【選挙から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(21)平成28年 3月17日 福岡地裁 平26(わ)1215号 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害,加重収賄被告事件

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(21)平成28年 3月17日 福岡地裁 平26(わ)1215号 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害,加重収賄被告事件

裁判年月日  平成28年 3月17日  裁判所名  福岡地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(わ)1215号
事件名  入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害,加重収賄被告事件
裁判結果  有罪  文献番号  2016WLJPCA03176002

要旨
◆犯行当時a町議会議員であった被告人が、a町長であったA及び知人のBと共謀の上、a町が実施する業務委託に係る指名競争入札に関して、建築工事会社の経営者であるCに談合を唆し、Cが経営する会社とCが選定した談合等に協力する業者6社をAが指名委員会の具体的な選定を経ずに指名した上、Cから、Aの不正な職務への謝礼として2度にわたり合計800万円の賄賂を収受したという事案において、被告人は計画段階から積極的に関与したとまでは認められず、関与した場面も限定的ではあるものの、C各犯行を実現する上で果たした被告人の役割は重要かつ不可欠なものであったと評価すべきである上、被告人自身も賄賂金の中から多額の現金を受け取っていること、さらに、被告人は、犯行当時町議会議員として、適正に職務を行う立場にありながら本件各犯行に加担しており、被告人の行為は町民の信頼を著しく害するものであることも考慮すると、その刑事責任重いが、被告人が自己の認識や共謀は否定しつつも反省の態度を示していること、本件各犯行後町議会議員を辞め、今後は政治の世界には関わらない旨述べていること等から、被告人に懲役3年、執行猶予5年、250万円の追徴を言い渡した事例

参照条文
刑法60条
刑法65条1項
刑法96条の6
刑法197条の3第2項
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律8条

裁判年月日  平成28年 3月17日  裁判所名  福岡地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(わ)1215号
事件名  入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害,加重収賄被告事件
裁判結果  有罪  文献番号  2016WLJPCA03176002

 

主文

被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中120日をその刑に算入する。
この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。
被告人から金250万円を追徴する。
訴訟費用は被告人の負担とする。

 

理由

(罪となるべき事実)
被告人は,A(平成23年5月1日から福岡県田川郡内に役場を置くa町の町長として同町の業務を統括し,同町が発注する業務委託の指名競争入札における指名業者の決定,指名競争入札の執行,請負契約締結等の権限を有していた者。以下「A」という。)及びB(以下「B」という。)と共謀の上
第1  a町が平成25年9月9日に執行した「平成25年度社会資本整備総合交付金事業b住宅改善測量・造成設計等業務委託」(以下「本件業務委託」という。)の指名競争入札に際し,前記Bの従兄弟であるC(以下「C」という。)が代表取締役を務め,道路,土木,建築工事に伴う測量,設計,請負及び施工等を目的とする有限会社c(以下「c社」という。)に談合の上で本件業務委託を落札させようと企て,前記Aには,前記職務に従事する者として適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに,同人においてはその職務に反し,被告人らが,同年5月下旬ころから同年8月上旬ころまでの間,同町内又はその周辺において,前記Cに対し,本件業務委託の指名競争入札に関し談合を唆して,同年8月上旬ないし中旬ころ,同町内又はその周辺において,同人に本件業務委託の入札に関して談合に応じ,あるいはそもそも落札意欲をもたないと見込まれる6社を選ばせた上,前記Aが,本件業務委託に関する入札参加業者選定手続に関し,a町建設工事競争入札参加業者指名委員会(以下「指名委員会」という。)における具体的な指名業者の選定がなされていないのに,入札参加業者として,c社のほか前記Cが選んだ6社を同指名競争入札に参加する業者として選定し,もって偽計を用いるとともに事業者に談合を唆すなどして入札等の公正を害すべき行為を行った。
第2  前記Aが前記第1記載の職務上不正な行為をしたことに関し,これに対する謝礼の趣旨であることを知りながら,前記Cから,平成25年10月21日,福岡県糟屋郡〈以下省略〉ファミリーレストラン「d店」駐車場において現金500万円の供与を,同年11月12日,福岡県嘉麻市〈以下省略〉e駐車場において現金300万円の供与をそれぞれ受け,もって前記Aの職務上不正な行為をしたことに関し,賄賂を収受した。
(証拠の標目)
括弧内の甲の番号は,証拠等関係カードにおける検察官請求証拠番号を指す。
判示の事実全部について
・ 被告人の当公判廷における供述
・ 証人Cの当公判廷における供述
・ 時系列作成に関する報告書謄本(甲1)
・ 指名登録状況に関する捜査報告書謄本(甲3)
・ D(甲4),E(甲5),F(甲6),G(甲9),H(甲15),I(甲16),J(甲17),K(甲18),L(甲19),M(甲20),N(甲21),O(甲22),C(甲23,26,27)の各検察官調書謄本(ただし,甲26は採用部分のみ)
・ 捜査報告書(供述調書の訂正について)謄本(甲60)
判示第2の事実について
・ Cの検察官調書謄本(甲29,30。いずれも採用部分のみ)
・ 引き当たり捜査並びに写真撮影報告書謄本(甲49)
(補足説明)
