【選挙から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(49)平成19年 3月13日 静岡地裁沼津支部 平17(ワ)21号 損害賠償請求事件

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(49)平成19年 3月13日 静岡地裁沼津支部 平17(ワ)21号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成19年 3月13日  裁判所名  静岡地裁沼津支部  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)21号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  確定  文献番号  2007WLJPCA03137002

要旨
◆「崩壊したごみリサイクル 御殿場RDF処理の実態」と題する書籍の著作・出版について前御殿場市長の名誉を毀損する不法行為が成立しないとされた事例

出典
判タ 1264号303頁

参照条文
民法709条
民法723条

裁判年月日  平成19年 3月13日  裁判所名  静岡地裁沼津支部  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)21号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  確定  文献番号  2007WLJPCA03137002

原告 内海重忠
上記訴訟代理人弁護士 内海雅秀
被告 亡乙川太郎訴訟承継人
乙川花子
外2名
被告 株式会社緑風出版
上記代表者代表取締役 高須次郎
上記被告ら訴訟代理人弁護士 樋渡俊一
同訴訟復代理人弁護士 岩﨑真弓

 

主文
1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は,原告の負担とする。

事実及び理由
第1  請求
1  被告亡乙川太郎訴訟承継人乙川花子は,原告に対し,被告株式会社緑風出版と連帯して金250万円及びこれに対する平成16年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告亡乙川太郎訴訟承継人乙川薫は,原告に対し,被告株式会社緑風出版と連帯して金125万円及びこれに対する平成16年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告亡乙川太郎訴訟承継人乙川桜は,原告に対し,被告株式会社緑風出版と連帯して金125万円及びこれに対する平成16年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  被告株式会社緑風出版は,原告に対し,上記各被告らと連帯して金500万円及びこれに対する平成16年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,御殿場市長であった原告が,被告株式会社緑風出版(以下「被告会社」という。)が出版した乙川太郎(以下「太郎」という。)の著作である「崩壊したごみリサイクル 御殿場RDF処理の実態」と題する書籍(以下「本件書籍」という。)につき,いわゆるRDF方式のごみ処理施設の導入を原告が積極的に推進したが,その問題が選挙の重要争点となり責任を追及されたことが原因で,市長選挙に落選したなどと事実と異なる誤った記述をして,原告の名誉を毀損したと主張し,太郎が訴訟係属後に死亡したために訴訟を承継したその遺族と被告会社に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
1  争いのない事実
(1)  当事者
原告は,平成5年2月から平成13年1月までの間,2期8年にわたって,静岡県御殿場市長を務めてきた者である。また,訴訟承継前の被告であった太郎は,本件書籍の執筆者であり,被告会社は,書籍及び雑誌の出版並びに販売を目的とした株式会社で,本件書籍を編集・発行したものである。なお,太郎は,本件訴訟が係属した後の平成17年7月12日に死亡し,その妻子である被告乙川花子,被告乙川薫及び被告乙川桜(以下,併せて「被告乙川ら」という。)が本件訴訟を承継した。
(2)  事実経過の概要
ア 特別地方公共団体である御殿場市・小山町広域行政組合(管理者は御殿場市長,以下「組合」という。)は,従来,御殿場市川島田に清掃センターを設置して,ごみの焼却処理を行っていたが,同施設の老朽化に伴い,平成元年,新たなごみ処理施設を小山町桑木に建設する計画を立てた。
イ その後,桑木区の住民との交渉・協議を経て,平成3年12月,焼却方式による新清掃センターの建設について,御殿場市,小山町,組合及び桑木区との間で,組合が焼却方式のごみ処理施設を設置することに桑木区民が同意し,その建設・運営にあたって,御殿場市と小山町及び組合が適切な処理を講ずるとの内容の協定が成立した。
ウ ところで,御殿場市では,上記の協定に先立って,平成3年3月ころの新聞報道等の情報に基づいて,ごみから固形燃料(Refuse Derived Fuel,以下「RDF」という。)を製造するごみ処理方式(以下「RDF方式」という。)の研究調査を始めていた。
エ 平成5年2月に御殿場市長に就任した原告は,前任者からの引継ぎに基づき,RDF方式の事業を継続しつつ,桑木区住民に対して,集会を開いて同事業に関する説明を行い,その後,御殿場市,小山町,組合及び桑木区との間で,RDF方式の事業の合意が成立し,協定が締結された。
オ この協定に従って,平成7年から,RDF方式のごみ処理施設(以下「本件施設」という。)の設計,建設が順次進められたが,その後,工期が延長され,平成11年3月,本件施設の完成に至った。ところが,その運転開始とともに,維持管理費が当初の想定を大幅に上回ることが判明したほか,製造されたRDFの品質,製造工程から発生する埃,臭気等の諸問題が生じた。そのため,本件施設の改良工事を行うこととしたが,同年5月31日,本件施設で火災が発生したため,計画を変更して改良工事を実施することとなった。
カ そして,平成12年2月,RDF製品の品質向上,作業環境の改善,機器不具合の改善を行うため,再度,本件施設の改良工事を行ったが,その工事中,再び本件施設で火災が発生し,当初予定した工事は完了したものの,同年5月,改めて改造工事を行い,同年7月2日,同工事が完了して,同年9月から,それまでの検証作業が実施される運びとなった。
キ その後,平成13年1月,御殿場市長選挙が行われて長田開蔵(以下「長田現市長」という。)が当選し,市長が交代した。
ク なお,本件施設について,組合の管理者たる長田現市長が,平成15年7月,本件施設を施工した共同企業体(構成員は,三菱商事株式会社,石川島播磨重工業株式会社,株式会社荏原製作所,株式会社フジタ)を被告として,東京地方裁判所に対し,本件施設に起因した損害の賠償を求めて訴訟を提起した。
(3)  本件書籍の記述内容
本件書籍には,原告に関して,以下のような記述がある。
ア 「官僚出身の内海市長は,工学部に籍を置いた経験と,RDFに詳しい大学の先輩から情報を集めて,自らRDFの将来性について,検討していた。その結果,RDFは有望との判断を示して,『ゴー』サインを出した。」(本件書籍30頁3行目から5行目・なお,以下において,すべて本件書籍からの引用であるからその頁と行数のみ表記する。以下「本件記述ア」という。)
イ 「また,内海市長は,御殿場市によるRDF方式の独断先行が原因で,立地先の住民と感情的な対立が生じていた状況を打開するため,桑木区全戸を訪問して謝罪するという行動もとった。副管理者として広域行政のパートナーでもある田代和男小山町長にも,懐疑を晴らすため,これまでの経過や自分自身のRDFに対する評価を説明し,理解を求めた。さらに,町長に大分県津久見市の実証プラント(Jカトレルグループ・共同企業体が1993年11月に完成させた。処理能力は1時間で最大2.5トン,1日8時間稼働で最大20トン)の視察,大阪府の関連施設の見学を積極的に薦めた。」(30頁6行目から12行目,以下「本件記述イ」という。)
ウ 「一連の調査を経て,内海市長は燃焼式から『夢のリサイクル』というRDFの発想にますます意を強くしていった。広域,または両市町の議員もRDFに対する,市長の説得力ある積極的な態度をみて,処理方式をRDFに移行させるという考えに変わっていってしまった。」(30頁14行目から同頁終わりまで,以下「本件記述ウ」という。)
