Z3は,インターネット使用料として,平成16年4月分ないし同年8月分の各6562円,同年9月分の6263円,同年10月分ないし平成17年3月分の各5110円の合計6万9733円を支払い,同年4月分ないし平成18年3月分の各5110円の合計6万1320円を支払い,平成18年4月分の5110円を支払った(丙Cハ25ないし36,80ないし91,114)。
しかし,上記支払のうち,平成18年4月分のインターネット使用料5110円(丙Cハ114)は,補助参加人Z3が,使用月ではなく,請求月,すなわち,支払月を基準にして,各年度の政務調査費を支出していたことから,平成17年度の政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,補助参加人Z3が,上記インターネット使用料につき,平成16年度に2万3244円(≒6万9733円×1/3),平成17年度に2万0440円(=6万1320円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出したことは違法である。
(カ) 携帯電話使用料について
補助参加人Z3は,携帯電話使用料(090-〈省略〉)として,平成16年4月分の5250円,同年5月分の5197円,同年6月分の1万2168円,同年7月分の8394円,同年8月分の6545円,同年9月分の5384円,同年10月分の8550円,同年11月分の5588円,同年12月分の6104円,平成17年1月分の6039円,同年2月分の7389円,同年3月分の1万2192円の合計8万8800円を支払い,同年4月分の8011円,同年5月分の7224円,同年6月分の8821円,同年7月分の8102円,同年8月分の7657円,同年9月分の6519円,同年10月分の7253円,同年11月分の3639円,同年12月分の8685円,平成18年1月分の7399円,同年2月分の5723円,同年3月分の7573円の合計8万6606円を支払い,同年4月分の3917円を支払った(丙Cハ1ないし12,57ないし68,112)。
しかし,上記支払のうち,平成18年4月分の携帯電話使用料3917円(丙Cハ112)は,補助参加人Z3が,使用月ではなく,請求月,すなわち,支払月を基準にして,各年度の政務調査費を支出していたことから,平成17年度の政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,補助参加人Z3が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に2万2200円(=8万8800円×1/4),平成17年度に2万1652円(≒8万6606円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(キ) 携帯電話機代について
補助参加人Z3は,平成16年5月30日に携帯電話機代1万9530円を支払った(丙Cハ96)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,補助参加人Z3が,上記携帯電話代につき,平成16年度に4883円(=1万9530円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ク) デジタルカメラ代について
補助参加人Z3は,平成18年3月21日にデジタルカメラ代3万7600円を支払った(丙Cハ55)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,補助参加人Z3が,上記携帯電話代につき,平成17年度に9400円(=3万7600円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ まとめ
(ア) 補助参加人Z3は,事務費として,平成16年度に45万2537円,平成17年度に76万9938円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計14万4396円(=4万2145円+1350円+50574円+2万3244円+2万2200円)を超える30万8141円,平成17年度に支出許容額合計24万2073円(12万1853円+195円+6万8533円+2万0440円+2万1652円+9400円)を超える52万7865円を支出した部分は違法である。
(イ) よって,被告は,補助参加人Z3に対し,平成16年度分30万8141円,平成17年度分52万7865円の合計83万6006円の不当利得の返還を請求するべきである。
(26)  A26議員(以下「A26議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A26議員の政務調査用事務所(和歌山県田辺市〈以下省略〉)は,自宅に設置され,後援会,「c党c1支部」及び政治団体「d17会」と併設されていた(甲A5の2・3,乙Eヒ2)。
この点,A26議員は,後援会が政務調査用事務所とは別に経費を支出していたこと,「c党c1支部」の活動がc党の和歌山県本部で行われていたこと,「d17会」が資金管理団体であり,活動実体はなかったことを陳述する(乙Eヒ2)。しかし,その裏付けはないから,A26議員の上記陳述は採用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A26議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費,OA機器等代及び郵便関係費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,固定電話使用料,携帯電話使用料及びガソリン代については,調査研究以外に,後援会,「c党c1支部」及び「d17会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A26議員は,固定電話及び携帯電話を調査研究以外に利用することはほとんどなかったと陳述するが(乙Eヒ2),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費について
A26議員は,平成16年4月14日にコピー関係費3万7800円(乙Cヒ7の1,Eヒ1),同月15日に名刺代3885円(乙Cヒ7の2,Eヒ1,2),同年5月7日にポラロイドカメラのフィルム代8778円(乙Cヒ7の3,Eヒ1,2,弁論の全趣旨),同年10月1日に「寒川紙店」に対して1万7345円(乙Cヒ7の4),同月26日にポラロイドカメラのフィルム代6468円(乙Cヒ7の5,Eヒ1,2,弁論の全趣旨),平成17年1月26日に名刺代7500円(乙Cヒ7の6,Eヒ1,2),同年3月10日に名刺代9700円(乙Cヒ7の7,Eヒ1,2)の合計9万1476円を支払った。
また,A26議員は,平成17年4月9日にポラロイドカメラのフィルム代9139円(乙Cヒ2の1,Eヒ1,2,弁論の全趣旨),同月27日に印鑑代4000円(乙Cヒ2の2,Eヒ1),同年8月1日に事務用品代1万1050円(乙Cヒ2の3,Eヒ1),同年9月29日にポラロイドカメラのフィルム代1764円(乙Cヒ2の4,Eヒ1,2,弁論の全趣旨),同年10月7日にスクリーン代1万4865円(乙Cヒ2の5,Eヒ1),同年11月21日に地図代3万5175円(乙Cヒ2の6,Eヒ1,2),同年12月16日にポラロイドカメラのフィルム代3940円(乙Cヒ2の7,Eヒ1,2,弁論の全趣旨),平成18年2月27日にトナー代5万2140円(乙Cヒ2の8,Eヒ2)の合計13万2073円を支払った。
なお,平成16年10月1日の「寒川紙店」に対する1万7345円(乙Cヒ7の4)は,A26議員が,用紙代であると陳述しているところ(乙Eヒ2),支払先からすれば,そのとおり認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A26議員が,事務用品・備品購入費につき,平成16年度に2万2869円(=9万1476円×1/4),平成17年度に3万3018円(≒13万2073円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
なお,原告らは,ポラロイドカメラのフィルム(乙Cヒ2の1・4・7,7の3・5),印鑑(乙Cヒ2の2),スクリーン(乙Cヒ2の5),地図(乙Cヒ2の6),及び名刺(乙Cヒ7の2・6・7)が,調査研究に直接必要なものではないと主張する。しかし,これらの購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,トナー及びコピー用紙代が,政務調査費の支出が許されない環境整備費であると主張する。しかし,これらの購入費も,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) OA機器等代について
A26議員は,平成18年3月26日にパソコン代18万2500円(乙Cヒ3の1,Eヒ1,弁論の全趣旨),同月31日にETC代1万8825円(乙Cヒ3の2,Eヒ1,弁論の全趣旨)の合計20万1325円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A26議員が,上記OA機器等代につき,平成17年度に5万0331円(≒20万1325円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
なお,A26議員は,OA機器(パソコン等)を調査研究以外に利用することはほとんどなかったと陳述するが(乙Eヒ2),その裏付けはないから,信用できない。
他方,原告らは,ETC(乙Cヒ3の2)が調査研究に直接必要なものではないと主張する。しかし,ETC代は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(エ) 郵便関係費について
A26議員は,平成16年5月21日に切手代2万4000円(乙Cヒ6の3),同年11月24日に郵便料金350円及びはがき代1万4000円(乙Cヒ6の1),同年12月1日に弔事用の切手代又ははがき代2500円(乙Cヒ6の2)の合計4万0850円を支払い,平成17年5月2日に切手代4万円(乙Cヒ1)を支払った。
しかし,上記支出のうち,平成16年12月1日の弔事用の切手代又ははがき代2500円(乙Cヒ6の2)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A26議員が,上記郵便関係費につき,平成16年度に9588円(≒[4万0850円-2500円]×1/4),平成17年度に1万円(=4万円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,切手及びはがき(乙Cヒ1,6の1ないし3)が過量であると主張する。しかし,上記切手及びはがき代は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) 固定電話使用料について
A26議員は,自宅の固定電話(0739-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の1万4991円(乙Cヒ8の1),同年5月分の1万5686円(乙Cヒ8の2),同年6月分の1万7322円(乙Cヒ8の3),同年7月分の9974円(乙Cヒ8の4),同年8月分の1万9364円(乙Cヒ8の5),同年9月分の1万2759円(乙Cヒ8の6),同年10月分の1万5757円(乙Cヒ8の7),同年11月分の1万1785円(乙Cヒ8の8),同年12月分の1万5707円(乙Cヒ8の9),平成17年1月分の1万3227円(乙Cヒ8の10),同年2月分の1万3704円(乙Cヒ8の11),同年3月分の1万0299円(乙Cヒ8の12)の合計17万0575円を支払った。
また,A26議員は,平成17年4月分の1万0862円(乙Cヒ4の1),同年5月分の1万5144円(乙Cヒ4の2),同年6月分の1万8595円(乙Cヒ4の3),同年7月分の8633円(乙Cヒ4の4),同年8月分の1万2538円(乙Cヒ4の5),同年9月分の1万2927円(乙Cヒ4の6),同年10月分の7985円(乙Cヒ4の7),同年11月分の9112円(乙Cヒ4の8),同年12月分の1万1725円(乙Cヒ4の9),平成18年1月分の1万1263円(乙Cヒ4の10),同年2月分の1万3273円(乙Cヒ4の11)の合計13万2057円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A26議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に3万4115円(=17万0575円×1/5),平成17年度に2万6411円(≒13万2057円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(カ) 携帯電話使用料について
A26議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計12万2045円(乙Cヒ9),平成17年4月分ないし平成18年3月分の合計8万3140円(乙Cヒ5)を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A26議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に2万4409円(=12万2045円×1/5),平成17年度に1万6628円(=8万3140円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,「ドコモ料金支払内訳書」の「記事」欄には「一括請求によるお支払い」との記載があるから(乙Cヒ5,9),数台分の使用料であると主張する。確かに,上記記載からすれば,複数の回線が使用されていたことがうかがわれる。しかし,上記書面に表示された電話使用料は,「事前案内書兼領収証」の「電話番号毎のご請求内訳をご確認ください」との記載(乙Cケ5の1ないし10)がいう電話番号毎の電話使用料,すなわち,上記携帯電話番号のみの使用料であると認められるから(乙Cケ15,16),原告らの上記主張は採用できない。
(キ) ガソリン代について
A26議員は,ガソリン代として,平成16年4月7日に4316円(乙Cヒ10の1),同月17日に4305円(乙Cヒ10の2),同月23日に4043円(乙Cヒ10の3),同月29日に4347円(乙Cヒ10の4),同年5月22日に4221円(乙Cヒ10の5),同月28日に3476円(乙Cヒ10の6),同年6月2日に4508円(乙Cヒ10の7),同日に3209円(乙Cヒ10の8),同月29日に4688円(乙Cヒ10の9),同年7月11日に4598円(乙Cヒ10の10),同月15日に4123円(乙Cヒ10の11),同月28日に4745円(乙Cヒ10の12),同年8月9日に3896円(乙Cヒ10の13),同月12日に3649円(乙Cヒ10の14),同月23日に4576円(乙Cヒ10の15),同年9月1日に4081円(乙Cヒ10の16),同月8日に3805円(乙Cヒ10の17),同月16日に4070円(乙Cヒ10の18),同月19日に3950円(乙Cヒ10の19),同年10月10日に2924円(乙Cヒ10の20),同月15日に4247円(乙Cヒ10の21),同月22日に4208円(乙Cヒ10の22),同月30日に3795円(乙Cヒ10の23),同年11月6日に4320円(乙Cヒ10の24),同月20日に3753円(乙Cヒ10の25),同月25日に4046円(乙Cヒ10の26),同年12月2日に4291円(乙Cヒ10の27),同月9日に3632円(乙Cヒ10の28),同月15日に4720円(乙Cヒ10の29),同月19日に3852円(乙Cヒ10の30),同月22日に4696円(乙Cヒ10の31),同月30日に4956円(乙Cヒ10の32),平成17年1月8日に4991円(乙Cヒ10の33),同月14日に4295円(乙Cヒ10の34),同月20日に4130円(乙Cヒ10の35),同月25日に4942円(乙Cヒ10の36),同月30日に4012円(乙Cヒ10の37),同年2月4日に4295円(乙Cヒ10の38),同月12日に4838円(乙Cヒ10の39),同月21日に4401円(乙Cヒ10の40),同月26日に4779円(乙Cヒ10の41),同年3月6日に4720円(乙Cヒ10の42),同月10日に3945円(乙Cヒ10の43),同月14日に3977円(乙Cヒ10の44),同月18日に3724円(乙Cヒ10の45),同月20日に1160円(乙Cヒ10の46),同月24日に4213円(乙Cヒ10の47)の合計19万4468円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A26議員が,上記ガソリン代につき,平成16年度に3万8894円(≒19万4468円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,燃料費は交通費として調査研究費に計上されるべきであると主張する。しかし,本件使途基準は使途によって政務調査費を支出できる上限額を定めているわけではなく,計上した使途が誤りであるからといって,政務調査費の支出が違法であるとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
ウ 人件費について
(ア) B67
A26議員は,平成15年度ないし平成17年度において,勤務場所を自宅,業務内容を調査研究のための資料作成及びパソコンの打ち込みとして,B67を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額6万円を支払ったと陳述する(乙Dヒ1ないし3,7の1ないし12,9の1ないし12,11の1ないし11,13,Eヒ2)。
しかし,A26議員がB67の雇用契約書として提出している書面では,同人の勤務場所が,平成15年度は「田辺市〈以下省略〉」,平成16年度及び平成17年度は「田辺市〈以下省略〉他自宅」とされており(甲ヒ6ないし8,乙Dヒ1ないし3),政務調査用事務所であったA26議員の自宅(和歌山県田辺市〈以下省略〉[上記ア])や,B67の自宅(和歌山県田辺市〈以下省略〉[甲ヒ6ないし8,乙Dヒ1ないし3])と異なっていた。また,上記書面には,調査研究に関する雇用であることを示す記載はない。
したがって,A26議員の上記陳述等は信用できず,B67の賃金は,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
(イ) B68
A26議員は,平成15年度ないし平成17年度において,勤務場所を和歌山県「田辺市〈以下省略〉 自宅」,業務内容を「資料整理,事務他」,勤務時間を「一日中」,賃金を月額2万円,支給日を月末として,A26議員の妻であるB68を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額2万円を支払ったと陳述する(乙Dヒ4ないし6,8の1ないし12,10の1ないし12,12の1ないし11,14,Eヒ2)。
しかし,勤務時間が一日中という雇用契約は,不自然である。また,A26議員は,市民オンブズマンわかやまからの政務調査用事務所の被用者との関係を問う質問に対し,「家族」を選択せずに,「家族でない第3者」を選択し,家族を雇用している場合の勤務条件等の内容と証拠書類に関する質問に回答しなかった(甲ヒ5)。この点,被告は,上記の回答が,B67を念頭に置いたものであると主張するが,上記(ア)のとおり,採用できない。
したがって,B68の賃金は,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
エ まとめ
(ア) A26議員は,事務費として,平成16年度に47万7528円,平成17年度に52万0786円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計12万9875円(=2万2869円+9588円+3万4115円+2万4409円+3万8894円)を超える34万7653円,平成17年度に支出許容額合計13万6388円(=3万3018円+5万0331円+1万円+2万6411円)を超える38万4398円を支出した部分は違法である。
(イ) A26議員は,人件費として,平成15年4月に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度及び平成17年度に各96万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度及び平成17年度に各96万円を支出したことはいずれも違法である。
(ウ) よって,被告は,A26議員に対し,平成15年4月分8万円,平成15年度分(同年4月を除く。)88万円,平成16年度分合計130万7653円(=34万7653円+96万円),平成17年度分合計134万4398円(=38万4398円+96万円)の総合計361万2051円の不当利得の返還を請求するべきである。
(27)  A27議員(以下「A27議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A27議員の政務調査用事務所(和歌山県日高郡〈以下省略〉)は,自宅(同郡〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会,「a党a11支部」,政治団体「d18会」及び「e5会」と併設されていた(甲A3,5の2・3,乙Bフ7,8,Eフ1)。
この点,A27議員は,平成15年以降,後援会及び「e5会」の活動実体はなかったこと,「a党a11支部」が,党から求められて名目的に設置したものであり,活動実体はなく,仮に活動実体があったとしても,A27議員の自宅で,同人の妻がその事務を行っていたこと,「d18会」が,年2回のつり大会等のイベントを会費制で行う程度の団体であることを陳述する(乙Eフ1)。しかし,その裏付けはないから,A27議員の上記陳述は信用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A27議員の政務調査用事務所の事務所費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務所の敷地賃料について
A27議員は,B69(B69死亡後はその妻B70)から,政務調査用事務所の敷地として,和歌山県日高郡〈以下省略〉の土地を賃借し,B70に対し,平成17年3月12日及び平成18年2月18日に,それぞれ平成16年度及び平成17年度の賃料として,各12万円を支払った(乙Bフ1,3,7,8,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記賃料につき,平成16年度及び平成17年度に,それぞれ2万4000円(=12万円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 電気料金について
A27議員は,政務調査用事務所の電気料金(①従量電灯A,②低圧電力)として,平成16年4月26日に9469円,同年5月27日に8841円(①2555円,②6286円),同年6月24日に9890円(①3140円,②6750円),同年7月26日に1万2258円(①2775円,②9483円),同年8月27日に1万5806円(①4041円,②1万1765円),同年9月24日に1万1891円(①2677円,②9214円),同年10月27日に1万1942円(①3651円,②8291円),同年11月25日に8906円(①2721円,②6185円),同年12月24日に9781円,平成17年1月28日に9870円,同年2月25日に7078円(①3991円,②3087円),同年3月24日に6757円(①3670円,②3087円)の合計12万2489円を支払い,同年4月25日に6380円,同年5月27日に6091円,同年6月24日に9686円,同年7月25日に1万0664円,同年8月26日に1万1682円,同年9月26日に1万1978円,同年10月27日に8748円,同年11月25日に8149円,同年12月26日に8689円,平成18年1月27日に9547円,同年2月24日に8822円,同年3月24日に8826円の合計10万9262円を支払った(乙Bフ2の1・2,4の1・2,9の1ないし6)。
なお,一般的に,従量電灯Aは,一般家庭で使用される電気料金の形態で,低圧電力は,エアコン,業務用冷蔵庫,ポンプ,エレベーター,工場等のモーター等で使用される電気料金の形態であり,用途や使用量に応じて使い分けられるべきものであるところ,A27議員が,従量電灯A及び低圧電力を利用したことは,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,従量電灯A及び低圧電力の電気料金に政務調査費を支出したことは許される。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記電気料金につき,平成16年度に2万4498円(≒12万2489円×1/5),平成17年度に2万1852円(≒10万9262円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 駐車場賃料について
A27議員は,B69(B69死亡後はその妻B70)から,政務調査用事務所の隣地にある駐車場を賃借し,平成17年3月12日,B70に対し,その賃料1年分として12万円を支払った(乙Bフ5,7)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記駐車場賃料につき,平成16年度に2万4000円(=12万円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) し尿汲み取り代について
A27議員は,し尿汲み取り代として,平成16年4月19日に3450円,同年8月23日に3553円の合計7003円を支払った(乙Bフ6の1・2)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記し尿汲み取り代につき,平成16年度に1401円(≒7003円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A27議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費(デジタルカメラ代を除く。),電話機代,固定電話使用料,パソコン代,インターネット接続料金,NHK受信料,コピー機リース料及び蛍光灯取替費等については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,携帯電話使用料及びデジタルカメラ代については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会,「a党a11支部」,「d18会」及び「e5会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その6分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A27議員は,固定電話を調査活動以外に利用することはほとんどなかったと陳述するが(乙Eフ1),その裏付けはないから,信用できない。
また,A27議員は,政務調査用事務所の携帯電話を調査活動以外に利用することはほとんどなかったし,私用の携帯電話を契約していたと陳述するが(乙Eフ1),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費(デジタルカメラ代を除く。)について
A27議員は,平成16年4月6日に「文具・事務用品・事務機・スチール家具・学研 中井商店」に対して2万5000円(乙Cフ9の1),同月30日にプリンターインク代7200円(乙Cフ9の2),同月27日にプリンターインク代3600円(乙Cフ9の3),同年8月2日にボールペン代168円(乙Cフ9の4),同年9月25日にインクジェット用紙代504円(乙Cフ9の5),同日にプリンターインク代7200円(乙Cフ9の6),同年10月12日に布粘着テープ代148円(乙Cフ9の7),同月22日にACアダプター代9000円(乙Cフ9の8),同年11月26日にサインペン代252円及び物差し代556円(乙Cフ9の9),同月28日に領収書用紙代220円(乙Cフ9の10),平成17年1月30日にプリンターインクの延長コード代7340円(乙Cフ9の11),同年2月15日にプリンターインク代1180円(乙Cフ9の12),同日に「文具・事務用品・事務機・スチール家具・学研 中井商店」に対して3万5700円(乙Cフ9の13,Eフ1)の合計9万8068円を支払った。
また,A27議員は,平成17年12月3日にDVD一体型VHSデッキ代1万5600円及びDVDソフト「Shall we Dance?」代3591円(乙Cフ3の2),同月5日にコピー用紙代744円(乙Cフ2の1),平成18年2月7日にホッチキスの針代176円(乙Cフ2の2),同日にゴム印代7600円(乙Cフ2の3),同年3月31日にプリンターのインク代1580円(乙Cフ2の4,Eフ1,弁論の全趣旨)の合計2万9291円を支払った。
なお,「文具・事務用品・事務機・スチール家具・学研 中井商店」に対する平成16年4月6日の2万5000円(乙Cフ9の1)及び平成17年2月15日の3万5700円(乙Cフ9の13)は,A27議員が,コピー機のトナー代等であると陳述するところ(乙Eフ1),支払先及び支払額からすれば,そのとおり認められる。
しかし,上記支出のうち,平成17年12月3日のDVDソフト「Shall we Dance?」代3591円(乙Cフ3の2)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に1万9614円(≒9万8068円×1/5),平成17年度に5140円(=[2万9291円-3591円]×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 電話機代について
A27議員は,平成16年7月28日に電話親機代1万8900円(乙Cフ7の1),同年8月25日に電話子機代1万4700円(乙Cフ7の2)の合計3万3600円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記電話機代につき,平成16年度に6720円(≒3万3600円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,電話子機が調査研究に直接必要なものではないと主張するが,電話子機代は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(エ) 固定電話使用料について
A27議員は,政務調査用事務所の固定電話(0738-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月26日に9064円,同年5月25日に8485円,同年6月25日に1万4478円,同年7月26日に1万4001円,同年8月25日に2万1602円,同年9月27日に6004円,同年10月25日に8353円,同年11月25日に3万5242円,同年12月27日に9454円,平成17年1月25日に9898円,同年2月25日に1万4673円,同年3月25日に1万4399円の合計16万5653円を支払い,同年4月25日に1万8397円,同年5月25日に1万1297円,同年6月27日に1万0416円,同年7月25日に7666円,同年8月25日に6918円,同年9月26日に9352円,同年10月25日に7199円,同年11月25日に8085円,同年12月26日に1万2729円,平成18年1月25日に6006円,同年2月27日に6223円,同年3月27日に5866円の合計11万0154円を支払った(乙Cフ1の1・2,4の1・2,10の1ないし7,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に3万3131円(≒16万5653円×1/5),平成17年度に2万2031円(≒11万0154円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) パソコン代について
A27議員は,平成16年7月16日にパソコン代20万4000円及びその保証料1万0200円(乙Cフ6)の合計21万4200円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記パソコン代につき,平成16年度に4万2840円(≒21万4200円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,パソコン代21万4200円(乙Cフ6)が,政務調査費の支出が許されない高額な備品(乙A3)であると主張するが,その代金として21万4200円は社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(カ) インターネット接続料金について
A27議員は,インターネット接続料金として,有限会社フォースに対し,平成16年4月12日,同年5月10日,同年6月10日,同年7月12日,同年8月10日,同年9月10日,同年10月12日,同年11月10日,同年12月10日,平成17年1月11日,同年2月10日,同年3月10日にそれぞれ2415円の合計2万8980円を支払った(乙Cフ4の1・2)。
また,A27議員は,インターネット接続料金として,NTTコミュニケーションズに対し,平成16年9月30日,同年11月1日,同月30日にそれぞれ1312円,平成17年1月4日,同月31日,同年2月28日,同年3月31日にそれぞれ1837円の合計1万1284円を支払い,同年5月2日,同月31日,同年6月30日,同年8月1日,同月31日,同年9月30日,同年10月31日,同年11月30日,平成18年1月4日,同月31日,同年2月28日,同年3月31日にそれぞれ1837円の合計2万2044円を支払った(乙Cフ1の1・2,4の1・2,12の1ないし4)。
しかし,A27議員は,平成16年9月から平成17年3月までの間,NTTコミュニケーションズと契約し,そのインターネット接続料金に政務調査費を支出していたから,これと重複して,有限会社フォースとの契約に係る平成16年10月から平成17年3月までのインターネット接続料金合計1万4490円(=2415円×6か月分)に政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記インターネット接続料金につき,平成16年度に5155円(≒[2万8980円+1万1284円-1万4490円]×1/5),平成17年度に4409円(≒2万2044円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(キ) NHK受信料について
A27議員は,NHK受信料として,平成16年4月26日,同年8月26日,同年12月27日にそれぞれ2690円の合計8070円を支払った(乙Cフ5の1ないし3)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記NHK受信料につき,平成16年度に1614円(=8070円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,NHK受信料が,政務調査費の支出が許されない環境整備費であるし,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記NHK受信料は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(ク) コピー機リース料について
A27議員は,コピー機リース料として,平成16年7月7日,同年8月9日,同年9月7日,同年10月7日,同年11月8日,同年12月7日,平成17年1月7日,同年2月7日,同年3月7日にそれぞれ1万3860円の合計12万4740円を支払った(乙Cフ4の1・2)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記コピー機リース料につき,平成16年度に2万4948円(=12万4740円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ケ) 蛍光灯取替費等について
A27議員は,平成16年4月25日に蛍光灯取替費2万1600円,同年11月20日にストーブ代1万0280円(乙Cフ8の3),同年12月20日に蛍光灯取替費2万1600円の合計5万3480円を支払った(乙Cフ8の1ないし3)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記蛍光灯取替費等につき,平成16年度に1万0696円(=5万3480円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,蛍光灯取替費等が政務調査費の支出が許されない環境整備費であるし,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記蛍光灯取替費等は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(コ) 携帯電話使用料について
A27議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月30日に2万6600円,同年5月31日に4万9324円,同年6月30日に5万0294円,同年8月2日に1万8397円,同月31日に2万0789円,同年9月30日に1万5148円,同年11月1日に1万5403円,同月30日に1万5567円,平成17年1月4日に1万3624円,同月31日に1万3699円,同年2月28日に2万1787円,同年3月31日に1万4530円の合計27万5162円を支払い,同年5月2日に2万0602円,同月31日に2万4322円,同年6月30日に2万2125円,同年8月1日に1万5874円,同月31日に2万0124円,同年9月30日に1万7534円,同年10月31日に2万5550円,同年11月30日に1万9794円,平成18年1月4日に1万6209円,同月31日に2万4311円,同年2月28日に2万0451円,同年3月31日に2万0926円の合計24万7822円を支払った(乙Cフ1の1・2,4の1・2,11の1ないし5)。
そして,上記(ア)の按分割合(6分の1)のとおり,A27議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に4万5860円(≒27万5162円×1/6),平成17年度に4万1304円(≒24万7822円×1/6)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(サ) デジタルカメラ代
A27議員は,平成17年7月11日にデジタルカメラ代5万0780円(乙Cフ3の1)を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(6分の1)のとおり,A27議員が,上記デジタルカメラ代につき,平成17年度に8463円(≒5万0780円×1/6)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A27議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A27議員は,調査研究として,現地調査等のために下記(イ)のB73を,収集した資料の整理,保管及び事務処理等のために下記(イ)のB71を,A27議員が一般質問として「観光資源としての高野龍神スカイライン」を取り上げた際の現地調査のために下記(イ)のB72をそれぞれ雇用したから,同人らが調査研究以外に従事することはほとんどなかったと陳述する(乙Eフ1)する。しかし,その裏付けはないから,A27議員の上記陳述は信用できない。
(イ) 人件費の支出等について
A27議員は,平成15年7月1日から平成18年3月31日までの間,政務調査用事務所において,仕事内容を事務全般,賃金を平成15年7月から平成16年3月までの間は月額11万円,平成16年度及び平成17年度は月額10万円として,B71を雇用し,同人に対し,平成15年7月分ないし平成16年3月分の賃金として月額11万円,平成16年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額10万円を支払った(乙Dフ1,2,3の1ないし12,7,8,9の1ないし12,16,17,18の1ないし9)。
また,A27議員は,平成16年4月1日から平成17年3月31日までの間及び平成18年1月1日から同年3月31日までの間,政務調査用事務所において,仕事内容を事務その他,賃金を平成16年4月から平成17年3月までの間は月額5万円,平成18年1月から同年3月までの間は月額15万円として,B73を雇用し,同人に対し,平成16年4月分ないし平成17年3月分の賃金として月額5万円,平成18年1月分ないし同年3月分の賃金として月額15万円を支払った(乙Dフ4,5,6の1ないし3,11,12の1ないし12)。
さらに,A27議員は,平成15年5月1日から同月31日までの間,政務調査用事務所において,仕事内容を森林調査,賃金を月額15万円として,B72を雇用し,同月30日,同人に対し,賃金として15万円を支払った(乙Dフ13ないし15)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A27議員が,上記人件費につき,平成15年度(同年4月を除く。)に22万8000円(=[11万円×9か月+15万円]×1/5),平成16年度に36万円(=[10万円×12か月+5万円×12か月]×1/5),平成17年度に33万円(=[10万円×12か月+15万円×3か月]×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,被用者を複数雇用する必要性はなかったと主張する。しかし,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究を補助する職員を複数雇用することは社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A27議員は,事務所費として,平成16年度に28万3593円,平成17年度に13万8591円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額899円(=2万4000円+2万4498円+2万4000円+1401円)を超える20万9694円,平成17年度に支出許容額合計4万5852円(=2万4000円+2万1852円)を超える9万2739円を支出した部分は違法である。