弁護人は,A及びBが判示の行為をしたことは積極的には争わないが,判示第1の事実については,被告人は談合自体に関与したことはなく,A及びBと談合の唆しを共謀したこともない旨主張し,判示第2の事実については,被告人はAが職務に関して不正なことをしたことを知らず,CからBに渡された現金がAが職務上の不正な行為をしたことに対する対価であったとの認識も有しておらず,A及びBと加重収賄の共謀をしたこともないとして,いずれについても無罪を主張するので,以下,これらの点について補足して説明する。
第1  事実認定の基本的な方針について
当裁判所が取り調べた証拠のうち,本件の争点に関して最も直接的な証拠となりうるのは,Bの捜査段階における検察官調書謄本である。これらの証拠は,証人として出廷したBが,本件における被告人の関与等について実質的に証言を拒絶したことから採用されたものであり,その内容は,BがAから本件業務委託についてc社を指名しようと考えている旨持ち掛けられた状況や,その後,被告人とともにCに対して談合を唆した状況,更にはCから賄賂金を受け取り,被告人,A及びBの3人でこれを分けたことなどがかなり具体的かつ詳細に記載されている。
しかし,前記各検察官調書謄本を含むBの供述調書に係る取調べ状況を録音・録画した証拠を見ると,初期の取調べでは「よく覚えていない」,「今思い出している最中」などという供述が随所に見られ,その後も総じて曖昧な供述が多い。検察官の質問も,取調べに先だって作成された警察官調書の内容を前提として,それを確認する趣旨のものが中心で,少なくともBが前記各検察官調書謄本に記載された内容と同趣旨の内容の供述を検察官の面前で,改めて自身の言葉で具体的に供述し,それが調書化されたと見るのは困難である。検察官が主張するとおり,本件の事案の性質上,当初は本人の生の記憶を確認し,その後証拠物や資料等を順次示して記憶を喚起するなどの過程を経て,詳細な記憶の喚起を図るという手法がとられることも一般論としては理解できるが,前記の取調べ状況を見る限り,Bが記憶を喚起するに至った経過が明らかになるような取調べが行われているとはいえず,かえって,賄賂金の授受の状況など,警察官による取調べの過程で聞いたCの供述状況等の影響を受けるなどして供述しているのではないかと見られる場面も多々ある。
結局,前記各検察官調書謄本は,Bが検察官の見立てについて特に否定することなく署名指印したという程度の意味はあるにしても,Bがその記憶に基づいて自発的かつ具体的に述べたものではない疑いがあり,本件の争点に直接関わらない周辺的な事実はともかく,争点の核心部分をこの証拠に基づき認定することは判断を誤る危険性があるといわざるを得ない。
そこで,当裁判所は,基本的に前記各検察官調書謄本以外の証拠により認定できる事実を基礎として,争点に係る事実を認定することができるか検討することにする。
第2  前提事実
以下の事実は,関係各証拠により容易に認定でき,かつ,当事者間にも概ね争いがない(なお,以下では「町長」,「町議会」,「町議会議員」等の表記における「町」はいずれもa町を指す。)。
1  関係者らの地位・関係等
(1) 被告人,A,B及びCの本件当時の地位等
被告人は,平成23年4月の町議会議員選挙で当選して同議会議員となり,本件当時も同職に就いていた。
Aは,平成23年4月に実施された町長選挙で当選し,同年5月1日から町長の職を務めており,本件当時も町長としてa町の業務を統括し,同町が発注する業務委託の指名競争入札における指名業者の決定,指名競争入札の執行,請負契約締結等の権限を有していた。
Cは,道路,土木,建築工事に伴う測量,設計,請負及び施工等を目的とするc社の代表取締役を務め,同社を経営していた。
Bは土木業等を営む有限会社f(以下「f社」という。)の代表取締役を務め,同社を経営していた。
(2) 被告人,A,B及びCの関係等
ア 被告人,A及びBの関係
被告人はBと同じ中学校の1年後輩で,被告人が20歳のころf社の事務所でアルバイトをしたこともあるなど,古くから面識があったが,被告人が町議会議員選挙に立候補した平成23年1月ころないし町長選挙が行われた同年4月ころから再び親しく付き合うようになった。また,被告人は,町議会議員となって1年ほど経った平成24年ころから,Aとも,週末に一緒に競馬に行ったり,趣味の話をしたりするなど親しく付き合うようになった。そして,AとBとはかねてより親交があったことから,被告人,A及びBの3人で食事をしたり,海外に遊びに行くことが何度もあった。
イ Cと被告人,A及びBとの関係
CとBは従兄弟であり,f社が建築関係の業務をしていることもあって,f社の下請けにc社が入るなど,仕事上の関係があったほか,Cは,平成23年ころから,Bに対しAの町長選挙を応援する際などに必要な資金等として金を貸すなどして,本件当時も数百万円の貸金がある状況であり,頻繁に返済を督促していた。また,Cは,平成22年ころからAと面識があり,Aの自宅の工事等を施工したことがあったほか,平成24年3月以降,c社代表取締役として,a町が発注する業務委託等を請け負えるよう営業活動をしたり,Bの勧めを受けてa町に測量の資格で指名願を出し,Bに対しc社に指名が入るようにAに働きかけるよう依頼するなどしていた。
他方,被告人とCは,後述する新しいごみ処理施設等の建設予定地の環境アセスメントに係る業務委託(以下「環境アセス業務委託」という。)の入札に関して,平成24年末から平成25年初頭にかけての時期に2回面談したことがあったほか,平成25年6月頃,本件業務委託に関して2回面談した(以上の面談の内容については後に詳しく検討する。)が,それ以外は公私を通じて特段の付合いはなかった。
2  本件業務委託契約に至る経緯
(1) 本件業務委託の概要
Aが平成23年に町長に就任する以前から,a町では,町営住宅の老朽化が進んでおり,その建替え改善等の事業の整備が進められていたところ,平成23年10月には,国土交通省の指針を受けた「a町公営住宅等長寿命化計画」が策定され,同計画の中で,b住宅を含む4つの町営住宅の建替え等の計画を優先的に進めることとされた。本件業務委託は,国の補助事業である社会資本整備総合交付金を利用して行われていた前記長寿命化計画による事業の一つで,b1団地のb住宅の建替えに係る業務委託であり,その業務内容としては,測量,造成設計,開発申請,地質調査,電気調査など高度な専門知識を必要とするものが含まれていた。このため,a町の担当職員は,受注する業者について,測量資格のほか,土木関係建設コンサルタント業務の資格を有する業者がふさわしいと考えていた。
(2) 本件業務委託に係る指名委員会開催までの経緯