エ 「この間,組合の管理者である当時の内海市長は,ひと言も疑問を企業体にぶつけなかった。合同委員会開催の冒頭,あたりさわりのないあいさつを述べるだけで,実質的な質疑には一切口をつぐんでしまった。この管理者の態度は,住民に不可解に映った。」(123頁15行目から同頁終わりまで)「管理者・内海市長の優柔不断な対応は,町長,そして議員間にも不信感を抱かせた。いつしか,『市長は弱腰』との声が出始めた。」(124頁2行目から3行目,以下「本件記述エ」という。)
オ 「この選挙では,これといった大きな政策論争がなかったが,一つだけ戦いの雌雄を決する課題があった。どうにもならなくなったRDF問題だ。現職市長側は,行政改革の流れを受けた幼稚園・保育所の公設民営化の方針,学校給食の民間参入案,あるいは全国で初めて取り入れ,マスコミで大きく取り上げられ,話題となった『部下による上司の評価制度』などの実績を掲げて,『この流れは変えられない』をスローガンとした法定ビラを,大々的に市内各地域にまいた。しかし,混迷を深めるRDFについては,ひと言もふれずに終わった。これに対して,新人は最後の切り札を用意した。『RDFについては数々の諸問題を市民に情報公開して,透明性のある対策に取り組みます』を公約に掲げたのだ。」(127頁10行目から17行目,以下「本件記述オ」という。)
カ 「さらに,たたみかけるように,『御殿場市を変えよう。このままでは大変なことに……。RDFは市の財政を圧迫していませんか?』と,有権者に向かってメッセージを送った。多額の税負担をハッキリとさせれば,市民のごみ意識も変化して,確実にごみ減量につながるという点を運動で強調した。こうして,一週間という短い選挙戦の後半は,RDFに関する両者の見解が真っ二つに別れる戦いとなった。現職の内海氏は最後までRDF問題は,自己責任も含めて,ダンマリ戦術を貫いた。新人の長田氏は御殿場・小山RDFセンターだけでなく,他県で発生しているRDFトラブルなどを指摘して,現職の執行責任を問うた。RDF問題が市長選の目玉の戦いとなった様相を境に,現職側の動きがにぶってきた。」(127頁17行目から128頁8行目,以下「本件記述カ」という。)
キ 「投票日後,当選した長田陣営からは,『RDFが切り札となって有権者の支持を取り付けられた』という声がしきりに起こった。一方,敗れた現職側からは,『RDFが命取りになった。あれが現職の唯一の失政だった』との反省の弁が出た。それまでRDFに黙っていた有権者が,唯一溜飲を下げる場面だった。ともあれ,ごみ処理施設問題が市長選の最大の争点となり,勝敗の行方を決めるまで発展するとは当初,両陣営とも計算に入れていなかった。」(129頁11行目から16行目,以下「本件記述キ」という。)
ク 「さらに,6カ月前の1月に行われた現職との凄まじい選挙戦の際,『RDF問題の徹底解明』を公約に掲げたことも働いた。」(140頁6行目から7行目,以下「本件記述ク」という。)
ケ 「ところが,RDFの余剰に窮した組合側は,RDF導入を決めた当時の内海市長を通して強引にRDF燃焼併用のボイラー施設の設置を働きかけた。」(159頁1行目から2行目,以下「本件記述ケ」という。)
2  争点と当事者の主張
(1)  本案前の主張(訴権の濫用)
(被告らの主張)
本件書籍は,平成16年6月20日,被告会社から出版されたが,その記述は,原告の社会的評価を低下させるものでなく,原告からも,著者である太郎や被告会社へ何ら連絡,照会等をしなかった。ところが,原告は,平成17年1月30日に行われた御殿場市長選挙の告示の2日前である同年1月21日になって,突然,本件訴訟を提起した上,翌22日に訴え提起に関する文書を幹事新聞社等に送付した。このような経緯からして,原告は,自らの名誉回復・救済を求めるというよりも,選挙の対立候補者から本件施設の導入についての責任を追及され,選挙の劣勢を挽回すべく,選挙民に対して自らの責任がないことをアピールするため,対立候補者の後援会報に表紙写真が掲載された本件書籍の著者と出版社を提訴したことが明らかなのである。したがって,本件訴訟は,法律的根拠を欠き,要保護性が認められないから,訴権の濫用にあたり,訴え自体が不適法であるから却下されるべきである。
(原告の主張)
原告は,本件書籍の発売後にこれを読み,自らについて余りに真実と異なる記述がなされ,自己の名誉が著しく侵害されていることに強い驚きと憤りを禁じ得なかったが,新聞記者である著者と出版社を相手に名誉毀損を指摘して糾弾することは多大な労力を要し,また,本件書籍の波及効果を計り得なかったことなどから,法的措置を含めた対応をとれずにいた。しかし,御殿場市長選挙が近づくにつれ,対立候補者側の支援者による原告へのネガティブキャンペーンが激化し,本件書籍を紹介して原告を非難する活動がなされるに及んで,自己の名誉を回復すべく本件訴訟の提起に至ったもので,その権利保護の必要性が明白であり,訴権の濫用ではない。
(2)  名誉毀損の該当性
(原告の主張)
ア 本件書籍は,まず,その書名において,御殿場市におけるRDF問題に焦点を当て,「崩壊」という評価によりそのRDF問題に強い批判を加える内容であることを示している。その内容をみると,「序章」において,「大手ゼネコンの口車にまんまと乗せられ(中略)財政危機を招いて四苦八苦している」(12頁6行目),「いまや幻想どころか,幻滅,あるいは地獄の様相」(同頁16行目),「凄まじいエネルギー浪費」(18頁16行目)といった激しい中傷的表現を用いて,本件施設を非難している。
イ それに引き続いて,第1章(19頁以降)において,御殿場市における平成3年3月から平成5年1月までのRDF施設導入の推進経緯が概観され,その後,平成5年1月の御殿場市長選挙の記載の後,本件記述アないしウが続く。そのあと,第2章(41頁以降)では,「夢の施設から地獄の施設へ」と題して,本件施設で発生したトラブルを指摘し,さらに,第3章(55頁以降)ないし第6章(105頁以降)において,本件施設に関わる問題点や原告の対応を,①「この火災に一番慌てたのは,組合管理者の御殿場市長。(中略)表情もひきつり,容易ならざる事態に追い込まれた自分を感じている様子だった。」(68頁11行目から12行目),②「不祥事は,信じたくないのが本音」(同頁15行目から16行目),③「漫画的な状態」(69頁9行目),④「ゾッとするほどの恐怖」(71頁14行目),⑤「地球温暖化の元凶とも指摘される,化け物」(72頁11行目から12行目),⑥「かつて経験したことのない異様な事態」(76頁14行目から15行目),⑦「おぞましいリスク」(107頁11行目)などと,憶測的,情緒的かつ大仰な表現を用いて記述している。その上で,第7章(117頁以降)で,企業体との交渉における原告の対応について,本件記述エがなされ,その後,平成13年1月の御殿場市長選挙の模様について,本件記述オないしキが4頁にわたって続いている。さらに,⑧「〔RDF問題で現職市長が落選〕」(124頁4行目),⑨「RDFシステム導入に『ゴーサイン』を出した官僚出身の御殿場市の内海市長」(125頁17行目から126頁1行目),⑩「RDF問題は時間が経過するにつれ,企業体との交渉は泥沼化して,結果,市長に対する不満,不信が徐々にではあるが,声となり始めていた。」(126頁2行目から3行目),⑪「(中略)必死の陳情に対して,RDF導入を決断してプールでのRDF燃焼を受諾させた内海市長は,(中略)筋違いの抗議であるとの態度を露骨に示した。(中略)市長は市民の健康管理,安全な生活を保証することを,ただRDF消費のため,やすやすと放棄した」(165頁1行目から6行目)といった記述をしている。
ウ このような記述を全体としてみれば,これを読む一般の読者が,①本件施設は,重大な環境的危険性を有し,かつ膨大な経費上の無駄を伴う著しい瑕疵施設である,②原告は,平成5年の市長就任以前からRDFについて独自に調査し,検討していた,③原告は,上記①のような本件施設の導入を自ら積極的かつ強力に推進し,組合議会等をRDF採用の方向に導いた,④原告は,本件施設に発生したトラブル及びこれに関する企業体との交渉において,無為無策であった,⑤原告は,上記①ないし④に基づく責任追及に反論できず,それが原因で平成13年の市長選挙に敗北した,という事実が摘示されていることを理解することになる。その理解に基づき,一般の読者は,原告が「地獄の施設」「化け物」である本件施設の導入を積極的に推進した人物であり,その後の問題解決につき「優柔不断」で「不可解」かつ「弱腰」な対応しかせず,そのことが原因で市長選挙に落選した人物と評価することとなり,これによって,原告の社会的評価が著しく低下することが明らかなのである。
このことは,平成17年1月の御殿場市長選挙において,一般人である長田陣営の支持者が,そのビラで本件書籍を取り上げ,原告への批判材料に使っている事実自体からして,本件書籍の記述が一般の読者から見て原告の社会的評価を低下させるものであることを如実に物語っている。