(イ) A27議員は,事務費として,平成16年度に81万0590円,平成17年度に34万6085円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計19万0578円(=1万9614円+6720円+3万3131円+4万2840円+5155円+2万4948円+1万0696円+4万5860円)を超える62万0012円,平成17年度に支出許容額合計8万1347円(=5140円+2万2031円+4409円+4万1304円+8463円)を超える26万4738円を支出した部分は違法である。
(ウ) A27議員は,人件費として,平成15年度(同年4月を除く。)に96万円,平成16年度に144万円,平成17年度に132万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額22万8000円を超える73万2000円,平成16年度に支出許容額36万円を超える108万円,平成17年度に支出許容額33万円を超える99万円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A27議員に対し,平成15年度分(同年4月を除く。)73万2000円,平成16年度分合計190万9706円(=20万9694円+62万0012円+108万円),平成17年度分合計134万7477円(=9万2739円+26万4738円+99万円)の総合計398万9183円の不当利得の返還を請求するべきである。
(28)  A28議員(以下「A28議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A28議員の政務調査用事務所(和歌山県伊都郡〈以下省略〉)は,自宅(同郡〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会と併設されていた(甲A5の3,乙Eヘ4)。
また,A28議員の自宅には「a党a12支部」及び政治団体「d19会」が設置されていた(甲A5の2・3,乙Eヘ4)。
この点,A28議員は,選挙のなかった平成16年度及び平成17年度において,後援会の活動実体はなかった,「d19会」の活動実体はなかったと陳述するが(乙Eヘ4),その裏付けはないから,信用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A28議員の政務調査用事務所の固定電話使用料,パソコン代及びプリンター代については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,携帯電話使用料は,A28議員の携帯電話(090-〈省略〉)を含む複数の回線の使用料の合計額であるところ(乙Cヘ2の1ないし12,4の1ないし12),その2分の1は,A28議員以外の携帯電話のものと認めるのが相当である。そして,A28議員の携帯電話は,その汎用性を考慮すれば,調査研究以外に,後援会,「a党a12支部」及び「d19会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められる。したがって,社会通念上相当な按分割合として,上記携帯電話使用料の10分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A28議員は,携帯電話を調査研究以外に使用することがほとんどなかったと陳述するが(乙Eヘ1),その裏付けはないから,信用できない。
また,A28議員は,携帯電話使用料の中に個人使用の分が含まれるとしても,固定電話使用料については,基本使用料全部と通話料40%に政務調査費を支出していなかったから,固定電話使用料及び携帯電話使用料の全体をみれば,携帯電話使用料を按分する必要はないと陳述するが(乙Eヘ1),不当利得を問われているのは,調査研究に資するため必要とはいえない経費に政務調査費を支出したことであって,上限額に満つる政務調査費の支出が許される経費が存在したことではないから,A28議員の上記陳述は採用できない。
他方,原告らは,平成15年ないし平成17年において,「a党a12支部」が備品・消耗品費を支出していたから(甲ヘ5の1ないし3),事務費に政務調査費を支出することは許されないと主張する。しかし,政務調査用事務所は,「a党a12支部」の設置されていたA28議員の自宅とは別の場所に設置されていたから,原告らの上記主張は採用できない。
(イ) 固定電話使用料について
A28議員は,固定電話(0736-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の1万2998円,同年5月分の1万2418円,同年6月分の1万9451円,同年7月分の7866円,同年8月分の1万7958円,同年9月分の1万7347円,同年10月分の2万3533円,同年11月分の1万2531円,同年12月分の1万4880円,平成17年1月分の2万4378円,同年2月分の1万1574円,同年3月分の1万5827円の合計19万0761円を支払い,同年4月分の2万9946円,同年5月分の1万3802円,同年6月分の1万4881円,同年7月分の3490円,同年8月分の1万0608円,同年9月分の1万0203円,同年10月分の1万3732円,同年11月分の1万4210円,同年12月分の2万4215円,平成18年1月分の1万9954円,同年2月分の9559円,同年3月分の1万3358円の合計17万7958円を支払った(乙Cヘ1の1ないし12,3の1ないし12,6の1ないし12,7の1ないし12)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A28議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に9万5381円(≒19万0761円×1/2),平成17年度に8万8979円(=17万7958円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) パソコン代及びプリンター代について
A28議員は,平成16年9月17日にパソコン代17万4800円(乙Cヘ5の1),同年10月11日にプリンター代2万6400円(乙Cヘ5の2)の合計20万1200円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A28議員が,パソコン代及びプリンター代につき,平成16年度に10万0600円(=20万1200円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 携帯電話使用料について
A28議員は,携帯電話の使用料として,平成16年4月分の3万0384円,同年5月分の3万8867円,同年6月分の1万6402円,同年7月分の1万4456円,同年8月分の1万2995円,同年9月分の1万4276円,同年10月分の1万3582円,同年11月分の1万4467円,同年12月分の1万2299円,平成17年1月分の1万1993円,同年2月分の1万0814円,同年3月分の1万1203円の合計20万1738円を支払い,同年4月分の1万0116円,同年5月分の1万9448円,同年6月分の1万5132円,同年7月分の1万9714円,同年8月分の2万6359円,同年9月分の1万7459円,同年10月分の1万7152円,同年11月分の1万8466円,同年12月分の1万3330円,平成18年1月分の1万3518円,同年2月分の1万0554円,同年3月分の1万5751円の合計19万6999円を支払った(乙Cヘ2の1ないし12,4の1ないし12)。
そして,上記(ア)の按分割合(10分の1)のとおり,A28議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に2万0174円(≒20万1738円×1/10),平成17年度に1万9700円(≒19万6999円×1/10)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
a A28議員の政務調査用事務所で雇用された後記(イ)のB75の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
b 平成15年度及び平成17年度に勤務場所をA28議員の政務調査用事務所として雇用された後記(イ)のB74(乙Dヘ4,6)の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,平成16年度に勤務場所を「a党a12支部」及び「d19会」が設置されたA28議員の自宅として雇用されたB74(乙Dヘ5)の人件費については,同人が,平成15年度及び平成17年度と同様に,政務調査用事務所でも勤務していたと認めるのが相当である。
そして,A28議員の自宅の人件費については,「a党a12支部」が,平成16年度に300万円を支出した(甲ヘ5の2)。
したがって,後述する平成16年度のB74の賃金に,「a党a12支部」の人件費を加えた上で,上記社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
c この点,A28議員は,B75及びB74が,調査研究以外に従事したことはほとんどなかったと陳述するが(乙Eヘ4),その裏付けはないから,信用できない。
他方,原告らは,平成15年ないし平成17年において,「a党a12支部」が人件費を支出していたから(甲ヘ5の1ないし3),人件費に政務調査費を支出することは許されないと主張する。しかし,政務調査用事務所は,「a党a12支部」の設置されていたA28議員の自宅とは別の場所に設置されていたから,原告らの上記主張は採用できない。
(イ) 人件費の支出等について
A28議員は,平成15年度ないし平成17年度において,勤務場所を和歌山県伊都郡〈以下省略〉,業務内容を「政治活動」又は「政治活動補助」,賃金を月額8万円として,B75を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額8万円を支払った(乙Dヘ1ないし3,7ないし9)。
また,A28議員は,平成15年度においては,勤務場所を和歌山県伊都郡〈以下省略〉,業務内容を「政治活動」とし,平成16年度においては,勤務場所を和歌山県伊都郡〈以下省略〉所在のA28議員の自宅,業務内容を「議員活動補助」とし,平成17年度においては,勤務場所を和歌山県伊都郡〈以下省略〉,業務内容を「政治活動」として,賃金月額7万円で,B74を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額7万円を支払った(乙Dヘ4ないし6,10ないし12,Eヘ4)。
そして,上記(ア)の按分割合(B75については2分の1。B74については,平成16年度につき300万円を加えて4分の1,平成15年度及び平成17年度は2分の1)のとおり,A28議員が,上記人件費につき,平成15年4月に7万5000円(=[8万円+7万円]×1/2),平成15年度(同年4月を除く。)に82万5000円(=[8万円×11か月+7万×11か月]×1/2),平成16年度に144万円(=8万円×12か月×1/2+[7万円×12か月+300万円]×1/4),平成17年度に90万円(=[8万円×12か月+7万円×12か月]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,B75及びB74の業務内容が「政治活動」又は「政治活動補助」であったから(乙Dヘ1ないし4,6),調査研究に従事していなかったと主張するが,勤務場所が政務調査用事務所であったから,採用できない。
また,原告らは,自宅の家事用務と区別されて雇用されていなかったB74の賃金に政務調査費を支出することは許されないと主張するが,B74の賃金は,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
エ まとめ
(ア) A28議員は,事務費として,平成16年度に50万0836円,平成17年度に28万6555円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計21万6155円(=9万5381円+10万0600円+2万0174円)を超える28万4681円,平成17年度に支出許容額合計10万8679円(=8万8979円+1万9700円)を超える17万7876円を支出した部分は違法である。
(イ) A28議員は,人件費として,平成15年4月に15万円,平成15年度(同年4月を除く。)に165万円,平成16年度及び平成17年度に各180万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額7万5000円を超える7万5000円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額82万5000円を超える82万5000円,平成16年度に支出許容額144万円を超える36万円,平成17年度に支出許容額90万円を超える90万円を支出した部分は違法である。
(ウ) よって,被告は,A28議員に対し,平成15年4月分7万5000円,平成15年度(同年4月を除く。)分82万5000円,平成16年度分合計64万4681円(=28万4681円+36万円),平成17年度分合計107万7876円(=17万7876円+90万円)の総合計262万2557円の不当利得の返還を請求するべきである。
(29)  A29議員(以下「A29議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A29議員の政務調査用事務所(①和歌山県海南市〈以下省略〉[ただし,平成16年12月以前],②和歌山市〈以下省略〉[平成17年1月から同年7月まで],③和歌山県海南市〈以下省略〉f6ビル307号室[同年8月以降])は,平成16年12月以前は,後援会が併設された自宅に設置され,平成17年1月以降は,政務調査費から事務所費の50%を支出していた届出のない政治団体が併設されていた(甲A3,5の1ないし3,乙Bホ1,5,Eホ3,弁論の全趣旨)。
この点,A29議員は,後援会の活動実体はほとんどなかったと陳述するが(乙Eホ3),その裏付けはないから,信用できない。
他方,原告らは,和歌山県監査委員が平成17年6月以前の政務調査用事務所について言及していないから(甲A3),A29議員の政務調査用事務所は同月以前には設置されていなかったなどと主張する。しかし,具体的な根拠はないから,原告らの上記主張は採用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A29議員の政務調査用事務所の平成17年1月以降の事務所賃料,電気料金及び書籍棚代については,上記アのとおり他のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務所賃料について
A29議員は,上記②の事務所として,B76から,契約期間を平成17年1月9日から平成19年1月8日までとし,和歌山市〈以下省略〉所在の建物の202号室を賃料月額5万円(他に共益費月額3000円,水道代月額2000円)で,駐車場を賃料月額6000円でそれぞれ賃借し,同人に対し,平成17年2月28日及び同年3月31日に賃料としてそれぞれ6万1050円の合計12万2100円を支払った(乙Bホ5,6,Eホ3)。
また,A29議員は,上記③の事務所として,B77から,契約期間を平成17年8月1日から平成18年7月31日までとし,和歌山県海南市〈以下省略〉所在のf6ビル307号室を賃料月額4万円で賃借し,同人に対し,平成17年7月29日,同年8月31日,同年9月30日,同年10月31日,同年11月30日,同年12月27日,平成18年1月31日,同年2月28日,同年3月31日に賃料としてそれぞれ4万円の合計36万円を支払った(乙Bホ1,2の1ないし9,Eホ3)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A29議員が,上記事務所賃料につき,平成16年度に6万1050円(=12万2100円×1/2),平成17年度に18万円(=36万円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,平成18年3月に支払った賃料が同年4月分のものであるから,平成17年度の政務調査費を支出することは許されないと主張する。しかし,上記事務所賃料が継続的契約に基づくものであることからすれば,使用月ではなく,請求月,すなわち,支払月を基準に各年度の政務調査費を支出することが不合理とはいえないから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) 電気料金について
A29議員は,上記③の事務所の電気料金として,平成17年11月分ないし平成18年3月分の合計6662円を支払った(乙Bホ3)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A29議員が,上記電気料金につき,平成17年度に3331円(=6662万×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 書籍棚代について
A29議員は,上記③の事務所の書籍棚として,平成17年11月13日に5000円を支払った(乙Bホ4,Eホ3,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A29議員が,上記書籍棚代につき,平成17年度に2500円(=5000円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,書籍棚代は事務費に計上されるべきであると主張する。しかし,本件使途基準は使途によって政務調査費を支出できる上限額を定めているわけではなく,計上した使途が誤りであるからといって,政務調査費の支出が違法であるとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A29議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費,パソコン代,OA機器代,コピー機代については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会及び政治団体の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,プロバイダー料については,上記アのとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,上記①の事務所においては,調査研究以外に,後援会の活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であり,上記②③の事務所においては,調査研究以外に,政治団体の活動にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A29議員は,携帯電話を調査研究以外に使用することはほとんどなかったと陳述するが(乙Eホ3),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費について
A29議員は,平成16年5月19日にメモリーカード代4700円(乙Cホ9の1),同日に「八千代ムセン電機株式会社」に対して事務用品代5880円(乙Cホ9の2,Eホ2),同年6月30日に文具代2400円(乙Cホ9の3,弁論の全趣旨),同年9月30日に雑貨代105円(乙Cホ9の4),同年10月1日に「安價堂」に対して雑貨代1365円(乙Cホ9の5,弁論の全趣旨),同月2日に電卓代1040円(乙Cホ9の6),同月27日に文具代3467円(乙Cホ9の7,弁論の全趣旨),同年12月9日に文具代7046円(乙Cホ9の8,弁論の全趣旨),同月21日に文具代896円(乙Cホ9の9,弁論の全趣旨),同月30日に文具代600円(乙Cホ9の10,弁論の全趣旨),同月31日にインクリボン代3760円(乙Cホ9の11),平成17年1月8日に「株式会社オークワ」に対して雑貨代1260円(乙Cホ9の12,弁論の全趣旨),同月9日に「ケーズデンキ」に対して事務用品代1358円(乙Cホ9の13,Eホ2),同月11日に文具代2415円(乙Cホ9の14),同月12日に「100円ショップ安價堂」に対して雑貨代1050円(乙Cホ9の15,弁論の全趣旨),同日に「ケーズデンキ」に対して事務用品代3718円(乙Cホ9の16,Eホ2),同月15日にカラーBOX代2890円(乙Cホ9の17),同年2月26日にコジマ電機に対して事務機購入費1万2680円(乙Cホ9の18,Eホ2),同日に「株式会社オークワ」に対して雑貨代2205円(乙Cホ9の19,弁論の全趣旨),同月27日に「株式会社オークワ」に対して雑貨代1050円(乙Cホ9の20),同日に書棚代3138円(乙Cホ9の22),同年3月2日に文具代4217円(乙Cホ9の23,弁論の全趣旨),同月24日にプリンターインク代1848円(乙Cホ9の24),同月29日にメモリーカード代3210円(乙Cホ9の25)の合計7万2298円を支払った。
また,A29議員は,平成17年4月14日に文具代1463円(乙Cホ4の1,Eホ1),同年5月12日にCD-R代及びインクリボン代4280円(乙Cホ4の2),同月15日にパソコンのセキュリティソフト代6580円(乙Cホ4の3),同月21日に「ヤマダ電機」に対して事務用品代1934円(乙Cホ4の4,Eホ1),同年7月31日に「100円ショップシルク」に対して事務用品代1995円(乙Cホ4の5,Eホ1),同年8月3日に文具代5670円(乙Cホ4の6,弁論の全趣旨),同月4日に「インクジェット(黒)」代2772円(乙Cホ4の7),同月17日に三脚代2480円,DVD-R代1080円及びA4用紙代500円(乙Cホ4の8,弁論の全趣旨),同月21日にマウスパッド代580円及びハンドガードシュレッダー代1980円(乙Cホ4の9),同年9月20日に文具代1万0186円(乙Cホ4の10,弁論の全趣旨),同年11月8日に文具代2842円(乙Cホ4の12,弁論の全趣旨),同月16日にCD-R等代3540円(乙Cホ4の11),同年12月17日に文具代1512円(乙Cホ4の13,弁論の全趣旨),同月24日にプリンターインク代7560円(乙Cホ4の14),平成18年1月24日に「ヤマダ電機」に対して事務用品代1180円(乙Cホ4の15,Eホ1),同年3月23日に文具代5205円(乙Cホ4の16,弁論の全趣旨)の合計6万3339円を支払った。
しかし,上記支出のうち,平成16年5月19日の「八千代ムセン電機株式会社」に対する事務用品代5880円(乙Cホ9の2,Eホ2),同年9月30日の雑貨代105円(乙Cホ9の4),同年10月1日の「安價堂」に対する雑貨代1365円(乙Cホ9の5,弁論の全趣旨),平成17年1月8日の「株式会社オークワ」に対する雑貨代1260円(乙Cホ9の12,弁論の全趣旨),同月9日の「ケーズデンキ」に対する事務用品代1358円(乙Cホ9の13,Eホ2),同月12日の「100円ショップ安價堂」に対する雑貨代1050円(乙Cホ9の15,弁論の全趣旨),同日の「ケーズデンキ」に対する事務用品代3718円(乙Cホ9の16,Eホ2),同年2月26日のコジマ電機に対する事務機購入費1万2680円(乙Cホ9の18,Eホ2),同日の「株式会社オークワ」に対する雑貨代2205円(乙Cホ9の19,弁論の全趣旨),同月27日の「株式会社オークワ」に対する雑貨代1050円(乙Cホ9の20)の合計3万0671円,並びに同年5月21日の「ヤマダ電機」に対する事務用品代1934円(乙Cホ4の4,Eホ2),同年7月31日の「100円ショップシルク」に対する事務用品代1995円(乙Cホ4の5,Eホ1),平成18年1月24日の「ヤマダ電機」に対する事務用品代1180円(乙Cホ4の15,Eホ1)の合計5109円は,支払先が多様な商品を扱う店であることからすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,平成16年度に2万0814円(≒[7万2298円-3万0671円]×1/2),平成17年度に2万9115円(=[6万3339円-5109円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) パソコン代について
A29議員は,平成16年4月14日にパソコン代19万5020円を支払った(乙Cホ10)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A29議員が,上記パソコン代につき,平成16年度に9万7510円(=19万5020円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,上記パソコン代が政務調査費の支出が許されない高額な備品(乙A3)であると主張するが,その代金として19万5020円は社会通念上相当であるから,採用できない。
(エ) OA機器代について
A29議員は,平成17年1月31日にテレビ代21万円(乙Cホ11,Eホ3),同年2月2日にDVDレコーダー代6万円(乙Cホ12,Eホ3)を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A29議員が,上記OA機器代につき,平成16年度に13万5000円(=[21万円+6万円]×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,上記テレビ代及びDVDレコーダー代が政務調査費の支出が認められない環境整備費であると主張するが,上記テレビ代及びDVDレコーダー代は,議員が行う調査研究に係る事務遂行に要する費用として社会通念上相当であるから,採用できない。
(オ) コピー機代について
A29議員は,平成17年7月21日にコピー機代24万1500円を支払った(乙Cホ5)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A29議員が,上記コピー機代につき,平成17年度において12万0750円(=24万1500円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,上記コピー機代が高額な備品(乙A3)であると主張するが,その代金として24万2500円は社会通念上相当であるから,採用できない。
(カ) 携帯電話使用料について
A29議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の2万4302円,同年5月分の1万8073円,同年9月分の1万9960円,同年10月分の2万0523円,同年11月分の2万5431円,同年12月分の3万0730円,平成17年1月分の2万3633円,同年2月分の1万7423円,同年3月分の1万9239円の合計19万9314円を支払い,同年4月分の1万6359円,同年5月分の2万1304円,同年6月分の1万6674円,同年7月分の1万7230円,同年8月分の1万6674円,同年9月分の1万6884円,同年11月分の1万7146円,同年12月分の1万6947円,平成18年1月分の1万2453円の合計15万1671円を支払った(乙Cホ1の1ないし9,6の1ないし9)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A29議員が,携帯電話使用料につき,平成16年度に4万9829円(≒19万9314円×1/4),平成17年度に3万7918円(≒15万1671円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(キ) プロバイダー料について
A29議員は,プロバイダー(KDDI)料として,平成16年10月支払分の2467円を支払い,平成17年1月ないし3月支払分の合計7401円を支払い,同年6月支払分,同年7月支払分,同年9月支払分,同年10月支払分,同年12月ないし平成18年3月支払分の各2467円の合計1万9736円を支払った(乙Cホ2の1ないし8,7の1ないし4)。
また,A29議員は,プロバイダー(ヤフージャパン)料として,平成16年11月支払分の5625円,同年12月支払分の5684円,平成17年1月支払分の7601円,同年2月支払分の6509円,同年3月支払分の6355円,同年4月支払分の4995円,同年5月支払分の5196円,同年6月支払分の5231円,同年7月支払分の5121円,同年8月支払分の5296円,同年9月支払分の5231円,同年10月支払分の5223円,同年11月支払分の5483円,同年12月支払分の5684円,平成18年1月支払分の8084円,同年2月支払分の7000円,同年3月支払分の5286円を支払った(乙Cホ3の1ないし12,8の1ないし5)。
しかし,A29議員は,平成17年1月ないし3月,同年6月,同年7月,同年9月,同年10月,同年12月ないし平成18年3月の支払分において,KDDIと契約し,そのプロバイダー料に政務調査費を支出していたから,これと重複して,ヤフージャパンとの契約に係るプロバイダー料に政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年12月以前は3分の1,平成17年1月以降は2分の1)のとおり,A29議員が,上記プロバイダー料につき,平成16年度に8293円(≒[2467円+5625円+5684円]×1/3+7401円×1/2),平成17年度に2万0353円(=[1万9736円+4995円+5196円+5296円+5483円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A29議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A29議員は,後援会の活動実体があったとしても,これにはA29議員の母や妹等が従事していたから,A29議員の被用者は調査研究以外に従事していなかったと陳述するが(乙Eホ3),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 人件費の支出等について
A29議員は,平成15年5月1日から平成18年3月31日までの間,業務内容を政務調査の補助,賃金を平成15年5月1日から平成16年3月31日までの間は月額10万円,平成16年4月1日から平成18年3月31日までの間は月額8万円として,B78を雇用し,同人に対し,平成15年5月分ないし平成16年3月分の賃金として月額10万円,平成16年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額8万円を支払った(乙Dホ1,2,4の1ないし12,5の1ないし12,6の1ないし11)。
また,A29議員は,平成15年5月1日から同年8月末日までの間,業務内容を政務調査の補助,賃金を月額5万円として,B79を雇用し,同人に対し,平成15年5月分ないし同年8月分の賃金として月額5万円を支払った(乙Dホ3,7の1ないし4)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A29議員が,上記人件費につき,平成15年度(同年4月を除く。)に65万円(=[10万円×11か月+5万円×4か月]×1/2),平成16年度及び平成17年度に各48万円(=8万円×12か月×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,B78の勤務場所がA29議員の自宅であったから(乙Dホ1,2),平成17年1月以降,同人が自宅とは別に設置された政務調査用事務所で勤務していなかったと主張する。しかし,B78の雇用契約書が作成された平成15年5月1日及び平成16年3月25日の当時,A29議員の政務調査用事務所は自宅に設置されており,その後の政務調査用事務所の移転に伴って(乙Bホ1ないし6),B78の雇用契約書が変更されなかったからといって,勤務実体がなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,被用者を複数雇用する必要はなかったなどと主張する。しかし,上記アのとおりのA29議員の政務調査用事務所の設置状況からすれば,A29議員の被用者は,調査研究以外の事務にも従事していたと認められるから,複数の被用者が雇用されていたとしても不自然ではなく,その人数や賃金額にも不当な点は認められない。したがって,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A29議員は,事務所費として,平成16年度に5万円,平成17年度に18万5271円の政務調査費を支出したところ(別紙1),支出許容額(平成16年度につき6万1050円,平成17年度につき18万5831円)を超える違法支出はない。
(イ) A29議員は,事務費として,平成16年度に70万6829円,平成17年度に44万5358円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計31万1446円(=2万0814円+9万7510円+13万5000円+4万9829円+8293円)を超える39万5383円,平成17年度に支出許容額合計20万8136円(=2万9115円+12万0750円+3万7918円+2万0353円)を超える23万7222円を支出した部分は違法である。
(ウ) A29議員は,人件費として,平成15年度(同年4月を除く。)に130万円,平成16年度に96万円,平成17年度に96万円の政務調査費を支出したところ,そのうち,平成15年度(同年4月を除く。)に資支出許容額65万円を超える65万円,平成16年度及び平成17年度に支出許容額各合計48万円を超える各48万円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A29議員に対し,平成15年度(同年4月を除く。)分65万円,平成16年度分合計87万5383円(=39万5383円+48万円),平成17年度分合計71万7222円(=23万7222円+48万円)の総合計224万2605円の不当利得の返還を請求するべきである。
(30)  A30議員(以下「A30議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
(ア) A30議員の政務調査用事務所(和歌山県西牟婁郡〈以下省略〉f7ビル1-1号室)は,自宅(同町〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,「a党a13支部」と併設されていた(甲A5の2,乙Bマ5,Eマ1,弁論の全趣旨)。
また,A30議員の後援会は,自宅に設置されていた(甲A5の3,Eマ1,弁論の全趣旨)。
この点,A30議員は,「a党a13支部」が,法人からの献金を受けるための団体であり,活動実体はなかったと陳述するが(乙Eマ1),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) A30議員は,平成18年3月3日,和歌山県議会議員を辞職し,同月のt町長選挙に立候補した(乙Eマ1,弁論の全趣旨)。
ところで,県議会議員が他の選挙に立候補する場合,その辞職以前から準備をすることが通常と認められ,その期間は5か月と認めるのが相当であり,選挙用事務所で準備を行った等の特段の事情が認められない限り,選挙の準備は政務調査用事務所で行われたと推認するべきである。そして,A30議員は,平成18年2月中旬,和歌山県西牟婁郡〈以下省略〉に選挙用事務所を借りたから(乙Eマ1,弁論の全趣旨),同月15日以降は,上記選挙事務所で選挙の準備が行われたと認めるのが相当である。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A30議員の政務調査用事務所の平成17年9月以前の事務所費については,上記ア(ア)のとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,平成17年10月分ないし平成18年2月14日分の事務所費については,上記ア(イ)のとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,「a党a13支部」の活動や選挙の準備にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,平成18年2月15日分以降の同月分の事務所費については,上記ア(イ)のとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,「a党a13支部」の活動にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,平成18年3月分の事務所費については,上記ア(イ)のとおり,調査研究に利用されたとは認められないから,政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,A30議員が選挙用事務所を借りた後も,政務調査用事務所は選挙の準備に利用されていたと主張するが,その主張を裏付ける証拠はないから,採用できない。
(イ) 事務所賃料等について
A30議員は,B80から,平成15年8月1日から平成18年3月3日までの間,賃料を月額4万5000円,水道料を月額2000円として,和歌山県西牟婁郡〈以下省略〉所在のf7ビル1-1号室を賃借し,平成15年8月分ないし平成18年3月分の賃料及び水道料として月額4万7000円を支払った(乙Bマ1の1ないし12,2の1ないし12,4の1ないし7,5,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成17年9月分以前は2分の1,同年10月分ないし平成18年2月14日分は3分の1,同月15日分以降の同月分は2分の1,同年3月分は0)のとおり,A30議員が,事務所賃料等につき,平成15年度(同年4月を除く。)に18万8000円(=4万7000円×8か月×1/2),平成16年度に28万2000円(=4万7000円×12か月×1/2),平成17年度に22万3250円(=4万7000円×6か月×1/2+[4万7000円×4か月+4万7000円×0.5か月]×1/3+4万7000円×0.5か月×1/2+4万7000円×0)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 電気料金について
A30議員は,電気料金として,平成16年4月分の1278円,同年5月分の1203円,同年6月分の1201円,同年7月分の4313円,同年8月分の6678円,同年9月分の1670円,同年10月分の1268円,同年11月分の1043円,平成17年1月分の874円,同年2月分の1237円,同年3月分の859円の合計2万1624円を支払った(乙Bマ3の1ないし11)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成17年9月分以前であるから2分の1)のとおり,A30議員が,電気料金につき,平成16年度に1万0812円(=2万1624円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
a 事務用品・備品購入費,印刷代,コピー代,切手代及び固定電話使用料について
A30議員の政務調査用事務所の平成17年9月以前のものについては,上記ア(ア)のとおり他のものが併設された事務所で使用されたものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,平成17年10月分ないし平成18年2月14日分のものについては,上記ア(イ)のとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,「a党a13支部」の活動や選挙の準備にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,平成18年2月15日分以降の同月分のものについては,上記ア(イ)のとおり事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,「a党a13支部」の活動にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,平成18年3月分のものについては,上記ア(イ)のとおり,調査研究に利用されたとは認められないから,政務調査費を支出した部分は違法である。
b 携帯電話使用料及びカメラ代等について
平成17年9月以前のものについては,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,「a党a13支部」及び後援会の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,平成17年10月分ないし平成18年2月14日分のものについては,上記ア(イ)のとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,「a党a13支部」及び後援会の各活動や,私的及び選挙の準備にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,平成18年2月15日分以降の同月分のものについては,上記ア(イ)のとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,「a党a13支部」及び後援会の活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,平成18年3月分のものについては,上記ア(イ)のとおり,調査研究に利用されたとは認められないから,政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務用品・備品購入費について
