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「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(30)平成24年 5月28日 東京地裁 平24(ヨ)20045号 職務執行停止・代行者選任等仮処分命令申立事件

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(30)平成24年 5月28日 東京地裁 平24(ヨ)20045号 職務執行停止・代行者選任等仮処分命令申立事件

裁判年月日  平成24年 5月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  決定
事件番号  平24(ヨ)20045号
事件名  職務執行停止・代行者選任等仮処分命令申立事件
文献番号  2012WLJPCA05286001

裁判経過
抗告審 平成24年 5月31日 東京高裁 決定 平24(ラ)1122号 職務執行停止・代行者選任等仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件

出典
資料版商事法務 340号33頁

裁判年月日  平成24年 5月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  決定
事件番号  平24(ヨ)20045号
事件名  職務執行停止・代行者選任等仮処分命令申立事件
文献番号  2012WLJPCA05286001

住所〈省略〉
債権者 X
東京都新宿区〈以下省略〉
債務者 Y1株式会社
同代表者代表執行役 Y2
シンガポール共和国セントーサ島〈以下省略〉
債務者 Y2
住所〈省略〉
債務者 Y3
上記3名代理人弁護士 手塚裕之
同 新川麻
同 藤田美樹
同 杉原えり
同 木津嘉之
同 齋藤梓
同 濱田啓太郎
同 天白達也

 

 

主文

1  本件申立てをいずれも却下する。
2  申立費用は債権者の負担とする。

 

理由

第1  申立て
債務者らは,別紙記載の議題並びに議案の要領及び提案理由につき,平成24年6月1日以降に開催予定の債務者Y1株式会社の定時株主総会の招集通知又は株主総会参考書類にその全文を記載せよ。
第2  事案の概要
1  本件は,債務者Y1株式会社(以下「債務者会社」という。)の株主である債権者が,債務者会社,同社の取締役兼代表執行役である債務者Y2(以下「債務者Y2」という。)及び債務者Y3(以下「債務者Y3」という。)に対し,株主提案権(会社法303条1項,305条1項)に基づき,提案議題,議案の要領及び提案理由を平成24年6月20日に開催予定の債務者会社の定時株主総会(以下「本件株主総会」という。)の招集通知又は株主総会参考書類に記載するよう求めている事案である。
2  前提事実(疎明資料を掲記しない事実は当事者間に争いがなく,その他の事実は各項に掲記した疎明資料及び審尋の全趣旨により一応認められる。)
(1)  当事者
ア 債権者
債権者は,債務者会社の議決権300個以上を6か月以上保有する債務者会社の株主である(疎甲1,2,審尋の全趣旨)。
イ 債務者ら
(ア) 債務者会社は,光学ガラスの製造,販売等を事業として行う東京証券取引所市場第1部に上場する株式会社(委員会設置会社)である。
(イ) 債務者Y2及び債務者Y3は,債務者会社の取締役兼代表執行役である。なお,債務者Y3は,本件株主総会終結の時期をもって債務者会社の全役職を退任する予定である。
(2)  事実経過の概要
ア 債権者は,平成24年4月5日,債務者Y2及び債務者Y3に宛てて,別紙記載の株主提案議案(以下「本件株主提案」という。)を含む63個の株主提案議案が記載された「平成24年度株主提案(4月5日)」と題するメールを送信し,同月20日,同内容の書面を配達証明郵便で送付した。債権者は,これらにより,本件株主総会において上記メール及び書面に記載された事項を株主総会の目的とすること,及び議案の要領と提案理由を招集通知又は株主総会参考書類に記載することを請求した(疎甲3,審尋の全趣旨。以下,この請求を「本件請求」という。)。
イ 債務者会社は,同月27日,債権者に対し,債権者の本件請求について,「株主提案権の濫用に該当すると判断されるため,すべての提案議案を平成24年6月に開催する弊社定時株主総会に付議しないという結論になりましたのでご連絡いたします。」と記載された「「株主提案」に関する連絡書」と題する書面(疎甲4)を送付した。
ウ 債権者は,平成24年5月11日,本件民事保全を申し立てた(当裁判所に顕著な事実)。
(3)  債務者会社の定款等の内容
債務者会社の定款及び株式取扱規則には,次のとおり規定されている(疎乙22,23)。
ア 定款
(ア) 13条
当会社の定時株主総会は,毎年6月に招集し,臨時株主総会は,必要に応じてその都度これを招集する。
(イ) 15条1項
株主総会は,法令に別段の定めがある場合を除き,取締役会の決議により,取締役会においてあらかじめ指名された取締役が招集し,議長となる。ただし,その取締役に差支えがあるときは,あらかじめ取締役会で定めた順序にしたがい他の取締役がこれにかわる。
(ウ) 16条1項
株主総会の決議は,法令または本定款に別段の定めがある場合を除き,出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行なう。
(エ) 20条1項
当会社の取締役は,10名以内とする。
(オ) 21条1項
取締役の選任および解任の決議は,議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,その議決権の過半数をもって行なう。
(カ) 21条2項
取締役の選任は,累積投票によらないものとする。
(キ) 22条
取締役の任期は,選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までとする。
イ 株式取扱規則15条(株主提案議案の株主総会参考書類記載)
株主総会の議案が株主の提出によるものであり,かつ提案の理由または役員選任議案における株主総会参考書類に記載すべき事項が,株主総会参考書類にその全部を記載することが適切でない程度の多数の文字等をもって構成されている場合は,次に掲げる事項を除いた上で,会社法施行規則の定めにより,当該事項の概要を記載するものとする。
一 提案の理由については,明らかに虚偽である事項または専ら人の名誉を侵害し,もしくは侮辱する目的によるものと認められる事項
二 役員選任議案における株主総会参考書類に記載すべき事項については,明らかに虚偽である事項
(4)  本件株主総会
債務者会社は,平成24年6月20日に本件株主総会を開催し,議案1件(取締役7名選任の件)を上程することを予定している。債務者会社は,同年5月14日ころに招集通知及び株主総会参考書類の内容を確定し,同月末頃に株主に宛てて発送する予定である(審尋の全趣旨)。
(5)  本件株主提案の内容
本件株主提案は,本件請求に係る63議案から5議案を除いた58議案から成るものである。その内容の詳細は,別紙記載のとおりであるが,その内容に応じて次のとおり分類することができる(疎甲3,審尋の全趣旨)。
ア 取締役選任議案(第5~16,18,19,22,24,25,27,28,30,31,33,34,36~38号議案)
イ 取締役解任議案(第17,20,23,26,29,32,35号議案)
ウ 定款一部変更議案(第39~63号議案)
3  争点及び争点に関する当事者の主張
債権者の主張の詳細は仮処分命令申立書及び準備書面記載のとおりであり,債務者らの主張の詳細は答弁書及び主張書面(1)記載のとおりであるから,それぞれ引用する(ただし,仮処分命令申立書の申立ての趣旨7項に係る主張に限る。)。争点及び争点に関する当事者の主張の骨子は,次のとおりである。
(1)  被保全権利の有無
(債権者の主張)
ア 債権者は,債務者会社の議決権300個以上を6か月以上保有する株主であるから,議題提案権及び議案通知請求権を有する。
イ 債権者は,平成24年4月5日,債務者Y2及び債務者Y3に対し,63個の株主提案議案が記載された「平成24年度株主提案(4月5日)」と題する書面をメールで送信して,議題請求権及び議案通知請求権を行使した。
ウ 債務者らは,株主権の濫用を理由として,債権者の株主提案を拒否している。しかし,債権者は,株主総会で実質的な経営是正権を行使するといった正当な株主権の行使を行う以外の不当な目的を有しておらず,また,本件請求に係る議案をすべて議決権行使書面に記載することは十分に可能であるから,理由がない。
(債務者らの主張)
次のような事情を考慮すれば,本件請求は株主提案権の濫用であり,債務者会社は,本件請求に係る議案を本件株主総会の招集通知又は株主総会参考書類に記載することを拒絶できる。
ア 本件請求は,自らと確執のある親族や,意に沿わない言動をする債務者会社の役員や従業員らを糾弾し攻撃するための手段として,あるいは,自らの自己顕示欲を満足させることを目的として行われたものである。
イ 本件請求は,その提案する議案が63もの常識外れの数に及んでいるうえ,取締役の選任等に関する34議案は,そのほとんどが就任可能性のない者を候補者とするものであること,定款一部変更議案についても,大多数が不適法なものであって,いずれについても株主提案権を行使すべき正当な必要性や利益は存在しない。
ウ 本件請求は,著しく多数の議題,議案を提案するもので,提案理由も長文に及んでおり,これを招集通知に記載して株主総会の議題ないし議案とすることは,債務者会社の業務の正常な運営を妨げる上,株主にも大きな負担を強いるものである。また,このような株主提案がされることで,株主あるいは取引先等の関係者に対する債務者会社の信用が毀損されることは明らかである。
(2)  保全の必要性の有無
(債権者の主張)
ア 債務者会社は,債務者Y2らが自らに都合の悪い違法行為や親族企業への利益供与スキームに関する事実を指摘したりする債権者を株主総会において排除して,債権者の有する様々な株主権を実質的に無力化することを狙っており,債権者が提案しようとする議題や議案の要領が記載されなくては,他の株主に債権者提出の株主提案の賛同を集めるための活動を行うことが極めて制約される。
イ 債権者の提出しようとする議案を他の株主に対して十分に説明するためには,債権者提出の議題を会議の目的として,議案を債務者会社の費用で招集通知に記載させることが不可欠であり,本件申立てによらなければ,債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けることができない。
ウ 債権者の適法な株主提案権が無視された場合であっても,必ずしも当該株主総会決議の取消事由になるとは限らないし,仮に取消事由に該当したとしても裁量棄却される恐れもあるから,仮処分手続によるほかには,権利侵害に対する救済手段が存在しない。
(債務者らの主張)
ア 本件株主提案を本件株主総会において決議しなければ,債務者会社に著しい損害又は急迫の危険が生ずるような議案が含まれているとの疎明はなく,実際にもそのような議案は含まれていないから,債権者が求める株主提案を招集通知に記載せず,株主総会で取り上げないことによって,著しい損害又は急迫の危険が生ずるということはない。
イ 本件株主提案のうち,取締役の選任等に関する議案について,債権者が列挙する候補者のほとんどが債務者会社の取締役に就任する意思を有しておらず,仮に万が一株主総会において選任されたとしても,これらの候補者が債務者会社の取締役に就任することはないのであるから,その意味でも,本件株主提案を株主に通知せず,株主総会でこれらを諮らなかったとしても,著しい損害又は急迫の危険など観念し得ない。
ウ 定款一部変更に関する議案のうち,株主提案説明字数分量の説明と改ざん削除の禁止(議案40)及び執行役を交えない社外取締役だけの経営会議(議案43)に係る定款変更議案については,既に,債務者会社の社内規則その他の方法により対応済みであるから,仮に,これらの議案が株主総会で決議されたと仮定しても,債務者会社の状況に何ら変更はなく,したがって,これらの議案を株主総会で諮らなかったとしても,著しい損害又は急迫の危険が生ずるということはない。
その他の定款変更議案についても,平成23年度定時株主総会においてこれを諮らなければならないという急迫性や必要性は全く認められない。
エ 一方,仮に本件申立てが認められた場合に債務者らの被る不利益は甚大であり,金銭による賠償等では到底回復できない。また,実務上の実現可能性にも疑問がある。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(被保全権利の有無)について
(1)  本件株主提案の手続について
前記前提事実(1)ア,(2)ア,(4)によれば,債権者は,①債務者会社の議決権300個以上の株式を6か月以上保有する債務者会社の株主であること,②本件株主総会は,平成24年6月20日に開催される予定であること,③債権者は,本件株主総会の開催日より8週間以上前である同年4月5日に本件株主提案を含む本件請求を行ったことが認められるから,債権者は,債務者会社の取締役に対して,株主提案権としての議題提案権及び議案通知請求権を有し,かつ,これを手続上適法に行使したと認められる(会社法303条1項,2項,305条1項)。
(2)  本件株主提案が権利濫用であるとの債務者らの主張について
ア 株主提案権といえども,これを濫用することが許されないのは当然であって,その行使が,もっぱら,当該株主の私怨を晴らし,あるいは特定の個人や会社を困惑させるなど,正当な株主提案権の行使とは認められないような目的に出たものである場合には,株主提案権の行使が権利の濫用として許されない場合があるというべきである。
この見地からみると,確かに,本件株主提案に係る議案の中には,議案11のように,債務者会社の特定の従業員を困惑させることを目的としているとしか考えられないものが含まれている上,他にも,その提案理由によれば,債務者会社の経営陣や従業員の従前の対応に対する不満を背景とすると思われる議案が存在することは否定できない。また,疎明資料(疎乙15の1~10)によれば,債権者は,ツイッターやブログにおいて,債務者会社の特定の従業員を繰り返し非難するような書き込みを行っていることが認められる。しかしながら,他方で,本件株主提案のうち定款一部変更議案は,その大部分が債務者会社の経営の透明化を図ることを目的とする議案であると評価できるもので,その中には,過去の株主総会における債権者の提案に対し40%前後の高い支持が得られたものも含まれていることが認められる(疎甲122,審尋の全趣旨)。そして,会社の経営陣に対する不満を背景とする株主提案が,直ちに不当であるともいえないことも考慮すると,上記のとおり,一部に債務者会社の特定の従業員を困惑させることを目的とする議案が含まれており,当該議案の提出は正当な株主提案権の行使とは認められないとしても,直ちに,本件株主提案が,全体として,もっぱら債権者の私怨を晴らし,あるいは,特定の個人や債務者会社を困惑させることを目的とするものであるとまでは断定できず,他に,これを認めるに足りる疎明資料は存在しない。
イ また,債務者らは,本件請求に係る議案のほとんどが不適法なものであるとして,その点からも本件請求が権利の濫用であると主張する。
確かに,取締役選任議案及び解任議案のうち,債務者Y3の選任議案に対する反対議案としての性質を有する議案22は,債務者Y3の選任議案が本件株主総会に提出されない(審尋の全趣旨)以上,不適法なものであると考えられる。また,議案16,19,25,28,31,34,37及び38は,いずれも反対議案と選任議案とを組み合わせたもので,他の議案と明らかに重複するものであるから,提出の利益はないと考えられる。しかしながら,その他の議案については,いずれも,直ちに提出の利益が否定されるものではなく,不適法であるとは認め難い。
また,定款一部変更議案については,確かに,明確性を欠くものや実効性に疑問があるものも存在するが,定款にどのような規定を設けるかということは,その内容が法令に違反するものでない限り,基本的には株主の自治に委ねられるべきものであって,その内容が不明確であるとか,実効性に疑問があるというだけで,直ちに提案自体が不適法となるものではないと考えられる。この観点からすると,本件請求に係る定款一部変更議案は,いずれも不適法であるとまではいえず,債務者らの主張は採用することはできない。
以上によれば,本件株主提案に係る議案には,不適法なものも含まれているものの,このことをもって,本件株主提案全体が権利の濫用であるということはできないというべきである。
ウ さらに,債務者らは,本件株主提案について,議題・議案の提案が著しく多数で,かつ提案理由が長大であり,①株主にこれらを全て検討させるのは他の株主に大きな負担を強いる,②債務者会社に提案理由の補足説明等の準備や印刷費用,発送費用等で多大な負担を強いる,③株主総会当日に本件株主提案を審議するのは,実務上対応不可能であるなどと主張する。
株主提案権は,共益権の一つとして少数株主に認められた権利であるから,株主提案に係る議題,議案の数や提案理由の内容,長さによっては,会社又は株主に著しい損害を与えるような権利行使として権利濫用に該当する場合があり得ると解される。
本件の場合,議案の数が58個に及び,提案理由もかなりの長さになっていることからすると,債務者らに対し,かなりの負担を強いるものであることは否めない。
しかし,債務者らが指摘するように,58個の本件株主提案のうち,33個(第5~20,22~38号議案)は取締役選任議案の関係であり,実質的には,会社提案に対する反対議案とそれとは別の10名(ただし,1名は会社提案議案の候補者と同一)の選任議案に整理できるものである。また,疎明資料(疎甲6,疎乙4の1・2,5,13)によれば,①平成22年6月開催及び平成23年6月開催の株主総会の際には,債権者によって本件株主提案より多い議案が提出された上,最終的に15又は20個が議案として上程されたこと,②債務者会社の株式取扱規則15条には,会社法施行規則93条に沿った規定があり,それ以外に株主提案の数や字数を制限する規定はないこと,③本件請求は,平成24年4月5日に行われたところ,債務者会社が本件株主総会の招集通知等の内容を確定させた同年5月14日頃までの間に1か月以上の期間があったことからすると,本件株主提案が権利濫用に当たるとまではいうことができない。
(3)  まとめ
以上によれば,本件株主提案が全体として権利濫用に当たると認めることはできない。もっとも,前記に検討したところによれば,議案11,16,19,22,25,28,31,34,37及び38については,被保全権利を認めることはできない。また,株主総会参考書類の記載に当たっては,債務者らにおいて,会社法施行規則93条,債務者会社の株主取扱規則15条の定める範囲内で提案理由について修正することが許されているから,提案理由全部を記載するよう求める部分については,被保全権利を認めることはできない。
2  争点(2)(保全の必要性の有無)について
(1)  本件申立ては,仮の地位を定める仮処分命令(民事保全法23条2項)を求めるものと解されるから,保全の必要性が認められるためには,「債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするとき」に該当することが必要である。また,株主提案権は,共益権の一種であり,究極的には会社の利益のために行使されるべきものであるから,会社に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるために必要があるときにも,保全の必要性が認められるというべきである。
ところで,株主提案権は,特定の株主総会における議題又は議案を提案する権利であるから,本件申立てが認容され,債務者らがこれに従って履行すれば,その性質上,事後的に当該提案がなかったことにすることは不可能である。そうすると,本件申立ては,いわゆる断行的仮処分の性質を有するものであるから,保全の必要性は,保全命令により債務者らが被る不利益又は損害も踏まえて,より慎重に判断すべきものと解される。他方で,株主提案権の性質に照らし,株主提案が無視された場合に,その権利を本案訴訟において実現することは,時間的制約に鑑み事実上不可能であり,事後的な救済方法も限られているから,株主提案権を無視された株主の救済方法として,仮の地位を定める仮処分によるべき必要性は高いということができる。
また,株主提案権が侵害されることにより株主又は債務者会社が被る損害とは,当該議題等が株主総会に上程されないことにより,株主の意思を会社の運営に反映させる機会あるいは当該意思を他の株主に知らしめる機会が奪われることであると考えられるから,その損害の内容,程度は,株主提案に係る議題又は議案の内容や可決可能性等によって異なり得るものであると考えられる。
以上のような諸点を考慮すると,本件申立てにおける保全の必要性は,本件株主提案に係る議題及び議案の内容,可決可能性等を踏まえた上で,本件株主提案が認められないことにより債権者又は債務者会社に生ずる損害又は危険と,本件申立てが認容された場合に債務者らが被る不利益又は損害とを総合的に考慮して判断すべきものと解される。
(2)  以上の見地から,本件申立てに保全の必要性が認められるかどうかを検討する。
ア 本件株主提案に係る議案の内容及び可決可能性等について
(ア) 取締役選任議案について
疎明資料(乙19の1~3)によれば,A1,A2及びA3の3名は,取締役に就任する意思がない旨を表明していることが認められ,その余の候補者についても,A4(疎甲119)を除き,候補者に就任の意思があることの疎明はない。また,上記のA4についても,A2の補欠の候補者として提案されているにすぎないところ,A2が取締役に就任する意思がない旨を表明していることからすれば,同人が選任される可能性は極めて乏しいから,A4についても,その選任可能性は極めて乏しいといわざるを得ない。
(イ) 取締役解任議案について
前記前提事実(3)ア(キ)によれば,取締役解任議案の対象となる取締役の任期は,本件株主総会の終結時であることが認められるから,取締役解任議案が本件株主総会の議案として上程されなかったとしても,それにより,債務者会社の役員構成に実質的な変更をもたらすものではない。
(ウ) 定款一部変更議案について
定款一部変更議案については,いずれの議案についても,その内容が本件株主総会の議案としなければならない緊急性あるいは本件株主総会において審議すべき必要性のあるものであることを認めるに足りる疎明はない。
イ 保全の必要性について
以上によれば,本件株主提案に係る議案(適法なものに限る。)は,①その可決可能性が極めて乏しいか,可決されても実現可能性がないもの,②可決されても実質的な法律関係に影響をもたらさないもの,③本件株主総会に上程しなければならない緊急性又は必要性が疎明されていないもののいずれかであって,これらが本件株主総会に上程されないことによって債権者あるいは債務者会社に生ずる損害ないし不利益は,それほど大きなものであるとは考えられない。
他方,審尋の全趣旨によれば,債務者会社は,平成24年5月14日までに本件株主総会の招集通知及び株主総会参考書類の校了を終え,同月末の発送に向けて,印刷作業を開始していることが一応認められ,仮に本件申立てが認められた場合には,招集通知及び株主総会参考書類の作成をやり直さなければならず,既に作成したものが無駄になるほか,新たに必要となる費用及び事務作業の負担はかなり大きなものとなる。また,本件株主総会が同年6月20日に予定されていることからすれば,招集通知及び株主総会参考書類の作成が間に合わず,本件株主総会を開催することができない事態も予想される。そうすると,本件申立てが認容されることによる債務者らの不利益は,決して小さなものではないというべきである。
以上の諸点を総合考慮すると,本件株主提案が本件株主総会に上程されなければ,債権者又は債務者会社に著しい損害又は急迫の危険が生ずるものとは認められず,本件申立ては,保全の必要性を欠くというべきである。
3  結論
以上によれば,本件申立ては,被保全権利の疎明を欠くか,保全の必要性の疎明を欠くものであって,いずれも理由がないからこれを却下することとし,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 谷口安史 裁判官 目黒大輔 裁判官 山下浩之)