(被告らの主張)
ア 本件書籍の記述は,そのほとんどが個別的には,形式上,直接に原告個人を非難・中傷する表現とはなっておらず,原告の公務遂行とこれに対する社会一般の評価の記述であって,なんら原告の社会的評価を低下させるものではない。そもそも,社会一般から注目され,称賛や批評を受ける立場にある者に対し,通常の報道,批評活動を行ったからといって,それが対象者の社会的評価を低下させ,名誉を毀損することにはならない。とりわけ,政治家の行動に関する報道,批評は,それが民主主義の根幹をなすことから極めて重要であり,そのような報道,批評が容易に名誉毀損にあたるとされ,著者や出版社が責任の追及を受けるとすれば,言論・出版及び表現の自由,ひいては民主主義が成り立たなくなる。
イ 本件書籍は,その題名が示すとおり,廃棄物・リサイクル問題に焦点を当てた書物であり,この問題に関心を有する人を読者として想定している。被告会社は,ごみ問題の解決や循環型社会形成を名目として導入されているガス化溶融炉等の新技術が各地でトラブルを引き起こし,夢のごみリサイクルとして喧伝されたRDF施設も,三重県で事故を起こすなど,問題点を顕在化させていた当時の状況を踏まえて,RDF問題のケーススタディとしての社会的意義を認めて,本件書籍を出版したものである。そして,本件書籍の序章では,その目的,意図を端的に述べており,原告のことにはまったく言及していないし,本件書籍全体でも,原告が指摘する箇所を中心として,御殿場市の政治事情を必要な限度で記述するに止まっている。もともと著者は,個々の人間を非難し,攻撃することを意図しておらず,原告個人の責任について眼中にはなく,殊更に,原告の政治家としての資質を問題としたり,その人格を非難することは行っていないし,一般の読者も一登場人物にすぎない原告に関心を抱くとは思われない。
ウ さらに,一般の読者は,本件書籍を読んで,導入された本件施設が惨憺たる結果を招いたことと,それに関わった人の責任は別個の問題として捉えるはずである。また,本件書籍は,原告が御殿場市長に就任する以前におけるRDF施設導入の経緯について詳しく紹介しており,その記述によって,原告のみがその導入を積極的に推進したとか,その導入に誰かが責任を負うとしても,原告のみが大きな責任を負うと一般の読者が認識することはあり得ない。
エ このように,著者の意図,目的及び一般の読者が受ける印象の両面からみても,本件書籍が原告の社会的評価を低下させるものではない。
(3)  本件記述の真実性・相当性,公正な論評
(被告らの主張)
仮に本件書籍の記述が名誉毀損に該当するとしても,本件書籍の記述は,公共の利害に関する事実にかかるもので,その目的がもっぱら公益を図ることにあった。さらに,以下のとおり,摘示した事実がその重要な部分において真実であり,あるいは著者である太郎において,上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当な理由があったといえるから,違法性を阻却し,ないしは故意又は過失を欠き,不法行為は成立しない。
ア 本件記述アについて
(ア) 原告自らが情報収集を行い,RDFの将来性を検討していた点は,以下の事情からして,真実であることが明らかであり,仮にそうでないとしても真実であると信ずることにつき,相当な理由がある。
すなわち,原告は,市長就任直後の平成5年3月,御殿場市ごみ処理基本計画策定検討委員会を組織し,その委員長には,いち早く日本にカトレル方式のRDF施設を紹介した安田八十五筑波大学助教授(以下「安田助教授」という。)に委嘱する一方,大学の先輩であり,かつ同級でもあった廃棄物研究財団のごみ固形燃料化技術調査委員会の横田勇委員長(静岡県立大学教授,以下「横田教授」という。)と密接に連携しながら,ごみ固形燃料化方式の研究・検討を行い,カトレル方式採用の過程に深く関わっていた。そして,御殿場市ごみ処理基本計画策定検討委員会が平成6年3月にまとめた「御殿場市ごみ処理基本計画」の序文において,原告自らが,ごみ問題の解決は,資源循環型社会の構築を急ぎ,可燃ごみ処理も,熱回収,固形燃料化など資源・エネルギーとして再利用することが求められ,組合で検討している可燃ごみ資源化施設は重要であると述べる一方,同年7月19日開催の組合議会ごみ焼却場建設検討委員会において,副委員長の質問に答弁して,RDF方式のみならず,溶融方式など他の廃棄物処理方法についても広く検討した成果を披露した。さらに,原告は,平成8年10月28日,横浜市で開催された日本経済新聞社主催の「脚光あびるRDF」と題したシンポジウムにパネリストとして参加し,自らの研究成果,経験等を踏まえて積極的に発言していた。
(イ) 原告が上記の情報収集,検討を踏まえて,RDF方式を有望と判断して「ゴー」サインを出した点は,以下の事情から,事実であることが明らかであり,仮にそうでないとしても真実であると信ずることにつき,相当な理由がある。
すなわち,原告が御殿場市長に就任し,前任者から引継ぎを受けた平成5年2月当時,新しいごみ処理方法をRDF方式とすることは決定に至っておらず,議員,職員,住民らによる国内諸施設への頻繁な視察調査を行っていたもので,組合広報誌平成11年12月20日号では「平成6年3月22日 広域議会ごみ焼却場建設検討委員会でごみ固形化燃料方式採用決定」と明記されている。その過程において,原告は,上記(ア)のとおりの発言をなし,また,当選した当時に原告を支持する市議会議員グループ発行の「市政だより」に「私の考え」として,ごみ問題について,固形燃料方式,関連施設建設導入に対する積極的姿勢,意欲を述べていた。
イ 本件記述イについて
(ア) 桑木区住民への謝罪等の点については,以下の事情から,真実であることが明らかであり,仮にそうでないとしても真実であると信ずることにつき,相当な理由がある。
すなわち,原告が御殿場市長に就任した当時,ごみ処理施設の設置に関し,桑木区民の怒りが強く,御殿場市長・組合管理者において,桑木区を訪問し,謝罪する必要があることについて,組合議会等で意見が噴出した状況にあって,平成5年7月6日から同月22日にかけて,組合職員が桑木区を全戸訪問して謝罪したが,このことは原告も組合議会ごみ焼却場建設検討委員会で報告を受けており,原告もまた,小山町長とともに,同年11月28日に桑木区を訪問している。
(イ) 小山町長への働きかけ等の点については,以下の事情から,真実であることが明らかであり,仮にそうでないとしても真実であると信ずることにつき,相当な理由がある。
すなわち,田代和男小山町長(以下「田代小山町長」という。)は,平成5年9月14日開催の町議会において,RDF方式を導入するか否かは未定であると断言し,その発言からは,組合や御殿場市とは距離を置く姿勢が現れており,RDF方式導入に批判的な立場にあったところ,その事業化に向けて,小山町と桑木区住民の同意が不可欠なため,原告は,組合と組合議会のごみ焼却場建設検討委員会の席上で説明するなど,説得を行い,あるいは施設視察の参加を促した。さらに,平成6年4月14日,横田教授が御殿場市を訪問し,原告と芹澤孝治参事(以下「芹澤参事」という。)立会いの下で,田代小山町長にRDF施設の歴史,日本での技術の状況や調査状況等を専門的立場から説明したが,これも田代小山町長への説得工作の一環であった。
ウ 本件記述ウについて
原告がRDF方式に意を強くして積極的態度をとったとする点については,以下の事情から,真実であることが明らかであり,仮にそうでないとしても真実であると信ずることにつき,相当な理由がある。
すなわち,原告は,御殿場市長就任以来,平成7年10月5日のRDF施設建設工事仮契約書の締結までの2年8か月余りの間,自らRDF施設を視察し,静岡県企業局が立ち上げたRDFによる地域ごみ発電研究会に職員を派遣して情報を収集し,さらに,副管理者である小山町長,御殿場市,小山町及び組合議員,桑木区住民ら多数の関係者を国内各所の施設見学に赴かせていたほか,平成7年3月6日発行の「広報ごてんば」に,固形燃料化方式による本格的な施設は我が国で第1号になると掲載し,原告自らが本件施設の特長,優越性を具体的に指摘した挨拶文を寄せている。また,原告が御殿場市長に就任した当時,小山町議をはじめとしてRDF施設に消極的な議員も少なくなかったが,原告が御殿場市ごみ処理基本計画策定検討委員会を組織し,その委員長に安田助教授を迎え,「御殿場市ごみ処理基本計画」の序文でRDF施設の重要性を自ら熱心に説き,組合議会のごみ焼却場建設検討委員会でもその有効性を熱心に体系的に演説するなどの活動によって,他の議員の考え方を次第に感化していったことは十分にうかがわれる。