a A30議員は,平成16年4月13日に「プリントゴウバ(以下判読不能)」代980円(乙Cマ4の1),同月14日にカラー用紙代1195円及びロータリーカッター代1980円(乙Cマ4の2),同月20日にカラー用紙代478円(乙Cマ4の3),同月23日にテープのり代597円(乙Cマ4の4),同日に雑貨代1260円(乙Cマ4の5),同月25日にコピー用紙代1301円(乙Cマ4の6),同年5月5日に,模造紙代186円,ポスターカラー代330円,筆代588円,合成のり代200円,及びガム代186円(乙Cマ4の7),同月11日に「ブランド」代1万0142円(乙Cマ4の9),同年6月7日にプリンターのインクカートリッジ代3307円(乙Cマ4の10),同月11日に修正テープ代176円及びマグネット代294円(乙Cマ4の11),同年7月9日にテープのり代375円,サインペン代940円,クリヤーポケット代312円及びファイル代1029円(乙Cマ4の12),同月13日にファックスのインク代2268円(乙Cマ4の13),同月16日にフローリング清掃用具代1708円(乙Cマ4の14),同月19日に万能はけ代860円,ファイル代1188円及び「カンペ スーパーヒット」代1659円(乙Cマ4の15),同月21日に紙製品代800円及び書道用品代756円(乙Cマ4の16),同月25日にカラー用紙代956円及びファイル代792円(乙Cマ4の17),同日にプリンターのインクカートリッジ代2184円(乙Cマ4の18),同日にA4ファイルボックス代1345円,トイレットペーパー代498円及びペット用品代449円(乙Cマ4の19),同月28日にサインペン代940円及びカッターナイフ代228円(乙Cマ4の20),同月29日に木材代3491円(乙Cマ4の21),同日に木材代3950円(乙Cマ4の22),同月30日に木材代2642円(乙Cマ4の23),同年8月2日にスチール棚代1980円(乙Cマ4の24),同月4日にカラーインデックス代368円,ファイル代396円,「コクタンジュ」代1680円及び毛髪活性剤代2499円(乙Cマ4の25),同月9日にキャスターラック代1780円,コピー用紙代207円及びカラー用紙代717円(乙Cマ4の26),同月18日に延長コード代766円(乙Cマ4の27),同年9月13日にLANケーブル代1218円,「PCワープロ」代2600円及びBBルータ代3800円(乙Cマ4の28),同年10月9日に電池代1278円及びプリンターのインクカートリッジ代1417円(乙Cマ4の29),同年ころに「ダイエー」に対して使途不明の1575円(乙Cマ4の31),同年12月1日にビデオデッキ代1万1800円(乙Cマ4の35),同日にファックスのインク代2200円(乙Cマ4の36),同月23日に「システムユニット インターA」代4179円(乙Cマ4の40),同日にテープのり代520円(乙Cマ4の41),平成17年1月7日にのり代281円(乙Cマ4の43),同月17日に布粘着テープ代148円,「PEレコードマキ」代198円,カッターナイフ代189円及び接着剤代336円(乙Cマ4の44),同月22日にカラー用紙代717円(乙Cマ4の45),同月28日に蛍光ペン代136円(乙Cマ4の46),同日に修正テープ代176円(乙Cマ4の47),同月31日に小型収納庫代6980円(乙Cマ4の48),同日にファイル代396円及び歯磨き粉代309円(乙Cマ4の49),同年2月3日に実用書代1365円及びビジネス書代1995円(乙Cマ4の50),同月12日にプリンターのインクカートリッジ代2457円(乙Cマ4の51),同日にカラー用紙代717円及び毛髪活性剤代2499円(乙Cマ4の52),同月14日にファイル代396円(乙Cマ4の53),同月28日に毛髪活性剤代2499円,封筒代155円及びファイル代138円(乙Cマ4の54),同年3月22日に雑貨代1260円(乙Cマ4の57),同日に雑貨代1365円(乙Cマ4の58),同日に雑貨代1155円(乙Cマ4の59),同月27日にフロッピーディスク代609円(乙Cマ4の61)の合計12万0026円を支払った。
また,A30議員は,平成17年4月5日にファックスのインク代2200円(乙Cマ1の1),同日に接着剤及びテープのりの代金1400円(乙Cマ1の2),同月8日に蛍光灯代648円(乙Cマ1の3),同月9日にファイル代836円(乙Cマ1の4),同月13日にプリンターのインクカートリッジ代1890円(乙Cマ1の5),同月21日に蛍光灯代1100円(乙Cマ1の9),同年5月12日に雑誌代709円(乙Cマ1の14),同月17日に「キュウシャコウプリン」代998円及び「シンシュクCガタエコミック」代580円(乙Cマ1の16),同月26日に「有限会社自治会印刷所」に対してB4封筒等代9800円(乙Cマ1の17),同年6月2日に「ファミリーマート」に対して2000円(乙Cマ1の19),同年9月18日にプリンターのインクカートリッジ代2834円及びファックスのインク代1100円(乙Cマ1の21),同月20日に計算機付き手帳代490円,モンキーレンチ代680円及び綴じ紐代168円(乙Cマ1の22)の合計2万7433円を支払った。
さらに,A30議員は,平成17年10月10日に封筒の印刷代2万5830円(乙Cマ1の23),平成18年1月7日に「電気工事と電化製品ナショナルショップ 富士電業社」に対して3万2800円(乙Cマ1の24)の合計5万8630円を支払った。
b しかし,上記支出のうち,平成16年5月5日の模造紙代186円,ポスターカラー代330円,筆代588円,合成のり代200円及びガム代186円(乙Cマ4の7)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないガムと同時に購入されたものであるから,子どもの学用品と認められる。また,同年7月21日の紙製品代800円及び書道用品代755円(乙Cマ4の16)も,同様に子どもの学用品と認められる。したがって,これらの合計3046円に政務調査費を支出することは許されない。
また,平成16年7月19日の万能はけ代860円(乙Cマ4の15),同月25日のペット用品代449円(乙Cマ4の19),同年8月4日の毛髪活性剤代2499円(乙Cマ4の25),平成17年1月31日の歯磨き粉代309円(乙Cマ4の49),同年2月12日及び同月28日の毛髪活性剤代各2499円(乙Cマ4の52・54)の合計9115円,同年9月20日のモンキーレンチ代680円(乙Cマ1の22)は,議員が行う調査研究に係る業務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
さらに,平成16年7月29日の木材代3491円及び3950円(乙Cマ4の21・22),同月30日の木材代2642円(乙Cマ4の23)の合計1万0083円は,被告が事務所内を整理するための棚を設置するために購入したものと主張するが,その裏付けはないから採用できず,政務調査費を支出することは許されない。
そのほか,平成16年4月13日の「プリントゴウバ(以下判読不能)」代980円(乙Cマ4の1),同月23日の雑貨代1260円(乙Cマ4の5),同年5月11日の「ブランド」代1万0142円(乙Cマ4の9),同年7月19日の「カンペ スーパーヒット」代1659円(乙Cマ4の15),同年8月4日の「コクタンジュ」代1680円(乙Cマ4の25),同年ころの「ダイエー」に対する使途不明の1575円(乙Cマ4の31),同年12月23日の「システムユニット インターA」代4179円(乙Cマ4の40),平成17年1月17日の「PEレコードマキ」代198円(乙Cマ4の44),同年3月22日の雑貨代1260円,1365円及び1155円(乙Cマ4の57ないし59)の合計2万5453円,同年5月17日の「キュウシャコウプリン」代998円及び「シンシュクCガタエコミック」代580円(乙Cマ1の16),同年6月2日の「ファミリーマート」に対する2000円(乙Cマ1の19)の合計3578円,平成18年1月7日の「電気工事と電化製品ナショナルショップ 富士電業社」に対する3万2800円(乙Cマ1の24)は,支払先や内容が明らかではないことからすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
c そして,上記(ア)の按分割合(平成17年9月分以前は2分の1,同年10月分ないし平成18年2月14日分は3分の1,同月15日分以降の同月分は2分の1,同年3月分は0)のとおり,A30議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に3万6165円(≒[12万0026円-3046円-9115円-1万0083円-2万5453円]×1/2),平成17年度に2万0198円(≒[2万7433円-680円-3578円]×1/2+[5万8630円-3万2800円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,ビデオデッキ(乙Cマ4の35),蛍光灯(乙Cマ1の3・9),小型収納庫(乙Cマ4の48),実用書及びビジネス書(乙Cマ4の50)が,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,これらの購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(ウ) 印刷代について
A30議員は,平成17年7月19日,「有限会社自治会印刷所」に対し,印刷代8000円を支払った(乙Cマ1の20,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成17年9月分以前であるから2分の1)のとおり,A30議員が,印刷代につき,平成17年度に4000円(=8000円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) コピー代等について
A30議員は,平成18年2月22日,コピー代等9000円を支払った(乙Cマ1の25)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成18年2月15日分以降の同月分であるから2分の1)のとおり,A30議員が,コピー代等につき,平成17年度に4500円(=9000円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) 切手代等について
A30議員は,平成16年5月20日に郵便料金3900円,同年6月4日に切手又ははがき代1万円,同年10月15日に郵便料金90円,同年12月24日に切手代8000円の合計2万1990円を支払った(乙Cマ5の1ないし4)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成17年9月分以前であるから2分の1)のとおり,A30議員が,上記切手代等につき,平成16年度に1万0995円(=2万1990円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,まとめて購入した多額の切手代及びはがき代が調査研究のためのものではないと主張する。しかし,上記切手代等は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(カ) 固定電話使用料について
A30議員は政務調査用事務所の固定電話(0739-〈省略〉)の使用料として,西日本電信電話株式会社に対し,平成16年4月分の3282円,同年5月分の3452円,同年6月分の5005円,同年7月分の7947円,同年8月分の4080円,同年9月分の3204円,同年10月分の3346円,同年11月分の3355円,同年12月分の3402円,平成17年1月分の4万4875円,同年2月分の3005円,同年3月分の2903円の合計8万7856円を支払い,同年4月分の2693円,同年5月分の2725円,同年6月分の2845円,同年7月分の2901円,同年8月分の2581円,同年9月分の3026円の合計1万6771円を支払い,同年10月分の2588円,同年11月分の2805円,同年12月分の2644円,平成18年1月分の6690円の合計1万4727円を支払い,同年2月分の5775円,同年3月分の3125円を支払った(乙Cマ3の1ないし11,7の1ないし12,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成17年9月分以前は2分の1,同年10月分から平成18年2月14日分は3分の1,同月15日分以降の同年2月分は2分の1,同年3月分は0),A30議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に4万3928円(=8万7856円×1/2),平成17年度に1万5701円(≒1万6771円×1/2+[1万4727円+5775×0.5か月]×1/3+5775円×0.5か月×1/2+3125円×0)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,平成17年1月分の固定電話使用料4万4875円(乙Cマ7の10)が,他の月と比較して高額であるから,調査研究以外の経費が含まれていると主張する。これに対し,被告は,交換した新しい電話機の代金であると主張するところ,その支払先からすれば,被告の主張は合理的であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(キ) 携帯電話使用料について
A30議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の1万2190円,同年5月分の8442円,同年6月分の8967円,同年7月分の1万0473円,同年8月分の6132円,同年9月分の6132円,同年10月分の6772円,同年11月分の6946円,同年12月分の5964円,平成17年1月分の5964円,同年2月分の5964円,同年3月分の5964円の合計8万9910円を支払い,同年4月分の5859円,同年5月分の5859円,同年6月分の6069円,同年7月分の5964円,同年8月分の5859円,同年9月分の5964円の合計3万5574円を支払い,同年10月分の6855円,同年11月分の1万5721円,同年12月分の1万1635円,平成18年1月分の1万4393円の合計4万8604円を支払い,同年2月分の2万1454円,同年3月分の2万2210円を支払った(乙Cマ2の1ないし12,6の1ないし10)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成17年9月分以前は4分の1,同年10月分から平成18年2月14日分は5分の1,同月15日分以降の同年2月分は4分の1,同年3月分は0)のとおり,A30議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に2万2478円(≒8万9910円×1/4),平成17年度に2万3442円(≒3万5574円×1/4+[4万8604円+2万1454円×0.5か月]×1/5+2万1454円×0.5か月×1/4+2万2210円×0)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ク) カメラ代等について
A30議員は,平成16年5月8日にカメラ代2万9800円及びフィルム代690円(乙Cマ4の8),同年10月22日に写真現像代1905円(乙Cマ4の30),同年11月5日にカメラのバッテリー代609円(乙Cマ4の32),同月24日に写真現像代5125円(乙Cマ4の33),同月25日に写真現像代1750円(乙Cマ4の34),同年12月11日にカメラのフィルム代441円(乙Cマ4の37),同月15日にカメラのフィルム代336円(乙Cマ4の38),同月17日に写真現像代875円(乙Cマ4の39),同月23日に写真現像代975円(乙Cマ4の42),平成17年3月6日にカメラのフィルム代336円(乙Cマ4の55),同日に写真現像代1985円(乙Cマ4の56),同月24日に写真現像代3630円(乙Cマ4の60)の合計4万8457円を支払った。
また,A30議員は,平成17年4月18日にカメラのフィルム代441円(乙Cマ1の6),同月19日にカメラのバッテリー代609円及び写真現像代1080円(乙Cマ1の7),同日に写真現像代2330円及びカメラのフィルム代441円(乙Cマ1の8),同月23日にカメラのフィルム代578円(乙Cマ1の10),同日に写真現像代1530円(乙Cマ1の11),同年5月7日に写真現像代1350円(乙Cマ1の12),同月12日に写真現像代1800円(乙Cマ1の13),同月14日に写真現像代3285円(乙Cマ1の15),同月29日に写真現像代4650円(乙Cマ1の18)の合計1万8094円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(平成17年9月分以前であるから4分の1)のとおり,A30議員が,上記カメラ代等につき,平成16年度に1万2114円(≒4万8457円×1/4),平成17年度に4524円(≒1万8094円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A30議員の政務調査用事務所の平成17年9月以前の人件費については,上記ア(ア)のとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,平成17年10月分ないし平成18年2月14日分のものについては,上記アのとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,「a党a13支部」の活動や選挙の準備にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,平成18年2月15日分以降の同月分のものについては,上記ア(イ)のとおりの事務所の設置状況等を考慮すれば,調査研究以外に,「a党a13支部」の活動にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,平成18年3月分のものについては,上記ア(イ)のとおり,調査研究に利用されていたとは認められないから,政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費支出等について
A30議員は,平成15年8月6日から平成18年3月3日までの間,政務調査用事務所において,業務内容を調査研究及び事務補助,勤務時間を午前10時から午後3時まで(休憩時間を午後零時から午後1時まで),休日を「土,日,祝日」,賃金を時給800円,支給日を月末として,B81を雇用し,同人に対し,平成15年8月分ないし平成16年3月分の賃金として月額10万円,同年12月の期末手当として8万円,平成16年4月分ないし平成18年2月分の賃金として月額6万円,同年3月の期末手当として6万円を支払った(乙Bマ5,Dマ1の1ないし12,2の1ないし12,3の1ないし9,4)。
しかし,上記支出のうち,平成18年3月分の期末手当6万円については,A30議員が,同月に県議会議員を辞職することに伴い,B81を解雇するため,期末手当名目で支払ったと陳述するところ(乙Eマ1),これは,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費とはいえないから,政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(平成17年9月分以前は2分の1,同年10月分ないし平成18年2月14日分は3分の1,同月15日分以降の同月分は2分の1,同年3月分は0),A30議員が,上記人件費につき,平成15年度(同年4月を除く。)に44万円(=[10万円×8か月+8万円]×1/2),平成16年度に36万円(=[6万円×12か月]×1/2),平成17年度に28万5000円(=6万円×6か月×1/2+[6万円×4か月+6万円×0.5か月]×1/3+6万円×0.5か月×1/2+[6万円-6万円]×0)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,A30議員が,雇用契約上,土日祝日を休日としていたから,勤務日数が毎月同じ日数になることはあり得ないし,勤務時間を午前10時から午後3時まで,休憩時間を午後零時から午後1時までとしていたから,労働時間が1日5時間ではなく4時間であったと主張する。確かに,上記賃金の支払額は不自然であるといえなくはないが,そのことから,B81に勤務実体がなかったとか,賃金が支払われていなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A30議員は,事務所費として,平成15年度(同年4月を除く。)に36万5887円,平成16年度に58万5625円,平成17年度に56万4000円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計18万8000円を超える17万7887円,平成16年度に支出許容額合計29万2812円(=28万2000円+1万0812円)を超える29万2813円,平成17年度に支出許容額合計22万3250円を超える34万0750円を支出した部分は違法である。
(イ) A30議員は,事務費として,平成16年度に36万8434円,平成17年度に28万8644円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計12万5680円(=3万6165円+1万0995円+4万3928円+2万2478円+1万2114円)を超える24万2754円,平成17年度に支出許容額合計7万2365円(=2万0198円+4000円+4500円+1万5701円+2万3442円+4524円)を超える21万6279円を支出した部分は違法である。
(ウ) A30議員は,人件費として,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度及び平成17年度に各72万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額44万円を超える44万円,平成16年度に支出許容額36万円を超える36万円,平成17年度に支出許容額28万5000円を超える43万5000円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A30議員に対し,平成15年度分(同年4月を除く。)合計61万7887円(=17万7887円+44万円),平成16年度分合計89万5567円(=29万2813円+24万2754円+36万円),平成17年度分合計99万2029円(=34万0750円+21万6279円+43万5000円),総合計250万5483円の不当利得の返還を請求するべきである。
(31)  A31議員(以下「A31議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A31議員の政務調査用事務所(和歌山県東牟婁郡〈以下省略〉)は,自宅に設置され,後援会及び「a党a14支部」と併設されていた(甲A5の2・3,乙Dミ12,Eミ1)。
この点,A31議員は,後援会及び「a党a14支部」の活動実体はなかったし,後援会が政務調査用事務所の備品を使用することはなかったと陳述するが(乙Eミ1),その裏付けはないから,信用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A31議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費,コピー機リース代及びMOドライブ代については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会及び「a党a14支部」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務用品・備品購入費について
A31議員は,平成16年5月10日に書類ケース代4万4572円(乙Cミ6の1・2),平成17年3月10日に両袖机,肘付き椅子及び書類ケース代23万円(乙Cミ8の1・2)の合計27万4572円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A31議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に9万1524円(=27万4572円×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) コピー機リース代について
A31議員は,コピー機リース代として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の10万0800円,平成17年4月分ないし平成18年3月分の10万0800円を支払った(乙Cミ3,9)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A31議員が,上記コピー機リース代につき,平成16年度及び平成17年度に各3万3600円(=10万0800円×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,コピー機がA31議員作成の自宅見取図(乙Dミ12)に記載されていないから,コピー機は設置されていなかったと主張する。しかし,A31議員が本件訴訟のために手書きした上記見取図にコピー機が記載されていないからといって,これが存在しなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
(エ) MOドライブ代について
A31議員は,平成17年3月4日,MOドライブ代2万5670円を支払った(乙Cミ7)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A31議員が,上記MOドライブ代につき,平成16年度に8557円(≒2万5670円×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,MOドライブが調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記MOドライブ代は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(オ) 携帯電話使用料について
A31議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の6951円,同年5月分の6279円,同年6月分の6489円,同年7月分の6279円,同年8月分の6489円,同年9月分の6489円,同年10月分の6384円,同年11月分の6384円,同年12月分の6279円,平成17年1月分の6489円,同年2月分の7224円,同年3月分の7224円の合計7万8960円を支払い,同年4月分の6909円,同年5月分の6489円,同年6月分の6489円,同年7月分の6384円,同年8月分の6594円,同年9月分の6699円,同年10月分の6489円,同年11月分の7959円,同年12月分の8064円,平成18年1月分の6804円,同年2月分の6699円,同年3月分の6489円の合計8万2068円を支払った(乙Cミ1,2の1・2,4,5の1・2)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A31議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に1万9740円(=7万8960円×1/4),平成17年度に2万0517円(=8万2068円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,「ドコモ料金支払内訳書」等の「記事」欄には「一括請求によるお支払い」との記載があるから(乙Cミ1,2,4,5),数台分の使用料であると主張する。確かに,上記記載からすれば,複数の回線が使用されていたことがうかがわれる。しかし,上記同書面に表示された電話使用料は,「事前案内書兼領収証」の「電話番号毎のご請求内訳をご確認ください」との記載(乙Cケ5の1ないし10)がいう電話番号毎の電話使用料,すなわち,上記携帯電話番号のみの使用料であると認められるから(乙Cケ15,16),原告らの上記主張は採用できない。
ウ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A31議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
A31議員は,平成15年5月1日から平成18年3月31日までの間,勤務場所及び就業時間を定めず,仕事内容を「議員調査補助」,賃金を月額8万円,支給日を月末として,A31議員の姉であるB82を雇用し,同人に対し,平成15年5月分ないし平成18年3月分の賃金として月額8万円を支払った(乙Dミ1,2の1ないし12,5,6の1ないし12,10,11の1ないし11,Eミ1)。
また,A31議員は,平成16年11月1日から平成18年3月31日までの間,勤務場所及び就業時間を定めず,仕事内容を「運転他」,賃金を月額2万円,支給日を月末として,B83を雇用し,同人に対し,平成16年11月分ないし平成18年3月分の賃金として月額2万円を支払った(乙Dミ3,4の1ないし12,7,8の1ないし5)。
さらに,A31議員は,資料作成のためにB84を雇用し,同人に対し,平成17年3月31日,賃金として,8000円を支払った(乙Dミ9)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A31議員が,人件費につき,平成15年度(同年4月を除く。)に29万3333円(≒8万円×11か月×1/3),平成16年度に35万6000円(=[8万円×12か月+2万円×5か月+8000円]×1/3),平成17年度に40万円(=[8万円×12か月+2万円×12か月]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,A31議員の政務調査用事務所が自宅の私的な部分と区別されていなかったから,B82が調査研究を補助していなかったと主張するが,具体的な根拠はないから,採用できない。
また,原告らは,運転手に対する賃金が調査研究に直接必要なものとはいえないと主張するが,運転手に対する賃金も,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
エ まとめ
(ア) A31議員は,事務費として,平成16年度に45万2268円,平成17年度に17万2800円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計15万3421円(=9万1524円+3万3600円+8557円+1万9740円)を超える29万8847円,平成17年度に支出許容額合計5万4117円(=3万3600円+2万0517円)を超える11万8683円を支出した部分は違法である。
(イ) A31議員は,人件費として,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度に106万8000円,平成17年度に120万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額29万3333円を超える58万6667円,平成16年度に支出許容額35万6000円を超える71万2000円,平成17年度に支出許容額40万円を超える80万円を支出した部分は違法である。
(ウ) 被告は,A31議員に対し,平成15年度分(同年4月を除く。)58万6667円,平成16年度分合計101万0847円(=29万8847円+58万6667円),平成17年度分合計91万8683円(=11万8683円+80万円)の総合計251万6197円の不当利得の返還を請求するべきである。
(32)  A32議員(以下「A32議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A32議員の政務調査用事務所(和歌山県有田郡〈以下省略〉)は,自宅(同郡〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会と併設されていた(甲A3,5の3,乙Bム1,Eム2)。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A32議員の政務調査用事務所の事務所費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,領収書等(乙Bム3の1ないし12,7,9の2,10の1・2)の宛先が「A32後援会」又は「A32後援会事務所」であること,後援会の金銭出納帳(乙Eム1)に事務所費が記載されていることから,A32議員が事務所費として主張する経費は,後援会のものであると主張する。しかし,領収証の宛先が「A32事務所」のものもあること(乙Bム9の1),上記金銭出納帳が後援会の経費のみを記載したものとは断定できないこと,政務調査用事務所と後援会が併設されていたことからすれば,原告らの上記主張は採用できない。
(イ) 土地賃料について
A32議員は,平成16年度及び平成17年度において,B85から,和歌山県「有田郡〈以下省略〉」の土地を年50万円で賃借し,同人に対し,平成16年1月20日及び平成17年1月20日にそれぞれ賃料として50万円を支払った(乙Bム1,2,6)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A32議員が,上記土地賃料につき,平成16年度及び平成17年度にそれぞれ25万円(=50万円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 電気料金について
A32議員は,上記事務所における電気料金(①従量電灯A,②低圧電力)として,平成16年4月分の①6991円及び②5456円,同年5月分の①6481円及び②5277円,同年6月分の①5896円及び②5814円,同年7月分の①7044円及び②9576円,同年8月分の①6914円及び②1万3569円,同年9月分の①6408円及び②1万1668円,同年10月分の①6423円及び②1万0432円,同年11月分の①6154円及び②5388円,同年12月分の①6301円及び②5272円,平成17年1月分の①6256円及び②5534円,同年2月分の①5421円及び②6968円,同年3月分の①4756円及び②5588円の合計16万5587円を支払い,同年4月分の①5763円及び②5509円,同年5月分の①5325円及び②5367円,同年6月分の①5371円及び②5979円,同年7月分の①5792円及び②1万0113円,同年8月分の①5184円及び②1万1703円,同年9月分の①5605円及び②1万2387円,同年10月分の①5066円及び②9335円,同年11月分の①5349円及び②5718円,同年12月分の①4713円及び②5199円,平成18年1月分の①4767円及び②5366円,同年2月分の①4338円及び②5302円,同年3月分の①5195円及び②5408円の合計14万9854円を支払った(乙B4の1ないし12,8)。
なお,一般的に,従量電灯Aは,一般家庭で使用される電気料金の形態で,低圧電力は,エアコン,業務用冷蔵庫,ポンプ,エレベーター,工場等のモーター等で使用される電気料金の形態であり,用途や使用量に応じて使い分けられるべきものであるところ,A32議員が,従量電灯A及び低圧電力を利用したことは,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,従量電灯A及び低圧電力の電気料金に政務調査費を支出したことは許される。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A32議員が,平成16年度に8万2794円(≒16万5587円×1/2),平成17年度に7万4927円(=14万9854円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 水道料金について
A32議員は,上記事務所の水道料金として,平成16年4月分ないし平成18年3月分の月額1050円を支払った(乙Bム3の1ないし12,7)。
なお,平成18年3月分の領収証等の証拠が提出されていないが,水道料金は,継続的契約に係る定額の支払であるから,A32議員は,同月分の水道料金1050円を支払ったと認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A32議員が,上記水道料金につき,平成16年度及び平成17年度にそれぞれ6300円(=1050円×12か月×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,水道料金が,政務調査費の支出が許されない環境整備費であるし,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記水道料金は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(オ) 灯油代について
A32議員は,灯油代として,平成16年4月30日に1800円,同年12月27日に2600円,平成17年1月29日に2600円,同年2月28日に2600円,同年3月29日に2340円の合計1万1940円を支払い,同年4月28日に2600円,同年11月10日に1170円,同年12月26日に9450円,平成18年1月30日に6720円,同年2月28日に1万1000円の合計3万0940円を支払った(乙Bム5,10の1・2,Eム1,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A32議員が,上記灯油代につき,平成16年度に5970円(=1万1940円×1/2),平成17年度に1万5470円(=3万0940円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,灯油代が,政務調査費の支出が許されない環境整備費であるし,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記灯油代は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(カ) し尿汲み取り料について
A32議員は,し尿汲み取り料として,平成16年6月15日及び同年10月14日に各1911円,平成17年2月1日に1433円の合計5255円を支払い,同年6月23日に1911円,同年10月14日に1433円の合計3344円を支払った(乙Bム9の1・2,Eム1)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A32議員が,平成16年度に2628円(≒5255×1/2),平成17年度に1672円(=3344円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,し尿汲み取り料が,政務調査費の支出が許されない環境整備費であるし,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記し尿汲み取り料は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A32議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費,固定電話使用料及びNHK受信料については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会の活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,後援会の金銭出納帳(乙Eム1)に事務費が記載されていることから,A32議員が事務費として主張する経費は,後援会のものであると主張する。しかし,上記金銭出納帳が後援会の経費のみを記載したものとは断定できないし,政務調査用事務所と後援会が併設されていたことからすれば,原告らの上記主張は採用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費について
a A32議員は,平成16年4月1日に切手代2万9580円(乙Cム11),同年6月2日に「エクスパック」料金500円(乙Cム12の1),同月24日に暑中見舞い用のはがき代1万円(乙Cム12の2),同年7月1日に暑中見舞い用はがきへの交換手数料40円(乙Cム12の3),同月2日に郵便料金120円(乙Cム12の4)の合計4万0240円を支払った。
また,A32議員は,平成17年6月30日にはがき代3万円(乙Cム2の1),同年7月11日に暑中見舞い用のはがき代3000円(乙Cム2の2),同月13日に暑中見舞い用のはがき代900円(乙Cム2の3),同月21日に切手代80円(乙Cム2の4),同月29日に暑中見舞い用のはがき代500円(乙Cム2の5),同年8月8日に暑中見舞い用のはがき代250円(乙Cム2の6),同月17日に暑中見舞い用のはがき代100円(乙Cム2の7),同月23日に郵便料金(現金書留)540円(乙Cム2の8),同年11月1日にはがき代2万7500円(乙Cム2の9),同月21日に年賀はがき代5500円(乙Cム2の10),同日に年賀はがきへの交換手数料等代140円(乙Cム2の11),同日に通常はがきへの交換手数料80円(乙Cム2の12),同月25日に年賀はがき代1925円(乙Cム2の13),同月29日に年賀はがき代1650円(乙Cム2の14),同日に年賀はがきへの交換手数料等代80円(乙Cム2の15),同月30日に年賀はがき代990円(乙Cム2の16),同日に年賀はがきへの交換手数料等代60円(乙Cム2の17),同年12月13日に年賀はがき代440円(乙Cム2の18),同月16日に通常はがき代1500円(乙Cム2の19),同月19日に年賀はがき代440円(乙Cム2の20),同月26日に通常はがき代500円及び年賀はがき代275円(乙Cム2の21),同月28日に通常はがき代250円(乙Cム2の22),平成18年1月6日に郵便料金1万5155円(乙Cム2の23),同年2月23日に郵便料金8840円(乙Cム2の24),同月24日に郵便料金140円(乙Cム2の25),同年3月27日に通常はがき代5000円(乙Cム2の26)の合計10万5835円を支払った。
b A32議員は,平成16年5月18日にファックスのインクリボン代3000円(乙Cム15),同日にセロテープ代105円(乙Cム13の1),同日にのし代210円(乙Cム13の2),同年6月30日にゴミ袋代400円(乙Cム13の3),同年7月15日に祝儀袋代115円及びペン代285円(乙Cム14の1,Eム1),同年9月25日に祝袋,のし,包装紙及び筆ペンの代金940円(乙Cム14の2,Eム1),同年12月22日にポスター代及び付箋代780円(乙Cム16,Eム1)の合計5835円を支払った。