 

(別紙)
債権者が債務者らに債務者Y1株式会社の定時株主総会の招集通知または参考書類に掲載を求め,公正な審議のもとで決議を行うことを求める議案と提案理由
議案5 取締役10名選任の件
議案の要領 A5,A6,A7,A8,A9,A10,A11,A12,A13,A2を取締役とする。なおA12氏の補欠としてA14氏とA15氏,A10氏の補欠としてA3氏,A2氏の補欠としてA4氏を選任しておく。
提案の理由 他の取締役選任に関する提案理由を参考。
議案6 取締役1名選任の件
議案の要領 A6を取締役に選任する。
当社株主 A6(議決権数1055個) 当社の前身であるa社の創業者兄弟の一人であるA16とA17の長女として愛知県に生まれる。富士見高校(練馬区)卒業後,当社名誉会長A18と婚姻。A8,A7,およびY2の1男2女を育てる。
提案の理由 現在の社外取締役を中心とした取締役会がまるで機能せず,単なる仲良しクラブになっているので,社外取締役を退任させ,いったん創業者の長女であるA6を取締役に選任するべきである。A6氏は創業者の長女であり,かつ当社の創業家の株主であるので,当社の株式をまるで所有していない社外取締役よりもはるかに同社の企業価値を考えた経営監視を行うインセンティブを持っていると思われる。
議案7 取締役1名選任の件
議案の要領 A7を取締役に選任する。
当社株主 A7(議決権数998個) 当社名誉会長のA18と創業者A16の長女であるA6の次女として東京に生まれる。名門高校である私立桜蔭高校,聖心女子大学を卒業後,大蔵省(当時)勤務のA19と婚姻し,湾岸戦争時のプリンストン大学に夫の留学と共に渡米。帰国後,夫の参議院選挙出馬に伴い,秋田県に移住し,現在に至る。
提案の理由 現在の社外取締役を中心とした取締役会がまるで機能せず,単なる仲良しクラブになっているので,社外取締役を退任させ,いったん創業者の長女であるA6のさらに次女であるA7を取締役に選任するべきである。A7氏は創業者の孫であり,かつ当社の創業家の株主であるので,当社の株式をまるで所有していない社外取締役よりもはるかに同社の企業価値を考えた経営監視を行うインセンティブを持っていると思われる。また最高執行役Y2の姉であり,Y2の最高執行役退任の引導を渡すことも仲良しクラブの社外取締役よりは実にはるかに容易であろう。
議案8 取締役1名選任の件
議案の要領 A8を取締役に選任する。
当社株主 A8(議決権数5148個) 当社名誉会長のA18と創業者A16の長女であるA6の長女として東京に生まれる。成蹊大学卒業後,自衛官で歯科医師であるA20と婚姻し,現在に至る。
提案の理由 A7の提案理由と同じ。ただ現在の時点でA7よりも多くの株式議決権数を所有しているため,株主価値の実現に対してより強いインセンティブを持ちうると考えられる。
議案9 取締役1名選任の件
議案の要領 A9を取締役に選任する。
当社株主 A9(議決権数700個) 長野県に生まれ,当社前社長のA21と婚姻する。夫の資産を練馬区内の不動産に投資することで資産運用の分野で頭角を現す。
提案理由 A7の提案理由と同じ。ただしA9氏には,不動産投資を実質的に取り仕切る経営成果がすでにあるため,Y2を退任させる能力や意思を実質的に持っていると考えられる。
議案10 取締役1名選任の件
議案の要領 A10を取締役に選任する。なお無機ELの研究に顕著な成果を上げているA10氏は,当社を退社しb社の横浜研究所に勤務しているため,A10氏の取締役就任にA10氏本人が応じない場合の補欠の取締役として,A3氏をあらかじめ選任しておく。
A10 当社元R&DセンターQD-EL研究グループ主任研究員,現在b社横浜研究所研究員。中央大学理工学部博士号取得。当社研究員のA3博士とA22博士(元東京工業大学教授)との共著論文である‘Quantum Dot Activated All-inorganic Electroluminescent Device Fabricated Using Solution-Synthesized CdSe/ZnS Nanocrystals’(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.46, No.40, 2007, pp.L966-L969)は,(社)応用物理学会より第30回(2008年度)応用物理学会論文賞(JJAP論文賞)を受賞している。なお同社は,「受賞対象の論文に著された素子は,その構成部材を全て無機材料とした面状自発光素子(エレクトロルミネッセンス素子:EL素子)です。化学合成手法によるコロイダル量子ドットを発光層の原材料に用いることにより,CRTに比肩する純色の自己発光を実現できることが特徴です。コロイダル量子ドット:QDは,液相にて化学合成され,表面を界面活性剤有機分子で覆われた,数ナノメートルの直径を有する半導体ナノ結晶であり,極めて色純度の良い高効率の蛍光を発する優れた発光材料として知られています。しかし,その表面に存在する界面活性剤や,QDを分散させる為に用いられる有機溶剤に由来する有機物の存在が,無機材料で構成される発光素子への応用を拒んできました。QD-EL研究グループは,コロイダルQDから有機物を除去しつつも,QD構造を保存し,高効率純色発光特性を有する半導体発光活性薄膜を比較的低温で形成できる成膜技術を既に開発しています。この度,二重絶縁層型薄膜EL素子の発光活性層の形成に新成膜技術を応用し,初めて量子ドットからの高純色自発光(電子・正孔の量子閉じ込め準位間発光)に成功いたしました。過酷な環境下でも,全無機構造が高い信頼性をもたらすことが期待できます。また,プラスティック基板を使用することが可能で,さらに全ての電極に透明導電材料を用いることで,フルカラーのフレキシブル透明ディスプレーも構成可能です。今後は,各構成部材の調製を行い,高輝度化のための開発を行っていきます。」などと2008年7月24日当時にプレスリリースを行っている。
その他のA3博士とA22博士との共同論文として,‘Ion Beam Deposition Technique for Fabricating Luminescent Thin Films from a Solution of Nanocrystalline Semiconductor Dots’ Jpn. J. Appl. Phys. 46(2007)L392, ‘Ion Beam Deposition of Quantum Dots from Colloidal Solution’ Jpn. J. Appl. Phys. 47(2008)pp.2977-2981などがある。
A3 当社R&Dセンター研究員,東京工業大学理工学部博士号取得(材料科学専攻)。同大学のA23教授の下で,プロジェクトレポート「技術開発を要する新規事業創出におけるマネジメント課題の考察」を完成させており,材料科学と技術経営分野の双方の教育訓練を受けた当社の中では極めて優れた人物である。無機ELの分野の研究をA10氏と共に主導し,「微粒子イオンビーム堆積法と半導体量子ドット発光型無機エレクトロルミネッセンス素子」(New Glass Vol.23 No.2 2008)などに紹介論文がある。
提案の理由 上記にあるように,A10氏とA3氏は共に若くて非常に優秀な研究者であり,取締役兼最高技術責任者や最高執行責任者にしても何らおかしくない人材である。提案者はY3氏に代えてA10氏らを取締役に選任する議案を別個提案しているが,仮にY3氏が再任されたとしても,A10氏やA3氏を取締役にすることには利益があると思われるので,提案を行う。青色発光ダイオードの研究者であったA24氏が主張する様に,技術者を大切にしない社会では,日本から優秀な人材が出て行ってしまう結果になり,実際にA10氏はb社の研究所に転籍しているのだからして,株主の意思を持ってかかる誤った経営を是正しなくてはならない。
議案11 取締役1名選任の件
議案の要領 A1(当社総務部ジェネラルマネージャー)を取締役に選任する。
A1 当社総務部ジェネラルマネージャー,Y1社社員持株会(議決権数22963個,総議決権の割合が0.53%)理事長。
提案理由 当社は社外取締役や執行役を兼ねる取締役のY3やA25が実質的な監視権限を一切行使せず,実質的にY2最高執行役と総務部幹部のA1の違法行為を含む経営上問題のある対応をやりたい放題の現状になっている。かかる状況においては,逆説的であるが,A1を取締役に選任し,きちんとA1氏がやっていることを外部の株主が監視しやすくすることが重要だと考える。
議案12 取締役1名選任の件
議案の要領 いわゆる脱藩官僚であるA12,A15またはA14を取締役に選任する。A12氏が取締役になれない場合の補欠の取締役としてA15氏,さらにA15氏の補欠としてA14氏という順番にしておく。
A12 1955年○月○日生まれ 東京大学理学部数学科,経済学部,千葉商科大学大学院卒業(政策研究博士)。嘉悦大学教授,株式会社e代表。80年に大蔵省に入省し,財政金融研究所,高松国税局観音寺税務署長,公正取引委員会経済部課長補佐,証券局業務部,理財局資金運用部(財投郵貯担当),理財局国債課,大臣官房金融検査部(不良債権問題担当),理財局資金運用部,理財局資金企画室長(財投改革担当),プリンストン大学客員研究員,国土交通省国土計画局特別調整課長などを経て,A26氏の下で総務大臣補佐官や内閣官房郵政民営化準備室参事官,財政諮問会議特命室を兼務し,郵政民営化,政府資産負債の改革,政府系金融機関の再編を手掛け,早稲田大学政治経済学部非常勤講師を兼務し,A27内閣の内閣参事官となり,公務員制度改革を手掛ける。その後東洋大学経済学部教授等を経て,現在に至る。著書に『○○』(金融財政事情研究会,1994年),『△△』(東洋経済新報社,2007年),『□□』(講談社,2008年)などがある。
A15 1966年生まれ,東京大学法学部卒,シカゴ大学法科大学院終了。89年に通商産業省に入省し,内閣安全保障・危機管理室等に勤務し,A27内閣,A28内閣でA29行政改革担当大臣の補佐官を務めたのち,株式会社eを設立し代表取締役に就任。大阪府f委員会特別顧問,g市特別顧問,h統合本部特別顧問に就任。雑誌「p」にて規制に関する論評『◎◎』を連載。著書に『▲▲』(新潮社,2010年)がある。
A14 1955年生まれ,現在h統合本部特別顧問。東京大学法学部を卒業後,80年に通商産業省に入省し,大臣官房会計課法令審査委員,OECDプリンシパル・アドミニストレーター,産業再生機構執行役員,経済産業省政策局経済産業政策課長,中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年,国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し,急進的な改革を次々と提議。2009年末に審議官を退任したあとも省益を超えた政策を発信し,公務員制度改革の必要性を訴え続ける。しかし民主党政権で退職を勧奨されつづけ,2011年9月に経産省を退職。著書に『●●』(講談社,2011年)などがある。
提案の理由 当社はすでに78歳になる通商産業省元事務次官のA30氏が社外取締役を務めているが,そもそもかかる高齢の官僚出身者が社外取締役の監督業務を果たせるとは到底思えないし,実際にA30氏は執行役が株主提案権を行使している議題を落とすことに積極的に黙認したり,監査委員会に提訴請求があった事案を審理せず提案者に不提訴理由書も送らないなど,違法な行為を放置したり,支離滅裂な状況になっている。それならば,A12氏や,A14氏,A15氏をはじめとする,より若い脱藩官僚を取締役になってもらえるように頼めばいいのである。そのような観点から,脱藩官僚を選任する議案を提出しておく。
議案13 取締役1名選任の件
議案の要領 A13を取締役に選任する。
提案の理由 Y2氏やY3氏よりも元c社代表取締役のA13氏をCEOに選任する方が,過去の実績等を考慮すると当社の中長期的な株主価値に合致すると考えられる。またA13氏を社外取締役とした場合でも,大企業の不正を内部告発した実績があり倫理面でも優れていると考えられる。
A13 1960年○月○日イギリスのリバプール生まれ,ミルバンク・ビジネススクール卒業。81年にイギリスの医療機器メーカー「キーメッドKeyMed」に営業職として入社し,86年にc1社(当時)の完全子会社となり,91年5月にはキーメッド社の代表取締役に就任した。2003年にc社・キーメッド・グループ(英国)の取締役に就任し,2004年からc社・メディカルシステムズの取締役となって初めて日本に赴任し,2005年よりc社・メディカルシステムズ・ヨーロッパ(ドイツ)の取締役社長になり,さらに2008年古巣であるキーメッドの代表取締役会長,さらにc社・ヨーロッパ・ホールディングの代表取締役社長となった。その後2008年6月にc社の執行役員となって,東京の本社に赴任し,2011年4月付けで社長執行役員に就任。6月には株主総会決議により,代表取締役社長に就任後,同年10月に,一連の不透明で高額な企業買収により会社と株主に損害を与えたとして,A31会長およびA32副社長の引責辞任を促したところ,その直後に開かれた取締役会議で社長職を解任された。
議案14 取締役1名選任の件
議案の要領 A2氏を取締役に選任する。A2氏本人が応じない場合の補欠として,A4を補欠の取締役としてあらかじめ選任しておく。
提案の理由 当社の不正行為を監視し,あるいは発見するためには,国際的な会計実務の知識がある人間を最低一名選任することが望ましいと考えられる。当社には上級幹部には倫理面や能力面で問題のある人物が多いが,優れた従業員は少なくないことがわかる。
A2 当社IR広報部元従業員。米国公認会計士試験合格。
A4 1999年に立教大学法学部卒業後,2002年に米国公認会計士試験合格。2003年よりi区区議に3期連続で当選。提案者と共に,「j研究会」を主催している。
議案15 取締役1名選任の件
議案の要領 A5氏を取締役に選任する。
提案の理由 現在の社外取締役は,A5氏を除いて全員過去の株主提案において議題を落とす等の違法行為の責任を取るべきであり,かかる違法行為の責任追及の訴えの対象になっている。A5氏だけは新任の取締役なので直接的な非行の事実がなく,再任してもよい。
議案16 会社提案の取締役選任の件に関する修正提案
議案の要領 指名委員会指名による会社提案の社外取締役候補を(A5氏が含まれている場合には)A5氏以外については選任せず,代わりに以下の4名を取締役に選任する。A6,A8,A7,A9の4氏。
当社株主 A6(議決権数1055個) 当社の前身であるa社の創業者兄弟の一人であるA16とA17の長女として愛知県に生まれる。富士見高校(練馬区)卒業後,当社名誉会長A18と婚姻。A8,A7,およびY2の1男2女を育てる。
当社株主 A8(議決権数5148個) 当社名誉会長のA18と創業者A16の長女であるA6の長女として東京に生まれる。成蹊大学卒業後,自衛官で歯科医師であるA20と婚姻し,現在に至る。
当社株主 A7(議決権数998個) 当社名誉会長のA18と創業者A16の長女であるA6の次女として東京に生まれる。名門高校である私立桜蔭高校,聖心女子大学を卒業後,大蔵省(当時)勤務のA19と婚姻し,湾岸戦争時のプリンストン大学に夫の留学と共に渡米。帰国後,夫の参議院選挙出馬に伴い,秋田県に移住し,現在に至る。
当社株主 A9(議決権数700個) 長野県に生まれ,当社前社長のA21と婚姻する。夫の資産を練馬区内の不動産に投資することで資産運用の分野で頭角を現す。
提案の理由 A7の提案理由と同じ。ただしA9氏には,不動産投資を実質的に取り仕切る経営成果がすでにあるため,Y2を退任させる能力や意思あるいは潜在的なリーダーシップを実質的に持っていると考えられる。
提案の理由 当社の社外取締役制度は過去の株価の推移で分かるように,中長期的な価値の増加に全く寄与しなかったうえ,会社経営の適法性を担保するための不正行為を抑止する効果すら全くない現実が明らかになっている。従って現時点では違法行為を黙認,あるいは加担したとみられる社外取締役4名は不再任とし,代わりに実質大株主の創業家から4名を選任し,社会に出して恥ずかしくない程度の会社にしていくべきである。
議案17 取締役1名の解任の件
議案の要領 Y2を取締役から解任する。
議案18 会社提案の取締役選任の件に関する反対提案
議案の要領 Y2を取締役として,選任しない(不再任とする)。
議案19 会社提案の取締役選任の件に関する修正提案
議案の要領 Y2を取締役として選任せず,代わりにA13を取締役として選任する。
A13 1960年○月○日イギリスのリバプール生まれ,ミルバンク・ビジネススクール卒業。81年にイギリスの医療機器メーカー「キーメッドKeyMed」に営業職として入社し,86年にc1社(当時)の完全子会社となり,91年5月にはキーメッド社の代表取締役に就任した。2003年にc社・キーメッド・グループ(英国)の取締役に就任し,2004年からc社・メディカルシステムズの取締役となって初めて日本に赴任し,2005年よりc社・メディカルシステムズ・ヨーロッパ(ドイツ)の取締役社長になり,さらに2008年古巣であるキーメッドの代表取締役会長,さらにc社・ヨーロッパ・ホールディングの代表取締役社長となった。その後2008年6月にc社の執行役員となって,東京の本社に赴任し,2011年4月付けで社長執行役員に就任。6月には株主総会決議により,代表取締役社長に就任後,同年10月に,一連の不透明で高額な企業買収により会社と株主に損害を与えたとして,A31会長およびA32副社長の引責辞任を促したところ,その直後に開かれた取締役会議で社長職を解任された。
以上3議案の提案の理由 Y2氏は,株主総会の運営をはじめとして数多くの違法行為を実質放置しており,株価の低迷についても多大な結果責任を有しているので,取締役として不再任とするだけではなく,株主総会で解任するべきだと考えられる。
当社の株価低迷の原因は,Y2氏の経営能力が大半の機関投資家の要求水準に追い付いていないことである。Y2氏の教育的トレーニングは,東洋大学経営学部卒とメンロ・カレッジ卒業というものであり,国内外の経営学大学院に通えば習得できる知識を理解している形跡がなく,低いと言わざるを得ない。実際に平成23年度の定時株主総会で提案者がY2氏に対し「モジリアーニ・ミラーの定理」を知っているかと尋ねたところ,答えられない旨の回答を行っている。当社では過去12年間の間に資本コストの概念を理解できずに経営をしてきたということであり,論外である。
当社が2000年以降,あるいは2003年以降に日経平均を下回るような株価の推移を生み出しているのは,新規事業を創出するR&D部門において脈略もない経営方針が10年以上も延々と続けられ,資本の無駄遣いは行われているにも関わらず,社外取締役が提案者からの指摘にも耳を貸さず,まさにこの問題に関心を持たず,介入も行わないということが大問題であるが,その他の技術経営の問題点,例えばq社買収の失敗やメディア事業の売却等,長期的な株主利益に反するような経営判断がとられることも,株価低迷とは無縁ではなく,以上のような問題あるM&A等を執行役,特にY2最高執行役らが行っても,当社においては社外取締役や,Y3氏,A25氏らが取締役会で異議を唱えることはなく,社外取締役らがそういった意思決定に歯止めをかけることもなく,取締役会が機能不全を起こしているといわざるを得ない。また平成22年6月の株主総会に関する株主総会決議取消訴訟が平成22年9月にはすでに東京地方裁判所に提起され,さらに平成23年8月にも株主総会決議取消訴訟が2年連続で提起されているが,この訴訟提起の経緯となった株主総会事務局や取締役らの対応は上場企業として論外だといわざるを得ず,さらに当社は投資家の判断に重大な影響を与えることが確実な本件訴訟発生の事実を一切開示しないという暴挙を行っており,提案者が昨年に最高技術責任者であった元取締役・前執行役に対する訴訟提起請求の書面の中で,監査委員会に通告しているにもかかわらず,いまだに監査委員会は提案者に対して何の通知も行わずに,そのままになっており,またA33氏の無機ELに関するR&Aプロジェクトに関する任務懈怠についての責任追及についても提案者は請求しているが,監査委員会は提訴するでもなく不提訴理由について提案者に通知する義務も怠っているなど,違法行為が公然と放置される結果になっている。通常は昨今の上場企業の情報開示強化の流れでは,株主総会に関する決議取消訴訟を提起されれば,すぐに適時開示するのが当たり前で,上場企業だった立飛企業が投資家から同様の訴訟提起を受けた時にはすぐに開示しており,また株主提案を受けた場合も同様であり,不正行為を巡って訴訟が複数提起されているシャルレでさえも,株主提案権行使の事実はすぐに開示を行っており,株主提案権の行使は東証の適時開示規則に必ずしも明記されていないが,多くの情報開示が推奨されている原則があることの理解が乏しいと言わざるを得ない。以上の事実関係を鑑みるに,Y2氏には,上場企業の経営を預かる社会的責任感や,法令遵守の意識に乏しいことを表しており,さらには監査委員会委員の取締役が執行役の不正行為をチェックすることを放棄していることも大問題であるが,「形を作れども魂入れず」のガバナンス体制を放置していると,企業価値の毀損が継続的に続いて株主価値に重大な影響が発生することが容易に予測され,しかもY2氏が部下のA1氏らと共に共謀して,委員会設置会社の社外取締役の監視機能の無力化に積極的に加担していることは疑いのないことであり,かかる問題に対して株主として意思表示をするには,Y2氏の再任に反対することが第一である。