当初,本件業務委託の概算費用は6000万円から7000万円程度と算出され,平成25年3月の町議会において本件業務委託の費用も含めた予算要求が承認された。同年5月には,a町の担当職員が,本件業務委託の委託費を6127万4850円(税込)と積算し,委託費を同金額とする工事計画書の作成などが進められた。Aは,同月中には担当課長らから前記積算結果の報告を受けた。
その後,本件業務委託に係る交付金申請など所要の手続を経て,同年8月1日ころから,a町住宅課において,指名競争入札を実施するため,入札事務を担当する防災管財課に入札依頼の連絡をしたり,発注内容を検討するなど,発注に向けた作業が進められ,最終的に本件業務委託の委託費を5314万7850円(税込)とする業務委託計画を作成して,同月5日,Aの決裁を経た。そして,本件業務委託については,同月9日開催の指名委員会で審議されることになった。
(3) 指名委員会開催までの被告人,B及びCの動き
Bは,平成25年5月下旬ころ,Cに対し,本件業務委託について,a町で委託料約6000万円の測量や設計コンサルタント等の仕事がある旨の話をすると共に,c社がそれを受注できるようにするので,その見返りとして現金をBに渡すよう求める趣旨の話を持ち掛けた(以下「本件持ち掛け」という。)。これに対してCは,直ちにその話には応じず,Bに対し,説明できる者を連れてくるように求めたことから,Bは,Cへの説明を被告人に依頼し,被告人はこれに応じた。同年6月中旬ころ,被告人,B及びCは,判示第2記載のファミリーレストラン「d店」(以下「d店」という。)に集まり,本件業務委託について話し合った(この時の話合いの内容については当事者間に争いがある。)。その面談後,当日中に,被告人は,Aに対し,3人で集まり本件業務委託について話したことを告げた。
Cは,前記のd店での面談後まもなく(同月19日までに),地元の建設業界に大きな影響力を持つ人物(Cが氏名を明かさず「P」と仮称する者,以下「P」という。)に会い,a町で測量等の業務が発注され,それにc社を指名して落札できるようにしてくれるといわれていること,まだはっきりと決まった話ではないが,c社が指名され落札できるように入札に協力してくれる業者を選ばなくてはならないこと,Pからそのような業者を紹介してもらいたいことなどを伝えたところ,Pは,Cがその話を受けるのであれば,業者の選定に協力する旨答えた。
さらに同月下旬,被告人,B及びCは,福岡県田川市内のファミリーレストランに再び集まり,本件業務委託の件について話し合った。
その後,同年8月上旬ころまでに,BはCに対し,入札に協力する業者を決めるよう催促し,更にCの求めに応じてa町に指名願を出している業者の一覧表を入手してこれをCに手渡して,その中から6社ほどを選ぶよう求めるなどした。Cは,改めてPに会って,本件業務委託でc社に協力してくれる業者を6社教えてくれるよう頼み,後日,Pから,協力業者としてg株式会社(以下「g社」という。),株式会社h(以下「h社」という。),i株式会社(以下「i社」という。),株式会社j(以下「j社」という。),k株式会社九州支店(以下「k社九州支店」という。),l株式会社(以下「l社」という。)の6社が記載されたメモ紙を受け取った(なお,この6社はすべて前記一覧表に載っていた。)。Cは,この6社を指名してほしい業者として前記一覧表に印を付け,それをBに手渡した。
(4) a町の指名業者決定手続とその実態
指名委員会は,建設工事の一般競争入札及び指名競争入札に参加させる業者の審査及び指名を行うためにa町に置かれた委員会であり,設計金額300万円以上の契約に係る指名競争入札に当たり入札業者を指名するには,指名委員会に諮った上,同委員会において指名業者の選定基準等に従い,具体的に指名業者を選定することとされていた。その上で,町長は,指名委員会からの審議結果の報告に基づき,指名業者を決定することとされていた。
Aが町長に就任した平成23年5月当時は,指名委員会の審議において,事務局から提案がなされた業者数や業者名を基に審議し,議題に上がった指名業者名や業者数等を具体的に選定し,その選定した指名参加業者について,委員長が町長に報告していた。しかし,その後,Aは,指名委員会で選定した業者を指名しなかったり,別の業者を指名するなど,指名委員会の選定を尊重しないで指名業者を決定するようになったことから,指名委員会では,同年12月ころから,具体的な指名業者を選定せず,建設業者の一覧表と各工事の設計金額に基づいた指名すべき業者の等級,数,指名委員会の開催時点での業者の施工状況等を記載したものを指名委員会の審議結果としてAに報告し,Aが指名業者を決定するという運用を採るようになっていた(遅くとも平成25年春頃以降,Aは,担当職員が作成した,工事や委託の内容に即して指名の対象となる業者を一覧にした「星取表」と呼ばれる書面を参考にして,その中から指名業者を決めていた。)。
(5) 指名委員会での審議と本件業務委託契約に至るまでの経緯
平成25年8月9日に開催された指名委員会において,本件業務委託の入札参加者に関する事項が取り上げられ,a町の担当職員らが本件業務委託の概要を説明したほか,「委託費は5070万円程度のため8社程度の指名となります。福岡県に本店,支店,営業所があり,測量及び造成設計等に実績のある業者の中から8社程度選定していただきたい。」旨の指名基準を説明したが,指名業者決定のための具体的な業者の選定は行われなかった。指名委員会終了後,担当職員が本件業務委託に係る星取表(測量資格及び土木関係建設コンサルタント資格を有する176社が載っているもので,測量資格しか有しないc社は同表には載っていない。以下,「本件星取表」という。)等の資料が添付された指名委員会の議事録を作成し,同議事録の内容がAに報告された。Aは,同月13日ころ,指名業者を決めたとして本件星取表を担当職員に返却したが,その際,Aは,担当職員に「b住宅の業務委託は,これでしてくれ。」等と告げ,本件星取表とは別のA4サイズの一覧表を渡した。その一覧表には,本件星取表に記載されていなかったc社が記載されており,c社,g社,h社,i社,j社,k社九州支店,l社の7社の業者欄の左側に,Aによって指名業者として決定されたという意味のチェック印と○印が付けられていた。この一覧表を検討し,c社に本件業務委託において必要な土木関係建設コンサルタントの資格がないことを知った担当職員が,Aに対しその旨を指摘したが,Aは,「それでいい。」等と答えたため,担当職員はAが決定した前記の7社を指名決定業者として入札執行に向けた作業を進め,同月16日ころには,本件業務委託に係る入札執行についてAの決裁を経た。
他方,Cは,同月14日又は15日には,Bから,Cが指定した6社とc社が指名に入るようだという連絡を受けていた。