また,A32議員は,平成17年5月2日に万年筆代及び修正ペン代1300円(乙C3の1,Eム1),同月26日にインクカートリッジ代7290円(乙C3の2),同年7月28日に筆ペン等代2170円(乙Cム3の3,Eム1,弁論の全趣旨),同年8月26日に仏袋,祝儀袋及びパソコンカードの代金4320円(乙Cム3の4,Eム1),同年10月28日にコピー機トナー代3万5700円(乙Cム6),同年11月22日に筆ペン代285円(乙Cム5の1),同月25日に賞状,筆ペン及びその他の代金1460円(乙Cム3の5,Eム1),同年12月2日に封筒代1575円(乙Cム7,Eム1),同月27日にダイアリー及びポスター代3850円(乙Cム3の6,Eム1),平成18年1月6日に領収証用紙代855円(乙Cム5の2),同月9日に領収証用紙代410円及び朱肉補充液代478円(乙Cム4の1),同月24日に祝儀袋及び模造紙代1350円(乙Cム3の7,Eム1。なお,領収証には「平成17年」とあるが,帳簿[乙Eム1]によれば平成18年の誤記と認められる。),平成18年3月3日にコピー用紙代925円(乙Cム4の2),同月13日にファイル代498円(乙Cム4の3),同月15日にファイル代996円及びインデックスラベル代178円(乙Cム4の4),同月20日にスタンプ印鑑のインク代480円(乙Cム4の5),同月23日に印鑑代1250円(乙Cム3の8,Eム1),同月27日に香典袋代500円(乙Cム3の9,Eム1)の合計6万5870円を支払った。
c しかし,上記aの支払のうち,平成16年6月24日の暑中見舞い用のはがき代1万円(乙Cム12の2),同年7月1日の暑中見舞い用はがきへの交換手数料40円(乙Cム12の3)の合計1万0040円,平成17年7月11日の暑中見舞い用のはがき代3000円(乙Cム2の2),同月13日の暑中見舞い用のはがき代900円(乙Cム2の3),同月29日の暑中見舞い用のはがき代500円(乙Cム2の5),同年8月8日の暑中見舞い用のはがき代250円(乙Cム2の6),同月17日の暑中見舞い用のはがき代100円(乙Cム2の7),同年11月21日の年賀はがき代5500円(乙Cム2の10),同日の年賀はがきへの交換手数料等代140円(乙Cム2の11),同月25日の年賀はがき代1925円(乙Cム2の13),同月29日の年賀はがき代1650円(乙Cム2の14),同日の年賀はがきへの交換手数料等代80円(乙Cム2の15),同月30日の年賀はがき代990円(乙Cム2の16),同日の年賀はがきへの交換手数料等代60円(乙Cム2の17),同年12月13日の年賀はがき代440円(乙Cム2の18),同月19日の年賀はがき代440円(乙Cム2の20),同月26日の年賀はがき代275円(乙Cム2の21)の合計1万6250円は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは経費とはいえないから,政務調査費を支出することは許されない。
また,上記bの支払のうち,平成16年5月18日ののし代210円(乙Cム13の2),同年7月15日の祝儀袋代115円(乙Cム14の1,Eム1),同年9月25日の祝袋,のし,包装紙,及び筆ペンの代金940円(乙Cム14の2),同年12月22日のポスター代及び付箋代780円(乙Cム16,Eム1)の合計2045円,平成17年8月26日の仏袋,祝儀袋,及びパソコンカードの代金4320円(乙Cム3の4,Eム1),同年11月25日の賞状,筆ペン,その他の代金1460円(乙Cム3の5,Eム1),同年12月27日のダイアリー及びポスター代3850円(乙Cム3の6,Eム1),平成18年1月24日の祝儀袋及び模造紙代1350円(乙Cム3の7,Eム1),平成18年3月27日の香典袋代500円(乙Cム3の9,Eム1)の合計1万1480円は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とはいえないから,政務調査費を支出することは許されない。
d そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A32議員が,事務用品・備品購入費につき,平成16年度に1万6995円(=[4万0240円+5835円-1万0040円-2045円]×1/2),平成17年度に7万1988円(=[10万5835円+6万5870円-1万6250円-1万1480円]×1/2),をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,被告は,ポスター(乙Cム3の6,16)が,年末年始の休業期間等を告知するためのものであると主張するが,その主張を裏付ける証拠はないから,採用できない。
他方,原告らは,まとめて購入した多額の切手代及び郵便料金が調査研究のためのものではないと主張する。しかし,上記切手代及び郵便料金は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,印鑑(乙Cム3の8)及びゴミ袋(乙Cム13の3)が調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記印鑑及びゴミ袋代は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(ウ) 固定電話使用料について
固定電話(①0737-〈省略〉,②0737-〈省略〉)の使用料として,「B86」名義で,平成16年4月分の①及び②の合計1万0009円,同年5月分の①3399円及び②6135円,同年6月分の①3447円及び②6101円,同年7月分の①及び②の合計9534円,同年8月分の①3061円及び②6839円,同年9月分の①3083円及び②5476円,同年10月分の①3225円及び②6880円,同年11月分の①3238円及び②5753円,同年12月分の①3064円及び②5844円,平成17年1月分の①3085円及び②1万0664円,同年2月分の①2928円及び②6862円,同年3月分の①2763円及び②7213円の合計11万8603円が支払われ,同年4月分の①2919円及び②8141円,同年5月分の①3192円及び②6657円,同年6月分の①3273円及び②6881円,同年7月分の①3054円及び②6839円,同年8月分の①2768円及び②6296円,同年9月分の①2819円及び②6275円,同年10月分の①2751円及び②6648円,同年11月分の①3148円及び②6259円,同年12月分の①2943円及び②5938円,平成18年1月分の①2978円及び②5218円,同年2月分の①2809円及び②5797円,同年3月分の①2831円及び②7063円の合計11万3497円が支払われた(乙Cム1の1ないし24,8の1ないし18,Eム1)。
なお,A32議員は,「B86」が後援会会長であったと陳述するところ(乙Eム2),その陳述は,上記固定電話使用料の電話料金等支払証明書(乙Cム8の13・14)がA32後援会事務所の請求により作成されたことからすれば,信用することができ,「B86」はA32議員の後援会会長であったと認められる。また,政務調査用事務所は,後援会と併設されていた。したがって,上記固定電話使用料は,政務調査用事務所と後援会事務所のものであったと認められる。
しかし,被告は,上記支払のうち平成16年4月分1万0009円については,政務調査費を支出しなかったと主張するから,政務調査費支出の適否については,これを控除すべきである。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A32議員が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に5万4297円(=[11万8603円-1万0009円]×1/2),平成17年度に5万6749円(≒11万3497円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) NHK受信料について
A32議員は,NHK受信料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計1万6740円,同年4月分ないし7月分の合計5580円を支払った(乙Cム9の1ないし5,Eム1)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A32議員が,NHK受信料につき,平成16年度に8370円(=1万6740円×1/2),平成17年度に2790円(=5580円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,NHK受信料が,政務調査費の支出が許されない環境整備費であるし,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記NHK受信料は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(オ) 携帯電話使用料について
A32議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年5月分の4557円,同年6月分の5775円,同年7月分の7171円,同年8月分の4651円,同年9月分の4683円,同年10月分の7948円,同年11月分の6426円,同年12月分の6384円,平成17年1月分の7297円,同年2月分の4790円,同年3月分の6142円の合計6万5824円を支払い,同年4月分の5848円,同年5月分の5029円,同年6月分の4998円,同年7月分の5187円,同年8月分の4651円,同年9月分の5082円,同年10月分の6027円,同年11月分の6783円,同年12月分の5428円,平成18年1月分の5439円,同年2月分の5082円,同年3月分の5712円の合計6万5266円を支払った(乙Cム1の25,10)。
なお,平成16年4月分の領収証等の証拠は提出されていないから,これを認めることはできない。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A32議員が,携帯電話使用料につき,平成16年度に2万1941円(≒6万5824円×1/3),平成17年度に2万1755円(≒6万5266円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A32議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,後援会の金銭出納帳(乙Eム1)に人件費が記載されていることから,A32議員が人件費として主張する経費は後援会のものであると主張する。しかし,上記金銭出納帳が後援会の経費のみを記載したものとは断定できないし,政務調査用事務所と後援会が併設されていたことからすれば,原告らの上記主張は採用できない。
(イ) 人件費の支出等について
A32議員は,平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間,勤務場所及び職務内容を定めず,賃金を月額17万円,支給日を毎月20日(休日の場合はその前日)として,B87を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額17万円,平成15年ないし平成17年の6月及び12月に賞与としてそれぞれ30万円を支払った(乙Dム1,2の1ないし14,5,6の1ないし14,9,10の1ないし14)。
また,A32議員は,平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間,勤務場所及び職務内容を定めず,賃金を月額8万円,支給日を毎月20日(休日の場合はその前日)として,B88を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額8万円,平成15年ないし平成17年の6月及び12月に賞与としてそれぞれ10万円を支払った(乙Dム3,4の1ないし14,7,8の1ないし14,11,12の1ないし14)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A32議員が,人件費につき,平成15年4月に12万5000円(=[17万円+8万円]×1/2),平成15年度(同年4月を除く。)に177万5000円(=[17万円×11か月+30万円×2+8万円×11か月+10万円×2]×1/2),平成16年度及び平成17年度に各190万円(=[17万円×12か月+30万円×2+8万円×12か月+10万円×2]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,被用者を複数雇用する必要性はなかったと主張する。しかし,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究を補助する職員を複数雇用することは社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A32議員は,事務所費として,平成16年度に17万8187円,平成17年度に49万6840円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度については,支出許容額合計34万7692円(=25万円+8万2794円+6300円+5970円+2628円)を超える違法支出はないが,平成17年度に支出許容額合計34万8369円(=25万円+7万4927円+6300円+1万5470円+1672円)を超える14万8471円を支出した部分は違法である。
(イ) A32議員は,事務費として,平成16年度に33万2790円,平成17年度に23万1393円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計10万1603円(=1万6995円+5万4297円+8370円+2万1941円)を超える23万1187円,平成17年度に支出許容額合計15万3282円(=7万1988円+5万6749円+2790円+2万1755円)を超える7万8111円を支出した部分は違法である。
(ウ) A32議員は,人件費として,平成15年4月に10万円,平成15年度(同年4月を除く。)に110万円,平成16年度及び平成17年度に各96万円を政務調査費から支出したところ(別紙1),支出許容額(平成15年4月につき12万5000円,平成15年度[同年4月を除く。]につき177万5000円,平成16年度及び平成17年度につき各190万円)を超える違法支出はない。
(エ) よって,被告は,A32議員に対し,平成16年度分23万1187円,平成17年度分22万6582円の合計45万7769円の不当利得の返還を請求するべきである。
(33)  A33議員(以下「A33議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A33議員の政務調査用事務所(和歌山県西牟婁郡〈以下省略〉)は,自宅に設置されていた(乙Eメ1,弁論の全趣旨)。
また,A33議員は,後援会及び「a党a15支部」を自宅と道路を隔てた場所のプレハブ建物に設置していたと陳述するところ(乙Eメ1),その陳述は具体的であり,信用できるから,そのとおり認められる(甲A5の2・3,弁論の全趣旨)。
この点,A33議員は,後援会及び「a党a15支部」が活動実体はほとんどなかったと陳述するが(乙Eメ1),その裏付けはないから,信用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A33議員の政務調査用事務所の事務用品代,備品購入費,切手及び郵便料金については,上記アのとおり,政務調査用事務所が,後援会及び「a党a15支部」と近接していること及びそれらの経費の汎用性の高さを考慮すれば,社会通念上相当な按分割合として,その60%を超えて政務調査費を支出した部分は違法とするのが相当である。
また,固定電話,ファックス,パソコン回線の使用料については,調査研究以外に,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,携帯電話使用料及びインスタントカメラ代は,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会及び「a党a15支部」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務用品代について
A33議員は,平成16年5月10日にホワイトボード代1万0800円,マグネットクリップ代318円,分類クリップ代308円及びカラーマグネット代388円(乙Cメ63),同年6月12日に印鑑代2200円(乙Cメ66,83),同年7月1日に「有限会社大川」に対して5880円(乙Cメ68),同年10月4日にコピー用紙代5888円(乙Cメ72),平成17年2月12日に「ナショナルショップ スズキ」に対して1600円(乙Cメ76),同年3月10日にクリアーブック代2814円,ラベル代168円,ボールペン代84円及びマジックペン代81円(乙Cメ77),同月15日に文具小物代890円,ノート代560円,筆記具代400円及びそれらの消費税92円(乙Cメ79),同月31日にクリアーブック代2436円(乙Cメ81),同日に「有限会社大川」に対して2940円(乙Cメ82)の合計3万7847円を支払った。
また,A33議員は,平成17年8月22日にクリアーブック代2436円(乙Cメ4),同年9月22日に「インスタントフィルムチェキ5パック入」代3150円(乙Cメ5),同年11月2日に「有限会社大川」に対して2940円(乙Cメ6),平成18年1月20日に印鑑代6900円(乙Cメ7,83),同年2月16日に印鑑代2000円(乙Cメ10,83),同月25日にクリアーブック代3984円(乙Cメ11),同年3月29日に文具小物代1249円(乙Cメ13)の合計2万2659円を支払った。
なお,A33議員は,「有限会社大川」が,地元では著名な事務用品,事務機器の販売店であると陳述するところ(乙Eメ1),その陳述は,被告が,平成16年7月1日の「有限会社大川」に対する5880円(乙Cメ68),平成17年3月31日の「有限会社大川」に対する2940円(乙Cメ82),同年11月2日の「有限会社大川」に対する2940円(乙Cメ6)が,コピー又はトナー等であると具体的に主張することからすれば,信用することができ,そのとおり認められる。
また,被告は,「ナショナルショップ スズキ」に対する平成17年2月12日の1600円の支払(乙Cメ76)が,オーディオテープ代であると主張するところ,支払先及び支払金額からすれば,そのとおり認められる。
しかし,被告は,支出時期が不明の「オーディオテープ¥2670」と記載された領収証(乙Cメ70)に係る支払が,オーディオテープ代であると主張するところ,上記「オーディオテープ¥2670」の部分は手書きで,「ヤデンキ」以外の印字部分は判読不能であるから,A33議員がオーディオテープ代2670円を支払ったとは認められない。
また,上記支払のうち,平成17年9月22日の「インスタントフィルムチェキ5パック入」代3150円(乙Cメ5)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(60%)のとおり,A33議員が,上記事務用品代につき,平成16年度に2万2708円(≒3万7847円×60%),平成17年度に1万1705円(≒[2万2659円-3150円]×60%)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 備品購入費について
A33議員は,平成18年2月10日にコピー機代49万9800円を支払った(乙Cメ9,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(60%)のとおり,A33議員が,上記コピー機代につき,平成17年度に29万9880円(=49万9800円×60%)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 切手及び郵便料金について
A33議員は,平成16年4月14日に切手代1万円(乙Cメ62),同年5月16日に切手代9200円(乙Cメ64),同年6月7日に切手代2万円(乙Cメ65),同月17日に切手代1万円(乙Cメ67),同年7月5日に切手代5000円(乙Cメ69),同年8月24日に郵便料金1万4080円(乙Cメ71),平成17年1月5日に普通切手代8000円(乙Cメ73),同年2月7日に切手代1万円(乙Cメ74),同月16日に切手代1万円(乙Cメ75),同年3月11日に郵便料金470円(乙Cメ78),同月22日に郵便料金7120円(乙Cメ80)の合計10万3870円を支払った。
また,A33議員は,平成17年5月2日に郵便料金4万2160円(乙Cメ1),同月23日に普通切手代1万6000円(乙Cメ2),平成18年1月26日に郵便料金760円(乙Cメ8),同月3月2日に郵便料金560円(乙Cメ12)の合計5万9480円を支払った。
なお,A33議員は,平成17年1月5日及び同年5月23日の慶事用切手代各8000円に政務調査費を支出しなかった(乙Cメ1)。
そして,上記(ア)の按分割合(60%)のとおり,A33議員が,切手及び郵便料金につき,平成16年度に6万2322円(=10万3870円×60%),平成17年度に3万5688円(=5万9480円×60%)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,まとめて購入した多額の切手代及び郵便料金が調査研究のためのものではないと主張する。しかし,上記切手代及び郵便料金は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) 固定電話等使用料について
A33議員は,固定電話使用料2台分として,平成17年3月分の①9299円及び②2005円,同年4月分の①1万0424円及び②2005円,同年5月分の①1万2034円及び②2005円,同年6月分の①1万3155円及び②2013円,同年7月分の①1万4224円及び②2005円,同年8月分の①1万2789円及び②2005円,同年9月分の①1万2215円及び②2005円,同年10月分の①1万2677円及び②2005円,同年11月分の①1万2822円及び②2005円,同年12月分の①1万2707円及び②2005円,平成18年1月分の①1万2288円及び②2005円,同年2月分の①1万3049円及び②2005円の合計17万1751円を支払った(乙Cメ14ないし37,Eメ1)。
また,A33議員は,ファックス及びパソコン回線使用料として,平成17年3月分の5162円,同年4月分の6778円,同年5月分の2084円,同年6月分の2001円,同年7月分の2019円,同年8月分の2063円,同年9月分の1897円,同年10月分の2126円,同年11月分の2063円,同年12月分の2132円,平成18年1月分の2730円,同年2月分の2367円の合計3万3422円を支払った(乙Cメ38ないし49,Eメ1)。
なお,平成17年3月分の固定電話等使用料,ファックス及びパソコン回線使用料は,同年4月が支払月であると認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A33議員が,上記固定電話等使用料につき,平成17年度に10万2587円(≒[17万1751円+3万3422円]×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(カ) 携帯電話使用料について
A33議員は,携帯電話使用料として,平成17年4月分の8630円,同年5月分の9796円,同年6月分の9473円,同年7月分の9137円,同年8月分の7673円,同年9月分の8467円,同年10月分の1万0167円,同年11月分の8674円,同年12月分の7997円,平成18年1月分の1万0997円,同年2月分の1万0210円,同年3月分の1万0013円の合計11万1234円を支払った(乙Cメ50ないし61)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A32議員が,上記携帯電話使用料につき,平成17年度に2万7809円(≒11万1234円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(キ) インスタントカメラ代について
A33議員は,インスタントカメラ代として,平成17年5月29日に1344円を支払った(乙Cメ3)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A32議員が,上記インスタントカメラ代につき,平成17年度に336円(≒1344円×1/4)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 人件費について
A33議員は,平成16年6月15日,株式会社和歌山近鉄百貨店に対し,5万円を支払った(乙Dメ1)。
また,A33議員は,政務調査費収支報告書において,平成17年度の人件費に計上された12万円を「謝礼」として調査研究費に計上する修正をした(乙Eメ1,別紙2)。
この点,A33議員は,工事箇所表の整理や臨時の現地調査のための運転依頼に対する謝礼として商品券を交付したと陳述するが(乙Eメ1),その裏付けはないから,信用できない。
したがって,A33議員が,人件費につき,平成16年度及び平成17年度に政務調査費を支出した部分は違法である。
エ まとめ
(ア) A33議員は,事務費として,平成16年度に5万9380円,平成17年度に52万8470円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度については,支出許容額合計8万5030円(=2万2708円+6万2322円)を超える違法支出はないが,平成17年度に支出許容額合計47万8005円(=1万1705円+29万9880円+3万5688円+10万2587円+2万7809円+336円)を超える5万0465円を支出した部分は違法である。
(イ) A33議員は,人件費として,平成16年度に5万円,平成17年度に12万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),これらの支出はいずれも違法である。
(ウ) よって,被告は,A33議員に対し,平成16年度分5万円,平成17年度分合計17万0465円(=5万0465円+12万円)の総合計22万0465円の不当利得の返還を請求するべきである。
(34)  A34議員(以下「A34議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A34議員の政務調査用事務所(和歌山県橋本市〈以下省略〉)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置されていた(甲モ5の2,乙Bモ12,Eモ1)。
また,A34議員の後援会は,橋本市〈以下省略〉B89方に設置され,「a党e4協議会」は,同市〈以下省略〉に設置されていた(甲A5の2・3,乙Eモ1)。
しかし,政務調査用事務所に隣接する倉庫の周りには,「a党◎◎支部」の看板,a党の国会議員の看板,A34議員の看板等が設置されていたから(甲モ5の1・2),政務調査用事務所においても,後援会及び「a党e4協議会」の活動が行われていたと認めるのが相当である。
この点,A34議員は,平成15年及び平成19年の県議会議員選挙において無投票で当選したから,平成15年度ないし平成17年度において,後援会の活動はほとんどなかったと陳述する(乙Eモ1)。しかし,A34議員が上記県議会議員選挙において無投票で当選したからといって,後援会が活動していなかったと認めることはできないから,A34議員の上記陳述は信用できない。
また,A34議員は,「a党e4協議会」が,平成18年2月ころ,河川改修に伴い,橋本市〈以下省略〉所在の事務所を立ち退いたため,政務調査用事務所の隣の倉庫の所有者の好意を受けて,「a党◎◎支部」の看板(甲モ5の1)を設置していたから,政務調査用事務所において,「a党e4協議会」の活動はなかったと陳述する(乙Eモ1)。しかし,その裏付けはないから,A34議員の上記陳述は信用できない。
他方,原告らは,政務調査用事務所が,平成15年の県議会議員選挙の選挙用事務所であったから(甲モ6),選挙用事務所として維持,確保されてきたと主張する。しかし,選挙用事務所として使用されたからといって,選挙後も選挙のためだけに使用されていたと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A34職員の政務調査用事務所の賃料,電気料金,水道料金,ガス代及び灯油代並びに固定電話等使用料については,他の目的のものが活動していた事務所に係るものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,自宅の固定電話使用料については,私的以外に,調査研究にも利用されていたと認められるから(乙Eモ1),社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,携帯電話使用料及びガソリン代については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会,「a党e4協議会」及び,A34議員が営んでいたと認められる「p米穀店」(乙B13の2・7・8・13・16・17・33・34・40,14の1・2・8・9・12・16・18・25・26・28・31ないし33・41・44・46ないし51,15の1・3・4・8ないし10・12・13・16・21・26・27・29・36・39)の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務所賃料について
A34議員は,平成15年度ないし平成17年度において,伊都食糧販売協同組合から,政務調査用事務所として,和歌山県橋本市〈以下省略〉所在の建物の1階を賃料月額2万円で賃借し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃料として月額2万円を支払った(乙Bモ1の1ないし4,5の1ないし7,8の1ないし6,11,12)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,事務所賃料につき,平成15年4月に1万円(=2万円×1/2),平成15年度(同年4月を除く。)に11万円(=2万円×11か月×1/2),平成16年度及び平成17年度に各12万円(=2万円×12か月×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 電気料金について
A34議員は,政務調査用事務所の電気料金として,平成15年4月分の1万1309円を支払い,同年5月分の9031円,同年6月分の5361円,同年7月分の9282円,同年8月分の7652円,同年9月分の7722円,同年10月分の6529円,同年11月分の6213円,平成16年3月分の5093円の合計5万6883円を支払い,同年4月分の5172円,同年5月分の4654円,同年6月分の5507円,同年7月分の8143円,同年8月分の9067円,同年9月分の5946円,同年10月分の6625円,同年11月分の4632円,同年12月分の4424円,平成17年1月分の6882円,同年2月分の4420円,同年3月分の3919円の合計6万9391円を支払い,同年4月分の5010円,同年5月分の6573円,同年6月分の6246円,同年7月分の6558円,同年8月分の6614円,同年9月分の7536円,同年10月分の7052円,同年11月分の4964円,同年12月分の4878円,平成18年1月分の6456円,同年2月分の4527円,同年3月分の4540円の合計7万0954円を支払った(乙Bモ2の1ないし9,6の1ないし8,9の1ないし6)。
なお,平成15年12月分ないし平成16年2月分の電気料金については,領収証等の証拠が提出されていないが,継続的契約に係る支払であるから,平均額を考慮し,前月である平成15年11月と同額の1か月6213円で,合計1万8639円であったと認めるのが相当である。
したがって,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,上記電気料金につき,平成15年4月に5655円(≒1万1309円×1/2),平成15年度(同年4月を除く。)に3万7761円(=[5万6883円+1万8639円]×1/2),平成16年度に3万4696円(≒6万9391円×1/2),平成17年度に3万5477円(=7万0954円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 水道料金について
A34議員は,政務調査用事務所の水道料金として,平成15年4月分ないし平成18年3月分の月額1780円を支払った(乙Bモ3の1ないし5,7の1・2,10,12)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,水道料金につき,平成15年4月に890円(=1780円×1/2),平成15年度(同年4月を除く。)に9790円(=1780円×11か月×1/2),平成16年度及び平成17年度に各1万0680円(=1780円×12か月×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
なお,原告らは,水道代が調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記水道代は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(オ) ガス代及び灯油代について
A34議員は,平成17年3月30日,4か月分のガス代及び灯油代1万7000円を支払った(乙Bモ4)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,ガス代及び灯油代につき,平成16年度に8500円(=1万7000円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
なお,原告らは,灯油代が調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記灯油代は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(カ) 固定電話使用料について
A34議員は,①政務調査用事務所の固定電話(0736-〈省略〉),②政務調査用事務所のファックス(0736-〈省略〉),③A34議員の自宅の固定電話(0736-〈省略〉)及び④A34議員の自宅のファックス(0736-〈省略〉)の使用料として,平成15年5月分の①3504円,②1万0083円,③3351円及び④5087円,同年6月分の①3217円,②7716円,④5405円,同年7月分の①3520円,②9030円,③4180円及び④5407円,同年8月分の①3189円,②9565円,③3371円及び④5418円,同年9月分の①3239円,②1万4160円,③4896円及び④5468円,同年10月分の①3243円,②7427円,③3854円及び④5397円,同年11月分の①4305円,②1万9567円,③4933円及び④5405円,同年12月分の①3303円,②1万0892円,③3965円及び④5397円,平成16年1月分の③4040円及び④5436円,同年2月分の①3270円,②1万1024円,③3474円及び④4278円,同年3月分の①3212円,②8560円,③3775円及び④5436円の合計23万9999円を支払った(乙Cモ28の1ないし10,29の1ないし10,30の1ないし10,31の1ないし11,Eモ1)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,上記固定電話等使用料につき,平成15年度(同年4月を除く。)に12万円(≒23万9999円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,固定電話使用料は通信費として事務費に計上されるべきであると主張する。しかし,本件使途基準は使途によって政務調査費を支出できる上限額を定めているわけではなく,計上した使途が誤りであるからといって,政務調査費の支出が違法であるとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,A34議員の政務調査用事務所が,自宅とは別の場所に設置されていたから,自宅の固定電話及びファックスは,専ら私的に利用されたと主張する。しかし,A34議員が使用した自宅の固定電話等の内容に調査研究に関するものが含まれていなかったとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
さらに,原告らは,2回線分の固定電話使用料が,調査研究に係る事務遂行に要する経費として社会通念上相当な範囲を逸脱していると主張する。しかし,上記2回線分の固定電話使用料も,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(キ) 携帯電話使用料について
A34議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成15年5月分の1万7595円,同年6月分の1万6455円,同年7月分の1万4949円,同年8月分の1万6774円,同年9月分の1万5762円,同年10月分の1万5558円,同年11月分の1万8664円,同年12月分の1万9821円,平成16年1月分の1万8581円,同年2月分の1万2198円,同年3月分の1万0773円の合計17万7130円を支払った(乙Cモ32の1ないし11)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A34議員が,携帯電話使用料につき,平成15年度(同年4月を除く。)に3万5426円(=17万7130円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ク) ガソリン代について
a A34議員は,ガソリン代として,平成15年5月9日に6195円(乙Bモ15の2),同年6月5日に6901円(乙Bモ15の5),同月13日に6403円(乙Bモ15の6),同月22日に6180円(乙Bモ15の7),同月22日に5871円(乙Bモ15の11),同年8月18日に6283円(乙Bモ15の14),同月27日に6180円(乙Bモ15の15),同年9月11日に6608円(乙Bモ15の17),同月19日に6230円(乙Bモ15の18),同月24日に6283円(乙Bモ15の19),同月30日に7012円(乙Bモ15の20),同年10月15日に5562円(乙Bモ15の22),同月21日に6283円(乙Bモ15の23),同月26日に6273円(乙Bモ15の24),同年11月3日に6622円(乙Bモ15の25),同月17日に6426円(乙Bモ15の26),同月24日に6663円(乙Bモ15の27),同月28日に5782円(乙Bモ15の28),同年12月5日に6780円(乙Bモ15の29),同月11日に6056円(乙Bモ15の30),同月19日に6283円(乙Bモ15の31),同月23日に6348円(乙Bモ15の32),平成16年1月13日に6907円(乙Bモ15の33),同月17日に5940円(乙Bモ15の34),同月25日に5978円(乙Bモ15の35),同年2月4日に6431円(乙Bモ15の36),同月8日に6237円(乙Bモ15の37),同月16日に5592円(乙Bモ15の38),同月24日に6540円(乙Bモ15の39)の合計18万2849円を支払った。
また,A34議員は,平成16年4月2日に7375円(乙Bモ14の1),同月10日に6812円(乙Bモ14の2),同月16日に7320円(乙Bモ14の3),同月26日に6077円(乙Bモ14の4),同年5月2日に6540円(乙Bモ14の5),同月8日に6322円(乙Bモ14の6),同月18日に6649円(乙Bモ14の7),同月26日に7320円(乙Bモ14の8),同年6月3日に6120円(乙Bモ14の9),同月11日に7328円(乙Bモ14の10),同月16日に7174円(乙Bモ14の11),同月22日に6720円(乙Bモ14の12),同月28日に7749円(乙Bモ14の13),同年7月7日に7198円(乙Bモ14の14),同月14日に7830円(乙Bモ14の15),同月21日に7856円(乙Bモ14の16),同月27日に7198円(乙Bモ14の17),同年8月3日に7560円(乙Bモ14の18),同月9日に6960円(乙Bモ14の19),同月16日に7497円(乙Bモ14の20),同月23日に6728円(乙Bモ14の21),同年9月3日に6723円(乙Bモ14の22),同月8日に7070円(乙Bモ14の23),同月15日に7749円(乙Bモ14の24),同月22日に7552円(乙Bモ14の25),同月29日に7808円(乙Bモ14の26),同年10月7日に6060円(乙Bモ14の27),同月13日に5928円(乙Bモ14の28),同月22日に7569円(乙Bモ14の29),同月28日に6077円(乙Bモ14の30),同年11月4日に7011円(乙Bモ14の31),同月12日に8241円(乙Bモ14の32),同月20日に7380円(乙Bモ14の33),同月26日に6720円(乙Bモ14の34),同年12月1日に6960円(乙Bモ14の35),同月8日に6844円(乙Bモ14の36),同月17日に7076円(乙Bモ14の37),同月23日に6728円(乙Bモ14の38),平成17年1月4日に7375円(乙Bモ14の39),同月11日に7625円(乙Bモ14の40),同月27日に7500円(乙Bモ14の42),同年2月1日に7500円(乙Bモ14の43),同月16日に7750円(乙Bモ14の45)の合計30万5579円を支払った。