当社の株価はY2氏が実質的な経営者になった2000年以降に低迷しているが,資本市場からの評価が低くなっている理由は,①現在の主力事業の将来性が明るくない,成長性が低く長期的に減益の可能性すら強い,②新規事業の創出実績がなく,その見通しもない,という2点に集約されることを,提案者は5年前にすでに主張している(http://〈省略〉)が,当社の資本効率の高い事業を創出することに成功したのは,80年代後半までの研究と事業開発の成果であり,90年代半ば以降は新規事業の創出に全く成功していない。メガネレンズ,ガラス磁気ディスク基板,フォトマスク,マスクブランクス,メガネレンズ,眼内レンズ,コンタクトレンズ小売などの事業はすべて80年代末までの研究開発と事業開発の成果であり,これら80年代末までに開発されたガラス研磨技術等の差別性のある技術に基づいた事業は,参入障壁が高いために,極めて高い資本効率を達成することができたのであり,「社外取締役が過半数の先進的な企業統治」はこの高い資本効率の達成とは無関係であり,一方で90年代終わりから2000年代前半までは,既存事業は収益ベースでは成長していたものの,特にガラス磁気ディスク基板の事業は,代替品であるフラッシュ・メモリーが記録媒体として台頭してくることが中長期的には予想できていたことなどから,新規事業の創出が急務であったわけで,2000年代の取締役は,これら経営課題に対して,何ら手を打てず無能であったと評価せざるを得ない。しかも新規事業を創出せずとも,固定の社外取締役報酬を受け取れるので,社外取締役には,この問題に介入するインセンティブを持っていなかった。このような観点から,提案者はすでにA34元取締役,前執行役に対する損害賠償訴訟を起こすことを監査委員会に提起しているが,最高執行役であるY2氏にも当然ながら一義的な経営責任が存在すると言わざるを得ず,さらにメディア事業の売却による垂直磁気方式技術の放棄などに伴いガラス磁気ディスク基板事業の優位性は,コスト競争だけとなり,数年以内にコニカミノルタなどの同業他社が同水準の製造コストによる供給能力を持つ見込みであり,当社の主力事業の将来性は暗いといわざる得ない状況をY2氏の誤った経営判断が加速させていると評価せざるを得ない。
実際にY2氏は米国法人の責任者であった90年代後半に自らの主導したすべてのベンチャー投資を実質的に破産,失敗させ,何ら新規事業の創出に実績を持っていないにも関わらず,このような能力しか所有していない人物の経営判断に,他の執行役や社外取締役が何ら取締役としての忠実義務や善管注意義務を果たさないということが問題であるが,社外取締役の機能を無力化している現状の責任は取締役会の運営を行っているY2氏にも大きくあることに十分な留意が必要である。またY2氏が判断したでたらめなベンチャー投資が破産しても,財務諸表等では「軽微な影響」などと開示されるにすぎないが,かかる経営判断の積み重ねが株主価値の毀損を招くのであり,長期的な株式保有を考える投資家に対しては,提案者は特に警告しておきたい。かかる経営に関する問題について,取締役らに再三通告しているにもかかわらず,いまだに何ら問題が改善されておらず,この一点だけ見ても担当執行役だけでなく,すべての取締役に善管注意義務違反,忠実義務違反があるが,取締役会を「仲良しクラブ」に堕落させ,ダメな日本の資本市場を象徴するような存在に堕ちていること,あるいはフォトマスク事業の競争環境も急速に悪化し,余剰資金の再投資先が明らかに経営上の課題とされた2000年代以降に経営陣による成果が全くないこと,などの一義的な責任はY2氏と社外取締役の連帯責任と認識するべきであり,Y2氏を取締役として不再任にする十分な根拠になる。また親族企業へのブランド供与が少なくとも企業統治上の疑念となっていることを提案者は指摘しているが,この観点からもY2氏の再任は不適切である。
以上のような経営状況を客観的に評価すると,Y2氏の再任に反対する根拠としては十分すぎるし,株主としてY2氏の取締役再任に反対する明確な意思表示を行うべきである。また当社は外国人機関投資家の所有比率が約55%と日本の上場企業の中では株主のガバナンスが働きやすい所有構造となっているので,株主による主導のもとでY2氏を退任させ,正当な不正の告発を行ったにもかかわらず銀行主導で経営陣から排除された,欧州c社の医療機器分野の経営に実績を持つ前c社CEOのA13を新たに経営者と迎えるべきである。A13氏よりもY2氏が取締役として適任だと考えるのであれば,指名委員会はその明確な根拠を株主総会の場で示すべきである。
議案20 取締役1名解任の件
議案の要領 Y3を取締役から解任する。
議案22 会社提案の取締役選任の件に関する修正提案
議案の要領 Y3を取締役として選任せず,代わりにA10を取締役に選任する。なおA10氏は当社を退社しb社の横浜研究所に勤務しているため,A10氏の取締役就任にA10氏本人が応じない場合の補欠の取締役として,A3氏をあらかじめ選任しておく。
A10 当社元R&DセンターQD-EL研究グループ主任研究員,現在b社横浜研究所研究員。中央大学理工学部博士号取得。当社研究員のA3博士とA22博士(元東京工業大学教授)との共著論文である‘Quantum Dot Activated All-inorganic Electroluminescent Device Fabricated Using Solution-Synthesized CdSe/ZnS Nanocrystals’(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.46, No.40, 2007, pp.L966-L969)は,(社)応用物理学会より第30回(2008年度)応用物理学会論文賞(JJAP論文賞)を受賞している。なお同社は,「受賞対象の論文に著された素子は,その構成部材を全て無機材料とした面状自発光素子(エレクトロルミネッセンス素子:EL素子)です。化学合成手法によるコロイダル量子ドットを発光層の原材料に用いることにより,CRTに比肩する純色の自己発光を実現できることが特徴です。コロイダル量子ドット:QDは,液相にて化学合成され,表面を界面活性剤有機分子で覆われた,数ナノメートルの直径を有する半導体ナノ結晶であり,極めて色純度の良い高効率の蛍光を発する優れた発光材料として知られています。しかし,その表面に存在する界面活性剤や,QDを分散させる為に用いられる有機溶剤に由来する有機物の存在が,無機材料で構成される発光素子への応用を拒んできました。QD-EL研究グループは,コロイダルQDから有機物を除去しつつも,QD構造を保存し,高効率純色発光特性を有する半導体発光活性薄膜を比較的低温で形成できる成膜技術を既に開発しています。この度,二重絶縁層型薄膜EL素子の発光活性層の形成に新成膜技術を応用し,初めて量子ドットからの高純色自発光(電子・正孔の量子閉じ込め準位間発光)に成功いたしました。過酷な環境下でも,全無機構造が高い信頼性をもたらすことが期待できます。また,プラスティック基板を使用することが可能で,さらに全ての電極に透明導電材料を用いることで,フルカラーのフレキシブル透明ディスプレーも構成可能です。今後は,各構成部材の調製を行い,高輝度化のための開発を行っていきます。」などと2008年7月24日当時にプレスリリースを行っている。
その他のA3博士とA22博士との共同論文として,‘Ion Beam Deposition Technique for Fabricating Luminescent Thin Films from a Solution of Nanocrystalline Semiconductor Dots’ Jpn. J. Appl. Phys. 46(2007)L392, ‘Ion Beam Deposition of Quantum Dots from Colloidal Solution’ Jpn. J. Appl. Phys. 47(2008)pp.2977-2981などがある。
A3 当社R&Dセンター研究員,東京工業大学理工学部博士号取得(材料科学専攻)。同大学のA23教授の下で,プロジェクトレポート「技術開発を要する新規事業創出におけるマネジメント課題の考察」を完成させており,材料科学と技術経営分野の双方の教育訓練を受けた当社の中では極めて優れた人物である。無機ELの分野の研究をA10氏と共に主導し,「微粒子イオンビーム堆積法と半導体量子ドット発光型無機エレクトロルミネッセンス素子」(New Glass Vol.23 No.2 2008)などに紹介論文がある。
以上3議案の提案の理由 Y3氏は最高執行責任者として当社に着任して以来,実質的にY2氏や他の取締役のイエスマンであり,当社の事業ポートフォリオを資本市場からより評価される有望な性質に変えることに役割を果たしておらず,取締役会でも反対意見を述べていないと考えられ,取締役再任が株主利益の観点から不適切である。
またY3氏は,自らの指揮系統上の部下に当たるA1ら従業員が主導する,株主提案の議題を一方的に不当に削除したり,議案の要領の内容を都合の良いように書き換えたり,提案理由を一方的に削除するなどの不正行為を容易に認識できる立場にありながら,かかる違法行為や公序良俗に反する行為を一方的に放置する善管注意義務違反を行っており,取締役及び執行役としての最低限の職務を果たしているとは言えない状況にある。本件違法行為は,すでに過料制裁の通知がそれぞれの裁判所に行われている(東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40018号 被審人 Y2,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40019号 被審人 Y3,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40020号 被審人 A25,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40021号 被審人 A35,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40022号 被審人 A36,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40023号 被審人 A37,さいたま地方裁判所 平成24年(ホ)第151号 被審人 A38,横浜地方裁判所 平成24年(ホ)第188号 被審人 A39,横浜地方裁判所 平成24年(ホ)第189号 被審人 A30,横浜地方裁判所川崎支部 平成24年(ホ)第43号 被審人 A34)が,昨年総会で参考書類に「なお,当社では,昨年の当社第72期定時株主総会にて株主提案がありました株主提案の議案説明分量に関する定款変更,ならびに,社外取締役のみの会議開催に関する定款変更に関しましては,提案の趣旨に沿ってより適切な形で社内規定を改定し反映させております」と記載したことも違法行為に当たる。
現状でフォトマスク事業は,競合である凸版やDNPが大分シェアを伸ばしており,ローム等の中堅半導体メーカーが主な顧客で,今後に大きくシェアを回復する事はありえない。マスクブランクスの事業についても同様であるが,現在の時点では両事業ともハイエンド商品の製造技術等について一定の優位性を持っているものの,事業部内のR&D関連予算がなく,R&Dセンターは事業部を何もサポートしていないので,両事業については新規の技術開発はまったくと言っていいほどできておらず,両事業とも中長期的な経営優位性を維持できる見通しはなく防戦のままであり,5年以内に当社の経営優位性がさらに失われていくことが容易に予測される。ガラス磁気ディスク基板は,代替品であるフラッシュ・メモリーの台頭により,中期的には市場の成長性は見込めず,メディア事業の売却で垂直磁気記録技術等がなくなったことにより,当社は単なるガラスディスクの供給元になる結果となった(メディア事業売却の発表により軒並みアナリストレーティングが低下した)。コニカミノルタなど他社に徐々にシェアを食われてきており,当社には存在するのは価格競争力のみであり,他社には技術による差別化要素と言う切り札がある一方,メディア事業の売却により差別化要因が無くなったので,当社にとっての中長期的な競争優位の切り札になりうる候補はなくなった。q社事業を高値で買収し,メディア事業を売却する経営センスは疑わざるを得ない。メガネレンズについても,国内市場は低迷しており,海外の成長市場等にかけるしかない状況で,現状では海外のオペレーションが必ずしもうまくいっていないし,眼内レンズ事業についても,当社は一定の優位性を持っているが,世界第一位のAlcon社にははるかに及ばない状況で,Alcon社の株式を食品大手のネスレ社から製薬大手のNovartis社が取得し,眼科分野に本格的に参入してくる上に,Advanced Medical Optics社を製薬診断大手のAbbotts社が買収しており,高齢化社会の進行により急成長する眼科分野に大手企業が参入してくる結果となっている。眼科分野の事業展開では,ジェネリックメーカーと提携することなどにより,眼科分野の製薬事業を展開し,眼内レンズとクロスセリングする戦略を採用するべきだと提案者は主張しているし,そもそも眼科分野は当社の事業ポートフォリオの中でもっとも資本効率が高いのでもっと重点的に資本を投下するべきだという結論に常識的になるはずだが,Y3氏がかかる戦略の採用を主張している形跡はない。内視鏡分野は,実質赤字に転落しており,国内にはほとんど市場シェアがなく,北米と欧米にかろうじてあるだけの,世界シェアは,1位と2位から大きく後退した3位である。シェアが低いために,それだけ効率が悪く,価格は下がらない。病院間の相互データのやり取りや医者間のコミュニケーション等を考慮すると低シェアは致命傷である。内視鏡は車のような個人の趣味嗜好品ではなく,他人と同じものを持つことは,相互データの交換等を考慮すると有利であるため,上位企業との競争は構造的に不利である。また洗浄機が無い事も致命的である。内視鏡は,使えば必ず感染症予防の観点から洗浄が必要であり,自社で洗浄機を供給できないということは,他社(c社など)の洗浄機を使うことになり共通で使用できれば良いが,c社がモデルチェンジを進め,互換性が無くなったらどうするのか。q社の内視鏡が洗浄できないと使えなくなるので,高価な内視鏡を購入して使用できなくなるので,大問題である。一部で洗浄機を独自に提供しているメーカーもあるが,そのような企業が,シェアの低い企業との互換品を提供するだろうか。このような会社の買収に1500億円も費やすのは,奇怪であるが,Y3氏が経営参加してからもメディア事業の売却が行われたことから,Y3氏がY2氏の支離滅裂な経営判断を修正する機能を有していないことは明らかである。
以上にみられる当社の成長性が大きく疑われている状況においてでさえ,Y3氏は提案者による企業経営の抜本的な改革案を採用する意思をいままで公的に示したことがなく,株主軽視も甚だしい。なお提案者による改革案は,まず最も資本効率の高い眼科事業に資源を集中的に投下すること,特に眼科医薬に対する参入を行い,同業のAlcon社やAbbott Laboratories社が目指しているような,眼内レンズと眼科医薬をクロスセリングするような戦略を取るべきで,すでに赤字に転落している内視鏡部門は競争優位を持っていないので撤退も視野に入れるべきで,医療分野の中では眼科に関する部門以外には基本的には投資せず,主要なコア事業として眼科領域に特化するべきであるというものである。第二に,当社の事業開発は,眼科以外では材料科学に特化するべきで,当社の優位性のある経営資源は,ガラス加工及び研磨等の材料科学と眼科領域であり,q社から引き継いだ光学技術は,キャッシュフローを生むような経営優位性を持っていない。第三に,当社の持つクリスタルグラスなどで高い価値を有するブランド価値を最大限活用するための経営戦略をとるべきだという内容であるが,かかる企業価値向上のための施策案に対し,Y3氏は一切の関心を示さずに,ただ企業価値の毀損が継続する執行状況に対して放置しているだけである。従って,最高執行役Y3氏による企業価値の毀損は甚大であるので,不再任とするだけでなく解任するべきであると考えられる。
当社は,ナノ粒子(無機EL(発光体)の研究)のプロジェクトに関する研究成果をいまも会社ホームページに記載しているが,係る研究はA10氏らによるもので,2009年ころまで研究していたが脈略なく中止した。「ナノ粒子とは,粒径が数ナノメートルの超微小な粒子のことです。金属やセラミックスなどの材料をナノサイズまで小さくすると,その材料の性質が変化し,発光など新しい機能が生まれたりします。Y1社は,さまざまなナノ粒子の分散・表面改質技術の研究に取り組んでおり,これらをうまく組み合わせることで新しい物性をもった複合材料の開発に挑戦しています。今期は高屈折率光学部品や磁気媒体関連分野での応用をめざします」と2008年アニュアルレポートで開示した研究プロジェクトである。中止する直前に技術内容を「応用物理学会」から表彰されている程のものを簡単に止めたのであり,最後はJSTが資金を提供しJST/Y1社/大阪大学の共同プロジェクトだったが,折角の研究資金を返納し,大阪大学へ研究機材の全て無償提供したのだから,金銭面と技術資産の面でどれ程の損失だったか,責任追及がなされなければならず,提案者はすでに技術担当執行役のA33氏と任命に責任を持つA35前取締役,A39元取締役の3名に対して責任追及の訴訟を提起することを監査委員会に請求しているが,Y3氏自身も最高執行責任者の要職にあることを考慮すると,かかる脈略の無い無機EL研究中止の責任の道義的な責任があることは疑いがない。
近年の研究分野の中では同研究は次世代ブランクス事業のような事業分野に花開く可能性があった特に有望だったもので,担当技術者のA10氏はb社へ転職し,同研究を継続中であり,共同研究者のA3氏もb社から引き抜きがかかっている。Y3氏のような経営課題に顕著な成果をあげていない執行役に1億円以上の報酬を払うのは株主資本の浪費であり,A10氏のような真の意味で卓越した技術者を1億円以上の年収を準備してでも再び三顧の礼で呼び戻すべきである。なお同研究に同じく貢献していたA3氏を優秀な研究者であり,最高執行役に抜擢してもおかしくないような人材であり,A10氏が復職に応じないのであれば,A3氏を取締役兼最高執行責任者に抜擢する人事を考えるべきであるので,A10氏の補欠の取締役として推薦したい。
議案23 取締役1名解任の件
議案の要領 A25を取締役から解任する。
議案24 会社提案の取締役選任の件に関する反対提案
議案の要領 A25を取締役として,選任しない(不再任とする)。
議案25 会社提案の取締役選任の件に関する修正提案
議案の要領 A25に代えてA2を取締役として選任する。A2氏が応じない場合の補欠として,米国公認会計士試験に合格しているA4を補欠の取締役としてあらかじめ選任しておく。
A2 当社IR広報部元従業員。米国公認会計士試験合格。
A4 1999年に立教大学法学部卒業後,2002年に米国公認会計士試験合格。2003年よりi区区議に3期連続で当選(1位当選2回,11年選挙では2位当選)。提案者と共に,「j研究会」を主催している。
以上3議案の提案の理由 A25氏は,当社がオランダに金融拠点を置くことによる税務上の扱いを受けているにもかかわらず,住民票を東京都大田区においていることについて,提案者が昨年の株主総会でも最高刑を懲役5年とする刑法の公正証書原本不実記載罪等(157条)の可能性があるのではないかと事前質問を送付しているのに何ら回答せず,公の立場にある上場企業の取締役として説明責任を果たそうとしていない。もし不正がないのであれば,積極的に説明するべきである。かかる一点をもってしても,取締役として不適格であるので,不再任・解任とするべきである。
またA25氏は,株主提案の議題を一方的に不当に削除したり,議案の要領の内容を都合の良いように書き換えたり,提案理由を一方的に削除するなどの不正行為を容易に認識できる立場にありながら,かかる違法行為や公序良俗に反する行為を一方的に放置しており,取締役及び執行役としての最低限の職務を果たしているとは言えない。また参考書類に「なお,当社では,昨年の当社第72期定時株主総会にて株主提案がありました株主提案の議案説明分量に関する定款変更,ならびに,社外取締役のみの会議開催に関する定款変更に関しましては,提案の趣旨に沿ってより適切な形で社内規定を改定し反映させております。」と記載したことも違法行為に当たる。
さらにA25氏は,古参の役員としてY2氏が90年代後半に脈略の無い投資活動による会社に数十億円の損害を与えたことをよく理解する立場にありながら,いまだにY2氏による経営合理性の欠けた技術経営に関して何ら取締役の立場から監督権限の行使を行っていない。例えば提案者が以前より問題にしているA10氏による無機ELのプロジェクト以外にも,2006年アニュアルレポートで,「その優れた高周波特性,微細加工性,両面導通性などにより,携帯電話分野での採用が決定し,2006年度より量産の運びとなりました。当面の需要は限定的ですが,ここでの実績をバネに,将来的には超高速の光電気変換モジュールへの採用につながることを期待しています」と開示しているガラス実装基板のプロジェクトに関し,サンプル出荷までは,進んでいたものの,Y2氏からの「基板のサンプルの仕事ではなく,実装の仕事を取って来い」という誤った指示を出したことに対して,完成機メーカとしては,基板単体の性能評価の為に基板のサンプルを要求するが,その辺りの技術的評価手順をY2氏が理解していないために,間違った指示を出し,結果的に「実装の依頼が無い→客が興味を示していない→事業化できない」の間違った3段論法を展開し,止めてしまったと言うことだと考えられるが,本件だけをとってみても,A25氏が執行役最高財務責任者や取締役としての権限を用いて介入すればいいのであった。
「エレクトロオプティクス製品の開発・製造」で買収と,2005年発行の社史に記載されているRadiant Images社の買収についても,買収後に単に価格が安いからと,ファウンドリーをペレグリンからマイクレルに移した事によるファウンドリー選択の失敗を行っている。これは技術を充分に理解していない典型的事例であり,SOS(シリコン オン サファイア)技術では,海軍の技術を継承しているペレグリンが最有力候補であることは,有名であり,Radiant社創業者たちもそれを知っていたから,ペレグリンでの開発を進めていたのであり,それをQCDのC(コスト)のみを優先して,素人同然のファウンドリーに移管したので,不良品の山が出来るのは,当然であり,さらに市場のニーズを理解していないために,パネルを供給するが専用ドライバーASICを供給しないために顧客が付かず,ビジネスとして成り立たない結果となったが,このことは先行しているEpson社やTI社が自社パネル専用ドライバーIC(ASIC)を提供している事からも明かである。Y2氏にしてみれば,計画通りにプロジェクトが進行しないから止めると言っているが,そのプロジェクト進行の足を引っ張っているのは,同氏の間違った判断であり,「プロジェクトの足を引っ張りながら,計画通りに進まないから止める」と言う 自殺行為を自作自演しているようなものである。結果,知的財産を他社(Citizen関連会社)に売却譲渡してプロジェクトは終了。しかし,技術譲渡を希望する企業があったと言う事実は,その技術自体に価値があったのであり,良い技術を得てもそれを事業に育てられないこの企業の典型的失敗例であるが,かかる問題ある判断にA25氏が介入をした形跡もない。
また提案者は,以下にみられる資本効率が高く,かつ世界的成長市場である眼科分野に重点的に投資を行うことを主張している。