前記7社の担当者は,同月20日,町役場において個別に本件業務委託に係る指名通知書等を受領したが,受領時に受領印を押す入札事務処理表には,7社の指名業者名が一覧できる形で記載されていた。
同年9月9日,本件業務委託に係る指名競争入札(以下「本件入札」という。)が行われ,g社が5218万5000円(ただし,工事設計書に記載された工事費の内訳金額と一致しなかったため失格となった。),h社が4850万円,i社が4930万円,c社が4840万円,j社が4974万円,k社九州支店が4998万円,l社が4897万円でそれぞれ入札した結果,c社が落札受注業者となった。そして,翌10日,a町とc社との間で本件業務委託に係る契約が締結された。
3  CとBの間の現金の授受とその後の分配状況
Cは,本件業務委託を落札した後,以下のとおり,2回にわたって,Bに対して合計800万円を交付し,被告人,A及びBは,その一部をそれぞれ受け取った(ただし,受領した現金の趣旨については当事者間に争いがある。)。
(1) 500万円の授受・分配状況
平成25年10月21日,CはBに渡すため,現金500万円を用意し,同日午後6時15分ころ,Bに対し,500万円の都合がついたのでd店に取りに来てほしい旨伝えた。その後,Cは,同日午後7時30分ころd店の駐車場でBと落ち合い,同人の車に乗り込んで,その車内で「500入っとる。」等と言って,紙袋に入った500万円をBに手渡した。Bは,Cとの別れ際に,「今から持って行かないといけない。」などと言っていた。
その後,Bから被告人に,Cから500万円を受け取ったので,被告人の家に向かう旨の連絡があり,Bが500万円を持って車で被告人宅にやって来た。被告人は,Bの車に乗りこみ,その車内で,Bから500万円のうち,100万円を受け取った。そして,被告人は,BからAの家に行くから付いてきてくれと頼まれたことからこれに応じ,BとともにAの自宅に向かった。Aの家に着くと,被告人は,Bから,前記500万円のうち300万円が入った紙袋を渡されたので,その紙袋を受け取った(Bは,遅くともここまでの間に,100万円を自己のものとしたとみられる。)。その後,2人はAの家に上がり,被告人は,「町長,Bからです。」等と言って300万円を紙袋ごとAに渡した。Aは渡された中身を見て,100万円を取り出し被告人に返してきたので,被告人はその100万円を受け取った。その後,被告人とBはAの家を出て,Aから返された100万円を50万円ずつ分けあった。
(2) 300万円の授受・分配状況
Cは,同年11月11日,Bに渡すため,300万円を用意し,Bにその旨連絡したが,Bは,都合が悪くて取りに行けないということであったため,翌12日の午後にe駐車場で300万円の受渡しをすることになり,同日午後2時半ころ,Cは,前記駐車場でBに紙袋に入った300万円を渡した(このとき,被告人が受渡しの場にいたかについては当事者間に争いがある。)。
被告人は,同日,Bから300万円のうち100万円を受け取ったが,その際,再びBからAの家に行くから付いてきてくれと頼まれたので,これに応じ,BとともにAの自宅に行った。被告人とBはAの家に上がり,その後,Aは,残り200万円のうち100万円を受領した。
以上のとおり,CはBに対して現金合計800万円を交付し,それらは最終的にAに300万円,B及び被告人には各250万円ずつ分配された。
第3  前提事実から推認できる事実関係
1  本件業務委託における談合の有無等について
本件入札に参加した7社のうち,少なくともc社とh社との間では,c社が落札できるよう談合が行われたことが認められる。それ以外の5社の代表者らは談合を否定し,h社の代表者も氏名不詳者(Pとみられる。)からの依頼を受けてc社と談合したことは認めつつ,c社以外の5社との談合を認めていない。あえて失格となったg社を除く6社がいずれもa町の想定した予定価格の95%以上という極めて高い価格で入札していることからすると,前記7社の間でc社が落札できるように談合が行われた疑いが濃厚ではあるが,Pが各社に具体的にどのような働きかけを行ったのかは明らかではなく,c社及びh社以外の5社についてはもともと落札意欲を持たない案件であった可能性も排除しきれない。しかし,そうだとしても,これら5社についてもCがPを通じて意図的に落札意欲をもたないと見込まれる業者を選定したからにほかならず,入札の公正が害される状況があったというべきである。
2  指名業者の選定手続について(指名委員会の選定を経ない選定か否か)
本件入札に関しては,平成25年8月9日に指名委員会が開かれ,本件業務委託の概要や指名基準の説明がされ,指名委員会の審議内容がAに報告された上で,Aが指名業者を決定している。
しかし,既に認定したとおり,前記の指名委員会では具体的な業者名を示す本来の方法による選定がされていないばかりか,そこで確認された選定基準等も概括的なものにとどまり,それによれば自ずから指名業者が特定されるような内容を有するものでもないから,その審議は指名委員会に求められていた役割を全く満たしていないというほかない。しかも,Aは,本件星取表に記載された業者の中から指名業者を選定することさえしないで,あえて本件業務委託に必要な資格を有しないc社が載っている別の一覧表を用いて指名業者の選定を行ったのであるから,Aによる指名業者の選定は,指名委員会の選定を経ずに独断で行った選定であったと認められる。
3  AからCへの「談合の唆し」の有無
前記認定のとおり,Aは,平成25年5月中には,本件業務委託の委託費の積算結果が6127万4850円(税込)であることについての報告を受けているところ,同月下旬には,BはCに対して委託費の大まかな金額を示した上で本件持ち掛けをしている。委託費の積算結果等は,当然のことながら,a町内部のごく限られた範囲の者しか知り得ない情報であり,このことに加えて,BからCに対する働き掛けの時期や,前記認定のAとBの人間関係等を踏まえれば,本件持ち掛けは,AとBが意思を通じて行ったものであることが推認できる(なお,Bの供述以外の証拠を前提とすると,Aが積極的にBに持ち掛けたのか,Bからの依頼にAが応じる形で本件業務委託の話を紹介したという流れであるのかは定かではないが,いずれにせよ,指名業者の選定権限を有するAが,c社を指名する明確な意向を持ったことが本件持ち掛けの前提となるから,AがBを介してCに対して本件持ち掛けを行ったと評価することに妨げはない。)。
そして,Bは,本件持ち掛けの当初からc社が落札されることを当然の前提として見返りを支払うよう話をしていること,本件持ち掛けの後,現にCがPの協力を得て協力業者6社を選定し,AもCの選定した6社をそのまま指名していることなどからすると,本件持ち掛けは,c社が落札できるよう,他の指名業者と談合することが当然の前提になっていたと認められる。