そして,A34議員は,平成17年4月7日に4830円(乙Bモ13の1),同月に7200円(乙Bモ13の3),同月に7686円(乙Bモ13の4),同月に7200円(乙Bモ13の5),同月24日に8475円(乙Bモ13の6),同年5月7日に8320円(乙Bモ13の7),同月28日に7410円(乙Bモ13の8),同月に7686円(乙Bモ13の9),同月に7320円(乙Bモ13の10),同月に7198円(乙Bモ13の11),同月15日に8030円(乙Bモ13の12),同年6月11日に7869円(乙Bモ13の13),同月に7500円(乙Bモ13の14),同月22日に6471円(乙Bモ13の15),同年7月6日に8576円(乙Bモ13の16),同月16日に6784円(乙Bモ13の17),同月に7200円(乙Bモ13の18),同月24日に7161円(乙Bモ13の19),同年8月9日に8316円(乙Bモ13の20),同月12日に5649円(乙Bモ13の21),同月19日に6508円(乙Bモ13の22),同月27日に6580円(乙Bモ13の23),同年9月15日に6895円(乙Bモ13の24),同月20日に6179円(乙Bモ13の25),同月に7930円(乙Bモ13の26),同月に8190円(乙Bモ13の27),同年10月16日に5307円(乙Bモ13の28),同月23日に7413円(乙Bモ13の29),同月に7800円(乙Bモ13の30),同月に8060円(乙Bモ13の31),同月に8060円(乙Bモ13の32),同年11月21日に7314円(乙Bモ13の33),同月28日に6210円(乙Bモ13の34),同月に7800円(乙Bモ13の35),同月に7875円(乙Bモ13の36),同年12月5日に7563円(乙Bモ13の37),同月8日に4934円(乙Bモ13の38),同月12日に5319円(乙Bモ13の39),同月15日に7038円(乙Bモ13の40),同月23日に7775円(乙Bモ13の41),同月29日に4145円(乙Bモ13の42),平成18年1月10日に6698円(乙Bモ13の43),同月21日に6475円(乙Bモ13の44),同月に7875円(乙Bモ13の45),同月31日に6131円(乙Bモ13の46),同年2月10日に7043円(乙Bモ13の47),同月16日に6243円(乙Bモ13の48),同月22日に7869円(乙Bモ13の49),同月27日に7827円(乙Bモ13の50),同年3月8日に6869円(乙Bモ13の51),同月11日に8113円(乙Bモ13の52),同月17日に6303円(乙Bモ13の53),同月23日に7847円(乙Bモ13の54),同月に7448円(乙Bモ13の55)の合計38万4517円を支払った。
b A34議員は,平成15年5月1日に60.6リットル(乙Bモ15の1),同月12日に54.5リットル(乙Bモ15の3),同月21日に60.8リットル(乙Bモ15の4),同年6月27日に59リットル(乙Bモ15の8),同年7月12日に52.6リットル(乙Bモ15の9),同月17日に62.7リットル(乙Bモ15の10),同年8月2日に60.5リットル(乙Bモ15の12),同月9日に57.5リットル(乙Bモ15の13),同年9月3日に50.8リットル(乙Bモ15の16),同年10月10日に61.3リットル(乙Bモ15の21)の合計580.3リットルのガソリン代を支払った。
また,A34議員は,平成17年1月20日に61.8リットル(乙Bモ14の41),同年2月5日に61リットル(乙Bモ14の44),同月23日に61リットル(乙Bモ14の46),同年3月2日に59.3リットル(乙Bモ14の47),同月10日に60リットル(乙Bモ14の48),同月16日に47.6リットル(乙Bモ14の49),同月21日に63.5リットル(乙Bモ14の50),同月28日に52リットル(乙Bモ14の51)の合計466.2リットルのガソリン代を支払った。
そして,A34議員は,平成17年4月19日に59.6リットル(乙Bモ13の2)のガソリン代を支払った。
ところで,上記ガソリン代の金額を直接認める証拠はないが,ガソリン1リットルの単価は,少なくとも100円と認めるのが相当であるから,A34議員は,平成15年度(同年4月を除く。)に5万8030円(=100円×580.3リットル),平成16年度に4万6620円(=100円×466.2リットル),平成17年度に5960円(=100円×59.6リットル)を支払ったと認められる。
c そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A34議員が,上記a及びbのガソリン代につき,平成15年度(同年4月を除く。)に4万8176円(≒[18万28490円+5万8030円]×1/5),平成16年度に7万0440円(≒[30万5579円+46620円]×1/5),平成17年度に7万8095円(≒[38万4517円×5960円]×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,ガソリン代の一部の領収証の宛名が「p米穀店」と記載されているから(乙Bモ13の2・7・8・13・16・17・33・34・40,14の1・2・8・9・12・16・18・25・26・28・31ないし33・41・44・46ないし51,15の1・3・4・8ないし10・12・13・16・21・26・27・29・36・39),当該ガソリン代は「p米穀店」の活動に使用されたと主張する。しかし,上記ガソリン代も,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,ガソリン代は交通費として調査研究費に計上されるべきであると主張する。しかし,本件使途基準は使途によって政務調査費を支出できる上限額を定めているわけではなく,計上した使途が誤りであるからといって,政務調査費の支出が違法であるとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
さらに,原告らは,ガソリン代はどのような調査研究のために使用されたか明確ではないから,調査研究以外の活動に使用されたと主張する。しかし,上記a及びbのガソリン代は,自動車の汎用性の高さを考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当といえるから,原告らの上記主張は採用できない。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A34議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費,コピー機及びノートパソコン代並びに切手代については,上記アのとおり他の目的のものが活動していた事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
また,自宅の固定電話使用料については,私的以外に,調査研究にも利用されていたと認められるから(乙Eモ1),社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会,「a党e4協議会」及びA34議員が営んでいたと認められる「p米穀店」(上記イ(ア))の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A34議員は,自宅の固定電話及びファックスの大半を調査研究に利用したと陳述する(乙Eモ1)が,その裏付けはないから,信用できない。
また,被告は,A34議員が,平成16年度に車両整備費14万2850円を支払ったと主張するが,その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費について
A34議員は,平成16年4月30日に看板照明用器具1式(投光器)及びその取付工事の代金12万7050円(乙Cモ16・17),同年5月10日に印章代7000円(乙Cモ18,Eモ1),同年6月21日にテーブルコップ他代3万1000円(乙Cモ19),同年7月14日にラベル用紙代1万8000円,インクジェット用紙代4万0600円,額縁代1万2740円,クリアーブック代8140円,OAペーパー代1万9050円,プリンターのインクカートリッジ代4万2920円,リングファイル代1407円及びそれらの消費税7143円(乙Cモ20・21),同年9月2日に文房具等代1万0102円(乙Cモ22,Eモ1)の合計32万5152円を支払った。
また,A34議員は,平成17年5月30日にコピー用紙他代1万2000円(乙Cモ2),同年9月30日にプリンターのインクカートリッジ代,トナーカートリッジ代及びインクジェット用紙代合計7万9341円(乙Cモ3・4),同年11月30日に文房具等代2万8549円(乙Cモ8,Eモ1),平成18年1月に筆ペン代6000円,「ワッポン」代1800円,マジックペン代2800円,サインペン代1000円,ボールペン代1500円,封筒代2600円,クリアフォルダー代2200円,ポスターカラー代1170円及び消費税953円の合計から23円値引きをした2万円(乙Cモ9・10)の合計13万9890円を支払った。
なお,平成16年4月30日の看板照明用器具1式(投光器)及びその取付工事の代金12万7050円(乙Cモ16・17)は,被告が,政務調査用事務所の看板に設置したものである主張しているところ,その主張は具体的であるから,そのとおり認められる。
また,平成18年1月の「ワッポン」代1800円(乙Cモ9・10)は,支払先が事務機器等を扱う「つつみ文具店」であり,同時に購入したものが文具又は事務用品であることからすれば,文具又は事務用品であると認められる。
しかし,上記支払のうち,平成16年7月14日の額縁代1万2740円(乙Cモ20・21)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,上記額縁代及びその消費税の合計1万3377円に政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に15万5888円(≒[32万5152円-1万3377円]×1/2),平成17年度に6万9945円(=13万9890円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,平成17年9月30日の合計7万9341円が2台のプリンターのインク代であり,プリンターを2台使用するのは不当であると主張するが,上記は,プリンターのインクカートリッジ代,トナーカートリッジ代及びインクジェット用紙代であるから(乙Cモ3,4),採用できない。
また,原告らは,まとめて購入した多額のインクジェット用紙,OAペーパー,インクカートリッジ及びラベル紙(乙Cモ20,21)が調査研究のためのものではないと主張する。しかし,これらの購入費は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) コピー機代及びノートパソコン代について
A34議員は,平成17年10月8日にコピー機代35万円(乙Cモ5,弁論の全趣旨),同年11月16日にノートパソコン代13万0300円(乙Cモ7)の合計48万0300円を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,上記コピー機代等につき,平成17年度に24万0150円(=48万0300円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,コピー機代及びノートパソコン代が政務調査費の支出が許されない高額な備品(乙A3)であると主張するが,その代金として合計48万0300円は社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(エ) 切手代について
A34議員は,平成17年3月23日に切手代1万7350円(乙Cモ11)を支払い,同年5月10日に切手代4万円(乙Cモ1),同年11月10日に切手代8万9000円(乙Cモ6)の合計12万9000円を支払った。
しかし,上記支払のうち,平成17年3月23日の切手代1万7350円(乙Cモ11)については,A34議員が平成16年度の政務調査費を支出していなかったから(乙Eモ1),平成17年度の政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,上記切手代につき,平成17年度に6万4500円(=12万9000円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,まとめて購入した多額の切手代が調査研究に直接必要なものではないと主張する。しかし,上記切手代は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) 固定電話等使用料について
A34議員は,①政務調査用事務所の固定電話(0736-〈省略〉),②政務調査用事務所のファックス(0736-〈省略〉),③A34議員の自宅の固定電話(0736-〈省略〉)及び④A34議員の自宅のファックス(0736-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の①3196円,②9461円,③4157円及び④5414円,同年5月分の①3199円,②6319円,③3315円及び④5250円,同年6月分の①3255円,②7917円,③3337円及び④5260円,同年7月分の①3305円,②1万2553円,③3558円及び④5250円,同年8月分の①3287円,②8897円,③4788円及び④5285円,同年9月分の①3212円,②6447円及び④5267円,同年10月分の①3209円,②8229円,③7895円及び④5257円,同年11月分の①3222円,②6514円,③4175円及び④5278円,同年12月分の①3212円,②6168円,③3373円及び④5258円,平成17年1月分の①3100円,②5410円,④5176円,同年2月分の①2917円,②7754円,④4995円,同年3月分の①2908円,②7552円,④5008円の合計22万8539円を支払い,同年4月分の①2885円,②7981円及び④5005円,同年5月分の①2877円,②1万1997円及び④4858円,同年6月分の①2979円,②7702円及び④4840円,同年7月分の①3010円,②1万4674円及び④4848円,同年8月分の①2877円,②5619円及び④5691円,同年9月分の①2887円,②7786円及び④4840円,同年10月分の①2947円,②6436円及び④4840円,同年11月分の①2885円,②6142円及び④4840円,同年12月分の①2885円,②7466円及び④4840円,平成18年1月分の①2912円,②7134円及び④3206円,同年2月分の①2935円,②5605円及び④1680円,同年3月分の①2894円,②5717円及び④1680円の合計18万0400円を支払った(乙Cモ12の1ないし12,13の1ないし12,14の1ないし12,23の1ないし12,24の1ないし12,25の1ないし8,26の1ないし12,Eモ1)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,上記固定電話等使用料につき,平成16年度に11万4270円(≒22万8539円×1/2),平成17年度に9万0200円(=18万0400円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(カ) 携帯電話使用料について
A34議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の1万3576円,同年5月分の1万1190円,同年6月分の1万1280円,同年7月分の1万2419円,同年8月分の1万7789円,同年9月分の1万3042円,同年10月分の1万3677円,同年11月分の1万2711円,同年12月分の1万1638円,平成17年1月分の1万1940円,同年2月分の1万0270円,同年3月分の9638円の合計14万9170円を支払った。同年4月分の1万5372円,同年5月分の1万5330円,同年6月分の1万0580円,同年7月分の1万1596円,同年8月分の1万3889円,同年9月分の1万5503円,同年10月分の1万0135円,同年11月分の1万3542円,同年12月分の9596円,平成18年1月分の1万3096円,同年2月分の1万5921円,同年3月分の1万4650円の合計15万9210円を支払った(乙Cモ15の1ないし12,27の1ないし10)。
しかし,上記支払のうち,平成18年3月分の1万4650円(乙Cモ5の12)については,被告が主張する平成17年度の携帯電話使用料の合計額及び同年度の事務費の合計額に照らし,同年度の政務調査費の支出対象でなかったから,同年度の政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に2万9834円(=14万9170円×1/5),平成17年度に2万8912円(=[15万9210円-1万4650円]×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A34議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが活動していた事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
a A34議員は,平成15年4月から平成18年3月までの間,業務内容を事務及び調査とし,休日及び賃金額を定めず,B90を必要に応じて随時雇用し,同人に対し,賃金として,平成15年4月20日に10万円,同年5月30日に10万円,同年6月30日に12万円,同年7月30日に12万円,同年8月30日に10万円,同年9月30日に12万円,同年11月30日に10万円,平成16年4月30日に15万円,同年8月30日に15万円,同年9月30日に15万円,同年10月30日に15万円,平成17年4月30日に15万円,同年6月30日に15万円,同年9月30日に10万円,同年10月30日に10万円,同年11月30日に10万円を支払った(乙Dモ1,3,4,7,8,10,14,19ないし21,23,26,28,30,32,36,42)。
しかし,雇用契約書(乙Dモ1)の勤務場所は,政務調査用事務所の場所と異なる「和歌山県橋本市〈以下省略〉」であるから,B90の賃金に,政務調査費を支出することは許されない。
この点,被告は,A34議員の政務調査用事務所が和歌山県橋本市〈以下省略〉にあったなどと主張するが,上記雇用契約書が作成された平成13年4月1日当時,A34議員の政務調査用事務所(和歌山県橋本市〈以下省略〉)の賃貸借契約が締結されており(乙Bモ12),和歌山県橋本市〈以下省略〉にも政務調査用事務所が設置されていたとは認められないから,被告の上記主張は採用できない。
b A34議員は,平成15年5月から平成18年3月までの間,政務調査用事務所において,業務内容を政務調査補助,賃金を時給800円として,B91を雇用し,同人に対し,賃金として,平成15年5月30日に2万5000円,同年10月30日に15万円の合計17万5000円を支払い,平成16年7月14日に9万0400円を支払い,平成17年6月30日に6万0200円,同年8月30日に9万6000円,同年10月30日に9万1000円,同年12月30日に7万6800円,平成18年2月28日に9万6000円の合計42万円を支払った(乙Bモ12,Dモ2,5,6,9,11,12,24,34)。
また,A34議員は,平成15年4月から平成16年6月までの間,政務調査用事務所において,業務内容を政務調査補助,賃金を月額8万円として,A34議員の子の妻であるB92を雇用し,同人に対し,賃金として,平成15年4月ないし平成16年3月の各20日及び同年6月30日にそれぞれ8万円を支払った(乙Dモ13,15,22,25,27,29,31,33,35,37ないし41,Eモ1)。
さらに,A34議員は,B93を雇用して,平成16年7月14日に賃金2万6400円を支払い(乙Dモ17),B94を雇用して,同日に賃金4万8800円を支払った(乙Dモ18)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A34議員が,上記人件費につき,平成15年4月に4万円(=8万円×1/2),平成15年度(同年4月を除く。)に52万7500円(=[17万5000円+8万円×11か月]×1/2),平成16年度に12万2800円(=[9万0400円+8万円+2万6400円+4万8800円]×1/2),平成17年度に21万円(=42万円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,A34議員が被用者を複数雇用する必要性はなかったと主張する。しかし,A34議員が被用者を複数雇用し,賃金を支払ったことは,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の程度で,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A34議員は,事務所費として,平成15年4月に3万3089円,平成15年度(同年4月を除く。)に101万4377円,平成16年度に67万9551円,平成17年度に61万4274円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額合計1万6545円(=1万円+5655円+890円)を超える1万6544円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額合計36万1153円(=11万円+3万7761円+9790円+12万円+3万5426円+4万8176円)を超える65万3224円,平成16年度に支出許容額合計24万4316円(=12万円+3万4696円+1万0680円+8500円+7万0440円)を超える43万5235円,平成17年度に支出許容額合計24万4252円(=12万円+3万5477円+1万0680円+7万8095円)を超える37万0022円を支出した部分は違法である。
(イ) A34議員は,事務費として,平成16年度に84万3345円,平成17年度に72万0976円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計29万9992円(=15万5888円+11万4270円+2万9834円)を超える54万3353円,平成17年度に支出許容額合計49万3707円(=6万9945円+24万0150円+6万4500円+9万0200円+2万8912円)を超える22万7269円を支出した部分は違法である。
(ウ) A34議員は,人件費として,平成15年4月に18万円,平成15年度(同年4月を除く。)に171万5000円,平成16年度に107万5600円,平成17年度に68万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額4万円を超える14万円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額52万7500円を超える118万7500円,平成16年度に支出許容額12万2800円を超える95万2800円,平成17年度に支出許容額21万円を超える47万円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A34議員に対し,平成15年4月分合計15万6544円(=1万6544円+14万円),平成15年度(同年4月を除く。)分合計184万0724円(=65万3224円+118万7500円),平成16年度分合計193万1388円(=43万5235円+54万3353円+95万2800円),平成17年度分合計106万7291円(37万0022円+22万7269円+47万円)の総合計499万5947円の不当利得の返還を請求するべきである。
(35)  補助参加人Z4
ア 事務所の設置状況等について
補助参加人Z4の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会と併設されていた(甲A3,5の3,丙Bヤ1,Eヤ1)。
この点,補助参加人Z4は,後援会の活動はそのほとんどが政務調査用事務所外で行われており,政務調査用事務所内では幹事会や世話人会が年に10ないし15回程度行われるだけであったから,後援会の活動が政務調査用事務所における活動の3割に及ぶことはなかったと陳述する(丙Eヤ1)。しかし,その裏付けはないから,補助参加人Z4の上記陳述は信用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
補助参加人Z4の政務調査用事務所の賃料等については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務所賃料について
補助参加人Z4は,平成16年4月から平成18年3月までの間,ワシン建設株式会社から,和歌山市〈以下省略〉所在の建物を賃料月額10万円で政務調査用事務所として賃借し,平成16年4月分ないし平成18年3月分の賃料月額10万円を支払った(丙Bヤ1,Eヤ1,弁論の全趣旨)。
なお,賃貸借契約書(丙Bヤ1)の第2条では,建物の使用目的が住居に制限されているが,第1条では,物件の種別が「事務所」と手書きで記載されているから,第2条は,上記建物が政務調査用事務所であることを妨げるものとはいえない。
そして,補助参加人Z4は,後援会の「事務所費」としても,平成16年度に70万1348円,平成17年度に36万円を支出した(甲ヤ6,7,丙Bヤ6)。
したがって,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,補助参加人Z4が,政務調査用事務所の賃料につき,平成16年度に49万8652円(=10万円×12か月×1/2+[10万円×12か月×1/2-70万1348円]),平成17年度に60万円(=10万円×12か月×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,後援会が平成17年及び平成18年の収支報告書(甲ヤ7,8)に当初計上していた事務所費132万円が,政務調査用事務所及び駐車場の賃料1年分の合計額と一致するから(丙Bヤ1ないし5),後援会が支払っていた経費に政務調査費を支出することは許されないなどと主張する。しかし,補助参加人Z4は,平成16年度にも政務調査用事務所を賃借して賃料を支払っていたところ,上記のとおり,後援会が収支報告書に計上している事務所費は70万1348円であるから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,提出された賃貸借契約書(丙Bヤ1)の期間が平成17年1月1日から平成18年12月31日までであるから,平成17年1月1日以前に政務調査用事務所は設置されていなかったと主張する。しかし,補助参加人Z4は,賃貸借契約を2年ごとに更新する際,従前の賃貸借契約書を破棄していたと陳述するところ(丙Eヤ1),その陳述は不自然ではないから,信用できる。また,補助参加人Z4は,遅くとも平成16年4月から政務調査用事務所の近くに駐車場を賃借していたから(丙Bヤ2ないし4),これと同時期に上記政務調査用事務所も賃借していたと認められる。したがって,原告らの上記主張は採用できない。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
補助参加人Z4の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたところ,補助参加人Z4が後援会の「備品・消耗品費」としても,平成16年度に15万5980円,平成17年度に9万0180円を支出した(甲ヤ6,7)。
したがって,後述する事務用品・備品購入費に,上記後援会の「備品・消耗品費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
また,政務調査用事務所の固定電話使用料及びホームページ関係費用については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,自宅の固定電話使用料については,私的以外に,調査研究にも利用されていたと認められるから(丙Eヤ1),社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会の活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,補助参加人Z4は,政務調査用事務所の固定電話を調査研究以外に3割しか使用しなかったこと,携帯電話を調査研究以外に使用しなかったことを陳述(丙Eヤ1)するが,その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費について
補助参加人Z4は,平成16年4月27日に「文房創庫オーヤマ」に対して4129円(丙Cヤ30),同年7月5日に「徳美堂印舗」に対して1万6700円(丙Cヤ31),同年11月19日に「文房創庫オーヤマ」に対して梱包用品1416円,事務用品1249円及び収録用品472円(丙Cヤ32)の合計2万3966円を支払った。
また,補助参加人Z4は,平成17年5月10日に「徳美堂印舗」に対して2万9500円(丙Cヤ33),同年11月30日に「株式会社和歌山印刷所」に対して8万7000円(丙Cヤ34),平成18年1月29日に「徳美堂印舗」に対して2万2900円(丙Cヤ35)の合計13万9400円を支払った。
なお,「文房創庫オーヤマ」に対する平成16年4月27日の4129円(丙Cヤ30),同年11月19日の梱包用品1416円,事務用品1249円及び収録用品472円(丙Cヤ32)は,支払先及び支払額等からすれば,事務用品又は文具の代金であると認められる。
また,「徳美堂印舗」に対する平成17年5月10日の2万9500円(丙Cヤ33),平成18年1月29日の2万2900円(丙Cヤ35)は,支払先及び支払額からすれば,印鑑関係費用であると認められる。
さらに,平成17年11月30日の「株式会社和歌山印刷所」に対する8万7000円(丙Cヤ34)は,補助参加人Z4が,事務所の封筒及び罫紙の印刷費であると陳述するところ(丙Eヤ1),支払先からすれば,そのとおり認められる。
しかし,上記支払のうち,平成16年7月5日の「徳美堂印舗」に対する1万6700円(丙Cヤ31)は,後援会の平成16年度収支報告書(甲ヤ6)によれば,同年度の政治活動費のうち,宣伝事業費(印刷費)中の文書印刷費として支出されたと認められるから,政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年度につき15万5980円を加えて2分の1,平成17年度につき9万0180円を加えて2分の1),補助参加人Z4が,上記事務用品・備品購入費につき,平成16年度に8万1623円(=[2万3966円-1万6700円+15万5980円]×1/2),平成17年度に11万4790円(=[13万9400円+9万0180円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) ホームページ関係費用について
補助参加人Z4は,上新保行に対し,平成17年4月30日に「ホームページ用版下原稿料」6万6500円,同年12月10日に「ホームページ用更新原稿料」3万8000円の合計10万4500円を支払った(丙Cヤ28,29)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,補助参加人Z4が,上記ホームページ関係費用につき,平成17年度に5万2250円(=10万4500円×1/2)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
なお,原告らは,ホームページが,内容の如何を問わず,ほとんど政治活動のためのものであるなどと主張するが,上記ホームページ関係費用は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(エ) 固定電話使用料について
補助参加人Z4は,政務調査用事務所の固定電話使用料(①073-〈省略〉,②073-〈省略〉)として,平成16年4月分の①1万1059円及び②3385円,同年5月分の①1万8406円及び②3350円,同年6月分の①1万5337円及び②3181円,同年7月分の①1万4997円及び②3232円,同年8月分の①1万4201円及び②3353円,同年9月分の①2万3607円及び②3296円,同年10月分の①1万3016円及び②6164円,同年11月分の①1万5708円及び②3211円,同年12月分の①1万1083円及び②3122円,平成17年1月分の①8252円及び②3235円,同年2月分の①1万8485円及び②2650円,同年3月分の①9347円及び②2744円の合計21万4421円を支払い,同年4月分の①1万8633円及び②2887円,同年5月分の①1万1319円及び②2865円,同年6月分の①1万1792円及び②2733円,同年7月分の①7657円及び②2687円,同年8月分の①7281円及び②2661円,同年9月分の①7281円及び②2661円,同年10月分の①7875円及び②5294円,同年11月分の①7792円及び②3785円,同年12月分の①9757円及び②2609円,平成18年1月分の①1万3376円及び②2618円,同年2月分の①1万2029円及び②3791円,同年3月分の①9518円及び②2644円の合計16万1545円を支払った(丙Cヤ17ないし27)。
また,補助参加人Z4は,自宅の固定電話(073-〈省略〉)使用料として,平成16年4月分の4725円,同年5月分の4516円,同年6月分の4338円,同年7月分の4123円,同年8月分の4141円,同年9月分の4210円,同年10月分の5333円,同年11月分の7204円,同年12月分の5023円,平成17年1月分の4668円,同年2月分の5989円,同年3月分の5459円の合計5万9729円を支払い,同年4月分の5515円,同年5月分の4454円,同年6月分の4454円,同年7月分の5054円,同年8月分の5546円,同年9月分の6609円,同年10月分の4983円,同年11月分の4565円,同年12月分の5245円,平成18年1月分の6734円,同年2月分の5494円,同年3月分の5950円の合計6万4603円を支払った(丙Cヤ4ないし16)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,補助参加人Z4が,上記固定電話使用料につき,平成16年度に13万7075円(=[21万4421円+5万9729円]×1/2),平成17年度に11万3074円(=[16万1545円+6万4603円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,2回線分の固定電話使用料が,調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当な範囲を逸脱しているし,後援会のものである(甲ヤ6ないし8)と主張する。しかし,上記2回線分の固定電話使用料も,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
また,原告らは,補助参加人Z4の政務調査用事務所が,自宅とは別の場所に設置されていたから,自宅の固定電話は,専ら私的に利用されたと主張する。しかし,補助参加人Z4が使用した自宅の固定電話の内容に調査研究に関するものが含まれていなかったとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
(オ) 携帯電話使用料について
補助参加人Z4は,携帯電話(090-〈省略〉)使用料として,平成16年4月分の1万1348円,同年5月分の1万4429円,同年6月分の1万3969円,同年7月分の1万3253円,同年8月分の1万3557円,同年9月分の1万0508円,同年10月分の1万0970円,同年11月分の1万3029円,同年12月分の1万0761円,平成17年1月分の1万1667円,同年2月分の1万8861円,同年3月分の1万1803円の合計15万4155円を支払い,同年4月分の1万2245円,同年5月分の1万2204円,同年6月分の1万3594円,同年7月分の1万4024円,同年8月分の1万5130円,同年9月分の1万6614円,同年10月分の1万4357円,同年11月分の1万0806円,同年12月分の1万3996円,平成18年1月分の1万4535円,同年2月分の1万0376円,同年3月分の9317円の合計15万7198円を支払った(丙Cヤ1ないし3)。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,補助参加人Z4が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に5万1385円(=15万4155円×1/3),平成17年度に5万2399円(≒15万7198円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
補助参加人Z4の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,補助参加人Z4は,被用者が,調査研究以外に従事したことはなかったと主張するが,その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 人件費の支出等について
補助参加人Z4は,平成16年1月から平成18年3月までの間,政務調査用事務所において,業務内容を一般事務とし,賃金額を定めず,補助参加人Z4の妻であるB95を雇用し,同人に対し,平成16年1月分の賃金として6万1000円,同年2月分の賃金として5万1400円,同年3月分の賃金として6万1000円の合計17万3400円を支払い,同年4月分の賃金として5万9500円,同年5月分の賃金として6万1000円,同年6月分の賃金として5万9500円,同年7月分の賃金として6万1400円,同年8月分の賃金として6万1400円,同年9月分の賃金として6万1400円,同年10月分の賃金として5万1000円,同年11月分の賃金として6万1400円,同年12月分の賃金として5万4000円,平成17年1月分の賃金として6万1000円,同年2月分の賃金として5万4000円,同年3月分の賃金として5万1000円の合計69万6600円を支払い,同年4月分の賃金として5万1000円,同年5月分の賃金として6万1400円,同年6月分の賃金として4万5000円,同年7月分の賃金として5万4000円,同年8月分の賃金として4万5000円,同年9月分の賃金として4万5000円,同年10月分の賃金として5万1000円,同年11月分の賃金として4万5000円,同年12月分の賃金として5万1000円,平成18年1月分の賃金として5万4000円,同年2月分の賃金として5万1000円,同年3月分の賃金として6万1000円の合計61万4400円を支払った(丙Dヤ1ないし28,Eヤ1,弁論の全趣旨)。
また,補助参加人Z4は,平成15年4月から同年12月までの間,政務調査用事務所において,業務内容を事務とし,賃金額を定めず,B96を雇用し,同人に対し,平成15年4月分の賃金として5万1500円を支払い,同年5月分の賃金として6万9000円,同年6月分の賃金として4万5000円,同年7月分の賃金として6万1400円,同年8月分の賃金として5万9500円,同年9月分の賃金として5万1000円,同年10月分の賃金として5万9500円,同年11月分の賃金として6万9000円,同年12月分の賃金として6万9000円の合計48万3400円を支払った(丙Dヤ29ないし38,Eヤ1,弁論の全趣旨)。
さらに,補助参加人Z4は,平成15年6月から同年12月までの間及び平成16年4月から同年6月までの間,B97を雇用し,同人に対し,平成15年6月分の賃金として4万5500円,同年7月分の賃金として4万5500円,同年8月分の賃金として4万3000円,同年9月分の賃金として4万5500円,同年10月分の賃金として4万5500円,同年11月分の賃金として4万5500円,同年12月分の賃金として4万7500円の合計31万8000円を支払い,平成16年4月分の賃金として5万5000円,同年5月分の賃金として6万1000円,同年6月分の賃金として4万5000円の合計16万1000円を支払った(丙Dヤ39,Eヤ1,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,補助参加人Z4が,上記人件費につき,平成15年4月に2万5750円(5万1500円×1/2),平成15年度(同年4月を除く。)に48万7400円(=[17万3400円+48万3400円+31万8000円]×1/2),平成16年度に42万8800円(=[69万6600円+16万1000円]×1/2),平成17年度に30万7200円(=61万4400円×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,補助参加人Z4は,平成15年5月,B98を雇用し,同人に対し,同月分の賃金として2万9700円を支払ったと陳述するが(丙Dヤ50,Eヤ1),領収証に賃金であることを示す記載はなく,雇用契約書もないから,信用できない。
また,補助参加人Z4は,平成16年6月1日,B97に対し,賃金として6400円を支払ったと主張するが(丙Dヤ49),同年5月分及び6月分の賃金は別途支払われていたから(丙Dヤ47,48),採用できない。
オ まとめ
(ア) 補助参加人Z4は,事務所費として,平成16年度に60万3780円,平成17年度に84万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額49万8652円を超える10万5128円,平成17年度に支出許容額60万円を超える24万円を支出した部分は違法である。
(イ) 補助参加人Z4は,事務費として,平成16年度に9万1220円の政務調査費を支出したところ(別紙1),支出許容額合計27万0083円(=8万1623円+13万7075円+5万1385円)を超える違法支出はない。
ところで,補助参加人Z4は,平成17年度につき,事務所費として120万円,事務費として10万6000円の政務調査費を支出したと報告していたところ,事務所費を36万円減額し,事務費を38万7836円増額して,それぞれ修正報告(84万円,49万3836円)をしたから(別紙2),その差額2万7836円(=38万7836円-36万円)に政務調査費を支出することは許されない。したがって,補助参加人Z4は,事務費として,平成17年度に49万3836円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成17年度に支出許容額合計33万2513円(=11万4790円+5万2250円+11万3074円+5万2399円)を超える16万1323円を支出した部分は違法である。