エ 本件記述エについて
原告の不可解な態度と「市長は弱腰」との市民の声の点については,以下の事情から,真実であることが明らかであり,仮にそうでないとしても真実であると信ずることにつき,相当な理由がある。
(ア) すなわち,原告は,本件施設の建設を請け負った共同企業体との交渉の場である合同委員会の席上,冒頭の挨拶でRDFの窮状に若干触れただけで,発注者側からはもっぱら組合議会議員が質疑を行った。そして,2年間余りの交渉の場であった合同委員会で,議員や小山町長が企業体を厳しく追及する発言を頻発していたのに対し,管理者で工事発注責任者であった原告は,発言を控えていた。
(イ) また,共同企業体は,平成10年7月8日,組合に対し,本件施設の改造工事に関わる提案をしたが,その内容は,処理するごみ質を設計基準ではなく,現状のごみ質を前提とすること,同年8月1日以降に発生するごみ処理費用は,RDF搬出・処理費用や予備品,消耗品の費用も含めて組合負担とすること,RDFの引取先確保は組合の責任で行うこと,工期延長に伴う納期遅延損害金を課さない,というものであった。これについて,平成11年5月22日付け日刊静岡紙面では,同月20日に開催された組合のごみ処理施設建設委員会において,組合当局から本件施設の建設にかかる総事業費の未払い金約34億円の支出を了解してくれるよう提案があったが,本件施設でのトラブルの経緯等の重大さを憂慮した委員から「待った」がかかったこと,納期遅延損害金の免除について,管理者である原告から,これを課した場合に裁判となる可能性もあり,係争期間,和解勧告までの道程も長引く懸念があるので難しい旨の発言があったと報じた。それを受けた同月24日開催の組合ごみ処理施設建設合同委員会において,組合は,本件施設改造中のごみ処理委託費の組合負担,共同企業体に対する納期遅延損害金の免除を決め,共同企業体と合意書を締結し,残金の支払を決定したが,その際,原告は,「工期遅れのペナルティーを支払わせるべきだとの意見が議会から出たが,組合にも工事を巡り甘い認識があり,工期遅れで組合が実害を被っていないのでペナルティーを免除することにした。」旨の発言を行ったことが,同月26日付け岳麓新聞で報じられた。さらに,同年11月10日に発生した本件施設内の破損事故について,原告は,同月29日の定例記者会見の席上,「9月末の性能試験を終了し,10月25日のメーカー側も交えたごみ処理施設建設委員会の席で,メーカー側から今後もシステムを効率的に動かすための試験をしたいとの申出があり,それを了承している。今回のトラブルについては,原因,経過からして,この試験段階と考え,重大事故と認識していない。」との見解を明らかにし,この認識から組合議員にも事故を報告しなかったと同年11月30日付け日刊静岡で報じられた。また,平成12年3月13日に開催された御殿場市議会議員懇談会の席上,出席議員から,本件施設は本当に正常運転されるのか,完成が遅れているのは契約違反ではないか,ペナルティーは取らないのかといった質問,意見が出されたが,組合事務局長が,今回の改造工事により契約目的を達成できると企業体が報告しているので信頼するしかないと応じたところ,これを報じた同月15日付け岳麓新聞は,本件施設の工事に不満の声が議会内に多く,原告には工事をしっかり監督し,共同企業体にけじめをつけさせることが望まれていると論評した。
オ 本件記述オないしクについて
御殿場市長選挙の争点に関する点について,以下の事情からして,真実であることが明らかであり,仮にそうでないとしても真実であると信ずることにつき,相当な理由がある。
すなわち,対立候補陣営は,「RDFについては,数々の諸問題を市民に情報公開しながら,透明性のある対策に取り組みます。」と訴えて,市民への情報公開を公約しており,太郎は,選挙の開票後に取材のために市役所を訪れた際,原告派の市議会議員から「RDFの選挙公報にしびれた。」等の話を聞き,また,同様に原告派の市議会議員から「RDFが命取りになった。あれが現職の唯一の失政だった。」との弁を聞いている。
カ 本件記述ケについて
RDF燃焼併用ボイラー施設設置の働きかけの点について,以下の事情からして,真実であることが明らかであり,仮にそうでないとしても真実であると信ずることにつき,相当な理由がある。
すなわち,原告は,平成10年1月28日,「玉穂地区屋内プール建設に伴う固形燃料ボイラー導入計画説明会について」と題する文書を,設置予定地区である中畑東区住民宛に提出し,同年2月4日,玉穂プール建設に伴うRDFボイラー導入計画説明会を行っているが,玉穂プールは,当初,熱源として深夜電力と灯油の併用を予定していたところ,RDFの余剰が問題化した後,計画が変更されて,RDFボイラーが導入されようとした。これに対し,ゴミ固形燃料を考える会から,同年6月2日,導入反対の陳情書が提出されたが,これを押し切って施設導入が図られたものであり,このような経過を踏まえて,本件記述ケの表現には合理的な理由があり,また,少なくとも公正な論評の範囲内にある。
(原告の主張)
以下のとおり,本件書籍の原告に関する記述はいずれも真実ではなく,太郎や被告会社がこれを真実と信ずるについて相当の理由もない。
ア 本件記述アについて
(ア) 本件記述アについて,まず,御殿場市ごみ処理基本計画策定検討委員会の組織と委員長委嘱の名義が原告となっていた事実から,原告が「RDFに詳しい大学の先輩から情報を集めて,自らRDFの将来性について,検討していた。」との事実を帰結するのは単なる憶測であり,むしろ,原告が御殿場市長に就任した直後の平成5年3月に上記委員会が組織され,その委員長に安田助教授を委嘱したことは,原告の就任以前から,すでにRDF導入方針が決定されていた事実を裏付けている。また,安田助教授は原告の知己ではなく,委員長を委嘱する以前には面識もなく,その委員長に就任させたのは当時の御殿場市助役である。
(イ) 「御殿場市ごみ処理基本計画」の序文は,内容として一般的なもので,原告固有の独自の見解や哲学を述べたものではない。また,平成5年7月19日開催の組合議会ごみ焼却場建設検討委員会における原告の答弁は,組合当局と組合議会とで事実上決定していたRDF導入の方針に基づき,それまで議論されていた結果を踏まえてなされた経過報告であり,内容としても一般的なものである。さらに,平成8年10月28日開催のシンポジウムにおける原告の発言は,その当時,既に組合議会の議決を経て,本件施設建設の工事請負契約が締結され,起工式も済ませていたのであり,それまでの事実経過を報告したにすぎない。特に「専門家も交えて討議した。」との発言は,その約2年前にコンサルタントにリサイクルマネジメント方式とカトレル方式との比較検討を依頼した経過を述べたもので,しかも,行政機関の行為を代表して陳述したものにすぎない。
(ウ) 平成4年12月21日に行われた共同記者会見の新聞記事に「中間報告である」との記載がなされている点について,その時点で,組合は,御殿場市,小山町及び桑木区との間で,焼却方式のごみ処理施設を建設することを協定していたから,一方的にRDF方式に変更することができず,その変更について,桑木区住民へ説明・説得して,最終的にその同意を取り付ける必要があったため,あくまで形式上は中間的な報告としておかねばならなかった。
(エ) また,平成5年7月19日開催の組合議会ごみ焼却場建設検討委員会での答弁は,その当時,桑木区への説明・説得が続いていたことから,小山町選出の議員の立場に対する配慮もあって,建前上,弁明しながらの報告となっているにすぎず,実際には,組合議会におけるRDF導入は決定されていた。
(オ) 組合広報誌平成11年12月20日号での平成6年3月22日にRDF方式採用決定との記載は,この時点までに,桑木区の同意を得ることと,懸案の1つであったRDFの消費先確保の目処がつき,御殿場市及び小山町議会議員が津久見市のプラントを視察したなどの経過があったことから,形式上,このときをもって正式に決定されたというだけで,それまでの間にRDFの導入が決定されていなかったわけではない。
(カ) 平成5年当時における議員,職員,住民らによる国内諸施設の視察調査は,既にRDF導入が決定されていたから,その方針に基づき,経費をかけて行っていたのである。
(キ) 市議会議員グループ発行の「市政だより」は,その発行主体が「御殿場市議会同志一同」であり,市議会議員有志が議員活動の報告と併せて,同年の御殿場市長選挙において原告を支持することを表明した文書であって,単なる「私」の一人称が用いられていることだけで,原告の意思表明とするのは単なるこじつけである。
(ク) 以上のように,被告らが指摘する事実は,いずれも原告が御殿場市長に就任時点でRDF方式導入が事実上決定されていなかったことの根拠にはならず,そのことは日刊静岡の記者として取材していた太郎も知悉しており,これを真実と信ずることに相当の理由はない。