このように,Aは談合が前提になっている本件持ち掛けを,Bを介して行ったのであるから,その段階から,AはBと共謀の上でCに対する談合の唆しを開始したと認められる。
4  CがBに交付した800万円の趣旨
Cは,前記のとおり平成25年10月から11月にかけて合計800万円の現金をBに交付しているところ,Cは,この800万円の趣旨について,c社が本件入札において落札した後,Bから,本件持ち掛けで話題に出ていた現金の支払いを催促されたことから支払ったものであり,落札できたことの謝礼としてAに渡される賄賂であると認識していた旨述べている。本件当時,仕事上の取引等でCがBに800万円を支払うような事情は一切見当たらないばかりか,かえってBの方がCに対して数百万円もの借金を負っていたこと,BはCに本件持ち掛けの当初から,c社が落札できるようにするので謝礼金を支払ってほしい旨の話をしており,現にc社の落札後2か月ほどの間に合計800万円もの多額の現金の交付があったこと等からすると,上記800万円は,Cが供述するとおり,c社が本件業務委託を受注できたことに対する謝礼の趣旨であることは明らかである。そして,謝礼の相手方については,c社が本件入札において落札できたのは,前記のとおりの談合があったこともさることながら,Aが指名委員会の選定を経ることなく,本件業務委託を受注するのに必要な資格を有しないc社を不正に指名したからにほかならず,Cが敢えて破格の現金を支払う理由もまさにこの一点に存すると考えられる。そして,実際にAも800万円のうち300万円を最終的に我がものとしていることも考え合わせれば,Cが交付した800万円は,本件業務委託でAが不正にc社を指名したことに対する賄賂であったと認められる。
第4  被告人の認識及び共謀の有無について
1  検討方針
これまでに検討したところによれば,AとBが共謀の上,判示各犯行に及んだと認められるところ,本件の争点はこれに対する被告人の認識及び上記両名との共謀の有無である。この点,被告人は,本件業務委託における談合前にC及びBと2度にわたって面談の機会を持ち,また,Aの自宅において2度にわたって合計800万円を分配した場面にも同席しているほか,本件業務委託に先立つ環境アセス業務委託においてもAの指示を受けてB及びCと面談した経緯がある。以下では,これら各場面において証拠上認定できる被告人の言動等を認定した上で,本件における被告人の認識並びにA及びBとの共謀の有無について検討することとする。
2  環境アセス業務委託を巡る経過等
(1) 認定できる事実関係
ア 環境アセス業務委託の概要及びCとの面談に至る経緯
a町では,平成13年ころから,近隣の1市3町と共同して,ごみ焼却施設の運営管理を行うとともに,新たなごみ処理施設を建設することを目指していたが,建設候補地が定まらないなど難航し,Aは,平成24年9月ころ,a町が単独で,新施設を建設する方針を表明するに至った。この新施設に係るごみ焼却場については,平成29年度の稼働を目指して作業が進められており,被告人は,ごみ焼却場に関する調査特別委員会の委員長を務めていた。Aは,平成24年11月ころ,a町の担当職員から,新施設等の建設予定地について,今後環境アセス業務委託を行う予定であるとの報告を受けた。
同年12月,被告人は,Aから,環境アセス業務委託に係る入札で落札した上,委託費の1割ほどの金額を落札の謝礼としてAに支払ってくれる業者を探すよう依頼された。被告人にはそのような業者の当てがなかったことから,Aの了解を得た上でBに相談したところ,BはCにその旨の話をして業者を探すよう依頼したが,Cは,Bの話だけでは要領を得ないことから,きちんと説明できる人を連れてくるようBに求めた。こうして,被告人,B及びCは3人で話をすることになり,平成24年12月下旬及び平成25年1月下旬の2度にわたり面談した。
イ 平成24年12月下旬の面談時の状況
被告人,B及びCの3人は,平成24年12月下旬ころ,d店に集まった。被告人は,Cに対し,環境アセス業務委託についてその概要を説明した上で,それを発注するに当たり見積りをとる必要があること,a町の方で指名願を出した業者に見積りを依頼するが,その業者には正規の見積金額に1000万円を上乗せした見積額を出してもらいたいこと,その上乗せした見積額で環境アセス業務委託を発注し,その業者が落札できれば,1000万円支払ってほしいこと(被告人は,Aに支払ってほしいとの趣旨で話し,Cもそのとおりと理解したものと認められる。)などを話し,これに応じる業者を探してくれるようCに依頼した。Cは,この依頼を受け,面談後に環境アセスメントを扱っている大分の業者に接触し,環境アセスメントについて話を聞くなどした。
ウ 平成25年1月下旬の面談時の状況
被告人,B及びCの3人は,平成25年1月下旬ころ,福岡県飯塚市内のファミリーレストランに集まった。Cが前記のとおり大分の業者に話を聞きに行ったものの,受注した業者が委託費から金銭を支払うという点については切り出しにくくて話していないことを説明すると,被告人は,再度,正規の見積金額に1000万円を加算した見積金額を出し,そのプラスした分を支払ってほしいと切り出せばいいと答えた。そして,被告人,B及びCは,「最終処分場と焼却場建設と2通りあるから,2箇所に切ってトントンと落とそうかという。」,「5社見つけて,その2社は必ずこっちとこっちで取れるわけでしょ,こっちとこっちで,ということは余りが3社ですたいね,3社にちーた小遣銭やると。」,「95パーでとるき,何パーかね,3パーなら3パーで…協力しいっち話してもらわな。」などと,具体的にどのように業者に話を持ち掛ければよいかについて話し合った。
エ その後の経緯
Cは,前記ウの面談後,環境アセスメントを取り扱っている会社に接触し,B及び被告人から持ち掛けられた話を打診したが,断られた。このことは,B及び被告人を介してAに報告され,以後,環境アセス業務委託に関する話が話題に上ることはなかった。
(2) 環境アセス業務委託に関するAの依頼内容とこれに対する被告人の認識
Aは,前記のとおり,被告人に対し,受注後に委託費の1割ほどの金額を支払ってくれる業者を探すよう依頼しているが,このAの依頼は,端的にいえば,受注後に,指名したことに対する謝礼金(賄賂)を渡す業者を探せということにほかならない。そして,その賄賂を受け取るためには,Aが当該業者を指名業者の一つに指名して指名競争入札に参加させ,なおかつ当該業者が落札する必要があるから,前記のAの依頼は,当該業者が落札できるよう指名業者間で談合することも当然の前提になっていたということができる。このことは,平成25年1月下旬の面談の際,落札できなかった業者にも金を払うことなど業者間での談合を想定した話合いがなされていることからも明らかである。