(ウ) 補助参加人Z4は,人件費として,平成15年4月に5万1500円,平成15年度(同年4月を除く。)に100万4500円,平成16年度に86万4000円,平成17年度に61万4400円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額2万5750円を超える2万5750円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額48万7400円を超える51万7100円,平成16年度に支出許容額42万8800円を超える43万5200円,平成17年度に支出許容額30万7200円を超える30万7200円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,補助参加人Z4に対し,平成15年4月分2万5750円,平成15年度(同年4月を除く。)分51万7100円,平成16年度分合計54万0328円(=10万5128円+43万5200円),平成17年度分合計70万8523円(=24万円+16万1323円+30万7200円)の総合計179万1701円の不当利得の返還を請求するべきである。
(36)  A35議員
ア 事務所の設置状況等について
A35議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会と併設されていた(甲A3,乙Cユ41の2,Eユ1)。
なお,A35議員の後援会は,自宅に設置されていたと届出されているが(甲A5の3),A35議員は,政務調査用事務所に併設されていたと陳述するから(乙Eユ1),そのとおり認められる。
この点,A35議員は,調査研究以外に政務調査用事務所の活動がほとんどなかったと陳述するが(乙Eユ1),その裏付けはないから,信用できない。
イ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A35議員の政務調査用事務所の消耗品代及び備品代については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたところ,A35議員は,後援会の「備品・消耗品費」としても,平成16年に12万6907円,平成17年に50万5715円を支出した(甲ユ4,乙Cユ42)。
したがって,後述する消耗品代及び備品代に,上記後援会の「備品・消耗品費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
また,はがき代については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会の活動や,私的にも利用されていたと認められるから,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
そして,「A35の県議会報告」の後納郵便料金(乙Cユ41の1・2)については,「A35の県議会報告」に占める選挙活動及び後援会活動に関する内容の割合からすれば,社会通念上相当な按分割合として,その4分の3を超えて政務調査費を支出した部分は違法とするのが相当である。
この点,A35議員は,後援会が,上記事務所の事務所費及び人件費を支出していたから,事務費の按分は必要がないと陳述するが(乙Eユ1),不当利得を問われているのは,調査研究に資するため必要とはいえない経費に政務調査費を支出したことであって,上限額に満つる政務調査費の支出が許される経費が存在したことではないから,採用できない。
また,A35議員は,後援会も上記「A35の県議会報告」の郵送費を「機関紙誌の発行事業費」として支出していたから,上記「A35の県議会報告」の後納郵便料金の按分は必要がないと陳述するが(乙Cユ42,Eユ1),上記「機関紙誌の発行事業費」の内容は明らかでないから,採用できない。
他方,原告らは,「A35の県議会報告」が後援会によって発行されたことなどから,後納郵便料金に政務調査費を支出することは許されないと主張する。しかし,上記後納郵便料金は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(イ) 消耗品代及び備品代について
A35議員は,平成16年4月29日に事務用品及びLANケーブル等代1万5350円(乙Cユ14),同月30日に「八千代ムセン電機株式会社」に対して事務用品代1万0660円(乙Cユ15),同日に「Joshin」に対して「通信関連商品」代3440円,「電話関連アクセ」代710円及びパソコン付属品代1200円(乙Cユ16),同年5月1日にモール代588円,ケーブルステップル代168円,コーナーコードキャッチ代304円及び配線用小物代493円(乙Cユ17),同日に「Joshin」に対して事務用品代7060円(乙Cユ18),同日に「Joshin」に対して事務用品代6210円(乙Cユ19),同月2日に「I.LINKケーブル」他事務器代1万1592円(乙Cユ20),同月4日にDVD-RW代5580円(乙Cユ21),同月6日にプロジェクターコード代9429円(乙Cユ22),同年6月21日にインク代5810円(乙Cユ23),同年7月6日にノートパソコンのメモリ代1万5500円(乙Cユ24),同年8月3日に「Joshin」に対して事務用品代3360円(乙Cユ25),同月8日にプリンターインク代3450円(乙Cユ26),同年10月26日にビデオテープ代3320円(乙Cユ27),同年11月23日にプリンター及び用紙代3万2000円(乙Cユ28),同月25日にMOカートリッジ代2万8000円(乙Cユ29),同月29日に文具代1732円(乙Cユ30),同年12月12日にDVD-R代880円(乙Cユ31),平成17年2月21日に「ケーズデンキ」に対して7937円(乙Cユ33),同年3月5日にプリンターインク代6720円(乙Cユ34),同月18日に外付けハードディスク代2万0500円(乙Cユ35),同月27日にパソコンソフト代1万5100円(乙Cユ36)の合計21万7093円を支払った。
また,A35議員は,平成17年5月3日に「Joshin」に対して2950円(乙Cユ1),同月6日に翻訳機代3791円(乙Cユ40),同月18日に文房具代378円,113円及び567円(乙Cユ2,弁論の全趣旨),同月20日に文房具代470円(乙Cユ3,弁論の全趣旨),同月21日に「Joshin」に対して事務器代6499円(乙Cユ4),同年8月19日に「日本ネットサービス株式会社」に対して機器代3223円(乙Cユ5),同年9月20日に「デル株式会社」に対してノートパソコン代16万5131円(乙Cユ6,Eユ1,弁論の全趣旨),同年10月3日に「Joshin」に対して「移動体通信関連 RBSHS42」代672円,「移動体通信関連 ST160R」代798円及び「OAサプライ SZC-T003-BK」代1980円(乙Cユ7),同月6日に充電池代1254円(乙Cユ8),同月27日に「Joshin」に対して使途不明の1180円及び「OAサプライ 51131」代1530円(乙Cユ9),同年11月5日にプリンターインク代及び用紙代1万5224円(乙Cユ10),平成18年1月23日に用紙代736円,プリンターインク代6800円(乙Cユ11)の合計21万3296円を支払った。
なお,被告は,平成16年4月30日の「八千代ムセン電機株式会社」に対する事務用品代1万0660円(乙Cユ15)がスキャナー代,同日の「Joshin」に対する「通信関連商品」代3410円,「電話関連アクセ」代710円及びパソコン付属品代1200円(乙Cユ16)が電話配線,電話二股モジュール及び写真印刷紙代,同年5月1日の「Joshin」に対する事務用品代7060円及び6210円(乙Cユ18,19)がインクジェットプリンター用インク代及び外付けハードディスク代,同年8月3日の「Joshin」に対する事務用品代3360円(乙Cユ25)がUSBメモリー代,平成17年2月21日の「ケーズデンキ」に対する7937円(乙Cユ33)がインクジェットプリンター用インク代,同年5月3日の「Joshin」に対する2950円(乙Cユ1)がパソコンマウス代,同月21日の「Joshin」に対する事務器代6499円(乙Cユ4)がキーボード代,同年8月19日の「日本ネットサービス株式会社」に対する機器代3223円(乙Cユ5)がUSBハブ代,同年10月3日の「Joshin」に対する「移動体通信関連 RBSHS42」代672円,「移動体通信関連 ST160R」代798円及び「OAサプライ SZC-T003-BK」代1980円(乙Cユ7)がLANケーブル及びマウスパッド代,同月27日の「Joshin」に対する使途不明の1180円及び「OAサプライ 51131」代1530円(乙Cユ9)がインクジェット用紙代であると主張するところ,支払先,支払額及び品名等からすれば,そのとおり認められる。
しかし,上記支出のうち,平成17年5月6日の翻訳機代3791円(乙Cユ40)については,政務調査費収支報告書(甲ユ1)記載の事務費額,被告主張の事務費額及びその内訳に照らし,A35議員が政務調査費を支出していなかったと認められるから,平成17年度の政務調査費を支出することは許されない。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年度につき12万6907円を加えて2分の1,平成17年度につき50万5715円を加えて2分の1)のとおり,A35議員が,上記消耗品代及び備品代につき,平成16年度に17万2000円(=[21万7093円+12万6907円]×1/2),平成17年度に35万7610円(=[21万3296円-3791円+50万5715円]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,LANケーブル(乙Cユ14),DVD-RW(乙Cユ21),ノートパソコンのメモリ512Mb(乙Cユ24),ビデオテープ(乙Cユ27)及びMOカートリッジ(乙Cユ29)が,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,これらの購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
(ウ) はがき代について
A35議員は,平成17年1月7日,はがき代5万2500円を支払った(乙Cユ32)。
そして,上記(ア)の按分割合(2分の1)のとおり,A35議員が,上記はがき代につき,平成16年度に2万6250円を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,まとめて購入した多額のはがき代が調査研究のためのものではないと主張する。しかし,上記はがき代は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
(エ) 携帯電話使用料について
A35議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分ないし平成17年3月分の合計31万2783円(乙Cユ38,39),平成17年4月分ないし平成18年3月分の合計28万1903円(乙Cユ13)を支払った。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A35議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に10万4261円(=31万2783円×1/3),平成17年度に9万3968円(≒9万3968円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A35議員は,携帯電話を調査研究用と後援会用及び私用とに使い分けて,調査研究用の携帯電話使用料にのみ政務調査費を支出したと陳述するが(乙Eユ1),その裏付けはないから,信用できない。
(オ) 「A35の県議会報告」の後納郵便料金について
A35議員は,後納郵便料金として,平成16年11月利用分の41万1882円,平成17年8月利用分の37万8827円,同年11月利用分の41万7430円の合計79万6257円を支払った(乙Cユ12)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の3)のとおり,A35議員が,上記後納郵便料金につき,平成16年度に30万8912円(=41万1882円×3/4),平成17年度に59万7193円(=79万6257円×3/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ まとめ
(ア) A35議員は,事務費として,平成16年度に99万4258円,平成17年度に128万7665円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計61万1423円(=17万2000円+2万6250円+10万4261円+30万8912円)を超える38万2835円,平成17年度に支出許容額合計104万8771円(35万7610円+9万3968円+59万7193円)を超える23万8894円を支出した部分は違法である。
(イ) よって,被告は,A35議員に対し,平成16年度分38万2835円,平成17年度分23万8894円の合計62万1729円の不当利得の返還を請求するべきである。
(37)  A36議員
ア 事務所の設置状況等について
A36議員の政務調査用事務所(平成16年4月に和歌山市〈以下省略〉から同市〈以下省略〉に移転)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会及び「a党a16支部」と併設されていた(甲A5の2・3,乙Bヨ1の1,Eヨ1,弁論の全趣旨)。
なお,A36議員の後援会は,自宅に設置されていたと届出されているが(甲A5の3),A36議員は,政務調査用事務所に併設されていたと陳述するから(乙Eユ1),そのとおり認められる。
また,同議員の政治団体「d20会」は,自宅に設置されていた(甲A5の3,乙Eヨ1)。
この点,A36議員は,「a党a16支部」の活動実体はなかったと陳述するが(乙Eヨ1),その裏付けはないから,信用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A36議員の事務所費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるところ,A36議員は,後援会の「事務所費」としても,平成16年度に253万9355円,平成17年度に251万8355円,「光熱水費」としても,平成16年度に20万6986円,平成17年度に35万6058円を支出した(甲ヨ3の1・2)。
したがって,後述する事務所費に,上記後援会の「光熱水費」及び「事務所費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
(イ) 事務所賃料及び駐車場代について
後援会は,平成16年4月から平成18年3月までの間,d21会から,後援会事務所として,和歌山市〈以下省略〉所在の建物を賃料月額5万円で賃借し,平成16年4月分ないし平成18年3月分の賃料として月額5万円を支払った(乙Bヨ1の1ないし3,2,弁論の全趣旨)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成16年度につき253万9355円を加えて3分の1,平成17年度につき251万8355円を加えて3分の1)のとおり,A36議員が,上記事務所賃料につき,平成16年度に104万6452円(≒[5万円×12か月+253万9355円]×1/3),平成17年度に103万9452円(≒[5万円×12か月+251万8355円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A36議員は,駐車場代として,平成16年度に4万9380円,平成17年度に2万9471円を支払ったと陳述するが(乙Eヨ1),その裏付けはないから,信用できない。
他方,原告らは,賃借人が後援会であるから,上記事務所賃料に政務調査費を支出することは許されないと主張するが,上記(ア)のとおり,上記建物に後援会事務所と政務調査用事務所が併設されていたから,採用できない。
(ウ) 光熱水費について
a 電気料金について
A36議員は,①政務調査用事務所の電気料金として,平成16年4月分の6351円,同年5月分の4093円,同年6月分の3802円,同年8月分の5162円,同年9月分の4516円,同年10月分の4092円,同年11月分の2622円,同年12月分の3749円,平成17年1月分の6229円,同年2月分の1万0368円,同年3月分の7464円の合計5万8448円を支払い,同年4月分の6146円,同年5月分の3355円,同年6月分の1944円,同年7月分の3238円,同年8月分の3846円,同年9月分の4360円,同年10月分の4024円,同年11月分の3057円,同年12月分の4236円,平成18年1月分の6551円,同年2月分の8475円,同年3月分の7715円を支払った(乙Bヨ3の1・2・4・6ないし12,6の1ないし12)。
また,A36議員は,②電気料金として,平成16年5月分の1492円,同年6月分の2388円の合計3880円を支払った(乙Bヨ3の3・5)。
なお,上記②の電気料金は,上記アのとおり,平成16年4月に事務所が移転したため,上記①の電気料金の平成16年5月分及び同年6月分と重複が生じたものと認められる。
しかし,上記支払のうち,平成17年度の電気料金については,A36議員が政務調査費を支出していなかったから(乙Eヨ1),平成17年度の政務調査費を支出することは許されない。
b ガス料金について
A36議員は,ガス料金として,平成16年8月分の3000円,平成16年9月分の1440円,同年10月分の1440円,同年11月分の1440円,平成17年1月分の3120円,同年2月分の1600円,同年3月分の1520円の合計1万3560円を支払い,同年4月分の1520円,同年5月分の1480円,同年6月分の1440円,同年7月分の1440円,同年8月分の1440円,同年9月分の1440円,同年10月分の1440円,同年11月分の1680円,同年12月分の1720円,平成18年1月分の1800円,同年2月分の1800円,同年3月分の1720円を支払った(乙Bヨ5の1ないし5,8の1ないし12)。
しかし,上記支払のうち,平成17年度のガス料金については,A36議員が政務調査費を支出していなかったから(乙Eヨ1),平成17年度の政務調査費を支出することは許されない。
他方,原告らは,ガス料金が調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記平成16年度のガス料金は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
c 水道料金について
A36議員は,①水道料金として,平成16年4月及び同年5月分の2247円,同年6月分及び同年7月分の1554円,同年8月分及び同年9月分の1680円,同年10月分及び同年11月分の1512円,同年12月分及び平成17年1月分の1554円,同年2月分及び同年3月分の1533円の合計1万0080円を支払い,同年4月分及び同年5月分の1533円,同年6月分及び同年7月分の1533円,同年8月分及び同年9月分の1554円,同年10月分及び同年11月分の1533円,同年12月分及び平成18年1月分の1512円,同年2月分及び同年3月分の1533円を支払った(乙Bヨ4の2ないし6,7の1ないし5)。
また,A36議員は,②上水道及び下水道料金として,平成16年4月分及び同年5月分の4872円を支払った(乙Bヨ4の1)。
なお,上記②の上水道及び下水道料金は,上記アのとおり,平成16年4月に事務所が移転したため,上記①の水道料金の平成16年5月分及び同年6月分と重複が生じたものと認められる。
しかし,上記支払のうち,平成17年度の水道料金については,A36議員が政務調査費を支出していなかったから(乙Eヨ1),平成17年度の政務調査費を支出することは許されない。
他方,原告らは,水道料金が調査研究に直接必要なものではないと主張するが,平成16年度の水道料金は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
d 按分等について
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき20万6986円を加えて3分の1)のとおり,A36議員が,上記電気料金,ガス料金及び水道料金につき,平成16年度に9万9275円(≒[5万8448円+3880円+1万3560円+1万0080円+4872円+20万6986円]×1/3)を超えて政務調査費を支出した部分は違法であり,平成17年度に政務調査費を支出したことは違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A36議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費,文具代,切手代等,固定電話使用料及びファックス使用料については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたところ,A36議員は,後援会の「備品・消耗品費」としても,平成16年度に111万8497円,平成17年度に100万5658円を支出した(甲ヨ3の1・2)。
したがって,後述する事務用品・備品購入費,文具代,切手代等,固定電話使用料及びファックス使用料に,上記後援会の「備品・消耗品費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
また,携帯電話使用料,携帯電話機代及びインスタントカメラ代については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会,「a党a16支部」,「d20会」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務用品・備品購入費,文具代,切手代等,固定電話使用料及びファックス使用料について
a 事務用品・備品購入費について
(a) A36議員は,平成16年4月17日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して「ソノタ」代913円(乙Cヨ6の1),同日に「ドラッグ エバグリーン」に対して8297円(乙Cヨ6の2),同月21日にトイレ用消臭剤代288円(乙Cヨ6の3),同日に「オークワ」に対して雑貨代315円(乙Cヨ6の4),同月22日に「ホワイトボード」代198円及び替え芯代50円(乙Cヨ6の5),同日に雑貨代210円(乙Cヨ6の6),同日にスペアキー代734円(乙Cヨ6の7),同年5月6日にホース代4032円及び除草剤代627円(乙Cヨ6の8,弁論の全趣旨),同月16日に「スーパーエバグリーン」に対して1万1169円(乙Cヨ6の11),同月24日に「アガチス」代1406円(乙Cヨ6の13),同月27日にトイレ用消臭剤代238円及びアリ用殺虫剤代368円(乙Cヨ6の14),同年6月4日に軍手代312円(乙Cヨ6の16),同月7日に「ドラッグ エバグリーン」に対して8837円(乙Cヨ6の17),同年7月7日に除草剤代680円(乙Cヨ6の20,弁論の全趣旨),同月23日に「エバグリーン」に対して5943円(乙Cヨ6の21),同年8月6日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して紙製品代850円(乙Cヨ6の23),同日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して紙製品代1086円(乙Cヨ6の24),同月16日に「エバグリーン」に対して5453円(乙Cヨ6の25),同月20日に同月分及び同年9月分のNHK放送受信料2790円(乙Cヨ6の26),同年11月8日に同年10月分及び同年11月分のNHK放送受信料2790円(乙Cヨ6の30),同年11月11日に「スーパーエバグリーン」に対して2916円(乙Cヨ6の31),同年12月1日に「ジップ・ドラッグ東洋」に対して9946円(乙Cヨ6の33),同日に「スーパーエバグリーン」に対して7110円(乙Cヨ6の34),同月9日に「コーナン商事株式会社」に対して3980円(乙Cヨ6の36),同月13日にセロテープ代98円,のり代587円及び修正テープ代228円(乙Cヨ6の37),同月14日に「100円ショップシルク」に対して420円(乙Cヨ6の39),同月15日に「トウキョウオリキンギン7ホンタンザクイリ」代274円及び「オオサカオリアカシロ7ホンタンザクイリ」代210円(乙Cヨ6の40),同月16日に「100円ショップシルク」に対して105円(乙Cヨ6の41),平成17年1月ころにパソコン関連備品代810円及びインクリボン代2320円(乙Cヨ6の43,弁論の全趣旨),平成17年1月12日にシュレッダー代2万2000円(乙Cヨ6の44),同月13日に領収書用紙代654円(乙Cヨ6の45),同月14日に「エバグリーン」に対して1万2279円(乙Cヨ6の46),同月26日にインクカートリッジ代1260円(乙Cヨ6の47),同年2月18日にポケットラジオ代2079円(乙Cヨ6の50),同年3月9日に「コーナン商事株式会社」に対して4366円(乙Cヨ6の51),同月14日に「スーパーエバグリーン」に対して2977円(乙Cヨ6の52),同月30日に色紙代776円(乙Cヨ6の55)の合計13万2981円を支払った。
また,A36議員は,平成17年4月8日に「スーパーエバグリーン」に対して5427円(乙Cヨ1の1),同月9日にローソンに対して1万円(乙Cヨ1の3),同月26日に「オークワ」に対して雑貨代210円(乙Cヨ1の5),同年5月10日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して210円(乙Cヨ1の7),同月11日に職員録6冊の代金5400円(乙Cヨ1の8・9),同月12日に「和歌山リコー株式会社」に対して5712円(乙Cヨ1の10),同月23日に「株式会社リカーショップゴワ」に対して6153円(乙Cヨ1の11),同月28日にローソンに対して1万円(乙Cヨ1の12),同年6月6日に写真代1669円(乙Cヨ1の13),同月7日に付箋紙代210円(乙Cヨ1の14),同月9日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して210円(乙Cヨ1の15),同年7月1日に「初田印刷株式会社」に対して2730円(乙Cヨ1の16),同年8月2日にコピー用紙代414円(乙Cヨ1の18),同月ころに「オークワ」に対して雑貨代1365円(乙Cヨ1の19),同月25日に「オークワ」に対して雑貨代577円(乙Cヨ1の20),同年9月5日に「オークワ」に対して雑貨代1050円(乙Cヨ1の21),同年10月1日に「オークワ」に対して雑貨代1575円(乙Cヨ1の22),同月23日に「株式会社ミドリ電化」に対して「HP-V070L」代650円,「RP-SS128BJ1K」代3100円,「LC-E-10MP」代920円及び「MM-SP61SV」代1000円の合計5670円から2000円を割引した3670円(乙Cヨ1の24),同月25日に「オークワ」に対して雑貨代2205円(乙Cヨ1の25),同月30日にプリンターのインク代4450円(乙Cヨ1の26),同年11月2日に「エバグリーン」に対して5920円(乙Cヨ1の27),同月12日に「株式会社リカーショップゴワ」に対して「事務所飲み物代」3843円(乙Cヨ1の28),同月20日に「ミスタージョン株式会社スーパーホームセンター紀ノ川店」に対して事務用品代及び日用品代4587円(乙Cヨ1の29),同年12月7日にお茶等代4792円(乙Cヨ1の32),同月9日に「株式会社コジマ」に対して2368円(乙Cヨ1の33),同月10日に「株式会社コジマ」に対して1万0988円(乙Cヨ1の34),同月19日に「初田印刷株式会社」に対して2730円(乙Cヨ1の35),平成18年2月8日にのり代592円,トイレットペーパー代298円,金封代1344円及びコピー用紙代1780円(乙Cヨ1の36),同月9日にのり代100円,ペン代285円及び金封代155円(乙Cヨ1の37)の合計10万3019円を支払った。
(b) なお,「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対する平成16年4月17日の「ソノタ」代913円(乙Cヨ6の1),同年8月6日の紙製品代850円及び1086円(乙Cヨ6の23・24),平成17年5月10日の210円(乙Cヨ1の7),同年6月9日の210円(乙Cヨ1の15),「和歌山リコー株式会社」に対する同年5月12日の5712円(乙Cヨ1の10)は,支払先及び支払額からすれば,事務用品又は文具の代金であると認められる。
「初田印刷株式会社」に対する平成17年7月1日の2730円(乙Cヨ1の16),同年12月19日の2730円(乙Cヨ1の35)は,支払先からすれば,印刷関係費用であると認められる。
平成17年10月23日の「株式会社ミドリ電化」に対する「HP-V070L」代650円,「RP-SS128BJ1K」代3100円,「LC-E-10MP」代920円及び「MM-SP61SV」代1000円の合計5670円から2000円を割引した3670円(乙Cヨ1の24)は,イヤホン,SDカード,LANケーブル及びパソコン用スピーカーの代金であると認められるから,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当である。
平成16年8月20日の同月分及び同年9月分のNHK放送受信料2790円(乙Cヨ6の26),同年11月8日の同年10月分及び同年11月分のNHK放送受信料2790円(乙Cヨ6の30)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当である。
「株式会社リカーショップゴワ」に対する平成17年5月23日の「事務所用として」6153円(乙Cヨ1の11),同年11月12日の「事務所飲み物代」3843円(乙Cヨ1の28)は,同店が酒類だけでなく,それ以外の飲料も取り扱っていることからすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当である。
平成17年12月7日のお茶等代4792円(乙Cヨ1の32)については,レシートに手書きで「後援会 事務所用」との記載があるところ,上記お茶等代は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務に要する経費として社会通念上相当である。
(c) しかし,平成16年4月17日の「ドラッグ エバグリーン」に対する8297円(乙Cヨ6の2),同月21日の「オークワ」に対する雑貨代315円(乙Cヨ6の4),同月22日の雑貨代210円(乙Cヨ6の6),同年5月16日の「スーパーエバグリーン」に対する1万1169円(乙Cヨ6の11),同年6月7日の「ドラッグ エバグリーン」に対する8837円(乙Cヨ6の17),同年7月23日の「エバグリーン」に対する5943円(乙Cヨ6の21),同年8月16日の「エバグリーン」に対する5453円(乙Cヨ6の25),同年11月11日の「スーパーエバグリーン」に対する2916円(乙Cヨ6の31),同年12月1日の「ジップ・ドラッグ東洋」に対する9946円(乙Cヨ6の33),同日の「スーパーエバグリーン」に対する7110円(乙Cヨ6の34),同月9日の「コーナン商事株式会社」に対する3980円(乙Cヨ6の36),同月14日の「100円ショップシルク」に対する420円(乙Cヨ6の39),同月16日の「100円ショップシルク」に対する105円(乙Cヨ6の41),平成17年1月14日の「エバグリーン」に対する1万2279円(乙Cヨ6の46),同年3月9日の「コーナン商事株式会社」に対する4366円(乙Cヨ6の51),同月14日の「スーパーエバグリーン」に対する2977円(乙Cヨ6の52)の合計8万4323円,同年4月8日の「スーパーエバグリーン」に対する5427円(乙Cヨ1の1),同月9日のローソンに対する1万円(乙Cヨ1の3),同月26日の「オークワ」に対する雑貨代210円(乙Cヨ1の5),同年5月28日のローソンに対する1万円(乙Cヨ1の12),同年8月ころの「オークワ」に対する雑貨代1365円(乙Cヨ1の19),同月25日の「オークワ」に対する雑貨代577円(乙Cヨ1の20),同年9月5日の「オークワ」に対する雑貨代1050円(乙Cヨ1の21),同年10月1日の「オークワ」に対する雑貨代1575円(乙Cヨ1の22),同月25日の「オークワ」に対する雑貨代2205円(乙Cヨ1の25),同年11月2日の「エバグリーン」に対する5920円(乙Cヨ1の27),同月20日の「ミスタージョン株式会社 スーパーホームセンター紀ノ川店」に対する事務用品代及び日用品代4587円(乙Cヨ1の29),同年12月9日の「株式会社コジマ」に対する2368円(乙Cヨ1の33),同月10日に「株式会社コジマ」に対する1万0988円(乙Cヨ1の34)の合計5万6272円は,支払内容が明らかでなく,支払先が多様な商品を扱う店であることからすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
平成16年5月24日の「アガチス」代1406円(乙Cヨ6の13)は,木材代であると認められ,平成16年12月15日の「トウキョウオリキンギン7ホンタンザクイリ」代274円及び「オオサカオリアカシロ7ホンタンザクイリ」代210円(乙Cヨ6の40)は,祝儀袋等代であると認められ,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
平成17年3月30日の色紙代776円(乙Cヨ6の55)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
平成17年5月11日の職員録6冊の代金5400円(乙Cヨ1の8・9)は,同じものを6冊も購入することが,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要するとは認められないから,そのうち5冊分4500円に政務調査費を支出した部分は違法である。
平成18年2月8日の金封代1344円(乙Cヨ1の36),同月9日の金封代155円(乙Cヨ1の37)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
(d) この点,A36議員は,平成16年7月26日の事務用品代2700円,平成16年11月1日の事務用品代420円,支出日が不明のOA機器代3560円を支払ったと陳述する(乙Cヨ6の22・29・42,乙Eヨ1)。しかし,その裏付けとして提出された領収証(乙Cヨ6の22・29・42)は印字が薄く,内容を判読することが不可能であるから,A36議員の上記陳述は,信用できない。
また,A36議員は,平成17年4月20日の事務用品代456円を支払ったと陳述する(乙Eヨ1)。しかし,その裏付けとして提出された領収証(乙Cヨ1の4)には,「ボールド」代と記載され,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
他方,原告らは,スペアキー(乙Cヨ6の7),ホース及び除草剤(乙Cヨ6の8),トイレの消臭剤及びアリの殺虫剤(乙Cヨ6の3・14),領収書(乙Cヨ6の45),ポケットラジオ(乙Cヨ6の50)が,調査研究のために直接必要なものではないと主張する。しかし,これらの購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当と認められるから,採用できない。
(e) したがって,事務用品・備品購入費については,平成16年度の4万5992円(=13万2981円-8万4323円-1406円-274円-210円-776円),平成17年度の4万0748円(=10万3019円-5万6272円-4500円-1344円-155円)が,按分割合検討の対象となる。
b 文具代について
A36議員は,平成16年5月7日に文具代1050円(乙Cヨ6の9),同月12日にコピー用紙代1035円(乙Cヨ6の10),同月19日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して1056円(乙Cヨ6の12),同年6月3日に文具代525円(乙Cヨ6の15),同月11日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して630円(乙Cヨ6の18),同月22日にクリアーブック代1218円及びノート代268円(乙Cヨ6の19),同年9月4日に文具代473円(乙Cヨ6の27),同月21日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して850円(乙Cヨ6の28),同年11月26日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して2212円(乙Cヨ6の32),同年12月2日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して5785円(乙Cヨ6の35),同月14日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して1万1907円(乙Cヨ6の38),平成17年2月1日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して2376円(乙Cヨ6の48),同月7日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して319円(乙Cヨ6の49),同年3月16日にクリアーブック代1596円及びコピー用紙代480円(乙Cヨ6の53),同月18日にクリアーブック代1596円(乙Cヨ6の54)の合計3万3376円を支払った。
また,A36議員は,平成17年4月8日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して2740円(乙Cヨ1の2),同年5月ころに鉛筆代9450円(乙Cヨ1の6),同年11月29日に「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対して紙製品代2016円(乙Cヨ1の30・31。なお,乙Cヨ1の30の領収証は,乙Cヨ1の31のレシートと,支払先,支払日及び支払額が同じであるから,それらに係る支払は同一のものと認められる。)の合計1万4206円を支払った。
なお,「文房創庫オーヤマ 株式会社大山」に対する支払(乙Cヨ1の2・30・31,6の12・18・28・32・35・38・48・49)は,支払先及び支払額からすれば,事務用品又は文具の代金であると認められる。
しかし,上記支払のうち,平成16年6月3日の文具代525円(乙Cヨ6の15)は,その裏付けとして提出された領収証(乙Cヨ6の15)に手書きで「d20会」の記載があり,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
したがって,文具代については,平成16年度の3万2851円(=3万3376円-525円),平成17年度の1万4206円が,按分割合検討の対象となる。
c 切手代等について
A36議員は,平成16年4月7日に郵便料金580円(乙Cヨ7の1),同月9日に切手代3120円(乙Cヨ7の2),同年5月10日に切手代3200円(乙Cヨ7の3),同年6月8日に郵便料金2640円(乙Cヨ7の4),同年7月23日に切手代4380円(乙Cヨ7の5),同年8月16日に切手代3040円(乙Cヨ7の6),同年9月7日に切手代2960円(乙Cヨ7の7),同年10月4日に切手代3280円(乙Cヨ7の8),同年11月9日に切手代2560円(乙Cヨ7の9),同年12月13日に郵便料金2880円(乙Cヨ7の10),同月27日に年賀はがき代1500円(乙Cヨ7の11),平成17年1月13日に切手代3200円(乙Cヨ7の12),同年2月12日に郵便料金4400円(乙Cヨ7の13),同年3月14日に切手代2880円(乙Cヨ7の14)の合計4万0620円を支払った。
また,A36議員は,平成17年4月6日に郵便料金3200円(乙Cヨ2の1),同年5月9日に郵便料金2800円(乙Cヨ2の2),同月31日に切手代2000円(乙Cヨ2の3),同年6月7日に切手代1200円(乙Cヨ2の4),同年7月5日に切手代4000円(乙Cヨ2の5),同月28日にはがき代5000円(乙Cヨ2の6),同年8月9日に切手代8000円(乙Cヨ2の7),同月25日にはがき代5000円(乙Cヨ2の8),同年9月6日に切手代8000円(乙Cヨ2の9),同年11月25日に郵便料金5万6925円(乙Cヨ2の10),同日に郵便料金1万3350円(乙Cヨ2の11),同日に郵便料金18万9210円(乙Cヨ2の12),同日に郵便料金2万4525円(乙Cヨ2の13),同日に郵便料金1万5000円(乙Cヨ2の14),同月30日に切手代4000円(乙Cヨ2の15),平成18年2月23日にはがき代7万円(乙Cヨ2の16)の合計41万2210円を支払った。
しかし,上記支払のうち,平成16年12月27日の年賀はがき代1500円(乙Cヨ7の11)は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
この点,原告らは,まとめて購入した多額の切手代及びはがき代が調査研究のためのものではないと主張する。しかし,上記切手代等は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
したがって,切手代等については,平成16年度の3万9120円(=4万0620円-1500円),平成17年度の41万2210円が,按分割合検討の対象となる。
d 固定電話使用料について
A36議員は,固定電話(073-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の1万5556円,同年6月分の1万0582円,同年7月分の1万3035円,同年8月分の1万5323円,同年9月分の1万2121円,同年10月分の1万4728円,同年11月分の1万3864円,同年12月分の1万4411円の合計10万9620円を支払い,平成17年4月分の2万1571円,同年5月分の1万0606円,同年6月分の1万2152円,同年7月分の1万0822円,同年8月分の1万4641円,同年9月分の1万4501円,同年10月分の1万0924円,同年11月分の1万0229円,同年12月分の7337円,平成18年1月分の7001円,同年2月分の1万1526円,同年3月分の9575円の合計14万0885円を支払った(乙Cヨ3の1ないし12,8の1ないし8)。
したがって,固定電話使用料については,平成16年度の10万9620円,平成17年度の14万0885円が,按分割合検討の対象となる。
e ファックス使用料について