部門名(2009年実績) 営業利益率
エレクトロ・オプティクス部門 約15%
ビジョンケア部門 約23%
ヘルスケア部門 約29%
q社(参考) マイナス10%

特に提案者は,眼科医薬に対する参入を行い,同業のAlcon社やAbbott Laboratories社が目指しているような,眼内レンズと眼科医薬をクロスセリングするような戦略を取るべきことを主張している。すでに内視鏡事業は赤字に転落していますので,競争優位は持っていませんので,撤退も視野に入れるべきで,医療分野の中では眼科に関する部門以外には基本的には投資せず,主要なコア事業として眼科領域に特化すべきである。アナリストなどにはあまり認識されていないが,先進国では高齢化が進み,高齢者に多い緑内障や白内障,加齢黄斑変性症の患者数が年率15%程度で急増しており,世界の投資家には眼科領域は急成長かつ利益率の高い事業分野だとみなされており,この分野の最大手であるスイスのネスレとノバルティスを主要株主とするAlcon社の時価総額は日本円で約5兆円で,また製薬診断大手であるアボット・ラボラトリー社は主要な眼内レンズメーカーであるAdvanced Medical Optics社を買収することにより,眼内レンズを自らの製品ラインに加えることに成功している。その他,ボシュロム社をPE投資会社のウォーバーグ・ピンカス社が買収するなど,世界的に眼科領域では幅広い再編が起きているにもかかわらず,日本の眼内レンズメーカーである当社だけが,その流れから取り残されている。眼科分野はすでに眼内レンズメーカーであり,眼科医との強いネットワークと販売力を持つ当社が,眼科医薬を同時に販売するようにあれば,高い事業効率が期待でき,実際には北米等でAlcon社が圧倒的な収益を誇っているのが,世界が眼科医が必要とする商品である眼科医薬と眼内レンズを同時に供給できる実質唯一の会社であるからであり,すでに製薬会社である大手のAbbott Laboratories社が,第二のアルコンの地位を狙って眼内レンズメーカーを買収して参入してくる結果になっている。このような世界的な眼科領域での再編にただ1社遅れているのが当社であり,q社のような収益性にきわめて劣る会社を1500億円近いコストで買収するならば,加齢黄斑変性症の有望な新薬候補を複数買収するなり,Advanced Medical Optics社を買収していればよい(もし買収していれば資本力のある大手のAbbott社の眼科領域への参入を阻止できたのである)のであり,経営陣と取締役会,及びこの程度の判断をしている取締役選任に賛成推奨している議決権行使助言会社や機関投資家の議決権行使担当者たちの無能は,極まりというべきである。この点に関しての詳細は,17歳で医学博士となった天才的眼科医で,加齢黄斑変性症の研究分野での第一人者でもあるBalamurali K. Ambati博士(ユタ大学准教授)による提案者のブログで公表の資料を参考にされたいが,現在加齢黄斑変性症は有望な新薬がないが,症状の進行を止めるという程度の効果しかない,抗がん剤の転用であるLucentis(Genentech社が開発)は,1000億円近い売り上げ(製薬事業の売上比の利益率は30%程度だと予想される)をすでに誇っており,また緑内障向けのXalatan(ファイザー社)もいわゆる1000億円以上の売り上げを誇るBlockbuster drugであります。加齢黄斑変性症は,より効果的な新薬が開発されれば,市場を席巻できる大いなる可能性を持っているし,緑内障向け新薬は特許切れによりジェネリック医薬品でも販売できるようになり,資本効率の悪い分野に再投資を行うのではなく,このような急成長かつ有望な分野に,積極的に投資先を変更して振り分けるべきで,A25氏が以上のような提案者の真摯な提案に真剣に耳を傾け,企業価値の増加に取り組んでいるとは過去の対応を見る限り,評価できない。
なおc社の事例でも明らかなように,財務部門を同一の人物が継続して運営していると,不正等が放置される傾向が高まるのであり,実際にA25氏は株主総会の運営に関する不正についても,一切の対応を取っていないのであるから,違法行為の放置は重い事実であり,不再任・解任とするべきである(A25氏の違法行為についても,東京地方裁判所平成24年(ホ)第40020号にて過料制裁を求めるべく通知している)。
提案者としては,取締役候補としては,同様の資格知識をもつ人物として,当社IR広報部で数年前まで活躍していたA2氏を推薦したい。また提案者の共同運動者の一人であり,米国公認会計士の試験にも合格しているA4氏を補欠の取締役として選任することを修正提案として提示する。A25氏の現在の働きでは同人の報酬水準は高すぎるのであって,その3分の1でもA2氏に払えば喜んで財務責任者をやっていただけるであろうし,その5分の1の給与でもA4氏も非常勤の財務担当を務める意思と能力を有していると思われる。

会社名 2002年6月株価 2011年4月 経営者報酬(参考)
Y1社 2180円
(6月終値)
1700円
(11日10時現在)
1億5300万円(Y2最高執行役),
1億100万円(A25最高財務責任者)

アルコン 30.01ドル
(6月3日)
167.99ドル
(4月1日)
2.48Mドル(約2億1000万円)(A40・CEO),
95Kドル(約7600万円)(A44・CFO)