イ 本件記述イについて
(ア) 本件記述イのうち,まず,桑木区全戸訪問の記述につき,その根拠として指摘している平成4年12月18日開催の組合議会ごみ焼却場建設検討委員会で,御殿場市長が助役とともに桑木区を訪問する必要があるとの発言は,議長及び委員長の見解が述べられたにすぎず,それも市長自らが桑木区全戸訪問の必要性までは述べていない。また,原告が主張する平成5年7月6日から同月22日にかけて組合職員が桑木区を全戸訪問した事実と,同年11月28日に原告が小山町長とともに桑木区を訪問した事実からは,原告が桑木区全戸訪問をしていないことを逆に裏付けている。そして,平成5年7月9日付け岳麓新聞の紙面で,組合職員3人が桑木区全戸を対象にRDF方式について説明する戸別訪問を行っている旨を報じており,新聞記者であった太郎も当然に同記事を認識していたはずである。
(イ) 次に,小山町長に対する働きかけに関する記述について,田代小山町長は,平成5年7月19日開催の組合議会ごみ焼却場建設検討委員会において,桑木区住民の感情に配慮して慎重な言い回しになってはいるものの,RDFについて理解と賛意を示す発言をしており,RDF導入を白紙にすべきといった認識は述べておらず,その導入を前提として,RDF消費先の確保ができなければ再検討が必要となると発言しているもので,これらの発言内容からして,原告が田代小山町長に働きかけを行い,説得したという事実の根拠にはならない。
ウ 本件記述ウについて
本件記述ウの根拠として,被告らは,原告及び関係者の頻繁な視察,平成7年3月6日発行の「広報ごてんば」における原告の記事,御殿場市ごみ処理基本計画策定検討委員会の組織と安田助教授の委員長就任,御殿場市ごみ処理基本計画の序文,組合議会ごみ焼却場建設検討委員会での発言等を挙げているが,これらの形式的事実のみから,原告がRDFの発想に意を強くし,その説得力ある積極的な態度により議員等の考えが変わったとすることはまったくの憶測にすぎない。
エ 本件記述エについて
本件記述エの根拠として,被告らは,合同委員会での発注者側の質疑がもっぱら組合議会議員からであったこと,平成10年6月6日付け岳麓新聞の記事内容,平成11年5月22日付け日刊静岡の記事内容,同月26日付け岳麓新聞の記事内容,同年11月30日付け日刊静岡の記事内容,平成12年3月13日開催の御殿場市議会議員懇談会の質疑応答及び同月15日付け岳麓新聞の記事内容を挙げている。しかし,合同委員会の当局委員会の委員長は御殿場市助役で,議会委員会の委員長は小野武御殿場市議会議員であって,管理者である原告自らが合同委員会の議事を運営したり,特段の発言がなかったとしても不自然ではない。また,長田央小山町長の発言内容をみても,原告の優柔不断な態度や,地域住民,議員等の不信感,「弱腰」評価の存在を裏付けるものでなく,原告が管理者として訴訟コストと解決までに要する時間などを総合勘案してペナルティー請求を取りやめたとしても,同様である。
以上から,被告らの主張する事実からは,原告の優柔不断な態度,地域住民や議員等の不信感,「弱腰」評価の存在を裏付けるものではなく,かかる事実は真実でなく,これを信ずるにつき相当な理由はない。
オ 本件記述オないしクについて
平成13年1月の御殿場市長選挙において,主たる争点となっていたのは「ごみ袋の無料化」の是非であり,当時,RDF問題が選挙戦の中心争点となっていた事実はない。したがって,RDF問題が「戦いの雌雄を決する課題」「目玉」「切り札」ないし「最大の争点」であったなどという記述は,事実無根である。
カ 本件記述ケについて
原告がRDF焼却併用のボイラー施設の設置を働きかけた事実はなく,被告らが主張する事実関係は,その客観的根拠たりえない。
キ まとめ
以上からして,本件書籍の原告に関する記述は,原告の社会的評価を低下させるもので名誉毀損にあたり,その重要な部分が真実ではなく,また,真実であると信ずるにつき相当な理由がないので,不法行為が成立する。これによって,原告は,その社会的,政治的評価を著しく低下させられたため,その慰謝料として500万円が相当である。そして,太郎は,平成17年7月12日に死亡し,被告乙川らがこれを相続した。
よって,原告は,不法行為に基づく損害賠償請求として,被告乙川花子に対して250万円,被告乙川薫及び被告乙川桜に対して各125万円(いずれも各請求金額の限度で被告会社と連帯),被告会社に対して500万円(被告乙川らとその各請求金額の限度で連帯)及びこれらに対する不法行為の日である本件書籍が発行された日の翌日である平成16年6月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
第3  当裁判所の判断
1  まず,被告らは,本案前の主張として,本件訴訟が訴権の濫用にあたるから訴えを却下すべきであると主張するので検討する。
(1)  前掲の争いのない事実に加えて,本件証拠(甲1,11ないし16〔枝番を含む。〕,乙11,13,39ないし41,46,原告本人,被告乙川花子本人,被告会社代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件書籍が出版されてから本件訴訟が提起されるまでの経緯として,以下の事実が認められる。
ア 本件書籍は,日刊静岡の記者であった太郎が,同紙面に平成10年5月から平成13年1月にかけて連載していた本件施設に関する記事を下地として執筆したもので,平成16年6月20日,被告会社から刊行されて全国へ配本され,朝日新聞,日本経済新聞,静岡新聞の各紙上に広告を掲載し,御殿場地区の主要書店でも店頭に平積みされ,同年7月17日,本件書籍の出版を祝う会が御殿場市内のホテルで開催された。
イ 原告は,上記の新聞記事の連載や本件書籍の出版とその記述内容は概ね承知しており,少なくとも本件書籍の原告に関する記述部分に誤りがあると考えていたが,新聞記事が連載されている間はもとより,本件書籍が出版・販売されてからも,原告の関係者を含めて,太郎や被告会社に対し,その内容に関する照会,抗議,苦情等を申入れることはなかった。
ウ しかし,原告は,平成17年1月に行われる御殿場市長選挙に立候補するにあたり,本件書籍が対立候補者陣営のビラに紹介されるなど,原告への批判材料として利用されていることを憂慮し,本件訴訟の提起を決意した。そして,原告は,太郎や被告会社に対し,事前通告することなく,同月21日,静岡地方裁判所沼津支部に本件訴訟を提起した後,同月22日,幹事新聞社である毎日新聞社沼津支局宛に,「名誉毀損の損害賠償請求について」と題して,本件書籍には故意に事実を歪曲したとも取れる虚偽記載が随所にあり,原告の名誉が毀損されたので損害賠償請求を提起した旨を記載した原告名義の書面をファックスで送信し,被告会社代表者は,同月24日,毎日新聞の記者から問い合わせを受けて,本件訴訟提起の事実を承知し,太郎も被告会社代表者との話でその事実を知るに至った。
(2)  以上の事実関係によれば,原告による本件訴訟の提起は,御殿場市長選挙への立候補にあたり,対立候補者陣営によって本件書籍が原告の批判材料として用いられていることが主たる動機となっており,本件訴訟を提起するまでに,太郎や被告会社へ何ら苦情,抗議の申入れがなかったことや,御殿場市長選挙の告示と本件訴訟の提起が時期的に近接している事情なども考えれば,選挙戦対策の様相が濃いといわざるを得ない。しかしながら,後に検討する本件書籍の内容に徴すれば,原告が名誉毀損と主張することにまったく根拠がないわけではなく,その権利救済を求めることが明らかに不当であるとはいえないので,上記のごとき動機や目的を併有していたとしても,本件訴訟は,訴権の濫用にあたらないというべきである。
したがって,被告らの本案前の主張は採用しない。
2  そこで,本件書籍の名誉毀損の該当性について検討する。
(1)  本件書籍(甲1)を通覧すると,概要,以下のような内容となっている。
ア 本件書籍は,序章とそれに続く第1章から第12章までの本文,その後に資料として,「御殿場・小山RDFセンター計画概要」の紹介と「全国の中・大規模RDF施設」の一覧表が付され,「あとがき」で結ばれている。
イ 序章(9頁から18頁)では,我が国の環境問題の最重要課題の1つである廃棄物処理について,各自治体が様々な厄介な問題を抱える中,新たなごみ処理システムの1つとして登場したRDF方式が,「夢のごみリサイクル」どころか,「幻滅,あるいは地獄の様相となっている」と指摘し,そこにはリスクを自治体に負わせて売り込みを図る施工メーカーの歪んだ企業倫理が表れているとして,本件施設を引合いに出し,その計画当初から取材した立場を通して,この公共事業の「負の遺産」を検証し,ごみ問題の本質の一端を明らかにしたいとして,本件書籍での著者の目的,意図を明らかにしている。