A36議員は,ファックス(073-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の3211円,同年6月分の3161円,同年7月分の3187円,同年8月分の3069円,同年9月分の3168円,同年10月分の3157円,同年11月分の3053円,同年12月分の3124円,平成17年1月分の3142円,同年2月分の3203円,同年3月分の2689円の合計3万4164円を支払い,同年4月分の2753円,同年5月分の2662円,同年6月分の2662円,同年7月分の2805円,同年8月分の2683円,同年9月分の2609円,同年10月分の2787円,同年11月分の7372円,同年12月分の4437円,平成18年1月分の4383円,同年2月分の4445円,同年3月分の4804円の合計4万4402円を支払った(乙Cヨ5の1ないし12,10の1ないし11)。
したがって,ファックス使用料については,平成16年度の3万4164円,平成17年度の4万4402円が,按分割合検討の対象となる。
f 按分等について
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき111万8497円を加えて3分の1,平成17年度につき100万5658円を加えて3分の1)のとおり,A36議員が,上記事務用品・備品購入費,文具代,切手代等,固定電話使用料及びファックス使用料につき,平成16年度に46万0081円(≒[4万5992円+3万2851円+3万9120円+10万9620円+3万4164円+111万8497円]×1/3),平成17年度に55万2703円(=[4万0748円+1万4206円+41万2210円+14万0885円+4万4402円+100万5658円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 携帯電話使用料について
A36議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の3万0397円,同年5月分の2万3024円,同年6月分の2万1165円,同年7月分の2万8933円,同年8月分の2万0586円,同年9月分の2万2756円,同年10月分の2万6930円,同年11月分の2万3739円,同年12月分の2万8414円,平成17年1月分の3万3520円,同年2月分の2万7735円,同年3月分の2万7912円の合計31万5111円を支払い,同年4月分の2万6802円,同年5月分の2万8129円,同年6月分の2万0808円,同年7月分の1万9432円,同年8月分の2万1947円,同年9月分の2万1571円,同年10月分の1万9934円,同年11月分の2万4702円,同年12月分の2万1936円,平成18年1月分の2万2951円,同年2月分の2万1350円,同年3月分の4万2289円の合計29万1851円を支払った(乙Cヨ4の1ないし12,9の1ないし12)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A36議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に6万3022円(=31万5111円×1/5),平成17年度に5万8370円(=29万1851円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) 携帯電話機代について
A36議員は,平成17年10月13日に,携帯電話機代2万3000円,卓上ホルダ代600円及びACアダプタ代900円の合計2万4500円から1万1400円を控除した1万3100円及びその消費税655円を支払った(乙Cヨ1の23)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A36議員が,上記携帯電話機代につき,平成17年度に2751円(=[1万3100円+655円]×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(オ) インスタントカメラ代について
A36議員は,平成17年7月6日にインスタントカメラ代1029円を支払った(乙Cヨ1の17)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A36議員が,上記インスタントカメラ代につき,平成17年度に206円(≒1029円×1/5)を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A36議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたところ,A36議員は,後援会の「人件費」としても,平成16年度に221万円,平成17年度に195万円を支出した(甲ヨ3の1・2)。
したがって,後述する人件費に,上記後援会の「人件費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
(イ) 人件費の支出等について
a 雇用について
(a) A36議員は,平成16年4月から同年10月までの間,B99を雇用し,同人に対し,同年4月分ないし同年9月分の賃金として月額5万円,同年10月分の賃金として10万円の合計55万円を支払った(乙Dヨ9)。
(b) A36議員は,平成16年11月から同年12月までの間,B100を雇用し,同人に対し,同年11月分及び同年12月分の賃金として月額5万円の合計10万円を支払った(乙Dヨ8の1・2)。
(c) A36議員は,平成16年11月から同年12月までの間及び平成17年9月から同年12月までの間,B101を雇用し,同人に対し,平成16年11月分の賃金として4万円,同年12月分の賃金として7万円の合計11万円を支払い,平成17年9月分ないし同年12月分の賃金としてそれぞれ5万円の合計20万円を支払った(乙Dヨ1,3の1ないし4,7の1・2)。
この点,A36議員は,平成18年1月から同年3月までの間にも,B101を雇用し,同人に対し,同年1月分ないし同年3月分の賃金として月額5万円を支払ったと陳述するが(乙Eヨ1),その裏付けはないから,信用できない。
(d) A36議員は,平成17年12月から平成18年2月までの間,賃金月額10万円で,B102を雇用し,同人に対し,平成17年12月分ないし平成18年2月分の賃金として月額10万円の合計30万円を支払った(乙Dヨ2,4の1ないし3)。
なお,B102の雇用契約書(乙Dヨ2)は,平成18年1月付けであるが,平成17年12月分の賃金(事務所手伝い費)の領収証があるから(乙Dヨ4の1),上記のとおり同人が雇用され,賃金が支払われたと認められる。
この点,A36議員は,平成18年3月にも,B102を雇用し,同人に対し,同月分の賃金として10万円を支払ったと陳述するが(乙Dヨ1),その裏付けはないから,信用できない。
(e) A36議員は,B103に対し,平成17年12月20日及び平成18年1月20日,事務所手伝い費用としてそれぞれ10万円の合計20万円を支払った(乙Dヨ5の1・2)。
(f) A36議員は,B104に対し,平成18年2月20日,事務所手伝い費用として10万円を支払った(乙Dヨ6)。
b 按分等について
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき221万円を加えて3分の1,平成17年度につき195万円を加えて3分の1)のとおり,A36議員が,平成16年度に99万円(=[55万円+10万円+11万円+221万円]×1/3),平成17年度に91万6667円(≒[20万円+30万円+20万円+10万円+195万円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 原告らは,B101,B102,B103,B104及びB100が,後援会に雇用されていたと主張する(乙Dヨ3の1ないし4,4の1ないし3,5の1・2,6,7の1・2,8の1・2)。しかし,B101及びB102については,雇用契約書(乙Dヨ1,2)が存在するし,B103,B104及びB100については,賃金の領収証が後援会宛てであるものの,原告らの上記主張を裏付ける具体的な証拠はなく,B101,B102,B103,B104及びB100の人件費は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な按分割合の限度で,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A36議員は,事務所費として,平成16年度に48万7665円,平成17年度に修正前の32万9471円の政務調査費を支出したところ(別紙1),支出許容額(平成16年度につき合計114万5727円[=104万6452円+9万9275円],平成17年度につき103万9452円)を超える違法支出はない。
(イ) A36議員は,事務費として,平成16年度に26万4970円,平成17年度に35万0900円の政務調査費を支出したところ(別紙1),支出許容額(平成16年度につき合計52万3103円[=46万0081円+6万3022円],平成17年度につき合計61万4030円[=55万2703円+5万8370円+2751円+206円])を超える違法支出はない。
(ウ) A36議員は,人件費として,平成16年度に37万円,平成17年度に35万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),支出許容額(平成16年度につき99万円,平成17年度につき91万6667円)を超える違法支出はない。
(エ) よって,被告が,A36議員に対し,不当利得の返還を請求するべき理由はない。
(38)  A37議員(以下「A37議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A37議員の政務調査用事務所(和歌山県紀の川市〈以下省略〉)は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に設置され,後援会及び「a党a17支部」と併設されていた(乙Bラ7,8,Dラ1,2,Eラ1,弁論の全趣旨)。
なお,後援会及び「a党a17支部」は,紀の川市〈以下省略〉に設置されていたと届出され,名刺にも同所に▲▲事務所を設置していると記載されているが(甲A5の2・3,乙Bラ8),A37議員は,地番が勘違いであり,政務調査用事務所に併設されていたと陳述するところ(乙Eラ1),その陳述は自然であるから,そのとおり認められる。
この点,A37議員は,後援会及び「a党a17支部」の活動実体がほとんどなく,後援会は選挙の時期に別の事務所を借りて活動を行っていたと陳述するが(乙Eラ1),その裏付けはないから,信用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A37議員の政務調査用事務所の事務所賃料及び固定電話使用料については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるところ,A37議員は,「a党a17支部」の「事務所費」としても平成15年度に47万1965円,平成16年度に19万2400円,平成17年度に20万5680円を,後援会の「事務所費」としても,平成15年度に183万0016円,平成16年度に67万4685円,平成17年度に67万1524円を支出した(甲ラ5の1ないし3,6の1ないし3)。
したがって,後述する事務所賃料及び固定電話使用料に,「a党a17支部」及び後援会の「事務所費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
また,A37議員の政務調査用事務所の電気料金及び水道料金については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるところ,A37議員は,後援会の「光熱水費」としても,平成15年度に8万1830円,平成16年度に8万1938円,平成17年度に8万5284円を支出した(甲ラ6の1ないし3)。
したがって,後述する電気料金及び水道料金に,後援会の「光熱水費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 事務所賃料及び固定電話使用料について
a 事務所賃料について
A37議員は,平成15年4月から平成18年3月までの間,協和水産株式会社代表取締役B105から,「那賀郡〈以下省略〉」所在の建物の1室を「事務所」として賃料月額5万円で賃借し,協和水産株式会社に対し,平成16年4月分ないし平成18年3月分の賃料として,平成16年5月28日に5万円,同年6月28日に10万円,同年8月11日に5万円,同年9月30日に10万円,同年12月6日に10万円,平成17年1月17日に10万円,同年3月23日に10万円,同年6月2日に10万円,同年7月27日に10万円,同年9月30日に20万円,平成18年1月26日に10万円,同年3月17日に10万円を支払った(乙Bラ1の1ないし5,4の1ないし7,7,9,弁論の全趣旨)。
なお,平成15年4月分ないし平成16年3月分の賃料については,領収証等の証拠が提出されていないが,継続的契約に係る定額の支払であるから,A37議員は,平成15年4月から平成16年3月までの間も,毎月,賃料として月額5万円を支払ったと認められる。
b 固定電話使用料について
A37議員は,政務調査用事務所の固定電話(0736-〈省略〉)及びファックス用電話(0736-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月12日に2010円及び3077円,同年5月10日に2208円及び3811円,同年6月10日に2116円及び2900円,同年7月12日に2145円及び3784円,同年8月10日に2051円及び6929円,同年9月10日に2000円及び2907円,同年10月12日に2019円及び3483円,同年11月10日に2528円及び3805円,同年12月10日に1992円及び3115円,平成17年1月11日に2041円及び3968円,同年2月10日に1894円及び3201円,同年3月10日に1836円及び3137円の合計6万8957円を支払い,同年4月11日に1795円及び3343円,同年5月10日に1812円及び2530円,同年6月10日に1811円及び2572円,同年7月11日に1806円及び2777円,同年8月10日に1737円及び2461円,同年9月12日に1755円及び2816円,同年10月11日に1776円及び4302円,同年11月10日に1731円及び2294円,同年12月12日に1749円及び2580円,平成18年1月10日に1818円,同年2月10日に1771円及び2430円,同年3月10日に1809円及び4595円の合計5万4070円を支払った(乙Bラ2,5の1・2,8,Eラ1,弁論の全趣旨)。
この点,A37議員は,固定電話(0736-〈省略〉)の使用料として平成18年1月27日に2726円を支払ったが(乙Cラ29),これに政務調査費を支出していなかったから(乙Eラ1),平成17年度の政務調査費を支出することは許されない。
他方,原告らは,和歌山県監査委員が固定電話使用料について言及していないから(甲A3),A37議員は,そもそも固定電話使用料に政務調査費を支出していなかったなどと主張する。しかし,その主張を裏付ける証拠はないから,原告らの上記主張は採用できない。
c 按分等について
上記(ア)の按分割合(平成15年4月につき19万1832円[≒230万1981円×1か月/12か月]を加えて3分の1,平成15年度[同年4月を除く。]につき211万0149円[≒230万1981円×11か月/12か月]を加えて3分の1,平成16年度につき86万7085円を加えて3分の1,平成17年度につき87万7204円を加えて3分の1)のとおり,A37議員が,上記事務所賃料及び固定電話使用料につき,平成15年4月に8万0611円(≒[5万円+19万1832円]×1/3),平成15年度(同年4月を除く。)に88万6716円(≒[5万円×11か月+211万0149円]×1/3),平成16年度に51万2014円(=[5万円×12か月+6万8957円+86万7085円]×1/3),平成17年度に51万0425円(≒[5万円×12か月+5万4070円+87万7204円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 電気料金及び水道料金について
a 電気料金について
A37議員は,政務調査用事務所の電気料金として,平成16年5月6日に6355円,同年6月3日に4528円,同年7月1日に4869円,同年8月2日に6526円,同年9月3日に8875円,同年10月4日に7515円,同年11月1日に4901円,同年12月2日に4705円,平成17年1月4日に5195円,同年2月4日に8018円,同年3月4日に7253円の合計6万8740円を支払い,同年4月1日に7041円,同年5月2日に6310円,同年6月3日に4197円,同年7月1日に4313円,同年8月1日に5366円,同年9月2日に8362円,同年10月3日に6020円,同年11月4日に4754円,同年12月2日に4849円,平成18年1月4日に6654円,同年2月3日に8272円,同年3月3日に7386円の合計7万3524円を支払った(乙Bラ2,5の1・2,Eラ1,弁論の全趣旨)。
なお,平成15年4月分の電気料金については,領収証等の証拠が提出されていないが,継続的契約に係る支払であるから,平成16年度及び平成17年度の電気料金の平均額により算定するのが相当であり,A37議員は,平成15年4月に6185円(≒[6万8740円+7万3524円]÷23か月)を支払ったと認められる。
この点,A37議員は,平成15年4月に光熱水費として少なくとも1万円を支払ったと陳述するが(乙Eラ1),その裏付けはないから,信用できない。
b 水道料金について
A37議員は,協和水産株式会社の代表取締役で,上記事務所建物の賃借人であるB105に対し,政務調査用事務所の水道料金(月額1000円)として,平成16年5月28日に1000円,同年6月28日に2000円,同年8月11日に1000円,同年9月30日に2000円,同年12月6日に2000円,平成17年1月17日に2000円,同年3月23日に2000円の合計1万2000円を支払い,同年6月2日に2000円,同年7月27日に2000円,同年9月30日に4000円,平成18年1月26日に2000円,同年3月17日に2000円の合計1万2000円を支払った(乙Bラ3の1ないし5,6の1ないし7,7,9,Eラ1,弁論の全趣旨)。
なお,平成15年4月分の水道料金については,領収証等の証拠が提出されていないが,継続的契約に係る定額の支払であったから,A37議員は,平成15年4月に少なくとも1000円を支払ったと認めるのが相当である。
この点,原告らは,水道料金が調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記水道料金は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
c 按分等について
上記(ア)の按分割合(平成15年4月に6819円[≒8万1830円×1か月/12か月]を加えた上で3分の1,平成16年度に8万1938円を加えた上で3分の1,平成17年度に8万5284円を加えた上で3分の1)のとおり,A37議員が,上記電気料金及び水道使用料につき,平成15年4月に4668円(≒[6185円+1000円+6819円]×1/3),平成16年度に5万4226円(=[6万8740円+1万2000円+8万1938円]×1/3),平成17年度に5万6936円(=[7万3524円+1万2000円+8万5284円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A37議員の政務調査用事務所の事務用品・備品購入費及び事務機器リース代については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたところ,A37議員は,「a党a17支部」の「備品・消耗品費」としても平成17年度に4万6599円を,後援会の「備品・消耗品費」としても平成16年度に23万6825円,平成17年度に25万3307円を支出した(甲ラ5の3,6の2・3)。
したがって,後述する事務用品・備品購入費及び事務機器リース代については,「a党a17支部」及び後援会の「備品・消耗品費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
また,携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会及び「a党a17支部」の各活動や,私的にも利用されていたと認められるから,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,被告は,A37議員が携帯電話を調査研究以外に使用することはほとんどなかったと主張するが,その主張を裏付ける証拠はないから,採用できない。
(イ) 事務用品・備品購入費及び事務機器リース代について
a 事務用品・備品購入費について
A37議員は,平成16年4月5日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代250円(乙Cラ34),同月28日に「コーヒーフレッシュ」代336円,トイレットペーパー代448円(乙Cラ35),同年5月11日にゴミ袋代200円(乙Cラ36),同月17日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代390円(乙Cラ37),同日にトイレットペーパー代498円(乙Cラ38),同日に和歌山県の職員録2冊の代金1400円(乙Cラ39),同月24日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代180円(乙Cラ40),同月28日に「クラシモアチユウアツ」代198円及びトイレットペーパー代378円(乙Cラ41),同月31日に「スリムシュガー」代936円(乙Cラ42),同年6月2日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代200円(乙Cラ46),同月11日に「コーヒーフレッシュ」代356円(乙Cラ43),同月14日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代200円(乙Cラ44),同月28日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代200円(乙Cラ45),同年7月5日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代250円(乙Cラ47),同月20日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代250円(乙Cラ48),同日にお茶代796円,「コントレツクス」代365円,「コーヒーフレッシュ」代316円及び金封代369円(乙Cラ49),同年8月17日にお茶代796円(乙Cラ50),同月21日にタンブラー代400円(乙Cラ51),同月25日に殺虫剤代397円及びお茶代998円(乙Cラ52),同年9月10日に「スズランコアレス」代501円及び「コーヒーフレッシュ」代207円(乙Cラ53),同年10月28日に「AGFマリームポーション」代400円(乙Cラ54),同年11月24日にフラットファイル代448円及び掃除機紙パック代898円(乙Cラ55),同年12月22日に「コーヒーフレッシュ」代356円(乙Cラ56),同月27日に「スズランコアレス」代501円(乙Cラ57),平成17年1月17日に収入印紙代2000円(乙Cラ58),同月20日に金封369円及び「スズランコアレス」代501円(乙Cラ59),同年2月14日に「コーヒーフレッシュ」代414円(乙Cラ60),同年3月8日にコピー用紙,ゼムクリップ及びラックの代金4012円(乙Cラ61の1・2),同月24日に「コーヒーフレッシュ」代356円(乙Cラ62)の合計2万2070円を支払った。
また,A37議員は,平成17年4月14日に「コーヒーフレッシュ」代356円及び金封代369円(乙Cラ1),同年6月1日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代170円(乙Cラ4),同月2日にティッシュ代298円及びトイレットペーパー代501円(乙Cラ2),同月6日に和歌山県の職員録2冊の代金1400円(乙Cラ3),同月9日にお茶代1098円(乙Cラ5),同月13日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代200円(乙Cラ6),同月20日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代150円(乙Cラ7),同日にトイレットペーパー代501円(乙Cラ8),同月27日に貴志川観光物産センターに対して「イタク」代200円(乙Cラ9),同月30日に「コーヒーフレッシュ」代336円(乙Cラ10),同年7月27日にお茶代588円及び金封代242円(乙Cラ11),同年8月4日に「スリムシュガー」代624円及び「コーヒーフレッシュ」代158円(乙Cラ12),同月8日に文具代210円(乙Cラ13),同月22日にスケジュールボード代1480円(乙Cラ14),同年9月8日にお茶代600円及びトイレットペーパー代501円(乙Cラ15),同月9日に「ウェルネット株式会社」に対して4172円(乙Cラ16),同月27日にトイレットペーパー代501円(乙Cラ17),同年ころに,店名に「ファミリーファッション」などと記載されたレシートに係る897円(乙Cラ18),日付が不明で店名に「ファミリーファッション」などと記載されたレシートに係る598円(乙Cラ19),同年10月17日に「コーヒーフレッシュ」代316円(乙Cラ20),同年12月9日に「コーヒーフレッシュ」代356円(乙Cラ21),同月19日に一筆箋代278円(乙Cラ22),平成18年1月9日に「チボンアジシノ」代298円,「ペアバツフエル」代288円及び「エビノリアラレ」代197円(乙Cラ23),同月11日に切手代1万0400円(乙Cラ24),同月17日にトイレットペーパー代501円(乙Cラ25),同月23日に切手代2400円及び収入印紙代2000円(乙Cラ26),同日にコピーキット代2万3625円(乙Cラ27の1・2),同月25日にはがき代2000円(乙Cラ28),同月30日にはがき代4500円(乙Cラ30),同月31日に「コーヒーフレッシュ」代414円(乙Cラ31),同年3月7日に「コーヒーフレッシュ」代356円(乙Cラ32)の合計6万4079円を支払った。
なお,平成17年9月9日の「ウェルネット株式会社」に対する4172円(乙Cラ16)は,払込票兼受領証に「カウネット担当販売店:株式会社ネットオフィス」との記載があることからすれば,事務用品代であると認められ,平成18年1月9日の「チボンアジシノ」代298円,「ペアバツフエル」代288円及び「エビノリアラレ」代197円(乙Cラ23)は,被告が菓子類であると主張しているところ,名称及び支払額からすれば,そのとおり認められる。
しかし,上記支払のうち,貴志川観光物産センターに対する,平成16年4月5日の「イタク」代250円(乙Cラ34),同年5月17日の「イタク」代390円(乙Cラ37),同月24日の「イタク」代180円(乙Cラ40),同年6月2日の「イタク」代200円(乙Cラ46),同月14日の「イタク」代200円(乙Cラ44),同月28日の「イタク」代200円(乙Cラ45),同年7月5日の「イタク」代250円(乙Cラ47)及び同月20日の「イタク」代250円(乙Cラ48)の合計1920円,また,貴志川観光物産センターに対する,平成17年6月1日の「イタク」代170円(乙Cラ4),同月13日の「イタク」代200円(乙Cラ6),同月20日の「イタク」代150円(乙Cラ7)及び同月27日の「イタク」代200円(乙Cラ9),並びに,同年ころの「ファミリーファッション」に対する897円(乙Cラ18)及び598円(乙Cラ19)の合計2215円は,支払先からすれば,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
また,平成16年5月17日の和歌山県の職員録2冊の代金1400円(乙Cラ39),平成17年6月6日の和歌山県の職員録2冊の代金1400円(乙Cラ3)は,同じものを2冊も購入することが,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要するとは認められないから,そのうち,それぞれ1冊分700円に政務調査費を支出した部分は違法である。
さらに,平成16年7月20日の金封代369円(乙Cラ49),平成17年1月20日の金封369円(乙Cラ59)の合計738円,同年4月14日の金封代369円(乙Cラ1),同年7月27日の金封代242円(乙Cラ11)の合計611円は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費とは認められないから,政務調査費を支出することは許されない。
この点,原告らは,トイレットペーパー(乙Cラ2,8,15,17,25,35,59),ティッシュペーパー(乙Cラ2),スケジュールボード(乙Cラ14),ゴミ袋(乙Cラ36),掃除機の紙パック(乙Cラ55)が,調査研究に直接必要なものではないと主張するが,これらの購入費は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
また,原告らは,まとめて購入した多額の切手代,はがき代及び収入印紙代が調査研究のためのものではないと主張する。しかし,上記切手代,はがき代及び収入印紙代は,事務所の設置状況等を考慮した社会通念上相当な割合の限度で,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
したがって,事務用品・備品購入費については,平成16年度の1万8712円(=2万2070円-1920円-700円-738円),平成17年度の6万0553円(=6万4079円-2215円-700円-611円)が,按分割合検討の対象となる。
b 事務機器リース代について
A37議員は,デジタル電子複合機のリース代として,平成16年4月5日,同年5月6日,同年6月3日,同年7月5日,同年8月3日,同年9月3日,同年10月4日,同年11月4日,同年12月3日,平成17年1月4日,同年2月3日,同年3月3日にそれぞれ9975円の合計11万9700円を支払い,同年4月4日,同年5月6日,同年6月3日,同年7月4日,同年8月3日,同年9月5日,同年10月3日,同年11月4日,同年12月5日,平成18年1月4日,同年2月3日,同年3月3日にそれぞれ9975円の合計11万9700円を支払った(乙Cラ33の1・2,63)。
なお,原告らは,上記事務機器リース代が政務調査費の支出が許されない高額な備品(乙A3)であるなどと主張するが,その代金として1年間11万9700円は社会通念上相当であるから,採用できない。
c 按分等について
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき23万6825円を加えて3分の1,平成17年度につき29万9906円を加えて3分の1),A37議員が,上記事務用品・備品購入費及び事務機器リース代につき,平成16年度に12万5079円(≒[1万8712円+11万9700円+23万6825円]×1/3),平成17年度に12万0153円3(=[6万0553円+29万9906円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 携帯電話使用料について
A37議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年5月分の1万6144円,同年6月分の1万3735円,同年7月分の1万7259円,同年8月分の1万6999円,同年9月分の1万7509円,同年10月分の1万2015円,同年11月分の1万3295円,同年12月分の1万3881円,平成17年1月分の1万3241円,同年2月分の1万3022円,同年3月分の1万2803円,同年4月分の1万5629円の合計17万5532円を支払い,同年5月分の1万6309円,同年6月分の1万7358円,同年7月分の1万5063円,同年8月分の1万5017円,同年9月分の1万5582円,同年10月分の1万3389円,同年11月分の1万5893円,同年12月分の1万9059円,平成18年1月分の1万4419円,同年2月分の1万2064円,同年3月分の1万6930円,同年4月分の2万0691円の合計19万1774円を支払った(乙Cラ64ないし87)。
なお,各月分の使用料は,それぞれ前月使用分であると認められる(乙Cラ64ないし87)。
そして,上記(ア)の按分割合(4分の1)のとおり,A37議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に4万3883円(=17万5532円×1/4),平成17年度に4万7944円(≒19万1774円×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A37議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたところ,A37議員は,後援会の「人件費」としても平成16年度に96万円,平成17年度に96万円を支出した(甲ラ6の2・3)。
したがって,後述する人件費に,上記後援会の「人件費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
(イ) 人件費の支出等について
A37議員は,平成15年4月から平成18年3月までの間,業務内容を「県議会議員A37事務所一般事務」,賃金を1日5000円(月額7万5000円を超えない。),通勤手当を5000円として,B106を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金及び通勤手当として,月額合計8万円を支払った(乙Dラ1,2)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成15年度につき3分の1,平成16年度につき96万円を加えて3分の1,平成17年度につき96万円を加えて3分の1)のとおり,A37議員が,上記人件費につき,平成15年4月に2万6667円(≒8万円×1/3),平成15年度(同年4月を除く。)に29万3333円(=8万円×11か月×1/3),平成16年度及び平成17年度に各64万円(=[8万円×12か月+96万円]×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,被告は,B106が調査研究以外に従事していなかったと主張するが,その裏付けはないから,採用できない。
また,A37議員は,平成15年4月,多忙のため,B106に対し,5000円を支払った陳述するが(乙Eラ1),その裏付けはないから,信用できない。
他方,原告らは,B106の雇用契約の業務の内容が,監理業務及び一般事務の補助であった(乙Dラ1,2)から,調査研究に従事していなかったと主張する。しかし,B106の従事した業務に調査研究に関するものが含まれていなかったとは認められないから,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A37議員は,事務所費として,平成15年4月に6万円,平成15年度(同年4月を除く。)に55万円,平成16年度に70万2550円,平成17年度に76万2380円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月及び平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額(平成15年4月につき合計8万5279円[=8万0611円+4668円],平成15年度[同年4月を除く。]につき88万6716円)を超える違法支出はないが,平成16年度に支出許容額合計56万6240円(=51万2014円+5万4226円)を超える13万6310円,平成17年度に支出許容額合計56万7361円(=51万0425円+5万6936円)を超える19万5019円を支出した部分は違法である
(イ) A37議員は,事務費として,平成16年度に18万5650円,平成17年度に36万5650円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計16万8962円(=12万5079円+4万3883円)を超える1万6688円,平成17年度に支出許容額合計16万8097円(=12万0153円+4万7944円)を超える19万7553円を支出した部分は違法である。
(ウ) A37議員は,人件費として,平成15年4月に8万5000円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度及び平成17年度にそれぞれ96万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額2万6667円を超える5万8333円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額29万3333円を超える58万6667円,平成16年度及び平成17年度に支出許容額各64万円を超える各32万円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A37議員に対し,平成15年4月分5万8333円,平成15年度分(同年4月を除く。)58万6667円,平成16年度分合計47万2998円(=13万6310円+1万6688円+32万円),平成17年度分合計71万2572円(=19万5019円+19万7553円+32万円)の総合計183万0570円の不当利得の返還を請求すべきである。
(39)  A38議員(以下「A38議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A38議員の政務調査用事務所(和歌山県有田郡〈以下省略〉)は,自宅(同郡〈以下省略〉)とは別の場所に,後援会である「A38後援会」,政治団体「e6調査会」及び「a党a18支部」と併設されていた(甲リ5,乙Bリ8,9,Eリ1,弁論の全趣旨)。
この点,A38議員は,「A38後援会」,「e6調査会」及び「a党a18支部」が自宅と同じ敷地内にある両親宅に設置されていたと陳述するところ(乙Eリ1),確かに,「A38後援会」,「e6調査会」及び「a党a18支部」は,和歌山県有田郡s町●●618で届出がされていた(甲A5の2・3)。しかし,A38議員の政務調査用事務所が設置されている建物は,地図上で,「a党a18支部」及び「A38(事)」と表示され,その建物の壁面には,a党の国会議員のポスターが貼られ,政治活動に関する看板が設置されており,その敷地入口付近のブロック塀沿いには,「a党◇◇支部」の看板,政治活動に関する看板,「A38後援会事務所」の看板が設置され,a党の国会議員のポスターが貼られていた(甲リ8の3・4,10の2)。また,A38議員の両親宅の建物(乙Bリ9)は,地図上で,「qコンクリート産業(株)」及び「r組」と表示され(甲リ8の3),その建物には,「qコンクリート産業株式会社」の看板が設置され,政治活動等に関する看板やポスター等はなかった(甲リ8の1,10の1ないし4,弁論の全趣旨)。したがって,A38議員の上記陳述は信用できない。
他方,原告らは,上記政務調査用事務所の建物に政務調査用事務所の表示がなかったから,政務調査用事務所は存在しなかったなどと主張する。しかし,政務調査用事務所の表示がなかったからといって,これが存在しなかったと認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A38議員の政務調査用事務所の土地賃料については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるところ,A38議員は,「a党a18支部」の「事務所費」としても,平成15年度に141万6201円,平成16年度に106万6897円,平成17年度に116万6578円を支出した(甲リ11の1ないし3)。
したがって,後述する土地賃料に,上記「a党a18支部」の「事務所費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
また,電気料金及び灯油代については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所に係るものであるところ,A38議員は,「a党a18支部」の「光熱水費」としても,平成16年度に19万5425円,平成17年度に23万0761円を支出した(甲リ11の2・3)。
したがって,後述する電気料金及び灯油代に,上記「a党a18支部」の「光熱水費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
(イ) 土地賃料について
A38議員は,平成15年4月から平成18年3月までの間,A38議員の母であるB107から,和歌山県有田郡〈以下省略〉の土地を事務所用地及び駐車場として,賃料月額5万円で賃借し,賃料として,平成15年4月分ないし平成17年3月分の月額5万円,同年4月分ないし平成18年3月分の月額3万円を支払った(乙Bリ1の1ないし12,5の1ないし12,6の1ないし11,7ないし10,Eリ1,弁論の全趣旨)。
なお,賃貸借契約書(乙Bリ8)では,目的物の表示が「有田郡s町●●618-1」と記載されているところ,A38議員は,617番1の土地と勘違いしたと陳述する(乙Eリ1)。確かに,618番1の土地はB108が所有し(甲リ6の1・2,7),617番1の土地はB107が所有していたから(乙Bリ10),A38議員の上記陳述は自然であり,そのとおり認められる。
そして,上記(ア)の按分割合(平成15年4月につき11万8017円[≒141万6201円×1か月/12か月]を加えて4分の1,平成15年度[同年4月を除く。]につき129万8184円[≒141万6201円×11か月/12か月]を加えて4分の1,平成16年度につき106万6897円を加えて4分の1,平成17年度につき116万6578円を加えて4分の1)のとおり,A38議員が,上記土地賃料につき,平成15年4月に4万2004円(≒[5万円+11万8017円]×1/4),平成15年度(同年4月を除く。)に46万2046円(≒[5万円×11か月+129万8184円]×1/4),平成16年度に41万6724円(≒[5万円×12か月+106万6897円]×1/4),平成17年度に38万1645円(≒[3万円×12か月+116万6578円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,政務調査用事務所の敷地がA38議員と同居する親族の所有であったから,その賃料に政務調査費を支出することは許されないと主張する。しかし,上記アのとおり,A38議員は,B107と別居しており,別居する親子を経済的に一体と認めることはできないから,原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) 電気料金及び灯油代について