議案26 取締役1名解任の件
議案の要領 A36を取締役から解任する。
議案27 会社提案の取締役選任の件に関する反対提案
議案の要領 A36を取締役として,選任しない(不再任とする)。
議案28 会社提案の取締役選任の件に関する修正提案
議案の要領 A36に代わりA6を取締役に選任する。
当社株主 A6(議決権数1055個) 当社の前身であるa社の創業者兄弟の一人であるA16とA17の長女として愛知県に生まれる。富士見高校(練馬区)卒業後,当社名誉会長A18と婚姻。A8,A7およびY2の1男2女を育てる。
以上3議案の提案の理由 まずA36はすでに10年以上の任期を持ち,年齢も75歳を超えており,形式的にも通常であればそろそろ引退するべきである。実際に議決権行使助言会社の日本プロキシガバナンス研究所は数年前より再任回数を根拠に,また議決権行使助言会社世界第2位のグラス・ルイスも再任に反対する議決権行使推奨を行っており,昨年の総会でもA36氏のみ5%以上賛成票が低かったという株主の意思表示を無視するべきではない。なおA36氏の再任は昨年の株主総会で当社取締役が説明した,取締役の再任回数の上限を原則9回とする規則にも反していると思われる。
また平成23年度総会で新任されたA5氏を除く現任の取締役らは,取締役が300議決権以上を持つ株主である提案者からの議題提案権(会社法303条第1項)や議案の要領の通知請求権(会社法305条)による請求があった時に,それぞれ平成21年度,22年度,23年度の株主総会で,提案者提出の株主提案の「A34取締役を解任する議案」「インデックス型コールオプションの利用義務」「取締役5名解任の件」「取締役の株式保有義務」「倫理規定の作成」「特別調査委員会の設置」にかかわる定款変更議案,一部または全部を掲載しない,あるいは議案の要領を自らに都合の良いように一部書き換えるなどの違法・株主提案の趣旨を逸脱する問題のある行為を行っており,日本の株主総会の歴史史上,前代未聞の行為を延々と繰り返している(なおA37氏以外は3年間のいずれの違法行為にも責任があり,A37氏は平成21年度総会で取締役に選任されたので,平成22年度と平成23年度総会の違法行為に責任がある)。たまたま違法な総会運営をやってしまったのならば,内部統制を機能させて,きちんと違法行為を謝罪するなどして次の年には適法な総会運営を行うように努めればいいのに,一回行った違法行為を隠蔽するために,次の違法行為を積み重ねるというc社でも観察された倫理観の低い経営者の行動様式が現在も進行中である。よってA5氏以外の取締役は複数年にわたる違法行為を積極的に行うか,少なくとも放置しており,取締役として最低限必要な監督機能を果たしておらず,再任するべきではない。A36氏については最古参の役員としての責任が特に重く解されるべきであり,任期満了での退任ではなく登記上も解任をすることが適当だと考えられる。
また「企業統治の偽装」を放置してきた責任も重大である。確かに形式上では,Y1株式会社は委員会設置会社を選択し,過半数の社外取締役の選任を定款で義務づけるなど,企業統治の改善の努力をしているかのように見える。しかしながら,まさに社外取締役制度を導入していることがさかんに宣伝されるようになった直近の10年間で株価は凡庸なパフォーマンスしか残しておらず,また直近の5年間では日経平均をアンダー・パフォームする結果となっている。当社の企業価値が大きく向上して優良企業といわれるようになったのは,70年代から80年代にかけて獲得した,ガラス研磨技術を中心とした基幹技術をもとに,フォトマスク,マスクブランクス,ガラス磁気ディスク基板,眼内レンズなどの開発に成功することができたからであり,過去10年から15年の間には,新規事業の経済合理的な形での開発に成功していない(高値掴みの買収で事業数が増えたのは除く)。新規事業の度重なる失敗と現在の事業開発の問題点は別に詳細を述べているが,執行役が「優良案件を掴むための人脈や情報源を保有しておらずそのための努力も全く行っていないこと,投資を行った後は放置したままであり少なくとも四半期おきに投資先の技術開発の動向や代替技術の動向がどうなっているか,買収提案をするべきかどうかなどの精査な分析を一切行っていないこと」などの新規事業の創出による株主価値の増加の障壁となる問題に,社外取締役がなんら関心ないため,経営状況の変更がまったくされない。当社株価は,2011年4月6日時点で振り返ると,日経平均株価が過去1年で15%下落しているのに対し,30%下落しているし,Y2氏が最高経営責任者になって以来の11年間で株価はむしろ下落している。いまさらR&Dやまともな技術経営の不在が株価低迷の原因だと気がついても,手遅れである。
これを改善する方法は,本来的には,当社の取締役の過半数を交代させること以外にあり得ない。特にA36氏については,①経営者を監督するのに十分な能力や時間がなく,②株主価値を高めるインセンティブに欠け,③経営者の業務執行に賛成する心理的な傾向があると思われるので再任の取締役候補として不適格と考える。
前取締役A35氏とA36氏,A30氏,A38氏らは,過去または現在において,多くの公益法人,民間企業,政府委員会などで,社外取締役,社外監査役,委員などの兼任を行っている。例えばA35氏は,90年代に米工業ガスのエアープロダクト,米電子メーカーのAMPの社外取締役に就任後,商船三井,明治製菓,東京スター銀行などの社外取締役に次々と就任し,2001年の時点で8社もの兼任を行っていた。またA36氏は,現在d社のCEOを兼務しながら,明治安田生命保険と当社の社外取締役,フジ・メディア・ホールディングと東武鉄道の社外監査役,さらに行政刷新会議の議員を兼任し,本年3月の時点で文部科学省と外務省が所管するユネスコ・アジア文化センターや農林水産省所管の食品産業センターなど国から補助金が支出されている法人のポストを含む18にも及ぶ公益法人の理事長などのポストを兼任していることが報道されている。このような兼任数が多い状況では,Y1株式会社の社外取締役として経営陣を監督するために必要な情報を入手し,分析するのに十分な時間があるとは言えない。
また株主価値を高めるインセンティブに欠けていることも大問題であり,例えばA30氏は,いわゆる天下り・渡り官僚であり,経営の経験もなく企業統治の専門家でもないため,そもそも会社経営を行う能力や経営を監督する能力が本質的に欠けている。もしA30氏がY1株式会社の社外取締役としての適格性があるのであれば,「具体的に」どのような役割が期待されているのかを指名委員会は明らかにすべきである。提案者はq社の買収が問題となっていた2007年5月ころに当時のすべての社外取締役に「この買収価格は妥当ではなく,今すぐ買収を中止するべきである」との内容の書簡を送ったが,それらはすべて無視された結果として現在のような状況になっている。また同年6月にA30氏と面会したところ,「q社の従業員の過半数がY1社との統合に賛成」ということを,取締役として買収に賛成した根拠として述べた。またA30氏は,財団法人旭硝子財団理事や旭化成の社外取締役を兼任しているが,当社と旭硝子あるいは当社と旭化成の間には事業上の重大な競合関係(フラットパネルのガラス基盤,あるいは眼科製品において)が存在するため,利益相反の関係が自然と疑われると言わざるをえないが,当人はこれら問題に自覚がないようである。別法人の理事長を兼任していると,株主ではなく別法人の利益を図る可能性がある。A36氏の公益法人との兼任の問題はすでに時間の問題で指摘したが,旧通商産業省事務次官のA30氏は「機械システム振興財団」という公益法人の会長を務めているが,いわゆる天下り官僚の上がりポストである。日本社会では,公益法人に,官僚組織がその裁量権による圧力をかけ,民間企業から会費を集めることがあり,A30氏は経済産業省出身者として,このような会費の徴収に熱心となる可能性がある。Y1社の取締役会は経済産業省からの圧力を受け,取引を承認するかもしれない。また取引のボリュームが小さければ,A30氏の意向を受けてCEOの判断で会費の支出が行われることもあるだろうが,これら支出の開示はなされていないため,株主には知るところではない。このような場合,A30氏はY1社の株主の利益よりも取引先である公益法人の利益を図っていると疑わせるに十分であるし,可能性が推測されることだけでも企業統治上の欠陥がある。係る人事には,指名委員会の委員であるA36氏の責任は重大である。
また社外取締役が株主価値を高めるインセンティブを強化するため自社株を保有すべきことは極めて重要であるが,現在の社外取締役は,基本的に自社株を時価ベースで1000万円以下しか保有しておらず,株主価値を高める強い経済的なインセンティブを持っていない(社外取締役の報酬は推定年間1100万円程度)。例えば,取締役のA35氏は過去15年で推定でも最低1億5000万円の報酬を受け取っているが,1000万円以下の時価総額の同社株しか保有していない。A30氏の所有する株式数は,前年株主総会の参考資料によると1000株(時価200万円と報酬の五分の一程度)にすぎない。A35氏,A30氏,A36氏らにとって,株価が上昇することの経済的メリットよりも,現経営陣やほかの取締役とうまくやって,再任を狙うことの方が当人たちの経済的利益に合致していると判断できる。
また以上でみるように,提案者からみると社外取締役の役割を形骸化させてきたA36氏の責任は非常に重く,同氏は不再任・解任の扱いとし,代わりの取締役を選任することとしたい。なおA36氏の代わりの取締役,あるいはA36氏が選任された場合でもA6(議決権数1055個)を取締役として選任する理由について述べておきたい。A6氏は最高執行役Y2氏の母親であり,当社名誉会長A18氏の配偶者であり,当社創業者の一人であるA16氏の長女である。A6氏が役員になった方が,A36氏よりもはるかに企業所有者としてのガバナンスが効きやすくなることが予測できるのである。
議案29 取締役1名解任の件
議案の要領 A38を取締役から解任する。
議案30 会社提案の取締役選任の件に関する反対提案
議案の要領 A38を取締役として,選任しない(不再任とする)。
議案31 会社提案の取締役選任の件に関する修正提案
議案の要領 A38に代わりA8を取締役に選任する。
当社株主 A8(議決権数5148個) 当社名誉会長のA18と創業者A16の長女であるA6の次女として東京に生まれる。成蹊大学卒業後,自衛官で歯科医師であるA20と婚姻し,現在に至る。
以上3議案の提案の理由 A38氏は長年指名委員会や監査委員会の委員を務めているが,A38氏の当社での取締役の在任期間は,当社の株価が低迷している時期と重なっているだけでなく,同氏は企業統治の偽装の問題に真摯に取り組まないばかりか,不正行為についても一切放置し,言語道断の状況を作っている。A38氏については不再任かつ解任としたうえ,A8を代わりの取締役とすることを提案する。また仮にA38氏が取締役と候補とならなかった場合やA38氏の再任が可決された場合でも,A38氏と比較した時にA8を取締役とすることが株主利益によりつながると考える根拠があるので,A8氏を取締役に選任することの利益についても,あわせて以下で理由を述べる。
まず当社の指名委員会はいままでほとんど有効に機能していないこと,指名委員会でのA38氏による不作為の罪は重いと考えられる。例えば,A18氏の長年の友人であるA35氏(昭和4年(1929年)生まれ)が長年指名委員長を務めていたが,A38氏がかかる人事に反対の意向を表明している形跡はなく,一昨年の株主総会で,Y2氏は「社外取締役のサーチは行っているが,良い社外取締役を探してくるのは難しい」と述べている(なお指名委員会の専権事項について権限を持たない執行役を兼ねている取締役が回答していることを,説明義務違反として現在最高裁判所で係争中である)が,例えばアステラス製薬は女性の取締役としてA41氏を,女性の監査役としてA42氏を,2010年の株主総会に向けて候補として指名している。国際的にみれば,優れた女性のリーダーを見つけることも決して不可能ではないし,株主から公募や推薦を受け付けることもできるはずであり,企業が採用活動に一定の資源を使って競争しているように,よい取締役を探してくることも他の企業と競争してでも行うべき指名委員会の業務の一つであり,A38氏を含む取締役が,取締役の採用について極めて怠慢であること以外の何物でもない。
なお社外取締役を探してくるのは指名委員会の専権事項であり,このような質問には説明義務を有する指名委員会の委員が答えるべきであるが,株主総会での取締役指名に関する質問に指名委員会の委員が答えないこと自体が,A38氏らの職務の怠慢を認めることができる。例えば提案者の先輩である東京大学の卒業生であるA30氏やA37氏,あるいは以前の取締役であるA39氏は,東京大学の女性卒業生の団体である「k会」などに自ら接触し,女性の社外取締役を積極的に探せばいいのであり,このような努力をせずに,自らの取締役としての再任だけを狙っているならば,株主に対する背任行為だとえないのである。A38氏も彼らにそれをさせていないのだから同罪である。17歳で医学博士を取得したギネスブック記録保有者で,現在の眼科医療研究の第一人者であるA43博士(ユタ大学医学部准教授)を取締役候補にしない理由を指名委員会は説明できるだろうか,できないと考えられる。
また当社では,監査委員会も全く機能していない。例えば監査委員会の機能不全については,本来であれば株主が取締役を選び,取締役が執行役を選ぶという本来の委員会設置会社のあり方があるが,提案者を含む株主は直接監査委員会や指名委員会の事務局に接触することができず,すべての連絡がY2氏の下のA1という幹部社員を通じて行わなければならない構造になっている。実際に監査委員会の機能不全はとんでもない事態を発生させており,その一例が株主総会決議取消訴訟の発生事実を適時開示せず,株主に隠ぺいしてきたことである。まさに当社元幹部が,「社内と社外が同数になった段階で,社外取締役が結束すれば,社長のクビすら,すげ替えることができるようになった。こうした緊張関係の中で,業務執行に関わらない社外取締役の権限が高まれば,経営者への監視も高まり,コーポレートガバナンスも機能するというのが,制度を導入したA18氏の説明です。しかしそれは欺瞞にすぎない気がします。」(「『偽りの米国流』で屈折するY1社『父子鷹』経営」「l誌」2010年1月号)」42ページ)とコメントしている内容が物語っているが,かかる違法な状況に対してA38氏が積極的に行動しているという事実は認められない。
当社の企業統治の問題点は,コーポレート企画室のA1という従業員らが,執行役Y2氏の強い影響力の元で,取締役会(及び指名,報酬,監査の三委員会)のアジェンダ等を設定し,社外取締役らは完全なイエスマンになっていることであり,実際に一昨年の株主総会でも「秘密投票で投資家の皆様の議決権行使は変わらないと考えている」「ストックオプション保有者のヘッジを制限するのは,財産権の問題」などという,機関投資家の常識などからすれば,浮世離れした取締役会の反対意見を述べており,これはA1氏が実質的に作成し,そのままA38氏を含む社外取締役が何の反論もせずに参考書類に掲載したという経緯があり(A1氏本人がドラフトを作成していることを明言していることは,公開の裁判資料でも確認できます),当社の企業統治の現実はこの程度のものなので,真の意味で企業価値を上昇させる経営が行われない結果となる。なお「そのようなヘッジを行うことは想定できず」などと書いて参考資料に配っていたが,実際に大株主には,投資銀行がOTCの金融デリバティブを作って売ることもできるのであり,このような実情を踏まえて虚偽の事実を公然と参考書類に掲載して行った決議は,決議取消訴訟の取消原因にすらなりうる。当社においては,(例えば賞与の決定や人事権を有する)最高執行役の部下であるコーポレート企画室の幹部社員が,会議のアジェンダや資料作成を行っており,A38氏を含む社外取締役らがそれに異議を唱えることはまったくない。
米国でも最高経営責任者や執行役が実質的に取締役の決定を支配するということが顕著にあり,エンロン事件などの数多くの不祥事が繰り返されてきたために,①最高経営責任者と取締役会議長の分離,②執行役を交えない社外取締役だけの経営会議開催義務,③コーポレート・リーガル・カウンシルとは異なる取締役会のための法律顧問の設置,などが企業統治の専門家によって推奨されるようになっており,これらについての株主提案は米国でも,多数の賛成票を集める傾向にあるが,株主提案の説明字数増加の議案についても,A38氏らは提案者の株主提案の説明字数を一方的に削除するなどの行為を積極的に黙認しており,当社の多数の株主が定款変更議案として賛成した意思表示を無視し続ける行為を放置しており,社外取締役が機能していない。これはA18氏の友人であるA35氏を中心に現在の社外取締役が構成されていることに根本的な問題がある。そもそも世襲であり教育的にも実績的にも平凡あるいは平均以下であるY2氏を最高経営責任者や最高執行役にしていることが問題で,当社にはまともな経営者の後継計画もないし,まさに当社の株価の低迷は企業統治の欠陥から生じたといって認定できるのであり,9回目の取締役としての再任を行うまでもなく,A38氏は当社の取締役会から去るべきである。
またA38氏は,株主提案の議題を一方的に不当に削除したり,議案の要領の内容を都合の良いように書き換えたり,提案理由を一方的に削除するなどの不正行為を容易に認識できる立場にありながら,かかる違法行為や公序良俗に反する行為を一方的に放置する善管注意義務違反を行っており,取締役及び執行役としての最低限の職務を果たしているとは言えない。なお本件違法行為は,すでに過料制裁の通知がそれぞれの裁判所に行われている(東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40018号 被審人 Y2,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40019号 被審人 Y3,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40020号 被審人 A25,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40021号 被審人 A35,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40022号 被審人 A36,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40023号 被審人 A37,さいたま地方裁判所 平成24年(ホ)第151号 被審人 A38,横浜地方裁判所 平成24年(ホ)第188号 被審人 A39,横浜地方裁判所 平成24年(ホ)第189号 被審人 A30,横浜地方裁判所川崎支部 平成24年(ホ)第43号 被審人 A34)。また参考書類に「なお,当社では,昨年の当社第72期定時株主総会にて株主提案がありました株主提案の議案説明分量に関する定款変更,ならびに,社外取締役のみの会議開催に関する定款変更に関しましては,提案の趣旨に沿ってより適切な形で社内規定を改定し反映させております」と記載したことも虚偽の記載であり違法行為に当たることは確実である。
当社株主のA8氏(議決権数5148個)は,当社創業者の一人であるA16氏の長女A6と当社名誉会長A18の長女であり,A38氏と比べると当社の株価に対する関心が高いはずである。そもそもA38氏が当社の中長期的な株主価値に無関心なのは,自らが株式をほとんど保有していないからであり,それと比べてA8氏の方がはるかに当社の他の株主との利害関係を有している。我が国と米国の資本市場での効率性の違いは,実は取締役が継続的に株式を取得するプロセスの有無の違いが大きいと提案者は考えるが,そういった意味でもA8氏の方が,はるかに他の株主との利害が一致しているのであり,そういった観点からA8氏の取締役選任を提案するものである。
議案32 取締役1名解任の件
議案の要領 A37を取締役から解任する。
議案33 会社提案の取締役選任の件に関する反対提案
議案の要領 A37を取締役として選任しない(不再任とする)。
議案34 会社提案の取締役選任の件に関する修正提案
議案の要領 A37に代えてA9を取締役に選任する。
当社株主 A9(議決権数700個) 長野県に生まれ,当社前社長のA21と婚姻する。夫の資産を練馬区内の不動産に投資することで資産運用の分野で頭角を現す。
以上3議案の提案の理由 提案者はA37の取締役選任に反対し,A37氏の代わりにA9を取締役にするべきだと考える。平成21年総会でのA37氏の取締役選任は,取締役間の見解の対立を回避し,仲良しクラブ的取締役会を形成し,経営者を無条件に支持する心理的な傾向が高めており,そもそも不適切であった。
当社の指名委員会は執行役及び取締役候補者を選定する権限を持つが,一般には指名委員会はCEOの意向に配慮して候補者を選定することが一般的で,平成21年総会ではA39氏の後任に同じ日産自動車のA37氏が社外取締役に選任されているが,これは最高執行役がA39氏に依頼したか,依頼することを最高執行役が了承することを前提に指名委員会が決定したものと思われる。前任の取締役が出身会社の上司筋であることは,以前の判断に異議を唱えることが難しくなる。そのような候補者だからこそ指名委員会は敢えて選任したと推測でき,当社指名委員会は,外国人や女性,あるいは引退した経営者以外の職業的背景を持った社外取締役候補を,場合によってはサーチ会社等を用いて,探すことを行っていないとみられるのであり,株主はA37氏の再任に反対することで,かかる偽装的な企業統治に対して積極的な意思表示を行うべきである。
当社指名委員会が外国人や引退した経営者以外の職業的な背景を持つ社外取締役候補の指名を事実上行っていない事実は,現任取締役が取締役会に多様な意見が反映されることに対して,心理的に抵抗していることを示唆し,かかる判断は,A37氏をはじめとする指名委員会の構成メンバーに責任がある。また現在の社外取締役は老齢化しているため,一部の世代の共通感覚が取締役会を支配することとなり,取締役会の多様性の観点からいっても不適切である。提案者は年金問題に強い関心を持っている40代や30代の取締役候補を選任することの重要性について,内外で発言を行っているが,A37氏には若い社外取締役候補を見つけてくることに職務の大半のエネルギーを使ってもらいたいものである。