そうすると,Aが,環境アセス業務委託に関し,指名業者間で談合することを唆した上,自ら当該業者及び談合に応じる業者を指名業者として決定して当該業者に落札させ,賄賂を受け取ることを目論んでいたことは明白であり,なおかつ被告人自身も,このようなAの目論みを当然認識していたものと認められる。
また,Aが当該業者を指名業者の一つとして決定するという点についてみると,既に認定したとおりの指名委員会の実情に照らせば,Aは,環境アセス業務委託の入札に係る指名委員会において具体的な指名業者の選定がなされることはなく,自身の独断で指名業者を決定することを前提にしていたことは明らかというべきであるし,町議会議員として1年半以上活動し,ごみ焼却場の関係では特別委員会の委員長まで務めていた被告人においても,そのことは認識していたと推認される。この点,被告人は,そもそもa町に指名委員会があることを知らず,町長に自由な指名権限があると思っていたなどと供述するが,被告人の前記の地位に鑑みれば到底信用できない上,いずれにせよ,Aが指名業者の決定に際し,賄賂を収受することを目的としてその決定権を濫用することになるという点については容易に認識し得るところであって,被告人において,Aが正当な権限により業者を指名する予定であるなどと誤解する余地はない。
(3) 小括
以上のとおり,Aは,環境アセス業務委託において,賄賂を収受するために業者に談合を唆し,かつ,指名委員会の指名を経ないで協力業者を指名するなど,その権限を濫用して指名業者を決定することを目論んでおり,被告人もこれらの事情を認識した上で,B及びCと面談し,その実現に向けてCに働き掛けたものと認められる。
3  本件業務委託における談合前のC及びBとの面談の状況
(1) C供述の概要
Cは,平成25年6月中旬のd店での面談について,①被告人から本件業務委託の概要や委託費が6000万円であることの説明を受けた上,②被告人若しくはB,又はその両名から,1000万円をバックして欲しい,c社が話を付けることのできる業者を選べば,その業者に指名通知を出すからその業者を教えてほしい旨言われたこと,③Cが,どうしてそう簡単に選んだ業者に指名通知を出すことができるのかと尋ねると,被告人とBは,「ちゃんと上がしてくれるから。」「町長が。」などと答えたこと,④Cが,c社はコンサルタントの資格がない旨伝えると,Bは「大丈夫だ。」と答え,被告人も「そういう資格がなくても心配はいらない,指名が入るんだから。」などと答えた上で,自分でできないところは外注に出せばいい旨話したこと,⑤Cが,なぜバック金が必要なのかを尋ねたところ,被告人やBは,地元対策費がかかるとか,いろんな表に出せない金が要る旨答えたこと,⑥Cが1000万円も払えない旨難色を示した際には,Bは「それぐらいできるだろう。」などと言い,被告人も「利益ぐらい出るでしょう。」などと言った上,被告人又はBが,バック金が出せないならこの話はなくなるかもしれない旨発言したことなどを供述する。
(2) C供述の信用性
Cの上記供述は,被告人とBのいずれが発言したのかという点についてはやや曖昧なところはあるものの,面談の場で交わされた会話の内容については,ありもしない会話を創作して供述したり,他の場面での会話と混同しているとは考え難いほどに具体性・迫真性を備えている。また,Cは,平成25年6月中旬ころのd店での面談より前には,本件持ち掛けには直ちに乗らず,話の分かる人を連れてくるようにBに言うなど,比較的慎重な態度をとっていたのに,この面談の数日後にはPに対し談合の協力業者を選ぶ際の協力を依頼するなど,本件持ち掛けを受ける前提で具体的な行動に出ていることからすると,この面談において本件持ち掛けに関し核心的かつ具体的な話が出たことが強く推認されるのであり,Cの前記供述は,このような面談前後のCの行動経過ともよく整合するものであって,特段不自然,不合理な点は認められない。さらに,Cが当公判廷で前記の供述をした時点では,C自身に対する刑事裁判の有罪判決が確定しており,被告人に不利益な供述をしてもCの刑事責任が軽減される関係にない上,今後も地元で測量業務の仕事を続けていきたいと述べているCが,あえて元町議会議員である被告人に不利益な虚偽供述をする動機や理由も見当たらない。
以上からすれば,d店における面談時の会話内容に関するCの供述は十分にこれを信用することができる。
(3) 被告人供述の信用性
以上に対し,被告人は,平成25年6月中旬のd店での面談においては,a町営住宅長寿命化計画の内容が記載された書類を示しながら本件業務委託の内容について説明したのみで,Cが希望する業者を選んで談合するという話はしていないし,聞いてもいない旨供述する。しかし,面談を持つ前提となった本件持ち掛けは,本件業務委託をc社が受注した上で謝礼金を支払うという話であって,CがBに対して話の分かる者を連れてくるように要求したのは,持ち掛けられた話の詳細を確認した上,それに応じるか否かを決断するためと見るのが自然である。Cが単に業務内容の説明を受けたのみで本件持ち掛けに得心して,数日後にはPに協力を依頼するという具体的な行動に出るとは考え難く,被告人の供述は面談前後の経緯に照らして不合理で,信用できない。
(4) 小活
以上によれば,被告人の供述を踏まえてもC供述の信用性は揺らぐものではなく,平成25年6月中旬のd店での面談において,Cが述べるとおりの話し合いがされたと認められる。
4  800万円の授受に至る経緯及びその分配状況
(1) 認定できる事実関係
関係各証拠によれば,800万円の授受に至る経緯及びその分配状況は次のとおりであると認められる。
ア 800万円がCからBに渡されることが決まった経過
前記認定のとおり,平成25年6月中旬のd店での面談の際,被告人若しくはB,又はその両名は,Cに対し,1000万円を支払って欲しい旨頼んだ。これに対し,Cは難色を示していたが,面談後にもBに対し,1000万円も払えない,払えても800万円であるなどと伝えていた。さらに,c社が本件入札において落札した後の同年9月11日にも,Cは,Bに対し,再度800万円しか払えない旨伝えたが,このときBは金額に関して特に何も言わなかった。そして,その後,Bから金の支払を催促されることはあったものの,金額について話がされることはなかった。
イ 500万円の授受状況