ウ 続いて本文に入ると,第1章「ごみ固形燃料(RDF)処理に決定」(10頁から39頁)との表題で,「〔焼却方式を放棄〕」という項目から始まり,そこでは,組合におけるRDF方式の計画は,平成3年3月にスイスのカトレル社で開発された技術としてマスコミを通して紹介されたのがきっかけでスタートし,平成元年から進められていた燃焼方式による計画は,RDF方式の情報を掴んだ御殿場市企画調整部の芹澤参事が,当時の御殿場市長や助役に変更を進言し,組合議会の議員にも打診して動き始めたが,当初は実績が少ない未知数の方式に消極的な空気が強かったなどと述べ,続く「〔RDF海外視察の評価は二分〕」との項目で,平成4年2月,芹澤参事らがスイスのカトレル社に派遣されたが,その視察の評価が分かれ,その後も国内の類似施設への視察が重ねられて,RDF方式への理解を深めようとしていた経緯を記述している。そして,「〔ダイオキシン問題がRDFに追い風〕」との項目で,全国的に焼却施設周辺の土壌からダイオキシンが検出される問題が生じたことによる影響を述べた後,話題を転換して,原告が御殿場市長に当選したことを紹介し,「内海新市長の登場で,RDF推進の芹澤参事は,今後の成り行きにハラハラしていた。官僚出身という,これまで御殿場市にない経歴の市長誕生に,芹澤参事は,どうアプローチしていいかわからなかった。それ故,実績に乏しいRDFは白紙撤回になる可能性もあり,彼はこれを最も恐れていた。」との記述の後,本件記述ア及びイが続き,「内海市長自身も議員と一緒にこの年の11月,津久見市の実証プラントと,固形燃料を燃焼している長崎市にある民間企業の研究所を訪れて,検証にあたった。」とつないで,本件記述ウに至り,その後は,RDF方式での契約の締結と本件施設の竣工までの経過が記述されている。
エ 次の第2章「夢の施設から地獄の施設へ」(41頁から53頁)では,本件施設での試運転開始から,様々なトラブルが発生した状況が記述され,第3章では「ごみ処理行脚」(55頁から72頁)と題し,本件施設が本格稼働できない間に排出されるごみの処理の問題が述べられた後,改造工事が終わった後に火災事故が発生した経緯を述べ,「この火災に一番慌てたのは,組合管理者の御殿場市長。(中略)表情もひきつり,容易ならざる事態に追い込まれた自分を感じている様子だった。(中略)虎の子の公金33億円を払った当日の深夜,大災害につながりかねない火災事故を引き起こしたという不祥事は,信じたくないのが本音だったろう。」と記述し,火災事故を受けてその再発防止のためにセンサー類を設置したが,その影響で微妙な変化でもセンサーが作動してシステムが緊急停止するという「漫画的な状態」になったと述べている。これに続いて,RDFの問題を指摘し,「ゾッとするほどの恐怖が訪れた。」として,施設改造により経費が増大した点を指摘し,本件施設をリサイクルどころか,「地球温暖化の元凶とも指摘される,化け物に変貌してしまった。」と同章を締め括っている。
これに続いて,第4章「高騰し続ける維持・管理費」(73頁から89頁)では,本件施設の運営・管理費に多大なコストを要する問題を指摘し,第5章「捏造された技術評価書」(91頁から103頁)では,RDF方式を選択するにあたり提出を受けた技術審査報告書にまつわる問題が,第6章「生産すれど使い道なしのRDF」(105頁から116頁)では,製造されたRDFの消費先確保の問題がそれぞれ紹介されている。
オ そして,第7章「混迷する企業体との交渉」(117頁から137頁)に入ると,本件施設のトラブルを巡って,組合と施工した企業体との交渉状況が述べられ,責任を追及しようとする組合側が企業体側に翻弄される様を描いた後,組合の管理者としての原告の姿勢として,本件記述エが「副管理者の長田史小山町長は,『事態が進展しないのなら,法的措置も取らざるをえない』と強い憤りを示していただけに,」を間に挟んで述べられている。さらに,その後,「〔RDF問題で現職市長が落選〕」との項目で,平成13年1月に実施された御殿場市長選挙の状況が紹介され,その中で本件記述オないしキがある。
カ 第8章「第三者機関に検証を委ねる」(139頁から155頁)では,御殿場市では事態打開を図るために,第三者で構成する評価委員会を設置して,本件施設の検証を委ねた経緯を述べ,第9章「RDF生産・燃焼施設の設置に異議あり」(157頁から189頁)では他の自治体での状況が紹介され,第10章「ごみ処理―原点へ帰る」(191頁から215頁)では,その後の御殿場市でのごみ収集と処理の状況を,第11章「そして提訴へ」(217頁から243頁)では,RDF問題に関する企業体との交渉が暗礁に乗り上げて,訴訟に至った経緯を紹介し,終章である第12章「RDFがもたらしたもの」(245頁から254頁)では,「資源循環型社会形成の名のもと,『夢のリサイクル』としてスタートした,可燃ごみを固形燃料化するRDF施設は,御殿場・小山の場合,完全に破綻し,いまや『地獄のリサイクル』に変貌してしまった。」と本件施設を総括し,この問題を契機に,リサイクル運動など市民にも環境問題への関心が高まり,組合も情報開示に積極的になったとその効用面も指摘した上,ごみ問題は,最終的にごみにならないような製品開発が不可欠であると主張する一方で,ごみ処理システムを売り込む企業体の無責任な商法を批判した後,企業体との裁判の今後の見通しを述べて,本文を締め括っている。
(2)  以上の本件書籍の内容を踏まえて,原告が主張する本件記述部分が,原告の社会的評価を低下させ,名誉を毀損するものか否かを判断する。
新聞や書籍などの表現内容が名誉毀損に該当するか否かの判断は,一般の読者の普通の注意と読み方を基準とするが(最高裁昭和31年7月20日判決・民集10巻8号1059頁),本件書籍は,その序章から明らかなとおり,御殿場・小山地区に設置されたRDF方式のごみ処理施設を巡って発生した諸問題を通じて,新たなごみ処理システムとそのビジネスの問題点を批判的に論ずるもので,その焦点とするのはRDF方式とこれを採用した本件施設であることは,本件書籍を読んだ一般の読者であるならば,誰にでも容易に理解できるものである。そして,その問題を論ずる過程で,RDF方式の導入経緯や,本件施設でのトラブル発生後の関係者の対応を具体的に紹介し,その中で,御殿場市長で組合管理者の立場にもあった原告の動向にも言及しているが,その箇所は主として,RDF方式の導入決定(第1章)と,企業体との交渉,市長選挙での敗北(第7章)の2か所で,そこにおける個々の記述内容それ自体は,あからさまに原告を誹謗中傷したり,非難を浴びせるような人身攻撃的なものではない。ただ,一般の読者が普通の注意と読み方をしていれば,本件各記述によって,本件施設の建設にあたり,原告は,行政の最高責任者としてRDF方式の導入に積極的な役割を果たしたが,その後のトラブル発生に対して消極的な姿勢を示すばかりであって,有効な解決策を見い出せないまま,RDF問題が主因で市長選挙に敗北したという事実を自然に理解することができ,このように摘示された事実は,地方公共団体の首長による行政判断と施策の状況,それに伴う選挙戦とその結果を表したものであるから,これによって原告の品性,徳行,名声,信用等の人格的評価が低下するといえるかどうか,いささか疑問なしとはしないが,本件書籍の論旨として貫かれている本件施設への痛烈で辛辣な批判と相俟って,上記の摘示された事実を読んだとき,かような批判の矛先が本件施設の導入を決定した行政当局,とりわけ最高責任者であった原告へも指向していることを素直に読みとることができ,その意味で,社会から受ける原告の政治家としての名声,信用等の客観的な評価を低下させるものがあるといわざるを得ない。
したがって,本件書籍の原告に関する記述は,名誉毀損に該当し,原告の社会的評価を低下させることはなく,名誉毀損には当たらないとする被告らの主張は採用できない。
3  次に,本件各記述の真実性と相当性について検討する。
前示した本件書籍の内容からして,その記述は,公共の利害に関する事実にかかるものであることは明らかであり,それに加えて,本件証拠(乙41,被告会社代表者本人)によれば,出版の目的,意図はもっぱら公益を図ることにあったと認められる。そこで,本件書籍で記述された内容の真実性と,仮に真実でないとしてもそれを真実と信じるにつき相当な理由があったといえるか否かを判断する。