また指名委員会は現任執行役であるA33氏を再度技術担当の執行役候補者にすることを予定しているようであるが,そもそもA33氏が前年に日産自動車から当社へ転籍したこと自体も,A39氏による強い推薦があったと思われるが,A33氏は日産自動車で傍流になった燃料電池部門の開発責任者であり,開発に特に成功した実績も確認できる客観的な根拠がなく,または当社はガラスを中心とする材料科学メーカーであるため,機械系の教育を受けたA33氏は適性が疑わしい。日産自動車と当社執行役の人間関係により,社外取締役の出身会社で不必要になった人材を,社外取締役に就任している会社に押し付けるような行為だと疑う余地すらある。A37氏の人事もこの延長線上にあると思われ,不適切であることを,A37氏の取締役再任議案に反対することで,明確に株主の意思を示すべきである。
同社の企業価値の低迷に密接に関連する,新規事業に取り組むにあたる問題について,A37氏が積極的に意見を述べ,本質的な改善を執行役に要求した事実は,間接的にも全く確認できない。提案者から見れば,株主価値創出の課題は新規事業の失敗という意味で明確であるが,A37氏らの取締役にとっては,それら課題は問題意識に入っていないと思われるが,問題意識が欠落しているのではないだろうか。
例えば開示されている新規事業のうち,3C SiCという事業について,2002年に,化合物半導体であるSiC及びSiC付きウエーハの開発から販売までを手掛ける社外ベンチャを5月中に設立すると発表したが,その後この会社は連結子会社が赤字になることを嫌ったからか,解散になり,社内で研究開発が継続している。「省エネ型の半導体として期待される「3C-SiC(立方晶炭化ケイ素)」の開発を進めています。地球温暖化対策として,自動車やエアコン等の家電製品への活用が期待されています。量産効率を高める6インチウェハの開発および最終製品であるパワーデバイスの試作・評価を引き続き進めています。」(http://〈省略〉)とホームページでも開示されており,当社は当初から「3C」の方が基板の大面積化が可能で結果的にコスト競争力がある,との方針から進めてきた経緯があるが,ロームやクリー(Cree)などの「4H」勢の躍進や,ローム自体が「3C」方式を見限ったことにより,世の中は,一気に「4H」に傾いており,実際に基板が大きいことは,逆に結晶成長や不純物(コンタミ等)の影響を受け易いと言う致命的欠点を有しており,業界関係者からは,既に「死に体」となりながら,ゾンビの如く生き延びているプロジェクトであると言われている。半ば終わったプロジェクトと言って良い。
さらにナノインプリントについては,「リソグラフィー技術を応用した次世代HDD用ディスクリートトラックメディア(DTR)やビットパターンドメディア(BPM)に用いられるナノインプリント用モールドの開発・試作を進めています。HDDメーカー各社が早期の製品化へ向けた研究開発を進めており,Y1社もサンプル出荷を開始しました。BPMでは,Y1社の超微細加工技術により,一つのビット形状30nm(※1)以下を実現しました。
(※1) ナノメートル(nm):1nmは10億分の1メートル」と会社ホームページで開示されているが,微細加工と言う点では,その技術レベルを一定評価できるが,結局は,「加工が可能な機械を購入し,それを使いこなす」ことが,技術の中心であり,現在の最先端の装置は購入しなければ成り立たず,また当初存在していた顧客は,現在は存在していないし,現在当社が所有する機械によって行える加工精度の数値は,他社と比較して,特に優位性がないことが明らかであり,中期的にナノインプリント技術が50億円以上の利益を稼ぎ出すとは到底評価できない。
また光通信部品について,「世界的にFTTH(Fiber To The Home)環境が広がる中,高速光通信規格であるGE-PON/G-PON(※2)に適合した“光信号□電気信号変換モジュール”の開発を進めてきました。ウェハ上に機能デバイスを作り込むことで,既存製品より格段に小型化することに成功しました。当期,顧客認定を取得し,製品を出荷開始しました。同製品は,当社が2005年から資本出資し,2008年に吸収合併した,元エクスポーネント社(米国)との共同開発により製品化が実現。光ネットワークの発展で,今後,100億円程度の市場に成長することが見込まれています。(※2)GE-PON/G-PON(ジーイーポン/ジーポン):光ファイバーを用いた通信回線網で1.25/2.5Gbpsの高速通信を実現する技術」と開示されているが,同プロジェクトは米国で実質破産したXponentのことであり,元々ファブレスのため,現在タイの外注工場にある装置(東レ製)を使用しながら試作を実施中であるが,高密度実装を売り文句にしていても結局は上記東レ製装置の加工精度に依存する部分が極めて高く,現在同等の性能を有する加工機を自社開発し海外工場に設置し本格創業を目論んでいるようであるが,普通ならば,東レから装置を買うべきであろう。
ちなみに高速通信市場を前提としていたが,高速通信の市場では,年間100億の市場にはならないため,FTTH等の家庭用光通信へと市場対象を移行しようとしているが,FTTH市場は,既に厳しいコスト競争の段階に入っており中国や台湾企業の独壇場となっており,元々コスト競争力が無い構造をしている為,FTTH市場では極めて厳しい。一説には,Y2最高執行役が買っちゃった企業であるために,このまま潰すと社長の「恥」と成る為,ある程度成長させ付加価値を付けてから「売却」を画策中との噂もあるが,「今後100億円程度の市場に成長することが見込まれています」と現在も開示されているのは,ありえないことであり,投資家に対する虚偽表記であると認定される可能性もある。なお成長性の偽装が刑事罰の対象になることは,ライブドア裁判で司法からも指摘されている。
以上のような株主資本の無駄使いでしかない技術経営が延々と行われているのは,日産自動車出身のA33氏を技術担当執行役にしていることが大きな要因としてあり,A37氏は日産自動車出身の取締役としてA33氏が眼科や材料科学分野の技術担当役員として不適格であることを十分に認識できる立場にあるにもかかわらず積極的に放置しており,不適当である。従って,株主から問題ある技術経営に関する意思表示をするため,A37氏は取締役として再任しないだけではなく本総会で解任とすることを提案したい。
またA9氏(議決権数700個)は,当社前社長A21の配偶者であり,当社創業者A16の義理の娘であるが,練馬区周辺での不動産投資等に優れた手腕を発揮しており,少なくともY2または後任の最高執行役を監督する意思と能力をA37氏よりも有していると考えられるので,代わりの取締役候補として提案者としては推薦したい。基本的にA37氏は当社の株式を財産との割合ではほとんど所有しておらず,A9氏が家族も含めて大株主であることを考えれば,どちらが会社の中長期的な企業価値に真剣に取り組むかは明らかである。
議案35 取締役1名解任の件
議案の要領 A30を取締役から解任する。
議案36 会社提案の取締役選任の件に関する修正提案
議案の要領 A30を取締役として,選任しない(不再任とする)。
議案37 会社提案の取締役選任の件に関する修正提案
議案の要領 A30に代えてA7を取締役に選任する。
当社株主 A7(議決権数998個) 当社名誉会長のA18と創業者A16の長女であるA6の次女として東京に生まれる。名門高校である私立桜蔭高校,聖心女子大学を卒業後,大蔵省(当時)勤務のA19と婚姻し,湾岸戦争時のプリンストン大学に夫の留学と共に渡米。帰国後,夫の参議院選挙出馬に伴い,秋田県に移住し,現在に至る。
議案38 会社提案の取締役選任の件に関する修正提案
議案の要領 A30に代えて,A12またはA14またはA15を取締役に選任する。A12氏が取締役になれない場合の補欠の取締役としてA15氏,さらにA15氏の補欠としてA14氏という順番にしておく。
A12 1955年○月○日生まれ 東京大学理学部数学科,経済学部,千葉商科大学大学院卒業(政策研究博士)。嘉悦大学教授,株式会社e代表。80年に大蔵省に入省し,財政金融研究所,高松国税局観音寺税務署長,公正取引委員会経済部課長補佐,証券局業務部,理財局資金運用部(財投郵貯担当),理財局国債課,大臣官房金融検査部(不良債権問題担当),理財局資金運用部,理財局資金企画室長(財投改革担当),プリンストン大学客員研究員,国土交通省国土計画局特別調整課長などを経て,A26氏の下で総務大臣補佐官や内閣官房郵政民営化準備室参事官,財政諮問会議特命室を兼務し,郵政民営化,政府資産負債の改革,政府系金融機関の再編を手掛け,早稲田大学政治経済学部非常勤講師を兼務し,A27内閣の内閣参事官となり,公務員制度改革を手掛ける。その後東洋大学経済学部教授等を経て,現在に至る。著書に『○○』(金融財政事情研究会,1994年),『△△』(東洋経済新報社,2007年),『□□』(講談社,2008年)などがある。
A15 1966年生まれ,東京大学法学部卒,シカゴ大学法科大学院終了。89年に通商産業省入省し,内閣安全保障・危機管理室等に勤務し,A27内閣,A28内閣でA29行政改革担当大臣の補佐官を務めたのち,株式会社eを設立し代表取締役に就任。大阪府f委員会特別顧問,g市特別顧問,h統合本部特別顧問に就任。雑誌「p」にて規制に関する論評『◎◎』を連載。著書に『▲▲』(新潮社,2010年)がある。
A14 1955年生まれ,現在h統合本部特別顧問。東京大学法学部を卒業後,80年に通商産業省に入省し,大臣官房会計課法令審査委員,OECDプリンシパル・アドミニストレーター,産業再生機構執行役員,経済産業省政策局経済産業政策課長,中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年,国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し,急進的な改革を次々と提議。2009年末に審議官を退任したあとも省益を超えた政策を発信し,公務員制度改革の必要性を訴え続ける。しかし民主党政権で退職を勧奨されつづけ,2011年9月に経産省を退職。著書に『●●』(講談社,2011年)などがある。
以上4議案の提案の理由 A30氏は監査委員会の要職にあるにも関わらず,当社の中長期的な企業価値の増加に無関心なばかりか,違法行為を積極的に黙認するなど,監査委員長や取締役の適正にかけると言わざるを得ないため,取締役として不再任・解任としたい。またA30氏に代えて,より株式を保有しているA7氏(議決権数998個)か,あるいは改革派の脱藩官僚とされる人を取締役に選任するべきである。
当社取締役は,株主提案の議題を一方的に不当に削除したり,議案の要領の内容を都合の良いように書き換えたり,提案理由を一方的に削除するなどの不正行為を容易に認識できる立場にありながら,かかる違法行為や公序良俗に反する行為を一方的に放置する善管注意義務違反を行っており,A30氏についても取締役及び執行役としての最低限の職務を果たしているとは言えない状況にある。なお本件違法行為は,すでに過料制裁の通知がそれぞれの裁判所に行われている(東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40018号 被審人 Y2,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40019号 被審人 Y3,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40020号 被審人 A25,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40021号 被審人 A35,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40022号 被審人 A36,東京地方裁判所 平成24年(ホ)第40023号 被審人 A37,さいたま地方裁判所 平成24年(ホ)第151号 被審人 A38,横浜地方裁判所 平成24年(ホ)第188号 被審人 A39,横浜地方裁判所 平成24年(ホ)第189号 被審人 A30,横浜地方裁判所川崎支部 平成24年(ホ)第43号 被審人 A34)。また参考書類に「なお,当社では,昨年の当社第72期定時株主総会にて株主提案がありました株主提案の議案説明分量に関する定款変更,ならびに,社外取締役のみの会議開催に関する定款変更に関しましては,提案の趣旨に沿ってより適切な形で社内規定を改定し反映させております。」と記載したことも違法行為に当たることは確実である。これら違法行為について,A30氏はきちんと説明責任を果たすべきであり,十分な説明がなされないのであれば,取締役としての再任は不適切であり,同総会で解任するべきである。
また提案者は,なぜ当社の企業価値が創出されないのか,株価が低迷しているのか,という問題は,q社買収の失敗,過去11年間で一つの新規事業プロジェクトが収益に結びついていないことが重要な要因であるが,より根源的には当社の抱える「企業統治の偽装」,そしてY2氏をそのまま最高執行役にしている取締役会の無能力という問題と密接に関わっていると考えている。最高執行役がR&Dプロジェクトの創出に関わる意思決定や企業の買収や売却の決定などにおいて,きちんと訓練を受けた職業的ビジネスパーソンならば首をかしげたくなる判断をしても,Y2氏の問題ある意思決定について,やめさせたりする監視機能が,取締役会側に全く果たされていないという問題がある。当社はバブル経済崩壊後の日本経済の低迷を尻目に,90年代に株価が約4倍になるなど,日本の資本市場における代表的な優良企業として認識されるようになる一方で,2003年6月に委員会設置会社の形態を採用し,社外取締役が過半数の取締役会を有しているにも関わらず,特に2003年以降に,長期的な株価の低迷という現象が観察される。これは客観的な株価の推移を鑑みるに明らかなことで,特に2010年4月6日現在,当社株価は過去1年でも30%下落する一方,日経平均の下落率は15%にとどまっている。2000年6月株価の終値は2375円であり,現在(4月11日時点)の株価は1700円であるので,株価は中長期的に低迷しており,特に2000年代初頭の株価上昇は,80年代までの事業開発の成果の反映であるとすると,直近5年から6年の株価の低迷は著しい。かかる中長期的な株価の低迷という現象に対して,A30氏をはじめとした取締役全員は,きちんと改善策を取るべきである。
さらに言えば,当社取締役会は,A35氏が退任する前まで社外取締役の過半数が70代後半以上であって異常な様相を呈していたが,現在もA30氏は70代後半と高齢であり,取締役として後任を見つけて早く引退するべき年齢である。例えばA14氏やA15氏は,A30氏からみれば同一省庁の後輩であり,自らが溝引く代わりに彼らに後任を託す話をすることは,A30氏がその気になれば実に簡単なはずである。自分の後任を見つけずに地位にしがみついて引退しないことは,株主の代理人として執行役を監視する社外取締役制度があるはずなのに,趣旨をはき違えており,そもそも論外であるし,天下りや渡りの一つとしか考えていないのであれば,株主価値を高めるインセンティブに欠けているように見えることがまったく不思議ではない。
A30氏は,いわゆる天下り・渡り官僚であり,経営の経験もなく企業統治の専門家でもないため,そもそも会社経営を行う能力や経営を監視する能力が本質的に欠けている。もしA30氏がY1株式会社の社外取締役としての適格性があるのであれば,指名委員会は「具体的に」どのような役割が期待されているのかを明らかにすべきである。提案者はq社の買収が問題となっていた2007年5月ころに当時のすべての社外取締役に「この買収価格は妥当ではなく,今すぐ買収を中止するべきである」との内容の書簡を送ったが,それらはすべて無視された結果として現在のような状況になっている。また同年6月にA30氏と面会したところ,「q社の従業員の過半数がY1社との統合に賛成」ということを,取締役として買収に賛成した根拠として述べた。またA30氏は,財団法人旭硝子財団理事や旭化成の社外取締役を兼任しているが,当社と旭硝子あるいは当社と旭化成の間には事業上の重大な競合関係(フラットパネルのガラス基盤,あるいは眼科製品において)が存在するため,利益相反の関係が自然と疑われると言わざるをえないが,当人らはこれら問題に自覚がないようである。
また別法人の理事長を兼任していると,株主ではなく別法人の利益を図る可能性がある。A36氏の公益法人との兼任の問題はすでに時間の問題で指摘したことがあるが,旧通商産業省事務次官のA30氏は「機械システム振興財団」という公益法人の会長を務めているが,いわゆる天下り官僚の上がりポストである。日本社会では,公益法人に,官僚組織がその裁量権による圧力をかけ,民間企業から会費を集めることがあり,A30氏は経済産業省出身者として,このような会費の徴収に熱心となる可能性がある。Y1社の取締役は経済産業省からの圧力を受け,取引を承認するかもしれない。また取引のボリュームが小さければ,A30氏の意向を受けてCEOの判断で会費の支出が行われることもあるだろうが,これら支出の開示はなされていないため,株主には知るところではない。このような場合,A30氏はY1社の株主の利益よりも取引先である公益法人の利益を図っていると疑わせるに十分であるし,このような可能性が推測されることだけでも,企業統治上の欠陥があると言わざるを得ない。
また社外取締役が株主価値を高めるインセンティブを強化するため自社株を保有すべきことは極めて重要であるが,現在の社外取締役は,基本的に自社株を時価ベースで1000万円以下しか保有しておらず,株主価値を高める強い経済的なインセンティブを持っていない(社外取締役の報酬は推定年間1100万円程度)。例えば,取締役のA35氏は過去15年で推定でも最低1億5000万円の報酬を受け取っているが,1000万円以下の時価総額の同社株しか保有していなかったし,A30氏の所有する株式数は,前年株主総会の参考資料によると1000株(時価200万円と報酬の五分の一程度)にすぎない。A35氏,A30氏,A36氏らにとって,株価が上昇することの経済的メリットよりも,現経営陣やほかの取締役とうまくやって,再任を狙うことの方が当人たちの経済的利益に合致しているインセンティブ構造になっている。またさらに言えば,A30氏は,東京ドームの監査役を務めているが,同社は男性客が転落して死亡する事故や,女性従業員が指を切断する事故を頻繁に起こしており,A30氏には法的あるいは道義的な責任が存在するというべきである。
そもそもいわゆる脱藩官僚と言われる人物の中には,A30氏より若い人物の中で優れた人物も数多くいるのであり,A12氏(財務省OB)やA14氏(経産省OB),A15氏(経産省OB)など,志が高く民間の感覚も有している人物も多くいるのであり,また彼らほど現在の時点で著名でなくとも,優秀な脱藩官僚は少なくない。指名委員会は彼らに接触を試みたか,試みたとしてもそれでもなおなぜA30氏を選任するかについて,きちんと説明責任を負うべきである。
議案39 定款一部変更の件(取締役と執行役の報酬個別開示)
議案の要領 「毎年,事業報告書及び有価証券報告書において,執行役と取締役の報酬については,個別に報酬額,内容について開示し,かつ個別に全ての報酬を開示しなくてはならない。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 これまで日本では,事業報告書等において執行役及び取締役の報酬は総額等が株主に開示されるだけで,個々の報酬金額や内容等については開示されることはなかった。しかし,個々の執行役や取締役の報酬額やその内容等について開示することは,妥当な報酬が支払われたかどうかを株主がチェックする上で極めて有益である。そこで個々の執行役又は取締役の報酬については,株主に対し開示を行うべきであるし,機関投資家のみならず,一般投資家も容易に理解できる方法で開示すべきである。
取締役や執行役の報酬は,もし同じ株主価値の増加が行われる経営がなされるのであれば,少なければ少ないほど株主の利益にはなるのである。実際に300億円程度の純利益の会社で毎年3億以上の費用が取締役報酬に費やされるとすると,1%ずつ利益が抜けていくのであり,複利効果を考慮すると,株主価値に対する影響は長期期間をとると決して無視できるようなものではない。国際的にみて日本を例外として,米国や欧州でも取締役や上級役員の報酬の開示は常識であるし,そしてそれらの国の資本市場の株価指数に投資すれば長期で株主に良好なリターンを返しているという事実が存在する(当社の株式を11年前に購入した場合,株価はむしろ下落している)。
なお提案者は報酬の額自体が多額であることは,問題にしてない。真に問題なのは,本人たちの努力結果とは無関係で連動しない報酬を,取締役や執行役が受け取ることで,もし当社株価が今後10年で10倍になれば,CEOの報酬が年間100億円でも反対するべきではない。問題は80年代までの事業開発に胡坐をかいて,事業開発等の成果を15年近く全く行っていないうえ,株主総会の運営すら適法と言える水準に行う能力を有しない最高執行役をはじめとする執行役や,なんら監視機能を果たしていない取締役が,庶民の老後の糧として投資した個人投資家の犠牲の上に,破格の報酬を受け取っていることである。当社の株価は,Y2氏が最高経営責任者に就任した以降,大幅に下落している。
以下の表は去年時点でのデータだが,年収2億1000万円のA40氏と年収1億5300万円のY2氏のどちらを雇いたいであろうか,株主諸氏は冷静に考えるべきである。また国際的超優良企業であるアルコンのCFOの報酬の方がA25の報酬よりはるかに低いのであり,A25氏の報酬の不当性をみることができる。