a 電気料金について
A38議員は,契約種別が①従量電灯A,②低圧電力の電気料金として,平成16年4月分の①5361円及び②6666円,同年5月分の①4362円及び②6349円,同年6月分の①4800円及び②6223円,同年7月分の①6939円及び②1万4249円,同年8月分の①6042円及び②1万1880円,同年9月分の①5311円及び②9922円,同年10月分の①4806円及び②6482円,同年11月分の①4292円及び②6633円,同年12月分の①5517円及び②7883円,平成17年1月分の①5371円及び②1万1019円,同年2月分の①4584円及び②1万0469円,同年3月分の①3551円及び②8787円の合計16万7498円を支払い,同年4月分の①3593円及び②7561円,同年5月分の①2197円及び②6212円,同年6月分の①4226円及び②6161円,同年7月分の①5909円及び②9229円,同年8月分の①6896円及び②1万3488円,同年9月分の①6971円及び②1万2815円,同年10月分の①5608円及び②6454円,同年11月分の①5066円及び②6467円,同年12月分の①5585円及び②9771円,平成18年1月分の①5529円及び②1万1541円,同年2月分の①5052円及び②1万0159円,同年3月分の①5100円及び②9213円の合計17万0803円を支払った(乙Bリ2の1ないし12,3の1ないし12,11の1ないし12,12の1ないし12)。
なお,一般的に,従量電灯Aは,一般家庭で使用される電気料金の形態で,低圧電力は,エアコン,業務用冷蔵庫,ポンプ,エレベーター,工場等のモーター等で使用される電気料金の形態であり,用途や使用量に応じて使い分けられるべきものであるところ,A38議員が,従量電灯A及び低圧電力を利用したことは,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,従量電灯A及び低圧電力の電気料金に政務調査費を支出したことは許される。
b 灯油代について
A38議員は,灯油代として,平成17年11月22日に2340円,同年12月5日に5589円,平成18年3月ころに1404円の合計9333円を支払った(乙Bリ4の1ないし3)。
なお,原告らは,灯油代は調査研究に直接必要なものではないと主張するが,上記灯油代は,議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
c 按分等について
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき19万5425円を加えて4分の1,平成17年度につき23万0761円を加えて4分の1)のとおり,A38議員が,上記電気料金及び灯油代につき,平成16年度に9万0731円(≒[16万7498円+19万5425円]×1/4),平成17年度に10万2724円(≒[17万0803円+9333円+23万0761円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A38議員の政務調査用事務所の固定電話及びファックス用電話の使用料,インターネット通信費及びはがき代等については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で使用されたところ,A38議員は,「a党a18支部」の「備品・消耗品費」としても,平成16年度に165万7625円,平成17年度に104万4622円を支出した(甲リ11の2・3)。
したがって,後述する固定電話及びファックス用電話の使用料,インターネット通信費及びはがき代等に,上記「a党a18支部」の「備品・消耗品費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
また,携帯電話使用料については,その汎用性を考慮すれば,調査研究以外に,「A38後援会」,「e6調査会」及び「a党a18支部」の各活動や,私的にも利用されていたと認められることから,社会通念上相当な按分割合として,その5分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 固定電話及びファックス用電話の使用料,インターネット通信費及びはがき代等について
a 固定電話及びファックス用電話の使用料について
A38議員は,①固定電話(0737-〈省略〉)及び②ファックス用電話(0737-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の①及び②5730円,同年5月分の①及び②5163円,同年6月分の①及び②4907円,同年7月分の①及び②5008円,同年8月分の①及び②6737円,同年9月分の①及び②4956円,同年10月分の①及び②8413円,同年11月分の①及び②4933円,同年12月分の①及び②5046円,平成17年1月分の①及び②1万2516円,同年2月分の①及び②5016円,同年3月分の①及び②4507円の合計7万2932円を支払い,同年4月分の①及び②7167円,同年5月分の①及び②7116円,同年6月分の①及び②8573円,同年7月分の①及び②1万1011円,同年8月分の①7933円及び②4247円,同年9月分の①7757円及び②4274円,同年10月分の①8867円及び②4282円,同年11月分の①7802円及び②4211円,同年12月分の①7792円及び②4313円,平成18年1月分の①8150円及び②4489円,同年2月分の①7795円及び②4499円,同年3月分の①7886円及び②4513円の合計13万2677円を支払った(乙Cリ2の1ないし11,8の1ないし12,Eリ1)。
この点,原告らは,上記固定電話使用料は自宅用であると主張する。しかし,上記固定電話は,政務調査用事務所のものであり,自宅でも受けることができたにすぎず,自宅用の電話回線も別にあったことが認められるから(乙Eリ1,弁論の全趣旨),原告らの上記主張は採用できない。
b インターネット通信費について
A38議員は,インターネット通信費として,平成17年7月分ないし平成18年3月分の月額1974円の合計1万7766円を支払った(乙Cリ4の1ないし9)。
c はがき代等について
A38議員は,県政報告のため,平成17年11月8日にはがき代等2万5375円を支払った(乙Cリ1,Eリ1)。
この点,原告らは,県や県議会が行う広報とは別に,議員個人が県政報告を政務調査費を支出してまで行う必要はないと主張する。しかし,上記はがき代等は,議員が行う調査研究にかかる事務遂行に要する経費として社会通念上相当であるから,原告らの上記主張は採用できない。
d 按分等について
上記(ア)の按分割合(平成16年度につき165万7625円を加えて4分の1,平成17年度につき104万4622円を加えて4分の1)のとおり,A38議員が,上記固定電話及びファックス用電話の使用料,インターネット通信費及びはがき代等につき,平成16年度に43万2639円(≒[7万2932円+165万7625円]×1/4),平成17年度に30万5110円(=[13万2677円+1万7766円+2万5375円+104万4622円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 携帯電話使用料について
A38議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年4月分の2万7014円,同年5月分の3万0289円,同年6月分の1万3050円,同年7月分の1万1655円,同年8月分の1万0217円,同年9月分の1万2069円,同年10月分の1万2314円,同年11月分の1万0869円,同年12月分の1万3350円,平成17年1月分の1万0889円,同年2月分の1万5965円,同年3月分の1万4395円の合計18万2076円を支払い,同年4月分の1万1475円,同年5月分の1万4140円,同年6月分の1万5130円,同年7月分の1万4073円,同年8月分の1万4508円,同年9月分の1万8055円,同年10月分の1万5871円,同年11月分の1万1424円,同年12月分の1万1665円,平成18年1月分の8295円,同年2月分の8190円,同年3月分の8295円の合計15万1121円を支払った(乙Cリ3の1ないし12,9の1ないし12)。
そして,上記(ア)の按分割合(5分の1)のとおり,A38議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に3万6415円(≒18万2076円×1/5),平成17年度に3万0224円(≒15万1121円×1/5)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(エ) パソコン関連機器代について
A38議員は,パソコン関連機器代として,「夢見株式会社」に対し,平成16年5月12日に2万4086円,同年9月26日に2万1238円,平成17年2月9日に2万5347円を支払ったと陳述する(乙Cリ5ないし7,Eリ1)。しかし,支払先がパソコン関連機器を扱っていることの裏付けはないから,A38議員の上記陳述は信用できない。
エ 人件費について
(ア) 人件費の按分等について
A38議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり他の目的のものが併設された事務所で雇用されたところ,A38議員は,「a党a18支部」の「人件費」としても,平成15年度に131万7714円,平成16年度に128万3750円,平成17年度に133万3875円を支出した(甲リ11の1ないし3)。
したがって,後述する人件費に,上記「a党a18支部」の「人件費」を加えた上で,社会通念上相当な按分割合として,その4分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法であるとするのが相当である。
(イ) 人件費の支出等について
A38議員は,平成15年4月から平成18年3月までの間,政務調査用事務所で,業務内容を「事務及び調査研究補助」,賃金を月額8万円として,B109を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金月額8万円を支払った(乙Dリ1,2の1ないし12,3の1ないし12,4の1ないし11,5)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成15年4月につき10万9810円[≒131万7714円×1か月/12か月]を加えて4分の1,平成15年度[同年4月を除く。]につき120万7905円[≒131万7714円×11か月/12か月]を加えて4分の1,平成16年度につき128万3750円を加えて4分の1,平成17年度につき133万3875円を加えて4分の1)のとおり,A38議員が,上記人件費につき,平成15年4月に4万7453円(≒[8万円+10万9810円]×1/4),平成15年度(同年4月を除く。)に52万1976円(≒[8万円×11か月+120万7905円]×1/4),平成16年度に56万0938円(≒[8万円×12か月+128万3750円]×1/4)及び平成17年度に57万3469円(≒[8万円×12か月+133万3875円]×1/4)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,「事務費(人件費)支払書」及び「受領書」(乙Dリ2の1ないし12,3の1ないし12,4の1ないし11,5)の「B109」の字体が,支払者のものと同一であるから,偽造であると主張する。しかし,雇用契約書(乙Dリ1)のB109の各署名の筆跡からすれば,B109が上記「事務費(人件費)支払書」及び「受領書」を自筆したと認められ,A38議員の政務調査用事務所の事務を担当していたB109の行為として自然であるから,原告らの上記主張は採用できない。
オ まとめ
(ア) A38議員は,事務所費として,平成15年4月に5万円,平成15年度(同年4月を除く。)に55万円,平成16年度に60万円,平成17年度に18万0136円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月に支出許容額4万2004円を超える7996円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額46万2046円を超える8万7954円,平成16年度に支出許容額合計50万7455円(=41万6724円+9万0731円)を超える9万2545円を支出した部分は違法であるが,平成17年度に支出許容額合計48万4369円(=38万1645円+10万2724円)を超える違法支出はない。
(イ) A38議員は,事務費として,平成16年度に35万9433円,平成17年度に62万3111円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額合計46万9054円(=43万2639円+3万6415円)を超える違法支出はないが,平成17年度に支出許容額合計33万5334円(=30万5110円+3万0224)を超える28万7777円を支出した部分は違法である。
(ウ) A38議員は,人件費として,平成15年4月に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に88万円,平成16年度及び平成17年度にそれぞれ96万円の政務調査費を支出したところ,そのうち,平成15年4月に支出許容額4万7453円を超える3万2547円,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額52万1976円を超える35万8024円,平成16年度に支出許容額56万0938円を超える39万9062円,平成17年度に支出許容額57万3469円を超える38万6531円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A38議員に対し,平成15年4月分合計4万0543円(=7996円+3万2547円),平成15年度分(同年4月を除く。)合計44万5978円(=8万7954円+35万8024円),平成16年度分合計49万1607円(=9万2545円+39万9062円),平成17年度分合計67万4308円(=28万7777円+38万6531円)の総合計165万2436円の不当利得の返還を請求するべきである。
(40)  A39議員(以下「A39議員」という。)
ア 事務所の設置状況等について
A39議員の政務調査用事務所(和歌山市〈以下省略〉f8ビル3階)は,平成15年4月から同年7月までの間は,自宅(同市〈以下省略〉)とは別の場所に,同年8月以降は,自宅に設置されていた(乙Bル1,Eル1)。
また,A39議員の後援会は,自宅(和歌山市〈以下省略〉)に設置されていた(甲A5の3,Eル1,弁論の全趣旨)。
この点,A39議員は,平成15年8月から平成17年8月までの間,B110から賃料月額6万円で賃借したA39議員の自宅前の建物2軒分に,政務調査用事務所を設置していたと陳述する(乙Eル1)。しかし,A39議員がB110に対し平成17年1月分ないし同年8月分の賃料月額6万円を支払ったことを証明するために提出された「家賃金領収之通」(乙Bル1)には,政務調査用事務所を設置していたという建物の賃料であることを示す記載はないし,賃料の受領者がB110ではない上,賃料支払日がいずれも平成17年8月14日であるなど,不自然である。したがって,A39議員の上記陳述は信用できない。
また,A39議員は,平成15年4月の県議会議員選挙で当選した際,次期の立候補は辞退しようと考えていたため,同月以降,後援会の活動実体はなかったなどと陳述するが(乙Eル1),その裏付けはないから,信用できない。
イ 事務所費について
(ア) 事務所費の按分等について
A39議員の政務調査用事務所の事務所費については,上記アのとおり他の目的のものが併設されていなかった事務所に係るものであるから,按分して政務調査費を支出する必要は認められない。
(イ) 事務所賃料について
A39議員は,平成15年4月から同年7月までの間,B111から,和歌山市〈以下省略〉所在のf8ビル3階の1室を賃借し,同人に対し,同年4月分ないし同年7月分の賃料を支払った(乙Bル2,Eル1,弁論の全趣旨)。
また,A39議員は,上記賃料につき,月額8万円を支払ったと陳述するところ(乙Eル1),その金額が不合理ではないことからすれば,そのとおり認められる。
そして,A39議員が,上記事務所賃料につき,平成15年4月に8万円,平成15年度(同年4月を除く。)に24万円(=8万円×3か月)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(ウ) 光熱水費について
A39議員は,平成15年4月の光熱水費が2350円であると陳述するところ(乙Eル1),A39議員が同年4月に政務調査用事務所を賃借していたこと,その金額が不合理ではないことからすれば,そのとおり認められる。
そして,A39議員が,上記光熱水費につき,平成15年4月に2350円を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
ウ 事務費について
(ア) 事務費の按分等について
A39議員の政務調査用事務所の携帯電話使用料については,その汎用性の高さを考慮すれば,調査研究以外に,後援会の活動や,私的にも利用されていたと認められるから,社会通念上相当な按分割合として,その3分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,A39議員は,携帯電話を調査研究以外に使用しなかったと陳述するが(乙Eル1),その裏付けはないから,信用できない。
(イ) 携帯電話使用料について
A39議員は,携帯電話(090-〈省略〉)の使用料として,平成16年5月分の7887円,同年6月分の8022円,同年7月分の9562円,同年8月分の9045円,同年9月分の7299円,同年10月分の7163円,同年11月分の9554円,同年12月分の7892円,平成17年1月分の8880円,同年2月分の7295円,同年3月分の9563円,同年4月分の8503円の合計10万0665円を支払い,同年5月分の7717円,同年6月分の7717円,同年7月分の7717円,同年8月分の8032円,同年9月分の8312円,同年10月分の8312円,同年11月分の8312円,同年12月分の8343円,平成18年1月分の8028円,同年2月分の8028円,同年3月分の8028円,同年4月分の8028円の合計9万6574円を支払った(乙Cル1,2)。
なお,A39議員は,請求月,すなわち,支払月ではなく,使用月を基準にして,各年度の政務調査費を支出していたところ,携帯電話使用料は,継続的契約に係るものであり,定期的に支払がされることからすれば,上記のような支出方法も不合理とはいえない。
そして,上記(ア)の按分割合(3分の1)のとおり,A39議員が,上記携帯電話使用料につき,平成16年度に3万3555円(=10万0665円×1/3),平成17年度に3万2191円(≒9万6574円×1/3)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,「ドコモ料金支払内訳書」の「記事」欄には「一括請求によるお支払い」との記載があるから(乙Cル1,2),数台分の使用料であると主張する。確かに,上記記載からすれば,複数の回線が使用されていたことがうかがわれる。しかし,上記書面に表示された電話使用料は,「事前案内書兼領収証」の「電話番号毎のご請求内訳をご確認ください」との記載(乙Cケ5の1ないし10)がいう電話番号毎の電話使用料,すなわち,上記携帯電話番号のみの使用料であると認められるから(乙Cケ15,16),原告らの上記主張は採用できない。
(ウ) その他
a A39議員は,固定電話使用料として,平成16年度に約18万円,平成17年度に約12万7500円を,パソコン通信費として,平成16年度及び平成17年度にそれぞれ約3万6000円(月額3000円程度)を,プリント用紙,プリンター用インク等の代金として,平成16年度及び平成17年度にそれぞれ約1万円を,パソコン修理費として,平成17年度に約4万円を,それぞれ支払ったと陳述するが(乙Eル1),その裏付けはないし,金額が曖昧であるから,信用できない。
b また,A39議員は,プリンター代として,平成16年度に2万円を支払ったと陳述するが(乙Eル1),その裏付けはないから,信用できない。
c さらに,A39議員は,シール作成機修理費として,「株式会社サンコー」に対し2万6250円を支払ったと陳述する(乙Cル3,Eル1)。しかし,支払先がシール作成機やその修理を扱っていることの裏付けはないから,A39議員の上記陳述は信用できない。
エ 人件費
(ア) 人件費の按分等について
A39議員の政務調査用事務所の人件費については,上記アのとおり,平成15年8月以降は,他のものが併設された事務所で雇用されたから,社会通念上相当な按分割合として,その2分の1を超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
(イ) 人件費の支出等について
A39議員は,平成15年4月から平成18年3月までの間,毎月後半の土曜日及び日曜日の政務調査に係る補助業務のために,賃金月額1万5000円で,B112を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額1万5000円を支払い,平成15年において,多忙のため,別途賃金として2万5000円を支払った(乙Dル1,3,5)。
なお,上記多忙な時期は,平成15年4月から7月までの4か月間ではなく,同年8月から平成16年3月までの8か月間であったと認めるのが相当である。
また,A39議員は,平成15年4月から平成18年3月までの間,毎月後半の土曜日及び日曜日の政務調査に係る補助業務のために,賃金月額1万円で,B113を雇用し,同人に対し,平成15年4月分ないし平成18年3月分の賃金として月額1万円を支払った(乙Dル2,4,6)。
そして,上記(ア)の按分割合(平成15年8月以降は2分の1)のとおり,A39議員が,上記人件費につき,平成15年4月に2万5000円(=1万5000円+1万円),平成15年度(同年4月を除く。)に18万7500円(=[1万5000円+1万円]×3か月+[1万5000円×8か月+2万5000円+1万円×8か月]×1/2),平成16年度及び平成17年度に各15万円(=[1万5000円×12か月+1万円×12か月]×1/2)をそれぞれ超えて政務調査費を支出した部分は違法である。
この点,原告らは,電話番,運転,雑務等に対する賃金が調査研究に直接必要なものとはいえないと主張するが,これらに対する賃金も,議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費として社会通念上相当であるから,採用できない。
オ まとめ
(ア) A39議員は,事務所費として,平成15年4月に8万2350円,平成15年度(同年4月を除く。)に49万4100円,平成16年度に42万円,平成17年度に30万円の政務調査費を支出した(別紙1)。そのうち,平成15年4月については,支出許容額合計8万2350円(=8万円+2350円)を超える違法支出はないが,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額24万円を超える25万4100円を支出した部分は違法であり,平成16年度に42万円及び平成17年度に30万円をそれぞれ支出したことは全額違法である。
(イ) A39議員は,事務費として,平成16年度に25万0880円,平成17年度に18万0900円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成16年度に支出許容額3万3555円を超える21万7325円,平成17年度に支出許容額3万2191円を超える14万8709円を支出した部分は違法である。
(ウ) A39議員は,人件費として,平成15年4月に2万5000円,平成15年度(同年4月を除く。)ないし平成17年度にそれぞれ30万円の政務調査費を支出したところ(別紙1),そのうち,平成15年4月にについては,支出許容額2万5000円を超える違法支出はないが,平成15年度(同年4月を除く。)に支出許容額18万7500円を超える11万2500円,平成16年度及び平成17年度に支出許容額各15万円を超える各15万円を支出した部分は違法である。
(エ) よって,被告は,A39議員に対し,平成15年度(同年4月を除く。)分合計36万6600円(=25万4100円+11万2500円),平成16年度分合計78万7325円(=42万円+21万7325円+15万円),平成17年度分合計59万8709円(=30万円+14万8709円+15万円)の総合計175万2634円の不当利得の返還を請求するべきである。
5  争点(3)(附帯請求の起算日)について
(1)  上記2(2)のとおり,政務調査費の支出については,議員の合理的判断に委ねられているというべきであるところ,上記1(2)のとおり認められる和歌山県の政務調査費の交付,使用及び返還の仕組み,上記第2の1(3)のとおり,本件使途基準が抽象的な文言を用いて政務調査費の使途基準を設定していること,並びに本件議員らの政務調査費の支出のうち本件使途基準に適合しないと認められる支出の内容及び性質等にかんがみれば,本件議員らが悪意の受益者であったとは認められず,他にこれを認めるに足りる立証はなされていない。
(2)  不当利得返還義務は期限の定めのない債務であるから,遅延損害金が発生するのは,その履行を請求され当該債務が履行遅滞となったときからである。これに対し,原告らは,政務調査費収支報告書の提出時点で残余の額も確定しているので,議員が確定した残余をなお保持しておくべき合理的理由はないから,附帯請求の起算日は,政務調査費の交付を受けた年度の翌年度の5月1日とするべきであると主張するが,本件条例には残余の返還時期について明確に定めた規定はないから,原告らの上記主張は,根拠を欠くものであって採用できない。
そして,原告らは,和歌山県がA36議員を除く本件議員らに不当利得返還義務の履行を請求した事実を主張立証していないから,A36議員を除く本件議員らに遅延損害金の支払義務があるとは認められない。
第4  結論
以上によれば,原告らの請求は,被告に対し,A2議員に対して358万9963円,A3議員に対して108万3905円,A4議員に対して84万9351円,A5議員に対して479万2921円,A6議員に対して20万1990円,A7議員に対して182万6113円,補助参加人Z1に対して85万1469円,亡A1相続人A8に対して42万5734円,亡A1相続人A9に対して42万5734円,A10議員に対して310万6353円,A11議員に対して482万4624円,A12議員に対して175万円,A13議員に対して149万5748円,A14議員に対して212万6593円,A15議員に対して195万5546円,A16議員に対して439万4000円,A17議員に対して101万5699円,A18議員に対して158万0301円,A19議員に対して101万2659円,A20議員に対して252万1814円,A21議員に対して141万0191円,補助参加人Z2に対して133万1687円,A22議員に対して25万9498円,A23議員に対して207万5750円,A24議員に対して163万3469円,A25議員に対して31万7391円,補助参加人Z3に対して83万6006円,A26議員に対して361万2051円,A27議員に対して398万9183円,A28議員に対して262万2557円,A29議員に対して224万2605円,A30議員に対して250万5483円,A31議員に対して251万6197円,A32議員に対して45万7769円,A33議員に対して22万0465円,A34議員に対して499万5947円,補助参加人Z4に対して179万1701円,A35議員に対して62万1729円,A37議員に対して183万0570円,A38議員に対して165万2436円,A39議員に対して175万2634円の支払をそれぞれ請求することを求める限度で理由があるからその限度で認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 髙橋善久 裁判官 永野公規 裁判官 加藤弾)

 

〈以下省略〉


「選挙 コンサルタント」に関する裁判例一覧
(1)令和元年 9月 6日 大阪地裁 令元(わ)2059号 公職選挙法違反被告事件
(2)平成31年 3月 7日 知財高裁 平30(行ケ)10141号 審決取消請求事件
(3)平成30年12月18日 高知地裁 平28(行ウ)8号 損害賠償請求及び公金支出差止請求事件
(4)平成30年 9月28日 東京地裁 平26(ワ)10773号 損害賠償請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(5)平成30年 6月 6日 東京高裁 平29(ネ)2854号 株主代表訴訟控訴事件
(6)平成30年 4月25日 東京地裁 平28(ワ)31号 証書真否確認、立替金等返還債務不存在確認等請求事件、立替金返還請求反訴事件、立替金請求反訴事件
(7)平成30年 3月30日 東京地裁 平27(ワ)37147号 損害賠償請求事件
(8)平成30年 3月28日 東京地裁 平27(行ウ)616号 閲覧謄写請求事件
(9)平成30年 3月26日 東京地裁立川支部 平28(ワ)2678号 損害賠償請求事件
(10)平成30年 2月 8日 仙台高裁 平29(行コ)5号 政務調査費返還履行等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(11)平成29年 5月22日 東京地裁 平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件
(12)平成29年 3月28日 東京地裁 平25(ワ)28292号 謝罪広告等請求事件
(13)平成29年 3月 8日 東京地裁 平26(行ウ)300号 地位確認等請求事件
(14)平成29年 2月 2日 東京地裁 平26(ワ)25493号 株式代金等請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(15)平成29年 1月31日 仙台地裁 平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行等請求事件
(16)平成28年 9月16日 福岡高裁那覇支部 平28(行ケ)3号 地方自治法251条の7第1項の規定に基づく不作為の違法確認請求事件
(17)平成28年 9月 2日 福岡高裁 平28(う)180号 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害、加重収賄被告事件
(18)平成28年 4月22日 新潟地裁 平25(行ウ)7号 政務調査費返還履行請求事件
(19)平成28年 3月30日 東京地裁 平21(行ウ)288号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(20)平成28年 3月17日 東京地裁 平26(ワ)23904号 地位確認等請求事件
(21)平成28年 3月17日 福岡地裁 平26(わ)1215号 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害,加重収賄被告事件
(22)平成28年 3月17日 福岡地裁 平26(わ)968号 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害、加重収賄被告事件
(23)平成27年 4月22日 東京地裁 平25(行ウ)792号 土地区画整理組合設立認可取消等請求事件
(24)平成27年 2月19日 東京地裁 平25(ワ)19575号 遺言無効確認請求事件、不当利得返還請求事件
(25)平成26年10月27日 熊本地裁 平23(行ウ)9号 損害賠償履行請求事件
(26)平成26年10月20日 東京地裁 平25(ワ)8482号 損害賠償請求事件
(27)平成26年 2月28日 東京地裁 平25(ヨ)21134号 配転命令無効確認仮処分申立事件 〔東京測器研究所(仮処分)事件〕
(28)平成26年 2月26日 東京地裁 平24(ワ)10342号 謝罪広告掲載等請求事件
(29)平成25年 1月29日 和歌山地裁 平19(行ウ)7号 政務調査費違法支出金返還請求事件
(30)平成24年 5月28日 東京地裁 平24(ヨ)20045号 職務執行停止・代行者選任等仮処分命令申立事件
(31)平成23年 8月31日 東京地裁 平22(行ウ)24号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(32)平成22年 7月22日 東京地裁 平20(ワ)15879号 損害賠償請求事件
(33)平成21年10月14日 東京高裁 平20(う)2284号
(34)平成21年 7月28日 東京地裁 平18(ワ)22579号 請負代金請求事件
(35)平成21年 4月28日 大阪地裁 平19(わ)4648号 談合被告事件
(36)平成21年 4月28日 大阪地裁 平19(わ)3456号 談合、収賄被告事件
(37)平成21年 3月27日 宮崎地裁 平18(わ)526号 競売入札妨害、事前収賄、第三者供賄被告事件
(38)平成21年 3月 3日 東京地裁 平19(ワ)10972号 謝罪広告等請求事件
(39)平成21年 3月 3日 水戸地裁 平18(行ウ)7号 小型風力発電機設置事業に係わる損害賠償請求事件
(40)平成21年 3月 2日 東京地裁 平20(ワ)6444号 売上代金請求事件
(41)平成20年10月31日 大阪地裁 平17(行ウ)3号 損害賠償請求、不当利得金返還請求事件(住民訴訟) 〔枚方市非常勤職員特別報酬住民訴訟〕
(42)平成20年 9月29日 東京地裁 平18(ワ)7294号 損害賠償請求事件 〔つくば市 対 早稲田大学 風力発電機事件・第一審〕
(43)平成20年 9月 9日 東京地裁 平18(ワ)18306号 損害賠償等請求事件
(44)平成20年 8月 8日 東京地裁 平18(刑わ)3785号 収賄、競売入札妨害被告事件〔福島県談合汚職事件〕
(45)平成20年 5月27日 東京地裁 平18(ワ)24618号 損害賠償請求事件
(46)平成20年 3月27日 東京地裁 平18(ワ)18305号 損害賠償等請求事件
(47)平成20年 1月18日 東京地裁 平18(ワ)28649号 損害賠償請求事件
(48)平成19年11月 2日 東京地裁 平19(ワ)4118号 損害賠償請求事件
(49)平成19年 3月13日 静岡地裁沼津支部 平17(ワ)21号 損害賠償請求事件
(50)平成17年11月18日 和歌山地裁 平15(わ)29号 収賄、背任被告事件
(51)平成17年 8月29日 東京地裁 平16(ワ)667号 保険金請求事件
(52)平成17年 7月 6日 東京地裁 平17(ワ)229号 請負代金等請求事件
(53)平成17年 5月31日 東京高裁 平16(ネ)5007号 損害賠償等請求控訴事件
(54)平成17年 5月24日 岡山地裁 平8(行ウ)23号 損害賠償等請求事件
(55)平成17年 2月23日 名古屋地裁 平13(ワ)1718号 労働契約上の地位確認等請求事件 〔山田紡績事件〕
(56)平成17年 2月22日 福島地裁郡山支部 平14(ワ)115号 損害賠償請求事件
(57)平成16年 9月 9日 名古屋地裁 平15(行ウ)34号 損害賠償請求事件
(58)平成16年 8月10日 青森地裁 平15(ワ)32号 名誉毀損に基づく損害賠償請求事件
(59)平成16年 5月28日 東京地裁 平5(刑わ)2335号 贈賄被告事件 〔ゼネコン汚職事件〕
(60)平成15年11月26日 大阪地裁 平14(行ウ)186号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔大阪地労委(大阪ローリー運輸労組・双辰商会)事件・第一審〕
(61)平成15年 7月28日 東京地裁 平14(ワ)21486号 損害賠償請求事件
(62)平成15年 4月10日 大阪地裁 平12(行ウ)107号 埋立不許可処分取消請求事件
(63)平成15年 3月 4日 東京地裁 平元(刑わ)1047号 日本電信電話株式会社法違反、贈賄被告事件 〔リクルート事件(政界・労働省ルート)社長室次長関係判決〕
(64)平成15年 2月20日 広島高裁 平14(う)140号 背任被告事件
(65)平成15年 1月29日 広島地裁 平12(ワ)1268号 漁業補償金支払に対する株主代表訴訟事件 〔中国電力株主代表訴訟事件・第一審〕
(66)平成14年10月10日 福岡地裁小倉支部 平11(ワ)754号 損害賠償請求事件
(67)平成14年10月 3日 新潟地裁 平13(行ウ)1号 仮換地指定取消請求事件
(68)平成14年 5月13日 東京地裁 平13(ワ)2570号 謝罪広告等請求事件
(69)平成13年 7月18日 大阪地裁 平12(ワ)4692号 社員代表訴訟等、共同訴訟参加事件 〔日本生命政治献金社員代表訴訟事件〕
(70)平成12年 8月24日 東京地裁 平10(ワ)8449号 損害賠償等請求事件
(71)平成12年 3月14日 名古屋高裁 平10(う)249号 収賄、贈賄被告事件
(72)平成12年 2月18日 徳島地裁 平7(行ウ)13号 住民訴訟による原状回復等請求事件
(73)平成10年 4月20日 大阪地裁 平6(ワ)11996号 損害賠償請求事件 〔誠光社事件・第一審〕
(74)平成10年 3月31日 東京地裁 平7(ワ)22711号 謝罪広告請求事件
(75)平成10年 3月26日 名古屋地裁 平3(ワ)1419号 損害賠償請求事件 〔青春を返せ名古屋訴訟判決〕
(76)平成 9年10月24日 最高裁第一小法廷 平7(あ)1178号 法人税法違反被告事件
(77)平成 9年 3月21日 東京地裁 平5(刑わ)2020号 収賄、贈賄等被告事件 〔ゼネコン汚職事件(宮城県知事ルート)〕
(78)平成 8年 2月14日 東京高裁 平6(う)342号 法人税法違反被告事件
(79)平成 7年 9月20日 福岡地裁 平5(行ウ)17号 地方労働委員会命令取消請求事件 〔西福岡自動車学校救済命令取消等事件〕
(80)平成 7年 2月23日 最高裁第一小法廷 平5(行ツ)99号 法人税更正処分等取消請求上告事件
(81)平成 6年12月21日 東京地裁 平元(刑わ)1048号 日本電信電話林式会社法違反、贈賄被告事件 〔リクルート事件政界ルート判決〕
(82)平成 6年 5月 6日 奈良地裁 昭60(わ)20号 法人税法違反被告事件
(83)平成 5年 3月16日 札幌地裁 平元(わ)559号 受託収賄被告事件 〔北海道新長計汚職事件〕
(84)平成 2年 8月30日 福岡地裁 昭58(ワ)1458号 損害賠償請求事件
(85)平成 2年 4月25日 東京高裁 昭63(う)1249号 相続税法違反被告事件
(86)平成 2年 3月30日 広島地裁呉支部 昭59(ワ)160号 慰謝料請求事件
(87)平成元年 3月27日 東京地裁 昭62(特わ)1889号 強盗殺人、死体遺棄、通貨偽造、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反、強盗殺人幇助、死体遺棄幇助被告事件 〔板橋宝石商殺し事件・第一審〕
(88)昭和63年11月 2日 松山地裁 昭59(行ウ)4号 織田が浜埋立工事費用支出差止請求訴訟第一審判決
(89)昭和62年 7月29日 東京高裁 昭59(う)263号 受託収賄、外国為替及び外国貿易管理法違反、贈賄、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反被告事件 〔ロッキード事件丸紅ルート・控訴審〕
(90)昭和62年 2月19日 東京高裁 昭61(ネ)833号 損害賠償等請求控訴事件 〔総選挙当落予想表事件〕
(91)昭和61年 6月23日 大阪地裁 昭55(ワ)5741号
(92)昭和61年 3月31日 大阪地裁 昭59(ヨ)5089号
(93)昭和60年 9月26日 東京地裁 昭53(行ウ)120号 権利変換処分取消請求事件
(94)昭和60年 3月26日 東京地裁 昭56(刑わ)288号 恐喝、同未遂被告事件 〔創価学会恐喝事件〕
(95)昭和60年 3月22日 東京地裁 昭56(特わ)387号 所得税法違反事件 〔誠備グループ脱税事件〕
(96)昭和59年12月19日 那覇地裁 昭58(ワ)409号 損害賠償請求事件
(97)昭和58年10月12日 東京地裁 昭51(特わ)1948号 受託収賄、外国為替及び外国貿易管理法違反、贈賄、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反事件 〔ロッキード事件(丸紅ルート)〕
(98)昭和56年 9月 3日 旭川地裁 昭53(ワ)359号 謝罪広告等請求事件
(99)昭和55年 7月24日 東京地裁 昭54(特わ)996号 外国為替及び外国貿易管理法違反、有印私文書偽造、有印私文書偽造行使、業務上横領、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反事件 〔日商岩井不正事件(海部関係)判決〕
(100)昭和52年 9月30日 名古屋地裁 昭48(わ)2147号 商法違反、横領被告事件 〔いわゆる中日スタジアム事件・第一審〕
(101)昭和50年10月 1日 那覇地裁 昭49(ワ)51号 損害賠償請求事件 〔沖縄大蔵興業工場建設協力拒否事件・第一審〕


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選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
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