(1)  まず,判断の前提として,前掲の争いのない事実に加えて,本件証拠(甲3,6,9ないし11,17ないし19,乙1,3ないし5,7,9,10,14ないし17,19ないし36,47,49,51〔枝番を含む。〕,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 組合は,御殿場市と小山町とが双方にまたがる行政事務を共同で処理する目的で組織した地方自治法上の一部事務組合であり,議会と執行機関によって構成され,執行機関として管理者,副管理者等が置かれており,その人選は御殿場市と小山町の長から互選で選任され,必要な職員を管理者が任命することになっているが,実質的には御殿場市と小山町の職員が出向して事務を司っている。
イ 組合は,平成元年に入って,組合議会でごみ焼却場建設検討委員会を設置し,また,執行機関である組合当局でも同じ委員会を立ち上げて,新清掃センターの建設計画の検討を開始すると,平成2年8月,可燃ごみ焼却方式として,ストーカ方式を採用することに決し,施設建設予定地区の小山町桑木区への説明と交渉を進めた結果,平成3年12月28日,御殿場市,小山町,組合及び桑木区との間で,ストーカ方式による可燃ごみ焼却処理施設の建設と操業に関する協定が結ばれた。
ウ ところが,その一方で,平成3年3月,スイスのカトレル社が開発したRDF方式を三菱商事株式会社等が技術導入した旨の新聞報道があったのを機に,御殿場市ではその調査を単独で開始し,芹澤参事らが三菱商事本社やカトレル方式を紹介した安田助教授を訪ねるなどして情報収集にあたり,平成4年3月には,スイスに渡ってRDF方式の施設等を視察し,その後も国内の類似施設の視察や委員会での検討を重ねた末,平成4年12月末の時点で,組合では,ごみ処理施設にカトレル方式を採用するのが望ましいとの見解に達した。
エ そのような中,原告は,平成4年末に国土庁(当時)大都市圏整備局特別整備課長を退き,平成5年1月に実施された御殿場市長選挙に出馬して初当選を果たした。そして,前任者からは,組合管理者の事務として,新清掃センターの案件につき,平成4年度の1年をかけて検討した結果,RDF方式とする方向付けができたので,引き続き検討のうえ最終決定されたい,また,桑木区とは焼却方式による協定が結ばれているから,処理方式の決定と並行して,地元調整を図られたい旨の引継ぎを受けた。
オ 原告は,市長に就任してまもなくの平成5年3月,御殿場市ごみ処理基本計画策定検討委員会を立ち上げ,その委員長に安田助教授を迎えるとともに,厚生省(当時)の外郭団体である廃棄物研究財団の評価委員長で,出身大学の同級であった横田教授(当時・静岡県立大学助教授。なお,横田教授が学士入学であったために,年齢は原告より上になる。)と自ら会って意見を聴き,同年4月には,横田教授が御殿場市を訪れて,原告,田代小山町長や組合事務局に対し,固形燃料化施設の歴史,我が国の技術状況や調査状況などを専門的な立場から説明を行った。
また,原告は,同年3月15日に館林市と野木町へ,同年4月27日に栗東町へ,同年11月24日に津久見市と長崎市へ,自ら施設視察に赴いて実地に見分し,その間,同年7月19日に開催された組合議会の委員会では,管理者として,RDFの推進化は従前どおり進めていきたいと冒頭に挨拶し,RDF方式導入の必要性を問われて,ごみを燃やすのでは処理の方法として稚拙であり,いったん固形燃料にしてこれを有効利用する方が優れた方法であるとの見解を披瀝した。なお,その席上,池谷良郎副議長からは,小山町ではRDFで意見がまとまっているわけではないとの発言があり,田代小山町長も,他の場所でもRDF施設が本格稼働していない実情を踏まえて,製造されるRDFの消費先確保の問題を指摘した。また,原告もカトレル方式か,リサイクルマネジメント方式か,あるいはそれ以外のものを選択するのか,判断をもう少し先延ばししたいと述べ,結局,カトレル方式と特定せずに,固形燃料処理方式の方向で進めていくことで合意を見た。
カ ところで,建設予定地の桑木区では,いったん焼却方式で協定が結ばれたにもかかわらず,その後,水面下でRDF方式導入へ話が進んでいることに態度を硬化させ,また,桑木区が属する小山町の議会でも,御殿場市の主導でRDF方式への話が進んでいることに抵抗感を示す議員がおり,組合議会ごみ焼却場建設検討委員会では,御殿場市長が桑木区を訪問して住民に謝罪する必要があるとの声が上がり,同委員会として,御殿場市長と小山町長に早急に桑木区へお願いする機会をもって欲しいとの要望が出された。そのため,組合は,平成5年7月6日から同月22日にかけて,組合職員が桑木区全戸を戸別訪問してお詫びと説明を行い,その後,原告と田代小山町長も,同年11月28日,桑木区を訪問した。
キ それからも,国内の類似施設への議員,職員,桑木区民の視察が続けられ,県企業局とも意見交換を行うなか,平成6年3月22日,組合議会の委員会において,固形燃料化の処理方式の採用が正式に決定され,同年10月11日,組合議会の委員会において,固形燃料化の方式をカトレル方式とすることで決定し,同年12月9日,御殿場市,小山町,組合及び桑木区の間で,RDF方式によるごみ処理施設の設置に関して上記協定を一部変更して取り交わした後,同月13日,本件施設の建設工事実施設計業務委託契約が締結され,翌年に工事請負契約が締結された。そして,平成7年11月1日,本件施設の建設に着工し,建設工事が進められる一方,組合議会の委員会では,RDFの消費先確保などの問題が討議され,国内の類似施設への視察も変わらずに続けられた。また,原告も,平成8年11月29日,日本経済新聞社が企画したRDFに関するパネルディスカッションにパネリストとして出席し,御殿場市での経験を語った。
ク RDFの消費先確保の一環として,御殿場市では玉穂地区に建築する屋内プールについて,その加温施設の補助熱源として固形燃料ボイラーを採用することを計画し,平成10年2月4日,地元である中畑東区の住民への説明会を開催した。しかし,同区の住民は,その説明から不信感を募らせ,多くの子供が利用する施設からのダイオキシンが発生するおそれがあるとして,導入反対の署名運動を行い,陳情書を原告宛に提出したものの,それを退けて,固形燃料ボイラーを採用することに決した。
ケ 一方,本件施設では,平成10年2月3日から,試運転調整用のごみの搬入が始まったものの,本件施設の変更工事が必要となり,都合3度にわたって完成時期が変更となって,結局,平成11年3月10日に工事完了届が提出された。ところが,運転開始とともに,維持管理費が当初の想定を大幅に上回ることが判明したほか,製造されたRDFの品質やその製造工程での問題などが発生したため,再び改良工事を行うこととなったが,その矢先である同年5月31日,本件施設で火災事故が発生し,その復旧工事と再発防止のための工事を余儀なくされた。その後,平成12年2月28日,再度の改造工事に着工したが,そのさなかの同年3月5日,またもや火災事故が発生したため,当初の予定した改造工事を終えた後,同年5月1日,新たな改造工事に着工し,同年7月2日,同工事が完了した。
コ ところで,組合は,本件施設の一連のトラブルに関して,共同企業体と交渉するための合同委員会を開催したが,その席上,管理者である原告は,冒頭の挨拶を行っただけで,その他の発言をせず,発注者である組合からはもっぱら組合議会議員が共同企業体に対する質疑を活発に行っていた。また,組合は,平成10年7月8日,共同企業体から,本件施設の改造工事に係わる提案を受け,ごみ処理の能力増強工事を実施する代わりに,現状のごみ質を維持すること,同年8月1日以降に発生するごみ,RDF搬出・処理費用,施設のユーティリティ費用をすべて組合負担とし,RDF引取先の確保も組合の責任で行い,契約金の減額は行わず,納期遅延損害金も課さないといった条件が示されたため,共同企業体と交渉していたが,平成11年5月20日に開催された組合議会の委員会の席上,原告は,納期遅延損害金を課した場合に裁判となる可能性もあり,係争期間,和解勧告までの道程も長引く懸念があるので難しいとの見解を示し,同月24日に開催された組合の合同委員会において,共同企業体に対する納期遅延損害金の免除を決めて,共同企業体との合意書を締結し,工事費の残金全額の支払を決定したところ,その際,原告は,工期に遅れた遅延損害金を支払わせるべきだとの意見が議会から出たが,組合にも甘い認識があり,実害も被っていないので免除することにしたと説明した。さらに,原告は,同年11月10日に本件施設で発生した破損事故について,同月29日の定例記者会見の席上,メーカーによる試験段階のトラブルであるから重大事故と認識していない旨の見解を述べ,その認識の下に組合議会にも上記事故を報告していないとしたが,これら一連の原告の発言は,逐一,地元新聞紙上で報道されていた。
このような処置に対し,平成12年3月13日に開催された御殿場市議会の議員懇談会の席上,出席した市議会議員からは,完成が遅れているのは契約違反ではないか,納期遅延損害金を請求すべきであるとの意見が出され,また,同様の意見を主張する一般市民の新聞投稿も地元紙面に掲載されていた。