会社名 2002年6月株価 2011年4月 経営者報酬(参考)
Y1社 2180円
(6月終値)
1700円
(11日10時現在)
1億5300万円(Y2最高執行役),
1億100万円(A25最高財務責任者)

アルコン 30.01ドル
(6月3日)
167.99ドル
(4月1日)
2.48Mドル(約2億1000万円)(A40・CEO),
95Kドル(約7600万円)(A44・CFO)

なお当社が公表した平成22年度6月の報酬個別開示議案の賛成率は,当日の議決権行使による影響を考慮しない前日までの状況では,48.47%であった(なお集計等における決議の瑕疵についても提案者は係争している)。前年度の報酬個別開示議案については,議決権行使助言会社世界第一位のISS社,第二位のGlass Lewis社の賛成推奨のほか,当社外国人機関投資家株主のCapital Research,Blackrock,MFS Investmentsの議決権行使書での賛成を得ている(会社側開示資料を参考)。なお当日の議決権行使状況は,開示されていないので不明である。日本以外の先進国の資本市場では,報酬の個別開示は当然のこと(例えばIBM米国本社やDell米国本社でも同様である)であるが,それにより何か投資家に特に不都合が生じたということはないし,それら資本市場のインデックスは我が国の日経平均株価等のインデックスを大幅に上回るリターンを過去20年間で創出している。中長期的な株主価値の増加という経営課題になんらビジョンを示せないY2氏やY3氏の報酬の5倍を払ってでも,もっとまともで能力のある経営者を雇うことが株主共同の利益になるのである。
また報酬個別開示は,欧米で一般的な慣行になりつつある企業経営者に対する報酬支払い(PAY)に関して株主が物言うこと(SAY)を認めるSay on Payという仕組みを導入する前提にもなる。英国で2002年に導入されたことを皮切りに,欧州各国で制度構築が進み,米国でも2010年の金融規制改革法によって,2011年1月以降の株主総会からSAY ON PAYが始まった。一般的には,経営者報酬が企業業績や株価,物価上昇率,賃金上昇率などと無相関に高額化したことへの批判への対応であるとされるが,経営者報酬決定プロセスに株主意向を反映させる機会を設けることで,経営者自身の報酬をお手盛り的に決めることが無いように牽制しようとする政策趣旨があり,日本の資本市場はこの点でも大きく後れを取っており,報酬個別開示はこの点でも当社の企業統治改善策の前提としても機能しうる。
議案40 定款一部変更の件(株主提案説明字数分量の増加と改竄削除の禁止)
「株主総会の株主提案の文字数制限を一議案につき4000字に増加し,4000字の範囲内であれば一方的な改竄や削除を行ってはならない。明らかに誤った事実や他の法令上表現を変更する必要がある場合にも,提案株主と連絡を取りその了解のもとに表現を改めるように努めなければならない。」という条項を,定款に記載する。
提案の理由 提案者は2年前の株主総会で,株主提案の説明字数上限を4000字とする株主提案を行い,議決権行使助言会社のISS,グラスルイス,日本プロキシガバナンス研究所,及び当社外国人機関投資家であるCapital Research,Blackrock,MFS Investmentsからの議決権行使書面での賛同と,前日までの議決権行使で43.18%の賛成を得た。こういった株主からの意思表示を踏まえて,当社は同年8月に規則改正をし,6月の株主総会で否決された株主提案の説明字数を増加させる株主提案を取締役会決議で「規則変更」として採用していたと,時事通信社の取材に答えている。さらに当社は,「当社では,昨年の当社第72期定時株主総会にて株主提案がありました株主提案の議案説明分量に関する定款変更,ならびに,社外取締役のみの会議開催に関する定款変更に関しましては,提案の趣旨に沿ってより適切な形で社内規定を改定し反映させております」という記載を昨年の株主総会の参考書類招集通知に記載している。しかしながら昨年の株主総会では,提案者が行った株主提案の提案理由の説明に関して,一方的に削除や改竄するなどの行為を繰り返し,実質的に大半の提案理由を不記載にしている(なお会社側は大半の株主提案を一方的に不記載にする違法を試みたため,提案者は保全の申し立てを行い,東京地方裁判所民事8部で去年5月に一部和解成立,他の瑕疵については東京地方裁判所等で係争中,及び過料制裁のための通知は各取締役の管轄裁判所に通知済み)。
以上のような経緯を考えると,当社の取締役らは株主総会が株主間や取締役との最低限のコミュニケーションの場であるという認識を持たず,株主の意思を尊重しようという形跡も見られないのであり,再度株主提案の説明字数を一議案につき4000字まで認め,提案理由の会社側による一方的な改竄や削除を認めないことを定款で義務付けることに,株主利益上重大な意味があると考えられる。
議案41 定款一部変更の件(白票を会社提案については賛成,株主提案については反対とすることの禁止)
「株主総会の議決権行使書面において賛成とも反対とも記載されていない白票については,会社側提案と株主提案で不公平な取り扱いをしてはならない。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 当社の株主総会に於いては,賛成とも反対とも記載されていない議決権行使書面に関しては,株主提案について反対,会社提案について賛成とする取り扱いが行われていますが,これらは議案の決議方法として不公正だとする見解が存在します。実際に,提案者が議決権行使書面を閲覧したところ,毎年かなりの白票が現実に存在します。殊に,株主にとって最も重要度の高い取締役選任に関する議案に関しては,以前には会社提案と株主提案が対立議案として扱われており,会社提案に関しては賛にも否にも○をつけずに,株主提案に関しては賛に○をつけている議決権行使書面の場合でも,会社提案に何も印をつけない事が会社提案に対する賛成として扱われ,会社提案にも,そしてその対立議案である株主提案についてもともに賛成をしているという事で,両議案に関して棄権扱いにされています。これは極めて不合理な扱いであると言えます。会社側は,「賛否の表示がない場合,会社提案については賛成,株主提案については反対の取り扱いをする」旨の注意書きが議決権行使書面に記載してあるのだから,構わないと言うかもしれませんが,現に,取締役選任議案に関する株主提案には賛に○をつけ,会社提案には何も印をつけない人も多数存在しています。その様な株主の意図する所は明らか(株主提案の取締役選任議案に賛成)だと思いますが,会社側に著しく有利である不公正な取り扱いに関する注意書きを見落としてしまったが為に,棄権扱いになってしまっているのです。この様な,株主の本来の意図とは異なる取り扱いを避ける為にも,賛否どちらにも○がつけられていない議決権行使書面に関しては,会社提案,株主提案を問わず,その議案に関しては棄権扱いとする事が正当であろうと考えられる。さらに会社が昨年主張するように,本定款変更議案が「迅速柔軟な経営を阻害することになりかねず,株主の皆様にとってメリットとはならない」はずがあろうはずがない。
なお昨年の同議案については,議決権行使助言会社のISSの賛成推奨を始めとして,当日までの議決権行使書ベースで37.65%の支持を集めている。
議案42 定款一部変更の件(ストック・オプション保有者のヘッジ禁止)
議案の要領 「ストックオプションや株式を保有する取締役や執行役が,プットオプションを保有しコールを売却することなどの手段によるヘッジを行うことを原則として禁止する。報酬委員会は,そのためのガイドラインを作成し,株主に開示しなければならない。」という条項を定款で規定する。
提案の理由 ストックオプションを発行しても,一方でプットオプションを保有してコールを売却するなどというヘッジを行えば,ストックオプションを発行した取締役や執行役の長期的な株主利益を導くための規律づけにならないが,現在の報酬委員会がそういった問題意識をもっているとは思えないため,本提案の提起をするにいたった。
株式を保有する取締役が,ストックオプションの付与や行使に合わせて株式を売却するのは,ヘッジの一種であるし,家族が同様の取引を行うことも同様の性格を持つのである。昨年の取締役会の反対意見が要領を得ないものであったため,再度本提案を行うものである。事前質問としては,①ストックオプション所有者のヘッジを禁止することは,財産権の侵害になるという法的根拠(法的理論,判例等)はあるか,②そのようなヘッジを行うことは想定できないとあるが,その根拠はなにか,についてすでに提出している。ストックオプション所有者のヘッジ禁止をすることが財産権の侵害になるなどという見解は,法律の専門家としても,ついで聞いたことがない。まさにこのような反対理由を参考書類に記載して株主に配ったことこそが,取締役会が会社の評判などに何ら関心がないことを明らかにしているのであるが,提案者としては報酬委員会の見解を明らかにされたい。
なお前年の株主総会では,議決権行使助言会社世界第1位のISS社の賛成推奨のほか,当社上位株主のCapital Research社,Blackrock社,MFS Investments社をはじめとする,前日までの議決権行使書面での35.32%の賛成を得ている。
議題43 定款一部変更の件(執行役を交えない社外取締役だけの経営会議)
議案の要領 「取締役会は,1年あたり1回以上,執行役が出席していない独立社外取締役からなる経営会議を開催しなくてはならず,その活動について少なくとも年に1度株主に報告しなければならない。」という条項を,定款で規定する。
提案の理由 当社の取締役会は,経営陣から招聘された社外取締役が,時間と比較して高給を得ながら,執行役が提供する情報に基づいてほぼ経営陣側のイエスマンであり,「社外取締役も納得したという大義名目を得るためだけの存在」(「『偽りの米国流』で屈折するY1社『父子鷹』経営」「l誌」2010年1月号)として機能している。結果として過去10年間で顕著な株主価値の増加が見られなかった。当社の取締役会がまさにそうであるように,社外取締役は代表執行役の出す資料を,ただ追認しているだけである。そうでなければ,板橋前野町のq社本社の地権者が複数いるために借地権の現金化が不可能であることを理解しないまま,q社の買収提案を賛成することなど,取締役の受託者責任や賠償責任を理解していれば,あり得ないはずである。
提案者はこのような現実を変えたいと考えている。そのための一つの方法は,執行役が出席しない独立した社外取締役からのみなる経営会議を定期的に開いて議論することである。この規定は,例えばCalPERS(カリフォルニア公務員退職年金基金)の統治原則でも推奨されている。本社がまさにそうであるように,最高執行役が存在する会議しか行われないと,最高執行役を解任したり問題を指摘したりすることは難しくなるし,そのような事態を回避するための提案である。これは北米の企業統治研究者や実務家の標準的な見解である(例えば大野忠士『CFA受験ハンドブック[レベルⅡ]』(金融財政事情研究会2004年)の177ページの「株主の視点による取締役会コーポレート・ガバナンス・チェックポイント」として記載がある)。
なお指名・報酬・監査の各委員会で話し合われるのはそれぞれの委員会の専権事項についてであり,経営戦略等については特に話し合われない。また3委員会のメンバーがすべて同一である当社の状況は,企業統治のあり方として大きな問題である。提案者に脅迫を行ったとされる株為総会事務局と同一の人員が,3委員会についても資料を作成したりしているのである。提案者からみると,当社の経営戦略の過ちは教科書レベルの知識でただすことができるレベルであるが,数字がどうのこうのということだけ延々と書いていれば済むという大半の日本のマスメディアの程度の低さと相まって,放置されているのが当社の経営の実態である。なお当社は,昨年の株主総会で「なお,当社では,昨年の当社第72期定時株主総会にて株主提案がありました株主提案の議案説明分量に関する定款変更,ならびに,社外取締役のみの会議開催に関する定款変更に関しましては,提案の趣旨に沿ってより適切な形で社内規定を改定し反映させております」という虚偽の表記を行って決議を行った。現在までのところ社外取締役のみの経営会議開催を行って株主に報告している事実は見られない。
また当社が公表した平成22年度6月の報酬個別開示議案の賛成率は,当日の議決権行使による影響を考慮しない前日までの状況では,賛成比率が33.92%(当日出席株主の最終的な議決権行使は公表されていない。また集計も含めた総会決議に関する不正については係争中である)であった。なお同議案は,議決権行使助言会社世界第一位のISS社,第二位のGlass Lewis社の賛成推奨のほか,当社株主のCapital Research社,Blackrock社の議決権行使書面での賛成を得ている。
議題44 定款一部変更の件(取締役会議長と最高経営責任者の分離)
議案の要領 「取締役会の議長と最高経営責任者が,兼任することを原則として禁止し,取締役会議長は社外取締役がならなくてはならない。特別の場合の例外については,株主総会招集通知または参考書類において,兼任が株主にとって最大利益であることを説明する株主への開示を書面で必要とし,代わりに指導的社外取締役を指名しなくてはならない。」という条項を,定款で規定する。
提案の理由 取締役会の議長は独立な社外取締役,あるいは少なくとも社外取締役が望ましいと主張しているが,最高経営責任者が取締役会の議長となることは,少なくとも避けるべきである。なぜならば最高経営責任者は社内の資源や人事等の権力を持つものであるので,もっとも監視対象として位置付けなければならないからであり,北米でも取締役会議長とCEOの分離は企業統治の強化のため,一つの採用されるべき方向性となっている。
実際に当社では,最高執行役の株主価値を毀損するような暴走がほとんど何のチェックも行われないというような状況になっている。したがって最高執行役等の株主価値の毀損などの違法行為をこれ以上行わせないために,本提案を行いたい。取締役会議長は,取締役会の事前の書類作成の準備なども行うべきであり,他の社外取締役よりも当社監督に長時間を費やすことが要請される。
現状最高執行役の部下であり,ボーナス決定や人事権を上司が持つ,コーポレート企画室の幹部社員が取締役会や各委員会のアジェンダ設定や資料作成等を行っているが,代わりに取締役会議長とそのグループがそのような仕事をなるべくするべきであり,そうでないから,経営陣から招聘された社外取締役が,時間と比較して高給を得ながら,執行役が提供する情報に基づいてほぼ経営陣側のイエスマンであり,「社外取締役も納得したという大義名目を得るためだけの存在」(「『偽りの米国流』で屈折するY1社『父子鷹』経営」「l誌」2010年1月号)として機能していることを,批判されるに至っているのである。これは北米の企業統治研究者や実務家の標準的な見解,例えば大野忠士『CFA受験ハンドブック[レベルⅡ]』(金融財政事情研究会2004年)の177ページの「株主の視点による取締役会コーポレート・ガバナンス・チェックポイント」でも,取締役会会長の独立性は2番目のチェック項目である。
なお昨年の「取締役会議長と最高経営責任者の分離」の議案は,会社により議案の要領が会社に都合よく一方的に改ざんされていたが,議決権行使助言会社のISS社やグラスルイス社の賛成推奨を得,前日までの議決権行使書面で31.11%の支持を得ている。
議題45 定款一部変更の件(監査委員会における内部告発の窓口の設置)
議案の要領 「監査委員会には執行役の不正行為に関する社内外からの内部告発の窓口を設け,そのプロセスを社内外に開示しなければならない。内部告発のプロセスとその処理には,執行役及び執行役の指揮系統下の社員は関与してはならない。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 そもそも企業の不祥事とは,従業員が行うものよりも,執行役と取締役が行う場合が金額的にも深刻であることが多い。そもそも仕組みとしては,執行役を監督するために,委員会設置会社において社外取締役が過半数を占める委員会が存在するのであるが,当社の場合,取締役と執行役が癒着して株主利益に反する行動を連発するからまさに問題であるのだが,執行役,特に最高執行役の言いなりになっているだけである。実際に,株主総会決議取消請求訴訟の提起事実があるにもかかわらず,適時開示を行わないことは,法令遵守や上場規則との関係で,大いなる疑問があることは明らかである。
Y1社ヘルプラインなる内部告発窓口は,内部告発が執行役に連絡されるなどという仕組みになっており,最高執行役の不正行為に関して何ら歯止めにならないことは明らかになっている。執行役指揮系統下の株主総会事務局の不正行為を,提案者が通報する窓口はなかった。このような構造であるため,当社では不祥事が一切止まらないのであり,株為利益確保という観点では,監査委員会に内部告発窓口を設け,執行役はそのプロセスには関与させないという仕組みが有用であると考えられる。なお本提案は昨年の株主総会では,前日までの議決権行使書面で31.10%の賛成を得ている。
議案46 定款一部変更の件(取締役及び執行役の株式売却の事前予告と開示)
議案の要領 「取締役およびその第1親等内の親族及び婚族による株式売却は,最低30日前の事前予告を必要とし,株主に開示されなくてはならない」「執行役およびその第1親等内の親族及び婚族による株式売却は,最低30日前の事前予告を必要とし,株主に開示されなくてはならない。」という条項を,定款で規定する。
提案の理由 取締役及びその第一親等内の親族や婚族の株式売却は厳重に監視されるべきである。例えば取締役にストックオプションを付与しても,同額以上の株式の売却を本人かその家族が行えば,むしろ株価が下がった方が得という事態になるのである。はたしてq社の買収が多大な損害を株主に与えたことは間違いないが,取締役が家族名義の口座で株式を空売りしたりしても,そういった事実を通常,株主は知りようがない。実際に西友の元社外取締役の夫が,TOB情報を妻から聞きつけてインサイダー取引を行い,起訴されている事例が氷山の一角である。実際のところ,取締役Y2氏の親族企業であるm社や,Y2氏の姉であるA7氏は,2007年のq社買収で企業価値に多大な損害が発生する以前に,多額の株式を売却している事実が存在するし,その売却額はY2氏に与えられた新株予約権と比較しても極めて多額であったが,そのような事実は個人投資家などには,ほとんど知られていない。むろん財産の処分権はあるので売却を禁止するのは合理的ではないが,少なくとも株主が不適当な株式処分を監視しうる仕組みがあることは極めて重要なので,本提案を行う。米国等の先進国の資本市場では,常識とされている事柄である。
また執行役及びその第一親等内の親族や婚族の株式売却も同様に厳重に監視されるべきである。例えば最高執行役に新株予約権(ストック・オプション)を付与しても,同額以上の株式の売却を本人かその家族が行えば,むしろ株価が下がった方が得という経済的動機付けになるのである。現にA18氏・Y2氏らのファミリー企業「m社」やA7氏(Y2氏の実姉)は,q社買収以後の株価急落以前に,過去11年間で少なくとも総額100億円を超える相当多額の株式の売却を行っている。
たとえば株主総会決議取り消し訴訟の提起を受けながら,訴訟提起の事実を適時開示せず,その一方で家族が当社株式を空売りしていたりしても,他の株主はその事実について知りようがないが,創業家一族の株式の売却流動化スキームなどを,外資系投資銀行などは営業に来るのである。むろん財産の処分権はあるので売却を禁止するのは合理的ではないが,少なくとも株主が不適当な株式処分を監視しうる仕組みがあることは極めて重要なので,本提案を行う。提案者としては,執行役とその家族のオプション取引についても監視する社内規定を導入することを勧告したい。なお本提案は,昨年の株主総会では前日までの議決権行使書面ベースでは,30.26%の支持を得ている。
議案47 定款一部変更の件(取締役会のためのリーガル・カウンシルの設立)
議案の要領 「取締役会は,執行役とは異なる独自の法律顧問(Legal Counsel)を雇用しなくてはならない。」という条項を,定款に記載する。
提案の理由 委員会設置会社は取締役が選解任権等を用いて,執行役を監督するという構造になっているため,本来は監査役設置会社よりも企業統治が優れているとされるが,一方で日本においては,委員会設置会社のほうが株価のパフォーマンスが悪いという実証研究がある。米国でも,最高執行役・最高経営責任者等などの執行役に,取締役が籠絡されないようにすることが重要だということが,企業統治の議論の中で強調されるようになっているが,そのための一つの仕掛けが,社外取締役や各委員会が相談できるように,取締役会が,最高経営責任者など執行役が雇用する弁護士とは別の独自の法律顧問を雇用することである。実際に当社では,最高執行役指揮系統下のコーポレート企画室の幹部社員が,2010年6月開催の株主総会での株主提案に対する取締役会意見の下書き(「秘密投票で議決権行使は変わらない」「そのようなヘッジを行うことは想定しがたい」など,機関投資家の間での当社取締役会の評判を大幅に下げた記載内容である)を行っているなど,実質的に社外取締役の意思決定に執行役が多大な影響を及ぼしているが,実際にコーポレート企画室の社員や,株主利益にはあまり真剣でない弁護士(特に弁護士失業時代には仕事のためなら何でもするし,大型事務所内部の利益相反はたびたび指摘がある)が独自解釈で通常の専門家であれば違法行為と解しうる行為を行ったとしても,執行役顧問の弁護士(例えばn法律事務所)がそれでいいといっているといわれたら,当社の社外取締役が法律知識も乏しいので反論するだろうか。このように社外取締役が執行役の言いなりになっているから,当社ではコンプライアンスが破綻するのである。このような事態を回避する一つの方法が,取締役会が執行役の法律顧問とは独立した独自の法律顧問を雇用することであり,すでに北米等の標準的な教科書等でも推奨されている。例えば大野忠士『CFA受験ハンドブック[レベルⅡ]』(金融財政事情研究会2004年)の177ページの「株主の視点による取締役会コーポレート・ガバナンス・チェックポイント」でも,取締役会のための独立したリーガル・カウンシルの存在は,10個しかないチェック項目の一つとしてあげられている。執行役の法律顧問と取締役会の法律顧問の意見相違が取締役会で顕在化する方が,会社が第三者と法廷闘争に巻き込まれるよりはるかに金銭的あるいは評判リスクなどのコストが低い。なお本議案は,昨年の株主総会では,前日までの議決権行使書面で26.08%の支持を得ている。
議題48 定款一部変更の件(委員会の執行役の承認を受けることなく使用できる予算枠の設定と開示)
議案の要領 「取締役会は,指名委員会,監査委員会,報酬委員会が,どの執行役の承認を受けることなく独立した第三者であるコンサルタントを雇用する予算枠を設定しなくてはならない。その予算枠とプロセスは,明確に株主に開示されなくてはならない」という条項を定款に規定する。
提案の理由 委員会設置会社における社外取締役は強大な権限を持ちながらも,しばしば執行役に籠絡されるが,それは社外取締役の側が執行役,特に最高執行役の主導のもとで提供される情報にほとんどの判断を依存しているからである。それは政治主導といっても,官僚の情報に依存する結果として,結果的に官僚の思うような結果を導くという,現代の霞が関の構図と同じである。そのために必要な措置は,指名・報酬・監査の各委員会が執行役の監督とは独立の権限と予算で,そのための監督業務を行うためのコンサルタントを採用することができることであり,これもCalPERS(カリフォルニア退職公務員年金基金)などの機関投資家が推奨している統治原則である。
提案者はq社買収が当社の株主価値を大きく毀損させたことをまず前提にしなければならないという考え方を主張しているが,そもそも取締役会が,再び最高執行役に籠絡されないよう制度設計することに,取締役らに問題意識がないことが大問題なのである。なお当議案は,議決権行使助言会社ISSの賛成推奨のほか,昨年の株主総会で前日までの議決権行使結果ベースで,25.32%の賛成を得ている。
議案49 定款一部変更の件(代表執行役と最高経営責任者の世襲原則禁止)
議案の要領 「指名委員会が,過去2代わたって最高経営責任者をつとめた人物の第一親等内の親族を最高経営責任者に指名する場合は,世襲の潜在的な批判があるにもかかわらず,指名される人物が株主価値にとって最適だと判断した理由を開示しなければならない。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 当社は最高経営責任者と代表執行役に最適な人物を選んでいないと考えられる。現に当社代表執行役のY2は,名誉会長A18の長男であるが,必要な教育的なトレーニングや,相当の職歴や実績を有していない。実際に当社株主でもあるA8氏(成蹊大学卒)やA7氏(聖心女子大学卒)の方が,学歴的にもY2(東洋大学卒,メンロ大学卒)より高いのであるから,兄弟姉妹の中でも最適な人物を選んでいないとしか言いようがない。実際にY2氏が現地法人の責任者であった90年代後半に行った投資案件は,すべて実質的に破産している。当社の株価の低迷の理由は,Y2氏らの問題にあるといっても過言ではない。また無機ELの開発プロジェクトを中止した問題については,A33氏およびA39氏とA35氏に対して,すでに監査委員会に訴訟をおこすように提訴しているが,かかる技術経営の問題点は,すでに別の提案理由でも指摘しているところである。しかも監査委員会は不提訴理由を提案者に通知する義務すら怠っている。その結果として,株主に多大な損害が発生しているのだからして,最高経営責任者がいわゆる世襲の場合には,最適な人物を指名する義務を実質的に担保するために,当該の定款を新設することに,株主利益上の合理性があると考えられる。
議案50 定款一部変更の件(セグメント分けに関する株主総会での勧告的承認)