Cは,すぐには800万円を支払わないでいたため,Bから度々謝礼金の支払を催促されていたが,同年10月21日,Cは500万円を用意し,Bに連絡した上で,同日午後7時30分ころ,d店の駐車場でBと会い,紙袋に入った500万円をBに渡した。その後の分配状況は第2の3で認定したとおりであり,被告人は,Bと共にAの自宅へ行き,Aに300万円を手渡し,Aがそのうち100万円を被告人に返すなどのやり取りを経て,最終的にAに200万円,被告人及びBに各150万円分配された。
ウ 300万円の授受状況
Cは,同年11月11日,300万円を用意し,Bに連絡した上で,翌12日午後2時半ころ,e駐車場でBに紙袋に入った300万円を渡した。その後の分配状況は第2の3で認定したとおりであり,被告人は,Bから上記300万円のうち100万円を受け取った上で同人と共にAの自宅へ行き,Aが100万円を受け取る場に同席し,最終的に上記300万円はA,被告人,及びBに100万円ずつ分配された。
(2) CがBに300万円を交付した際の被告人の同席の有無
なお,Cは,e駐車場で被告人の車の中において,被告人が同席する中,Bに300万円を渡した旨供述しているところ,この300万円の授受に関する供述は具体的であり,Cがこの場面に限って虚偽の供述をする動機はなく,また別の場面と勘違いする可能性もさほど高くない。他方,被告人は,e駐車場には行っておらず,Bが300万円を受領した後に連絡があり,被告人の自宅で合流した旨供述しており,この被告人の供述もその内容自体に特に不自然,不合理な点はなく,Cの供述と相容れないという点以外に積極的にこれを排斥するだけの証拠はないことからすれば,e駐車場に被告人が行ったか否かは判然としないというほかない(なお,Cは,被告人車両の登録ナンバーを覚えているなどとして当該ナンバーを供述するが,捜査段階において,現金授受状況を再現する際に被告人車両が使用されるなど,Cが被告人車両の登録ナンバーを記憶する機会が他にある以上,登録ナンバーを供述している点をもってCの供述の方が格段に信用できるとまで評価することはできない。)。
したがって,以下では,被告人にとって有利と考えられる,300万円の授受の際に被告人が同席していたとは認められないとの前提で検討を進めることとする。
5  被告人の認識及び共謀の有無
以上を前提に,被告人の認識及び共謀の有無について検討する。
前述のとおり,平成25年6月中旬のd店における面談において,被告人,B及びCの間で,少なくともc社が本件入札において落札したあかつきには1000万円の金を支払うという話と,c社の落札に協力する業者をCが選ぶ必要があるという話が出たと認められる。Cの供述によっても,発言の主体が被告人なのか,Bなのか,あるいは両名なのかが必ずしも判然としないものの,いずれにせよ,本件持ち掛けを受けた後,詳しい説明を求めたCの要望によって面談に参加することとなった被告人が,前記のような最も核心的な話題に加わらず,あるいはそうした話が出たことを認識しないまま面談の場に同席していたとは到底考えられない。また,この面談後に,被告人はAに対し3人で面談したことを報告しているが,Aが前記面談で出た話題に無関係であれば被告人がわざわざ報告をするとは考え難く,被告人自身,前記面談で交わされた話題の内容や,Aの関与を認識しているからこそ,同人に報告したものと見るのが自然である。
そして,この面談が,前記のような環境アセス業務委託を巡る被告人,B及びCの面談からわずか半年後のことである上,被告人とCとは環境アセス業務委託の一件で面談した以外に接点がなかったことを併せ考えると,環境アセス業務委託と本件業務委託とが無関係で,全く性質の異なる話であったとは到底考えにくい。被告人は,本件業務委託に関してCがBに対して支払う金の趣旨が,環境アセス業務委託における謝礼金と同様,Aがc社を指名業者として不正に指名することに対して支払われる謝礼金(賄賂)であると認識していたことがかなり強く推認される。さらに,被告人は,d店での面談後,同月下旬の面談にも再び参加して,Cへの働き掛けの実現に向けて行動し,CがBに対して800万円を2度に分けて渡した際には,そのたびにBに会った上,Aの自宅にまで赴き,現金をAに届ける場に同席して,自らも合計250万円を手にしていることも考えると,前記の推認は確定的なものとなると共に,被告人は,以上の点について,BのみならずAとの関係でも意思を相通じていたことが明白であるというべきである。
以上からすれば,被告人が,①Aが本件業務委託について,指名業者らが談合することを前提として,指名委員会の具体的な選定を経ることなく,その指名権限を濫用してc社や談合に協力する業者を指名業者として指名して,c社に本件業務委託を落札させ,その対価として賄賂を受け取ることを目論んでおり,Bもその実現のためにCにその話を持ち掛けるなどしていることを認識した上でd店での面談に臨んで,Bと共にCに対して談合に協力する業者を選ぶように働き掛けるなどし,また,②CがBに渡した合計800万円の現金がAへの賄賂であることを認識した上でAにこれを届けるとともに自らもその一部を受領したことが認められ,さらに,③以上についてA及びBとの間に共謀があったと認められる。
これに対し,被告人は,前記Cが支払う金は,CからBに対する謝礼であって,Aへの賄賂であるとは思わなかった旨述べると共に,自らが受け取った250万円はBに対する貸金の返済として受領したものであるなどと供述する。確かに,本件では,Cが支払う金について事前にその分配額について話し合われた形跡は証拠上うかがわれないのに,それが首謀者とされるAの手元に渡る前の段階でその一部がBから被告人に手渡されていることや,被告人の具体的な関与は,談合前のC及びBとの面談の場面と,BがCから受け取った金をAに届ける場面など限定的であるのに,その金の3割以上もの金額を被告人が受け取っていることなど,被告人の供述に沿うと理解し得る事情も存在する。しかしながら,これらの事情は,被告人,A及びBの従前からの人間関係や,被告人が限定的な関与ながらもCを得心させて談合に向けて行動させるのに決定的な役割を果たしたことなどを踏まえれば,被告人の認識や共謀に関する前記認定を揺らがせる事情とは見られない。むしろ,被告人やBは,平成25年6月中旬の面談においてCから金が必要な理由を問われた際に,「地元対策費がかかる。」,「表に出せない金が要る。」などと答えているところ,被告人がその金についてBに対する謝礼であると考えていたのであれば,このような答えは極めて不自然である。また,被告人は,Bに300万円を貸し付けた際には借用書まで作成していたのに,本件業務委託に係るBがCから受け取った金のうち250万円を受領した後も,Bからの借金の返済を受けた旨を書面により明らかにしていない。このような事実は被告人の前記供述と相容れず,被告人の前記供述は信用できないというべきであり,被告人の供述を踏まえても,被告人の認識及び共謀に関する前記認定に合理的な疑いは生じない。