サ そのようななか,平成13年1月,御殿場市長選挙が実施され,現職である原告と,市職員であった長田現市長が立候補した。当初,目立った争点はなく,長田現市長側は,ゴミ袋の無料化,福祉の拠点づくり,民意を反映した透明度の高い市政の実現などを主張していたが,RDFについても「数々の諸問題を市民に情報公開しながら,透明性のある対策に取り組みます。」と訴え,結局,現職有利といわれた選挙は,新顔の長田現市長が当選を果たす結果となった。そして,その直後に原告陣営の市議会議員を取材した太郎は,「RDFが命取りになった。あれが現職の唯一の失政だった。」との話や,「RDFの選挙公報にしびれた。」等という話を直接聞いており,この選挙結果を報じた静岡新聞も紙面で「当初の思惑通りに機能していないごみ固形燃料化施設『RDFセンター』の『責任の所在を明らかにすべき』とする声が選挙戦を通じて一気に高まり,予想以上の批判票を生んだ。」と分析していた。
(2)  以上の事実関係に基づいて,本件各記述の真実性,相当性を順次検討する。
ア 本件記述アないしウについて
(ア) 本件記述アないしウのなかで,原告が特に虚偽事実の記述であると指摘するのは,①原告が自ら情報収集し,調査・研究を行って,RDF方式の採用に「ゴーサインを出した」とする点,②原告自らが桑木区の全戸訪問して謝罪したとする点,③RDF方式採用に向けて,田代小山町長や議員等へ働きかけて説得したとする点で,これらの事実と異なる記述によって,一般の読者をして,原告がRDF方式の採用を主導したと誤認させると主張する。
(イ) そこで,検討するに,上記認定の事実(1)イないしクによれば,原告が御殿場市長に就任する以前から,新清掃センターでのごみ処理方式について,RDF方式が候補として検討されており(この点は,本件書籍でも詳しく紹介されている。),原告は,市長に就任して組合管理者の地位を引き継いだ際,RDF方式という方向付けができているので,引き続き検討されて最終決定されたいとの申し継ぎを受けている。しかし,この時点での状況を見ると,建設予定地である桑木区の説明と説得が未了で,御殿場市の進め方に態度を硬化させていたために,その困難も予想されていた上,地元の小山町議会でも未だRDF方式採用で意見がまとまっておらず,異論も出ていた状況にあり,田代小山町長もまた御殿場市の進め方に批判的で,RDFの消費先確保の問題を指摘するなど,その採用に慎重な姿勢を示していた様子がうかがわれ,さらに,RDF方式のうち,カトレル方式によるのか,他の方式によるのかの決定も見ていなかった。かような状況をみたならば,原告の市長就任時において,組合内部では,新清掃センターのごみ処理方式としてRDF方式とする方向性が決まっていたものの,なお,建設予定地区の説得とその承諾取付け,地元小山町の意思統一,採用するメーカー(方式)の決定など,解決すべき重要な問題があって,最終的な決定に至っていなかったといえる。
かかる状況の下,原告は,市長就任後まもなく,出身大学の先輩で,かつ同級でもある横田教授を訪ねてRDF方式の意見を求めた上,御殿場市へ招いて,専門家の立場から田代小山町長らに説明してもらったほか,引き続き,議員,職員や桑木区住民による国内各所の類似施設への視察を継続し,自らも就任1年目の平成5年度に3回にわたって施設の視察に出向く一方,組合議会の委員会での討議や広報誌による広報活動において,RDF方式の有意性を説き,平成8年には,初めて開催されたRDFに関するシンポジウムにパネリストとして招かれ,御殿場市の事例を紹介して自己の知見に基づく意見を述べるなどしており,原告によるその一連の活動の外形的事実をみた限りでも,原告は,巨費を投ずるこの案件について,前任者からの引継ぎをそのまま踏襲するというのではなく,自らもごみ処理方式についてそれなりの調査・研究を行い,得た知見に基づいてその採否を判断したであろうことは容易に推測できるところである。
そうすると,原告が指摘する①の点については,その基礎となる事実関係を概ね認めることができ,これらの事実を総合的に評価した帰結として,原告が「ゴーサインを出した」と表現したことも,決して不当なものでも大仰なものでもない。
(ウ) なお,原告が指摘する②の点につき,本件記述イからは,原告自身が桑木区の全戸を訪問したかのように受け取られて,正確性を欠くことは間違いない。ただ,前示した事実によれば,御殿場市長が桑木区を訪問して謝罪すべきだとの声が上がるなか,組合職員が桑木区全戸を訪ねてお詫びとRDF方式の説明を行った上で,原告が田代小山町長とともに桑木区を訪ねたというのであるから,桑木区住民への説得活動の記述として,原告が全戸を訪問したとする部分で事実と異にするが,組合職員が全戸を訪問して謝罪と説明を行い,また,御殿場市長である原告が自ら桑木区に説明に出向いたとする点で符合しており,その主要な部分に大きな誤りはないというべきである。
(エ) そして,原告が指摘する③の点について,以上のような原告の一連の活動による最終的な結果として,御殿場市の進め方に態度を硬化させていた桑木区住民の同意を取り付け,異論も出ていた小山町議会や,慎重な姿勢を示していた田代小山町長もRDF方式に賛同し,本件施設の建設に至った経過に基づき,原告の積極的な態度にその導入に消極的であった関係者が感化されたという事実を推認することはまったく不合理とはいえないし,田代小山町長に対しては,横田教授を招いてRDF方式を説明してもらう機会を設けていた事実もあり,その重要な部分は真実であり,基礎となる事実関係に基づく評価や推測による部分についても合理性があると認められる。
(オ) したがって,本件記述アないしウについては,いずれもその重要な部分が真実であるか,あるいは真実と信ずるにつき相当な理由があると認められる。
イ 本件記述エについて
上記認定の事実(1)コによれば,原告の置かれた立場とそこに示された一連の言動からは,「不可解」「優柔不断な対応」「弱腰」との評価や批判が出たとしても何ら不自然ではなく,実際に,共同企業体に対する納期遅延損害金の免除問題について,共同企業体の対応への非難と併せて,厳しい姿勢で臨むべきであるとする意見が出ていたところでもあって,原告の言動に対する上記のような評価はまったく根拠を欠くものではない。
したがって,本件記述エについて,合同委員会における原告の言動は事実であり,そのほか新聞紙上で報じられている原告の言動に対する市民一般の評価として,摘示した事実が存在すると信ずるにつき相当な理由があるといえ,あるいは,その評価を原告の言動に対する論評として見たとしても,公正な論評として許されるものである。
ウ 本件記述オないしクについて
上記認定の事実(1)サによれば,現職の原告へ挑む長田現市長陣営は,当初,RDF問題を真っ向から争点として掲げていなかったものの,選挙戦の最中にその問題がクローズアップされて,原告への批判票が集まったとする選挙分析がなされ,太郎も,原告陣営に属する市議会議員からそのことを裏付ける話を取材で得ており,結果的には,RDF問題が「戦いの雌雄を決する課題」であったとの評価が妥当しており,その記述が事実に基づくものと認められる。
したがって,本件記述オないしクについても,その摘示された事実が真実であると認められる。
エ 本件記述ケについて
上記認定の事実(1)クによれば,組合では,本件施設で製造されるRDFの消費先の確保が懸案事項として挙げられており,御殿場市は,その消費先の1つとして,玉穂地区の屋内プールの熱源に固形化燃料を用いることを計画したものの,ダイオキシン発生を危惧した地域住民が反対し,原告宛に陳情書を提出するまでに至ったが,結局,これを押し切って導入を決めた経緯が認められ,かかる事実関係から,御殿場市の政策決定の1つとして,組合管理者の立場にもある原告の意向が働いたことを容易に推認することができるから,客観的な事実に基づいた合理的な推認による記述といえる。
したがって,本件記述ケについても,少なくとも摘示した事実が真実と信ずるについて相当な理由がある。
(3) 以上のとおり,原告が名誉毀損にあたると主張する本件書籍の各記述は,いずれもその重要な部分が真実であり,あるいは真実と信ずるについて相当な理由があり,または公正な論評にあたるともいえるので,違法性が阻却され,不法行為は成立しない。
したがって,原告の請求はいずれも理由がない。
4  よって,原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却し,主文のとおり判決する。
(裁判官 石垣陽介)
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