議案の要領 「財務諸表において開示されるセグメント分けは,毎年定期株主総会での事後的な承認を必要とする。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 有価証券報告書で記載されるセグメント分けは,定款で規定し,株主による承認を得るべきである。実際に,当社ではIFRS報告書において,実質大赤字のカメラ事業を「情報・通信」,赤字転落の内視鏡を「ライフケア」の部門に入れて,最高執行役らによる大失態であるq社買収の経営判断が間違っていることをわかりにくくするように偽装する脱法行為を行っており,提案者まで頻繁に内部告発のメールなどがくる事態になっている。また提案者は,当社の優位性のある経営資源に従うと,材料科学と眼科分野に再投資先として集中するべきだという主張を,依然より行っている。
提案者は,経営戦略の立場からは,q社買収の負の遺産であるカメラ事業と内視鏡事業は分社化などの手段で当社ポートフォリオからは切り離し,伝統的な事業分野であるメガネレンズのほか,材料科学と眼科の2部門に資本を集中投下し,その他の優位性のない分野に貴重な資本を使うことを原則的にはやめるべきだと考えているので,セグメント分けについても,原則として「その他」事業を除くと,材料科学,メガネレンズ,眼科の3分野にされることを,強く勧告したい。
議案51 定款一部変更の件(株主による勧告的提案についての規定)
議案の要領 「議題提案権を持つ株主から株主総会の8週間前までに請求があった場合には,株主による勧告的な提案について決議を行わなければならない。」との条項を,定款に記載する。
提案の理由 現在の日本の法制度では,株主は取締役選任議案のほかに,定款変更議案をもって意思表示や意見表明を行うケースが多いが,会社が北米等で一般的な勧告的提案に応じることは義務付けられていない。しかしながら,株主総会とそこでの株主提案権が株主と取締役らの間のコミュニケーションにその立法趣旨があるのであれば,勧告的提案を認めることにより,株主と取締役や上級幹部との間の意思疎通を行うことを促進するべきである。また当社は昨年の株主総会招集通知11ページで「株主提案はいずれも定款変更議案であるところ,そもそも会社の定款は,会社の憲法に相当するものであり,定款記載事項は現時点の会社関係者だけではなく,将来の株主を含めた会社関係者を拘束することとなるため,会社や社会の現局面のみを捉えて細部まで規定することはかえって会社の迅速柔軟な経営を阻害することになりかねないと当社では考えております」「現時点で,株主提案のように細部にわたる一定の事項を定める規定を定款に設けることは,迅速柔軟な経営を阻害することになりかねず,株主の皆様にとってメリットとはならないと考えます」などと述べているにもかかわらず,他方で「なお,当社では,昨年の当社第72期定時株主総会にて株主提案がありました株主提案の議案説明分量に関する定款変更,ならびに,社外取締役のみの会議開催に関する定款変更に関しましては,提案の趣旨に沿ってより適切な形で社内規定を改定し反映させております。」などと述べ,定款変更議案で高い支持を得られた議案については,実質的に応じるということを表明しているのであるから,矛盾した見解を述べており,会社の前述のような反論可能性を与えずに,株主の意向を会社経営に反映させていく機会として株主総会を活性化させるためには,勧告的提案を株主総会で決議することの意義がより明らかになっていると言える。
議案52 定款一部変更の件(取締役会自身の業績期待度の作成と期待度評価とその過程の開示義務)
議案の要領 「取締役会は自身の業績期待度を準備,参加,作成しなくてはならず,作成された取締役会,監査委員会,指名委員会,報酬委員会の期待度評価は毎年行い,その過程は株主に開示されなくてはならない。」という条項を定款で規定する。
提案の理由 当社の従来までの取締役会は,仲良しクラブであり,株価の上昇などの株為利益の増大に何ら関心がない状態であった。当社の企業価値は過去10年でほとんど創出されていないが,その理由はすでに様々なところで述べたように,買収にせよ社内の研究開発にせよ,新規事業の創出になんら成果がないことである。本来の機能を考えると,取締役会にも,当然ながら自身の業績期待度を準備,参加,作成させることが重要であるし,作成された取締役会,監査委員会,指名委員会,報酬委員会の期待度評価を行うことには意味があるはずであるので本提案を行う。累積投票などと同じように,CalPERS(カリフォルニア退職公務員年金基金)の企業統治原則でも推奨されている。
取締役は作成された期待度評価に沿って満足な業績を上げなくてはならず,別基準による再任の期待や保証がなされるべきではない。これは北米の企業統治研究者や実務家の標準的な見解,例えば大野忠士『CFA受験ハンドブック[レベルⅡ]』(金融財政事情研究会2004年)の177ページの「株主の視点による取締役会コーポレート・ガバナンス・チェックポイント」でも,「取締役会自体の定期的な自己査定」は5番目のチェック項目である。
議案53 定款一部変更の件(広告宣伝費の開示)
議案の要領 「当社および当社の子会社が支出した広告宣伝費は年度ごとに集計し取引先ごとにその金額を公表する。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 すでにc社の社外取締役がマスコミ出身者であり,そのことによりt新聞社が直近まで同社を絶賛していたことが批判の対象になっているが,当社の経営陣は広告費を利用し,マスコミの報道をゆがめていると解釈されるいくつかの傍証が認められるため,広告宣伝費の開示を提案する。例えば,企業価値と株価を高めるための新規事業の創出が不可欠な要素であり,常に最適な人材をその任に当たらせるのが取締役の義務であり,そうでなければ取締役は善管注意義務違反となる一方,元取締役のA34氏は,過去10年間そして2000年以前にも,なんら新規事業創出において実績なく,事業開発の実績がない人物が最高技術責任者となっていたことは,5年以上前から不適切であったと提案者は主張しているが,たとえばこの問題一つをとっても,メディアで検証がなされたことは,r誌記事「Y1社,創業家経営者に問われる“負の影響力”の自覚《新しい経営の形》」(2010年7月31日号,A46記者)などの例外を除いてほとんどない。あくまで一例であるがRadiant Images社という2004年に連結対象になった投資先についても,投資失敗の結果となっているし,Y2氏が米国駐在時に主導した投資は,すべて破産しているのが実態である。広告宣伝費の開示は,株主にとっては,これらのことを主要メディアの記者が知りながら,記事にしないのはなぜかの理解の一助になるだろうと考える。現にs社前社長のA45氏は,「t新聞には最近,s社の広告が何度も出てるけど,ぜひね,そういうことを書いてもらいたいですよ」(雑誌記事によるコメントより引用)と述べているし,某通信社の記者は「うちは広告が出てませんから,その辺にある紙の新聞(注:t新聞を指すものと思われる)とは違って,会社にいやな記事だから書かないとかはありません」と提案者に述べた。日本の同規模の元経営者が経営者は株為の利益を犠牲にして,自らの保身のために広告宣伝費を支出することがありうることを示唆する発言であり,極めて示唆に富んでいる。
議案54 定款一部変更の件(ベンチャー投資の実行プロセスのガイドラインの開示)
議案の要領 「取締役会は,ベンチャー投資の定義及びその投資実行プロセスに関するガイドラインを作成して承認し,株主に対して開示しなくてはならない。またベンチャー投資の投資成果を毎年検討し,株主に開示しなくてはならない。ベンチャー投資の実行に対しては,取締役会での事前の承認を行わなければならない。」という条項を定款で規定する。
という条項を定款で規定する。
提案の理由 当社代表執行役Y2氏は,「ベンチャー投資と社内のR&Dを両輪として」などと言っていたが,90年代後半の駐米時代にはすべての投資案件を破産に終わらせており,その後も何の反省もなく,「優良案件を掴むための人脈や情報源を保有しておらずそのための努力も全く行っていないこと,投資を行った後は放置したままであり少なくとも四半期おきに投資先の技術開発の動向や代替技術の動向がどうなっているか,買収提案をするべきかどうかなどの精査な分析を一切行っていないこと」などの問題が放置されている。提案者はこの問題に関して,取締役や執行役の善管注意義務や忠実義務の観点を,問題にしている。他方で,仮に提案者が従来から主張するように,カメラ事業を分社化し,材料科学分野と眼科医療分野に再投資する企業戦略が採用されたとしても,外部の経営資源を取り込んでいくことが必須となるため,いわゆるベンチャー投資を有効に行うことが必要であるため,本提案を行う。
実際のところ,燃料電池の基盤を開発する3C SiCプロジェクトは,長年にわたって多額の費用を費やしながらも,事実上失敗に終わっており,長年の担当者は更迭されている。投資先Xponent社の実質的な破たんによる衝動買いである光通信コネクターというプロジェクトも確実に成功しないと断言できる。Y2氏が90年代後半に行ったベンチャー投資はすべて失敗している。以上のように,新規事業の失敗を繰り返しながら,執行役が多額の報酬を受け取ることには,株主利益上大きな問題がある。官僚出身者の天下りである社外取締役には,理解できないのかもしれないが,このような報酬設計にも大いなる問題があるのである。
ベンチャー投資の実行については,過去のベンチャー投資がすべて失敗に終わっている実情を考えると,Y2氏や現在存在するその他の執行役にまかしておくと問題が放置されるので,取締役会での承認事項として位置付け,きちんとその過程や結果も含めて監視していくことが,株主利益に帰すると考えられる。なお材料科学と眼科に研究開発投資は集中させて,これ以上R&Dで株主資本の無駄遣いをやめるように,勧告しておきたい。
議案55 定款一部変更の件(株主が指名委員会に取締役候補を推薦できる仕組みと平等な取り扱いに関する規定)
議案の要領 「株主は指名委員会に対して,執行役に知られることなく直接に,取締役候補の推薦を行うことができる。そのためのプロセスは開示されなければならず,株主から推薦された候補の評価は,指名委員会が独自に候補者とする候補と同一の基準を用いなければならない。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 指名委員会は最適な取締役構成を目指して,常に職務を行わなければならないが,株主が無償で同一能力の新しい取締役候補を推薦した場合,サーチ会社を用いるよりも費用が安くなるわけだから,当然より望ましいわけである。そうであるにも関わらず,当社は前指名委員会委員長のA35氏により仲良しクラブ的な取締役会が形成された2003年6月以降日経平均等の株価指数よりも低い投資パフォーマンスしか創出されていない。現状に怒りを覚える多くの株主や関係者の声を代弁して,本提案を提出することとしたい。取締役の善管注意義務や忠実義務の観点からは,より優れた取締役候補が存在するにもかかわらず,より的確性の劣る仲間の取締役候補を指名した場合,株主代表訴訟等の対象となりうることは言うまでもない。また当社指名委員会は,40代以下の人材,外国人や2名以上の女性等の性的マイノリティーを取締役候補にすることを怠っているが,取締役会の多様性確保という点に関する改善も期待できる。
議案56 定款一部変更の件(株主と取締役との連絡と対応に関する規定)
議案の要領 「重要な懸念を持つ株主が直接に執行役に知られることなく,社外取締役を含む全ての各々の取締役,および指名委員会,報酬委員会,監査委員会との連絡を取ることができるような仕組みを構築しなければならない。株主と各々の取締役との連絡が執行役または執行役の指揮系統下にある社員を通じて行われることは,それが記録保管のためでない限り避けるべきである。記録保管の場合は,受付と取締役会や各委員会への配達,および回答の記録手順は保管され,株主請求に基づいて提出されなければならない。」との条項を,定款で規定する。
提案の理由 当社の取締役会の欠陥はいくつかあるが,執行役が実質的に取締役会や3委員会の運営を実質的に支配しており,社外取締役が執行役の言いなりになっているという問題が存在する。このような問題は,一つには類似の背景を持つ70歳代中心の人間を社外取締役としている多様性の欠如が大きな背景としてある。日本人でない社外大学教授やNGO・NPOなどの人材が社外取締役に一定の任期に基づいて就任することは,株主利益に帰するであろうが,一方で提案者は指名委員会との協議を完全に拒否されている。平成22年6月の株主総会で取締役のサーチを行っていることを代表執行役は説明しているが,それではなぜ潜在的な取締役候補者について多様な人脈を保有する株主提案者との協議を拒否するのであろうか。指名委員会は,ヘッドハンティング会社を用いて外国人社外取締役を探すこともできたはずで,例えばA39氏の後任に同じ日産自動車のA37氏を指名しているなど,取締役会の人材の多様性の確保という目標に対して,極めて怠慢であると評価せざるを得ない。ヘッドハンティング会社を雇用して費用を使って取締役候補を探すよりも,株主から無料での推薦を受けたほうが,費用が安く上がるというべきで,そのような観点から,株主が執行役に知られることなく,指名委員会と自由に意見を交換できることも重要であろう。
提案者は監査委員会に,元取締役にq社買収による株主価値の毀損や,長年にわたる計画性の皆無な新規事業開発やベンチャー投資の実行を根拠として,損害賠償請求を行うことを請求しているが,株主である提案者と監査委員会事務局との直接の連絡を,最高執行役の指揮系統化にあるコーポレート企画室の幹部が介入し,妨害してくるなどの事態が発生している。最高執行役とコーポレート企画室幹部が共同して行っている不正行為について,監査委員会事務局に伝えようとしても,コーポレート企画室の幹部社員がその間に入って,それができないのである。執行役に都合の悪い請求については,監査委員会に対しての連絡を実質的に取らせないなどの行為すら可能になるのである。このようなことは改善がなされなくてはならない。また現に,A10取締役候補の主導していた無機ELプロジェクトの停止につき,A33技術担当執行役,A35前取締役,A39取締役に対する責任追及の訴えを起こすことを提案者は請求しているが,監査委員会はいまだ提訴せず,不提訴通知書を提案者に送付することも拒否している。
株主の代理人が取締役であり,その取締役が執行役の選解任権を用いて,株主にとって最適な執行役メンバーを選ぶというのが委員会設置会社の企業統治であるが,当社においては株主が内容証明郵便で執行役の不正行為(例えば株主総会決議取消請求事件の訴訟提起の事実を適時開示せず,監査法人等にも隠ぺいすること)を監査委員会事務局に送付しても,最高執行役以下の社員が記録を監査委員会に伝えているかさえ定かではないのである。(本議案に関する機関投資家の意見としての参考文献としては,例えば「説明責任のあるコーポレート・ガバナンス(企業統治原則)国際原則」カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)2008年4月21日35ページなどを参照)。いい加減次世代の我々の子供や孫の世代のためにも,「偽装の企業統治」はやめにするべきである。
議案57 定款一部変更の件(株主総会における事前質問の回答義務)
議案の要領 「株主から株主総会に対して,株主総会の1週間前に事前に書面で質問状が提出された場合は,取締役に説明義務が発生する質問については,原則として株主総会で回答しなくてはならない。株主総会を合理的な時間で終わらせるために時間の制約がある例外については,総会から1週間以内に書面で回答し,質問内容と回答を議事録に記載しなくてはならない。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 当社は平成22年6月の株主総会において,原告が事前質問書を提出し,株主総会でも挙手をしているにもかかわらず,質問に指名せずに総会を終了させた。このような行為は取締役としての説明義務違反である疑いが高く,たとえば取締役の不正行為があった時に,事前質問が提出されていても,株主総会で当該質問者の株主を指名しなければ,それを審議する必要がないということになり,株主利益に対する影響は甚大である。
当社の代表執行役Y2氏作成の議事録によれば,原告が議案の提案理由の説明において原告が説明理由との関係で事前質問に触れた内容について不記載とした(会社法上違法行為である可能性がある)うえ,担当弁護士らはこの議事録を根拠として,「原告が本件株主総会において質問権を行使していない」(当社提出平成22年10月21日答弁書7ページ)などと述べたかと思えば,総会の録画テープの提出を裁判所から要求されると,原告が質問権を行使したことは認めるという暴挙に至っている。
株主の質問権が行使されると,取締役が窮地に追い込まれることから,一方的に社員株主のみを質問指名して強引に議事を進めて決議をとるというのは問題があり,少なくとも事前質問書を提出しておけば,会社法上説明義務があるとされる質問については必ず説明義務を負うと明確にしておくことが,会社経営の適法性の確保,株主による経営是正権の実質化,株主利益の保全のために重要であると考えられる。
議案58 定款一部変更の件(株主に対する特別取引の開示)
議案の要領 「当社が,当社株主と何らかの取引や便宜供与を行っている場合は,内容の開示を必要とする。」という条項を,定款に記載する。
提案の理由 例えば日本では従来,生命保険会社と事業会社の関係では,保険会社が運用資産で事業会社の株主になり,株主総会で経営陣に対して白紙の(会社提案に賛成,株主提案に反対)議決権行使をする一方で,生命保険会社の営業担当社員(俗に生保レディーなどいわれる)が会社施設内で営業活動を行うことを特別に許容するなどという慣行があった。しかしながら,特定の株主に対してのみ,便宜を供与することには様々な問題がある。その他,当社では最高執行役の親族等が過半数の株主である会社との取引関係が存在するが,提案者の観点からみて企業統治や偽装報酬,利益相反などの観点から少なくとも問題であると思われる。以上のような関係は,取締役や執行役の忠実義務や善管注意義務の観点から問題である可能性が内包されるので,開示されることを望みたい。
議案59 定款一部変更の件(弁護士報酬の開示)
議案の要領 「当社の支払った弁護士報酬は,毎年度ごとに,事件や案件ごとに詳細を開示しなければならない。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 当社が株主総会決議取消訴訟の弁護人を務めるA47弁護士(n事務所)の行動には問題があると考える。例えば,A47氏は平成22年6月18日開催の株主総会の事務局に同事務所のパートナー弁護士であるA48氏(検察出身)を送り込んでいたが,事前質問書が送付されているのにその質問者を議長が指名せずに議事を終わらせるなどということは,総会決議取り消しのリスクがあるのは明らかであり,しかも株主総会事務局の幹部が,提案者が適法に提出した議案の削減を迫り,あるいは一方的に議案を削除するなどの行為を行っているが,それらを助言する立場にあったのである。
実際に法務を担当すれば容易に分かるが,弁護士事務所の弁護士としての倫理上は問題であることであるが,新たに事件や裁判数が増えて着手金を取ることができるので,弁護士は顧客企業がわざと揉めるように誘導するインセンティブがある。しかもA47氏らは,別事件の代理人となっていることにより,当社幹部が当社のブランド価値を毀損する可能性のある事実を知りながらも放置していることについても,弁護士ぐるみで黙認して放置している。これは他社の例であるが,顧問弁護士が内部告発を行った社員を配置転換させて東京高等裁判所から賠償を命じられた事例や,あるいは産業医に診断書を書かせて退職に追い込む等の違法行為を大手法律事務所が行っていた事例が報道されている。
また取締役や執行役らは,不要な,あるいは自らの私的便益のため会社の費用で弁護士費用を支出する動機を強く持っており,提案者の観点から実際そのようなことが行われていることがしばしば観察される。
また取締役らの違法行為により,不必要な弁護士費用が発生した場合は,株主は代表訴訟等で取締役に費用負担を請求できるはずだが,弁護士費用の内訳などは開示されていない。以上のような理由を考慮すると,弁護士報酬は開示し,株主の監視対象にすることが望ましいと考えられる。
議案60 定款一部変更の件(従業員持株会の運営状況の開示)
議案の要領 「従業員持株会の運営状況を開示する。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 当社の株主名簿を見ると,名義上は当社の47位の株主(議決権数22963個)として当社社員持株会の所有比率が上昇していることが確認され,またそこには「理事長 A1」とあり,コーポレート企画室と株主総会事務局の幹部の氏名が記載されているが,一方で昨年度の株主総会の議決権行使書面での議決権行使において,会社提案に賛成し株主提案に反対する白票を提出していた。しかも当社は別議案の説明でも提案者が問題にしているように,おそらくリスク要因として投資家の投資判断に影響がある株主総会決議取消訴訟の発生事実を適時開示せず,あるいはR&Dが過去11年間全く何も成果がないのにも関わらずあたかも成長性を偽装するような表現を平気で有価証券報告書や会社ホームページに掲載しているが,理事長A1氏はこれら行為の実質的な責任者であって,提案者からみるとあたかもエンロン事件の前夜かのように危惧を覚える。実際に社員には自社の株を買わせて,最高執行役Y2氏の兄弟は株を処分しているのである。
以上を総合すると,社員持株会は合法的に与党株主を増やし,いわゆる一般の株主の議決権行使を無力化させる効果があり,重大な企業統治上の懸念要因となっている。このような状況を監視する一つの方法として,社員持株会の議決権行使状況の開示を含めた運営状況の開示を求めたい。
議案61 定款一部変更の件(天下り官僚の独立役員指定に関する情報開示)
議案の要領 「日本の中央省庁にのべ20年以上勤務し,かつ局長以上の職を務めた人物を指名委員会が取締役候補者として指名するときには,原則として当該候補者を独立な社外取締役の候補者として認めてはならず,特に独立な候補者として認める例外については,特に株主総会の招集通知または参考書類で説明を必要とする。」という条項を,定款に規定する。
提案の理由 天下りや渡りの元官僚が,株主のため企業価値を高める経営を監視するのは一般的には極めて難しい。当社は従業員の年間平均給与が650万円で,10回出社するだけの元官僚には推定1000万円もの高給を支払っているが,元通商産業省官僚のA30氏からコストに見合う便益を株主が得ているとは言えない。q社買収問題のさ中の2007年6月に,A30氏は買収価格に懸念を示す提案者に対し,「q社の従業員の過半数がY1社との合併を望んでいるから,賛成である」と述べた。株主価値向上を怠っている経営陣を放置している取締役らが「仲良しクラブ」を作り平然としているのを見て,忸怩たる思いを抱かざるを得ない。経営や金融のプロでもなく,法案の句読点や「てにをは」を変えることで利権の移動,予算の切った貼ったを20年間以上やってきた人物には,一般には株主利益を増大するための取締役の責務は務まらないだけでなく,官民の癒着を生む等弊害も大きい。
日本においては,メインバンクや監査法人の出身者に社外取締役としての独立性を認めない考え方があるのと同じように,中央官庁の官僚出身者は取締役会においても,株為価値を最大化させるというよりも出身官庁の利害を優先させるという行動様式をとることが多い(例えば高橋洋一・須田慎一郎著『偽りの政権交代 財務省に乗っ取られた日本の悲劇』(2010年新潮社),青木昌彦著,永易浩一訳『日本経済の制度分析 情報・インセンティブ・交渉ゲーム』(1992年筑摩書房)などを参照)。したがって日本の労働市場と政治経済システムの特殊性を根拠として,原則として中央官庁の出身者には社外取締役としての独立性を認めないポリシーが望ましいと考える。なお弁護士の中村直人氏(o法律事務所)は著書の中で,「不思議なのは,役所のOBなどを候補にすると,日本人投資家は『天下り』だと批判するのであるが,外人投資家は,『独立性のある候補者だから賛成』という」ことをあげて,社外取締役の独立性なる概念が明確に規定されていないことを指摘している(中村直人著『役員のための株主総会運営法 改訂版』2010年 商事法務)。
議案62 定款一部変更の件(最高執行役の親族企業への利益供与に関する特別調査委員会の設置)
議案の要領 「最高執行役の親族企業への利益供与に関する特別調査委員会を設置しなくてはならない」との条項を定款に規定する。
提案の理由 株式会社ケンコートキナーは,当社とブランド供与等の取引関係があり,Y2氏の父親のA18氏が大株主である。かかる企業グループとの間で企業統治の観点からみても,疑念を抱かせる事実が観察されるので,調査委員会の設置を求める。
議案63 定款一部変更の件(会社と社外取締役が同一法律事務所を代理人とすることの禁止)
議案の要領 「株主からの保全事件や訴訟等の提起があった場合,会社と監査委員会の委員を兼ねる社外取締役が同一法律事務所を代理人とすることを禁止する。」という条項を,定款に記載する。
提案の理由 社外取締役機能の無力化が観察されて久しいが,少なくとも監査委員会の委員を兼ねる社外取締役が会社と同じ法律事務所を代理人とすることは避けるべきである。株主からみると,監査委員会が執行役の不正を防止し,あるいは監督是正する最後のよりどころであるが,例えば監査委員会の委員に「執行役の不正行為をやめさせよ」という作為的保全処分の申し立てを株主が行った時に,執行側の会社の代理人が監査委員会委員の代理人となっていたら,執行役から選任された弁護士が監査委員の利益のために働くという妙な関係になり,執行役と社外取締役の間での監督機能の低下は甚だしい帰結となる。また代表訴訟の場合には,会社と取締役の代理人は分離するのが,先進国中最も企業統治の後進国(ギリシャと同列)とされる日本でさえも恒例である。
実際に当社は,A30氏やA38氏の代理人に会社の代理人であるA47氏らが就任しており,構造上も監督機能の低下が観察される。社外取締役は一般庶民から見れば破格の報酬を受け取っているのだから,自らの費用と責任で会社とは別個の代理人を雇用するべきである。
以上。

 

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