6  弁護人の主張について
以上のほか,弁護人は,①本件の実態はBがCをだまして謝礼を得ようとして,被告人を巻き込んだというものであり,被告人はA及びBと共謀していないからこそ,謝礼金の金額の決定にも関与していない,②環境アセス業務委託は本件と質を異にするものであり,これをもとに被告人の認識や共謀を推認することはできないなどと主張する。
確かに,本件持ち掛けの当初から,Cが支払う金銭について既に1000万円という金額が示されており,また,その後800万円に減額されたのも,基本的にはCの意向によるものであり,被告人が金額の決定に具体的に関与したとまではいえないことや,談合に伴う指名業者の一覧表のやり取りはA,B及びC間で行われ,被告人が関与していないことなど,弁護人が指摘する事情からすると,当初から被告人,A及びBが話し合った上で犯行に及んだというよりも,まずはA及びBが共謀して本件持ち掛けをし,それに被告人が加わったと見るのが素直であり,当裁判所も被告人が遅れて関与することになったという経過を否定するものではない。しかしながら,そのような経過を前提にしても,前記認定のとおり,被告人がA及びBと意を通じ,犯行を実現するためにCと面談を持つなどしたと認められるのであって,弁護人の指摘する事情は前記認定を左右するものではない。
また,環境アセス業務委託に係る被告人,B及びCの面談は,あらかじめ賄賂金を委託費に上乗せするために見積書を提出させるという場面でのもので,本件業務委託とは異なる面があるのは弁護人の指摘するとおりであるが,Aが自己に賄賂金を支払ってくれる業者を指名して落札させることを目論んでいるという基本的な構造に変わりはなく,環境アセス業務委託の件で直接Aから依頼を受け,BやCと面談を持つなどしてその依頼の実現に向けて行動した被告人であれば,そのわずか半年後の時期に関わった本件業務委託におけるAやBの意図も当然認識していたであろうと推認することを妨げるものではない。
その他,証拠を精査し,弁護人の主張を考慮・検討しても,前記認定に合理的な疑いは生じさせる事情は見当たらない。
第5  結語
以上の次第で,判示の事実を認定した。
(法令の適用)
被告人の判示第1の所為のうち,入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反の点は刑法65条1項,60条,入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律8条に,公契約関係競売入札妨害の点は刑法60条,96条の6第1項に,判示第2の行為は同法65条1項,60条,197条の3第2項にそれぞれ該当するところ,判示第1の所為は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条により1罪として重い入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反の刑で処断することとし,判示第1の罪について所定刑中懲役刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により重い判示第2の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中120日をその刑に算入することとし,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予することとし,被告人が判示第2の犯行により収受した賄賂のうち金250万円については既に費消して没収することができないので,同法197条の5後段によりその価額金250万円を被告人から追徴することとし,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。
(量刑の理由)
本件は,判示のとおり,犯行当時a町議会議員であった被告人が,a町長であったA及び知人のBと共謀の上,a町が実施する業務委託に係る指名競争入札に関して,建築工事会社の経営者であるCに談合を唆し,Cが経営する会社(c社)とCが選定した談合等に協力する業者6社をAが指名委員会の具体的な選定を経ずに指名した上,Cから,Aの不正な職務への謝礼として2度にわたり合計800万円の賄賂を収受したという事案である。
判示第1の犯行は,町長であり,指名業者の決定権限を有するAが関与することで,Cが選定した協力業者のみを指名するなど,c社が確実に落札できるよう計画的に行われており,結果としてもc社が予定価格の95パーセント以上もの高額で落札して,正当な入札手続を経た場合と比べて1000万円以上もの多額の税金が無駄に使われたとも見られるなど,指名競争入札の公平性及び競争性を著しく損なうものである。しかも,判示第2のとおり当初から賄賂を収受することが織り込まれた犯行であるという点も看過できない。判示第2の犯行で収受した賄賂の額は合計800万円とかなり高額であり,公務の公正さに対する社会の信頼が大きく損われた。以上からすれば,判示各犯行の犯情は総じて悪質というほかない。
このような犯行において,被告人は計画段階から積極的に関与したとまでは認められず,関与した場面も限定的ではあるものの,Cは,当初本件を持ち掛けたBの話だけでは全く得心しておらず,被告人との面談を経て初めてこの話に乗ることを決意したことからすれば,各犯行を実現する上で果たした被告人の役割は重要かつ不可欠なものであったと評価すべきである。また,被告人自身も賄賂金の中から250万円というBと同額でAの受領額とも遜色のない多額の現金を受け取っている。さらに,被告人は,犯行当時町議会議員として,適正に職務を行う立場にありながら本件各犯行に加担しており,被告人の行為は町民の信頼を著しく害するものであることも考慮すると,その刑事責任はBと同等ないしそれ以上に重いものと見るのが相当である。
しかしながら,被告人が自己の認識や共謀は否定しつつも反省の態度を示していること,本件各犯行後町議会議員を辞め,今後は政治の世界には関わらない旨述べていること,被告人には10年以上前の異種前科があるにすぎないことなどを考慮すると,本件において被告人を実刑に処することはなお躊躇を覚えるところであって,被告人に対しては,主文の刑を科した上,その刑の執行を猶予して,社会内での更生の機会を与えるのが相当であると判断した。
(求刑 懲役4年,追徴250万円)
平成28年3月23日
(裁判長裁判官 丸田顕 裁判官 大橋弘治 裁判官 德井隆一)

 

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